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上東洋次郎氏:社長の上東でございます。本日はご多用のところ、弊社の決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。本日は資料に基づき、2023年3月期通期業績概要、2023年3月期セグメント別業績概要、2024年3月期通期業績予想、利益還元、中期経営計画「JCM Global Vision 2032」の順でご説明いたします。
2023年3月期 通期業績概要
2023年3月期の通期業績についてのポイントです。当該年度の期初予想では、半導体などの電子部材の入手が困難な状況が、年間を通して継続すると考えていました。
一方で、ゲーミング市場は、米国のカジノで早くもコロナ禍前の活況を取り戻しました。また、国内外のコマーシャル市場は、非接触・非対面決済の普及拡大により、前期に引き続き需要が旺盛でした。国内遊技市場も、2022年11月よりスマート遊技機の市場導入が開始され、関連製品の需要が高まったことなどにより、顧客からの受注が当初想定よりも多く積み上がりました。
このような状況下で、生産部門を中心に半導体などの部材の確保に注力しました。製品の出荷に全力を傾注した結果、売上高は当初の想定を上回りましたが、入手困難な半導体などの電子部材は、通常よりも高価な市場流通品を使用したため、粗利率は2ポイントほどダウンし、営業利益はほぼ前期並みにとどまりました。
なお、本年度の配当金は、すでに行った発表の内容から変更はなく、1株につき期末配当が7円、年間で10円です。
2023年3月期 通期業績概要
2023年3月期の業績概要です。今年2月初旬の業績修正では、入手困難な部材において高価な市場流通品を使用したことによる原価のアップや、運送費の値上がりの影響により、営業減益を見込んでいましたが、想定よりも円滑に部材の確保ができました。
そのコストアップ分を製品価格へ反映した結果、一転して営業利益は増益確保となりました。経常利益以下の数値は次のスライドでご説明します。
2023年3月期 通期業績概要
営業外損益では、為替が円安に進行したことにより、外貨建て資産の換算差額として為替差益を5億2,100万円計上しました。特別利益では、旧本社不動産や遊休地の売却により、固定資産売却益を計上しました。その他では、前年度取り崩した海外子会社の繰延税金資産を再計上したことにより、最終利益で多額の利益を計上しました。
売上高増減要因(前年同期間比)
スライドは前年比の売上高の増減要因を示したものです。為替の変動を除けば、北米カジノなどに代表されるゲーミング市場向けの販売増が大きな要因となりました。
営業利益増減要因(前年比)
スライドは前年比の営業利益の増減要因を示したものです。マイナス要因としては、部材の仕入原価や輸送費アップ、人件費のアップなどが挙げられます。こちらには売上高の回復による人員の増加や、世界各地で進むインフレの影響による給与アップなども含まれています。
2023年3月期 セグメント別業績
スライドは、セグメント別の業績について2020年3月期から4期並列で示したものです。売上高に関しては、コロナ禍前の2020年3月期の水準まで戻すことができました。利益については、セグメントごとにかなりの変動があるため、次のスライド以降でご説明します。
2023年3月期 セグメント別実績 グローバルゲーミング
グローバルゲーミングセグメントについてご説明します。先ほどご説明したとおり、米国の大部分のカジノではコロナ禍前の活況を取り戻しており、地域別売上高の金額にも反映されています。米国の戻りが最も早く、その他の地域は戻りが遅れているものの、次いでアジア、ヨーロッパもようやく進行年度には足並みがそろうと思われます。
利益面でも、当社の市場シェアの高さやゲーミングライセンスの規制による異業種からの参入障壁などに加え、コストアップ分の製品価格への反映が円滑に進んだことにより、前期比で増益となり、コロナ禍前の水準も上回りました。
2023年3月期 セグメント別実績 海外コマーシャル
海外コマーシャルセグメントについてご説明します。当セグメントにおいては、コロナ禍以降、世界各国においてスタンダードになりつつある非接触・非対面による、代金決済の普及拡大に伴い、セルフレジ精算機向けの紙幣識別機・紙幣還流ユニットの販売が大幅に増加しました。特に欧州においては、コロナ禍前の売り上げ水準を大きく上回っています。
ただし、利益面においては、グローバルゲーミングセグメントと相反してコストアップ分の製品価格への反映が難航したこともあり、前期比で減少となりました。
この流れを世界的なものとすべく、北米および中南米地域のコマーシャル市場の開拓と販売拡大を目的として、昨年にはコマーシャル事業に特化した販売子会社を相次いで設立しました。今後の事業拡大に向け、さらなる体制の構築を進めます。
2023年3月期 セグメント別実績
国内コマーシャルおよび遊技場向機器セグメントについてご説明します。
国内コマーシャルセグメントでも、海外コマーシャルセグメントと同様に、非接触・非対面での現金決済を促進する製品需要の増加により、飲食チェーン向けの券売機向け紙幣還流ユニットの販売が堅調に推移し、利益面でも効果がありました。当市場は営業年度ごとに販売する製品、分野、顧客の変動が大きく、過去4年と比較すると、売上高、利益ともに変動を繰り返しています。
遊技場向機器セグメントでは、業界を挙げて導入に取り組んできたスマート遊技機が、昨年11月から解禁されました。これに伴い、設置に必要不可欠な専用貸機ユニットの販売や、設置工事および変更工事の増加によって増収となり、長期的な傾向を見ても6期ぶりの増収となっています。
利益面では、業界の規模縮小などの影響で、ここ数年は厳しい状況が続いていましたが、スマート遊技機の人気により、当社が取り扱う周辺機器についても、利益率の改善が見られました。
2024年3月期 通期業績予想
進行年度の業績予想についてご説明します。進行年度においては、コロナ禍からの経済回復がより本格化することが予想されます。それに伴う海外旅行者数の増加など、当社事業にとっては追い風となる要素が多いため、増収増益を見込んでいます。
一方で、半導体などの電子部材の需給状況は、全体的には緩和されてきていますが、コロナ禍前の水準には今一歩という現況です。一部の部材は市場流通品の使用を継続するなど、材料価格や物流費の上昇などによる利益面へのマイナスの影響も継続するものとして、状況の推移を慎重に見極める必要があると考えています。
2024年3月期通期セグメント別業績予想
セグメント別の売上高、営業利益の推移です。グローバルゲーミングセグメントでは、前年同様にカジノやホテルの設備投資意欲が高いことから、増収増益を見込んでいます。また、コマーシャル市場はゲーミング市場と並び立つ事業とすべく、新たに設立した販売子会社を通じて、北米・中南米市場を中心に事業の拡大を目指していきます。
さらに、遊技場向機器セグメントにおいても、スマート遊技機の導入が進行年度も堅調に推移するものと予想され、スマート専用貸機ユニットなどの販売による業績の好転を見込んでいます。
利益還元
利益還元についてご説明します。進行年度の利益配当は、これまでの利益配分に関する基本方針である連結配当性向30パーセント以上にしたがい、1株につき中間5円、期末で7円、年間12円とします。
内部留保金は、昨年度も実施した自己株式取得などの株式配当以外の株主還元への支出を継続して検討するとともに、今後の事業展開に有益な業務・資本提携やM&A等の戦略的投資、新規市場開拓に必要となる人材・研究開発投資など、将来に向けた成長確保のための費用として有効活用していきます。
JCM Global Vision 2032
2024年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画についてご説明します。
当社では、2019年5月に、2021年度(2022年3月期)までの3ヶ年を対象年度とする新中期経営計画「ローリングプラン(Ⅳ)」を策定していました。しかし、コロナ禍の影響などにより、前提となる事業環境を含め実態との乖離が大きくなったことから、修正を余儀なくされていました。
今般、コロナ禍からの業績回復に一定の目途が立ちつつあることから、アフターコロナにおける事業環境を踏まえて全面刷新を行い、新たな中期経営計画を策定しました。今回の中期経営計画では、長期的な展望とともに、2025年度(2026年3月期)までの3年間における事業の方向性および重点施策を進めています。
長期ビジョン 基本方針
10年後にありたい姿、すなわち事業規模として定めた売上高550億円、営業利益55億円から逆算し、10年間の最初の3年間である今回の中期経営計画期間の業績目標を決定しています。
また、当社の主要事業である貨幣処理機器分野は、キャッシュレスの台頭を受け、10年の間に大きな曲がり角を迎えることを前提にしています。そのため、これまでの当社の強みである「貨幣処理」というニッチな市場で高いシェアを獲得することにより磨きをかけるとともに、昨今の大きな流れであるキャッシュレス時代に向けて新たなニッチ市場の獲得にも挑戦していきます。
今後3年間の具体的な業績目標ならびに取り組むべき施策については、お手元の資料の14ページから20ページに記載のとおりですので、ご参照ください。以上で、私からのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。