2023年2月期 決算ハイライト

原口大輔氏:ジオコードの原口と申します。よろしくお願いします。いつも来ていただいている方、お初にお目にかかる方がいらっしゃると思います。本日は決算の結果と、一番重要な将来性についてご説明し、その後に会社概要や強みについてお話ししたいと思います。

それでは実績からご説明します。売上高は前年同期比マイナス2.3パーセントの15億1,900万円、営業利益は前年同期比マイナス49.8パーセントの9,700万円、経常利益は前年同期比マイナス39.1パーセントの1億1,900万円、当期純利益は前年同期比マイナス40パーセントの7,900万円となりました。

「収益認識に関する会計基準」等の適用について

このような決算となった要因がいくつかあります。まず、Web広告取引の会計基準が変更になりました。当社と同じようなWebマーケティングの会社では、いずれも同様の変更が行われています。

今まで、広告のお客さまからの入金額がそのまま売上計上されていました。その入金額のうち、お客さまと取り決めた20パーセントほどを手数料としていただくのがWeb広告のビジネスです。

事業の仕組み自体はまったく変わっていないのですが、お客さまからの入金額ではなく手数料としていただいた金額を売上計上する会計基準に変わりました。

投資家の中には「売上が半分になった」という見方をされる方がいらっしゃるかもしれませんが、実態としてはまったく変わらないということをお伝えしたいと思います。

2023年2月期 実績(業績予想との比較)

実は昨年までの会計基準ですと、売上高は35億2,000万円です。2022年2月期は34億5,300万円でしたので、会計基準が変わらなければ、売上高は増収になっていました。したがって売上高はそこまで落ちていませんが、新しい会計基準の予想比ではマイナス9.2パーセントとなりました。

営業利益は1億5,000万円という予想でしたが、9,700万円で着地しました。経常利益は1億6,000万円という予想でしたが、1億1,900万円で着地しています。利益規模がそれほど大きくないため、例えば人件費や外注費がかかったり、納品の時期が遅れたりすることによって大きくブレてしまいます。

当社には、SEO対策、Webサイト制作、Web広告を扱うWebマーケティング事業、クラウドセールステック事業がありますが、一番大きな要因は、SEO対策の売上高が前年同期比で8,200万円減少していることです。

SEO対策は、当社の中でも粗利率が高い事業です。粗利率が一番低い事業の売上が落ちてもあまり問題ありませんが、SEO対策の売上が落ちると会社全体のコストの計算も狂ってきてしまいます。

2つ目の要因は、ご迷惑とご心配をおかけしていますが、Webサイト制作で不正があったことです。Webサイト制作の受注自体は順調で、売上目標を達成していました。

Web広告は売上目標を達成していませんが、前年同期比7パーセントとなりました。クラウドセールステックも売上目標を達成していませんが、伸長しています。

不正事案の発生及び決算発表の遅延について

不正事案の発生および決算発表の遅延についてご説明します。Webサイト制作取引は、物がしっかり完成して納品してからお客さまに検収書をいただきますので、納品・検収後に初めて売上を立てるというスキームです。しかし、その検収書を偽造していたという事例が発生しました。

私や幹部が組織的に行っていたということはもちろんありませんし、Webサイト制作部門全体で恒常的に行われていたということでもありません。Webサイト制作は15年ほど行っていますが、そのような事例は一度も聞いたことがありません。調査結果としては、約1年半前に入社した従業員1名が恒常的に検収書を偽造していたということです。

決算発表が遅れた理由は、当社は2月決算のため4月14日に発表する予定でしたが、不正事案が発覚したのが3月31日だったためです。3月31日にはおおよその決算が完成していますので、発表に向けた準備を行っていました。しかし、その時点で売上の不適切な前倒し計上の可能性を認識したため、そこから会社全体や部署を調べました。最終的には特定のWebディレクター個人が担当しているものに絞り込んで過去に遡って調査しました。スライドには記載していませんが、結果として59件の不正事案が発覚しました。

受注は営業が獲得していますので、受注に関わったのは本人ではありません。実態のない案件を偽造したのではなく、完成していない納品物を完成したように偽造したということです。例えば「5月31日に検収書をもらいました」とした時に、そこからほどなくして実際に納品・検収しています。

また、お客さまによっては何度もご連絡しないと検収書が返ってこないこともあり、そのような連絡を面倒くさがって避けていたという事例もありました。納品・検収の翌月までに入金されるのが一般的ですが、先に「納品した」という体であげていた物が、それを過ぎても納品できていなかったため、発覚したという流れです。

不正事案による当社業績への影響額

結果として、決算をおおよそ締めていたところから、Webサイト制作については売上高でマイナス1,600万円、営業利益でマイナス1,200万円の差異がありました。業績予想が未達となった要因の1つではありますが、影響は限定的であったということになります。

また、調査委員会を立ち上げ、原因究明をしましたので、今後は社内体制をしっかり強化し、再発防止に向けて真摯に取り組んでいきたいと考えています。

2023年2月期 売上高(内訳)

事業別の売上高です。昨年の業績を新しい会計基準に直すと、スライドのとおりとなります。すべて合わせたほうがわかりやすいと思いますが、結果としては前年割れとなりました。

SEO対策とWebサイト制作を合わせてオーガニックマーケティングと呼んでいます。SEO対策は、前年は8億4,800万円だったところが7億6,600万円に減っています。目標ではこちらは増やすはずでした。

Webサイト制作は、不正事案の影響額を引いてもプラスとなり、Web広告も伸びています。「ネクストSFA」もプラス、「ネクストICカード」は微減となっています。

2023年2月期売上高の推移 ①SEO対策(直近2期比)

2023年2月期売上高の推移を事業別にご説明します。SEO対策は、四半期推移では2年間減り続けています。今展開しているサービス内容と、そのアプローチ先がやはりうまくマッチしていない結果だと思います。それが営業スタッフの減少や離職につながった部分もありますが、根本的な原因はサービス内容とアプローチ先であり、取引を継続させるためのサービスになっていないということです。

こちらの問題については、もちろん今回初めて対策を講じたわけではなく、以前からサービス改善に取り組んでいます。端的に言いますと、従来サービスでは月額固定のコンサルティング料金をいただき、契約を一定期間継続していただくのですが、やはり解約率をどこまで減らせるかが重要であり、現在はそのために労力と時間をかけなければいけない状況です。

今私たちが取引しているお客さまは、上場企業や、未上場でも名の通った企業も多くおられます。そのような会社にはだいたいマーケティングチームがあり、マーケティング担当者がいるのですが、私たちの提供するコンサルティング費用がお客さまの求めるサービス内容と見合わないことがあります。

そのため、現在は従来とは別のサービスの導入も始めています。お客さまによって、問い合わせ、見積もり依頼、資料請求など、さまざまなゴールがあるわけですが、例えば「問い合わせ1件につきいくら」「資料請求1件につきいくら」といったサービスも提供していきます。従来のサービスでは1社からの報酬は月額固定料金ですが、このサービスでは成功すると500万円、1,000万円といただける可能性もあります。

成果が出なければ料金は発生せず、成果が出ていればやめる理由がない訳です。そのため、このサービスがうまく軌道に乗れば、業績もまたかなり伸びてくるのではないかと思っています。

今年、来年の予算計画はまだ発表できていませんが、SEO対策単体としては現状維持で、これ以上下げないことが目標になると思います。ただし、仕掛けているものはあるため、うまくいけばかなり伸びてくる可能性もあります。

2023年2月期売上高の推移 ②Webサイト制作(直近2期比)

次にWebサイト制作です。こちらは月額ではないため、四半期ごとではこのようにばらつきが出ますが、累計では3年間伸び続けています。今期は売上計上で不正事案が発生したものの、Webサイト制作の受注は好調で、お客さまからのリピート依頼や紹介もどんどん増えています。あとは、広告やSEO対策のお客さまからのクロスセルもあります。

2023年2月期売上高の推移 ③Web広告(直近2期比)

Web広告も地味ながら伸び続け、毎年微増しています。世の中では広告市場が115パーセントの伸長と言われています。

3年後、5年後を見据えると、すべての事業を伸ばしていくというお答えになるのですが、今年の戦略としては、広告を伸ばそうと思っています。広告はこの十数年、特に手もかけずに伸びています。

一定の成果を出すことができれば、成果が出るためお客さまも予算を増やすといった、ある意味で完成している事業になります。実は地味に堅く、直近ではWeb広告に最優先で注力したことはありません。

先ほどお伝えしたように、SEO対策が伸び悩んでいます。Webサイト制作も好調ではあっても規模としてはそこまで大きくないため、やはりストックとして積み上げるものがなければ会社は伸びません。

そのため、まず今年はすでに完成しているWeb広告の営業スタッフを増やし、もちろんマーケティングも増やして、115パーセント、120パーセントと伸ばしたいと思っています。

2023年2月期売上高の推移 ④ネクストSFA(直近2期比)

「ネクストSFA」は、今後さらに注目される事業ではないかと思っています。規模は小さいものの、四半期ごとにおいても伸び続けています。

実は、「ネクストSFA」に関しては私自身も深く入り込んで、企画・開発段階から、営業方法、広告費のかけ方まで意見を出しました。お客さまへのサポートにもしっかり話し合って取り組んでいます。

毎月の売上は、まさにストックです。代理店開拓やエン・ジャパンとのパートナー連携など、さまざまな取り組みを進めて、さらに成長を加速させるための方法も検討しています。

「ネクストSFA」にいろいろな機能も付け、機能面ではライバル社にほとんど負けていません。むしろ勝っている部分もかなりあると思います。あとは売るだけですので、その販路をさらに増やしたいと考えています。

2023年2月期 売上高の推移 ⑤ネクストICカード(直近2期比)

こちらは10年前から提供している「ネクストICカード」という勤怠管理と交通費精算のツールの四半期推移です。グラフは右下がりで少々見栄えが悪いのですが、これで良かったのです。

一番多い時はこれだけで月額1,300万円くらいの売上がありました。顧客も450社くらいだったのですが、今でも200社以上にご利用いただいており、売上も月500万円から600万円くらいあります。

新型コロナウイルス感染症の流行前までは交通費精算が多かったのですが、コロナ禍で出社しなくなった際に売上が一気に減り、そこからは微減し続けているというかたちです。ただ、これもDX推進という機運の中で、地方の中小企業にも需要があるのではないかということで、ココペリという会社と提携しました。

ココペリには月額料金でいろいろなことができる中小企業向けのツールがあるのですが、ココペリは金融機関と組んでいるため、そのツールが全国の金融機関を通して7万社に導入されています。

そのツールとシステム連携して、当社の「ネクストICカード」を導入していただくかたちで進めているところです。

金融機関とココペリと当社で売上をシェアしているのですが、人手があまりかかりませんし、しかも長く利用していただけます。それゆえ金額は安価ですが、ある程度純増していくと、貴重な収益源になるのではないかと思っています。

会社概要:基本情報

それでは簡単に会社概要と事業内容をお伝えします。株式会社ジオコードは2005年2月に設立しました。したがって今19年目になります。社員数は117名ですが、業務委託や外注先などいろいろな協力会社がいます。業務委託だけでも人員は10名くらいいますので、あわせると130名から140名ほどになります。

事業の特徴:事業内容

事業内容はスライドのとおりで、「Webマーケティング&営業DXで、集客から、受注までの全てを一社完結」というテーマを掲げています。大きく分けて、Webマーケティング事業とクラウドセールステック事業の2つがありますが、2つはきちんとつながっています。

サービスとしてはSEO、Webサイト制作、Web広告、ネクストSFA、ネクストICカードの5つが挙げられます。

サービス相関図

「Webマーケティング&営業DXで、集客から、受注までの全てを一社完結」ということで、お客さまに合わせたSEOによる集客と、GoogleやYahoo!、SNSなどの広告による集客を行っています。同じような会社はたくさんありますが、他社と比べた強みが大きく3つあります。

1つ目に、未上場・上場を含めて同じような会社は本当に多くあるのですが、例えばSEOの会社はSEOの会社、広告の会社は広告代理店と、他社ではけっこう特化されています。また、スライドにはありませんが、Web制作において1からサイトを作ることは制作会社に外注しているところが多く、すべてできるところは意外とありません。Webサイトのメニューには載っていても、実際はその分野にあまり強くなかったり、外注だったりするということはよくある話です。

ご存知のとおり、当社の場合は、すべてできるところが1つの強みだと思います。当社には広告のサイト、SEOのサイト、Web制作のサイトがあります。それぞれに問い合わせが来るため、それらをアップセル、クロスセルしながら徐々に1社に深く入り込むようにしています。

事業概要:オーガニックマーケティング

2つ目に、当社は19年前にSEOの会社として始まった会社であり、SEOに特徴を持っています。一般の広告代理店と比べてSEOの割合が高いです。SEOと制作を合わせて10億円くらいあります。

同じようなSEOをメインで扱っている会社として、上場企業ではOrchestra Holdings子会社のデジタルアイデンティティやSpeee、CINC、AViCなどがあります。他にも未上場の会社がけっこうあります。SEO対策のコンサルしか扱わない会社が多いのですが、当社ではコンサルはもちろん、コンテンツの記事の作成、ページの制作やデザイン、最後のゴールのところまで担当します。

それゆえ私たちはSEOとは呼ばず、オーガニックマーケティングと呼んでいるのですが、そのような他社にできないことができるのは、Webサイト制作をもう10数年も行っているためです。

SEO会社として始まり、ずっとSEO会社として事業を行っているところでは、そもそもデザイナーやWebディレクター、フロントエンドエンジニアといったサイトを作るための人員を抱えておらず、ノウハウも持っていないと思います。

確かにコンサルだけで契約を取れるのであれば効率は良いですが、今はそのような時代ではないと思います。やはり手を動かすことで価値が上がると思っています。

SEOを主として作った会社でもあり、また2年連続で前年割れなどということは18年間で1度もなく、前年割れしたことさえありませんでした。したがって、抜本的に事業を変えていかなければならないと思っています。

サービス相関図

3つ目に、基本的に当社のお客さまには、いわゆるECサイトではなくサービスを提供している会社が多いです。ゴールが見積り依頼や資料請求になるため、一般の広告代理店が広告をかけてSEOを行い集客しても、Web上では売上が立つところまでいきません。

それに対して、当社では自社が持っている「ネクストSFA」という、受注までを一貫して支援するマーケティングオートメーションツールを提供しています。当社はただツールや広告だけを売るのでなく、入口から集客、受注まで手がけることを特徴としています。

説明は以上となります。