2023年3月期第2四半期決算説明
尾形浩一氏(以下、尾形):みなさま、こんにちは。新田ゼラチンの尾形でございます。本日は、2023年3月期第2四半期の決算と業績予想について説明いたします。本日の内容はこちらになります。
会社概要
会社の概要について、大きな変更はありません。
業績推移①:売上高
2023年3月期第2四半期の実績について説明いたします。売上高は191億7,900万円で、前年同期比43億1,600万円の増収となりました。価格改定と共に、海外グループ会社の売上増加に対する為替影響もあり、すべての販売区分で増収となりました。期初の予想175億円からも、16億7,900万円の超過となっております。
連結売上高増減要因(前年同期比)
地域ごとの増減を表した図がこちらになります。すべての地域で増収となりました。
業績推移②:営業利益
営業利益の結果です。売上高の増加と利益率の回復により、営業利益は前年同期比7億6,700万円の増加となりました。これは主に需要が旺盛で、かつ価格改定が計画どおりに進んだことにより、輸送コスト等の販管費の増加分をカバーしたためです。
連結営業利益増減要因(前年同期比)
営業利益の地域別の増減を表しています。すべての地域で営業利益が増加しました。北米、インドでは、カプセル用ゼラチンとコラーゲンペプチドの売上が伸びたことから増益となっています。
業績推移③:経常利益
営業増益になったことに加え、円安によって、海外グループ会社への売掛金や貸付が円換算でプラスに作用しました。この為替差益が2億500万円増加したことなどから、経常利益については16億2,500万円となり、前年同期および期初の予想の7億円を上回りました。
業績推移④:親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益については、9億1,100万円となり、前年同期比5億3,700万円の増益となりました。期初予想4億円から、プラス5億1,100万円となっています。
各地域ごとの市場の変化
市場の変化を地域ごとにまとめました。日本では、グミキャンディー用やカプセル用のゼラチン需要が引き続き堅調でした。新型コロナウイルス感染症の再拡大はありましたが、人の移動制限等がなかったことから、外食産業は回復基調となりました。
北米では、経済拡大に伴い、食用ゼラチンやサプリメント向けのコラーゲンペプチド需要が堅調となりました。インドでは、カプセル用ゼラチンの旺盛な需要に支えられて、売上高が増加しました。
アジアでは、インフレの影響で、美容用途のコラーゲンペプチド売上の伸びは鈍化したものの、タイ、韓国、台湾などで売上高が増加しました。
販売区分
各販売区分の実績について説明いたします。当社の事業セグメントはコラーゲン事業の1セグメントですが、販売区分別に食品用途のフードソリューション、健康・美容・医薬用途のヘルスサポート、その他のスペシャリティーズの3つに分けています。
販売区分別 売上高
販売区分別の売上を前年度と比較すると、すべての販売区分において売上高が増加しました。
フードソリューション
フードソリューションでは、日本でのグミ用ゼラチンや業務用スープ・調味料向け、施設給食向けなどの売上が増加し、北米でも食品用途への売上が伸びました。
一方で、コンビニ総菜向けの売上が減少しました。その結果、売上高は75億3,900万円と前年同期比14億5,900万円の増加となりました。
ヘルスサポート
ヘルスサポートでは、日本においてはカプセル用ゼラチンの売上は増加した一方、コラーゲンペプチドの売上は前年並みとなりました。
北米、アジアでは、コラーゲンペプチドの売上が増加しました。カプセル用ゼラチンの需要も堅調で、北米、インドでは大きな売上の伸びにつながりました。
売上高は90億9,800万円で、前年同期比プラス27.9パーセント、19億8,200万円の増加となりました。
スペシャリティーズ
スペシャリティーズでは、写真用ゼラチンの販売増加に加え、飼料・肥料向けのリン酸カルシウムなどの販売価格が上昇し、売上高は前年同期比8億7,300万円増加しました。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表です。たな卸資産は、海上輸送の混乱が続いていたことから、原料やゼラチン製品の在庫を積み増したことにより、25億6,900万円増加しました。買掛債務は在庫の積み増しに伴うものです。
株主資本、その他包括利益累計額の増加により、純資産が20億3,300万円の増加となりました。
キャッシュ・フロー計算書(C/F)
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の増加により増えています。投資活動によるキャッシュ・フローについては、新研究棟「みらい館」など有形固定資産の取得により減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金により増加しました。
株式分布変化
2022年9月末時点では、株式数における金融機関の割合が減少し、株主数は約500人減少しました。
株主還元
配当については、中長期的視野に基づく事業展開を考慮し、内部留保の充実により企業体質の強化を図りつつ、株主資本配当率1.5パーセント以上の配当に努めることを株主還元の基本方針としております。
今般、通期業績予想を上方修正したことに伴い、2023年3月期の期末配当予想を1株当たり7円から2円増配し、9円に引き上げることといたします。中間配当金は7円をお支払いしましたので、1株当たりの年間配当金は当初予想から2円増配となる16円を予定しております。
株主優待については、スライドに記載のとおり継続していく予定です。
2023年3月期 業績予想
2023年3月期の業績予想について説明いたします。
外部環境の認識
2023年3月期の業績予想をする上で、新型コロナウイルス感染症とロシアのウクライナ侵攻の影響は、依然考慮する必要があります。新型コロナウイルスの影響については、再拡大があった場合には、中国など経済活動が一部制限される国もあり、売上に影響があるかもしれません。
ウクライナの紛争は、エネルギー、食料価格上昇など、世界経済への影響が続く可能性があります。また、欧米やアジアでのインフレについてはさらに増大する懸念もあり、円安による輸入原料価格やエネルギーコストの上昇も引き続き考慮する必要があります。
外部環境の認識 日本
日本では、グミキャンディー市場の拡大はまだ続くとみています。コロナ禍後は、健康意識の高まりの中で、重要な栄養素であるタンパク質の摂取も注目されており、食品メーカーもタンパク質強化食品を展開しはじめています。
また、インバウンド需要の回復により、サプリメントやグミキャンディーなどのお土産需要が回復する可能性があります。
外部環境の認識 海外
海外では今後、新型コロナウイルス感染症との共生が進むものの、インフレにより個人消費が減速する懸念があります。
ロシアのウクライナ侵攻は、エネルギー価格、穀物価格の上昇を招いており、欧米では、穀物不足による牛や豚の飼育頭数の減少や、肥育コストの上昇が継続していることから、我々の原料価格の上昇が予想されます。
一方で、北米・アジアでは、景気の回復によってゼラチンやコラーゲンペプチドの需要は依然堅調に推移しています。
今後の戦略課題
以上のような我々を取り巻く環境を考慮して、スライドにお示ししているような戦略課題を設定し、推進しています。
フードソリューションでは、タンパク質補給ニーズに対応した製品「イージープロテインBBP」を5月に発売しており、麺製品などへも拡販していきます。
ヘルスサポートにおいては、日本では、消費者向けコラーゲン健康食品の広告宣伝とマーケティングの強化により直販事業の拡大を図ります。海外では、アジアや北米で美容用途のコラーゲンペプチドの販売拡大を目指します。
バイオメディカル分野では、研究・生産の機能を集約した新研究棟「みらい館」が12月に完成しました。「beMatrix」製品の販売をグローバルに拡大します。
2023年3月期 業績予想
2023年3月期の売上高は、すべての販売区分の売上が伸びると予想し、390億円としました。営業利益は、当初予想を10億円上回る26億円へと上方修正しました。
経常利益は、為替差益を見込んで29億円、当期純利益は前年の約2倍となる14億円としました。
販売区分別売上高予想
フードソリューションの売上高予想は、国内と北米の堅調な販売の継続を見込んで前期比23.1パーセント増の154億円としています。
ヘルスサポートは、北米、アジアでのカプセル用ゼラチンと美容用途のコラーゲンペプチドの拡販により、前期比19.5パーセント増の185億円を見込んでいます。
スペシャリティーズは、副産物等の売上高増加により、前期比34.2パーセント増の51億円を見込んでいます。
トピックス
トピックスをいくつか紹介いたします。
業務用製品の会員制通信販売サイト「新田ゼラチンプロショップ」を開設
2022年7月に、製菓店やレストランなど外食業界に従事するプロの料理人に、直接業務用製品を販売するための会員制通信販売サイト「新田ゼラチンプロショップ」を開設しました。
直販の商品リブランディング
2022年9月に、コンシューマー用コラーゲン健康食品を3つのシリーズにリブランディングして発売しました。広告宣伝ならびにマーケティングを強化することで拡販してまいります。
城西大学男子駅伝部 箱根駅伝出場決定!
当社がスポンサーであり、コラーゲン配合のアスリートケアドリンク「ランショット」を共同開発した城西大学駅伝部が予選会を突破し、2023年の箱根駅伝への出場が決定しました。
当社はこれからも、コラーゲン製品でアスリートを支援してまいります。
潰瘍性大腸炎患者への移植治療用のミニ臓器の培養にbeMatrixを使用
2022年7月7日、東京医科歯科大学の岡本隆一教授らの研究グループは、難病の潰瘍性大腸炎の患者の腸から採取した組織を使って「腸上皮オルガノイド」と呼ばれるミニ臓器を作り、患者自身へと移植する世界初の手術に成功したと発表しました。
このミニ臓器の培養に、当社の「beMatrix collagen(ビーマトリックスコラーゲン)AT」が使用されました。
新研究棟 みらい館 完成
全事業部門の研究・開発機能ならびにバイオメディカル製品の研究・開発・生産機能を集約した「みらい館」が、2022年12月に本社・大阪工場内に完成しました。
バイオメディカル分野では、この新しい研究棟を起点に、現在の素材販売から、将来的には医療機器等の川下ビジネスへの展開も視野に入れています。
私からの説明は以上です。ご覧いただきありがとうございました。