2024年4月期第2四半期決算説明
田角陸氏(以下、田角):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。ANYCOLOR株式会社代表取締役CEOの田角です。これより、2024年4月期第2四半期の決算についてご報告します。まずは、取締役CFOの釣井より本決算についてご説明させていただきます。
業績サマリー
釣井慎也氏(以下、釣井):取締役CFOの釣井です。私から第2四半期の状況についてご報告します。
まず、業績サマリーです。業績はスライドのとおりであり、売上高・営業利益ともに当初の計画を上回るペースで進んでいます。営業利益の進捗率が若干高いのは、利益率が想定よりも少し上振れているためです。
2024年4月期 第2四半期決算
全体観として、第2四半期は夏という季節性、年間の施策バランスなどを考慮すると、コマースを中心に落ち着いた結果になるという想定のとおりの着地となっています。上期通算で見ても上振れて進捗しており、引き続き良い状態であるという認識です。
個別に見ていきます。まずは、日本国内で展開している「にじさんじ」です。こちらは非常に良い状況を継続しています。第2四半期の売上高は、前年同期比プラス16パーセントとなりました。当社の大イベントである「にじさんじフェス」が、昨年は10月開催であったところ、今年は12月の開催を予定していることが影響しています。
このように「にじさんじ」は順調ですが、新規デビューについては少し課題があります。この点については後ほどご説明します。
「NIJISANJI EN」は第1四半期に引き続き、少し厳しい状況です。前回と同様に日本国内の需要が明らかに減っていることが、前年同期比の大きなマイナス要因だと思っています。一方で、アメリカおよびカナダを中心とした北米圏の需要が前年同期比で伸びていることは、ポジティブであると見ています。
直接変動費は、前年同期比マイナス3.6ポイント改善しました。第2四半期は一部原価率の高い商品の販売や12月開催予定の「にじさんじフェス」の先行的な費用の計上など、マイナス要素が少しありましたが、全体的にはよいかたちで原価率をコントロールできているという認識です。それ以外の一番大きな増加要因は、ほとんどが人件費となっています。
売上高推移(四半期)
「にじさんじ」および「NIJISANJI EN」の売上高推移です。「YouTube」を中心とした配信による収益であるライブストリーミングにおいて、数年前からスーパーチャット収益が減少傾向にあります。
一方で、「にじさんじ」「NIJISANJI EN」を問わず、メンバーシップ収益および広告収益は増加傾向が続いています。スーパーチャット収益減少の背景には、ファンからの消費動向の変化として、動画における消費からコマースにおける消費への移り変わりがあると理解しています。
コマースは、まさに先ほどお伝えした施策バランスや季節性が影響する部分です。我々のコマース商品は、個々のVTuberやユニットのアニバーサリー商品、ハロウィンのような季節にちなんだ商品展開、VTuberの誕生日、会社として開催するイベントなどに関連して販売されるものが大半であります。
それらの年間施策バランスにおいて、当第2四半期は主力となるものがほとんどない中で、順調な業績であったと感じています。
「NIJISANJI EN」についても全体的な状況は同じですが、先ほどお伝えしたように、日本人の購買力が減少傾向にある点が前期と少し違うところです。例えば2023年第1四半期と第3四半期に大きな伸びを示していますが、日本人のファンがかなり牽引しています。そのような部分が少し落ちてきているのが、今の「NIJISANJI EN」の状況と見ています。
引き続き海外のファンを拡大していくことを通じて、海外ファン層をベースにこれまでと同様の収益力を稼いでいく必要があると認識しています。
イベントについては、先ほどお伝えしたように、昨年と今年の同期間を比較して少し差異が生じています。「にじさんじフェス」はソニー・ミュージックソリューションズとの共催で、イベント全体の売上を共催比率にしたがって計上することになっています。
2023年4月期は10月に開催し、当社では共催比率按分後ベースで12億円弱を計上しました。そのうち8億円程度をチケット収益としてイベント領域に計上し、残りの3億円から4億円をコマース領域の収益としています。
2024年4月期は同イベントを12月に開催することを予定しており、第3四半期にズレ込みます。この影響を加味すると、高い成長を継続できている状況にあると考えています。
プロモーションは企業案件を指しています。第2四半期は「Google Play」や携帯電話の「ahamo」との協業など、非ゲーム領域のクライアントから大きな案件をいただく機会が増えており、今期のトピックの1つとなっています。
営業利益率推移(四半期)
営業利益率の推移です。直接変動比率が前年同期比で下がっていますが、第1四半期からは3パーセントほど上昇しています。理由の1つはグッズ販売の影響です。同一商品がより多く売れるとボリュームディスカウントが効きやすいですが、突出して売れる強い施策が第1四半期よりも少なかったため、その影響の差があります。
第2四半期は、VTuberユニット「ROF-MAO」がリリースしたCDが非常によく売れて、オリコン1位を取ることができましたが、それほど利益率の高い商材ではありません。そのような一部原価率の高い商品の販売があったことにより、直接変動比率が少し上がっています。
その他原価・販管費率は、絶対額としての人件費が増えており、四半期としては売上高がそれほど大きくはなかったため、相対的に16.3パーセントの微増に見えているという状況です。
VTuber数およびANYCOLOR IDの推移
VTuber数と「ANYCOLOR ID」の状況です。スライド左側のVTuber数の推移をご覧ください。第2四半期は「にじさんじ」の増減はなく、「NIJISANJI EN」は3名の新規デビューと1名の卒業がありました。
新規デビューについては、第1四半期の決算説明会でご報告したように、「バーチャルタレントアカデミー(VTA)」の体制見直しの影響等があり、デビューの時期がやや後ろにずれ込んでいます。卒業については概ね想定どおりで、いずれも業績への影響は軽微と見ています。
右側の「ANYCOLOR ID」数に関しては、引き続き新規ファンの流入が見て取れます。
従業員数
変動費以外の主なコスト増加要因である従業員数は、前年同期比で35パーセントほど増えています。スタジオエンジニアや、「NIJISANJI EN」を積極的に展開するための海外に対応できるビジネス領域の人材など、我々ができることを増やすことを目的に、一定の規律の上で採用を進めています。
第2四半期の状況報告は以上です。引き続き、田角より我々の取り組み状況をアップデートします。
2024年4月期 業績予想の進捗
田角:私から、我々の成長戦略と上期までの取り組みについてご報告します。
成長戦略の考え方は大きく分けて3つです。1つ目がVTuber IPを創出すること、2つ目がこれを成長させていくこと、3つ目がマネタイズです。この3つを軸として、国内・海外それぞれのニーズにアプローチする6領域についてご説明していきます。
継続的なVTuberデビュー
1つ目のVTuber IPの創出についてです。「バーチャルタレントアカデミー(VTA)」は、VTuber候補生に対してレッスンや座学を通し、必要なスキルや考え方を教える養成所のような機能です。現在、カリキュラムやレッスンを見直し、VTuberならではの活躍ができるような人材の創出に向けた体制作りと改善を進めています。
「バーチャルタレントアカデミー(VTA)」では、もう1つの取り組みとして、2023年11月から3種類のオーディションを開催し、非常に多くの方にご応募いただいています。2024年4月期は、11月に国内において男性1名・女性2名の合計3名がユニットとしてデビューしています。
海外のニーズに対してアプローチする「NIJISANJI EN」は、「バーチャルタレントアカデミー(VTA)」のようなレッスンやカリキュラムの体制はまだ構築していませんが、VTuber候補生に対して、研修などを継続しています。
今後はリモートを活用し、海外在住の方がレッスンなどのカリキュラムを受けられるような体制の構築に取り組んでいきたいと考えています。こちらも2023年11月より、演技専攻という少し通常と違ったかたちですが、新たにオーディションを開催しています。
この上期は男性3名のユニットと、男性1名・女性2名のユニットの合計6名がデビューしています。新規VTuberのプロデュースは我々の成長戦略の基礎となる部分の1つですので、引き続き重要課題と認識して取り組んでいきたいと考えています。
ユニット展開施策の状況
2つ目のVTuber IPを成長させていくという観点では、新規のファン層を拡大することと、既存のファン層のエンゲージメントを拡大していくことに尽きます。成長戦略としては、ユニットのプロデュースやコンテンツの拡充に取り組んでいます。
ユニットプロデュースとは、ユニットとして音楽や番組、イベントなどに取り組むことで、個々のVTuberの活躍に加えて、ユニットとしての関係性などの相乗効果を活用し、新規顧客や既存顧客のエンゲージメント拡大を期待しています。
国内においては、「ChroNoiR」「ROF-MAO」「VOLTACTION」などがユニット展開を実施しており、今後もファンベースの拡大のために、一定のペースで新規ユニットとしての展開の増加に取り組んでいきたいと考えています。
海外においては、国内と比較すると「NIJISANJI EN」全体としての取り組みやユニットプロデュースの取り組みが少なかったと認識していますが、上半期からは、男性4名のユニット「Noctyx」による公式番組がスタートしています。
このような取り組みを皮切りに、「NIJISANJI EN」全体としてのコンテンツやユニットとしてのコンテンツとして音楽、番組、大会やイベントを提供することで、海外の視聴者・ファンの方からのニーズに応えられるように取り組んでいきたいと考えています。
プロモーション領域における施策例
3つ目が、VTuber IPのマネタイズ領域です。先ほど釣井からお伝えしたとおり、国内は概ね予想どおりの進捗状況であり、プロモーションやコマース領域が、引き続き成長を牽引していると考えています。
コマースにおいては、VTuberのユニット活動の延長線の中でグッズ展開を進めたことが、順調に結果を出しています。プロモーションの領域も同様で、大型案件も受注できるようになってきています。マネタイズ領域は順調と認識しています。
一方で、海外については海外のニーズを深く認識することが課題だと考えています。
グッズ展開については、海外のファンの方々にはどのような商材やデザイン、販売施策が好まれるのかという点を把握することが重要だと考えています。プロモーションにおいても、海外のファンに向けたプロモーションを行いたいクライアントにどのようなニーズがあるのか、どのようなプロジェクトを進めていきたいのかなど、海外ニーズをしっかりと認識していきたいと思っています。
各施策のトライアンドエラーを通して海外ニーズをより深く認識することで、VTuber IPの収益最大化に取り組んでいきたいと考えています。
国内ニーズと海外ニーズに対し、VTuber IPの創出、成長、マネタイズの3領域をアプローチしていくことで、VTuber市場を牽引し、安定的かつ持続的に成長する企業を目指したいと考えています。
以上が成長戦略についてのご説明です。
質疑応答:複数のVTuber起用案件について
釣井:「『志摩スペイン村』において、周央サンゴと壱百満天原サロメのイベント発表がありました。今年2月のイベントの効果を近鉄グループホールディングスの社長が高く評価されていましたが、そのような背景があると考えてよろしいでしょうか?
また、それに関連して壱百満天原サロメの起用も増えることになりましたが、『志摩スペイン村』の『X』ポストが395万閲覧になるなど、SNSでは相当話題になっている印象です。今後も複数の所属VTuberを起用することで、イベント効果が高まるようなものを開催しますか?」というご質問です。
田角:こちらは、リピートいただけた案件です。このように起用するVTuberを増やすことで、プロモーション効果がより一層高くなることは、他の案件でも起きています。
大規模案件が増加傾向にある背景としては、複数のVTuberを起用して1つのプロジェクトを盛り上げることで、より多くのプロモーション効果を期待していることがあるかと思います。このようなリピートの案件や、複数VTuberの起用による案件の大型化は今後も増えていくだろうと考えています。
質疑応答:大型案件の収益・利益率について
釣井:「大型案件の収益に対するインパクトは今後大きくなっていくのでしょうか? また、近鉄も含めて、御社のキャラクターを活用したグッズ販売は今後拡大すると思います。その時の利益率の状況をどのように見ていますか?」というご質問です。
「志摩スペイン村」に限らず、足元で増えてきている大型の企業案件については、1案件当たりの収益は非常に大きいものであり、会社として割かなければいけない工数も増えますが、細かな案件を積み上げていくよりも、効率や収益の最大化という面では大きいと考えています。利益率面でもポジティブだと見ています。
質疑応答:計画比の上振れ要因と市場期待とのギャップについて
釣井:「イベントの期ズレ12億円超を加味しても、上振れの期待に対し売上高が届いていないように見えます。御社としては計画上振れの進捗とのことですが、どこがどの程度上振れたのか、どのような点が市場期待とのギャップだと考えているかを教えてください」というご質問です。
上振れの状況について、数字であらためてご説明します。ライブストリーミング、コマース、プロモーション、イベントの4領域の中で大きな上振れがあったのは、コマースとプロモーションの2領域です。
コマースについては、ユニット単位での施策や、会社として積極的に押し出していく大型施策に対しての需要が想定以上に強いと認識しています。第2四半期単体でみても、例えばユニットでリリースしたCDが非常に多く売れたことは上振れ要因の1つです。
プロモーションについては、まさに1点目のご質問と関連しており、昨年までと比べて大型案件が受注できるようになってきています。想定以上に企業案件プロモーションの状況が活況であり、計画比での主な上振れ要因となっています。
市場期待とのギャップについては、我々は上場してまだ2年経たないところで、ビジネスの性質上、業績のボラティリティは一定程度あると認識しています。
ただし、外部の市場から見ると、ボラティリティの予測可能性は少し見えづらい部分があります。「数字が高くなる」と期待していた第1四半期と、「これくらいになる」と思っていた第2四半期は、会社としてのギャップはそれほどないのですが、市場としてはこの凸凹が非常にサプライズになっていると思っています。
そのため、我々の見通しを丁寧に伝えていくことが必要と考えています。
質疑応答:売上原価率と『にじさんじフェス』の費用の先行計上について
釣井:「原価率の高い商品は、通常とどれくらい違いがあったのでしょうか? また、売上原価率への影響がどれくらいだったのかを教えてください」。「『にじさんじフェス』に関する費用の先行計上は、どれくらいだったのでしょうか?」というご質問です。
当社の性質上、原価率は全商品で一定ではないため、当然、低いものもあれば高いものもあります。具体的な数字でお伝えするのは難しいですが、その差にかなり大きな開きがあるのは事実だと思っています。
第2四半期で見ると、ユニットのCDが非常に多く売れたとお伝えしました。単一商品としては1位か2位の売上です。そのような商品の原価率が高かったことが、利益率や変動費率に影響したと考えています。
「にじさんじフェス」に関する費用の先行計上については数千万円から1億円くらいの規模感と認識していただければと思います。
質疑応答:国内コマースの売上変動について
釣井:「季節性を加味しても、第4四半期、第1四半期、第2四半期の国内コマースの売上変動が大きく見えます。要因をあらためて教えてください。
第1四半期は『ChroNoiR』『VOLTACTION』のアニバーサリーグッズが売れたという認識でよいでしょうか? また、第2四半期は『ROF-MAO』のアニバーサリーがあったと思いますが、期末のため、コマースの貢献は第3四半期になるのでしょうか?」というご質問です。
先ほどお伝えしたとおり、四半期間での変動は施策バランス等によるところです。第1四半期の『ChroNoiR』『VOLTACTION』のアニバーサリーグッズについては、まさにご認識のとおりで、第1四半期の売上に非常に貢献しています。
また、第2四半期に「ROF-MAO」のアニバーサリーに関連したグッズ販売は第3四半期に実施しており、第2四半期には入っていません。
繰り返しになりますが、第2四半期で「非常によく売れるであろう」という施策の絶対数が年度計画で少なかったことが、大きな売上変動要因だと認識しています。
質疑応答:第3四半期のイベント売上見込みについて
釣井:「第3四半期のイベント売上はどの程度を期待していますか? 昨年は御社のレベニューシェア分が約12億円とのことですが、今期はどの程度の上振れ・下振れを予想していますか?」というご質問です。
12月22日から24日に「にじさんじフェス」のイベント開催を予定しています。昨年以上の盛り上がりが期待できるイベントになるように、準備を行っているところです。
質疑応答:「にじさんじフェス」の共催について
釣井:「今年の『にじさんじフェス』は、ソニー・ミュージックソリューションズとの共催ではないのでしょうか?」というご質問です。
ソニー・ミュージックソリューションズとの共催で開催予定です。
質疑応答:第3四半期に期待できる案件について
釣井:「第3四半期に期待できるコマースの案件はありますか? 第3四半期の売上・利益見通しを教えてください」というご質問です。
コマースの状況については、第3四半期、第4四半期の下期にかけて、アニバーサリーやイベントに関連したもので大きく売上高を伸ばすような施策を打つ計画を進めています。「にじさんじフェス」をはじめとして、公表・未公表のものを含め、実施予定のものが多くあるため、尽力していきたいと考えています。
質疑応答:「にじさんじフェス」の売上計上について
釣井:「『にじさんじフェス』で、昨年第2四半期に計上されていたイベント売上・コマース売上が今期は第3四半期にずれているということですが、その理由・詳細について教えてください」というご質問です。
「にじさんじフェス」の開催時期は毎年一定時期とは定めておらず、年度内でのリソースのバランスや会場・キャパシティ確保などの要素により日時を決定しています。その結果として、昨年と今年で実施時期がずれているとご理解いただければと思います。
質疑応答:競争優位性の構築について
釣井:「スライド17ページの競争優位性の構築について、『露出による認知度ではなく、視聴を通じてファンとの絆を構築することが必要』と記載されていますが、まさにこの部分が揺らいでいるのではないかと危惧しています。御社の考えをお聞かせください」というご質問です。
田角:先ほどお伝えした「VTuber IPを創出していく・成長させていく・マネタイズさせていく」ことを行えるのは、ファンとの絆があってこそです。すなわち「にじさんじ」というプロジェクト自体が、ブランドとしてファンの方々に信頼を得ている状況を作り続けていくことが、非常に重要だと認識しています。
そのような意味でも、当社からデビューするVTuberの質が重要だと考えています。VTuberとしての専門性を持ったスキルや経験を身につけ、しっかりとした考え方を持てるようプロデュースすることで、中長期にわたって活躍し、いろいろなサービスを通してファンのみなさまを楽しませることが、循環として非常に重要だと思っています。
ここは引き続き、お伝えしてきた施策を通して重要視していきたいポイントだと思っています。
質疑応答:上方修正を行わなかった理由について
釣井:「計画に対して上振れているにもかかわらず上方修正しなかったのは、足元で会社の想定より下振れている事業があるからでしょうか? 何かのコストを想定しているなど、懸念点などがあれば教えてください」というご質問です。
第2四半期も含めて、現時点で会社想定より下振れているところは特にありません。一方で、今期は下期に会社としてより大きな売上を計画しています。そのバランス感を考慮した時に、この下期の進捗を会社として見ていきたいと思っています。
現時点では計画は順調に進捗しており、この下期に期待している売上高の最大化に向けて施策を着実にこなすことに注力していきます。
質疑応答:「NIJISANJI EN」の売上回復施策の進捗について
釣井:「『NIJISANJI EN』の売上回復に向けたプランの進捗について教えてください。第2四半期時に『6ヶ月程度の回復に向けた施策を打っている』とおっしゃっていたと記憶しています。第3四半期からの再成長の見通しは高まっていますか? もしくはもう少し長い時間軸での取り組みとなりますか?」というご質問です。
田角:「NIJISANJI EN」については、海外からのニーズを確実に捉えていくことが非常に重要な取り組みだと思っています。
海外をターゲットにしたVTuber IPのプロデュースを急速に進めていくことに加え、VTuber IPの成長という観点では、ユニットプロデュースのコンテンツや「NIJISANJI EN」全体のコンテンツについても、国内で展開しているものと比較してまだ足りていないと認識しています。
楽曲、番組、大会のようなコンテンツ、直近では海外イベントの出演等々を行っていますが、このようなところを通してファン層の拡大、顧客のエンゲージメントの向上に取り組んでいきたいと思っています。
短期的な売上回復という意味では、国内からのニーズとコラボレーションしていくことも重要な取り組みの1つだと思っています。その1つとして、前期の下期から国内と海外の合同ユニットプロジェクトであるヒーローコンセプトのユニットがデビューしています。これは「にじさんじ」と「NIJISANJI EN」の両方のユニットが参加しているプロジェクトです。
短期的な面に対してはこのような国内ニーズとのコラボレーションを含めた取り組みを行い、長期的で根本的な改善に向けては海外ニーズの獲得や向上、成長に取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:「ファンとの絆」を定量的に示す指標について
釣井:「視聴を通じたファンとの絆を重視されているとのことですが、それを外部から確認できる指標やKPIの情報開示を行っていただくことはできますか?」というご質問です。
以前開示していた「YouTube」の視聴時間を念頭に置いていらっしゃるかと思います。こちらに関しては、事業の成長や財務状況を補足する情報としての開示は取りやめています。
その背景として、この数値と会社の事業成長や売上高の成長との関係性が薄いという会社の判断があります。補足としてお話ししますと、視聴時間自体は伸びており、下がっているために開示を取りやめたというものではありません。
ファンとのエンゲージメントを定量的に見る方法については、社内でも議論しているところですが、「YouTube」の視聴時間が長ければ人気も売上も高いわけではなく、一方で他に代替できるような指標があるかというと、現状ではないと考えています。そのため、より定性的な見方として、SNSでのファンからの反応を丁寧に見ていくといったところが、ファンからの熱量を実態として図る上で重要だと思っています。
質疑応答:下期に期待している施策について
釣井:「下期に期待している施策として、どのようなものがありますか?」というご質問です。
田角:我々の重要な取り組みの1つとして「にじさんじフェス」があります。オフラインのフェスを通して、ファンのみなさまとタレントが交流できる機会となっています。
先ほどご指摘があったように、ファンとの絆を深めていくイベントとして非常に重要視しています。ですので、下期に向けた一番大きな施策としては、来週行われる「にじさんじフェス」になると考えています。
質疑応答:今期の経営方針について
釣井:「前期の第4四半期は、その期中というよりも翌年に向けた取り組みが多く、売上・利益貢献がスローダウンして株価も下落しました。今期はどのような経営方針でしょうか?」というご質問です。
今期の第4四半期の位置付けについてかと思います。この第4四半期に大型の施策を予定していることもあり、調整対象というよりも、第4四半期は今期の中でも大きく期待している四半期になっています。
その上で、来期に向けて数字を載せていくために調整可能なものがあるかどうかは、その時になってみないと見えてこない部分もあります。
質疑応答:海外における地域別の特徴について
釣井:「海外では女性タレントのほうがささりやすいなど、地域別の特徴があれば教えてください」というご質問です。
田角:男性向け、女性向けどちらかに特化させていくのではなく、我々としては十分に間口を広げ、海外のVTuberファンや潜在的なVTuberファンの方に対し、新しいニーズとなりうるコンテンツのプロデュースを行っていきたいと考えています。
そのような取り組みを通して、ファン層の拡大に取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:VTAスーパーエリートライバー・マスコットライバーのオーディション開催について
釣井:「国内での新規デビューについて、11月からVTAスーパーエリートライバー・VTAマスコットライバーを募集するとのことですが、従来のVTuberと方向性が異なっている印象を受けました。このような募集を行った背景・意図を教えてください。
日本国内のVTuber市場が成熟しつつあり、従来のVTuber IPではカニバリが発生するということでしょうか?」というご質問です。
田角:VTAスーパーエリートライバーやVTAマスコットライバーだけが特殊なわけではありません。我々は各VTuberのプロデュースを企画する際に、「にじさんじ」の既存のファン層に加え、まだ「にじさんじ」を視聴したことがない、ファンとして参加したことがない層に対してもアプローチしていくことを考えています。
その取り組みの一環として、この11月からオーディションを開催しています。VTAスーパーエリートライバーと題して士業の方やそれに準ずるような方やマスコットキャラクターのデザインを用いて活動を行いたい方を募集しています。
質疑応答:フェス以外で第4四半期に期待する施策について
釣井:「フェス以外で特に第4四半期に期待している施策は、『ROF-MAO』のライブイベントという認識でよろしいでしょうか?」というご質問です。
「ROF-MAO」のライブイベントについてはもちろん大きく期待していますし、すでに開示しているものでは、「ChroNoiR」も第4四半期にライブイベントを予定しています。それ以外にも、まだ開示していないものも含めて、いくつか計画しているものがあるとご認識いただければと思います。
質疑応答:昨年の第3四半期のイベント売上について
釣井:「昨年の第3四半期のイベント売上には、第2四半期に開催した「にじさんじフェス」の売上が一部入っているという理解でよいでしょうか? コマース売上はどのようになっていますか?」というご質問です。
昨年の第3四半期のイベント売上について、「にじさんじフェス」の売上はほとんど入っていません。「にじさんじ歌謡祭」というオンラインで開催した別のイベントがあり、その売上が第3四半期に計上されています。
質疑応答:第4四半期の大型施策の売上・利益について
釣井:「第4四半期にも大型施策があるとのことですが、売上・利益ともに期待できるのでしょうか? それとも売上先行となりますでしょうか?」というご質問です。
先ほどお伝えしたイベント等が第4四半期に期待しているものです。我々としては、売上先行型という認識で手掛けているものは特にありません。売上を立てるからには利益も立てるという姿勢ですべての施策に取り組んでいます。
質疑応答:「にじさんじ歌謡祭」の開催予定について
釣井:「『にじさんじ歌謡祭』は今年も開催を予定していますか?」というご質問です。
今年は「にじさんじ歌謡祭」というイベントは予定していません。しかし昨年は開催していないもので、今年開催予定のイベントはあります。そのような意味では、イベントの有無により昨年と今年で大きく業績が下がるといった状況ではないと考えています。
質疑応答:イベント関連グッズの売上計上について
釣井:「イベントで発生するグッズ関連売上は、コマースセグメントに計上されるとの理解でよろしかったでしょうか?」というご質問です。
こちらはご認識のとおりです。