2024年3月期第2四半期決算説明

布山尚伸氏(以下、布山):株式会社立花エレテック代表取締役社長の布山です。本日はご多忙の折、ご参席いただき誠にありがとうございます。ただいまより、2024年3月期第2四半期の決算説明会を開催します。どうぞよろしくお願いします。

まずは簡単に、私の自己紹介をしたいと思います。私は1984年、前身の立花商会へ入社し、2年後に海外に出てから30年弱の間、海外勤務をしていました。後ほどご説明しますが、海外勤務中は基幹事業の半導体デバイス事業、FAシステム事業、施設事業、MS事業における海外での販路拡大を進めていました。

2016年から東京支社で6年間勤務した後、2022年7月に総会の認可をいただき代表取締役に就任し、ようやく1年半が経った次第です。

2024年3月期第2四半期はコロナ禍が明け、経済・社会活動が回復しました。このことを反映して、個人消費や設備投資の持ち直しが見られる一方で、もう少し早めに収束すると考えていたウクライナ情勢が長期化しています。

資源価格や原材料価格の高騰、円安もさることながら、依然として物価は上昇しており、先行き不透明な状況が続いています。その中でも全社員一丸となって取り組んだおかげで、業績を残すことができました。

とは言え、供給のタイト感は2021年、2022年から継続しています。一部製品の供給不足がいまだに滞る中で、お客さまのご支援やご協力、仕入先のご支援により、第2四半期は最高の業績となったことをご報告します。

当社は、2021年に創業100周年を迎え、次の100年に向けてスタートしています。来るべき未来社会に選ばれる技術商社を目指して、ポジティブ思考とスピード感を持ち、社員一丸となってチャレンジし続けます。

会社概要

会社概要からご説明します。先ほどお話ししたように、当社は1921年に創業しました。この時代は発電と送電、電気普及の創成期です。この分野で事業化を志す者にとっては、大変魅力のある分野だったと聞いています。

その中で、勤務先の大阪電灯で機会を得て米国を視察した初代創業者が「これからは電気の時代」だと確信し、電気関係製品の卸しと電気工事業を目的として、当社の創業に至りました。以後、縁があった三菱電機の主要な代理店となり、国内とアジアに拠点を展開しています。

資本金は58億7,400万円、2023年9月末現在の従業員数は単体856名、連結1,432名です。事業内容は、産業用電機・電子の商品、システムの販売です。大株主はスライドのとおり、主要仕入先の三菱電機が筆頭で7.67パーセントとなっています。

国内営業拠点

国内営業拠点についてです。本社は大阪、支社は東京と名古屋にあります。その他の拠点として仙台から福岡まで14の支店と2つの営業所があり、国内は合計19拠点で展開しています。

国内の子会社はスライドに社名を記載した6社で、29拠点展開しています。これらがすべて連結対象になります。

海外営業拠点

海外子会社はスライドに社名を記載した9社で、アジアを中心に展開しています。拠点は合計14拠点あり、この中には販売会社、支店、営業所も含まれています。

先ほど自己紹介でお話ししたように、私は入社2年目からシンガポールを皮切りに海外勤務を積み重ね、現会長の渡邊とタッグを組んで拠点を開設し、市場開拓を行ってきました。そのため、海外事業については大変思い入れがあり、今も社長執行役員として海外事業を担当しています。

日本円のレートによって変わりますが、直近の3月期の海外関連売上高は412億円で、連結に占める売上比率は18パーセントとなっています。

沿 革

沿革について簡単にご説明します。主な出来事はスライドに記載したとおりです。1921年に、電気関係製品の卸売業と電気工事業を目的に立花商会として創業しました。1944年に電気工事部門が母体となり、みなさまご存知の近畿電気工事(現きんでん)が設立されました。その際、当社の2代目社長がきんでんの初代社長を兼任していました。

2001年9月の創業80周年を機に、社名を立花商会から立花エレテックに変更しました。2005年に東証一部に上場し、2022年4月には東証のプライム市場に移りました。そして、2021年9月1日に、創業100周年を迎えています。

事業ドメイン

事業ドメインについてご説明します。当社の事業ドメインは、FAシステム事業、半導体デバイス事業、施設事業、MS事業、これらの事業にまたがる海外事業の5つがあります。こちらをまとめた動画がありますので、ご覧ください。

(動画流れる)

ナレーション:立花エレテックは現在、全社員の4分の1にあたる約200名の技術者を抱える技術商社として、常に新しいテクノロジーの可能性を追求し続けています。基幹事業のFAシステム事業では、まさに今日到来したデジタル社会で、お客さまに求められるソリューションの提供と、その鍵を握るアプリケーション技術力の強化に万全を期しています。

営業と技術部隊が一丸となって、各種ロボットやIoT、M2M技術を活用し、お客さまのモノづくりの自動化・省力化をサポートするとともに、3Dプリンターを使った新しいモノづくりなど、次の100年でお客さまに喜ばれる提案を実践し、みなさまに「M2Mの立花」と呼ばれることを目指しています。

子会社に目を転じれば、制御機器、ネットワーク機器に強みを持つ大電社、人と機械装置を結ぶインターフェース機器に強い高木商会などがあり、本社と子会社が常に協力し、シナジー効果を存分に発揮しています。それにより、グループでお客さまが抱える問題の解決に向き合い、最適な提案と商品提供を実践していきます。

半導体デバイス事業においても、高機能化するお客さまの製品に対し、最適かつ高品質な半導体とデバイスを提供すべく技術力を備えています。同時に、主力であるマイコン、パワー半導体に外資系半導体を加え、お客さまのあらゆるニーズに応えられる品揃えを目指しています。

そして、単品販売からシステム販売へと、子会社の立花デバイスコンポーネントや立花電子ソリューションズが持つ技術と品揃えを最大限に活かし、連携と協働により、グループ最大のシナジー効果の発揮に努めています。

施設事業では、次の100年もお客さまの工場やオフィスビルや店舗に対し、環境・省エネに配慮してさらに進化した照明、空調、エレベーターなどを販売し、東京・名古屋・大阪を中心にマーケットのさらなる拡大へと動き出しています。

マニュファクチャリング・サービスを行うMS事業は、電子機器の設計・製造受託を行うEMS事業、金属加工・製造受託を行うMMS事業を両輪として、お客さまが必要とするコンポーネントの提供に努めています。

海外事業では、統括会社の立花オーバーシーズホールディングスを含めた7社と傘下の拠点が、半導体とFA製品を中心に展開しています。販売先も日系企業のみならず、ローカル企業へと拡大し、本社とともにアジアのリーディングカンパニーを目指しています。

電機・機械・電子・情報の技術商社

布山:動画はいかがでしたか? 当社の事業の特徴を一言で表すと「製品と技術をトータルで提供する“技術商社”」であると言えます。単に右から左へ製品を仲介するのではなく、いかに「技術」という付加価値を生み出すかをモットーとして進めています。

「技術商社」という言葉は、いろいろなところで見聞きするかと思いますが、この言葉を使い始めたのは、我々がパイオニアかもしれません。

先ほどの動画の冒頭にあったように、当社は約200名の技術者を抱えています。幅広い優れた製品を、高いアプリケーションエンジニアリング・サービスとして、フィールドアプリケーションエンジニア、ソフトウェアエンジニア、システムエンジニアというかたちで、お客さまのニーズに応えています。

これらのエンジニアが、専門知識や最新技術、製品情報を持っていることが、製品開発のサポートやソリューションの提供を可能にしています。

技術商社としての当社の強み

技術商社としての当社の強みは、1970年代半ばからFAや半導体を進めた経歴があることです。また、いろいろなかたちでソリューション営業の専任組織を設置していることも当社の強みだと考えています。技術については、工場内での制御技術や生産技術を、現在ではIT領域を含めたソリューションをワンストップで提供しています。

加えて、常設している展示場にはラボルーム機能があります。そこでお客さまのご要望や仕様、今後の見通し等をうかがい、お客さまの技術力でどのように製品を市場に提供していくかを提案しています。これらをベースに取り組んでいます。

連結の決算概要

決算内容についてご説明します。繰り返しになりますが、第2四半期の中間決算は連結で過去最高を残すことができました。

売上高は前年比104.3パーセントの1,148億円、営業利益は前年比120.3パーセントの57億円、経常利益は前年比113パーセントの65億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年比109.1パーセントの45億円となりました。

連結のセグメント別売上高(2024年3月期 第2四半期)

セグメント別の連結売上高についてです。FAシステム事業と施設事業の連結売上高が増収となり、第2四半期はそれぞれ過去最高を更新しました。

FAシステム事業は前年同期比109.3パーセント、半導体デバイス事業は2023年3月期が過去最高だったため、前年同期とほぼ横ばいの99.2パーセントとなりました。施設事業は前年同期比104.2パーセント、MSおよびその他事業は前年同期比91.2パーセントとなりました。

主力となるFAシステム事業の伸長が、全体業績に大きく貢献しました。

事業別売上高構成⽐

事業別の売上高構成比についてです。2024年3月期第2四半期の連結実績では、FAシステム事業が51.3パーセント、半導体デバイス事業が38.5パーセントを占め、この2事業で約90パーセントになります。

そして、施設事業が8パーセント、MSおよびその他事業が2.2パーセントという売上高構成比となっています。

仕入先別構成⽐

仕入先別の構成比をご説明します。三菱電機ならびに三菱電機グループが38.8パーセント、半導体の主力仕入先になるルネサスエレクトロニクスが24.4パーセント、外資系半導体メーカーが6.8パーセント、その他が30パーセントとなっています。

当社は三菱電機の主要代理店ですが、三菱電機グループ以外からの仕入も6割以上あります。こちらには、三菱電機製品に付加価値をつけて商品のバリエーションを増やし、さまざまなかたちでお客さまのニーズに応えていくことも目的に含まれています。

財務状態(連結貸借対照表)

財務状況についてご説明します。いまだに一部製品の供給が滞る中、第2四半期も当社の強みである調達力を大いに発揮し、お客さまのニーズに応えるための商品確保に努めてきました。

それにより、在庫が膨れ上がっているように見えるかと思います。しかし、こちらは納期のリードタイムが長いことを見越し、お客さまのニーズに応えるために戦略的に先行手配していることが要因です。売上や仕入、在庫の増加によって借入金が増加していますが、在庫増加分のほとんどは事業で得た利益で賄えており、現預金は半年前から減少していません。

なお、借入金は現預金の範囲内であることから実質的には無借金であり、自己資本も878億円超と、財務体力には問題ないことをご理解いただけたらと思います。

2024年3月期 連結の業績予想

11月に上方修正を発表しました2024年3月期の連結業績予想についてご説明します。売上高は前年比99.4パーセントの2,260億円、営業利益は前年比100.8パーセントの104億円、経常利益は前年同様の110億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比95.7パーセントの75億円を見込んでいます。

売上高および利益は、ほぼ前年並みとなる見通しです。

当期の⾒通し

第2四半期の実績がこれだけ良いにもかかわらず、なぜ第3四半期と第4四半期をこのように見通しているかについてご説明します。

理由は、コロナ禍の影響が和らぐ中で経済活動の回復が見込まれるも、ウクライナや中東の問題の長期化、米中経済の対立の硬直化、中国経済の先行きなど、不確定要素が多いことにあります。

また、エネルギーや資源価格の高騰に加え、為替の高止まりは来年どうなるかは不明ではあるものの、米ドルが非常に円安で推移しているのは事実です。サプライチェーンの混乱については、在庫に対する先行手配を含めたフォ―キャストの見直しを各お客さまが行っています。そのような面でも、非常に不透明な要素が多いです。

このように状況が非常に見えにくいため、先ほどお伝えした数字もネガティブなものになっているのではないかという見方があるかもしれません。しかし、私はポジティブに見ており、売上高2,260億円、当期純利益75億円という目標を確実に達成したいと思っています。

状況は刻一刻と変わっていきます。例えば、中国では2月の旧正月前とそれが明けた時には大きく変わるでしょう。ブラックフライデーからも経済状況は変わってきていますが、我々はきっちりと見極めた上で、2024年3月期通期の連結業績を予想しました。このような状況の中での「情報」は常に重要な宝となります。必要な先手を打っていく姿勢は、各事業に展開していきます。

お客さまの状況も刻一刻と変わりますので、受注精度や注残、生産計画を把握することを方針としています。今はグローバルで展開されるお客さまが多いため、受注精度の向上については、納期的にまだ滞っている製品があります。そちらに万全の体制を敷き、遅れることなくきっちりと供給することで数字を残したいと考えています。

また、今は「NEW C.C.J2200」という中長期計画を立て、各事業の戦略や取り組みを進めています。今期はちょうど中間期にあたり、あと2年を残すところとなりました。年明けより戦略をブラッシュアップし、最終年度である2026年3月に向けた「落としどころ」をしっかりと考えて進めていきます。

ITグランドデザインについては、どこの会社も進めています。ITデジタル化、OA化、DX化とありますが、まずはITデジタル化を進めて効率を上げることで業務改善を図ります。そちらを固めた上でDX化を進め、お客さまのニーズにきっちりと応えていきます。

これにより仕入れ先も変わっていきますので、我々はサプライチェーン、さらに物流という中できっちりと対応するべく鋭意進めています。

連結業績の推移

連結業績の推移です。スライドを見るとわかるとおり、2020年にコロナ禍に入りましたが、先期となる2023年3月期の連結業績は2,272億円と過去最高を更新しました。今期は踊り場にあたるため少し見通しが悪くなると見通しているものの、昨年並みの数字はきっちりと達成していこうと考えています。

売上高の推移(連結)

25年ほど前にあたる71期からの、連結売上高の推移です。これまでにいろいろな状況の変化がありました。

海外展開としては、スライドにTSC(立花機電貿易(上海)有限公司)と書いているように、前は深センにもありましたが、当社の現地法人を中国の上海に設立しました。TSB(立花セールスバンコク)はタイの子会社です。その前にシンガポール、香港があります。

そして、大電社の子会社化、立花デバイスコンポーネント(TCD)の設立、高木商会の子会社化、立花電子ソリューションズ(TCS)の設立、TSM(タチバナセールスマレーシア)設立と続きます。

このように、東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポールにいろいろなラインを固めている現状です。

配当⾦、配当性向の推移

配当金と配当性向についてです。今期の中間配当は50円としました。期末配当は50円の予定で、年間は昨年より10円増配の100円とする見込みです。今の計画および利益ベースでの配当性向は、32.8パーセントを予定しています。今後も安定配当を継続し、業績に見合った配当を行っていく所存です。

株主数の推移

株主数の推移です。2017年に株主優待制度を導入してから株主数は増加していましたが、2022年12月に株主優待制度の見直しを行い、長期保有へと主軸を移しました。その結果、2023年9月末時点の株主数は1万8,227人となっています。

株式の概況(2023年9月末)

2023年9月末時点の株式分布状況です。個人株主が32.7パーセント、その他法人が29.3パーセントとなっています。銀行、信託銀行、金融機関などの分布状況はスライドのとおりです。

⾃⼰株式取得を発表(2023年6月5⽇)

我々は、2023年6月5日に自己株式取得の発表をしました。今後3年間で、発行済株式数の12パーセントにあたる300万株の自己株式を取得していきます。この期間の会計年度ベースにおいては、総還元性向50パーセント以上を目指しています。

今期は、2024年3月期終了までに100万株を上限とした自己株式の取得を予定しています。

株主優待

株主優待は継続しており、内容はほぼ変わっていません。当社の株主優待は、株数と保有期間に応じて「QUOカード」を年1回贈呈します。3月・6月・9月・12月末の年4回を基準に、株主名簿に同一番号で記載があり、必要株数を継続して保持いただいた株主を対象としています。

先ほどお伝えしたように「長期にわたってご支援いただきたい」という思いから、100株以上を3年以上保有された株主を優遇した内容となっています。

環境認識

新中長期経営計画「NEW C.C.J2200」についてご説明します。

まずは、環境認識についてです。今は事業環境が変わってきており、みなさまもご存知のように日本の人口減少はすでに進行しています。人口が減ることで当然需要が下がりますので、今までの手法で対応していれば必ず売上も減少します。

その中で、技術商社である我々がプラスアルファを導くためには、単品の販売ではなく「モノからコトへ」移行していくことが必要だと考えています。「コト」は、ソリューションやシステムにつながりますので、デジタル化を推奨しながら時代に適したいろいろな営業戦略を持ち、お客さまの懐に入り込んでいきます。

さらに今は「ゼネラリスト」から「スペシャリスト」となるエンジニアの育成をしています。「この分野はこの人に任せたらメーカーよりも上に来るかもしれない」というレベルの人材を育てることで、我々を商社として活用するお客さまから「非常に便利」だと思っていただける状況を作りたいと考えています。

その中で「NEW C.C.J2200」では、最終的に2,000億円企業になることを目指しています。以前の「C.C.J2200」で立てた2,000億円という目標は達成できなかったため、そちらを継続するかたちで最終目標を2,200億円と置いていました。

現在はすでに2,000億円を超えていますが、安定して2,000億円を越える基盤がなければ、1回や2回達成するだけで、すぐに2,000億円を切る状況に戻ってしまいます。そうならないためにも、安定的に2000億円を超えられる環境を作っていく方針です。

新しい時代に適合した営業戦略

新しい時代に適合した営業戦略についてご説明します。先ほどお伝えしたように、各事業で営業戦略を持っています。

FAシステム事業についてです。国内外で「FAといえば立花」「M2Mといえば立花」という状況を目指します。「FAシステムは立花エレテックに頼れば大丈夫」と思っていただける事業を作り上げたいと考えています。

「M2M」とは「マシンツーマシン」のことで、いろいろな機器を違う機器とつないでいくという意味です。省人化・自動化においてシステムビジネスに関わるのはロボットシステムですが、今後はますます匠の職人が減っていきます。そこで、3Dプリンタービジネスの拡大を重点取り組みに挙げています。

半導体デバイス事業についてです。展示会では、センサーをキーにしています。デジタルデバイスだけではなく、センサーに付随するアナログデバイスが必要なデバイスもあります。そのため、品揃えの強化や保有技術力のブラッシュアップを進めていきます。

施設事業についてです。当社の本社は大阪ですので、東日本や中部圏の名古屋地区などの地域でサービスの均一化を図ります。均一化のレベルは東日本が大阪を抜いていける状況を目指します。こちらは、個々の営業マンの質の向上から取り組んでいきます。

MS事業には「ものづくり商社」と記載しています。MS事業の大部分はEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング)で、基板のアセンブリです。こちらのパートナーは日本と海外の両方にあり、海外のお客さまにもパートナーとして、アセンブリ会社で基盤部材を持っています。そこにコスト的・技術的に負荷をかけ、基盤供給をしたいと考えています。

もう1つはMMS(メタル・マニュファクチャリング)の仕入れ先もほぼ海外です。今後の立体駐車場の加工等は、どのように対応していけばメタルのマテリアルに強くなるかを考え、アジアでの製造委託先の開拓と改善に努めています。

海外事業についてです。日本人が動くには限界がありますので、マーケットだけではなく人についてもローカリゼーションを進めます。ローカルマーケット開拓の主軸は日本人ではなく、すべて現地のローカルのマネジメントとスタッフが進めていきます。それにより、お客さまの拡大を一つひとつ進めていきたいです。

個別の戦略はいろいろとありますが、これらが「NEW C.C.J2200」の営業戦略です。

体質改善のための基盤強化

体質改善のための基盤強化についてご説明します。先ほど社内実務のOA化についてお伝えしたように、ペーパーレスの時代にはオペレーションの効率化がつきものです。今までの作業への気づきから始まり、OA化を積極的に取り組んでいきます。

また、新しい時代を見据えて人事制度の改革を行います。立花エレテック版ジョブ型とは、スペシャリストを育てることです。今までの課長、部長、本部長というラインから、スペシャリストはどのように対応していけばよいかという問題があります。

専門職、技術職、営業職、事務職という各分野で難易度が違う中、3年間かけてブラッシュアップし、3年後には完成形に持っていきたいです。当然ながら、我々の「公正・公平・平等」という思いのもと、貢献していただいている方にはインカムを支払うのが基準です。

我々には創業100年の歴史があります。その歴史から得たものをブラッシュアップしながら、今の時代に適合したグローバルな人事制度に変えていきたいと考えています。

ITグランドデザインに基づくDX化の推進

ITグランドデザインに基づくDX化の推進についてです。残念ながら、社内の基幹システムは導入から30年が経過しています。そのため以前より、いろいろな現場で「オペレーションの効率が悪い」という声が挙がっていました。

この基幹システムを変え、時代に応じたかたちにしていきます。この取り組みは国内だけでは意味がありませんので、お客さまのニーズに合わせてグローバルにDXを推進したいと考えています。

今までの歴史がありますので難しい部分はあるものの、一歩ずつ着実に進めていきます。「長い」と思われる方もいるかもしれませんが、3年をかけて完成形に持っていき、2027年9月までにはDX化が完了している状況を目指します。

その時点で現在のニーズから変わっているところがあり、2027年以降も変わるかもしれません。しかし、国内外を踏まえ、グループ会社を含めたシステムを一元化し、お客さまとEDIでつながることで「ペーパーゼロ化」に対応していきたいと考えています。

『サステナビリティ委員会』を2023年4月1⽇付で設置

トピックスを簡単にご紹介します。2023年4月1日に、サステナビリティ委員会を設置しました。本委員会は取締役会の監督・指示のもと、サステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティの特定、それらに基づく目標設定と進捗管理を行い、全社的なサステナビリティの取り組みを推進します。

委員会を作ったからと言って、前に進まなければ意味がありません。例えば、CO2削減の具体的な方法についてはマテリアリティのKPIにもよります。このような環境への貢献も含めて、今後は当社ができることをクリアにしていきたいと考えています。

『サステナビリティ委員会』にて基本方針を策定

現在は、Environment(環境)、Society(社会)、Governance(ガバナンス)の3つの柱において、マテリアリティを1つ1つ作成しています。

環境負荷低減の取り組みを行いながら、社員がやりがいを持って働き、自らの成長を実感できる会社であれば、社員は幸せを感じてくれるのではないかという「人基軸経営」も推進していきます。

『なごみ会』が2023年4月1⽇付で発⾜しました。

2023年4月1日になごみ会が発足しました。こちらも、先ほどお伝えした当社の経営の基本方針である「人基軸経営」に則った施策です。どうすれば社員が喜ぶのかを考え、従業員や会社の成長のために「なごみ会」を通した活動を推進します。

例えば、社員みんなで旅行などに出かけたり飲み会を開いたりと、性別にかかわらず若い人も一緒に溶け込みながら、コミュニケーションを図ります。また昨今は、水害や地震などの自然災害が全国で毎年起こっています。それによる家屋の崩壊など、さまざまな状況が起こった際の支援も行います。

また、スポーツについてはIR活動の一環にもなります。来年にパリ五輪が開かれる中で、応援する選手や競技を作ったほうがよいと考え、そのような状況に対して企業の知名度を向上しながら、PR活動を側面的に行っていくことも当会の目的としています。

この会は、女性委員がいろいろなかたちで提案を行っています。最終的にこの会議で決定し、進めていきたいと考えています。

フェンシング⽇本代表松山恭助選手とスポンサー契約を締結

その一環として、フェンシング⽇本代表の松山恭助選手とスポンサー契約を締結しました。フェンシングはマイナーなスポーツだと考える方も多いと思いますが、昨今の世界選手権のフェンシング団体で、日本のチームは金メダルを取っています。

日本ではマイナーかもしれませんが、ヨーロッパを中心に世界中では盛んに取り組まれています。しかし、海外遠征などの支援をする企業が少ないため、こちらを応援したいと考えました。松山恭助選手はJTBに所属されていますが、パリ五輪に向けて、来年1月から当社のスポンサー契約が開始されます。

ジャージやバッグに立花エレテックのロゴが入りますが、それを置いても応援したいと考えています。世界選手権、アジア大会、国内大会と、まだメディアではなかなか出にくいですが、いろいろなかたちでスポーツの契約を進めていきたいと考えています。

『FOOMA JAPAN 2023』に出展

我々はいろいろな展示会に出展しています。今年は出展しませんでしたが「CEATEC(シーテック)」には3年間出展していました。

今年は、東京ビックサイトで開かれた「FOOMA JAPAN 2023」に出展しました。こちらは食品業界向けの展示会で、梱包やパッケージなどが出店されています。グローバルに対応されているお客さまが多い中、我々は新技術等々を紹介しました。

IoTを踏まえ変革期にある食品業界において、生産技術の変革は必須だと考えているお客さまは多くいます。今までのやり方を変えなければ、グローバルで負けるのではないかと考えている方が多く、非常に有名な食品業界の企業が出展する中で、我々は生産に対してサポートしていきたいと若手中心に出展しました。こちらは来年も継続して出展する計画です。

『Edge Tech+2023』に8年連続で出展

「Edge Tech+ 2023」は、昨年まで「Embedded Technology Expo(ET)」として開催されていたものです。パシフィコ横浜で開かれ、当社は8年連続で出展しました。

ここでは、いろいろな半導体の仕入先の商品を組み合わせたものを出展しました。1つは、アナログデバイスのセンサー導入ツールです。我々のエンジニアが設計・開発したベースロードのPoCにセンサーを組み込んで標準化したかたちで、お客さんのニーズの仕様に合わせていくものを出展しました。

この展示会はリアルとオンラインのハイブリッドで実施され、両方においてきっちりと対応しました。

⾥山保全活動 枚方市『なごみの⾥』Withコロナで活動を再開

なごみの会と絡めて「なごみの里」と名付けた里山保全運動についてです。従業員や枚方市民に喜んでもらえるように、竹やぶを整備して桜の植樹を行いました。しかし、桜の植樹には5年から10年の年月がかかりますので、タケノコの横で和気あいあいと過ごせる場所として展開していきたいと考えています。

スライドには「2023年4月に完成」と書かれていますが、こちらはまだ完成していません。私にとっての「完成」とは、桜の木があり、桜の道ができ、公園でゆっくりバーベキューができるようになった時が完成です。それまではもう少し時間がかかるため、今は部分的な話をしています。

枚方市の環境フェスタで「なごみの⾥」活動をPR

なごみの里のPR活動の一環として、多くの枚方市民に足を運んでいただけるように、野外ライブなどのイベントを開催しています。

スライドに記載のとおり、当社の音楽部による演奏会を行いました。写っているところはまだ植樹の段階ですので桜は少しだけ咲いている状況ですが、様子をおわかりいただけると思います。今後も、創業100周年記念で作った桜の森の計画を進めていきます。

以上で私からの説明を終わります。足りない部分があったかもしれませんが、ご清聴いただき誠にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

質疑応答:業績好調の要因・今後の市場環境・ソリューション力について

質問者:布山社長の代になってからの業績は回復どころか、さらに上にいくかたちで非常に順調であるとお見受けします。この内部要因について、何を一番大きく変えた結果、業績が良くなったと考えていますか?

布山:昨年7月、私が東京から大阪本社に戻って社長に就任した時はまだコロナ禍の最中で、緩和されてきてはいたものの、活動には多少の制限がありました。お客さまとの打ち合わせもオンラインで行うことが多い状況の中で、何よりもお客さまが一番困っていたのは納期でした。半導体や、我々の基幹事業であるFA機器の不足により、リードタイムが長くなっていたためです。

例えば、通常の納期が2ヶ月から3ヶ月後のところ、フォーキャストに基づいて手配しても10ヶ月後が当たり前で、12ヶ月後でも入らないという状況です。これは自動車も車載も同様で、オーダーしても確定納期がなかなか出ないという状況が続きました。

そこで我々は納期で迷惑をかけないために、関係性の強いお客さまには必要なものをどのようなかたちで手配すればよいかを事前に相談しました。

また、資源価格も高騰していたため、将来的にすべての材料が値上げされると想定しました。そのため我々は先行的に確保しようと考え、お客さまからもさまざまなご協力をいただきました。

このように、それぞれの業種・業態のお客さまから、先行的に商品を押さえていただいたことが一番大きな要因だと思います。その他には、もともと進めてきた戦略的アクションの一つひとつが花咲いてきたことも要因の1つです。

質疑応答:半導体商社の今後とソリューション力について

質問者:外部環境も含め、今後についてどのように見ているかを教えてください。現在の半導体商社は数が多すぎるため、今後は3グループほどに集約されていくのではないかと想定していますが、御社の周りでそのようなことが起きるとしたら、それはどのような場合だと考えられますか?

また、商社はソリューション力を求められる度合いが高まっています。御社もまさにそのようなところで評価されているとお見受けしますが、「ソリューション力」とはどうすれば上がるものなのでしょうか?

多くの方が「ソリューション」と言う一方で、売るものがなければビジネスにはなりにくいように見える会社もあります。ソリューションで顧客からの支持が高まり、かつビジネス的にも売りやすくなるためには、何が必要なのでしょうか。非常に漠然とした質問で恐縮ですが、教えていただければと思います。

布山:確かに、昔は半導体を扱っていたところのほとんどが日本の大企業でした。今はかなり減り、商社が5社あっても淘汰されていかなければなりません。その中で、どのようなかたちでシナジー効果を出していくかが重要になると思います。

加えて、半導体ほどM&Aが行われる業態はありません。そのため今後は、外資も含めて技術を持っていなければ生き残れないと思います。その技術も、単なる技術ではありません。我々は、ソフトウェア開発という技術のエンジニア部隊を持っていますが、だいたい5年から6年前から、ソフトウェア開発の部隊だけでは通用しないことがわかっていました。

ソリューションについても、昨今はデジタルのエンジニアが増えていますが、アナログのエンジニアは減ってきており貴重な人材です。アナログ部分の基盤の中で、例えばお客さまのアナログとデジタルの部分をどのように組み合わせるかが大切になってきます。

お客さま側のエンジニアで足りない部分を、我々側のエンジニアが支援・補完し、制御、生産、監視などの部分で見える化をしながら進めていくことを「ソリューション」として進めています。しかし、すべてに対応することはできません。例えば、お客さんの製品を作ると言っても、家電は日系企業がなかなかグローバルになりきれていないところがあります。

そこで我々としては、産業や車載において、次世代のEV関係に基づきながらソリューションを提供し、お客さまから「立花さん、ここまではできないでしょう?」という課題をもらいます。

できない状況の中でもきっちりと方向性を持って、エンジニアの育成をできるところまで行い、できないところは「できない」と言いながら、お客さま側のエンジニアと一緒に進めていきます。ここでは便利屋でもかまわないと思っています。

このようなかたちでの対応を進めていることが、半導体商社とソリューションの考えについての方向性となります。

質疑応答:大きな変革の計画について

質問者:売上は大きく伸ばす想定だと思いますが、新中計では枠組みを大きく変えていくことは織り込まれていないとお見受けします。そのような大きな変革が起きるのは、今中計が終わってからの時期というイメージでしょうか?

布山:先ほどお伝えした、売上拡大と戦略的なところが変革の部分にあたります。売上拡大は、これらのソリューションを踏まえて新規顧客等に展開していきます。しかし、新規顧客の開拓は、当然ながら戦略が成功しなければ付随できないため、先ほどお話しした花が咲いている戦略的アクション、つまりソリューションを汎用性を持って展開しています。

我々は商社ですので、今後はモノ単品だけでは利益がなかなか取れなくなってきます。そのため、商品に付加価値をつけたソリューションを提供し、既存顧客や新規顧客に喜んでいただいています。中長期経営計画「NEW C.C.J2200」の最終年度にも目標値がありますが、これらの取り組みに対する数字は、そうした中ではっきり出てくると感じています。