第39回 個人投資家向けIRセミナー

青野友弘氏(以下、青野):はじめまして、株式会社テイツー管理本部長の青野と申します。本日はよろしくお願いいたします。

本日は、当社概要、2023年2月期第1四半期決算概要、今年4月に策定した成長戦略の進捗状況、その他の事柄についてお話ししたいと思います。それでは個人投資家向けIRセミナーを開始します。

当社概要

青野:まずは当社の概要です。当社は岡山市で創業、設立し、今年で33期目を迎えます。現在の代表取締役社長の藤原は2017年に就任して、今期は藤原体制で6期目になります。

沿革にも記載のように、2017年に藤原が社長に就任以降、「TAYS(テイズ)」というトレーディングカード読取査定機の運用を開始し、グループビジョンや成長戦略の策定など、次の成長に向けたさまざまな施策を展開しています。

グループビジョン

青野:2021年からは「リユースで地域と世界をつなぐ」というグループビジョンを掲げ、グループ経営を行っています。会計上は単一セグメントとなりますが、このビジョンに基づいて、リユースEC領域、リユース店舗領域、リユースBtoB領域の3つの領域で事業を展開しています。

現在は成長戦略に基づきそれぞれの事業で戦略を立て、具体的にすべきことを実行している段階です。

上場以来の成長推移

青野:上場以来の成長推移です。1999年度の上場以来、右肩上がりで成長してきましたが、2007年度にピークを迎えて、その後は右肩下がりで推移しています。

2013年度から2017年度の5年間は、最終赤字という苦しい時期でしたが、それを乗り越えて、現在は再成長期として成長戦略を策定しています。また、EC領域を強化しBtoB領域にも進出することで、長期の定量目標として、5年後の2027年2月期は営業利益20億円を掲げています。

展開している店舗屋号と店舗数

青野:テイツーで展開している店舗屋号と店舗数についてご紹介します。「古本市場」という小売店舗を郊外で出店することを祖業とし、展開してきました。

取扱商材はスライドに記載のとおり、リユース商品として古本やゲーム、トレーディングカード、ホビー、その他諸々の商材を取り扱っています。当社の特徴は、中古に加えて新品商材もメーカー、問屋と取引しており、それらを仕入れて中古と同じように販売していることです。

直近2年ほど力を入れているのが、「古本市場」を小型パッケージ化した「ふるいち」という屋号の店舗です。商材をゲーム、トレーディングカード、ホビーなどに絞り、主にイオンモールに出店しています。今後はこちらの出店にさらに力を入れていこうと考えています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):主力の「古本市場」は、ロードサイドの大きな店舗というイメージですが、イオンモールに入っている「ふるいち」は何坪くらいの業態でしょうか?

青野:30坪にも満たない小さなお店から、大きくなると50坪を超えるくらいの規模感で展開しています。

坂本:テナントであれば、どこでも入れるような業態ですね。

青野:もちろん場所によりますが、イオンモールであればどのような立地でも出店は可能だと思います。その他、近年市場が盛り上がっているトレーディングカードについては、「トレカパーク」という専門店を5店舗出店しています。

坂本:「トレカパーク」はもっと狭いところでも出店できそうなイメージですが、トレーディングカードのみ売っているのですか?

青野:そうですね。基本的にはトレーディングカードに特化して店舗展開しているため、狭い立地でも出店できますが、やはりトレーディングカードというカードゲームの特性上、机を挟んで実際に対戦者と遊ぶスペースがあったほうがお客さまに来店していただけます。そのため当社ではそれなりの広さ、スペースを確保しています。

坂本:こちらもイオンモールに入っているのでしょうか?

青野:イオンモールよりも駅前立地が多いです。秋葉原や大阪の日本橋など、人が集まるところに出店しています。

商材別売上高構成比

青野:今期の第1四半期に当たる3月から5月の商材別売上構成比は、中古品が58パーセント、新品が40パーセント強となっています。中古品では古本、ゲーム、トレーディングカードの構成が大きくなっており、新品ではゲームがそこそこ大きな構成を占め、トレーディングカード、ホビーがそれに続いています。

これから力を入れていく商材としては、近年、市場が大変盛り上がっているトレーディングカードや、売上を大きく伸ばしているホビーに力を入れて展開していきたいと考えています。

坂本:前回お話しいただいた時に「中古品と新品の比率は、新品にヒットタイトルが出ると大きく変わる」とおっしゃっていましたが、スライドに「中古品の構成比が58パーセントに達しました」と記載してあるのは、新品のヒット作があまりなかったのでしょうか?

青野:この第1四半期の構成は、中古が伸びているというより、新品ゲームであまり目立ったタイトルの発売がなかったことが影響しています。当社は3月から5月が第1四半期で、その後の第2四半期、第3四半期において販売時期を考えると、第4四半期の12月はゲームタイトルが多く発売されるため、新品の構成比が大きくなります。

市場拡大が続くトレカ商材

青野:市場拡大が続いているトレカ商材ですが、実際に遊んだことがないという方に向けて、簡単にご説明します。まず、中身のわからないカードが、1つのパッケージにおおよそ5枚入って販売されており、その中の目当てのカードを求めてユーザーは購入します。

目当て以外のカードが手元にあれば、それを我々の「古本市場」「ふるいち」に売るのですが、「交換、トレードする」という意味で、トレーディングカードと呼ばれています。

2021年は、主要カードのプロモーションが大量に投下されて市場が盛り上がり、現在に至るまでずっと成長を続けています。コロナ禍ということもあり、自宅でできる対戦型ゲームとしてもユーザーが拡大していると捉えています。

坂本:コロナ禍の影響で落ち込むというよりも、成長期だったというイメージですか?

青野:そうですね。コロナ禍が始まった2020年の春先から夏にかけてはお店が閉まったり、お店での対戦スペースであるデュエルスペースが閉鎖されたりしたことで、一時的に市場は落ち込みました。しかし、それ以降は回復して、現在は過去最大の市場規模になりつつあります。

スライドにも記載していますが、今年はトレカ市場が2,000億円くらいの規模まで拡大するのではないかと予測しています。

坂本:日本だけではなく世界でもトレーディングカードはブームになっているようですね。

青野:おっしゃるとおりです。単純にゲームとして遊ぶユーザーだけではなく、投資商品として見られることもあるため、世界中でトレーディングカードがちょっとしたブームになっています。

坂本:トレーディングカードがかなりの高額で落札されたというニュースもありました。

青野:当社でも1万円から、100万円、200万円するようなカードがあります。スライド右下に記載していますが、トレカ市場における当社の強みは、新品商材を安定的に仕入れできていることです。

ユーザーは、目当てのカードを手に入れるため新品商材を購入しますが、新品商材を仕入れるには過去の仕入れの実績が必要で、ブームになってから取り扱いたいと思ってもすぐに扱えるものではありません。しかし当社は、メーカーや問屋と安定的な付き合いがありますので、新品商材を潤沢に仕入れることができます。

また、当社の直営店舗ではトレーディングカードの読取査定機「TAYS」を運用しています。「TAYS」はスキャナーにトレーディングカードを通すと、自動で買取金額がパソコン上に表示される仕組みで、買取業務の効率化を図ることができます。

そして、一番の強みと言えるのが、「古本市場」「ふるいち」「トレカパーク」の屋号を含めて100店舗以上でトレーディングカードを扱っており、業界トップクラスの店舗数規模をもっていることです。

さまざまなトレカ商材を直営かつ多店舗で扱っているため、A店からB店に在庫を融通するなど、在庫の平準化を行うことができます。また、集めた在庫を他の法人向けに供給できることも当社の強みだと思っています。

主要セグメントの1Q経過時点の動向

青野:7月15日に公表した第1四半期の決算概要について、簡単に振り返りたいと思います。中古商材として好調なのはゲーム、トレカ、ホビーで、古本は少し苦戦気味です。新品はトレカが好調で、ゲームはヒットタイトルがなかなか出ない3ヶ月だったため苦戦しています。

四半期ごとの売上高の推移

青野:四半期ごとの売上高の推移として、第1四半期の売上高は64億5,000万円で、前年同期の65億8,000万円から少し下がったように見えますが、こちらは会計基準の適用の影響によるものです。昨年度と同じ会計基準を適用すると若干増えているため、売上高の推移についてはまったく心配していません。

坂本:先ほど新品のゲームについては季節性があるというお話でしたが、中古品も季節性はあるのでしょうか?

青野:中古品は新品に比べるとそこまで季節性はありませんが、その中でも季節性を感じるのはやはり1月のお正月です。

坂本:お年玉をもらってからということですか?

青野:おっしゃるとおりで、お子さまがお年玉を握りしめてお店に来てくださるため、1月は中古の売上が一番立つ時期です。

坂本:クリスマス商戦でも12月にかけて少し山があってそこで終わりですが、御社の場合はそこからお年玉による山がもう1つあるということですね。

青野:最近、お正月は「LINE」ミニアプリでクーポンを発行していますので、それによってもご来店いただいています。

坂本:イオンモールなど、お正月は閉まっているかと思いますが、御社の店舗は開いていますか?

青野:当社は年中無休で、お正月でも営業しています。ただし、お正月は営業開始が少し遅く、お昼の12時からになります。

増井麻里子氏(以下、増井):ホビーの中古品で、フィギュアやプラモデルの買取をかなり強化されているとのことですが、これは組み立て前のものですか?

青野:プラモデルについては、色も塗られた完成品を売買する市場もありますが、当社では未開封で組み立て前のものを買い取っています。

坂本:買ったものの作らなかったため売るのか、それともプレミアがつくかもしれないということで買ったのか、どちらの理由で流通するのでしょうか?

青野:プラモデルに関しては、前者のほうが多いと思います。フィギュアに関しては、新品ではなく中古品として買い取ります。内容物や箱があったりなかったりするため、このあたりを査定して買取金額を提示しています。

四半期ごとの営業利益・同利益率の推移

青野:第1四半期の営業利益は3.7億円、営業利益率は5.7パーセントと、非常に順調に推移しています。

各事業領域における成長戦略の取組進捗状況

青野:各事業領域における成長戦略の進捗状況として、「ふるいち」店舗のイオンモールへの出店、「ふるいちオンライン」のリリース、「TAYS」拡販等の状況、M&Aの検討に分けてお伝えします。

店舗の出店方針

青野:店舗の出店方針です。「古本市場」は、関東・関西・中国の3エリアを中心に出店を重ねてきました。ただし、イオンモールへの出店については、提示いただいた物件がよければ、この3つのエリアに限らず、どの地域でも出店しています。

スライドの右側に「コロナ禍を経て、これまで出店が難しかったイオンモール等への出店が可能になりました」と記載していますが、今後はイオンモールに限らず、他のショッピングモールへの出店も考えていきたいと思っています。

「ふるいち」は昨年同様、今年もイオンモールを中心に10店舗出店する予定ですが、今後も同じようなペースで出店していければと考えています。

坂本:イオンモールへの出店が難しかったのは、どのような背景がありますか? このような業態を今まで入れてこなかったのか、それとも家賃が合わなかったのでしょうか?

青野:家賃が合わなかったというのは、理由の1つとしてあります。その他では、それほど空きがなかったという理由もあると思います。

坂本:集客力の問題で、空いているイオンモールに入れるのは危ういという理由もあったのでしょうか?

青野:我々がイオンモールに「ふるいち」を出店し始めたのは2020年6月で、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まった後になります。おそらく衣類や服飾のお店が少し撤退したタイミングで我々が出店を始めました。

「ふるいち」は、平均40坪ほどの小型店ですが、イオンモールに展開できれば、店舗展開の幅が非常に広がるだろうと考え、2020年6月に第1号店を出店して、幸いなことに順調に店舗展開できています。

坂本:小型化店舗の開発がうまくいったのも1つの要因ですよね。

青野:狭い店内ですが、扱う商材を絞っているため、非常に多くの商品が並んでいます。このような陳列は他社ではあまり見ませんし、当社の特徴だと思っています。

坂本:それだけきれいに陳列するためには、量もさることながら、在庫がないとできないですよね。

青野:出店在庫は、100店舗弱ある「古本市場」の在庫を活用しています。出店が重なっても、既存店から在庫を確保できるため、問題なく出店できます。

前期から今後の店舗出店の状況

青野:今期は「ふるいち」で10店舗の出店を予定しています。これは直営店舗ですが、第2四半期以降はトップカルチャーとの合弁会社のトップブックスを通じて、「ふるいち」屋号のFC店舗の出店も行っています。

FC店舗の出店は、「ふるいちトップブックス◯◯店」というかたちで6月から始めており、8月までに6店舗出店しています。トップブックスだけではなく、他の法人も「ふるいち」のパッケージ店舗にかなり興味を持っていただいているため、今後のリユース店舗領域の1つの戦略として、FC展開も組み入れていきたいと思っています。

坂本:トップカルチャーと合弁でFC店舗を出店していることについて、ノウハウの補完や商品物流などの融通も「ふるいち」の枠を超えて行うのでしょうか?

青野:基本的にトップブックスの「ふるいち」は、我々が扱っているトレーディングカードやゲーム、ホビーなどの商材を委託販売のかたちで行っていますので、当社の在庫で店舗運営を行っています。

また直営店舗と同じように、全体で商材をローリングし、融通し合っています。「そのお店だけで商品を回してください」ということではなく、直営店と同じ取り扱いです。当社の価格変更や商品移動などのノウハウも提供しているため、そのような面での優位性を感じていただいていると思っています。

坂本:「ふるいち」に興味を持っている他の法人もあるというお話ですが、トップブックスと同じように御社の在庫を回すことが前提でしょうか?

青野:形態としては、商材の販売を当社から委託するかたちで出店したいという法人もあれば、単純に屋号だけを使わせてほしいという法人もあります。そこは法人の力量によってさまざまです。

坂本:どのような業態の法人が興味を持っているのでしょうか? リユース系だと思いますが、それ以外にもあるのでしょうか?

青野:リユースのお店で言いますと、何でも扱っている総合リユースのお店から「トレカは扱っているけれど、それほど強くないんだよね」といったお話をいただくことがあります。

坂本:商品量が少ないお店よりも、普通はよく回転するお店に出すと思います。

青野:後ほどお話ししますが、トレーディングカード読取査定機「TAYS」とセットで行いたいという法人や、総合リユース以外では新刊書店が多い印象です。新刊の売り場を縮小し、新たな商材を考えた時に、「ふるいち」のパッケージを入れられないかと検討されるようで、今、非常にいろいろな法人から引き合いがある状況です。

坂本:イメージが湧きました。

ふるいちアプリ会員の入会状況と顧客属性

青野:「ふるいちアプリ」は「LINE」ミニアプリの会員のツールを導入しており、2021年2月から入会の受付を開始しています。6月時点までに、54万人ほどの方に入会いただいている状況です。

年齢構成は、スライド左側の円グラフにあるように、非常に満遍なく会員になっていただいています。また、最近は女性の比率が徐々に高まってきていると感じています。

これは実店舗の会員状況ですが、9月にリリース予定の「ふるいちオンライン」と会員基盤が共通のため、そのままそのオンライン店舗の会員になるようなサイトを構築している最中です。

坂本:興味深いです。

「ふるいちオンライン」のリリース

青野:「ふるいちオンライン」はリリース日を9月6日に設定しており、開発は最終段階に入っています。テイツーグループ全体の売上高約260億円のうち、EC領域の売上高は約26億円ですので、おおよそ10パーセントの構成比ですが、「ふるいちオンライン」のリリースによって、EC領域の売上高を大きく伸ばしていきたいと思っています。

当初は、中古トレカ、中古ゲーム、新品ゲームの販売からスタートし、順次、取り扱い商材を増やし、あるいは機能を追加していく予定です。段階的な追加機能の開発も視野に入れて、いろいろな計画を練っている最中です。

冒頭でお伝えしたように、2027年2月期には、「ふるいちオンライン」で100億円の売上高を目指し、準備を進めている状況です。

リユースBtoB領域 ~TAYSの拡販状況~

青野:リユースBtoB領域の「TAYS」の拡販状況です。「TAYS」とは、トレーディングカードの読取査定機で、今年1月の契約の第1号案件から順調に外販を積み重ねています。100店舗強の直営店舗で「TAYS」を運用し、改善してきた実績をもとに、他の法人向けに営業しているところです。

「TAYS」の特徴の1つは、AI機能を搭載していることです。スキャナーでスキャンすればするほど、読取精度が高まっていきます。

秋葉原などに行くとわかりますが、トレーディングカードの扱いについては、やはり詳しい専門のスタッフがいないと買取できず店舗運営が成立しませんが、「TAYS」があれば、専門知識がなくとも、スタッフがスキャナーを通すことで買取できるようになります。

トレーディングカードを商材として簡単に扱えるため、専門のスタッフがいない際の非常に有効な武器になると思っています。現在、多数の法人から引き合いをいただいており、鋭意拡販中です。

坂本:多数の引き合いがあるということですが、「TAYS」1台の価格と、導入に係る固定費などがあったら教えてください。

青野:初期費用として、設置費用やスキャナー代をいただきますが、基本的にその後はランニングで月額5万円の費用をいただくビジネスです。

坂本:トレーディングカードに詳しい人材を雇用するより、安いかもしれませんね。

青野:そうですね。日々、当社のトレカ担当者が、相場変動に応じて買取価格や販売価格を調整しているため、この機械を通じてリアルタイムにサービスを提供しています。世の中に競合する商品はありますが、我々の商品が性能的、価格的にも一番優れていると思っています。

リユースBtoB領域 ~トレカ自販機の外販状況~

青野:BtoB領域で、もう1つ拡販していきたいと考えているのが、トレーディングカードの自販機です。こちらも「TAYS」の営業先の法人から、多数の引き合いをいただいている状況です。

ただし、トレカ自販機は中国で生産されています。現在は発注も完了し、調達に尽力していますが、上海ロックダウンの影響により納品が下期以降にずれ込みます。調達できれば直営店舗に展開することはもちろんですが、BtoB事業として外販することも考えています。

スライドにはいろいろと特徴を記載していますが、他社が新大阪駅や大阪駅の駅前に自販機を設置していることもあり、単純に総合リユースの店先に設置するだけでなく、店舗立地ではない場所へも展開していきたいと考えています。今、大手の物件管理会社と交渉を進めている最中で、もう少しすればよいご報告ができるのではないかなと思います。

増井:自販機の大きさはどのくらいですか?

青野:今直営店舗で稼働しているのが、スライド右側の「高機能デジタルサネージ自販機」です。飲料水の自販機を一回り大きくしたサイズで、大きさはありますが、新たに導入しようとしているものは、もう少しスリムでコンパクトな自販機です。

トレカ専門店などは小規模な店舗が多いため、狭いスペースでも設置できるサイズの自販機を開発しています。また、筐体を小さくしても内容量は同じになるように内部の機構を工夫しており、今年中に納品される予定です。

M&A方針

青野:M&A方針についてです。2020年にM&Aで山徳を取得しました。M&A後も山徳の社長ががんばってくださり、高利益体質のままテイツーグループに利益貢献しています。

坂本:ECの会社ですね。

青野:貴金属なども扱っており、リアル店舗もありますが、それ以外はほぼEC専業でリユースを行う会社です。今後も、山徳のようなリユース領域でM&A案件があれば検討していきたいと思います。

本というジャンルで我々はずっと小売でしたが、その川上や周辺領域で案件があれば、100パーセント出資にかかわらず、業務提携や資本提携で業容拡大していきたいと考えています。

買取王国との業務提携の状況

青野:4月に買取王国と業務提携を行いました。定期的なミーティングの実施により、提携の成果が表れつつあります。買取王国にはトレーディングカード読取査定機「TAYS」を導入いただき、取扱商材の強化を支援します。また、買取王国は総合リユースの面で我々より先行していますので、そのノウハウの提供を受けることも意図して、協業を検討している状況です。

坂本:御社としては買取王国のFC展開を行うのか、それとも総合リユースのノウハウを活用して自社商品の取り扱いを広げるのか、どちらのイメージなのか教えてください。

青野:どちらかと言いますと後者で、ノウハウをご提供していただきます。当社では「商材多様化」と言っていますが、「古本市場」の店舗の総合化も考えています。

商材で扱えるものを増やしていきたいと考えていますが、現段階では、買取王国のFC展開を行うなどの具体的な構想はありません。

増井:御社の事業領域の中で扱うイメージですか?

青野:あくまで「古本市場」屋号の店舗の中で、新たな商材のノウハウをご提供いただきながら拡大していくイメージです。

ESGの取り組み

青野:ESGの取り組みについてお話しします。創業の地である岡山県真庭市にある廃校になった小学校を使って、リユース商材の古本漫画で地域創生に貢献する取り組みを行っています。

また、スライド右側に記載していますが、東京都豊島区にある漫画の聖地「トキワ荘」に、「ふるいち」というお店を設けています。「トキワ荘マンガミュージアム」のすぐ脇にお店を構えていますが、このような店舗を通じて、漫画文化に関わる取り組みを行っていきたいと思っています。

還元方針

青野:還元方針について、長く続いた不振の時期は無配でしたが、今年は新たな成長段階に入ったこともあり、1円ではありますが復配することができました。今後も総還元性向に目配りしながら、株主還元を強める方向に舵を切っていこうと考えています。

まだ社内の議論が煮詰まっていない段階ですが、還元方針についてはしっかりと考え、株主のみなさまに施策展開ができるようにしたいと思っています。

株主優待

青野:株主優待についてです。現在の優待内容は、リアル店舗で利用できる当社中古商品割引券を発行していますが、「ふるいちオンライン」をリリースすることもあり、いずれはEC店舗でも使える割引券にしたいと考えています。時期は未定ですが、そのような機能を搭載し、株主優待自体のブラッシュアップを図りたいと思っています。

長期目標数値

青野:長期目標数値として、5年後の2027年2月期には、売上高で354億円、営業利益で20億円を目指しています。業績条件付き譲渡制限株式報酬を付与するなど、目標達成に向けて執行取締役に対してもインセンティブを与えていますので、この目標は達成したいと考えています。

毎期7億円以上の純利益を積み上げ、株主還元にも目配りしながらこの目標を達成していきたいと思います。

質疑応答:今期の業績目標について

坂本:「今期の業績予想が弱気ではないですか?」というご質問ですが、リスク要因はありますか?

青野:リスク要因という意味では、悲観的に見ている事柄はありません。

坂本:新品、新作が出ないのは仕方がないということですね。

青野:悲観的には見ていませんが、トレカ商材が絶好調ということもあり、最近は市場も右肩上がりです。2017年にはトレーディングカードの「遊戯王ショック」というものがありました。遊び方のルール改正により、今まで付いていたカードの価値がなくなった、または落ちてしまったというもので、そういった懸念はあります。

坂本:在庫の部分で損が出るということですか?

青野:そうですね。そこはリスクと言えばリスクだと捉えていますが、一方でメーカーともコミュニケーションをとっており、大きなルール変更によって市場を冷え込ませるようなことは行われないと考えています。

坂本:市場にとってよくないということを、メーカー側も理解したということですね。

青野:業績予想が弱気に見えるかもしれませんが、第2四半期以降の状況を見ながら、必要であれば修正していきます。

質疑応答:トレーディングカードブームについて

坂本:「トレカブームに陰りは見えないのでしょうか?」というご質問です。消費者動向もありますので、回答は難しいと思いますが、メーカー側も市場が冷え込まないような施策を打っているのでしょうか? 

青野:今は市場が活況ということもあり、新しい商材も投入されています。そのため、予測はなかなか難しいのですが、2024年くらいまでは、価値が上がっていくのではないかと言われるメーカーの方が多いと聞いています。

坂本:僕らは「カードダス」の時代で、トレーディングカードで遊ぶのは小学生か中学校低学年くらいまででしたが、今は対象年齢層も広く大人も遊んでいます。年齢を重ねると、遊ばなくなるといった懸念はありますが、御社がトレーディングやゲームで遊ぶ場所を提供することによって、実際に触れ合う人が増えますし、市場も維持できるのかなと思います。

青野:足元では間違いなく新しいユーザー層が参入しており、市場自体は非常に拡大しています。小さな波はあるにせよ、来年、再来年くらいまでは、この傾向は続いていくのではないかと予測しています。

坂本:新たに遊ぶ人が増えていくかという点も、チェックポイントとして見ていきたいと思っています。また、18ページに「取扱商材や機能の追加」とあります。「ふるいちオンライン」が御社の成長ポイントになると思いますが、どのような商材を追加するのでしょうか?

EC展開をしているため、大きな商材を追加することは効率が下がるかと思いますが、そのあたりはいかがですか?

青野:おっしゃるとおり、次の取扱商材は古本と中古品のホビーでほぼ決定しています。スライドに記載している、中古トレカ、中古ゲーム、新品ゲームの販売からスタートしますが、古本と中古品のホビーを追加し、取扱商材を増やしていこうと考えています。

坂本:古本と中古品のホビーは追加しやすい商材ですか? 

青野:古本は他社サイトを通じて販売していますが、今後は自社サイトに切り替えていきたいと考えています。利益として戻ってきますし、自社サイトを構築する大きなメリットになると思っています。

坂本:事業の立ち上げには広告費などの費用がかかるため、約54万人の会員が対象になるのは大きいですね。

青野:すでに「古本市場」「ふるいち」をご利用している会員の方に、オンラインで購入の案内ができるのは非常に大きなメリットだと思います。

坂本:それは成長ポイントとして非常におもしろいと思います。オンライン購入のメリットにバラ売りがありますが、店舗ではセット売りが好調だと思いますので、バラ売りが加わるとかなりの売上になりますね。

青野:そうですね。セット売りでは、業界で一番強いのではないかと認識しています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:同業他社では、同じようなビジネスを展開している「ブックオフ」があります。ガイダンスベースで、御社と「ブックオフ」の予想されている数字を見比べた場合、営業利益率は御社のほうが2倍ほど高くなっていますが、これはどのような要因が考えられるのでしょうか?

回答:2020年に株式取得した、100パーセント子会社の山徳の営業利益率が高いことが主因と考えます。

<質問2>

質問:他社との比較について、扱っている商材の比率や、「ロードサイド型の店舗が多い」「モール型の店舗が多い」といったコスト構造の違い、その他に何か強みを持っているため差別化できているなど、考えられる点を教えてください。

回答:実店舗の収益構造は大きく異ならないと推察しますので、高利益率の子会社を連結していることによる影響が主因と考えます。

<質問3>

質問:EC出店における海外の方の購入割合を教えてください。

回答:9月6日リリース予定の自社サイト「ふるいちオンライン」は、スタート時は、国内向けのサイトとしてスタートしますので、現時点で海外からの購入は見込んでいません。また、子会社である山徳を通じた海外販売については、コロナ禍以降、販売先を国内向けに振り替えており、現時点での海外販売比率は僅少です。

<質問4>

質問:貴社の成長ドライバーである「ふるいち」の競合は、「ブックオフ」「GEO」などが挙げられると思いますが、これら競合に対して貴社の優位性をどのように考えていますか?

競合と比較して、人気のトレーディングカードを新品で取り扱うことができているように見えているのは、トレカ版元との関係に競合よりも優位性があるためでしょうか? 例えば、新たに新品のトレカを仕入れようとした場合は、どのような条件が必要でしょうか?

回答:「ふるいち」に限らず「古本市場」店舗の競合に対する強みは、本、ゲーム、トレーディングカードといった、管理に手間がかかる取扱難度の高い商材について、中古品、新品ともに一定水準以上の在庫量で取り扱いをしている点です。

新品のトレーディングカードの取り扱いについては、当社は過去からメーカーとの直接取引を行ってきており、その実績を踏まえた商品の配分が行われるため、この点は競合に対して優位性を確保していると考えています。

<質問5>

質問:「TAYS」は貴社直営店においても利用しているのでしょうか? 査定はどのような仕組みで行っているのでしょうか?

同様に中古トレカの買取をしている「ブックオフ」「GEO」などの競合と比較して、査定の精度の違いはどのような点にありますか?

回答:「TAYS」は、トレーディングカードの取り扱いのある当社の直営店舗において、全店で使用しています。査定では、トレーディングカードを専用スキャナーでスキャンすると、当社が保持するマスタデータに照らし合わせて商材を特定し、その商材の買取価格と販売価格を表示させるという仕組みを構築しています。

競合に対する査定の精度や違いについては、100店舗を超える取扱店舗での日々の売買をもとに、買取価格および販売価格をメンテナンスしている点にあります。

<質問6>

質問:次に力をいれていきたい分野はありますか?

回答:創業以来行ってきた、BtoCという「1点販売してその対価をいただく」という事業構造とは異なるBtoBの事業領域において、ストック型ビジネスを拡張させたいと考えています。

<質問7>

質問:現在、「ふるいち」の業態での出店を進めているというお話でしたが、実績ベースで「ふるいち」が利益貢献する店舗になるまでには、平均でどれくらいの期間がかかるでしょうか?

回答:損益計算書上の利益ベースでの貢献という意味では、早い店で出店翌月から利益貢献してきます。投資回収という意味では、24ヶ月での投資回収を目標においています。

<質問8>

質問:日本のトレカ市場では、主な版元としてブシロード、コナミなどが挙げられると思いますが、今一番人気があるタイトルと、それぞれの新規取引のしやすさなどを教えてください。

回答:現在、当社で一番売れているのは「ポケモンカードゲーム」で、次が「遊戯王オフィシャルカードゲーム」です。それぞれのメーカーとの新規取引は、過去の取引実績がないとハードルは高いのではないかと推察します。

<質問9>

質問:同業他社に比べて御社のPERが著しく低い原因は、ガイダンスが非常に低いことがあるのではないかと思います。他のリユース企業が好決算を出している状況で、御社は特にイオンモールでの出店を積極化させているにもかかわらず、減収減益ガイダンスになっています。

これは採算性のない出店を繰り返しているか、またはガイダンスがそもそも低すぎるのではないかと思っているのですが、なぜ今期は減収減益になるのでしょうか?

回答:2023年2月期の業績予想については、2022年4月14日の決算短信で公表のとおり減収減益予想ですが、「ふるいちオンライン」のリリースや「TAYS」拡販に係るシステム開発等を織り込んでいることが理由で、採算性のない出店を行っているということではありません。

<質問10>

質問:イオンモールで出店した新規エリアにて、新たにロードサイド型店舗等を広げていく計画はありますか?

回答:ロードサイド型店舗を広げていく具体的な計画はありません。イオンモールでの出店を継続しつつ、小型パッケージ店舗「ふるいち」のロードサイド型店舗の出店候補地を探索中です。

<質問11>

質問:「ふるいちオンライン」は多言語対応でしょうか?

回答:日本語のみの対応です。

<質問12>

質問:第1四半期決算説明会で、社長が、今後M&Aを行う場合は増資を検討すると発言しました。一方で、自社株買いの強化も発表しているため、資本政策に一貫性がありませんし、増資をしてまで投資すべきと判断されるなら、なぜ、株主還元策を強化するのかわかりません。

以前までと違い、貴社の財務体質はかなり改善されているため、想定される買収規模が10億円以内ならば、借入で十分済むはずです。エクイテファイナンスでの調達は資本コストがかなり高く、M&Aの資金として活用するのは株主価値の著しい毀損を招きかねません。

山徳のPMIで実績を出しているのは理解しますが、増資には慎重な判断をお願いします。

回答:減資して、この先に増資をすることがないということではなく、必要に応じて将来的に増資を行う可能性はあるという意図での発言です。M&Aをするという目的の場合はその機会(タイミングや規模など)をとらえた機動的な動きをすることが必要となりますので、融資だけではなくエクイティファイナンスも視野に入れておく必要があると判断しています。調達は、目的に最適な手法で実施する必要がありますので、一貫性がないということではないと考えています。なお、ご指摘のとおり、事業面と市場面の両方の観点をもって、市場との対話を通じて慎重に判断していきます。

<質問13>

質問:「古本市場」アンバサダーの「よしおくん」についてお尋ねします。マスコットキャラクターを前面に押し出す試みは他のリユース企業にはなく、差別化要因としてとても期待しています。「よしおくん」は、店舗のイベントやIRで見かけることが多いのですが、今後さらに露出を増やしていく予定はありますか?

回答:現在、一部店舗のデジタルサイネージにて、バーチャルの「よしおくん」を試験的に映像展開しており、今後も有効な活用方法を模索していきます。

<質問14>

質問:そもそも貴社のバリュエーションは1桁台と非常に低い状態です。そのような状況で増資を検討するのは株主価値を毀損するだけで、だからこそ前期に自社株買いを決めたのではないでしょうか?

増資するなら、せめて同セクター内の同業他社と同水準のバリュエーションに上がってから検討すべきではないでしょうか?

回答:バリュエーションが1桁台というのをPERのことと捉えると、PERが同業他社比で低いということを鑑み、その向上に努めていきたいと考えています。成長戦略を検討していく上で、事業面と市場面(PERの向上)の両面を見ながら、最適な調達形態を検討していきます。

<質問15>

質問:中期経営計画の数字と照らし合わせて、2026年度にECで売上高100億円を目指すのは意欲的に見えますが、一方で店舗型の売上高は、出店ベースも加味して考えるとマイナス成長といえるかと思います。

店舗領域の先行きをここまで悲観的に見ているのと、今日お話しいただいた内容に整合性が取れないのですが、どのように考えればよいでしょうか?

回答:「古本市場」等の店舗と「ふるいちオンライン」は一体的な運営を目指しています。店舗での買取商材を「ふるいちオンライン」で販売していくという1つの枠組みの中で、「ふるいちオンライン」のみを切り出して100億円の売上高を目指しますが、それを下支えするのが商材の買取を行う「古本市場」等の店舗で、「ふるいちオンライン」のみでこの数字を達成できると考えていません。

「古本市場」等の店舗の販路は、実店舗だけではなく「ふるいちオンライン」というEC店舗にも拡張されると捉えていただければと思います。

<質問16>

質問:発行株数が多いと感じています。なにか対策は検討されていますか?

回答:現時点で具体的な計画はありません。