コロナ禍の影響も収束し、市場も回復。

久世真也氏:みなさま、こんにちは。株式会社久世、代表取締役社長の久世です。平素は格別なご支援を賜り、誠にありがとうございます。本日は、2024年3月期第2四半期の決算についてご説明します。

当第2四半期は、コロナ禍で進めてきた損益分岐点の低減に加え、市場が大きく回復したことで大幅な増収増益となりました。

外部環境については、新型コロナウイルスの5類移行に伴い、市況は全面的に回復しました。しかし、市場全体における人手不足が顕著となり、人件費は上昇傾向にあります。また、円安や世界情勢の変化により物価の高騰が進んでおり、原材料価格などのコストの上昇が続いています。

さらには、昨今報道などでも伝えられている2024年問題として、物流環境の改善・見直しが急務となっており、ドライバー不足や庫内業務の人手不足が顕著となっております。

このような環境の中、業績のポイントとして、当社がコロナ禍で推進してきた損益分岐点の低減、首都圏での企業イベントや接待などの法人需要の回復、また、ホテル・空港などの観光需要の大幅な回復が挙げられます。

お客さまは人手不足、価値の向上、収益の向上といった3つの課題を抱えています。当社はお客さまの課題解決につながる商品提案に尽力するため、価値ある素材や酒類飲料の提案なども行ってきました。また、従来推進してきた海外輸出についても、北米を中心に伸長しています。

連結決算概要

連結決算の概要です。スライドに記載のとおり、売上高は315億4,600万円、売上総利益は70億6,500万円、販管費及び一般管理費は61億5,800万円でした。営業利益は9億700万円、経常利益は9億3,300万円、親会社に帰属する四半期純利益は12億3,900万円となりました。

売上高は、先ほどお伝えしたとおり、宴会や接待などの法人需要、ホテル・空港などを含めたインバウンド需要の増加等による市場回復を背景に、前年同期比20.4パーセントの増加となりました。また、お客さまのニーズに合った提案と高付加価値商品の販売を強化しつつ、コスト管理を継続し、さらに一部予定していた修繕や投資を順延したことにより、営業利益は9億700万円となりました。

売上高の増減要因(前期比)

売上高の増減要因についてご説明します。まず、市場の回復や仕入原価の高騰などにより43億5,200万円、そして、営業施策としてグループ各社で進めてきた新規開拓や輸出の伸長、プラスオン戦略の推進などにより、15億5,400万円の売上を積み増すことができました。一方で、既存顧客の閉店等により、5億5,200万円を喪失しました。

以上の結果、連結売上高は前期比53億5,400万円、120.4パーセント増の315億4,600万円となりました。

営業利益の増減要因(前期比)

営業利益の増減要因についてご説明します。売上回復に伴い、売上総利益11億7,200万円を獲得しました。そして、高付加価値商品をはじめとする重点販売商品の販売促進等による粗利率の改善で、1億5,900万円の増益となりました。

一方で、物流費・人件費・その他経費を合計した販売管理費が約5億円増加しました。また、予定していた修繕や投資の一部を順延したことにより、営業利益は前期比8億4,800万円増の9億700万円となりました。

四半期別 売上・営業利益の推移

四半期ごとの売上・営業利益の推移についてご説明します。売上高は、コロナ前に該当する2020年3月期の第1四半期、第2四半期と比較して、95パーセント程度まで回復しています。コロナ禍においてもさまざまな施策を行った結果、営業利益はコロナ前と比べて大幅に増加しました。引き続き、損益管理を強化・維持して改善を図るとともに、お客さまの課題解決につながる商品提案に努め、必要な成長投資を推進していきます。

連結貸借対照表

連結貸借対照表は、スライドに記載したとおりです。当期純利益が順調に積み上がり、純資産は58億9,000万円となりました。自己資本比率は前期末の21.4パーセントから今期は24.0パーセントと、2.6ポイント回復しました。

有利子負債は、約4億5,000万円圧縮しました。また、従前より締結しているコミットメントライン契約30億円は未使用のまま維持し、緊急時の資金調達余力も確保しています。

連結キャッシュフロー計算書

連結キャッシュフロー計算書についてです。営業活動により31億7,800万円の増加、投資活動により7億200万円の減少、財務活動は借入金の返済を進め、5億3,600万円の減少となりました。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は61億8,900万円となっています。

2024年3月期連結業績予想

今期の連結業績予想についてです。売上高650億円、営業利益17億円、経常利益17億3,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は17億4,000万円を予想しています。

第2四半期の夏季休暇シーズンも、売上高・利益とも引き続き好調に推移しました。そのため、8月14日に公表した予想値を、実績値に基づき上方修正しました。なお、下期については、当第2四半期より繰り延べた今後の成長のために必要な修繕や投資を順次実行していく予定です。

久世の役割

100周年に向けた今後の方向性についてご説明します。まず、当社グループの事業ミッションは、「頼れる食のパートナー」です。食は最も身近なエンターテインメントとして、単に生命を維持するだけではなく、食を通じて楽しく、そして豊かなコミュニケーションが行われる場所が多くあることは、社会において大変重要なことだと考えています。

また、当社が従事する食産業は、そのようなコミュニケーションの機会を創造している産業でもあります。今後、より身近なぜいたくが求められる時代において、価値ある「多様な食材」を「効率良く」提供するという私たちの役割を果たしながら、お客さまに少しでも多くの、楽しく豊かな食のシーンを提供できる機会を増やしていきたいと考えています。

その上で事業として、パートナーやステークホルダーのみなさまに必要とされる企業となり、一層成長できるよう、パッションとオペレーションによって今後も尽力していきます。ご指導のほど、よろしくお願いします。

100周年に向けた長期ビジョン

みなさまの支援のおかげで、当社は来年90周年を迎えます。そして、その10年後には100周年となる予定です。現在、長期経営のテーマとして「持続可能で質的な成長」を掲げています。お客さまにとって価値がある商品の提供と、利便性の高いサービスの向上・維持を実施し続けるため、これからの大きな環境変化に対応し、日々、基本を大切にしながら、新たな成長を図っていきたいと考えています。

また、今後も事業ミッションを果たすために尽力し、ステークホルダーのみなさまに必要とされる企業へ成長していきます。

なお、中期的な目標数値については、今期よりスタートした中期経営計画の第1フェーズの最終年度にあたる、2026年3月期に売上高660億円、営業利益13億円を目標としていました。しかしながら、営業利益ベースで今期にこの目標を上回る見込みとなったため、現在、数値目標の見直しを進めています。この数値目標については、あらためて公表します。

100周年に向けた長期ビジョン

今期が初年度となる中期経営計画の第1フェーズは、成長への再スタートをテーマに、事業基盤の再構築を図っています。

第1フェーズの取り組み

第1フェーズの取り組みについてです。まず、3つの基本戦略として関東集中・機能強化・プラスオンを推進し、フードサービス・観光レジャー・中食惣菜市場を強化していきたいと考えています。そして、今後の成長に不可欠な人財・物流・情報システムへの積極的な投資を図り、未来を創る5つの施策として、EC事業・DX化の推進・商品開発・海外事業・グループシナジーを推進しています。

3つの基本戦略

それぞれの施策の取り組み状況についてです。まずは3つの基本戦略を詳しくご説明します。

1つ目は関東集中です。当社が創業以来、事業基盤としてきた関東圏は、国内の外食市場の約40パーセントを占めるといわれる、大きな経済圏になっています。この関東において、地域密着化を進め、お客さまとのつながりを強化するとともに、きめの細かい配送体制を構築したいと考えています。

さらに、社内においてもコミュニケーションを活性化させ、一体感のある組織風土の醸成に努めていきます。そのような土台の上で、後ほどお話しする3つの市場のお客さまにとって価値のある商品、あるいは品揃えを強化していきます。

当第2四半期までの取り組みとしては、中京地区において10年来、業務提携を締結しているサカツコーポレーションとの提携内容を進化させ、名古屋を中心とする中京地区の商圏を同社に譲渡しました。中京地区における食と酒類・飲料の連携を深めるとともに、関東のマーケットで狭く深くきめの細かいサービスの向上に努めていきます。

2つ目は機能強化です。当社の強みである低温物流を軸に展開しているプラットフォーム事業部では、ECの物流受託事業として、冷凍食品通販の需要の増加を取り込むとともに、運び方の多様化にも取り組んでいます。また、お客さまの利便性の向上を目的に、スマートフォンを中心とした双方向コミュニケーション型受発注システム「KUZEX」の推進に取り組んでいます。

当第2四半期までの取り組みとしては、引き続き「KUZEX」を推進していますが、利用されたお客さまには利便性の高さを実感していただいており、受注構成比も高まってきています。また、EC事業では、物流受託における取り扱い荷量やECプラットフォーマーへの食材販売額が堅調に推移しています。

3つ目はプラスオン戦略です。低温度帯のインフラを活用し、価値の向上、収益の向上、人手不足といったお客さまが抱える課題に貢献できるよう、価値ある素材や酒類・飲料、そしてJFSA商品の提案を進めていきます。

当第2四半期までの取り組みとしては、組織横断的なインサイドセールス部門であるセールスバイヤー部を中心に、これまで進めてきた高付加価値商品の販売が伸長しています。それに加え、酒類・飲料推進販売部による飲料の取り扱いアイテムが増えたことにより、販売先・販売金額ともに増加しています。

さらに、グループ会社である久世フレッシュ・ワンとの共同営業や共同配送を進めるなど、グループシナジーを含めた施策を推進しています。

強化する市場

今後強化する市場のフードサービス、観光レジャー、中食惣菜についてご説明します。まず、フードサービスについては、当社が従来から取り組んできた主力の業態であり、今後も強化していく市場です。洋食・イタリアン・和食のメニューを軸に、価値ある商品と品揃えをより一層強化し、同時にお客さまの課題解決につながる提案を図っていきます。

観光レジャーについては、観光立国を推進する日本における重要産業と捉えています。ホテルや空港、スポーツ施設や温浴施設、観光名所や公共観光施設など、お客さまの課題解決につながる観光施設型の商品・情報の提供に努めていきます。

中食惣菜については、惣菜専門店やテイクアウト型のお客さま、事業所給食や学生食堂、セントラルキッチンやベンダーのお客さまとの取引を強化し、今後さらに進展する食の外部化に対応していきます。

これら3つの市場を強化することで、相互のノウハウを蓄積するとともに、お客さまのつながりと関係性を強化していきます。同時に、当社の事業ポートフォリオのバランス化を図り、事業基盤の強化に努めていきます。

投資戦略

投資戦略です。当社が成長を図る上で重要な人財・物流・情報システムへの投資を行っていきます。人財への投資では、これまでコロナ禍により実施できていなかった教育投資などを推進していきます。同時に、業務改革プロジェクトを推進しており、その一環として、環境改善に必要な投資を行うなど、社員のエンゲージメント向上に努めていきます。

物流面では、コロナ禍により縮小したセンターのキャパシティなども考慮し、インフラ整備を進めるとともに、新たなセンターへの投資の検討を進めていきます。またDX化の一環として、動態管理システムや庫内業務管理システムなど、効率化・自動化・可視化に向けた機能強化への積極的な投資も進めていきます。

情報システムでは、お客さまの利便性・生産性の向上を目的に、次世代のシステムのあり方を視野にDX化を進めるとともに、既存システムの現状把握と将来像のプランニングの推進を計画しています。今後、事業を運営する上で必要不可欠な情報システムは、維持のハードルが高くなると感じており、現在のオペレーションとシステムが合致できるよう環境整備を進めていきます。

未来を創る5つの施策

これらの基本戦略・市場戦略・投資戦略を勘案しつつ、未来を創る施策として、次の5つを推進していきます。まずはEC事業です。EC事業は「ECで売る、ECに売る」をテーマに、2つの軸で専門部隊であるプラットフォーム事業部を中心に取り組みを進めています。

EC事業の1つ目は、EC販売を行うお客さまの物流受託事業です。冷凍食品の通販ニーズの高まりとともに、当社の特徴である低温インフラを活用した物流受託を進めており、新規のお客さまは堅調に推移しています。お客さまの課題解決に貢献するとともに、2024年問題を視野に、運び方の多様化を進めています。

EC事業の2つ目は、ECでの食材供給です。豊富な業務用食材へのアクセスができるネットワークを活用したECプラットフォーマーへの食材供給を強化し、既存チャネルとともに、ECチャネルへの成長も図っていきます。

次に、DX化の推進です。先ほどもご説明したとおり、お客さまの利便性の向上を目的に、双方向型のコミュニケーションサービスである「KUZEX」を構築し、日々ご利用いただいているお客さまのお問い合わせに対して、スピーディかつ正確にレスポンスできる均一化されたオペレーションをブラッシュアップしています。今後は、より一層お客さまの利便性と生産性の向上に取り組んでいきます。

同時に、RPAやSaaSのシステム活用を含め、あらゆる業務の効率化・可視化・仕組み化を進め、誰もが継続できる環境整備を、費用対効果を勘案しつつ整えていきます。

私たちの強みの1つでもある商品開発については、加盟するJFSA商品の販売促進、久世及びグループ会社でのPB商品の新規開発を進めています。今後はコロナ禍で停止していた自社PBの開発も再開させ、お客さまの課題解決につながる価値ある商品の開発に取り組んでいきます。また、素材の強化等、輸出も含めた国内外への販売を視野に、産地開拓も進めていきます。

海外事業は、輸出事業として現地卸との連携を図り、アジア各国に加え、北米などにも輸出を拡大しています。残念ながら処理水問題により、香港等、中国向けの輸出に多少影響が出ていますが、北米等の輸出は伸長しており、輸出全体では堅調に増加しています。

最後にグループシナジーです。久世グループには、食材卸売事業、食品製造事業、生鮮卸売事業、海外事業を行うグループ会社があります。今期は久世フレッシュ・ワンが提供する野菜を、「KUZEX」を通して数千の地域密着型のお客さまに情報提供を行い、注文いただけるオペレーションを構築しました。

このような新しい情報提供の仕組みを通じ、グループの相乗効果で、お客さまにメリットのあるサービスを提供していきたいと考えています。

久世氏からのご挨拶

最後になりますが、コロナ禍を経て時代の変化は速度が早まり、これから予測不能な時代に突入していきます。しかしリモート社会の到来とされながらも、コロナ禍が明けた今、多くの人が街や行楽地へ出掛け、食を通じて人と人がコミュニケーションを図る機会が増えています。このような食を通じた楽しさ・豊かさは、社会の基礎であると感じています。

多様で価値ある食を、いかに便利に効率的に提供できるかが、私たちの事業ミッションです。今後もみなさまに当社へのご指導ご鞭撻を賜りたく、この場を借りてお願いいたします。

以上で、2024年3月期第2四半期の連結決算と取り組みについてのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。