2023年3月期第2四半期決算説明

若山健彦氏(以下、若山):みなさま、こんばんは。ミナトホールディングス株式会社代表取締役の若山健彦でございます。みなさまお忙しいところ、ご参加いただきましてありがとうございます。

本日は11月とは思えない暖かい天気でしたが、これから寒くなっていくことも予想されます。岩本町にある株式会社プリンストン東京本社の会議室兼ショールームからライブ配信で行っています。本社移転前の貴重な機会で感慨深いですが、みなさまに少しでも良い情報を届けることができればと思っています。

2023年3月期 第2四半期の総括

それでは、決算説明資料に基づいて進めます。2023年3月期第2四半期決算の総括を、4点スライドに挙げています。1点目に、メモリーモジュール事業等での堅調な業績により、売上高は116億3,400万円と、上半期としては過去最高を更新しました。

2点目に、営業利益は4億800万円、為替差益の計上等により経常利益は5億8,700万円、当期純利益は3億4,800万円と、1991年度以降で最高の利益水準となりました。1991年度は30年以上前のことになりますが、弊社が株式公開した直後にあたります。

3点目に、事業会社のミナト・アドバンスト・テクノロジーズが提供する「ROM書込みサービス」の需要拡大に備えるため、横浜市にある同社の本社の建て替えを決定しました。「ROM書込みサービス」はメモリーにプログラムを書き込むサービスです。

4点目に、2022年7月1日付で、弊社の子会社である株式会社パイオニア・ソフトと株式会社イーアイティが合併し、株式会社クレイトソリューションズとして営業を開始しました。以上が、第2四半期中に起こったことのまとめです。

2023年3月期 第2四半期以降のトピックス

第2四半期以降の動きもトピックスとしてお話しします。1点目に、10月の取締役会で、弊社の自己株式取得を決議しました。自己株買いの中では、株数・金額としては過去最大となる20万株もしくは1億2,000万円を上限として取得枠を設定し、今月から実質スタートすることになります。

2点目に、日本ジョイントソリューションズと、アイティ・クラフトの合併を決議しました。両社とも弊社の100パーセント子会社ですが、合併して2023年1月1日より、新たに日本ジョイントソリューションズとして営業を開始します。両社とも、主にWebサイトの制作や、それにまつわるシステム開発を行う会社であり、このような分野でシナジー、相乗効果を追求し、作り出していくことが期待されています。

3点目に、都内3ヶ所に分散する当社グループ8社の本社機能を、港区新橋の新橋東急ビルに移転します。正式には2022年12月1日を移転日として業務開始予定です。これにより当社東京拠点を1ヶ所にまとめ、共に働くことでコミュニケーションの活性化や効率化ができるのではないかと期待しており、時代に合った柔軟な働き方を推進していきたいと思っています。

2023年3月期 第2四半期連結業績

第2四半期連結業績です。先ほどお話ししたとおり、売上高は第2四半期として過去最高を更新し116億3,400万円、営業利益も1991年度以降で最高となりました。

さらに、為替差益を1億9,200万円計上したことにより、経常利益も大幅に伸長し5億8,700万円と、前年同期に比べて2億5,500万円増加しました。当期純利益も3億4,800万円と順調に進捗しています。

2023年3月期業績予想に対する進捗状況

それぞれの数字を、5月に発表した2023年3月期業績予想に対する進捗率で見ると、売上高は52.9パーセントと半分を超えています。第2四半期ですので、50パーセントを超えていると順調に進捗していると言えるかと思います。

営業利益の進捗率も75.6パーセントと順調です。経常利益は、お伝えしたとおり為替差益が大きく出ましたので、今期の業績見通しの5億2,000万円を超える113.1パーセントの進捗率をすでに達成しています。

当期純利益も進捗率87.2パーセントと順調です。今後、いろいろな市況や弊社の事業状況を確認し、予測しながら、業績予想の修正についても検討していきたいと思っています。

営業利益の増減分析

スライドのグラフは、営業利益の増減分析です。増減の要因としては、売上高の増加や売上原価の減少で伸びた部分と、販管費の増加や移転関連費用を計上したことによるマイナスが分析されています。トータルとして、営業利益は前年同期と比較して7,000万円強の増加となりました。

売上高が堅調に推移したことに加え、メモリーモジュール事業で利益率の高い自社ブランドの需要が安定的だったこと等が、大幅増益に貢献しました。

2023年3月期 第2四半期連結BS

バランスシートです。利益計上に伴う株主資本の増加により、自己資本率が27.6パーセントに改善しました。少し細かい部分ですので、それぞれの項目にはあまり触れませんが、現金が増えたり、売掛金が減ったりしたことで、トータルの資産はほとんど変わらず、152億5,700万円となっています。

負債が若干減り、純利益の増加によって自己資本が増え、より堅調で健全な財務バランスを構築していると言えます。

セグメント別 第2四半期連結業績

各セグメントについてご説明します。スライドのとおり、5つのセグメントと、その他事業の6つに分けて、売上高や営業利益の分析を行っています。

メモリーモジュール事業は、主にサンマックス・テクノロジーズが行っている事業です。営業利益は4億7,300万円と、前年同期比で大幅に伸長し、上半期において過去最高の営業利益を達成しました。

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが行っている、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業も、上半期のみで営業利益が2億5,900万円、営業利益率が30パーセントに達しました。

去年も25.1パーセントの大変高い営業利益率を達成しましたが、今年はさらにそれを上回っており、より利益率の高い着実な事業進捗をしています。ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの歴史はそれほど長くありませんので、営業利益2億5,900万円も、上半期としては過去最高だと言えます。

7月1日から合併したクレイトソリューションズが行っているシステム開発事業についてです。2社が合併したことで、売上高が昨年の6億円から9億9,000万円へと、大幅に増加しました。また、営業利益は昨年の4,100万円から9,000万円に増加し、営業利益率も高まっています。7月以降、新しい会社のもとで順調に事業進捗しています。

その他事業については後ほどご説明しますが、こちらも順調に伸びています。

グループ会社及び各社が担うセグメント領域

今お話しした事業セグメントを担う企業を紹介します。メモリーモジュール事業はサンマックス・テクノロジーズ、テレワークソリューション事業とデジタルデバイス周辺機器事業は株式会社プリンストン、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業は、スライド右下に記載のミナト・アドバンスト・テクノロジーズと上海の子会社、システム開発事業はクレイトソリューションズが担当しています。

その他事業はミナト・アドバンスト・テクノロジーズが一部関わっていますが、その他5社に分かれて担当しています。以上、国内9社、海外2社という構成です。

メモリーモジュール事業

メモリーモジュール事業について、もう少し詳細にご説明します。スライド左側の売上高(累計)のグラフを見ると、この第1四半期、第2四半期、売上高が前年に比べて少し下がっています。第2四半期は半導体のマーケットも少し落ち着いて下がったこともあり、売上高は少し下がりました。

一方、利益はしっかりと確保でき、第2四半期の営業利益は4億7,300万円と、順調に積み重ねができています。営業利益率も高い水準で安定しており、繰り返しになりますが、上期として過去最高の営業利益を達成できました。

テレワークソリューション事業

プリンストンが行っている、テレワークソリューション事業です。主にアメリカのメーカーから仕入れている製品が多いこともあり、円安が厳しい方向に影響し、コストアップしました。加えて、半導体不足による納期遅延もあり、残念ながら第1四半期、第2四半期ともに営業段階での損失が出ました。

現在、販売戦略や営業体制の見直し、販管費削減等の対策を着実に実施している最中です。この成果も少しずつ見えてきていると思っています。

テレワークソリューション事業は、2年ほど前から新型コロナウイルス感染症まん延の影響で、テレワークする企業が増え、オフィス等におけるそのような製品の需要も増えました。しかしながら、その需要が一段落し、新たな大きな設備投資がオフィスレベルではあまりなかったことも少し響いています。

ただ今後もテレワーク需要は落ちることはないと思っています。しっかりと動向を見ながら、利益がきちんと上がる方法でこの事業を継続していきたいと思っています。

デジタルデバイス周辺機器事業

同じくプリンストンが手がける、デジタルデバイス周辺機器事業です。例えば、PCやモバイル、携帯電話、タブレットの周辺機器、ヘッドセット、メモリー、機器のカバー、タッチペンなど、いろいろな需要があります。そのような事業をこのデジタルデバイス周辺機器事業として位置付けています。

今は、eスポーツ関連やPC関連の製品の分野が伸びており、その結果、売上高が順調に伸びています。モニターなどもPC関連製品に含まれます。

利益については、第2四半期単体で見ると少し回復するような動きがありましたが、累計で見ると5,300万円のマイナスとなっています。昨年も少しマイナスが出ていましたが、これを克服すべく、現在、利益率の向上策を実施しています。

ただ、デジタルデバイス周辺機器事業においても、円安はどちらかと言うとネガティブな影響がありますので、為替の動向はこちらにも影響していると言えます。

デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが行っている、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業についてです。

デバイスプログラミングと言っても馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、メモリーにプログラムを書くものです。これによって初めて、みなさまの携帯やPC、その他の産業機器が動きます。最近では、車の中にあるセンサー、カメラ、オーディオ、カーナビといったものもメモリーにプログラムが書かれた状態で製品が動いており、縁の下の力持ちのような事業と言えます。

この需要が、今非常に高まっており、機器販売のほうでもデバイスプログラミング関連製品が伸びています。また、「ROM書込みサービス」という、我々のデバイスプログラマを活用して、プログラムを書き込み、お客さまに納品する事業で、今、特定の需要家さまでもそうですし、全般の少量多品種というかたちでも伸びており、結果的に安定した成長を実現できました。

また、発表したとおり、ディスプレイソリューションとして、当社のタッチパネルやモニター、デジタルサイネージに関する事業もこの中に含まれており、事業は堅調に推移しています。

先ほどもご紹介しましたが、売上高が8億6,600万円、営業利益が2億5,900万円で、これはミナト・アドバンスト・テクノロジーズ設立以来の売上高、営業利益となっています。

システム開発事業

システム開発事業は、昨年の5月以降、2年前にグループ入りした株式会社パイオニア・ソフトの事業の業績を取り込み、順調に伸びてきています。

また、今年の7月1日からはもともと当社グループにあったシステム開発会社の株式会社イーアイティーと合併し、新しくクレイトソリューションズになりました。これにより、経営の効率化や営業面での販売促進等が功を奏し、実際に技術支援型の案件や受託開発案件の獲得や、案件の進捗を行うことができました。その結果、大幅な増収増益を達成しています。

その他事業

その他事業です。関連子会社がいくつかの事業に分かれています。昨年12月には、約50名の技術者中心の、ハードウェア・ソフトウェアに関する技術開発を行っている株式会社エクスプローラの業績が加わったことにより、売上高が大きく伸びました。前年同期の売上高は2億4,000万円でしたが、今期は5億8,900万円になっています。

そして、もともとこのセグメントに属している日本ジョイントソリューションズはWebサイトを作る会社、それから、アイティ・クラフトも同じ案件でも協力していますが、このような会社の利益も伸びたことにより、昨年同期にマイナス600万円だった営業利益は大きく跳ね上がり、プラス4,300万円と大きく増加することができました。売上高、利益ともに伸びており、このセグメントにおいても実績を着実に上げてきていると言えます。

また、それ以外にも、物品の販売を行うジー・ワーカーや、財務関係のフィナンシャルプロダクトの販売、設計、投資なども行うミナト・フィナンシャル・パートナーズもこの分野に属しています。

さらに、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが行っている、インテリジェント・ステレオカメラ事業もこの分野に属していますが、今のところ特に大きな進捗はありません。以上が各セグメントのご説明となります。

ミナトグループの成長戦略

ミナトグループの成長戦略についてご説明します。昨年発表した「デジタルコンソーシアム構想(DC構想)」の実現を目指しているということが、現在、成長戦略の中心にあります。

デジタルコンソーシアム構想とは

「デジタルコンソーシアム構想」を、我々の経営理念の下に位置付けるビジョンとして置き、スライドに記載しているとおり、デジタルの分野に特化した技術力を持つ企業との提携、M&Aを実施しており、これからも取り組んでいきます。

また、コンソーシアムを日本語で言うと、共同体という意味になると思います。こちらをしっかりと強化していき、シナジー、いわゆる相乗効果を作っていきます。そして、新しい製品やサービスの開発にも挑戦し、実行しています。

さらに、新しいマーケットを開拓することで人や社会に貢献していきます。これはESGやSDGsと呼ばれるような、持続可能な未来を創造していくことになります。スライド右下に風力発電の絵がありますが、我々は太陽光発電などにも投資しています。ですので、社会貢献というところもしっかりと意識しています。

DC構想イメージ図

スライドの図は以前からお見せしていますが、我々の中心事業であるメモリーモジュール事業や、メモリーにプログラムを書き込む「ROM書込み」事業なども、少しずつ濃い青の円を大きくしていきます。つまり、我々の事業の実態を、この図の中でも表しているということです。2年前から加わったテレワーク事業や、デジタルデバイス周辺機器事業等もこちらの図の中に位置付けています。

今後、ここにない新たな分野にも提携を通じて進出していくことを常に模索しています。AIやヘルステック、フィンテック、宇宙開発などの分野にも進出する可能性があるということで、境界を設定せず、その先に出て行く積極性を維持していきたいと考えています。

これまでのDC構想実現に向けた取り組み

「デジタルコンソーシアム構想」の実現に向けたこれまでの取り組みです。簡単に言えば、我々のこの10年の歩みということになります。10年前は、今で言うデバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業のみで、売上高、利益ともに小さかったのですが、その後、システム開発事業やメモリーモジュール事業、そして、ゼロから財務関係のファイナンシャルビジネスを行う会社を立ち上げたり、2018年にホールディングス化も行いました。もともとの事業であるミナト・アドバンス・テクノロジーズも独立させて、子会社としてしっかりと事業を伸ばしてきています。

そして2年前にジー・ワーカーやプリンストン、アイティ・クラフト、実質的にはパイオニア・ソフトも2020年度に我々のグループに入っています。そして、昨年はエクスプローラがグループに入りました。

今後もグループに入る会社やゼロから作る会社、そしてマイノリティ投資等を通じて、新たな技術や販路を確保する事業を当社グループの中に取り込んでいきたいと思っています。

質疑応答:円安の業績への影響について

司会者:「円安について、先ほどの決算説明でもお話しされていましたが、ミナトグループにとって、どのような影響が出るのでしょうか? その影響はプラスなのか、マイナスなのかをぜひ教えていただきたいです」というご質問です。

若山:円安に関するご質問をよくいただきますが、単純にプラス・マイナスと割り切れるものでもありません。ただし、今回の第1四半期、第2四半期は急速なドル高が進みましたが、トータルで見ると結果的にはプラス、つまりポジティブな影響となりました。

特に、メモリーモジュール事業等では、半導体の価格がドルベースになっているため、在庫あるいは売値、買値ともにドルの中で価格が移行することもあり、プラスに働くケースが多いと考えています。

一方で、テレワークソリューション事業およびデジタルデバイス周辺機器事業は、先ほどもお伝えしたとおり、外国の製品をドル建てで買ってくる、いわゆる輸入事業です。また、輸送費や原材料も一部、ドルベースとなっており、コストがアップすることでマイナスに働くところがあります。

ただ、全体ではドルのエクスポージャーという、いわゆる持ち高がプラスにある状態で、一部は変動を受けないようなかたちでヘッジを行っていますが、トータルではもともと持っている外貨預金や外貨建ての資産等の影響も含めて、プラスに働いています。

この第1四半期、第2四半期を合わせて、先ほどの1億9,200万円という数字が為替差益として計上されています。その他に、原価としてすでに営業利益の前段階でプラス・マイナスに入っているものもありますが、結論としてはポジティブな影響があったという回答になるかと思います。

質疑応答:「ROM書込みサービス」の需要拡大の見通しについて

司会者:「ROM書込みサービス」に関するご質問です。「ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの本社の建て替えは、完成予定が2024年となっていますが、同社の今後の需要拡大の見通しについて教えてください」とのことです。

若山:先日、決議して発表したとおり、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが使っている横浜の工場を、約50年ぶりに壊して建て替える作業がすでに始まっています。全体が完成するのは約2年後となる予定で、建屋にかける投資額は13億2,000万円程度と発表しました。

この投資は、主に「ROM書込み」事業の拡大に備えるもので、現状は今までのクリーンルーム内での作業を継続していますが、この2年の中でトータルとして拡張していくことを考えています。

ご質問にあった需要の予測については、まだ1年後、2年後がどのようになるか正確な数字は出ていませんが、間違いなく伸びていくと予測しています。これも発表していますが、日本サムスンさま、トーメンデバイスさまとタッグを組んで、当社はそのメモリーに「書込みサービス」を行うという役割で貢献していきます。

当該デバイスについては、日本の需要家さま、利用者さまから大変高い評価をいただいていると認識しています。ですので、今後はその利用の数、需要の数が伸びていくことになります。

当社の設備については、床面積も数倍に増えます。書き込みの能力もまずは2倍程度で、それから3倍、4倍、場合によってはそれ以上に増やしていけるような設備や床面積を確保していく予定です。

質疑応答:「WiCanvas」の導入予定について

司会者:「『WiCanvas』については、イオン天王町ショッピングセンター内で88台の導入後、他で導入される計画はあるのでしょうか?」というご質問です。

若山:まずは「WiCanvas」に馴染みのない方に向けて簡単にご説明します。「WiCanvas」というのは、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズで行っているディスプレイソリューション事業の1つです。具体的には、デジタルサイネージとして台湾のメーカーの製品を当社が輸入し、アレンジした上で施工し、設置するという事業を行っています。

この「WiCanvas」はイオングループへすでに導入されており、最近は天王町ショッピングセンターの中へ88台という大きな需要をいただきました。これからも新店のオープンに際して、この製品が使われる可能性が十分にあると考えています。

また、「WiCanvas」は3面、4面、あるいはもっと多い8面等でも並べて使うことができるため、1つの画像を大きく出したり、いろいろな映像を分けて出したりできます。さまざまなかたちにアレンジできるウォール機能が非常に特徴的で、ショッピングモールや大規模なホール、商業施設等でも、今後さらに活用していただける可能性があると考えていますので、より拡販ができるように営業努力をしていきたいと思っています。

質疑応答:デジタルデバイス周辺機器事業について

司会者:「デジタルデバイス周辺機器事業について、事業の見直しや黒字化に向けた取り組み、または計画があれば教えてください」というご質問です。

若山:デジタルデバイス周辺機器事業は、パソコンや携帯電話、タブレット等の需要の推移に連動するところがあります。

現状は、iPhone14の販売が思ったより伸びていないという話もありますし、円安の影響で価格がかなり上がってきているという話もあると思います。そのため、まずは全体の需要が伸びていくことができるかどうか、あるいは、今後伸びる分野に注力していくと、したがって、先ほど少しお話ししたeスポーツ関連分野等については、ヘッドセットやメモリー、タッチペンなども伸びていくのではないかと思っています。

また、現在は少し需要が停滞している教育関連の需要も、これからまだまだ開拓出来るのではないかと思っています。

一方で、先ほどお伝えした円安によるコストアップも含め、手数料などの弊社の事業に対するコストについても見直しを行っています。また、現在の事業に合わせた人員配置や営業拠点の改廃などの人員の最適な配分について、人員が足りないセグメントと余剰があるセグメントを融通し合い、セグメントにおいても少し筋肉質な体質にできるのではないかと努力している最中です。

質疑応答:ISC(インテリジェント・ステレオカメラ)事業の進捗について

司会者:「ISC事業について、なかなかニュースが出てきませんが、進捗を教えていただけないでしょうか?」というご質問です。

若山:こちらは引き続き、東京工業大学発ベンチャーのITD Lab社と連携して事業を推進しています。ISCは、二眼のカメラを使い、ものの距離や形状を認識することができるカメラです。

また、かなり早い速度で処理することができるため、いろいろなロボットや自動運転装置等でも使われる可能性があります。現在もいくつかのプロジェクトを推進している最中です。

残念ながら、特定の事業会社との量産計画や量産型商品が完成あるいは量産に移行したというニュースについては、まだ発表できる段階ではありません。

ソフトウェアの開発等も含めて、プロジェクトとして楽しみな案件はありますが、こちらを進捗させ、みなさまに発表出来るような段階になりましたら、ぜひIRやPRを通じて発表したいと思っています。

質疑応答:短期借入金額の内訳と解消見込みについて

司会者:「短期借入金額が負債の部で最も高額となっていますが、内訳と解消の見込みについてご回答ください」というご質問です。

若山:事業拡大の中で、負債残高が全体的に増えてきているのは事実ですが、こちらは我々の信用力や財務力が高まっているという背景があります。金融機関からの信用力が高まっているからこそ、十分な借入が出来るということです。

実際に、必要なものを輸入したり在庫を持ったりする中で、必要な資金を借りて品物を調達し販売することで、しっかりと利益を上げられていますので、上期も過去最高レベルの営業利益を達成しています。そのため、返済のペースや内容については問題ありません。

また先ほどご質問がありました、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズでの新たな設備投資においても、金融機関からの借入等を有効に活用していきたいと思っていますので、まったく問題ないと認識しています。

質疑応答:M&Aを行う際のポイントについて

司会者:「今後もM&Aが重要な成長戦略になると思いますが、M&Aを行う際に見るポイントをいくつか教えてください」というご質問です。

若山:M&Aと聞くと会社を100パーセント買うという印象があるかと思いますが、我々の「デジタルコンソーシアム構想」というのは、資本的な提携があってもなくても、あるいはいわゆるマイノリティ投資と呼ばれる数パーセントレベルの非常に少ない株式の保有であっても、技術・販売の面で連携していくことを考えています。

そして、100パーセントなり、連結をするような大きなシェアを持つ場合も、先方の事業内容が弊社の事業と相乗効果があるかどうか、また支払う対価が事業価値や財務価値に対して適正であるか、つまり、ものの値段として高すぎず安すぎない適正な値段であることを確認しながら進めていますし、今後もそのように進めていきます。

現在赤字の事業でも、グループに入ってもらうことによって黒字になる、もしくは黒字にできるという見通しがあれば、M&Aの対象になります。

過去の例で言いますと、6年前にグループ入りしたサンマックス・テクノロジーズは、当時の発表で15億円くらいと、当時としては大変大きな金額の投資でしたが、事業として売上高や利益を伸ばせるという自信を持って投資しました。

実際に我々のグループに入った後に、売上高も倍以上に伸び、利益も出しています。今は、弊社グループの中で柱となる事業の1つとしてがんばっていただいています。今後もそのような我々の信念に基づき、しっかりと評価した上で投資を行っていきます。

我々は決して冒険をするような方法は取らず、大変手堅い投資手法を取っていると思っています。その結果がこれまでの成果になっていますし、今後も同じ成果、もしくはそれ以上の成果を上げていきたいと考えています。

質疑応答:業績予想の修正が出さない理由について

司会者:「業績予想の修正を出さない理由はなんですか?」というご質問です。

若山:業績予想の修正については、慎重かつ正確に行っていく必要があると思っています。プレゼンテーションでもご説明したように、売上高は約5割を超え、営業利益は7割強となっています。

また経常利益は、為替差益の影響ですでに通期の予想値を上回っています。当期純利益も大きく進捗していますので、この下期の中のどこかで、上方修正を行ってもおかしくないという段階に来ています。

ではそれをいつ行うのか、あるいは目標としていくらくらいになるのかということについては、いい加減にやるのではなく、しっかりと市場の状況や弊社の営業状況予想を含め精査した上で、的確に発表していきます。

質疑応答:中期経営計画について

司会者:「中期経営計画はいつ発表されますか?」というご質問です。

若山:今まで中期経営計画は発表したことがありませんが、今後発表することを検討しているということは、これまでにもお伝えしているところです。

現段階でいつ発表するかは決まっていませんが鋭意準備をしており、先ほどの業績予想の修正と同じく、内容や数字の面でしっかりと達成し得る、かつ高い目標を掲げていくことを考えています。来年あるいは今期中を目処に、確実なものを発表していきたいと思っています。

質疑応答:配当について

司会者:「配当の目標はなにかありますか?」というご質問です。

若山:配当性向についてしっかりとした目標値というものは持っていませんが、配当していくことについては、数年前から復配を行い、1株あたりの配当金額は順調に伸ばしています。

今後も利益に対してしっかりと還元できるように検討を進めますが、配当だけではなく、今回発表した自社株買いや、すでに実施している株主優待と合わせて「総還元性向」を意識していますので、株主のみなさまにしっかりと還元できる方策を今後も検討していきたいと思います。

質疑応答:株価について

司会者:「株価についての見解をお願いします」というご質問です。

若山:こちらも非常に難しいご質問です。おそらく経営者は、自社の株は常に割安だと思っているのではないかと思います。実際に弊社も、明日以降の株価がどうなるかはもちろんわかりませんが、純資産倍率が1倍を切る、つまり会計上の純資産よりも株式相場で流通されている時価総額が低い状態にあるため、私としては「それはないのではないか」と常に思っています。

例えば昨年の利益に対しても、PER(株価収益率)は5倍から6倍と大変低いレベルになっています。今期の見通しの4億円という数字に対しても、現状はまだ10倍にも達していません。

我々としては市場平均等に比べて評価が低いのではないかと考えていますが、こればかりは我々が決めることではなく、投資家のみなさまが日々の売買等で決めるものです。

本日も含め明日以降も、このような投資家のみなさまへ向けた個別の会社説明やライブ配信、リアルの集合していただくようなミーティングも含めて、弊社のこの過去10年間の成長、あるいは今後もしっかりと成長していくことを積極的にアピールしていくことが重要だと思っています。

私もそれほどアピール上手ではないと思いますが、我々の事業は大変有望な事業の集合体だと自負していますので、がんばってみなさまの前に出て、実直に、遠慮なく、積極的にアピールしていきます。引き続きよろしくお願いします。

若山氏からのご挨拶

司会者:最後に、下期についての意気込みを一言お願いします。

若山:今お伝えしたことも大きな意気込みですが、大変大きな視座に立った「デジタルコンソーシアム構想」という、デジタル分野での仲間を増やすことで共同体を形成していくという構想に間違いはないと確信しています。

これらは我々が今までの10年間に行ってきたことでもあり、あるいはこれから取り組んでいくことでもあります。既存事業でも伸ばしているという自負がありますので、これからは新規事業にも取り組んでいこうと思っています。

また、顧問のメンバーなどと一緒に新たな会社に投資するなど、投資分野でも過去に実績を上げてきていますし、今後も上げていけると強く信じています。

もちろん私の力ではなく、大変良いメンバーが情熱を持って前向きに進めているため、非常に楽しみな企業グループになっていますので、今後も全力で、焦らず無理せず、健康にがんばっていきたいと思っています。