サマリー

八代伸彦氏:八代でございます。私から連結決算の概要をご説明します。

まずサマリーです。2022年度の決算については、前期比で売上高が60.7パーセント増の1,062億円、経常利益が79.3パーセント増の約79億円と、大幅な増収増益となりました。

スライド中段に示した2023年の業績予想については、前期比で売上高が8.6パーセント減の971億円、経常利益が10.5パーセント減の71億円と、減収減益を見込んでいます。

1株当たりの配当金については、2022年は中間15円、期末17円の合計32円で、2021年と比べて2円の増配となる見込みです。2023年は年間34円を見込んでおり、こちらも2022年と比べてさらに2円の増配を予定しています。

2022年度決算【売上高】

2022年度の連結決算の売上高は、主に販売価格の上昇によりガス事業の売上高が64.4パーセント増加しています。その影響で、売上高は前期比60.7パーセント増の1,062億円となりました。

増加額ではガス事業の売上高が全体の9割近くを占めていますが、増加率で見ると、ヨウ素事業も6割強と同程度の伸びとなっています。なお、事業ごとの売上増加要因については、この後で詳しくご説明します。

2022年度決算【営業利益・経常利益・当期純利益】

2022年度の営業利益・経常利益・当期純利益です。営業利益は、ヨウ素の販売価格の上昇など、主にヨウ素事業の営業利益が増加したことにより、全体でも前期比85.5パーセント増の約73億円となりました。

加えて、営業外収益の増加により、経常利益は前期比79.3パーセント増の約79億円となっています。前期で計上した固定資産の売却益がなくなった影響等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比67.5パーセント増の約47億円となっています。

【参考】グループガス事業ネットワークについて(イメージ図)

ガス事業の決算説明の前に、当社グループのガス事業ネットワークについて簡単にご説明します。

当社グループのガス事業は大きく分けて「千葉県産天然ガスを主体としたネットワーク」と、気化したLNGをLNG輸入事業者から購入し、ガス導管を通じて供給販売する「LNGネットワーク」の2つがあります。

スライドの図の上半分に示した千葉県産天然ガスを主体としたネットワークは、子会社の関東天然瓦斯開発が生産した県産の天然ガスを中心として、県内の同業他社の天然ガスや関東天然瓦斯開発がLNG輸入事業者から購入したボイルオフガスを、子会社の大多喜ガスやその他の都市ガス事業者に販売するとともに、工業用として使用するお客さまにも直接販売しています。

また、冬場の需要期には、石油化学メーカーから化学製品を製造する際に発生するオフガスを購入し、その他の天然ガスとともに供給しています。

スライドの図の下半分に示したLNGネットワークでは、大多喜ガスが輸入事業者から導管を通じてLNGを購入し、主に発電事業用や大口工業用都市ガスとして、お客さまに供給販売しています。

これらの2大ネットワーク以外には、小規模ですが大多喜ガスが外部からLPガスを仕入れて、主に一般家庭向けなどに販売しています。

【参考】グループガス事業ネットワークについて(特徴)

当社グループのガス事業ネットワークの特徴です。先ほど、千葉県産天然ガスを主体としたネットワークとLNGネットワークの2つがあるとご説明しました。

千葉県産天然ガスは、家庭向けなど主に一般のお客さまへの販売が中心で、全体のお客さま件数の約99.9パーセント以上とほとんどの割合を占めています。一方、販売量については全体の3割程度となっています。

LNGネットワークは、全体のお客さま件数の0.1パーセント未満と非常に少数ですが、発電用や大口工業用が中心となるため、販売量としては全体の約7割を占めています。

2022年度決算【ガス事業:販売量】

ガス事業の販売量についてご説明します。まず、県産ガスネットワークは暖冬だった2021年と比較すると、主に期初である1月から3月の気温が低めに推移した影響により、販売量は1パーセントほど増加しています。

また、LNGネットワークについても、2021年の終わりから2022年初めにかけて、厳冬に伴う電力不足により発電用途向けの使用量が大幅に増加したことから、1.2パーセントの増加となっています。

この結果、ガス販売量全体では前期比1.2パーセント増の10億6,700万立方メートルとなりました。

2022年度決算【ガス事業:売上高】

ガス事業の売上高です。先ほどご説明しました販売量の増加に加え、輸入エネルギー価格の高騰があり、LNG-CIF適用価格は年間平均で前年比2倍以上となっています。この高騰に伴い、発電用途向けや大口工業用向けでガス販売価格が上昇したため、売上高が大幅に増加し、前期比64.4パーセント増の約899億円となりました。

売上高増加の理由のほとんどが、LNG価格の高騰に伴う販売価格の上昇によるものとなっています。

2022年度決算【ヨウ素事業:販売量】

ヨウ素事業の販売量です。ヨウ素およびヨウ素化合物の販売量は、国内向けは前期比で11.6パーセント伸びています。

一方、輸出では、2020年の後半でコロナ禍によるコンテナ不足に伴う在庫分があったものを2021年の上期に出荷したことから、2021年は通常よりも販売量が多くなりました。この反動により、2022年は前期比5.3パーセントの減少となっています。

結果として、全体の販売量は前期比1.1パーセント減の1,702トンとなっています。

2022年度決算【ヨウ素事業:売上高】

ヨウ素事業の売上高です。先ほどご説明したとおり、販売量は減少したものの、好調な国際市況と海外におけるサプライチェーンの混乱などにより、ヨウ素の輸出建値は前期比で約1.5倍と大きく上昇しました。さらに、為替レートも前期と比べて円安で推移したことから、ヨウ素事業の売上高は前期比60.3パーセント増の約88億円となっています。

ヨウ素の国際市況および輸出建値は、ここ数年で最も高い水準にあり、さらに円安の影響もあったことから、円建ての販売価格は今までで最高値圏にあると言えます。

2022年度決算【その他:売上高】

ガス・ヨウ素以外の、その他の売上高です。その他の売上高は、建設事業、器具販売事業、他と、大きく3つに分かれています。

建設事業では、地熱井と呼ばれる地熱発電用や水溶性天然ガスの井戸などの掘削工事、ガス導管配管などのガス事業の関連工事などを行っています。削井工事やガス配管工事の増加などにより、売上高は前期比約4パーセントの増加となりました。

器具販売工事における「器具」は、ガス空調のような大型機器や、一般ガス器具や「エネファーム」などのガス機器などを指しています。主に空調機器販売などの増加により、売上高は前期比約4パーセントの増加となりました。

他は、主に小売および卸売の電力販売を指しています。電力小売のお客さま件数の増加等に伴う販売量の増加や販売価格の上昇もあり、売上高が前期比約2.7倍と大きく増加しています。

この結果、その他事業全体での売上高は前期比26.1パーセント増の約73億円となりました。

2022年度決算【営業利益】

2022年度の営業利益についてご説明します。ガス事業は主に発電用途向けでの需要増に加え、期初に気温が低めに推移した影響により、家庭向けなどでも販売量が増加しました。

それに伴い購入数量が増加し、熱量調整用の原材料費やガスの製造・採取で使用する電気代も上昇したことから、売上原価も増加したものの、輸入エネルギー価格転嫁時期の期ズレの差などもあり、営業利益は前期比で5億6,600万円の増加となっています。

ヨウ素事業は販売数量の減少や売上原価の増加があったものの、輸出建値上昇および円安の影響により販売価格が上昇したため、31億1,800万円の増加となりました。

その他事業は売上高の増加があったものの、営業利益は前期並みとなりました。そのほか一般管理費などの全社費用が増加したことから、営業利益は前期と比べて33億6,700万円の増加となっています。

2022年度決算【経常利益・当期純利益】

2022年度決算の経常利益と当期純利益です。営業利益の増加に加え、受取配当金などの営業外収益が増加したことなどにより、経常利益は前期比35億円増の79億3,100万円となりました。

また前期に固定資産売却益を計上したことや、当期に投資有価証券の評価損を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比19億2,000万円増の47億6,600万円となりました。

2022年度決算【貸借対照表】

2022年12月末の貸借対照表です。2021年12月末との比較ですが、流動資産はガス売上高の増加に伴うガス売掛金の増加などにより増加しました。固定資産も関係会社への貸付金の増加に伴い、総資産は107億2,700万円増の1,098億2,300万円となっています。

また、ガス買掛金の増加等に伴い流動負債が増加したことや、利益増により純資産が増加したことなどにより、負債純資産合計は1,098億2,300万円となっています。

2023年業績予想【売上高】

2023年の業績予想についてご説明します。まず売上高全体ですが、主にLNG-CIF価格低下に伴い販売価格も低下する見込みです。それに加え、販売数量の減少およびガス事業売上高も11.5パーセントの減少を見込んでいることから、売上高は前期比8.6パーセント減の971億円となる見通しです。

なお、都市ガス・電気の小売事業者に対して2023年2月から10月にかけて行われる「電気・ガス価格激変緩和対策事業」での値引き部分および補助金の収入部分は、売上高に含めて表示しています。

事業ごとの売上高の増減理由は、21ページ以降で詳しくご説明します。

2023年業績予想【営業利益・経常利益・当期純利益】

営業利益、経常利益、当期純利益についてです。営業利益はガス事業の売上原価や費用の増加により、前期比9.6パーセント減少の66億円を見込んでいます。

経常利益は前期比10.5パーセント減の71億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.8パーセント減の43億円となる見込みです。

2023年業績予想【ガス事業:販売量】

ガス事業の販売量の見通しです。LNGネットワークについて、発電用途での需要が前期より少ないことから、前期比6.6パーセントの減少を見込んでいます。県産ガスネットワークは、2023年は年初の気温が低かった2022年前期と比べて気温が高めに推移する予想のため、前期比1.3パーセントの減少を見込んでいます。

その結果、2023年の全体のガス販売量は、前期比5.1パーセント減の10億1,300万立方メートルとなる見込みです。

2023年業績予想【ガス事業:売上高】

ガス事業の売上高の見通しです。為替が年間平均で前期より円高に推移するなど、前期に高騰していた輸入エネルギーであるLNG-CIF価格が、当期は多少落ち着くと見込んでおり、それに伴い、ガス販売価格は低下すると予想しています。

販売量も発電用途向けなどで減少を見込んでいることから、売上高は前期比11.5パーセント減の796億円となる見込みです。

2023年業績予想【ヨウ素事業:販売量】

ヨウ素事業における、ヨウ素およびヨウ化カリウムの販売量についてです。国内販売向けはほぼ横ばいとなるものの、輸出向けでは引き続き国際市場の需給がタイトなため、前期比1.5パーセントの増加を見込んでいます。この結果、前期比1.1パーセント増の1,720トンを見込んでいます。

2023年業績予想【ヨウ素事業:売上高】

ヨウ素事業の売上高についてです。

前期に引き続き好調な国際市況により、前期と比べて上期、下期ともに、ヨウ素の輸出建値および販売価格は上昇する見込みです。前期は期初から期末にかけて上昇し続けましたが、今期は上期がピークだと見ています。ただし年間を通して見ると、高値圏は維持する見込みです。

また、為替レートは前期の下期よりも円高に推移する見込みです。前期の下期は後半に円安が進行したことから、当期の上期は前期よりも若干円安に、下期は円高になると予想しています。売上高は前期比17パーセント増の104億円を見込んでいます。

2023年業績予想【その他:売上高】

その他の売上高についてです。電力事業は小売電力販売の増加に伴い、前期比約22パーセントの増加、器具販売事業は前期比約4パーセントの増加を見込んでいますが、建設事業は井戸掘削工事や地熱井掘削工事の受注減少を見込むことから、前期比約18パーセントの減少を見込んでいます。

その結果、売上高全体では前期比2.9パーセント減の71億円を見込んでいます。

2023年業績予想【営業利益】

営業利益についてです。今期は前期の73億400万円から約7億円減少し、66億円となる見込みです。

ガス事業は、販売量減少、掘削・生産・圧送に係る電力料の増加に加え、減価償却費、インボイス制度対応に伴う修繕費の増加、DX関連費用など、ガス供給販売に係る営業費用の増加などから3億円の減益を見込んでいます。

ヨウ素事業は、年間では輸出建値上昇を見込むものの、下期の為替が前期比で円高予想であることや売上原価の増加などにより、1億7,500万円の増加となる見込みです。

その他は、建設事業で売上高が大きく減少することに加え、電力事業において小売電力販売の仕入れ価格が上昇する見通しから、3億2,400万円の減少を見込んでいます。この結果、営業利益全体では7億円の減少となる見込みです。

2023年業績予想【経常利益・当期純利益】

営業利益減少に加えて営業外収益の減少などにより、経常利益は前期比10.5パーセント減の71億円を見込んでいます。また、特別損失や法人税等、少数株主持分の減少などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.8パーセント減の43億円となる見込みです。

配当金

配当金についてはスライドに記載のとおりです。冒頭サマリーでご説明しましたが、2円の増配を予定しています。

【補足資料】売上高の推移

売上高の推移です。2022年度の決算は2014年の当社設立以降、過去最高の売上高を記録しています。利益面でも、過去最高の経常利益を記録する結果となっています。

【補足資料】生産量・販売量の推移

ガスおよびヨウ素の生産量と販売量ですが、スライドに記載のとおりとなります。

【補足資料】ヨウ素関係資料

当社グループのヨウ素販売量とヨウ素輸出価格についてです。輸出価格は当社の輸出価格ではなく、輸出通関統計価格をもとに計算したものとなります。

【補足資料】利益の推移

利益の推移については、スライドをご覧ください。

【補足資料】指標の推移

指標の推移についても、同様にスライドに記載のとおりとなります。

【補足資料】設備投資額・減価償却費の推移

設備投資額および減価償却費の推移です。減価償却費については設備投資の増加に伴い、緩やかに増加を見込んでいます。設備投資額については、2022年も多かったですが、2023年はさらなる増加を見込んでいます。

2023年の設備投資額増加の主な理由ですが、スライド資料の右の赤色の囲みの中に記載しているように、その他で26億円と大きく増えています。こちらは、地熱井を掘削する高機能リグの導入や、都市ガスの供給監視制御用のシステム機械装置の更新などが主な内訳となっています。以上で、私からのご説明は終わります。

長期経営ビジョン「VISION2030」2030年 グループの向かう先

緑川昭夫氏(以下、緑川):緑川でございます。私からは簡単に長期経営ビジョンの概要についてご報告します。当社は2022年12月に、長期経営ビジョン「VISION2030」を定めました。

内容の詳細については別途資料でお送りしていますので、そちらをご確認いただければと思います。当社の事業の概要としては、スライドに記載のとおり、エネルギーの上流側、下流側、それと一緒に出てくるヨウ素、これら子会社のありたい姿というのを定めています。

上流側には関東天然瓦斯開発とWELMAがあります。WELMAは地熱の掘削の建設事業がメインですが、関東天然瓦斯開発は千葉県で天然ガスを掘ってエネルギーの資源開発をしています。また、再生可能エネルギーということで、WELMAは地熱の掘削事業、関東天然瓦斯開発は地熱全体の発電事業も手がけようとしています。

下流側では、大多喜ガスが都市ガスを販売しています。今後は、都市ガスだけではなく電気やプロパンガスなどを含めたエネルギーソリューションとして、エネルギーの供給を基盤としたエネルギーサービスを行う会社にしていこうと思っています。

かん水中に含まれているヨウ素については、昨年事業再編を行い、K&Oヨウ素株式会社という名前で新たに出発しています。この会社には大手商社の豊田通商も出資しており、豊田通商はアメリカとチリでヨウ素の生産をしています。

これらも含めて、グローバルなヨウ素の増産・拡販を2030年までに進めていきたいと考えています。そして、国内のヨウ素だけではなく、海外も視野に入れてアライアンスを強化しながら、ヨウ素の事業を拡大していきたいと思っています。

長期経営ビジョン「VISION2030」カーボンニュートラル

「VISION2030」の主たる活動として、カーボンニュートラルについてご紹介します。

スライドの青枠に2030年の目標を記載しています。GHG削減貢献量として、2021年比で年間30万トンのCO2換算の量を削減するという少し挑戦的な目標を掲げました。

スライド上部には、2050年のカーボンニュートラル実現のために当社が行っている内容を記載していますが、再生可能エネルギー発電の開発、エネルギーの脱炭素化、森林保全、GHG回収、メタネーションなどがあります。具体的に再生可能エネルギーにあたることとして、地熱発電、洋上風力発電、森林保全に挑戦しています。

メタネーションについては、メタン菌の試験的実験を行っています。CCSについても、関連する事業者と、研究開発を進めています。

先ほどもお伝えしたとおり、2030年までに年間30万トンのGHG削減を目標としています。具体的には「S+3E」にすぐれた千葉県産天然ガスの安定供給と、価格の安定性を継続することでお客さまの天然ガスシフトを促します。

石油・石炭から天然ガスになることで、GHGの削減貢献量として貢献していきたいと考えています。つまり、トランジション期にあたる2030年には非常に重要なエネルギー源である天然ガスをさらに拡大し、30万トンのCO2換算で削減をすることを目標としています。

その先については、企業の森ですとか、森林クレジットや日本のJークレジット制度のキャンセルなどクレジットを活用して、当社グループの天然ガス開発を続けていきたいと考えています。

質疑応答:メタン菌を用いたメタネーションの研究開発について

司会者:「メタン菌を用いたメタネーションの研究開発について、概要を教えてください」というご質問です。

緑川:こちらはまだラボレベルの基礎研究に近いのですが、国の開発研究機関とともに、「メタン菌」というかん水の中に含まれている菌を増幅させることで、電気的な刺激によりメタンの発生量が増えるのではないかと考え、こういった研究に関わっているということです。