2023年9月期通期決算説明

小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社代表取締役社長の小椋です。当社グループの決算説明動画をご視聴くださり、ありがとうございます。

本日は、取締役副社長の天野より2023年9月期の通期業績などについてご説明した後、私から2024年9月期の業績見通しと成長戦略についてご説明します。どうぞよろしくお願いします。

連結業績サマリー (対前年同期⽐、12か⽉累計⽐較)

天野治夫氏:天野治夫です。2023年9月期の連結業績についてご説明します。連結業績サマリーはスライドのとおりです。売上高は通期業績予想に即した着地となりました。

一方で、各段階利益は通期業績予想に対して、それぞれ上振れての着地となりました。詳細については、次のスライド以降でご説明します。

売上⾼の推移

連結売上高の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高についてはすべてリカーリングの性質の売上高であり、これまでと変わらず四半期ごとに増加する傾向となっており、順調に推移しています。

売上⾼ (対前年同期⽐、12か⽉累計⽐較)

連結売上高の前年同期比は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、前年同期比で順調に推移しました。

売上総利益の推移

売上総利益および売上総利益率の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。

売上総利益 (対前年同期⽐、12か⽉累計⽐較)

売上総利益および売上総利益率の前年同期比は、スライドのとおりです。

開発人員の増加や為替変動などによるHENNGE Oneのインフラコスト増の影響などにより、売上総利益率が若干減少しましたが、引き続き高い水準を維持しています。

営業費⽤の構造 (対前年同期⽐、12か⽉累計⽐較)

営業費用の構造の前年同期比は、スライドのとおりです。

売上原価は、開発人員の増加や、為替変動の影響等によるHENNGE Oneのインフラコスト増加等の影響により増加しました。

人件費等は、主に人員増に加え、2022年7月より給与にかかる社内制度の見直しを実施し給与水準を引き上げたこと等に伴い、前年同期比で増加しました。

広告宣伝費は、大手企業、販売パートナー、新規顧客、既存顧客等をターゲットにした「HENNGE NOW!」を始めとした多様なイベント・セミナーを実施しましたが、前期とは手法が異なったことから、前年同期比で微減しました。

その他販管費は、積極的な採用活動の実施や、人員増に伴う社内システムの利用料の増加等により、前年同期比で増加しました。

営業費⽤の構造 (対前四半期⽐)

営業費用の構造は、前四半期比ではスライドに記載のようになりました。人件費等は、人員の増強が進んだことや、2023年4月の営業職手当の導入等の結果、前四半期比で増加しました。

広告宣伝費は、当四半期においても多様なイベントやセミナーへの出展や登壇をするとともに、交通広告等を積極的に実施した結果、前四半期比で増加しました。その他販管費は、主に積極的な採用活動を実施したことや、オフライン活動の増加に伴う交通費の増加等により、前四半期比で増加しました。

売上⾼と営業費⽤の推移

売上高と営業費用の四半期での推移は、スライドのとおりです。

従業員(アルバイトを含まず)の構成

当期末時点での従業員の構成と人数は、スライドのとおりです。

従業員(アルバイトを含まず)の推移と構成

従業員数の過年度からの推移は、スライドのとおりです。当期は通期目標45名以上のところ、全社で前期末比40名の純増となりました。特に、重点項目としていたIT営業経験者の採用が、概ね順調に推移しました。

キャッシュ‧フローの状況 (対前年同期⽐、12か⽉累計⽐較)

キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは、HENNGE Oneの契約実績の増加等により、前年同期比で大幅に増加しました。

その他は、スライドに記載のとおりです。なお、現預金残高は前年同期比で堅調に伸びています。

事業トピックス

事業の進捗についてご説明します。事業トピックスはスライドのとおりです。当社は、従前より、当社グループの事業とシナジーがあり、独自の要素や技術を有しているBtoBスタートアップ企業に対して投資を実施してきました。

このたび、新しい試みとして、投資先であるクラウドワークフロー「kickflow」を提供する株式会社kickflowに対し、業務提携を前提として追加出資しました。

「kickfiow」はHENNGE Oneと同じく、企業の情報システム部門向けのサービスである点で、事業シナジーがあると考えています。両者の強みを活かすことにより、幅広い分野でさらなる企業の生産性向上を促進できると考えています。

その他の事業トピックスについては、次のスライド以降でご説明します。

第4四半期の広告宣伝活動について

当四半期は、スライドに記載しているような広告宣伝活動を実施しました。昨年に引き続き、2023年7月に開催された「JAPAN IT Week【名古屋】」に出展しました。

また、2023年9月には「ウルトラマン」をイメージキャラクターとした広告を羽田空港に掲載するなど、交通広告等を展開しました。ご紹介した活動以外にも、来期以降のARR成長に資する多層的な広告宣伝活動を実施しました。

HENNGE One価格改定について

HENNGE Oneの一部プランについて2024年4月から価格改定することを、2023年8月に発表しました。今後もHENNGE Oneのさらなる機能充実を図り、企業におけるクラウド化の流れを一層促進していきます。

HENNGE One KPIのハイライト (対前期末⽐、12か⽉進捗)

KPIの進捗についてご説明します。前期末からのHENNGE Oneの各KPIの進捗は、スライドのとおりです。

HENNGE One KPI (対前年同期末⽐)

HENNGE OneのKPIの前年同期末比は、スライドのとおりです。

HENNGE One平均⽉次解約率の推移

HENNGE Oneの平均月次解約率は、スライドのとおりの結果となりました。当第1四半期以降、企業の統廃合やクラウド移行の戦略自体の見直しなどの従来の解約理由に加え、既存顧客の契約更新時における社内利用サービスの見直しをきっかけとする解約が若干発生しました。

なお、現時点では引き続き、平均月次解約率は非常に低い水準を維持していると考えており、理論上の平均契約年数は約30年となっています。

HENNGE One契約企業数と契約ユーザ数の推移

HENNGE Oneの契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。

引き続き、営業体制の強化に課題が残っていますが、ここ数年の流れとして、販売パートナーとの連携強化が進んだことにより、比較的中小規模の契約を安定して獲得しています。その結果、新規契約企業数は前四半期に引き続き、順調に増加しました。

一方で、契約ユーザ数は前四半期と比較して減少しました。この点については特殊な要因があるため、後ほど詳しくご説明します。

HENNGE One ARRとARPUの推移

HENNGE OneのARRとARPUの四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。当四半期のARPUは大幅に上昇しました。

2021年10月以降、新規顧客に対しては新プランで販売していること、既存顧客の新プランへの移行が順調に進んだことなどに加え、特殊な要因が発生したことが要因です。この点については、契約ユーザ数の減少理由と同様に、後ほど詳しくご説明します。

また、当四半期のARRは、契約企業数とARPUが順調に推移したことから、大幅な増加での着地となりました。

ARPU上昇要因の1つである、既存顧客の新プラン移行の進捗状況について補足します。前四半期末時点で、約8割の移行が完了したとご説明していましたが、当四半期末時点で、おおよそすべてのお客さまの移行が完了しました。

HENNGE One契約ユーザ数の減少について

ここまでご説明したとおり、契約企業数、ARRともに順調に推移した一方で、ARPUが通常よりも上昇し、ユーザ数は四半期で減少しています。この要因は、従前よりサービスを利用している教育機関のお客さまのプラン変更によるものです。

従来の契約プランを、その後にリリースされた「HENNGE One for Education」に変更したことで、適用される単価と課金対象となるユーザが変更となりました。その結果、契約ユーザ数が約9万ユーザから約3,000ユーザまで減少し、全体のARPUとユーザ数に影響を与えています。

本件は非常に特殊なケースだと認識しています。なお、新規顧客獲得は順調に推移しています。

2024年9⽉期の⽅針

小椋:2024年9月期の通期業績見通しについてご説明します。2024年9月期の方針は、HENNGE Oneの中期的なARR成長の加速を目指すべく、新機能・新サービスを継続的に創出し、顧客へ展開するとともに、人材獲得力の向上による体制強化を図る、としています。

HENNGE One事業については、契約企業数とARPUの向上によって、ARRの年間20パーセント以上の持続的成長を目指します。

マーケティング活動については、年々高まるセキュリティに対する需要を捉えるべく、販売パートナーとの共同イベントなど、さまざまな広告宣伝活動を実施していきます。また、HENNGEの認知度向上のための各種イベントも実施していきます。

人員計画については、今後のさらなる成長のための全方位的な採用を行い、全社で50名超の純増を目指します。また、より高い付加価値を生み出すことのできる体制を意識した採用も推進します。昨年度に引き続き、人材獲得力の向上に資するような各種施策も検討していきます。

連結業績見通し (通期)

連結業績見通しについては、スライドのとおりです。売上高は、来期も前期比20パーセント以上での成長を目指します。また、営業利益や当期純利益は増益を見込んでいます。

売上高の推移 (通期)

事業別の売上高の実績および2024年9月期の見通しは、スライドのとおりです。

営業費用(原価+販管費)の推移 (通期)

広告宣伝費と、広告費を除いた営業費用の実績および2024年9月期の見通しは、スライドのとおりです。

経営理念

当社の成長戦略についてご説明します。HENNGEの経営理念は、テクノロジーの解放です。私たちはテクノロジーが大好きで、テクノロジーが世の中をよくしていくと強く信じています。この力をできるだけたくさんのお客さまに届けることにより、世の中を少しでもよい方向に動かしたいというのが私たちの思いです。

HENNGEは創業以来25年以上、このテクノロジーの解放を理念として掲げており、さまざまな分野と方法でテクノロジーを解放してきました。その結果、SaaSはテクノロジー解放のための最もフェアで洗練された効率的な手段であるという考えに至っています。

そのため、私たち自身もSaaSを提供していますし、お客さまのSaaS活用を通した変革を応援していきたいと考えています。

LTV最大化

このようなテクノロジーの解放を通して、私たちがお客さまに届けているテクノロジーの総量、私たちの理念の実現の証左となるのが、LTV(ライフタイムバリュー)、すなわち私たちが保有している契約の総価値です。

私たちの成長戦略は、このLTVの最大化を目指しています。LTVの最大化、つまり将来に渡って得られる累計売上総利益額の最大化を追求することで、私たちは、さらなる事業成長のための投資を増額しても、安定的に利益を増やすことのできるモデルを、より堅固なものにしていきたいと考えています。

現在、平均契約年数(Y)と売上総利益率(r)は、すでに高い水準にあります。したがって、LTVの最大化にはARRの最大化が必要である状況です。そのため、私たちは投資対効果の高い活動を積極的に行い、ARRを積み増すことに注力します。

ARR最大化

ARRは3つの要素に分解できると考えています。契約企業数のN、平均ユーザ数のn、ユーザあたり単価のARPUです。

成⻑戦略の進捗 (HENNGE One)

HENNGE Oneにおける3つのKPIの実際の推移は、スライドの表のとおりです。

HENNGE Oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルです。当期中に獲得した契約は、解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上の基盤となります。

スライドのとおり、HENNGE OneのARRは、順調かつ安定的に積み上がってきています。ARRの安定的な成長が見られる一方で、分母の拡大による成長率の鈍化が課題となっていましたが、2020年以降、COVID-19によって企業の行動様式が大きく変化しており、今後、SaaSやクラウドの利用が拡大していくと確信しています。

この機会を捉えるべく、ARRの成長率の変曲点を作るための3ステップを実施してきました。2023年9月期は、まさにこの3ステップ最後の年となりましたので、ここで全体を振り返りつつ、当期の所感と今後の課題についてお伝えします。

1ステップ目として、2021年9月期に、全国のディシジョンメーカーや販売パートナーなど、幅広い層にHENNGEの認知向上を促すマーケティング活動を実施しました。また、新機能を搭載した新プランを発表しました。

2ステップ目として、2022年9月期に、主に新規顧客向けにこの新プランを展開しました。人員不足の状況が続いたことなどが影響し、ARR成長率は20パーセントに若干届かなかったものの、新規顧客のみならず一部の既存顧客にも、当初計画に先立って新プランを導入していただくことができ、契約企業数、ARPUともに堅調に増加させることができました。

3ステップ目である2023年9月期は、この新プランを既存顧客にも展開し、当期末時点で、ほぼすべての既存顧客への新プラン移行が完了しました。

販売パートナーとの連携強化と併せて、契約企業数、ARPUともに大きく増加させることができ、ARR成長率は20パーセントを超えました。また、ここ数四半期の契約企業数の伸びからもわかるように、マーケットの裾野が広がっていると実感しています。

この機会を確実に捉えるべく、当期は新規顧客獲得体制強化のため、特にIT営業経験者を重点的に採用し、概ね順調に進捗しました。

今後も新規顧客獲得体制を強化しつつ、お客さまに提供できる価値を増やし続けていく方針です。同時に、その価値をお客さまにしっかりとお伝えし、理解していただく活動を通して、契約企業数、ARPUを伸ばし、中期的なARR成長を加速させたいと考えています。

お客様の変革を応援するHENNGE Oneファミリー

HENNGE Oneは、特に2021年10月以降、パワフルな新機能を追加し続けることで価値向上を実現しています。2022年11月からは、新サービス「tadrill」の提供も開始しました。また、現在進行中の「File DLP」開発や、業務資本提携を行ったkickflow社との連携など、新しい取り組みも続けています。

今後も、お客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化するために、HENNGE Oneの新機能のみならず、お客さまのSaaS活用分野で必要となる機能を追加し、SaaS活用によるお客さまの生産性向上を強力にバックアップしていきます。

HENNGE One ARRの成⻑戦略

ご説明してきた活動を通して、CAGR(年平均成長率)が20パーセント台中盤となる中期的なARR成長を実現します。まずは、HENNGE OneのARR100億円以上の水準を目指します。

これからも、認知度や接触可能な潜在顧客の数を向上させつつ、営業体制や販売パートナーとの連携強化や、新機能の開発とリリースを行い、HENNGE Oneの付加価値を上げていきます。私たちはこのサイクルを継続的に行うことで、その先も成長を続けていけるようなモデルを確立したいと考えています。

以上、駆け足でしたが、当社の2023年9月期通期決算についてご説明しました。本日はお忙しい中、当社の決算説明動画をご視聴くださいまして、誠にありがとうございました。

質疑応答:2023年9月期の各種新施策について

司会者:みなさまからのご質問の前に小椋さん、1点お願いします。来期以降のHENNGEの成長のために、2023年9月期も、さまざまな試みを実施しています。こちらについて、あらためてコメントをいただけますか?

小椋:私は以前から、契約企業数(N)とARPUの両方に作用する施策を行い、ARRの成長を加速させていきたいと、繰り返しお伝えしてきました。当期はその2つに作用するような施策ができたと思っています。

販売パートナーとの協業を推進することによって、より多くのお客さまにアプローチすることができるようになり、裾野も広がったと思います。

平均ユーザ数(n)が小さくなっているとも捉えられますが、本当にいろいろな種類、段階のお客さまが、クラウドを本格的に使い始める状況になっています。大きなお客さまから小さなお客さままで、さまざまな段階のお客さまがクラウドに移行し始めているという意味では、非常におもしろい時期になってきたと思います。

また、新機能についての施策もあります。ARPUの向上という意味で言えば、お客さまに対して提供できる価値を増やし、ARPUを高めていくことを目標にしてきました。当期は新機能・新製品をリリースし、お客さまにお届けすることにより、お客さまのバリューを高め、私たちもARPUを上げていく、よいサイクルを回し始めることができたと思っています。

新サービス「tadrill」も投入できましたし、「HENNGE Secure Download」や「HENNGE Access Control」など、お客さまに評価をいただいているHENNGE Oneの新機能を投入することで、より高付加価値のサービスをお届けすることができています。

来期以降も、このかたちをさらに発展させ、成長を加速できるような型を作っていく方針です。まずは、ARR100億円の達成をマイルストーンとしています。一通りの型を作り、その後の成長に活かせるような型を確立していければよいと思っています。

質疑応答:価格改定の効果について

質問者:価格改定の効果についてです。新プランへの移行は、前四半期末時点で8割程度だと聞きましたが、第4四半期が終わり、移行は完了したという認識でよいでしょうか?

また、18ページ目に、2024年4月以降のHENNGE Oneのライセンス体系一部改定予定とあり、セットプランが記載されています。新プランへの移行が完了し、来年の4月からセットプランが出てくることにより、ARPUの上昇効果がどのくらい考えられるのかという、トップラインについて教えてください。

小林遼氏(以下、小林):1つ目の、当期に実行した価格改定の効果に関するご質問について、前四半期末で8割程度の進捗でしたが、年度末である9月末においては、ほぼ100パーセントのお客さまの移行が完了しています。始まって2年ほどかかったプロジェクトでしたが、着地を見るとそれなりにスムーズに進み、それが当社のKPIや売上高にも表れているのではないかと評価しています。

2つ目の、2024年4月からの価格改定については、細かい数字を開示しておりませんが、売上高にインパクトを与えるのは2024年9月期下期からになります。時間の経過とともに売上高に計上されますので、徐々に影響が出てくるとご想像いただければと思います。

質疑応答:営業費用見通しの内訳について

質問者:コストについてお聞きします。今回、資料の30ページ目に広告宣伝費を除いた営業費用の予算が出ています。この中身について、細かい開示はないと思いますが、どこを中心に伸ばしていく計画でしょうか? 人件費はいつもどおりだと思いますが、その他、例えばM&A費用をバッファとして見込んでいるのかなど、費用の内訳について教えてください。

小林:2024年9月期のコストの中身ですが、私たちは、今後の成長を促進するために人を集めていかなければならない段階にあるため、よりよい人材を集めるために、リクルーティング活動に投資したり、入社する従業員に対して給料を支払ったりするところで、人件費の増加は想定されると思います。

それに関連して、私たちの場合はSaaSを多く活用して業務を進めているため、社内でのシステム利用料が増えていくことがあると思っています。

また2023年度と比べると、よりフィジカルなイベントや活動が増えると想定されるため、人が動くところにもコストがかかると思っています。

M&Aの費用については、何もお答えできないということで、ご了承ください。

質疑応答:HENNGE One価格改定による業績への効果について

質問者:HENNGE Oneの価格改定を行うことによる業績予想への織り込み方について教えてください。2023年9月期も新プランへの移行でARPUが上がりましたが、今回もそれに近いイメージなのか、それとももう少し保守的に見ているのか、どのような見方をしているのでしょうか?

小林:2024年4月からの価格改定に関しては、先ほども少し触れましたが、各種KPIの予想値を開示していません。

前回の価格改定と同じように、お客さまありきの話になりますが、もちろん、インパクト自体は2024年9月期の予算、特にHENNGE Oneのトップラインの77億円に含まれています。いろいろチャレンジングなところがあるため、期を追いながら実績でご説明できればと思います。

質問者:基本的には、2024年4月以降に少しずつARPUが上がっていく想定で、予算を作っているということでしょうか?

小林:そのとおりです。2024年4月以降、契約更新を迎える方に適用されていくため、契約更新のたびに単価が上がっていく想定で予算を作っています。

質疑応答:2024年9月期の価格改定後の解約率について

質問者:2023年9月期も新プランで値上げしたお客さまがいると思います。2024年9月期の下期からも少し価格改定を行うとのことですが、解約率の前提について教えてください。

2023年9月期の新プラン移行時のような解約率を見込んでいるのか、それとも、2年連続の値上げになるため、少し高めで見込んでいるのでしょうか?

小林:すべてのプランで価格改定されるわけではありません。前回は、ほとんどのお客様を対象に進めていたものが、今回は一部のお客さまになるという状況です。

質問者:そのような意味では、全顧客が対象ではないため、解約についてはそれほど懸念していないということでしょうか?

小椋:現時点で、解約率がドラスティックに上がる理由があるかというと、そこまでは見ていません。もちろんシミュレーションの中では、解約されるお客さまもいる前提で、予算を見込んでいます。

質疑応答:新サービスの業績予想への織り込み方について

質問者:新サービスの2024年9月期の業績への織り込み方について教えてください。「tadrill」等の新しいサービスを提供していますが、計画では、そちらは純粋なアップサイドという想定でしょうか、それとも一定の売上貢献予想を織り込んでいるのでしょうか?

小林:「tadrill」等々、新サービスについても、すべてではないものの、予算の中に含まれています。

小椋氏からのご挨拶

小椋:本日はお忙しい中、ありがとうございます。私たちは、SaaSはこれからだと言い続けていますが、本当にまだこれからだと思っています。

ただし、本日ご説明した期においては、ようやく幅広いお客さまがSaaSを利用する環境になってきました。一方で、SaaSをすでに活用されているお客さまの中には、より複雑なユースケースを実現するようなお客さまも出てきており、SaaSの盛り上がりが非常に見えてきた期だと思っています。

私たちも、変わらず成長していけるだけの大きな市場がいよいよ見えてきたと思っています。まずはとにかくARR100億円を超えるために、価格改定をするなど、いろいろ試行錯誤しながら型を作っている状況です。

お客さまに対して、どのようなバリューを出すと喜ばれるのか、価格改定によりどのくらいの解約が見込まれるのかなど、学習しながら型を作っているため、まずはARR100億円到達までに成長のための型作りをし、そこからさらなる成長を図っていきたいと考えています。

引き続き、お客さまと対話し、お客さまに対してSaaS活用のためのバリューをより多く届けるために、社員一同、一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ応援いただければと思います。