個人投資家向けIRセミナー
稲葉雄一氏(以下、稲葉):ナレッジスイート株式会社、代表取締役社長の稲葉でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。当社は2017年に上場いたしました。BtoB向けのクラウドベンダーとして創業し、今年でちょうど15年を迎えます。
私はもともと広告業界からIT業界に入ったという少し特殊な経歴を持っているため、最初は苦労しましたが、おかげさまで現在は上り調子となっています。これを機会にまたみなさまとの接点を設けられたらと思っています。それでは、これより個人投資家さま向けのIRセミナーを始めさせていただきます。
会社概要
今回は大きく4つに分けてお話しします。まずは会社概要についてです。2006年10月にBtoBのクラウドベンダーとして立ち上がり、現在は六本木に近い東京神谷町の愛宕グリーンヒルズに本社を構え、駅前にDXセンターというオフィスがあります。また、中部営業所、関西営業所、九州営業所があります。
そのほかグループ会社として、SESと呼ばれているエンジニア集団の株式会社アーキテクトコア、株式会社DXクラウド、ネットビジネスサポート株式会社があります。
沿革
沿革についてご説明します。2006年に設立し、最初にグループウェアと営業支援のSFAと顧客管理をするCRMの統合ビジネスアプリケーション「Knowledge Suite(ナレッジスイート)」を立ち上げて、そちらは当社の主力商品になっています。
徐々にいろいろなサービスを立ち上げ、2017年には上場しました。その後はM&Aと新サービスをいくつか立ち上げながら現在に至っています。
パーパス
当社は、中小企業のビジネスを変え、日本経済の活性化に貢献するために「Change The Business」をパーパスとして掲げています。日本企業の99.7パーセントは中小企業であり、その中小企業の稼ぐ力をもっともっと我々が支援することで、日本経済をより大きくしたいという想いがこのパーパスに込められています。
ビジョン
当社のビジョンは「脳力をフル活用できる世界へ。」です。やはり、中小・中堅企業では社員一人ひとりが担う業務の幅はまだまだ大きいものがあります。本来、人間の脳にしかできない「脳力」を、クリエイティブでイノベーティブな業務に集中させることが必要です。
残りの単純作業や人間がわざわざ行わなくてもよい作業を、人工知能やロボットといったテクノロジーが解決することをビジョンに掲げて、私どもは「Knowledge Suite」というサービスを立ち上げました。
グループ事業概要
グループ事業概要です。当社はセグメントを、DX事業とBPO事業の2つに分けています。DX事業はSaaSとして、サブスクリプションビジネスを中心に動いているものと、カスタマーサクセスという導入支援や導入コンサルでお客さまを支援する部隊があります。こちらは「ナレッジスイート社」やDXクラウド、ネットビジネスサポートが担っています。
もう1つのBPO事業は、SES(システムエンジニアリングサービス)として、お客さまの開発業務を私どもがお手伝いしながら、多くのエンジニアを抱えているため、そのエンジニアを外に出しながらみなさまの開発業務を支援しています。
こちらはアーキテクトコアという子会社が担っています。それとマーケティング/保守として、企業がお客さまを獲得するためのマーケティングやシステム開発の支援をしています。
DX事業/サービス概要 ナレッジスイート
DX事業における、我々の主力商品「Knowledge Suite」のサービス概要についてご説明します。こちらは中小企業にジャストフィットさせており、営業支援や顧客管理といったいろいろなものが1つの統合型のビジネスアプリケーションになっています。売上アップや営業力強化に必要なツールがすべて1つになっていることが大きな特徴です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):「Knowledge Suite」は御社の主力商品だと思いますが、競合他社にはどのような会社や商品がありますか? また、御社の製品の強みを教えてください。
稲葉:競合はやはりセールスフォースですが、上場している会社の中で競合と言われている領域を持っている会社はありません。セールスフォースはどちらかと言いますと、大企業向けのサービスで、我々はその下の中堅・中小企業向けのレイヤーを対象にしており、ターゲットが分かれていることが大きな特徴だと思います。
強みについては、例えば中小企業向けに一般に売られている会計ソフトを、1万人、2万人規模の会社が使えるかと言うと使えないと思います。それと同様に、大企業向けの何億円もかけて作った会計ソフトは50名、100名規模の会社では使いこなせません。我々は中小企業にジャストフィットさせるために、不要な機能をそぎ落していることも1つの特徴です。
坂本:中小企業専用の機能を付けているのですか?
稲葉:機能を付けているというよりも、そぎ落とすという感じです。
坂本:機能が多過ぎるから、それをジャストフィットさせるということですか?
稲葉:おっしゃるとおりです。例えば上場していると、会計の中にソフトウェア資産の管理の仕方や、減価償却の仕方が必要になりますが、中小企業にとっては必要ないため、そのような必要のない機能はすべて除いています。
坂本:それで使いやすくなるということなんですね。
DX事業/サービス概要 ナレッジスイート(料金表)
稲葉:料金はご覧のとおりです。だいたい5万円と8万円が主力の料金体系となります。こちらはユーザー数関係なく1社単位で課金していきます。どのように我々のお金が積み上がっていくかと言いますと、中に入ってくるストレージ、つまりデータ量によって課金するモデルとなっています。
「脳力をフル活用する世界へ。」というビジョンをお伝えしましたが、いろいろなデータや情報がそこに書き込まれてどんどん情報が膨らんでいきます。そうなるともっと使いこなせるようになり、さらに企業が成長するという仮定のもと、少しずつお金が積み上がってくるモデルを作っています。
DX事業/サービス概要
我々が保有しているサービスの一覧です。上からオンライン商談ツールの「VCRM(ブイシーアールエム)」、GPS位置情報で顧客管理する「GEOCRM(ジオシーアールエム)」、セキュアにログインを管理する「ROBOT ID(ロボットアイディー)」、オンラインのデータベースアプリを簡単に開発できる「Shelter(シェルター)」です。
大企業・中堅企業向けの高セキュアなチャットツール「InCircle(インサークル)」はメガバンクをはじめとする銀行でよく使われています。最後に、営業マーケティングデータを作るサービスの「ぱぱっとクラウド」があります。
DX事業/SaaSラインナップ
こちらのスライドはそれらのサービスが営業プロセス上にどのようにマッピングされているのかを表しています。我々はあくまでも営業のプロセス上にどのような機能、サービスが必要なのかを考えて、開発とラインナップをこの中に埋めているという現状です。
ターゲット市場規模
ターゲット市場規模については、やはり国策であったりテレワークの追い風により、中小企業のDX化は急激に加速し始めています。中小企業約400万社の中で、我々が大きくターゲットとするエリアが約170万社、約4,800億円となっています。DXの加速により、潜在的には最大1兆円まで拡大するのではないかと日頃からお伝えしています。
坂本:DX領域が大企業を含めて伸びているという昨今の状況ですが、コロナ禍はDXの加速が進んだ1つのきっかけになったと思います。大企業は当然どんどん潤沢な資金を使って大幅な設備投資ができる状況だと思いますが、中小企業をターゲットする御社から見た場合、中小企業はどのような状況なのか教えてください。
稲葉:物事の普及の仕方として、大企業で一通り回ってきたものが中小企業に落ちてくるという流れが1つあると思います。今までの中小企業におけるDXは、基本的にはバックオフィスの改善に使われていたため、かたちとして効率や売上にどのように直結しているのか見えづらく、中小企業の社長や幹部はどうしてもコストとして見ていました。
そのため、新しく設備を増強しないといけない、ツールを入れたらそのツールを使いこなせる人を入れないといけないと考えて、結果的に投資に思われてしまうケースが見受けられました。
もちろん会社の存続はバックオフィスでなく、売上を立てられるかどうかに関わってくると思いますが、コロナ禍の影響でオンラインやテレワークが普及した時に、人を管理したり、人とのコミュニケーションを行うその中間に位置するハブとしての、DXツールの必然性を感じられた1年なのかと思っています。
売上の領域の中で、DXを通じて企業がこれから先どのように成長していくのか、守っていけるのか、といった観点からDXを捉えている企業が増えています。
坂本:中小企業でも今後さらに大企業を追いかけるというかたちで投資額が増えていくのでしょうか?
稲葉:おっしゃるとおりです。
クラウド型CRM総市場
稲葉:クラウド型CRM総市場については、2020年度以降の年成長率はデータによるとだいたい19.3パーセントの市場成長と言われています。グラフの点線部分が我々の成長率になりますが、当社のDX事業におけるYoY売上収益成長率は倍近くに大きく成長しています。
市場のマーケットより大きな成長をしているということは、マーケットシェアを取り続けている1つの証でもあると思います。我々はここの部分を、新型コロナウイルス感染症により中小企業のDXが加速している1つの証として、この流れの中にうまく乗りながら、今後も成長すべく営業をかけています。
DX事業/SaaS企業規模別導入ニーズ
我々のサービスがどのような企業に向けて作られているのかと言いますと、「InCircle」というビジネスチャットアプリや、オンライン商談ツールの「VCRM」はだいたい大手企業、中堅企業向けとなっています。
「InCircle」は、メガバンクをはじめとする大手銀行が、セキュアな環境の中でコミュニケーションを取るサービスとしてLINEのような使い方をされています。また、「Knowledge Suite」は、中小・中堅企業をメインストリームとして非常に多くのお客さまに使われているサービスです。
DX事業サービスの強み
当社のDXサービスの強みは3つあります。1つはリード獲得力です。インバウンドの月間平均は、インターネットや電話から月800社くらいとなっています。他にも、展示会やいろいろなプロモーションの中で取ってきていますが、そのように見込み顧客が自然に我々のところに集まる仕組みができ上がっています。
次に製品サービス力です。独自の料金体系や価格優位性などで純国産・統合型と呼ばれていますが、例えば大手企業向けのサービスですとグループウェアのみ、SFAやCRMのみとなり、それらをすべて契約すると非常に大きなお金がかかってしまいます。我々のサービスはそれらが中小企業向けに全部1つになっていることが大きな強みだと思います。
最後に技術力として、当社では自社開発SaaSの内製にこだわっています。日本にクラウドという言葉がちょうど到達する前に、アメリカでは既に普及していましたが、我々は先手を打ちながら、マルチテナントという方法で開発しました。当初マルチテナントで開発しているのはセールスフォースだけで、当社は日本で初めてマルチテナントで作り、そのサービスを運営したという実績を持っている会社です。
DX事業/SaaSのストック型課金モデル
ストック型課金モデルについてご説明します。まずスライド左のグラフをご覧いただくと、仮に毎月200万円ずつ新規で積み上げていくと12ヶ月でだいたい2,400万円、初年度で1億5,600万円積み上がります。
翌年はこの2,400万円がずっとサブスクリプションでお金をいただくため2億8,800万円がベースとしてつながって、新規で上の部分の1億5,600万円をもう一度200万円ずつ積み上げていきます。
例えば1億5,600万円を初年度で取ったとしても、翌年にはその倍以上のお金が積み上がっているということが、このサブスクリプションの仕組みです。このような収益モデルになりますので、翌年が非常に大きく膨れ上がるということが特徴です。
DX事業/直近SaaSプロダクト受賞
スライドに掲載しているような賞をいろいろなサービスの中で受賞しています。
BPO事業/収益構造とDX事業とのシナジー
BPO事業についてです。SESと呼ばれている領域で、私どものサービスもそうですが、お客さまの開発に私どものエンジニア社員を派遣し、そこで開発のお手伝いをします。さらに、アーキテクトコア社の優秀な社員に私どものところに来ていただいて「Knowledge Suite」の開発をして、ある程度終わったらまた戻って、違う開発をします。非常に好循環なエンジニア採用の動きを作っているハブの会社です。
中期経営計画 – 成長戦略 –
中期経営計画についてご説明します。私どもは2つの成長戦略を持っています。1つは事業収益シェアの拡大です。これは契約件数の拡大と契約あたりの単価をどのように拡大させるかということです。ここにこだわり、営業の100名体制や、カスタマーサクセス、つまりお客さまの成功を私どもが一緒に支援するような取り組みの体制を整えています。
もう1つがプロダクトやサービスの強化です。これは契約継続率を向上させるために新規プロダクトの開発やM&Aによるサービス拡充を行います。
成長戦略 事業の収益(シェア)拡大
シェア拡大における取り組みの中の1つを少しお話ししましたが、営業の100名体制をこの中期経営計画の中で達成させていきます。営業社員は新卒で採用することが中心ですが、新卒で採用してからだいたい11ヶ月前後で、売上の平均値まで達成します。1年かけてトレーニングを続けているのが今の現状です。
坂本:1年かけてトレーニングされるということですが、結構しっかり教育されていると思います。教育面で大変な事や力を入れていることや、どのようなトレーニングを行っているかについて一例を教えていただけますか?
稲葉:言い方はあまりよくないですが、単純にボールペン1本を売ることとは少し訳が違うため、「Knowledge Suite」のマニュアルだけでもとても多く、それを営業の全員が覚えないといけません。ただ覚えるだけではなくて、お客さまの課題をマニュアルを応用し、「この機能がどのようなかたちで課題を改善させるか?」を提供することによって、お客さまの売上アップにつなげなければいけません。
今までのお客さま、「Knowledge Suite」だけで2,600社近くあるのですが、2,600社のお客さまのパターンを見ながら、この業界のこのようなお客さまはこのような改善の方法をしているというものを覚えて、それを提案していかないといけません。コンサルティング営業なので、どうしても1つ簡単な物を売るという考え方とは違って、教育の幅が広がってしまうというのが今の現状です。
坂本:なるほど、それでは教え方はOJTになるのですか? それともWebできちんとカリキュラムが組まれていますか?
稲葉:OJTが中心ですが、まず1番最初にトークスクリプトで、基本的にはマニュアルを全部はいきなり覚えられないため、最初の取っかかりの部分を覚えます。そこから深く提案する一次的な提案、二次提案、三次提案と営業のプロセスがあると思います。プロセスに応じてきたトークスクリプトと対応の仕方を深掘りして覚えていく感じになっています。
簡単に言うと、最初のアポイントを取り、訪問して概要を話すまではできるようになり、いろいろな質問が出てきた時に、次回それに対する回答をさせていただくという段階で、先輩社員を連れて行くということを繰り返していくことで、幅を広げていくという流れを作っています。
成長戦略 プロダクトサービス強化
続いてこのプロダクトサービスの強化になりますが、私どもは次世代の「Knowledge Suite」を今ちょうど開発しています。「意思を持ったデジタルレイバー」という言葉を私どもはよく使っています。意思を持つというのはAIです。デジタルレイバーというのはロボットなのでRPAです。
やはり中小企業の社員は1人で何役もこなさないといけません。要は自分がいろいろなものに取り組まないといけないため、どうしても小さくなってしまったり、時間が足りなくなってきます。それをすべて、営業社員一人ひとりに寄り添うAIのロボットを中心にして、営業活動の自律化や自動化を強力に推進するようなサービスを今開発しています。
次世代の「Knowledge Suite」をいろいろな機能やサービスを切り分けながら今年、徐々にもうすでにいくつかリリースを繰り返していますので、今後もご期待いただければと思っています。
中期経営計画 – 中期業績目標 –
中期の業績目標です。こちらはレンジ方式を採用しています。今年に関しては売上収益は31億5,700万円、営業利益は1億1,700万円から1億3,600万円のレンジで着地させる予定です。
2023年と2024年の中期経営計画ですが、私どもが掲げているのは、営業収益のYoYがだいたい30パーセントを超えるところを目指しています。さらには営業利益率10パーセント強で、2024年9月期の計画で5億1,700万円から約6億円の営業利益を目指して動いています。本件に関しては、2022年9月期に非常に順調に動いていることがみなさまにお話しできると思います。
中期経営計画 – 資本戦略 –
計画の達成について、私どもは企業価値の向上イコール株価上昇を優先させていきたいと思っています。事業利益を最大化させることを図っていきながら、ROE10パーセント超を目標に長期的な株価上昇を目指しています。
中期経営計画 – 中期経営指標 –
それを達成させるための客観的な指標として、営業収益の成長率や営業利益率やROEを重視しています。2024年9月期には売上収益成長率をプラス30パーセント、営業利益率は10パーセント、ROEは10パーセントを目指して、スタートを切っているというのが現状です。
業績ハイライト 2022年9月期第2四半期
2022年9月期第2四半期の業績です。こちらはハイライトになりますが、50パーセントの達成率になっています。50パーセントというのはサブスクリプションにとっては非常によい進捗です。
先ほど積み上がりのグラフを見ていただきましたが、前半は小さいですが、後ろになるにつれてどんどん大きくなるので、中間で50パーセントというのは非常に順調に進んでいることが分かると思います。
連結売上収益は15億8,000万円でYoYでだいたいプラス36.2パーセント、営業利益は9,200万円、DXセグメント売上収益は7億円超で、YoYでプラス70.5パーセントです。SaaSのARRは8億1,300万円になっています。スライドの下に書いてあるのが、先ほどもお話ししたとおりの通期計画です。
連結決算 概要 2022年9月期第2四半期
YoYでの売上収益はプラス36.2パーセント、DXセグメントに関してはプラス70.5パーセント、BPOに関してもプラス17.2パーセントです。さらに営業利益は前期と前々期、お恥ずかしい話ですが、広告展開の中でテレビCMを大きく仕掛けて、非常に下をくぐり、みなさまにご迷惑をかけ赤字で2年間推移しました。テレビCMをやめて、効率的な動きでプロモーションをかけていくことによって、しっかり利益を出せる会社だということを今年はしっかりお見せできればと思います。
坂本:この2年のテレビCMの効果はありましたか?
稲葉:正直なかったです。テレビCMで得られる効果を私どもも期待していたのですが、その効果で作った数字が未達に終わったというのが正直なところです。テレビCMに対する費用対効果が非常に悪かったため、元のかたちに戻し、元々持っていたもっと効率よくプロモーションを行うための施策を行いました。テレビCMは車でいうとターボのように思えたのですが、そのターボのエンジンがかからなかったと思っています。
坂本:最近の流行りのタクシー広告のほうがよかったのでしょうか?
稲葉:タクシー広告も出しましたが、仲間たちからは「見たよ」と連絡が来るのですが、それだけで終わっています。
坂本:御社のターゲット層である中小企業に1番刺さる広告宣伝の戦略は何ですか?
稲葉:私どもは展示会が多かったです。月800社来るというところについては、基本的にはみなさまにはよくSEOだと思われます。SEOは、例えばGoogleのアルゴリズムが変わったため順位が下がったため問い合わせが減りましたなどがあると思いますが、私どもは一切関係ないです。
調べてみたところ、やはり私どもはバイネームで検索されるため、言い方を変えれば、リアルな世界で「Knowledge Suite」という言葉が中小企業の中で浸透し始めている1つのかたちだと私どもは思っています。
連結売上収益 推移 2022年9月期第2四半期
スライドは成長の推移です。売上収益はYoYプラス32.5パーセントで、非常に順調に推移しているということを分かっていただけると思います。
連結販売管理費 推移 2022年9月期第2四半期
販売管理費についてです。先ほどもお話ししたとおり、広告宣伝費で2020年9月期の第4四半期で1億円くらい利益が出ていたのですが、一気に広告宣伝をかけてマイナスにしました。そこからずっと、2021年9月期の第3四半期まで広告展開していたのですが、要するにタクシー広告とテレビCMを中心に行っていたのですが、これが本当に効果がありませんでした。お恥ずかしい話、個人投資家さまや機関投資家さまにも非常にご迷惑をおかけしました。
読みが非常に甘かったところを含めて、私どもにはまだ効果が得られるようなタイミングではなかったと見切り、今期は一気に切り替えていったという流れの中で非常にしっかり利益が出せることをお見せしているというのが現状です。
坂本:今後展示会も増えそうですし、アフターコロナでの営業はどちらかというと展示会プラスインバウンド営業というかたちで行われますか?
稲葉:おっしゃるとおりです。
営業利益 増減分析 2022年9月期第2四半期
稲葉:営業利益の増減分析です。営業の育成強化によってDX事業の収益が計画どおり非常に順調に増えており、次世代の「Knowledge Suite」の開発で開発原価が増加しています。人員採用については今年4月に新卒中途を含めて40名ほど入っており、非常に多く入っているということが特徴です。
「マーケティングの施策の選択と集中」については、テレビ広告やタクシー広告をやめて、もっとリアルなプロモーションと呼ばれている、空中戦ではない領域を行っていくことによって、しっかりリードをとって、売上に直結できるような動きに足元を戻していったという現状です。
トピックス
機関投資家さまと個人投資家さまの情報格差をなくすために、個人投資家向けに個人的にTwitterとnoteを配信しています。少し個人的な話も入ってくると思いますが、こちらのURLにアクセスいただければご覧いただけますので、ぜひ登録いただいて、日々の動きや会社の動きも見ていただければと思います。
トピックス(DX事業)
今年から始めたことですが、DX事業のSaaSの主要KPIを毎月レポートで出しています。OEMやグループ会社の「InCircle」というチャットサービスや、Papattoクラウドと呼ばれている「B Suite」を除いて、単純に私どもの主力サービスである「Knowledge Suite」のKPIやNew MRRや、契約件数や、受注額残高を月次できちんとレポートしていますので、ぜひこちらも見ていただければと思います。
トピックス(DX事業)
3月末の時点で発表しましたが、ナレッジスイートグループ全体でSaaSのMRRが月のサブスクリプションの売上が1億円を突破しました。またSaaS ARR年間も12億円を突破しました。
SaaS MRRの1億円は非常に大きな意味を持っていて、私どもの業界でいうと、マーケットやお客さまからの信頼やニーズを1つの指標として、SaaS MRRが1億円またはSaaS ARRが10億円を超えられるかどうかが、その市場やサービスを評価する1つの基準になっています。
SFA/CRMの領域で、国内上場企業でSaaS MRRが1億円を突破しているのは私どもだけですので、そこから大きく成長できるようにさらに頑張っていければと思っています。
トピックス(DX事業)
先日、経済産業省が定める「DX認定取得事業者」に認定されました。
DX事業売上収益 推移 2022年9月期第2四半期
サブスクリプションは非常に順調に動いていて、YoYでプラス70.9パーセントと大きく伸長しているということが現状です。
坂本:急に伸びた要因は何かありますか?
稲葉:2021年9月期の第4四半期を見るとわかりますが、そこから急激に伸びています。 これは、買収した「InCircle」と「ネットビジネスサポート」の2つです。小さい会社ですが、ここで買収して積み増ししたという現状です。
ただ、サブスクリプションの領域でいうと、ネットビジネスサポートのサービスはどちらかというと、サブスクリプションというよりも一時金で僕らは取っていますので、「InCircle」が積み増しの要因になっていると思います。
DX事業SaaSビジネス 四半期KPI推移
稲葉:KPIの推移です。年間のARRは「Knowledge Suite」単体で8億1,300万円、YoYでプラス37.6パーセントになっています。先ほどもお話ししたようにグループ全体で12億円を突破しています。
DX事業SaaSビジネス 四半期KPI推移
契約企業件数です。こちらはYoYでプラス20.6パーセントと非常に順調に推移しています。「Knowledge Suite」の契約社数については、先ほどもお話ししたとおり、OEMや「InCircle」などグループ会社のサービスを一切抜いて、「Knowledge Suite」単体で、第2四半期が終わって2,500社を突破しています。
DX事業SaaSビジネス 四半期KPI推移
もう1つ大きな特徴となっているのが、ARPAです。「単価を下げてでも件数を取りに動いているのではないか?」とよく言われますが、見ていただいたとおり、YoYでも10パーセント以上成長しています。
ARPAを上げながら、さらに顧客の契約を進めているということで、非常に順調にうまくいっています。さらにChurn Rate(解約率)については上下しながら、ゆっくりですが、徐々に下がっていっているという現状で、こちらも非常に順調に動いています。
坂本:単価の上昇については、「Knowledge Suite」はプランが3つほどあったと思いますが、上位プランや、容量を増やしたりということで単価の上昇につながっているということですか?
稲葉:おっしゃるとおりです。
坂本:3つのプランの違いは1万円、8万円などがあったかと思うのですが、機能が増えるのでしょうか?
稲葉:名刺の容量が増えたり、例えば、大手企業はあまりないのですが、中小企業は、年間予算として徴収されることを敬遠します。中小企業はそれほど大きくデータは使わないので、年間予算で先に買ってしまうということもあります。年間でだいたいどれくらいという計画で動くため、予算はここまでということもあります。
また、先ほどお伝えしたとおり、展示会も多いため、名刺をたくさん使います。そこの部分を大きくしていくなど、いろいろなオプションが外にあり、その部分をうまく活用されています。
坂本:Churn Rateは1パーセントが基準と言われておりますが、けっこう低いと思います。契約件数も多いのでそこの部分の管理が大変かと思うのですが、Churn Rateを下げている理由を教えてください。
稲葉:去年からカスタマーサクセスの体制を整えて、専用のチームを作りました。今まで導入支援チームはあったのですが、さらにそれを深掘りする意味で、カスタマーサクセスのチームを作り、それが少しずつ機能し始めています。
徐々にではありますが、既存のお客さまというよりも、新規のお客さまに対しての動きでだいたい10パーセント以上伸びています。うまく機能しているので、これからまた少しずつではありますが、人数を増やしていきながら、Churn Rateをもう少し、0.7パーセントから0.8パーセントくらいに落としていきたいという気持ちを持っています。
坂本:よくあるCSの内容としては、やはり導入してすぐにやめる人が一番よくないので、使い方のサポートなどから実施していますか?
稲葉:そこもそうですし、あとは研修も行っています。マネジメント研修や利用者研修、さらには、設定はノープログラミングでできるので、その設定の仕方をある程度教えていったり、そのような教育に時間をかけています。
坂本:あとはそれで使っていただくということですね。
DX事業SaaSビジネス 月次KPI推移(2022年4月)
稲葉:月次で出しているNewMRR、つまり新規の売上です。新規の売上がどれくらいあるのかというと、この第2四半期で言いますと、4月の断面で250万円を超えており、直近では今期で過去最大になっています。
でこぼこしていますが、今年はだいたい240万円くらいで少しずつ上がっていく感じです。でこぼこがあるのは、受注額残高とトレードオフということで、後ほどご説明します。
DX事業SaaSビジネス 月次KPI推移(2022年4月)
稲葉:受注額残高とは何かというと、受注をして課金をする前に課金を待っているお客さまのことです。
坂本:トライアルという意味ですか?
稲葉:トライアルの場合は契約されていませんが、受注額残高のお客さまは契約受注済みです。カスタマーサクセスや導入支援を受けていて、設定したり研修をして、終わったら課金が開始されます。
坂本:とても良心的ですね。
稲葉:スライド42ページでNewMRRがでこぼこしているのは、そこが動いているためです。例えば、2022年4月期の前の月は180万円と落ちています。
同期の受注額残高では500万円まで上がっています。2月から3月にかけて、前の月より60万円上がっているのです。60万円がこの新規に積み上がらずに、研修で延びているので、実際には、180万円プラス60万円でだいたい240万円くらいになります。
NewMRRは2022年4月期で253万円ですが、前でいうとここで13万円くらい下がっています。実際は、ここから差し引いて240万円くらいになります。
このようなトレードオフで、でこぼこしていくためNewMRRとこの受注額残高の変動を差し引きして、だいたいその部分が新規で積み上がっているということがわかるかと思います。
増井麻里子氏(以下、増井):コロナ禍中では研修が行いづらかったということはありますか?
稲葉:ありますね。そこの部分は非常に大きな問題になっています。やはり僕らはコロナ禍中ではオンライン研修を中心に動いていましたが、設定の代行は、カスタマイズなどはできるのですが、マネジメント研修などは非常に苦労しました。今でも、併用しながら行っています。
増井:まだオンラインという方もたくさんいますね。
稲葉:そこは少し苦労しながら行っています。
DX事業SaaSビジネス 月次KPI推移(2022年4月)
契約企業件数はYoYで、プラス17.9パーセントで、こちらも「Knowledge Suite」単体で順調に進んでいます。
DX事業SaaSビジネス 月次KPI推移(2022年4月)
毎月、NewMRRと受注額残高を並列した状態で見ることができます。これは毎月25日前後には出していきますので、ご覧いただければと思います。
DX事業営業人員数 推移
人員については、100名体制に向けて新卒を中心に、非常に順調に推移しています。ナレッジスイート単体でも、現在、営業の人数は27.5パーセントと、こちらも順調に推移していると思います。
BPO事業売上収益 推移 2022年9月期第2四半期
BPO事業の売上に関しては2020年9月期の第3四半期で一気に落ちています。これは新型コロナウイルスの影響が非常に強かったためですが、2020年9月期の第4四半期で同水準までいきながら、ここからは非常に順調に推移しています。
SES(ITエンジニアの派遣事業)、開発の支援事業はプラス23.5パーセントと非常に大きく推移しています。ここはまだまだ伸びると思います。
マーケティングや保守も、全部合わせると、プラス12.1パーセントなので、このエンジニア開発業務は非常に大きく伸びているなと思っています。
中期経営計画における進捗
今期業績予想です。先ほどの事業戦略、事業の収益拡大という中でいうと、契約件数も非常に順調に推移しています。YoYはプラス20.6パーセントですが、実際にはARPAも、単価も増えているため、実際の売上収益ではもっと大きく成長しているということがわかると思います。
さらに、CS(カスタマーサクセス)の活動によって解約率を落とします。また、プロダクトサービスの強化では、新「Knowledge Suite」、次世代「Knowledge Suite」というAIを載せたサービスを徐々に出していくのでご期待いただければと思います。
2022年9月期計画における進捗
今期の折り返しである第2四半期までの実績は売上収益は通期計画31億5,700万円に対して15億8,000万円、営業利益は通期計画1億1,700万円から1億3,600万円に対して9,200万円となっております。
ある程度通期計画の達成も見えてくると思いますが、上方修正しなかった理由は、40名の新卒が入ってくると原価も少し増えてくるため、前半の流れとは違う動きになります。そのため、そのまま、今は順調に動いているというところだけをご報告します。
質疑応答:営業の課題について
坂本:「2024年までに営業100名体制というのは現状に比べてギャップが大きいのではないでしょうか?」というご質問です。
稲葉:現在、営業はだいたい新卒で、去年と今年で二十数名ずつ入ってきています。これを少しずつ、何パーセントというところも含めて我々の計画の中では順調に動いていると思っています。
教育は、人数が増えてくると、時間をかけてしっかりケアをしていかなければいけませんので、僕らも一緒に成長させていけるような体制を同時に作っていくという課題が上がっています。
坂本:営業は、導入先まで行って操作を教えたりする営業なのですか?
稲葉:それは、カスタマーサクセスチームが動きます。
坂本:営業は本来の営業活動をするのですね。
稲葉:受注まで営業活動を行い、受注後に関してはカスタマーサクセスが動きます。
坂本:そのようなかたちで切り分けると効率よく営業ができるということですね。
質疑応答:導入業界の偏りについて
坂本:「御社のシステムを導入している業界の偏りはありますか?」というご質問です。
稲葉:偏りはありませんが、ただ1つ言えることは、BtoCの業界は苦手です。BtoBの業界向けのサービスに非常に強く入っています。
例えば、顧客にはホテルも入っていますが、ホテルはぱっと見たらBtoCに見えます。しかし、ホテルの中でどこで使っているかというと、宴会営業の部分で、企業に営業していくBtoBの動きですので、そのようなところで使われています。
個人を管理しながらではなくて、どちらかというと企業対企業のビジネスに非常に向いているサービスです。
質疑応答:社長のTwitterの発信について
坂本:「社長のTwitterの発信は何かルールを定めていますか? 営業面での反響はあるのでしょうか?」というご質問です。
稲葉:営業的なものとは思っていません。導入事例を出していますが、例えば大手企業の導入事例でしたら企業名は知られていますが、中小企業の導入事例では、江戸川区の何々商店といっても、誰にも気づいてもらえません。
ですから僕が発信することによって、お客さまのPRにつながればという視点しかありません。そのような意味で中小企業を少しでも支援できればと思っています。僕らが「すごいでしょう」とみなさまにアピールするのではなくて、小さな会社であっても、非常に優秀な会社、きらりと光るような会社がすごく前向きに取り組んで頑張っていますよと示すことで、導入しているお客さまを支援するという場になっています。
営業的な側面という視点ではないというのが、僕のTwitterのルールです。いくらですから買ってください、キャンペーンですというような告知はしません。
坂本:noteはそれを深掘りして書いてあるのですか?
稲葉:noteでは、深掘りしている部分やどうしても説明しないとわかりづらい部分を書いています。
質疑応答:「Knowledge Suite」の値上げについて
坂本:「値上げの余地はありますか?」という質問です。
稲葉:値上げはあまり考えていません。新「Knowledge Suite」の中で、新しい機能やサービスが追加されていきますので、お客さまのニーズに合わせてプラスアルファでご契約いただくような動きはありえると思います。