代表取締役の追加選定について

若山健彦氏(以下、若山):ミナトホールディングス株式会社の若山健彦でございます。本日はお忙しい中、2023年3月期通期の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。

決算発表が1週間遅れましたこと、誠に申し訳ございません。本日15時に決算を無事発表することができました。本日はこちらの資料に基づいてご説明します。

最初に最近のトピックスについてご説明します。代表取締役の追加選定として、6月23日の株主総会後に、現在は取締役副社長COOの相澤均が、代表取締役社長兼COOに就任する予定です。会社の規模が少し大きくなったため、コーポレートガバナンスの強化と経営体制を新しくしていくという両面からこのように決定しました。

私は代表取締役会長兼グループCEOとして、引き続きM&Aやベンチャー投資、グローバルな事業展開を進めていきたいと思います。

相澤はこれまでサンマックス・テクノロジーズの代表として事業をけん引してきましたが、今後もミナト・アドバンスト・テクノロジーズの代表をはじめ、事業面でミナトグループをリードする存在としてがんばっていきます。

連結子会社の異動(株式譲渡)について

5月8日にプレスリリースを発表したとおり、当社の連結子会社クレイトソリューションズの全株式を譲渡します。譲渡先はSHIFTグロース・キャピタルで、金額は約17億5,000万円強となり6月1日の譲渡実行を予定しています。

これにより、第1四半期に約13億円の特別利益が計上される見通しです。6月1日以降はクレイトソリューションズは当社の連結対象事業から除外される予定です。

2023年3月期 通期実績

2023年3月期の通期実績についてご説明します。売上高は225億9,900万円で、減収となりました。営業利益は8億1,000万円で増益となりました。経常利益は8億9,500万円で前期比14.5パーセント増となりましたが、当期純利益は5億9,000万円で前年より少し下がりました。

2023年3月期 売上高

売上高は過去最高であった前期に続いて高い水準を維持したものの、前期比8.1パーセントの減収となりました。世界的な半導体メモリー製品の価格下落も影響し、売価が下がったのが大きかったと思います。テレワーク事業のセグメントも減収となりました。システム開発事業やその他事業については増収を確保しています。

2023年3月期 営業利益

営業利益は前期比3.4パーセント増と、1992年以降の最高益を更新しました。デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業およびメモリーモジュール事業での売上総利益率が改善したことや、エクスプローラの連結子会社化が通期にわたった点も増益の要因となっています。

プリンストンで行っているデジタルデバイス周辺機器事業も、販管費の削減に取り組み、東京オフィスと大阪オフィスの統合に伴う一時的な費用増加を吸収して増益を確保できたという意味では良かったと思います。

営業利益の増減分析

営業利益の増減について分析をしています。売上高の減少を売上原価の減少でカバーしたところが主な要因です。

2023年3月期 親会社株主に帰属する当期純利益

当期純利益は経常利益段階で大きな為替差益等の計上をしましたが、法人税等の増加により、前期比12.3パーセントの減益となりました。スライドに記載しているような要因がありましたが、前年度高い水準だった当期純利益から少し下がったというところです。

2023年3月期 通期連結貸借対照表

2023年3月期の通期連結貸借対照表です。全体は143億8,100万円と、前年度から比べると9億8,300万円減少しました。現金残高は約6億5,000万円ほど増えていますが、その分借入金の圧縮なども行い全体的にスリムになり、自己資本比率が30.1パーセントと前期末の25.2パーセントから大きく改善しました。

2023年3月期 自己資本比率・ROE・総還元性向

自己資本比率・ROE・総還元性向については、1月下旬に発表した中期経営計画2027に目標値をそれぞれ記載しています。自己資本比率は目標の30パーセントを超え、ROEは目標の15パーセントに近づきました。総還元性向は31.4パーセントと、目標の30パーセントを超えました。

グループ会社及び各社が担うセグメント領域

グループ会社および各社が担うセグメント領域です。当社の事業セグメントでは、メモリーモジュール事業が最大です。テレワークソリューション事業、デジタルデバイス周辺機器事業はプリンストンが行っています。

システム開発事業は、昨年の7月1日からクレイトソリューションズで行ってきました。ミナト・アドバンスト・テクノロジーズは当社のグループで最も古い事業体で、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業を司っています。

セグメント別 通期実績

セグメント別の通期実績です。先ほどお伝えしたとおり、メモリーモジュール事業が売上高でも営業利益でも一番大きな数字となっています。営業利益率は8.2パーセントと、前年度よりも改善しています。

テレワークソリューション事業とデジタルデバイス周辺機器事業は、第3四半期まで円安の影響もありかなり厳しい状況ではありましたが、第4四半期に販売や為替レートの改善などもあり大きく利益を計上し、通年でも利益を計上できました。

デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業は、営業利益が5億円を超え、前年度に比べて9,000万円近くも増額し、営業利益率も20.4パーセントから27.1パーセントに改善しています。

システム開発事業は、統合による効果などもあり営業利益が1億8,100万円と前年度に比べて約5,000万円増額し、営業利益率も7.1パーセントから9.1パーセントにアップしました。その他事業もかなり規模が拡大して、売上高が倍以上の13億1,400万円で、営業利益もしっかり上げることができました。

メモリーモジュール事業

メモリーモジュール事業は先ほどお伝えしたとおり、半導体の市場自体が落ち込んだため減収となりました。お客さまの在庫調整による需要の削減もありましたが、新規案件の獲得や利益率の高いメモリーモジュール製品の販売でカバーをして、全体としては利益率を向上させ、しっかりと増益につなげ、当社の中心のセグメントとなっています。

テレワークソリューション事業

テレワークソリューション事業は、プリンストンが行っています。据置型会議端末の需要の顕在化や、販管費の削減等により、第4四半期に大幅な営業黒字を達成し、通期でも黒字化を達成しました。

デジタルデバイス周辺機器事業

同じくプリンストンが手掛けるデジタルデバイス周辺機器事業は、eスポーツ関連等で旺盛な需要がありました。スマートフォン・タブレット周辺機器は少し落ち込みましたが、別の需要を取り込み、第4四半期でしっかりと利益を上げて通期の営業利益も黒字化を達成しました。

デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが行っているデバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業は、ROM書込みサービス、車載メーカー向けオートハンドラの納入、堅調な海外向け変換アダプタ関連の販売などが順調に進捗し、営業利益は増益を達成しました。多少減収となりましたが、結果的には営業利益率が大きくアップしました。

システム開発事業

システム開発事業は、パイオニア・ソフトとイーアイティーの合併により、2022年7月1日からクレイトソリューションズとなっています。コスト削減もしっかり行い、受注案件でも利益を上げることができました。営業利益は1億8,100万円と2億円近くまで伸び、営業利益率もアップしました。

その他事業

その他事業については、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの一部の事業や、日本ジョイントソリューションズが行っているWebサイト構築の事業、ジー・ワーカーの事業、さらに一昨年の12月から当社グループの連結となったエクスプローラの事業が、通年で寄与し、しっかりと売上高および利益を上げることができました。

2024年3月期 重点施策

今進行している2024年3月期の見通しの前に、重点施策をご説明します。「中期経営計画2027」にも示していますが、「①既存事業領域の更なる拡大」を進めていきます。我々はデジタル技術の進化をしっかりと取り入れ、事業を拡大しています。

加えて「②新規事業領域への投資(M&A/ベンチャー投資)」とあるように、強みの投資力を生かして新事業分野に出ていくことで、成長力を獲得していきます。

「③グローバル展開」としては、海外拠点の新設によるアジア市場へのビジネス拡大と、米国企業の新技術やビジネスモデルにも取り組んでいきます。

2024年3月期 通期業績予想

2024年3月期通期の業績予想は、売上高が230億円で、これは先ほど発表した2023年3月期の売上高を金額で4億円、1.8パーセント上回るものです。

営業利益は9億円で、前年同期比8,900万円の増額、11.1パーセントの増加を目指しています。

為替の差損益についてはなかなか予測がつきにくいところもあり、経常利益は8億5,000万円と、前年同期比で少しマイナスになる予想となっています。

当期純利益については、14億5,000万円で、前年同期比プラス8億5,900万円と大幅な増加となる予想です。これはスライド下段のポイントのとおり、クレイトソリューションズの株式譲渡を6月1日付で実施予定で、その後のシステム開発事業の売上および利益は減るものの、この株式の譲渡による特別利益約13億円を見込んでいるというものです。その結果がこの当期純利益の大幅な増加ということです。

2023年3月末の純資産、株主資本については43億円でしたが、6月1日時点で約53億円レベルへと、大幅な増加を想定しています。

連結業績からクレイトソリューションズの事業が除外されることで、売上、利益ともに大幅に減りますが、その他事業によりカバーできる見込みで、前年同期比で増収増益という非常に意欲的な数字となっています。

2024年3月期 連結子会社株式譲渡の影響(参考、概算)

システム開発事業のセグメント売却により、少し数字が変わるところは先ほどお伝えしたとおりですが、前年同期比で売上高は9.9パーセント増、営業利益は36.4パーセント増を予想しています。

2024年3月期 配当予想

配当については、2023年3月期は現在10円の予定となっていますが、2024年3月期については12円と2円増配していく考えです。

2018年度に数十年ぶりに復配を果たしてから2円、4円とどんどん増やしてきており、昨年度10円、そして今年度12円と、順調に配当金額が増えていく予定です。

2024年3月期 株主還元の方針

株主還元の方針については、引き続き中期経営計画にもあるように、成長のための投資資金や内部留保を確保しつつ、総還元性向30パーセントを目指すということで、配当のみならず自己株式の取得を機動的に実施することも検討しています。

今回のクレイトソリューションズの売却益により、キャッシュの獲得がありますが、こちらの資金は、横浜のROM書込み事業拡大のための、建物や機械設備等への投資に配分する予定で、このように既存事業の拡大を目指していきます。

2024年3月期の総還元性向は、現状では利益が増えるということもあり、30パーセントを下回る見通しですが、中期的には30パーセントのレベルを維持します。

ミナトグループのビジョン

ミナトグループの成長戦略については、今までも折に触れて投資家説明会等でお話ししている、この「デジタルコンソーシアム構想(DC構想)」を引き続き挙げています。

デジタルコンソーシアム構想とは

デジタルコンソーシアム構想とは、デジタル分野において企業と提携し、M&Aを実施するなどして、事業を拡大していく、仲間を増やしていくというもので、コンソーシアムとは共同体という意味です。これを強化することで、事業シナジーを作り、新しい製品やサービスの開発に挑戦することができます。

さらに、デジタルの世界で新しい市場を開拓することで、人や社会に貢献していき、持続可能な未来を創造していく構想です。

DC構想イメージ図

現在行っている事業にも、数年前まではなかった分野、セグメントもあります。当社は、スライドのようなイメージで、いろいろな新しい分野をグループに取り込んでいくことで、新しい技術市場を創造し、企業成長を遂げていくモデルを追求してきています。

これまでのDC構想実現に向けた取り組み

スライドのグラフからもわかるように、当社はこの10年以上、売上高は大きく増加してきていますし、利益額も着実に、また大幅にアップしてきています。

この背景には、スライド右側の表にあるように、2014年以降多くの会社を子会社化したり、事業提携をしたりすることで仲間を作り、仲間を増やしてきた戦略があります。その効果により、連結の売上高やバランスシートも拡大し、また提携企業との連携を進めることで、新技術、新市場を取り込んできました。このような、デジタルコンソーシアム構想の実現を目指してきました。

「中期経営計画2027」の概要①

「中期経営計画2027」の中でも、先ほどお伝えしたように「①既存事業領域の更なる拡大」「②新規事業領域への投資(M&A/ベンチャー投資)」「③グローバル展開」の3つを重点テーマとして挙げており、これらに基づき、デジタルコンソーシアム構想を追求していく方針です。

「中期経営計画2027」の概要②

その結果として、2027年3月期には売上高480億円、営業利益25億円を目指しています。ROEは15パーセント以上、自己資本比率はすでに達成している30パーセントを維持、あるいは、さらに高めていきます。

サステナビリティ経営について

サスティナビリティ経営についてです。デジタルコンソーシアム構想の実現により、未来の社会を着実に創っていきます。QOL(生活の質)向上の実現や、地球環境の保全、そして人材ダイバーシティを重視し、マイノリティの方も含めて一人ひとりが健康に働き続けられる職場作りなどを目指しています。

38ページ以降の「Appendix」は事業説明の付録ということで、付随情報を載せていますので、お時間があるときにぜひご覧いただければと思います。

株式会社クレイトソリューションズ

クレイトソリューションズについては、繰り返しになりますが、6月1日付で売却を検討していますので、我々の連結子会社ではなくなります。

その他のグループ会社

その他のグループ会社も、いろいろな分野で活躍しています。

以上、資料に沿ってご説明しました。

質疑応答:新社長の相澤氏について

司会者:「新しく社長になる相澤さんはどのような方ですか。経歴や強み、若山さんとの役割分担などを教えてください」というご質問です。

若山:先ほどの資料にも一部ご案内しており、すでにプレス発表なども実施していますが、相澤均はサンマックス・テクノロジーズを創業したメンバーで、20年以上この半導体の分野で活動している人間です。

7年前にミナトグループに入り、その後グループの中でも取締役副社長COOというポジションで、事業の中心になるメンバーです。

他にもミナト・アドバンスト・テクノロジーズの代表取締役社長にも就任し、ROM書込み事業をはじめ、実業をリードしています。プリンストンやエクスプローラなど、同じ業界、近い業界のグループのM&Aにも貢献してきた実績があります。

私との仕事の分担については、先ほどの資料にも載せましたが、私は引き続き取締役会や株主総会の議長を務めさせていただきますし、投資や今日のようなIR、金融機関対応などもさせていただきます。また、ベンチャー投資、M&A等、海外事業でも担当していきます。

相澤のほうはサンマックス・テクノロジーズやミナト・フィナンシャル・パートナーズ、プリンストンやエクスプローラなどの事業のリーダーとして、引き続き代表取締役会長、または代表取締役社長として主な分野をリーダーとして担っていきます。

質疑応答:グループにおけるプリンストンの役割について

司会者:「プリンストンでも社長交代がありましたが、ミナトホールディングスグループでのプリンストンの役割について、今一度教えていただけますか?」というご質問です。

若山:プリンストンについては、先ほどご説明したセグメントとしては、テレワークソリューション事業のほか、デジタルデバイス周辺機器事業を担っています。

テレワークソリューション事業では、Web会議システムの普及に伴い、Web会議用の機器やソフトウェア、ラインセンスなども販売していますし、デジタルデバイス周辺機器事業では、携帯電話、PC、タブレット等にまつわる機械、アクセサリーなどを販売しています。

最近はeスポーツ関連製品も伸びており、ヘッドセットや、スピーカー、マイク、カメラなども販売しています。

質疑応答:クレイトソリューションズ売却の中期経営計画目標への影響について

司会者:「クレイトソリューションズの売却で中期経営計画目標の変更はありますか?」というご質問です。

若山:クレイトソリューションズの成長も我々の中期経営計画の中には盛り込んでいましたので、クレイトソリューションズがグループ外に出ることにより、その部分は今年度も含めた4年間の計画からなくなるかたちになります。

しかしながら、その他事業における既存事業の成長および利益、さらにM&Aや投資がもたらす売上・利益等が十分にカバーする予定です。現状では中期目標は変えない予定であるものの、今後必要になった段階で修正を行うことはあり得ます。

質疑応答:M&Aに対する考え方について

司会者:「これからもM&Aを活用していくことになると思いますが、ミナトホールディングスのM&Aに対する考え方を教えてください」というご質問です。

若山:M&Aというと、100パーセント子会社化するかどうかが注目されますが、先ほどお伝えしたように、我々のデジタルコンソーシアム構想は、より多くの企業と連携を行っていくものです。M&A・資本提携があっても、あるいは小さなパーセンテージであっても仲間を拡大していくというポリシーです。

M&Aで事業を取り込んでいく場合は、今後も我々と近いデジタル分野に関連し、企業同士の理解が合うところをターゲットとして展開していきます。評価の面では「高過ぎず、安過ぎず」という適切な価格を意識して、グループ拡大の投資を行っていきたいと考えています。

質疑応答:セレクト神奈川NEXTの詳細について

司会者:「3月20日にリリースされた、『セレクト神奈川NEXT』について教えてください」というご質問です。

若山:「セレクト神奈川NEXT」は、神奈川県の企業誘致施策による企業立地支援事業です。本年3月20日に、我々の事業会社であるミナト・アドバンスト・テクノロジーズの工場の建て替えと、付随する設備投資が認定事業として選ばれました。

我々のグループの設備投資額を50億円と見積もり、神奈川県に認められています。現在は建屋に13億円、設備投資に19億円と、2つで32億円が決定しており、今後も追加的な投資の可能性がありますが、一部そのような投資額の補助や金利の補助、税制の優遇などの措置があるということで、公的な制度を大変うまく活用する予定にしています。

質疑応答:サステナビリティ経営の考え方や取り組みについて

司会者:「人的資本の情報開示が求められる時代となっていますが、ミナトホールディングスのサステナビリティ経営の考え方や取り組みについてお聞かせください」というご質問です。

若山:サステナビリティ経営については先ほどもお伝えしたとおり、我々の事業は社会に貢献する事業を行っていくということで展開してきています。もともと、CO2や汚染物など環境に悪い排出等のある事業はあまりないのですが、今後も地球環境に優しい事業を行っていくことを考えています。

また、デジタル分野に特化することで、QOL(生活の質)を高めるような社会に貢献する分野になると思っています。

働く従業員に対しても、まずはダイバーシティを重視し、現在は女性活躍プロジェクトを立ち上げており、今後は外国人や障害者の方にも適応できるよう、またマイノリティの方にも活躍してもらえる職場作りを目指していきたいと思います。

まさしく人材が必要な時代であるため、今後も人に優しく、そして楽しく働いていただくことや、私が常日頃よりうたっている健康第一などを追求していきたいと思っています。

質疑応答:株価のPBR1倍未満問題について

司会者:「ミナトホールディングスの株価はPBR1倍前後を行ったり来たりしていますが、PBR1倍未満問題にどう対応するかについてお考えをぜひお聞かせください」というご質問です。

若山:東京証券取引所でも、PBRが1倍を割っている企業に対して、自社株買いや株主還元施策をしっかりと行うようなイニシアチブがスタートしたと聞いています。我々の株価がPBRでどう評価されるかというのは日々変わっていくため、私としてはまだまだ評価不足と認識しています。

ただし、評価は我々が決めるものではありません。当社はこれまでも自社株買いや株主優待、あるいは配当というかたちでみなさまに還元をしており、またこのようなIR説明会等を通じて我々の株価や会社の現状をみなさまと共有しているため、まずは今後も中期経営計画の骨子に基づいてしっかり実行することで結果を出すことに努めていきたいと思います。

東京証券取引所が対応として発表しているようなことについては、今までも十分に情報の開示やコミュニケーションの機会を設けており、今後もたゆまぬ努力を続けていきたいと思っています。

質疑応答:今後の株主還元について

司会者:「株主還元については今後の業績次第と思いますが、増配や自社株買いを積極的に実行しますか?」というご質問です。

若山:先ほどの質問と重なる部分もありますが、中期経営計画の中でも、株主還元については総還元性向は約30パーセントを目処としています。この内容としては、配当と自己株取得が主なものになるため、今後も利益状況や市場の動向に応じて配当の増額や徐々に増えてきている自己株式の取得を行っていきたいと思っています。

質疑応答:今後のデバイスプログラミング事業について

若山:ここからは、事前にいただいたご質問にお答えしていきます。

「今はデバイスプログラミング事業が伸びていますが、今後はどうなっていくのでしょうか?」というご質問です。

今年度の計画の中でも、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズで行っているROM書込み事業は大きく伸長する予定です。売上で約3割、利益で7割程度伸びていくのではないかと思います。

そして先ほどお伝えした建屋の完成は、第1期が来年の2月、第2期が来年の11月頃を予定しています。そうなると現在のROM書込み能力が3.6倍程度に拡大し、その先の2027年3月には5倍以上の能力を持つ予定になっているため、それに伴って事業計画、あるいは売上利益が増えていくと予想されます。

質疑応答:デバイスプログラミング事業の減収減益の理由について

「デバイスプログラミング事業が、第4四半期で前年度より少し下がり、減収減益となったのではないでしょうか。その理由は何でしょうか?」というご質問です。

こちらは、前年度にあった一部の大型受注、納品した案件がなくなった反動が大きな要因です。横浜の建て替えに含めた設備投資費用については、今年はそれほど大きくはないものの、来年度以降は会計基準における償却のルールに基づき、減価償却していきます。

質疑応答:サンマックス・テクノロジーズの台湾支店の状況について

「サンマックス・テクノロジーズの台湾支店の状況はどうなっていますか?」というご質問です。

こちらは「5月中には設立を」と考えていましたので、今のところ順調に進んでいます。

メモリの市況については、相澤副社長のほうでマスメディアにも予想などを示しているものの、これは本当に市場が決めていくものであるため、予想というのはなかなか難しいところがあります。今は一番低いところにあると考えているため、今期の後半、年末あるいは年度末にかけて少し回復していくのではないかと思います。

質疑応答:テレワークソリューション事業におけるプリンストンの大幅黒字化について

「テレワークソリューション事業について、プリンストンが第4四半期に大幅黒字化した要因は何でしょうか?」というご質問です。

いろいろな要因があるものの、もともと第4四半期の2月、3月に納品が多い事業でもあるため、いくつか大きな案件の納品が例年どおり終わったことがあります。

また、昨年は一時的に1ドル150円を超えるような円安水準があったものの、第4四半期には130円台で落ち着いたことも安定の原因です。さらにグループを挙げてプリンストンの事業における販管費の効率化や削減を行ったことも貢献したと思います。

質疑応答:決算延期の理由について

「決算延期の理由は何ですか?」というご質問です。

これは特定の数字がずれたためではなく、我々の監査プロセスの中で、在庫や売掛金などのさまざまな会計における数値を確かめていく決算プロセスに予定よりも時間がかかり、最終的な数値をまとめるために会社全体で監査、会計、決算の作業を行う中でそのような遅れが生じたということです。

発表が予定より1週間遅れたというのはもちろん、大変に遺憾ですし、大変申し訳ないと思っていますが、本日無事に発表することができました。今後もまだ別のプロセスがあるため、しっかりと完了するように努力していきたいと思います。

若山氏からのご挨拶

本日もこのようなかたちで当社および当社の株式に興味を持っていただき、誠にありがとうございます。

先ほどもお伝えしたように、私は代表という立場もあるため、常に当社の株式の評価はまだまだ低く厳しいと思っていますが、これが現実です。

このようなIR活動を含めて、当社の事業がいかに有望であるか、いかに伸びるかということ、そして夢をお伝えしていきます。その結果を四半期ごとに発表し、みなさまに結果でお応えしていくことで、結果を出すことで、未来においてもその夢を維持できると思っています。

これを継続していくこと、そして私が10年以上実行してきたことは、数字的にも、内容的にも決して間違っていないと信じています。中期経営計画の大変意欲的な数字も、何らかのかたちで達成することを目標としているため、今後もご期待いただければと思います。