2023年9月期第1四半期決算説明

小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社代表取締役社長の小椋です。当社グループの決算説明動画をご視聴くださいまして、ありがとうございます。

本日は、まず取締役副社長の天野より、2023年9月期第1四半期の業績と、業績見通しに対する進捗についてご説明申し上げた後、私から成長戦略についてのご説明と、当四半期の所感について触れさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

連結業績サマリー (対前年同期比、3か月累計比較)

天野治夫氏(以下、天野):天野治夫です。まずは、2023年9月期第1四半期の連結業績についてご説明します。連結業績のサマリーは、スライドのとおりです。第1四半期は、2022年11月11日開示の通期業績予想に対して、おおむね順調に推移しています。

売上高の推移

連結売上高の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高については、すべてリカーリングの性質による売上高であり、これまでと変わらず、四半期ごとに増加する傾向となっており、順調に推移しています。

売上高 (対前年同期比、3か月累計比較)

連結売上高の対前年同期比は、スライドのとおりです。HENNGE One事業の売上高は、対前年同期比で堅調に推移しています。

売上総利益の推移

売上総利益および売上総利益率の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。

売上総利益 (対前年同期比、3か月累計比較)

売上総利益および売上総利益率の対前年同期比は、スライドのとおりです。開発人員の増加や、為替変動によるHENNGE Oneのインフラコスト増などの影響により、売上総利益が若干減少しましたが、引き続き売上総利益率は高い水準を維持しています。

営業費用の構造 (対前年同期比、3か月累計比較)

営業費用の構造の対前年同期比は、スライドのとおりです。売上原価は、開発人員の増加や、為替変動の影響によるHENNGE Oneのインフラコスト増などにより増加しました。

人件費は、人員増に加え、2022年7月の社内制度の見直しの影響などにより、対前年同期比で増加しました。

広告宣伝費は「HENNGE NOW!」等のイベントの開催など、幅広い活動を実施した結果、増加しました。

その他販管費は、積極的な採用活動の実施や人員増に伴う社内システムの利用料の増加、旅費交通費の増加などにより増加しました。

営業費用の構造 (対前四半期比)

営業費用の構造の対前四半期比は、スライドのとおりです。売上原価は前述のとおり、為替変動の影響によるHENNGE Oneのインフラコスト増などにより増加しました。

広告宣伝費は、引き続き積極的な活動を実施しましたが、実施したコンテンツや手法が前年とは異なったこともあり、前四半期比で減少しました。

その他販管費については、積極的な採用活動は引き続き実施しているものの、一部施策の見直しに伴う一時的な採用活動費の減少などにより、前四半期比では減少しました。

売上高と営業費用の推移

売上高と営業費用の四半期での推移は、スライドのとおりです。

従業員(アルバイトを含まず)の構成

2023年第1四半期末時点での従業員の構成と人数は、スライドのとおりです。

従業員(アルバイトを含まず)の推移と構成

従業員数の過年度からの推移は、スライドのとおりです。今期目標は純増45名以上のところ、当四半期では全社で11名の純増となりました。引き続き、顧客獲得体制の強化のため、特にIT営業経験者を重点的に補強できるよう、人材獲得力の向上に資するような各種施策を実施していきます。

事業トピックス

次に、事業の進捗についてご説明します。事業トピックスは、スライドのとおりです。

HENNGE NOW!を開催

前述のとおり、当四半期の主な広告宣伝活動として、2022年10月に「HENNGE NOW!」を都内会場で開催しました。リアルでの開催は3年ぶりでした。

前回の「HENNGE NOW!」は2021年2月に1万人規模でオンライン上で開催しました。

今回の「HENNGE NOW!」は、新規顧客へのナーチャリング活動と、既存顧客への新機能や新サービスの利用促進を目指しました。最新のニーズをくみ取って進化し続けるHENNGE Oneや、弊社の各種取り組みのご紹介のほか、参加型のワークショップを複数設けることによって、情報システム担当者同士や弊社担当者との交流を深めていただく機会を作ることができました。

HENNGE Oneのマーケティング活動のイメージ図

今回開催した「HENNGE NOW!」と、前回開催した「HENNGE NOW!」の違いについてご説明します。

前回は、コロナ禍において急速に関心が高まったリモートワークやクラウドサービスの需要を捉え、潜在顧客リストを大幅にリフレッシュするため、幅広いお客さまを対象としたものでした。

しかし、今回の「HENNGE NOW!」は主に既存顧客の新機能や新サービスの利用促進を目的としており、お客さまとの、より密度の濃いコミュニケーションを実施するため、数百人規模のイベントとなりました。

なお、弊社のマーケティング活動の詳細については、2023年9月期第1四半期決算 Q&Aに記載しているため、あわせてご参照ください。

新サービス「tadrill」について

2022年11月に、年々リスクが高まっている標的型攻撃メールへの対応ニーズに応えるべく、新サービス「tadrill」をリリースしました。

「tadrill」を利用することにより、自社完結型の継続的、実践的なメール訓練と報告フローの定着化により、組織のセキュリティレベルの向上を実現することができます。

HENNGE One KPIのハイライト (対前期末比、3か月進捗)

KPIの進捗についてご説明します。前期末からのHENNGE Oneの各KPIの進捗は、スライドのとおりです。

HENNGE One KPI (対前年同期末比)

HENNGE OneのKPIの対前年同期比は、スライドのとおりです。

HENNGE One平均月次解約率の推移

平均月次解約率は、スライドのとおりの結果となりました。これまでと比較すると、やや解約が増加しており、その結果、当四半期では平均月次解約率が若干上昇しました。

これまでに見られた解約理由として、「企業の統廃合により別のシステムへと統一されてしまった」「クラウド移行の戦略自体を見直すことになってしまった」などがありました。2022年10月以降はそのような理由に加えて、既存顧客の契約更新時における社内利用サービスの見直しをきっかけとする解約も、若干発生しました。

今後の動向を注視していきますが、現時点では引き続き非常に低い水準を維持していると考えており、理論上の平均契約年数は約30年となっています。

HENNGE One契約企業数と契約ユーザ数の推移

契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。引き続き、営業体制の強化に課題が残っていますが、新規契約企業数は順調に増加しています。

契約ユーザ数は、販売パートナーとの連携強化により、比較的小規模な企業との契約を安定的に獲得できるようになったことと、これまでと比較すると解約がやや多かったことなどがあり、ご覧のような増加幅となりました。

HENNGE One ARRとARPUの推移

HENNGE One ARRとARPUの四半期ごとの推移は、スライドのとおりです。当四半期のARPUは、2021年10月以降、新規顧客に対しては新プランで販売していることや、2022年12月末時点で約2,000社の既存顧客のうち約4割が新プラン移行したことなど、複合的な要因で上昇しています。その結果、ARRは堅調な水準での着地となりました。

なお、解約を除き、当四半期に更新を迎える既存顧客の新プランへの移行は順調に進捗しており、今期末までに対象となるすべてのお客さまの新プランへの移行を完了させる予定で進めています。

2023年9月期の方針

2023年9月期の通期業績見通しに対する進捗についてご説明します。前回の決算説明会でもお伝えしたとおり、2023年9月期の方針は「HENNGE Oneの中期的なARR成長の加速を目指し 積極的なマーケティング活動を継続しつつ 人材獲得力の向上による体制強化を図る」としています。

HENNGE One事業については、契約企業数とARPUの向上によって、ARRの年間20パーセント以上の持続的成長を目指します。マーケティング活動については、お客さまとのリアルな対話を重視する各種イベントを開催するなど、大手企業、販売パートナー、既存顧客など、特定の層に重点をおいたアプローチを試みます。

また、引き続き当社や当社サービスの認知向上のための広告宣伝として、例えばインターネット広告、雑誌広告、交通広告、テレビCMなども幅広く実施していきます。

人員計画については、今後の成長のための全方位的な採用を行い、全社で45名以上の純増を目指します。新規顧客獲得体制強化のため、特にIT営業経験者を重点的に増強するほか、昨年度に引き続き、人材獲得力の向上に資するような各種施策を検討していきます。

連結業績見通し (通期)

連結業績見通しについては、2022年11月11日に発表した通期業績予想から変更はなく、スライドのとおりとなっています。

売上高の進捗

事業別売上高の過年度からの推移と、今期見通しに対する第1四半期の進捗は、スライドのとおりです。当第1四半期はおおむね順調に進捗しています。

営業費用(原価+販管費)の進捗

広告宣伝費と広告宣伝費を除いた営業費用の過年度からの推移と、今期見通しに対する第1四半期の進捗は、スライドのとおりです。

Vision

小椋:それでは最後に、当社の成長戦略についてご説明します。

当社の経営理念は、「テクノロジーの解放」です。私たちはテクノロジーが大好きで、テクノロジーが世の中をよくしていくと強く信じています。この力をできるだけたくさんのお客さまに届けることによって、世の中を少しでもよい方向に動かしたいというのが私たちの想いです。

当社は創業以来25年以上、この理念を掲げており、さまざまな分野、さまざまな方法でテクノロジーを解放してきました。その結果、SaaSはテクノロジー解放のための最もフェアで洗練された、効率的な手段であるという考えに至っています。

そのため、私たち自身もSaaSを提供しており、お客さまのSaaS活用をとおした変革を応援していきたいと考えています。

LTV最大化

このようなテクノロジーの解放を通して、私たちがお客さまに届けているテクノロジーの総量、理念の実現の証左となるのがLTV(ライフタイムバリュー)、すなわち私たちが保有している契約の総価値です。私たちの成長戦略は、このLTVの最大化を目指しています。

現在、平均契約年数「Y」と売上総利益率「r」は、すでに高い水準にあります。したがって、LTVの最大化にはARRの最大化が必要であるという状況です。

そのため私たちは、直近の営業利益の水準にこだわりすぎることなく、将来への投資を積極的に行い、ARRを積み増していきたいと考えています。

ARR最大化

ARRは、さらに3つの要素に分解できると考えています。契約企業数の「N」、平均ユーザ数の「n」、ユーザあたり単価のARPUです。

成長戦略の進捗 (HENNGE One)

HENNGE Oneにおける3つのKPIの実際の推移は、スライドの表のとおりです。HENNGE Oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルで、当期中に獲得した契約は解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上の基盤となっていきます。ご覧のとおり、HENNGE OneのARRは順調かつ安定的に積み上がってきています。

ARRの安定的な成長が見られる一方で、分母の拡大による成長率の鈍化が課題となっていました。しかしながら、2020年以降、COVID-19によって企業の行動様式が大きく変化しており、これからSaaSやクラウドの利用が拡大していくと確信しています。

この機会を捉えるべく、ARRの成長率の変曲点を作るための3ステップを、今まさに実施中です。

2021年9月期に実施した1ステップ目では、全国のディシジョンメーカー、販売パートナーなど、より幅広い層にHENNGE Oneの強みや当社のブランドを認知してもらうため、積極的なマーケティング費用の投下を行いました。また、新機能をリリースし、新プランも発表しました。

2022年9月期の2ステップ目では、2021年度に発表した新機能と、それに基づくHENNGE One新プランを主に新規顧客向けに展開しました。入退社数のバランスが悪化した影響で人員不足の状況が続いたことにより、ARR成長率は20パーセントに若干届かなかったものの、新規のお客さまのみならず、一部の既存のお客さまにも新プランを導入いただくことができ、「N」「ARPU」ともに堅調に増加しました。

3ステップ目にあたる2023年9月期には、この新機能と新プランを既存顧客にも展開しています。これら3つのステップを通して、「N」および「ARPU」の両方に作用する成長サイクルを作っていきたいと考えています。

最後に、当四半期の所感と今後の課題についてお話しします。契約ユーザ数の伸びはやや緩やかでしたが、脱PPAPなど最近の需要にマッチしたソリューションがIDaaSと同時に提供できる強みを活かした営業マーケティング活動を行った結果、新規顧客獲得やARPUは順調に増加しています。

契約企業数の伸びを見てもわかるように、マーケットの裾野が広がっていると実感しています。課題となっている新規顧客獲得体制を充実させることで、このトレンドをしっかりとつかみ取りたいと考えています。

そして、HENNGE Oneの価値をしっかりお客さまに伝え、理解していただくことにより、当初の計画どおり、今期中に既存顧客の新プランへの移行完了を推し進めます。それと同時に、引き続き積極的なマーケティング活動と人材獲得力強化による体制強化を行い、中期的なARR成長を加速していきたいと考えています。

2023年9月期以降の成長戦略

ご説明したような活動を通して、CAGRが20パーセント台中盤となる、中期的なARR成長を実現するため、まずはHENNGE OneのARR100億円以上の水準を目指します。

これからも認知度や接触可能な潜在顧客の数を向上させつつ、営業体制や販売パートナーとの連携の強化や、新機能の開発とリリースを行い、HENNGE Oneの付加価値を上げていくサイクルを継続的に行っていきます。それにより、その先も成長し続けるモデルを確立したいと考えています。

お客様の変革を応援するHENNGE Oneファミリー

HENNGE Oneは長い間、5つの主要機能と1つのオプションからなるIDaaSとして展開してきました。その後、2021年10月には3つの新機能を、2022年4月には「HENNGE Connect」を追加するなど、継続的な新機能の追加による価値の向上を実現しています。

加えて、2022年11月からは新サービス「tadrill」の提供も開始しました。これからも、HENNGE Oneの新機能のみならず、お客さまのニーズに合った新サービスも積極的に開発・展開していく予定です。

今後もお客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化するために、SaaS活用の分野で必要となる機能をどんどんと追加していき、SaaS活用によるお客さまの生産性の向上を強力にバックアップしていきます。

SaaSプラットフォームとしてHENNGE One

HENNGE Oneは、お客さまがSaaSを活用すればするほど価値が高まる性質をもつIDaaSを中核としたプラットフォームです。今後も私たちは、日本全国の企業でクラウドサービスの利用が拡大する流れを後押しするとともに、そのような流れの中でSaaS各社との連携を深めながら、SaaSプラットフォームとしての成長を図っていきたいと考えています。

以上、当社の2023年9月期第1四半期の決算についてご説明しました。本日はお忙しい中、当社の決算説明動画をご視聴くださいまして、誠にありがとうございました。

HENNGEの新サービスへの取り組み

今泉健氏(以下、今泉):HENNGEのプロダクト企画を担当している、今泉と申します。私からは、サービス提供の理念と直近のアップデートについてお話しします。

テクノロジーの解放

まず、サービス提供の理念についてです。私たちは、当社のビジョンである「テクノロジーの解放」を行うため、より多くのお客さまに対してテクノロジーの価値を提供したいと考え、これまでサービスを提供してきました。

特に最近では、企業のみなさまがより安心安全、そして便利に働くために、SaaSをはじめとするクラウド活用が重要だと考えており、企業の情報システムをつかさどる情報システム部門やITアドミニストレータの方を中心に支援しています。

この活動を通じて、お客さまの会社に成功をもたらし、情報システム部門やITアドミニストレータの方をヒーローにしていきたいと考えています。

3つの打ち手

そのためには、サービス提供の観点で3つの打ち手があると考えています。それが「当たり前を支える」「新しい課題への対応」「Connectivityの強化」です。

1. 当たり前を支える

1つ目の「当たり前を支える」についてです。私たちはクラウドサービスの入り口としての認証や、メールを取り扱う業務に不可欠なサービスを提供しており、可能な限りサービス停止がないように取り組んでいます。

SLAの設定やパフォーマンス向上にも日々取り組んでおり、当たり前に使えるサービスを当たり前に提供できるように、日々改善に取り組んでいます。

2. 新しい課題への対応

このようなしっかりとした土台を作った上での、2つ目の打ち手が「新しい課題への対応」です。企業の情報システムを取り巻く環境は日々変化しており、その中で出てくる新しい課題への対応も急務となっています。

脱PPAPや「情報セキュリティ10大脅威 2023」でも発表されている脅威への対応など、さまざまな課題があります。このような課題に対応するために、私たちは日々サービスをアップデートしています。

3. Connectivityの強化

3つ目は「Connectivityの強化」です。私たちのIDaaSは今、数百のクラウドサービスと認証の部分で連携していますが、今後も対応するサービスを増やし続けていきます。さらに今後は、認証連携のみならず、データも含めてのConnectivity(連携)をより強化し、プラットフォーム化を推進していきます。

直近のリリース

直近のリリースの中から、今回はスライドの赤枠部分のサービスについて簡単にご紹介します。

【IdP】HENNGE Connect

1つ目は「HENNGE Connect」です。VPNの代わりとなるもので、社外からオンプレミスの資産へのリモートアクセスを実現するためのサービスです。

クラウドサービスの導入を進めていく中、多くの企業にはクラウドに移行できないオンプレミス資産が存在しています。そのような中で、社外にいる従業員がクラウドサービスを利用する際に、オンプレミス資産の利用時と同様にVPN経由でアクセスすることによるネットワーク帯域の圧迫や、ランサムウェア等で狙われるVPNのセキュリティリスク等の課題が発生しています。

このような課題を解決するサービスが「HENNGE Connect」で、メリットは大きく3つあります。まず、VPN機器のような特別なネットワーク機器が不要で、シンプルに始めることができます。次に、機器を置かないことによって、攻撃リスクおよびネットワーク負荷を低減できます。そして、我々のIDaaSでアクセス制御を行うことによって、セキュリティを向上できます。

リモートワーク対応やランサムウェアなどの新しい課題や、オンプレミスも含めたConnectivityの観点でリリースした機能の1つです。

【Messaging Security】HENNGE Secure Download

2つ目は、社会的なトレンドである脱PPAPを実現するためのサービス「HENNGE Secure Download」です。私たちのファイル転送サービスを利用することで、メールの添付ファイルを自動的に、手間なく安全に送ることができます。

メールの誤送信対策である「HENNGE E-Mail DLP」の1機能として提供しており、脱PPAPの実現に加え、メールの誤送信のリスクを低減することができます。

脱PPAPの実現という新しい課題への対応が可能で、好評なサービスの1つです。

【Messaging Security】HENNGE Cloud Protectionのアップデート

3つ目は「HENNGE Cloud Protection」のアップデートです。「HENNGE Cloud Protection」は「Microsoft 365」向けのセキュリティ対策で、従来のマルウェア対策では実現できなかった未知の脅威への対応が可能となるサービスです。

従来は、メールサービスである「Exchange Online」のみに対応していましたが、Connectivityの強化として「SharePoint Online」や「OneDrive」へ対応範囲を広げ、先日「Microsoft Teams」のファイルにも対応可能になりました。

我々のお客さまの多くが「Microsoft 365」ユーザのため、お客さまのセキュリティ向上という新しい価値の提供が可能となっています。このように「Microsoft 365」で行われるコミュニケーションを、新しいリスクから包括的に守り、安全安心に仕事ができる環境を作っていきます。

【新サービス】tadrillをリリース

そして最後に「tadrill」のリリースです。HENNGE Oneを使っているお客さまを中心に提供しており、現在多くの引き合いをいただいています。従業員のセキュリティ意識を向上するとともに、実際に攻撃を受けた際に従業員が適切に対応できる土壌を作るためのサービスです。

このサービスのポイントは大きく2つあります。1つは、自社完結型の訓練によるセキュリティ意識の向上です。実践的なメール攻撃訓練を、任意のタイミングで任意の従業員に対して何度でも行うことができ、セキュリティ意識の向上を実現します。

もう1つは、手軽に迅速な報告が可能なアドオンを提供することによって、報告するアクションの定着化を図れるというものです。訓練だけではなく、実際に不審なメールを受け取った際にも利用できるため、「怪しいメールが来たらこれを行ってください」という適切なアクションを、非常に簡単に定着させることができます。

操作イメージ

操作イメージです。スライド左側のように、不審なメールを受け取った際に、わずか2クリックで自社のIT管理者に報告できます。

HENNGE 3つの打ち手

まとめです。我々のサービスの提供の軸となる、3つの打ち手に関してお話ししました。

HENNGEのこれまでとこれから

具体例として、一部のリリースされたサービスについてお話ししましたが、今後も強力なアップデートを計画しています。

SaaSは継続的な価値の提供が必要だと考えているため、今後も3つの打ち手を軸にサービスを提供していきながら、より大きな価値を、より多くのお客さまに対して提供していきます。そして、その結果として、ARPU、ARR、LTVの向上に繋げていきたいと考えています。

私からのご説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:事業開発部門の活動内容および体制について

小林遼氏(以下、小林):今泉さんの部署であるProduct Planning & Research Divisionは、スライドの12ページや13ページで事業開発と表されています。どのような活動をどのような体制で行っているのかについて、あらためてご紹介をお願いいたします。

今泉:我々は、セールスやカスタマー・サクセスのメンバーからお客さまの情報や声を集め、「お客さまがどのようなものを欲しているか」「今の市場ではどのようなものが流行っているか」「今後どのようなものがトレンドになるだろうか」というところを、しっかりと見定めていく活動を進めています。

そして、開発部門やカスタマー・サクセス、セールスのメンバーと話し合った上で、どのようなものを作るかを決めつつ、HENNGE Oneも含めたプロダクトの改善にも注力し、「tadrill」のような新しいサービスの開発に活かしていくような体制になっています。

決算説明資料には、事業開発部門のメンバー数が8名と記載してあり、非常に少なく思われるかもしれません。しかしながら、私たちは会社全体を巻き込み、お客さまのためになるようなものを作っていっている部門です。

質疑応答:新料金プランの導入によるARPUの変動について

司会者:「新料金プランにすべての顧客が移行した場合、想定されるARPUはどの程度になりますか?」というご質問です。

小林:よく聞かれる内容ですが、私たちは金額を開示しておりません。2019年6月に発表しているプランと、2021年10月に発表しているプランとを比べると、2割ぐらい上昇しています。したがって、相対的に高いプランになっていることは間違いないと考えています。

そこから、それぞれの相場に応じて、例えば販売パートナーにコミッションをお渡ししたり、ボリュームディスカウントをする部分もあります。そのため、完全な比較はできませんが、上げ幅はあるとご理解いただければと思っています。

今後、先ほど今泉がご説明したような新しいサービスの開発に取り組んでいき、HENNGE Oneというサービス自体の付加価値をどんどんと上げていくことによって、ARPUに関しても向上できる体制を作っていく方針です。

質疑応答:契約企業数が増加した背景と今後の動向について

質問者:契約企業数の第1四半期の伸びについての質問です。契約企業数は前四半期比で97社増えていますが、前回の第4四半期も、前四半期比で74社増加しています。これに対し、過去の取り組みの成果によってSMB(Small Medium Business)を中心に契約企業数が増えており、その水準が上がってきているというご説明がありました。

今回の97社という増加数は、過去の取り組みが成果として表れているのか、水準そのものが少し変わってきているのか、それとも一時的にSMBが少し増えている状況なのでしょうか? 背景や今後の動向をどのように見ているかを含めて教えてください。

小林:契約企業数が97社増加したことについては、前四半期のトレンドと似ていると思っています。

前四半期でお伝えした内容と同様に、販売パートナーとのリレーションを強化してきた成果がしっかりと出てきています。その結果、SMBのお客さまに対するアプローチも十分に行うことができ、安定して契約を獲得できています。この状態が当第1四半期においても継続していたため、安定的に契約が獲得できたいい四半期だったと思っています。

ただし、SMBだけを狙っているわけではなく、当社のメインターゲットである従業員数300名から5,000名規模の企業にアプローチを行っていますし、また、それよりも規模が大きな企業にも、小さな企業にもアプローチをかけている状況です。

契約企業数に関しては、安定的に増やしていきたいところですので、今後も継続的にトレンドを見ていければなと思っています。

質疑応答:今期の採用実績と今後の営業人員採用計画について

質問者:人材採用について、今年は45名の増員を目指しているというご説明がありました。また、第1四半期は純増で11名採用という結果でした。

一般的には、第2四半期のほうが採用しやすいと思うのですが、今後の計画はどのようになっているのでしょうか? 特に、御社の営業人員の獲得に注力していくという計画についても教えていただきたいと思います。

小林:当社としては、今期の第1四半期で11名を獲得できた実績については、マイナスだった前年同期と比較すると、しっかりと獲得できた四半期だと思っています。

今のところ採用は順調に進んでいますが、先ほどおっしゃったように、日本のマーケットでは、3月から4月にかけて人材がよく動きます。そのため、その時期にまたしっかりと採用できればと考えています。

ただし、内訳を見ると、当社が増強したいと思っているセールスの人員に関しては、プラス2名という数字で、ここに関しては少し課題が残っていると感じています。そのため、この先セールスの人員を十分に獲得していけるよう、着実に採用活動を行っていければと思っています。

質疑応答:既存顧客の新料金プランへの移行の進捗について

質問者:ARPUについてです。前期末までで、だいたい2割から3割ぐらいの既存のお客さまが新料金プランへ移行し、今期中に残りの既存のお客さまが移行するというご説明がありました。今期の第1四半期には、だいたい何割ぐらいの既存のお客さまが移行されたのでしょうか? 

小林:前期末時点でだいたい3割ぐらいの既存のお客さまが新料金プランに移行していて、この第1四半期末にだいたい4割ぐらい移行されています。ですので、10パーセント積み増された状況です。

この先まだ6割の既存顧客が残っており、まだ道半ばではありますが、当社のサービスの価値をしっかりと感じていただき、新料金プランへの移行を確実に進めていければと思っています。

質疑応答:今期のARRと売上高予想における既存顧客のARPU上昇の織り込みについて

天野:前述の質問に関連し、「今期のARRと売上高には、既存顧客の新プラン移行によるARPU上昇を織り込んでいますか?」というご質問が届いています。これについては、織り込んでいるという回答でよろしいでしょうか?

小林:既存顧客の新プラン移行によるARPU上昇は織り込んでいます。そこに関しては当期のトピックスの1つで従前から対応していくべきものだとお伝えしていた部分でもあり、影響は織り込んだ数字となっております。

質疑応答:既存顧客の新料金プラン移行の計画について

質問者:既存顧客の新プランへの移行割合について、第1四半期末時点で4割という実績は低いようにも感じました。おそらく契約更新の時期も関係していると思いますが、移行の割合がより明確に上がっていく時期については、どのように予測されていますか? これからの営業努力次第でしょうか?

小林:お客さまの契約の更新のタイミング次第になってきます。1つ言えるとすれば、日本の多くの企業は3月決算です。当社のサービスは、会計期間とだいたい一致して導入しているケースが多いため、3月から4月あたりに増える傾向はあると思っています。

ただし、大きなシーズナリティはないと考えています。そのため、残りの9ヶ月で、残り6割の既存のお客さまに移行していただければと思っています。

質疑応答:競合他社の動向について

司会者:「同様のサービスを提供している競合他社、ライバルの追い上げについては、どのように捉えていますか?」というご質問です。

小林:競合他社については、みなさまからよく質問をいただきます。海外企業にも、日本国内の企業にも、IDaaSを提供しているという意味で競合はいらっしゃいますが、ここ過去1年から2年の動向を見ても、最近のトレンドは、あまり大きく変わっていないというのが正直な感想です。

我々はIDaaSだけでなく、Eメールセキュリティも力を入れてやっておりますので、その軸でクラウドのセキュリティを守るという総合的なソリューションを提供してるのは現状我々だけかなと思っております。 そのような強みを生かして、どんどんと他社との差別化を図っていっている状況です。

※当社では決算でご質問いただくことが多いのではないかという想定質問「2023年9月期第1四半期決算 Q&A」をIRサイトで開示していますので、そちらも合わせてご覧いただければ幸いです。