2022年9月期第2四半期決算説明会
小椋一宏氏(以下、小椋):みなさま、こんにちは。HENNGE株式会社、代表取締役社長の小椋です。当社グループの決算説明動画をご視聴くださいまして、ありがとうございます。
本日は、まず取締役副社長CFOの天野より2022年9月期第2四半期の業績と業績見通しの進捗についてご説明した後、私から成長戦略についてご説明いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
連結業績サマリー
天野治夫氏(以下、天野):天野治夫でございます。2022年9月期第2四半期の業績についてご説明いたします。
連結業績のサマリーはスライドに記載のとおりです。第2四半期は、2021年11月12日に開示した通期業績予想に対し、おおむね順調に推移しています。
売上高の推移
連結売上高の四半期ごとの推移も、スライドに記載のとおりです。HENNGE One事業の売上高は、すべてリカーリングの性質によるものです。これまでと変わらず、四半期ごとに増加する傾向となっており、堅調に推移しています。
売上高(対前年同期比、6か月累計比較)
連結売上高の前年同期比は、スライドに記載のとおりです。HENNGE One事業の売上高は、堅調に増加しています。プロフェッショナル・サービスおよびその他事業の売上高の微増は、当四半期で発生した一時的なSI売上高の増加に起因するものです。
売上総利益の推移
売上総利益および売上総利益率の四半期ごとの推移は、スライドに記載のとおりです。
売上総利益(対前年同期比、6か月累計比較)
売上総利益および売上総利益率の前年同期比は、スライドに記載のとおりです。引き続き、売上総利益率は高い水準を維持しています。
営業費用の構造(対前年同期比、6か月累計比較)
営業費用の構造を前年同期と比較すると、スライドに記載しているようなグラフになります。広告宣伝費が大きく減少したのは、前期に実施した大型のデジタルイベント「HENNGE NOW!」とテレビCMの放映などが今期はないためです。
また、これまでご説明のとおり、1点集中でないかたちで、状況を踏まえた多層的な顧客アプローチをとっている結果でもあります。
営業費用の構造(対前四半期比)
スライドは前年四半期比を記載しています。第2四半期も、2022年9月期の方針で掲げているとおり、今後の成長につながると考えられる活動を中心に費用を投下しています。
広告宣伝費は、2021年8月に発表した新機能追加に関連するイベントや広告などを引き続き展開し、テレビCMなどのコンテンツ制作も実施した結果、大きく増加しています。
その他販管費は、積極的に採用活動を実施したことにより、前四半期比で増加しています。人件費などは、採用活動を実施している一方で入退社のバランスが悪化した影響もあり、微増にとどまっています。人員の詳細については、後ほどご説明します。
売上高と営業費用の推移
売上高と営業費用の四半期での推移は、スライドに記載のとおりです。
従業員(アルバイトを含まず)の構成
第2四半期での従業員数の構成と人数は、スライドに記載のとおりです。
従業員(アルバイトを含まず)の推移と構成
従業員数の過年度からの推移は、スライドに記載のとおりです。通期で50名の純増が目標ですが、第1四半期は従業員数が増加せず、第2四半期も前期末から3名増にとどまりました。
ただし、第3四半期以降では採用活動が進んでいますので、今回は直近である2022年4月末時点の従業員数も記載しています。
これまでの決算説明でお伝えしてきたとおり、HENNGE One開発/研究開発職に関しては、海外からの採用を中心に人員を賄っています。2022年3月より入国制限が徐々に緩和され、4月から海外在住内定者が順次入社しています。
また、当社は通年で採用しているものの、4月という節目で多くの新入社員を迎えることができました。その結果、2022年4月末では、スライドに記載のとおりの増加となりました。引き続き、積極的な採用を実施し、期初目標「50名の純増」に向けて、採用活動を強化していきます。
なお、第1四半期の決算説明会で少し触れたリテンション施策は、複数の施策を検討し、いくつかが実施される可能性があります。しかし、現時点では業績予想の修正をするレベルの費用インパクトがあるとは考えていません。
また、育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日から段階的に施行されているため、今回から産休育児介護休暇を利用している休職者の数を開示しています。当社は産休育休の取得者が多く、2021年4月から2022年3月の期間の取得率は、出産する社員で100パーセント、そのパートナーで75パーセントとなっています。
2022年3月末時点での休職者は11名で、うち複数名が4月に復職したため、2022年4月末時点ではスライドに記載のとおりとなっています。
キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況です。当期は前期同様、HENNGE Oneサービスの提供に利用しているIaaS関連費用の前払いがありました。一方、前期の「HENNGE NOW!」イベントなど広告宣伝費の多額の支払いがなかったことにより、営業キャッシュ・フローは前年同期比で大幅に増加しています。現預金残高は、前年同期比で堅調に伸びています。
事業トピックス
事業の進捗をご説明します。事業トピックスは、スライドに記載のとおりです。
各種イベント開催
当四半期は、「HENNGE MEET UP! 2022」を東京・大阪・名古屋・福岡の全国4都市とオンラインで開催しました。企業の情報システム担当者が実際にHENNGE Oneの全機能を試し、アクセス制御やメール誤送信対策の運用イメージを確認することで、より具体的な商談につなげていくという狙いで実施しました。
HENNGE One新機能「HENNGE Connect」
2022年3月にHENNGE Oneの新機能である「HENNGE Connect」を発表し、2022年4月から発売しています。2021年8月に発表した3つの新機能に続き、今回の新機能もお客さまに大きな付加価値をもたらすと自負しています。
今回の新機能は、HENNGE Oneを通じてお客さまが保有しているオンプレミスのシステムにも、セキュアにアクセスできるようにするものです。
クラウドメインのワークスタイルへの移行をお手伝いする私たちの基本的なスタンスに変わりはありませんが、これまでクラウドへの移行に踏み切れなかったお客さまにも、HENNGE Oneを用いた移行を提案しやすくなるメリットがあります。
「HENNGE Connect」は、HENNGE IdP Proプラン、HENNGE One Proプランで利用可能です。お客さまにより大きな付加価値を提供することで、上位プランの訴求を行うというARPU向上施策という位置付けにもなっています。
HENNGE One KPIのハイライト(対前期末比、6か月進捗)
KPIの進捗状況をご説明します。前期末からのHENNGE Oneの各KPIの進捗は、スライドに記載のとおりです。
HENNGE One KPI(対前年同期末比)
HENNGE OneのKPIの前年同期末比は、スライドに記載のとおりです。
HENNGE One平均月次解約率の推移
平均月次解約率は、スライドに記載のとおりです。引き続き、非常に低い水準を維持しています。
HENNGE One契約企業数と契約ユーザ数の推移
契約企業数と契約ユーザ数の四半期ごとの推移は、スライドに記載のとおりです。2022年9月期に入ってからは、第1四半期の決算説明会でもご説明のとおり、営業人員不足の状態が継続しています。
第2四半期は第1四半期と比べると、四半期での新規獲得企業数は復調傾向にあるものの、契約企業数は上半期全体としては緩やかに推移しています。
HENNGE One ARRとARPUの推移
ARRとARPUの四半期ごとの推移は、スライドに記載のとおりです。ARRは50億円を突破しました。ARPUは、2021年10月以降の新規顧客には新料金プランで販売していること、また当初想定よりも多くの既存ユーザが新プランへ移行したことなどの複合的な要因で上昇しています。
そのため、ARRは堅調な結果での着地となりました。昨今のセキュリティ意識の高まりにより、既存ユーザからは新機能・新プランに対して引き続き多くの問い合わせがあります。
2021年9月期末の契約企業数1,952社のうち、今期末までに1割から2割程度が新プランへ移行すると現段階では見込んでいます。ただし、本格的なプラン移行の波は2023年9月期以降になるため、既存顧客の新プラン移行が当期のARRを大きく押し上げることはないと考えています。
2022年9月期の方針
2022年9月期の通期業績見通しに対する進捗をご説明します。2022年9月期の方針は、2021年9月期の方針を踏襲し、引き続き積極的なマーケティング投資を行い、ニューノーマル下で拡大する機会を捉えることで、HENNGE Oneの中期的なARR成長を加速する、としています。
マーケティング投資は、引き続き新サービスの認知向上のための広告宣伝を実施するほか、新型コロナウイルス収束の可能性も考慮し、リアルイベントやオンラインイベントでの露出を図るなど、1点集中でなく状況を踏まえた多層的な顧客アプローチを試みます。
人員計画としては、今後の成長のための全方位的な採用を行い、引き続き全社で50名以上の純増を目指します。新プランの販売促進のため、営業職とカスタマーサクセス職を重点的に増強しつつ、人員の充足までは業務委託も並行して活用し、顧客対応のためのリソース確保を最優先します。こちらの対応は、既存のお客さまの新プランへの移行にも効いてくると考えています。
連結業績見通し(通期)
連結業績見通しについては、2021年11月12日に発表した業績予想から変更はなく、スライドに記載のとおりです。
売上高の進捗
事業別の売上高の過年度からの推移と今期見通しに対する第2四半期の進捗はスライドに記載のとおりです。第2四半期はおおむね順調に進捗しています。
営業費用(原価+販管費)の進捗
広告宣伝費と広告宣伝費を除いた営業費用の、過年度からの推移と今期見通しに対する第2四半期までの進捗は、スライドに記載のとおりです。広告宣伝費については、上半期においても広告宣伝活動を積極的に推し進めてきました。
下半期ではさらに広告宣伝活動を活性化し、将来のARRの獲得につながる活動を推し進めていきたいと考えています。そのため、上半期よりも下半期のほうが広告宣伝費が大きく計上される見込みです。第3四半期以降の具体的な広告宣伝活動については、次のスライドでご説明します。
2022年9月期第3四半期以降の広告宣伝活動について
現在、当社のWebサイトでもリリースしていますが、第3四半期以降、スライドに記載しているような広告宣伝活動を実施しています。「Japan IT Week 春」は、2022年4月6日から3日間、東京ビッグサイトで開催されました。当社では出展ブースを設けるだけではなく、開催期間中に最寄り駅のエスカレーター横の広告枠を独占するなどして、多くの来場者の方に対する露出の機会を増やしました。
また、2022年4月より、ウルトラマンをイメージキャラクターにしたテレビCMを『ワールドビジネスサテライト』などで放映しています。これらの広告宣伝活動は、これまでの活動と同様に累積的に効果を発揮するものと考えており、基本的には来期以降のARR獲得のための活動と認識しています。
Vision
小椋:当社の成長戦略についてご説明します。HENNGEのビジョンは「テクノロジーの解放」です。私たちはテクノロジーが大好きで、テクノロジーが世の中をよくしていくと強く信じています。この力をできるだけたくさんのお客さまに届けることによって、世の中を少しでもよい方向に動かしたいというのが、私たちの思いです。
HENNGEは創業以来25年以上、この「テクノロジーの解放」を理念として掲げており、さまざまな分野や、さまざまな方法でテクノロジーを解放してきました。その結果、SaaSはテクノロジー解放のための最もフェアで洗練された効率的な手段であるという考えに至っています。そのため、私たち自身もSaaSを提供していますし、お客さまのSaaS活用を通した変革を応援していきたいと考えています。
LTV最大化
このようなテクノロジーの解放を通して、私たちがお客さまに届けているテクノロジーの総量、理念の実現の証左となるのがLTV(Life Time Value)、すなわち私たちが保有している契約の総価値です。私たちの成長戦略は、このLTVの最大化を目指しています。
現在、平均契約年数「Y」と売上総利益率「r」はすでに高い水準にあります。したがって、LTVの最大化にはARRの最大化が必要という状況です。そのため、私たちは直近の営業利益の水準にこだわりすぎることなく、将来への投資を積極的に行い、ARRを積み増していきたいと考えています。
ARR最大化
ARRは、さらに3つの要素に分解できると考えています。契約者数の「N」、平均ユーザ数の「n」、ユーザあたり単価のARPUです。
成長戦略の進捗(HENNGE One)
HENNGE oneにおける3つのKPIの実際の推移は、スライドに記載のとおりです。HENNGE oneを主力とする当社グループのビジネスは、基本的にサブスクリプションモデルです。当期中に獲得した契約は、解約されない限り積み上がっていき、翌期以降の売上の基盤となっていきます。スライドにて、HENNGE oneのARRは順調に、かつ安定的に積み上がってきていることをご確認いただけるかと思います。
ARRの安定的な成長が見られる一方で、分母の拡大による成長率の鈍化が課題となっていましたが、2020年以降、新型コロナウイルスによって企業の行動様式が大きく変化しており、パンデミックの収束後にSaaSやクラウドの利用が拡大していくことは間違いない状況となりそうです。私たちはこの機会を捉えるべく、2021年9月期を底としたARRの成長率の変曲点を作るための3ステップを、今まさに実施中です。
1ステップ目は2021年9月期に、全国のディシジョンメーカーやパートナー企業など、より幅広い層にHENNGE oneの強みやHENNGEブランドを認知してもらうため、積極的なマーケティング費用の投下を行い、新機能をリリースし、新ブランドを発表しました。
2ステップ目は今年度(2022年9月期)の施策ですが、昨年度に発表した新機能とそれに基づくHENNGE one新プランを、新規顧客向けに展開し始めています。
3ステップ目は来期(2023年9月期)に、この新機能を既存のお客さまにも展開していきたいと計画しています。
これらの3つのステップを通して、2022年9月期以降の「N」およびARPUの両方に作用する成長サイクルを作っていきたいと考えています。
直近の状況ですが、引き続き既存のお客さまから、新機能・新プランについて多くのお問い合わせをいただいています。その他の要因も相まって、現在人材不足の状況ではありますが、今後バランスよく3ステップを実現させるべく、当期の方針どおり、引き続きマーケティング投資と人員採用に力を入れていきたいと考えています。
天野からお伝えしたとおり、3ステップ目のスタートがやや早まり、2ステップ目のスタートがやや遅れている状況ではあるものの、3ステップ目のプラン以降の波は2023年9月期以降になると見込んでおり、全体としての成長シナリオに変更はありません。
2022年9月期以降の成長戦略
ご説明したような活動を通して、CAGR20パーセント台中盤となる中長期的なARR成長を実現します。まずは、HENNGE oneのARR100億円以上の水準を目指します。
認知度や接触可能な潜在顧客の数を向上させつつ、代理店との連携の強化や、新機能の開発とリリースを行い、HENNGE oneの付加価値を上げていくというサイクルを継続的に行うことで、その先も成長を続けていけるようなモデルを確立したいと考えています。
お客様の変革を応援するHENNGE One
HENNGE oneは、2011年に単一の機能からなるサービスをスタートして以来、機能を徐々に追加し、これまで5つの主要機能と1つのオプションからなるIDaaSとして展開してきました。2022年10月には3つの新機能を追加し、2022年4月にはさらに新しい機能として「HENNGE Connect」を追加しました。
今後もお客さまに届けるテクノロジーの総量を最大化するために、SaaS活用の分野で必要となる機能をどんどん追加していき、SaaS活用によるお客さまの生産性向上を強力にバックアップしていきます。
SaaSプラットフォームとしてのHENNGE One
HENNGE oneは、お客さまがSaaSを活用すればするほど価値が高まる性質の、IDaaSを中核としたプラットフォームです。
今後も私たちは、日本全国の企業でクラウドサービスの利用が拡大する流れを後押しするとともに、そのような流れの中でSaaS各社との連携を深めながら、SaaSプラットフォームとしての成長を図っていきたいと考えています。
以上、2022年9月期第2四半期の決算についてご説明しました。本日はお忙しい中、当社の決算説明動画をご視聴くださり、誠にありがとうございました。
質疑応答:ARR成長率の加速について
質問者:売上についておうかがいします。第1四半期と第2四半期のARRの成長率は、YoYで18.5パーセント程度ですが、現在広告宣伝も実施している中で、20パーセント以上の再成長についてはいつ頃からの見込みでしょうか?
この下期以降か、来期以降か、また、今年はクラウドサービスも増えてくる種まきの年ということと思いますが、どのあたりからの再成長を見ていらっしゃるのか、ARR成長率のところから教えてください。
天野:お伝えしたとおり、当期から20パーセント以上のARRの年間成長率を目指していくということで、現段階ではまだ20パーセントに満たない状況ではありますが、通期ベースでしっかりと目指していく計画です。
先ほど36ページでご説明したとおり、中期的には、2025年までに100億円のARRを目指すとしており、現段階では50億円の節目を超えたところまで来ています。
質疑応答:「N」の進捗率が低い理由について
質問者:フォローアップで教えていただきたいのですが、「N」「n」、ARPUのところで、20パーセント以上のARR成長率を目指していく中で、計画に対して少し「N」の進捗率が低いという理解で正しいでしょうか?
もしそうであれば、「N」が計画よりも下回っている理由として、人材がまだ海外から入っていないというご説明が第1四半期の時にもありましたが、そこがボトルネックになっているのかどうかを教えてください。
天野:海外から入社するメンバーは、セールス、カスタマーサクセスではなく、サービスの開発者が中心で、今のお話との関連が強いわけではないのですが、おっしゃるとおり、前回以前からご説明しているように、営業人員の獲得には若干苦戦しているところです。
その影響もあって、新しいお客さまの獲得、あるいは既存のお客さまに対する新しいプランのご説明とスムーズな移行が、まだ十分に進められていないことはあると思います。ただ、繰り返しになりますが、現段階としては順調に進捗しているという認識です。
質疑応答:下期の広告宣伝費について
質問者:費用についての質問です。11ページに営業費用の推移が示されており、Q&Aのコーナーでも、営業利益の進捗率がすでに80パーセントであり、下期に広告を使うとご説明されています。実際に、売上高が第3四半期と第4四半期でQoQでも成長していく中で、人件費が多少増えてもそこまで変化はないとなると、広告宣伝がかなりの費用になると思うのですが、下期の広告宣伝費はどのくらい見込まれているのでしょうか? 特に、今年は大型イベントの予定がないと認識していますが、このあたりについて教えてください。
小椋:費用面に関して、広告宣伝費が今後の変動要素と言いますか、大きなキーになるのではないかというご意見で、それがいつ頃使われるのか、どのような状況なのか、というご質問かと思います。
29ページをご覧のとおり、6.71億円のうち2.5億円くらいが使われたというのが上半期の状況ですが、今期はリアルとバーチャルのイベントをハイブリッドに行っていこうという計画があり、特に4月からリアルの部分で広告宣伝活動をかなり強化している状況にあります。
私たちが主催する大規模イベントはなかったものの、例えば、4月には「Japan IT Week 春」で大きく出展し、たくさんのリードを集めるような活動、あるいは進行中の案件をフォローするような活動を行いましたし、それに付帯してテレビCMの放映も行っている状況にあります。
このような広告宣伝費を第3四半期、第4四半期にかけて投下していく予定であるというのが、現段階の見通しとなっています。
質疑応答:IRサイト掲載のQ&Aについて
小椋:会場からのご質問がないようですので、当社IRサイトに掲載しているQ&Aをご紹介します。
連結業績については、売上高成長率が順調に進捗しており、「ここから加速していくつもりですよ」ということを書いています。従業員の状況については、大きく変化が起こっている部分です。2022年4月以降、入国制限の緩和によって開発に携わる人員が入ってこられるようになりまして、営業に関する採用活動も比較的順調に進捗している状況です。
通期見通しについてはご説明のとおりなのですが、第3四半期以降も来期以降のARR獲得につながるような広告宣伝活動をさらに進めていきます。現時点での営業利益の進捗率は80.5パーセントまできていますが、引き続きマーケティング活動や人員採用活動に力を入れていこうと考えていますので、通期見通しに沿った着地となる見込みです。
事業の進捗については、先ほど契約企業数に関するご質問をいただきました。全体的には第1四半期から穏やかにスタートしており、第2四半期から少しスピードが出てきた状況です。営業人員の充実などにより、引き続き加速していきたいと思っています。
ARPUについては以前から上昇傾向ではあるのですが、当期は新プランでのサービス提供が開始されていること、また想定していたよりも多くの既存のお客さまが早めに新プランへ移行している状況もあり、複合的な要因で上昇しています。
2022年9月期以降の成長戦略については、2025年までにARR100億円以上を目指すべく、成長率の加速を目指しています。ようやく半分まで来たところですので、いち早く突破できるように引き続き加速していこうと思っています。
中長期的な成長については、天野からご説明したとおりです。
その他については、決算説明資料であまりカバーされていないのですが、円安進行が事業に与える影響についてはご質問があるかと想定して資料にも記載しています。
当社ですと、AWSなどのクラウドのインフラ利用料は主にドル建てで支払っていますので、円安が進行すると最終的には原価が上がる仕組みになっています。しかしながら、為替予約を実施していることもあり、当期の売上原価には影響はありません。もちろん、円安がこのまま進行すると我々の仕入れ値も上がってしまいますが、もともと粗利率が非常に高いビジネスですので、今後の業績に派手な影響を与える状況ではないと認識しています。
一方で、円安の影響により海外SaaSが高く見えるようになるだろうと思っています。お客さまがSaaSをどんどん導入していく中で、海外SaaSと国内SaaSを比較して選んでいくことになると、利用料が高いということは海外SaaSの導入に躊躇する理由にもなり得ます。そのような意味では、価格の改定による単価の向上を目指している我々としては追い風になる部分なのではないかと思っています。
このようにいろいろな影響はありますが、よい影響も悪い影響もある中で、よい影響をなるべくたくさん引き出せるようにがんばっていきたいと思っています。
質疑応答:今後の広告費について
小椋:ご質問をいただきましたので読み上げます。「現状レベルの広告費の投下はいつまで続くのでしょうか?」とのことです。
基本的には成長率をこのまま加速させていきたいと思っていますので、費用対効果が見える、つまり投下した以上のARRが獲得できると見込まれる状況である限り、広告費は投下していきたいと考えています。
実際に獲得しているLTVと比較しても、十分にコストパフォーマンスが高い費用投下になっていると認識しています。そのため、理想としてはこのまま成長が加速し、広告費が投下されるとさらに成長が加速するというサイクルができたらと思っています。
質疑応答:国内のIDaaSの競合について
小椋:「国内のIDaaSの競合状況をどのように見ていますか?」というご質問をいただきました。
毎回同じような回答になっていて恐縮ですが、今のところ国内のIDaaSの競合状況に変化はないと捉えています。今までと違う競合が現れたり、競合がすごく強くなっていたりという兆候は特にキャッチしていませんので、私たちが競合に比べて選ばれない理由もないですし、脅威だと感じている競合もあまりないというのが正直なところです。
一方で、私どもの製品の機能強化を着々と進めています。スライド37ページの黒い部分が昨年(2021年)10月以降に新しく投入した機能です。以前までは、IDaaSとメールセキュリティの機能を持った基本的なスイートに映っていたと思うのですが、いろいろな機能を投下したことによって、より一層複合的な強みを持ったサービスへと変貌しており、今後とも変化し続けていければと思っています。
私どもから見ると、競合に対する強みがどんどん増えているなと感じています。例えば、「HENNGE Cloud Protection」は、最近時々話題になるマルウェア感染などの標的型攻撃に対するセキュリティ施策です。「HENNGE Secure Download」は今の大きな流れになっている脱PPAPの機能を実現しています。「HENNGE Lock Plus」はパスワードレスの認証です。
新しく提供し始めた「HENNGE Connect」はオンプレミスシステムとの連携が可能です。そのため、「オンプレミスにもIT資産があるから、クラウドにもIDaaSにも一足飛びにいけない」というようなお客さまにも、その中間地点を提供できるようになりました。これら4つの非常に魅力的な機能が大きな差別化要因になってきていると私どもとしては捉えています。
先ほどお伝えしたとおり、私たちが想定しているよりも早く新プランへの乗り換えを検討している既存のお客さまは、脱PPAPやCloud Protectionの機能に関心を寄せているケースが多いです。そのため、私どもとしても自信が増してきている状況ですので、人員体制などを充実させた上で予定どおり成長を加速させていけたらと思っています。
質疑応答:テレビCMの効果について
小椋:「4月から放映しているテレビCMの効果について、現状ではどのように捉えていますか?」というご質問をいただきました。
評価するにはまだ早いですし、イベントの数字を何も出していないため何とも言いづらいのですが、想定よりもずっと盛況だったというのが正直な感想です。「Japan IT Week 春」でウルトラマンをテーマにしたブースを出し、同時にテレビCMも行っているのですが、私たちが思っているよりもお客さまはリアルな接触を求めているのではないかと感じました。
「Japan IT Week 春」自体の客足はすでに発表されていると思うのですが、例年並みとまではいかないものの、コロナ禍の最初の頃とは明らかに違うとわかるほどお客さまが戻ってきており、リアルな接触ができる状態でした。
このような状況の中でのテレビCMの投入だったため、非常に効果的なPRができたと思っています。ターゲット層である情報システム部門の情報システム管理者に対しては、非常に効果的なアピールができていると感じています。
質疑応答:kickflowへの出資について
小椋:「kickflowについて一言お願いします」というご質問をいただきました。
kickflowはクラウド時代のワークフローを提供するような会社です。私たちもかねてから利用していたこともあり、製品面の強さだけではなく、私たちのお客さまにもシナジーの高い製品・サービスなのではないかと考え、投資に至りました。株主として応援していきたいと思っています。
小椋氏よりご挨拶
小椋:いろいろな決算説明会が立て込んでいる中で、当社の説明会にお越しくださいまして本当にありがとうございます。私どもは今まさに成長の途上ですが、これからコロナが落ち着いてくる状況が目の前にある中で、多くの企業がリアルとバーチャルのハイブリッドなワークスタイルを模索していく時代に突入するだろうと思います。
円安進行や環境の変化などはあるものの、このような時代の中で生産性を高めていくためのキーツールになるのがクラウドだと思っています。キーツールを活用した生産性向上を私どもが強力にバックアップしていきます。
今期、来期、再来期とさらなる成長を続けていきたいと思いますので、どうぞ長い目で応援していただければと思います。
なお、当社では決算でご質問いただくことが多いのではないかという想定質問「2022年9月期 第2四半期決算Q&A」をIRサイトで開示していますので、そちらもどうか合わせてご覧いただければ幸いです。