中期経営計画 実行スローガン

増田典久氏(以下、増田):みなさま、おはようございます。昨年12月、MITホールディングス株式会社の代表取締役社長に就任いたしました、増田と申します。向こう3年、および2030年に向け、当社は新たな中期経営計画を立てました。本日はこちらについて、できる限り詳しくご説明したいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、中期経営計画を実行していくにあたり、「Pro’s TeQ」をスローガンに定めました。「Profit」「Sales」「Technology」「Quality」の頭文字から成る造語で、「高度な技術者と高品質な製品サービスを育成し、高度な技術力で社会に貢献するTECH企業を目指す」という意味です。当社は「TECH企業を目指すこと」を1つの大きな目標としています。

今後は、こちらのスローガンをもとに、全社員一丸となって、技術で貢献できる会社になることに重点を置き、中期経営計画を実行していきたいと思います。

目次

増田:今回の中期経営計画は2部構成となっています。第1部では基本戦略として会社全体の大きな方針や戦略を、第2部では主要サービスの成長戦略として各種サービスをご紹介します。

1. 2030年に向けた達成目標

増田:MITグループでは、2030年に向けた達成目標として、新たに「ITプラットフォームビルダー」「ITプラットフォームプロバイダー」という2つのキーワードを定めています。

「ITプラットフォームビルダー」は社会の基盤となり得る公共サービス、金融、通信、エネルギーなどの社会インフラを支えるシステムの構築と運用を担うサービスです。我々は本サービスの開発を、30年を超える実績のもとで進めており、今後も当社のビジネス基盤として継続的に発展させていくつもりです。

「ITプラットフォームプロバイダー」は、社会の課題を解決する場として、1つのプラットフォームとなるシステムを開発し、デジタル化を通じて企業と人、企業と企業、人と人をつなげる、当社独自の製品を主力としたDXソリューションサービスです。

1. 2030年に向けた達成目標

増田:「売上高100億円」「時価総額100億円」「営業利益率10パーセント」は、2030年に向けた達成目標です。スライドの左下に2022年11月期の業績を記載しています。売上43億円、時価総額14億円、営業利益2.8パーセントでしたが、2030年に向けてこの数字をぐっと伸ばしていきます。

その過程となる2025年までの3年間は、この中期経営計画が主たる計画になり、2025年11月期は売上高60億円、営業利益率5パーセントを中間目標に定めています。ご参考までに、我々は2020年に上場し、その時点で5年後の目標を定めました。「2025年に、2020年当時の売上高38億円から50パーセント増とする」という目標で、こちらに関しても2025年に達成する計画となっています。

2. 中期経営計画の基本戦略

増田:当社のビジネスを構成する2つのサービスについてお話しします。まず、システムインテグレーションサービスは、安定的成長事業として経営の基盤になっています。社会インフラ系や大規模システム開発を中心に、長年さまざまな分野で開発を行っています。一方で、DXソリューションサービスは、戦略的な拡大成長および今後の高収益事業を目指して取り組んでいるところです。

これらはともにシナジーがあります。スライド中央に記載のとおり、戦略としては、システムインテグレーションサービスのエンジニア育成投資と顧客満足度の向上による、安定的な売上成長の実績を基盤とし、DXソリューションサービスに投資していく構造です。

DXソリューションサービスでは、今後も積極的に研究開発や広告など、戦略を打っていくつもりです。また、我々がTECH企業を目指すという意味で、非常に重要なリソースとなる人材への投資と開発は、両サービスともに行っていくつもりです。

2. 中期経営計画の基本戦略 (売上計画)

増田:スライドのグラフをご覧いただければおわかりいただけると思いますが、今後の売上計画は、システムインテグレーションサービスが基盤です。年間平均成長率(CAGR)は7パーセントで、この数字は2030年まで安定的かつ着実に伸びていくと思います。

一方で、DXソリューションサービスの年間平均成長率は27.5パーセントです。非常に利益率が高い商材を保有しているため、積極的に展開し、利益率を全体的に押し上げていく計画です。ちなみに、DXソリューションの売上は現状11パーセント、3年後の2025年には20パーセント、2030年には30パーセント以上を目指しており、非常に大きな戦略として考えています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ご質問をしながら、進めていきたいと思います。この中期経営計画においてDXソリューションサービスの成長を促すというお話がありました。こちらは、既存の2つの製品を中心に展開していくのか、あるいは2025年、2030年までに新しい大型サービスをローンチする予定があるのか、傾向も含めて教えていただきたいと思います。

増田:グループの主力なソリューション製品として「Wisebook」と「DynaCAD」があります。この2つを重点戦略として随時伸ばしていく想定です。

しかし、2030年までには向こう8年もあるため、新たなソリューションを生み出す必要性はあります。それは、時代のニーズに応じた、あるいは移り変わりの激しい「DX」というキーワードの中で必要とされるコンテンツです。我々のグループには、昔から「積極的に新しく生み出して、挑戦していく」というポリシーがあるため、新たな商材やサービスをリリースできるように構想を進めています。

2. 中期経営計画の基本戦略 (利益計画)

増田:スライドをご覧ください。こちらが、2022年度、2025年度、2030年度の利益計画です。濃いオレンジが売上高、薄いオレンジが売上総利益です。それぞれ、左端がシステム開発、いわゆるシステムインテグレーション系、中央がDXソリューションの利益率となっています。

この2つを足すとグラフ右端の「合計」となります。また、緑のグラフは営業利益率で、2022年度は2.8パーセントです。DXソリューションの高い利益率のサービスへと重点的にシフトさせ、全体的な利益率を押し上げる計画のため、2030年度には営業利益率が10パーセントになると目論んでいます。

3. 中期経営計画の重点施策

増田:重点施策の1つ目は「自社製品ソリューション」です。「Wisebook」シリーズはデジタルブック製品で、2023年度にEdTechに本格参入します。3年後には3D化させ、教育の現場を変えていくソリューションとなっています。3年後の累計導入数は3,000社、現在から約2,500社の拡大を計画しています。

また、「DynaCAD」シリーズは、歴史ある製品で、建設・土木に使われる図面作成支援ソフトです。今後は3D-CADに拡大し、3年後には300自治体、現在から100自治体の拡大を計画しています。

重点施策の2つ目は「人材の確保と育成」です。システム開発に携わる我々にとっては、人員計画が肝となります。システムインテグレーションサービスの従業員として2025年度に500名、現在から187名の増員計画を立てています。また、「キャリア採用」では、目的別に必要な人材を採用し、「高度技術者の育成」を予定しています。

重点施策の3つ目は「M&Aアライアンス戦略」です。スライド左下に、最近行ったM&Aの実績として3社載せています。さらにアライアンスとして、各企業との提携により、ITプラットフォームの提供を強化していきます。現在はNTTドコモ、キンコーズ・ジャパンと「Wisebook」シリーズのOEM契約を締結しています。

以上にポイントを置いて、最終的な計画や目標達成に向けて推進し、後にITプラットフォームビルダーおよびITプラットフォームプロバイダーに変革する計画となります。

4. 中期経営計画の財務指標

増田:財務指標はスライドに記載のとおりです。2025年度までの売上高および営業利益と営業利益率を示しています。3年後には売上高60億円、営業利益率5パーセント、営業利益3億円を計画しています。

スライド左側に、システムインテグレーションサービスとDXソリューションサービスの内訳があります。システムインテグレーションは、現在の38億円から48億円に、DXソリューションサービスは5億円から12億円に押し上げることで、営業利益も上げていきます。結果として、営業利益率5パーセント、ROE15パーセント以上を目指す財務指標です。

5. 配当政策の基本方針

増田:配当政策についてお話しします。2020年度は普通配当5円と記念配当2円の合計7円、2021年度および2022年度も7円でしたが、2023年度は8円の計画です。内部留保を充分に蓄え、経営基盤を強化することはもちろん、株主のみなさまに向けても安定的かつ継続的な配当を維持するという意味で、今回新たに「配当性向30パーセント以上」を基本方針として定めています。

1. システムインテグレーションサービスの成長戦略

増田:第2部の主要サービスの成長戦略に移ります。1つ目は、当社の経営基盤であるシステムインテグレーションサービスの成長戦略についてです。我々は30年以上にわたり、社会インフラにかかわる大きな開発に携わってきました。スライドには、統計上の売上分布を示しています。

特に多いのが公共系のシステムです。こちらは、中央省庁・自治体向けなど、さまざまなところで使われています。みなさまが使用されている社会インフラの一部を我々も開発しています。既存のお客さまや国の新たな政策に伴う改造など、開発は多岐にわたるため、今後もさらに伸ばしていきたいと考えています。

スライドのグラフのとおり、業種によって伸び率は若干異なりますが、全体的に伸ばしていきたいと思っています。DXソリューションサービスよりも、システムインテグレーションサービスを下げるのではなく、ともに伸ばしていくことを目指しています。

1. システムインテグレーションサービスの成長戦略

増田:システムインテグレーションサービスにおいては、人材の確保と育成が非常に重要な課題となります。どのように採用し、育成していくのかがポイントです。スライド左下には、システムインテグレーションサービス単体の社員数を記載しています。2022年度は274名から39名増員しました。

今後も安定的に社員数を増やしていく予定です。本年度は58名、来年度は64名、3年後は65名を増員し、延べ500名体制にすることを計画しています。新卒採用はもちろんのこと、中途採用も定期的に強化していきます。

キャリア採用については、エンジニアとして多様な働き方ができる環境作りを進めています。働き方改革が進む中、埋もれている優秀な人材を発掘したいと思っています。例えば、年齢、あるいは子どもや高齢者と生活をともにする家庭環境など、さまざまな理由や制限をできる限り取り払い、どのように発掘していくかに重点を置いています。また、必要なキャリアパスを持った他業種からの人材の受け入れなども積極的に実施していきます。

高度技術者の育成については、社内の教育技術研修などがメインです。そのためのプロジェクトを立ち上げ、資格取得支援を行いながら優秀な技術者の育成を目指しています。また、売上単価および利益率を向上させる意味でも、エンジニアのスキルの底上げにより市場価値を上げていくことを重要視しています。

坂本:成長にかかわる人材採用というのは、非常に重要なポイントだと思いますので、具体的にうかがいたいと思います。御社はM&Aを実施していますが、中途採用と新卒採用の両方を行う上で、どのような割合を想定しているのか、システムインテグレーションサービス以外の分野も含め、イメージを教えていただけますか? 特に2025年に向けて均等に採用するのか、あるいは適宜採用するのかをおしえてください。

増田:M&Aによる増員は、もちろん戦略の1つとして考えていますが、現在の人員計画において例えば1割など、具体的な数値を設定しているわけではありません。M&Aによる増員は純増というイメージで考えています。

また、経験者の採用も非常に重要ですので、技術者の中途採用も強化していきたいと考えています。新卒に関しては定期的に数十名採用しており、多くの人材を確保できています。具体的には、20名から25名くらいの増員計画です。

中途と新卒の割合については、年間で平均するとほぼ五分五分となっているのが現状です。今後もそのようなかたちで進むのではないかと考えています。

坂本:システムインテグレーションサービスとDXソリューションサービスの人員配分についてうかがいます。基本的に、採用した方の大半がシステムインテグレーションサービスに配属される計画なのか、あるいは中途採用においては、DXソリューションサービスに配属される方がやや多いのか、人員配分について教えてください。

増田:2025年度の従業員数500名は、あくまでもシステムインテグレーションサービスにおける人員数と考えています。一方で、DXソリューションサービスには、現状40名近く在籍していますが、この人員数はスライド記載の従業員数には含まれていません。

ただし、採用口はシステムインテグレーションサービスとなりますが、その中からいわゆるジョブ型というかたちで、目的に応じてDXソリューションサービスに展開していく構想を持っています。

坂本:ご説明いただいた以外に、他社と異なる採用戦略をお持ちでしたら教えていただけますか?

増田:非常に難しいご質問ですね。技術者不足は各社共通の課題であり、現在は取り合いの様相を呈しています。普通の採用募集で獲得できる状況ではないため、昨今では早めにスカウトすることがあります。

さらに、未経験者を採用し、2ヶ月から3ヶ月間の基礎研修と、その後のOJTにより、しっかりと育成するなど、門戸を広げて確保する方法も考えています。しかし、計画どおりに採用できても、一方では退職者が出てしまうという問題があります。

退職者が出ると現状を維持することができません。そのため、より魅力のあるTECH企業になることが求められます。また、この先「よい技術者になれるんだ」という望みや、夢を描けるような会社になることも重要だと考えています。今後は、社員が当社グループの一員であることに誇りを持ち、結果として退職率が下がるような会社を目指していきたいと思います。

2. DXソリューションサービスの成長戦略

増田:DXソリューションサービスの成長戦略についてです。スライド左下が2022年度で、右上が2030年度になります。その過程におけるストーリーを、簡略化して記載しています。2022年度には、自社製品として「The Meal」「自治体申請ナビ」を市場に出しました。主力の「Wisebook」については、キンコーズ・ジャパンやNTTドコモと提携しています。

続いて、2023年度です。まず、スライド下部中央に記載している「足場図面設計」についてお話します。マンションやビルは15年から20年経過するごとに大規模修繕が行われます。その時に組む足場を設計する会社とのM&Aを実施しました。ニッチな市場ではありますが、関東圏においては占有率が高く、非常に利益率の高いビジネスになっています。今後はそのような市場でも展開していきます。

「Wisebook」についてはEdTechサービスを開始します。また、業種別あるいは目的別のプラットフォームを構築し、提携先をさらに広げて海外にも展開します。さらに、機能を順次拡張していき、2025年度には「Wisebook EdTech-3D」というサービスを開始する計画です。その時点で「Wisebook」の累計導入3,000社を目指しています。

スライド下部に記載している主力製品の「DynaCAD」には、現在2D(2次元)の「DynaCAD」と3D(3次元)の「DynaCAD CUBE」があります。昨今では3Dの需要が高まりつつあるため、3Dへの乗り換え促進を行っていきます。

その先の2030年度においては、「Wisebook」シリーズの累計導入5,000社を大きな目標とし、デジタルブック市場でのNo.1を目指します。「DynaCAD」シリーズは、累計導入500自治体を目指し、最終的には「DynaCAD」の2Dを3Dに統合していくイメージで販売戦略を立てている状況です。

坂本:3Dのほうが単価は高いのですか?

増田:もちろん、3Dのほうが高いです。

坂本:それでは、3Dが売上利益に貢献する可能性があるということですか?

増田:おっしゃるとおりです。

2. DXソリューションサービスの成長戦略

増田:「Wisebook」は文書配信プラットフォームです。PDFをドラッグ&ドロップすることで、簡単にデジタルブック化できるという特徴があります。業界唯一となるカスタマイズ可能ということが、お客さまに選ばれている大きな理由の1つです。

お客さまが独自にデータベースと連携したり、さまざまな統計結果を反映させたりと、非常に柔軟にニーズに応えられる仕組みとなっています。今後はこれを積極的に拡大し、躍進させていきたいと考えています。

成長戦略の背景についてご説明します。近年、DXというキーワードをよく耳にするようになりましたが、中でもデジタルブックが伸びてきています。ペーパーレスの促進は、印刷代、紙代、保管費などのコストカットにつながるため、非常にニーズが高まっています。

また、現状のデジタルブック市場は、コミック系が8割強です。しかし今後は、事業で必要な文書類の電子化がぐっとコミック系に近づき、双方伸びながら大きく成長していきます。そこに社会ニーズに応じたユニークな製品を出していくことが、成長戦略の根拠だと考えています。

坂本:「Wisebook」のイメージを膨らませるためにおうかがいしたいのですが、DX化の必要性が高まる中、「Wisebook」がリリース当初には想定していなかった使われ方をしていたケースはありますか? 

増田:想定していなかったわけではありませんが、やはりデジタルブックは電子コミックのイメージが強く、同じように「簡単にページをめくることができるのか」「メモを挟むことができるのか」といった機能を求めているお客さまが多いのではないかと感じていました。

一方で、当社の特徴の1つでもあるこのマーケティングツールでは、紙面上での「ピンチイン/ピンチアウト」「カーソルを置く」などの動きを分析できます。紙面のどこを集中的に見ているかを捉え、そこに色を付けることで、注目されているポイントを「見える化」することが可能です。それが経営戦略につながっていくという面では、この機能が非常に大きな魅力として使われており、今後もより強化していこうと考えています。

坂本:ツールを導入している企業は、色付けされた部分を見るだけで今後のマーケティングにつなげることができるということですね。

2. DXソリューションサービスの成長戦略

増田:「Wisebook」シリーズでは、2025年度に「Wisebook EdTech-3D」のリリースを目指しています。スライド左下の写真をご覧ください。このようにVRやARの技術を駆使した、仮想現実の学習システムを実現していきます。

さまざまなビューアになる「Wisebook」を通じて、EdTechと言われる教育領域を支援していきます。講師、受講者、必要となる教材など、あらゆる情報を蓄積して捉えることができます。

例えば「生徒がどこを勉強して、どのようなスキルを身に付けたのか」、あるいは「どのように学習効率を上げているのか」「どういうゴールを目指しているのか」など、学習現場における多様な情報をデータベース化します。それをクラウドで展開しつつ、VR等の技術を駆使して、学習の追究をしていきます。2Dのものは今期の夏頃にサービスを開始し、3年後には3Dのリリースに向けて動いていきます。

2. DXソリューションサービスの成長戦略

増田:DXソリューションサービスにおけるもう1つの主力製品が「DynaCAD」で、2D版と3D版をリリースしています。こちらは、図面作成プラットフォームとなっており、手描き感覚で使いやすいと非常に評判です。30年近く使われていて、バージョンも進んでいます。

現在は、スライドに記載している日本地図の赤い部分が示す11県庁にて導入されています。地図には記載していませんが、県庁以外にも約200自治体で使われている、非常に実績のある製品です。

3D化が進む背景には、国土交通省が2025年度の全面活用に向けて推進している「i-Construction」という取り組みが挙げられます。特に土木分野はデジタル化が遅れており、今後は3Dの需要が増える想定です。

先ほど足場図面設計についてお話ししましたが、大量発生する老朽化マンションに15年から20年のサイクルで大規模な修繕を施すなど、非常に多くの需要が見込まれるため、業務支援なども考えながら、販売とともに現場を支えるソリューションとして成長させていくつもりです。

増井麻里子氏:今後、導入する自治体の数が増えていくイメージはお持ちですか?

増田:スライドにも記載のとおり、2030年度には500自治体を目指しています。割合で言いますと、2023年度は20自治体、翌年度は30自治体、翌々年度は50自治体と徐々に増やしていき、2025年度には、現状の200自治体より100自治体を増やして300自治体にする計画です。

坂本:現時点で未開拓の自治体については、すでに他社製品の導入が決まっていて、それが標準化されている印象もあるのですが、今後も導入する県庁や自治体は増えていく業界なのかを教えていただけますか?

増田:県庁レベルでは、もう固まったポジショニングが出来上がっています。しかし、市町村および外郭団体などを含めると、まだ3割から4割くらいまでしか広がっていないのが現状です。

ただし、「DynaCAD」は、他社製品からの乗り換えも盛んです。我々が1つのメリットとしているのは、「サブスクリプション」と「永久ライセンス」の中から、ライセンス形態を選択できる点です。サブスクリプション形態だけでは、どうしても2年後くらいには、永久ライセンスの買い取り価格を超えて、掛かるコストが逆転されてしまいます。

つまり、「運転コストを下げるためには、買い取りのほうがいい」という考え方から、実績のある当社への乗り換えが増えているのです。自治体は、現在全国に1,700団体ほどありますが、ゆくゆくはその約3分の1を確保していきたいと考えています。

2. DXソリューションサービスの成長戦略

増田:最後になりますが、その他のDXソリューションサービスをご紹介します。1つ目は、昨年リリースしたスマート自治体サービス「自治体申請ナビ」です。現在、茨城県守谷市で活用されています。こちらはデジタル庁が推進している「書かない窓口」の実現に向け、支援を行うシステムです。スマートフォンなどで申請書類にあらかじめ入力しておけば、役所で記入する手間が省けるソリューションです。

2つ目は、食事予約クラウドシステム「The Meal」です。スマートフォンから食事の予約ができます。こちらのメリットは、予約によって食材の量が決まるため、フードロス対策になります。街にあるレストランではなく、社員食堂や学生食堂などでご利用いただける製品です。食堂に行けば顔認証で発券・決済でき、タッチレス・キャッシュレスで食事ができます。

3つ目は、駐輪場管理を無人化するシステム「So-Manager」です。空き駐輪場の検索はもちろん、駐輪場定期券の発行などをキャッシュレスで行い、入力の手間を省く個人情報レスで展開しています。現在、東京都の複数の区で導入されています。

4つ目は、工場稼働管理IoTシステムです。工場が問題なく稼働しているかモニタリングし、不具合はセンサーで検知します。DXソリューションサービスでは、このような自社製品を展開しています。

大きな方針として、このDXソリューションサービスを重点的に強化していくことにより、2030年度の売上高100億円、営業利益10億円を目指して、躍進していきたいと考えています。以上、「もっとみなさまにITを提供させていただきたい」、MITホールディングスでした。

質疑応答:「Wisebook EdTechクラウド」について

坂本:「『Wisebook EdTechクラウド』について、VR、AR技術を教育現場で活用するイメージが湧かないため、具体的に教えてください」というご質問です。こちらは御社がフォーマットを提供し、ソフトウェアは他社のものを入れるかたちなのですか?

増田:ソフトウェアをクラウドで提供するサービスです。教育現場にかかわるさまざまな方が「今どのような教育をしているのか」あるいは「今後はこの生徒にこのような教育を仕掛けたい」など、AI技術によって先生側の負担を軽減させます。そして「現在」ではなく「先のゴール」を見据え、どのようなカリキュラムを作るべきなのかまで支援するプラットフォームです。

教材を作るシステムではなく、教材を作るためのコンテンツの1つであり、それを利用する教育関係者が、コミュニケーションを通じて、生徒同士や受講者の悩みを全体的に支援できるプラットフォームを展開します。

坂本:ソフトウェアやプラットフォームを提供されるというお話でしたが、ハードウェアの展開については想定されているのか、見解を教えてください。

増田:大きな方針として、現在ハードウェアの展開は目指していません。ソフトウェアは時代に応じて変化するため、我々はいかにしてそれを活用するかを考えています。

ソフトウェアがなければ、ハードウェアはただの箱だと昔から言いますが、我々は今後もソフトウェアに基軸を置いて強化していきます。もちろん規模やニーズに応じて、ハードウェアも含めて販売する可能性もあり得ます。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:「ITプラットフォームビルダー」「ITプラットフォームプロバイダー」の違いは何でしょうか? 前者は注文型、後者は提案型ということですか?

回答:まず、「プラットフォーム」については、社会に必要なシステムやサービスの「土台・基盤となる環境」に携わっているという定義で用いています。その上で「ビルダー」はシステムインテグレーションサービス事業で用いている言葉であり、基本的には注文を受けてシステムを「開発・構築」しているという意味で使っています。

一方で、DXソリューションサービス事業では、「プロバイダー」という表現を用いていますが、これは社会・企業・人を「繋ぐ」サービスの開発と提供を意味しています。

<質問2>

質問:システムインテグレーションサービスについての質問です。銀行などが例に挙げられていますが、市場の何パーセントシェアを獲得されているのでしょうか?

回答:システムインテグレーションの全体市場規模は、13兆円を超えているとも言われ、その中で当社グループのシステムインテグレーション事業は約40億円です。その比においては算出するまでもなく、シェアを獲得しているとは言えません。ただし、30年を超える実績と着実な成長の中で、大手との信頼関係を築き、数多くの社会インフラシステムの開発実績を蓄積しており、今後も市場の一部を担うビルダー(システム開発)として、強固な地位を確立していきます。

<質問3>

質問:DX分野は裾野が広いですが、特にどのような分野に力を入れていきたいと思っていますか?

回答:あらゆる文書や図面のデジタル化と、その蓄積されたデータの有効活用に力を入れています。社会や企業が抱える課題を解決する効率の良いサービスを生み出し、経営戦略にまで言及可能な、必要不可欠なソリューションを手掛けていきます。

<質問4>

質問:どのような方法を用いて人材を確保していくのか、その戦略について教えてください。

回答:新卒採用については、採用媒体からの毎年度募集と、各種学校へ出向いての会社説明会などが中心となります。中途採用については、採用媒体を通じての定期的な募集がメインになりますが、それ以外にも人材紹介やスカウト、各種学校からの第二新卒者紹介などを活用しています。また、M&Aによる人材確保は戦略的に実施していきます。

<質問5>

質問:御社の規模で、年間平均60人を雇うとなるとかなり積極的に感じます。特に中途採用はかなり厳しく、コストが掛かると言われている状況だと思います。これを踏まえ、新卒、中途の採用比率について教えてください。

回答:積極的な人材確保を行います。計画では新卒を約4割、中途を約6割としています。中途採用が難しい状況ではありますが、未経験者の採用枠も広げ、また多様な働き方に応える環境を整備し、年齢や家庭環境など個別事情のある方も応募していただけるようにしていきます。

<質問6>

質問:自社製品ソリューションの販売形式はパッケージでしょうか、SaaSでしょうか?

回答:製品によって多様な形式がありますが、基本的にはSaaSが主となります。「DynaCAD」では、永久ライセンスでのパッケージ販売も行っています。

<質問7>

質問:DXソリューションは、すでに聞きなれた言葉ですが、御社の特徴は何でしょうか? ここ数年間ではどのように進化を遂げ、その事業範囲を拡大して来られたのでしょうか?

回答:あらゆる文書や図面のデジタル化と、その蓄積されたデータの有効活用に力を入れています。お客さまに製品のみを販売するのではなく、その製品を使った業務支援まで行う(デジタルブックの制作支援・CAD図面の作成支援など)ことで、製品が持つサービスの奥行きを広げてきました。今後も製品と業務支援をセットにしたデジタル化サービス事業を進めていきます。

<質問8>

質問:DX分野の成長戦略における競合他社および優位性はあるのでしょうか?

回答:競合他社は製品ごとに存在します。それぞれ優位性はありますが、すべての製品に言えることは、大手では対応が難しい、お客さまの細かなニーズに応じたカスタマイズやオプション開発に対応しており、小回りの利くサービス提供が可能です。

<質問9>

質問:「Wisebook」の海外展開は予定されていますか?

回答:現在は日本国内での展開ですが、多言語装備(英語・中国語・韓国語)しており、今後は海外にも広げていく予定です。

<質問10>

質問:CADはさまざまな企業から開発されていますが、御社が選ばれる強みを教えてください。

回答:ライセンス形態が豊富で、サブスクリプションだけではなく、多様なシーンやニーズに対応可能なライセンス形態を選んでいただけることが強みです。また機能的には、下絵となるデータを取り込み、結合させて編集する機能(ラスター編集)は高い評価をいただいています。

<質問11>

質問:VR、ARなどを教育現場で活用するイメージが湧きません。具体的な事例を示してもらえますか?

回答:「Wisebook EdTechクラウド」は、学校での授業だけでなく、企業内での研修にも広くお使いいただくことを想定しています。その中には「空間を疑似体験する方が理解し易い研修」もあります。具体的なサービス事例については、計画中でもありますので、回答は控えさせていただきます。

<質問12>

質問:昨日(2023年2月17日)、一昨日(同年2月16日)と株価が急騰していましたが、要因は何でしょうか?

回答:中期経営計画書を開示しました。内容についてご理解いただき、実行性と実現性があるものとご評価いただけたと考えています。今後しっかりと計画を進め、結果を残し、企業価値向上に努めていきます。

<質問13>

質問:自治体のDX化は、これから進んでいくと思いますが、一方で、競合の多い分野だと思います。どのように営業して獲得していくのでしょうか?

回答:デジタル庁が進めるガバメントクラウド製品への登録を目指します。その中で他社と差別化できる特徴をしっかりとアピールします。県庁レベルで「DynaCAD」を導入していただいている県内の市町村については、メリットを最大限にお伝えし、多種多様なライセンス形態による製品の乗り換えも提案しつつ、販売戦略を考えていきます。