2021年度 第2四半期 連結決算損益(対前年同期)
梶原健司氏:みなさま、こんにちは。千趣会代表取締役社長の梶原健司でございます。本日は、株式会社千趣会2021年度第2四半期の決算説明会を開催します。今回は、決算発表と併せまして、後ほど新中期経営計画について説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
昨年に引き続き、新型コロナウイルス拡大の影響を考慮し、動画での配信とさせていただきます。ご了承ください。本来であればみなさまと直接お会いし、質疑応答を含めてお話ししたいところですが、やむを得ない状況と判断しました。
4ページは、2021年度第2四半期の連結決算損益についてです。表の中央に記載のとおり、売上高は379億500万円と、前年比43億2,000万円の減少となりました。これは、第1四半期のブライダル事業において、前年比18億2,900万円のマイナスとなったことが影響しています。さらに第2四半期累計は、通販事業で前年比18億3,000万円のマイナスとなり、売上高に影響が出ています。
通販事業は前年と比較すると、コロナ禍の巣ごもり需要の特需が落ち込み、前年比マイナスとなりました。一方、コロナ禍以前の2019年度と比較すると、プラスで推移しています。こちらについて後ほどご説明します。
売上総利益は、引き続きオペレーション改革の施策を講じたことにより、大きく改善されました。販管費についても前年度に販促施策を変更した結果減少し、最終的な営業利益は4億7,300万円、前年比10億3,600万円の増加となりました。
四半期純利益は4億7,800万円、前年比34億7,900万円のプラスとなりました。前期はワタベウエディングの持ち分投資損失の影響がありましたが、大きく改善している状況です。なお、2021年度第1四半期に当社のブライダル事業の資本政策を見直し、ブライダル事業の子会社は連結対象から除外しました。詳細は後ほどお伝えします。
2021年度 第2四半期 連結貸借対照表(対前年度末)
5ページは、第2四半期の連結貸借対照表です。こちらもブライダル事業の子会社が連結対象から外れたことが影響しています。スライドに記載のとおり、固定資産や借入金などが減少した結果、負債・純資産の合計は119億円のマイナスで、規模としてはやや縮小している状況です。一方、純資産は334億9,500万円と、年度末と比較して14億円のプラスとなりました。自己資本比率は50.2パーセントから64.4パーセントに上昇しました。
2021年度 第2四半期 連結キャッシュ・フロー計算書(対前年同期)
対前年同期の第2四半期の連結キャッシュ・フロー計算書です。先ほどお伝えしたように、ブライダル事業の再編による株式の売却益など投資活動でキャッシュが増加しました。また、借入金の返済が進み、財務体質が大きく改善した状況です。
各財務諸表に記載のとおり、併せて収益性の改善も実現できました。先般発表しましたが、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を解消しています。最終的には現金等の期末残高が188億3,000万円ということで、財務体質は問題なく推移している状況です。
2021年度 第2四半期 連結セグメント別業績(対前年同期)
第2四半期のセグメント別概況をグラフで表しています。スライド左側の通販事業は前期に比べて減収増益です。ブライダル事業も減収増益で、その他事業に関しては通期も含めてほぼ計画通りという状況です。
通信販売事業の概況(対前年同期)
通信販売事業の概況で、対前年同期を記載しています。売上高は328億4,200万円、前年比18億3,000万円のマイナスとなりました。コロナ禍による特需が落ち着いたため前年比でマイナスになっていますが、コロナ禍以前の2019年度と比較すると、プラス18億6,000万円で推移しています。
売上原価率は、バーゲンの判断の適正化による値引きが抑制されたということもあって、前年から1.2ポイント改善しました。販管費も前期から抑えられている状況の中で、最終的に営業利益は13億3,100万円、前年比1億700万円のプラスとなりました。
次に、スライド下半分に記載している重要指標に関してです。会員数は174.5万人、前年同期比マイナス35.4万人となっています。
昨年は優良なお客様をもう一度しっかりと戻す施策に注力してきたため全体的に下がったかたちになっていますが、継続会員数が110.9万人ということで、前年同期比プラス4.4万人になっているところは大きいと考えています。
新規会員は減少していますが、計画以上に推移しているということで、下期は年間目標会員数達成に向けて、施策あるいは商品力を上げていきたいと思います。
型数は、2020年度第2四半期よりも1,770型上がっていますが、先ほどからお伝えしているとおり、型当たりの売上高は、昨年は巣ごもりのフォローを受けましたが、ほぼ前年と同等の商品力と考えています。
調達の在庫回転月数も3.1ヶ月から2.9ヶ月と、引き続き、在庫は仕入枠管理という手法の中で適正に抑制されている状況です。
通信販売事業の月次売上高(過去3年比較)
通販事業の月次売上高で、過去3年比較のグラフです。2021年度は緑色のグラフで、2020年度が赤色の破線グラフ、2019年度の実績が青色のグラフになります。1月、2月、3月の途中まで新型コロナウイルスの影響が少なく、昨年より若干上回っている状況で推移しています。
3月後半から6月までは、昨年は巣ごもり需要の影響で好調に推移しましたが、今期は2020年度の数字に届いていない状況です。スライド上のグラフの緑色の線が示すとおり、2019年度の数字よりは高水準を保っています。
先ほどお伝えしたとおり、7月以降も引き続き、販促施策の推進および商品提案力の向上を行いながら、計画に沿って、前年の数字から引き離されないようなかたちで月別の売上を確保していきたいと考えています。
通信販売・ベルメゾン事業の重点取組
通信販売事業のベルメゾンの重点取り組みについて、大きく3つ掲げています。「会員基盤の再構築」に加え、根本的なベースである「商品力・提案力の強化」、売上総利益率の改善と商品調達コストの最適化を見据えた「オペレーション改革」のさらなる進化です。
ベルメゾン事業「会員基盤の再構築」
3つの取り組みについて、それぞれの状況をお伝えします。「会員基盤の再構築」に関しては、前期に大きく増えた復活会員の継続購入促進を中心に、施策を切り替えて展開しました。
引き続き会員の定着化を進めると同時に、年間の購入頻度をさらに向上させ、売上拡大を目指します。また、コロナ禍の通販利用の高まりに合わせ生活提案を強化する販促施策も継続実施していきます。
スライドのグラフで会員数の推移をご覧いただくと、前年に比べてトータルの会員数は減っていますが、主に注力してきた施策により継続会員数は改善しており、前年比プラス4.4万人で推移しています。受注単価は9,056円、前年比103.2パーセントで推移しています。
ベルメゾン事業「商品力・提案力の強化」
「商品力・提案力の強化」についてです。独自性の高いオリジナル商品に注力して、マーケティング戦略を強化した結果が出ています。
また、ジャンル間のクロス購入促進を強めるため、横断型の企画商品を投入したり、ベルメゾンのこだわりある看板商品を販促したり、そのような施策を組み合わせてお客様に訴求し、型当たりの売上高は前年と遜色ない高水準をキープしています。
なお、型数に関しては、2017年、2018年と比べて6掛けくらいを維持しており、効率は上がっている状況です。
ベルメゾン事業「オペレーション改革」
「オペレーション改革」は、先ほどお伝えしたとおり商品調達の改革です。こちらは商品原価率、プロパー消化率、値引き率、残品率等のKPIをもって管理運用し、精度を上げているところです。
2018年度から2021年度までの推移は、結果的に約10パーセントの大幅な改善に至っています。昨年の上期と比べても、売上総利益率がさらに1.2ポイント改善しており、利益の向上に寄与しています。通販事業の3つの大きな取り組みに関しては以上です。
ブライダル事業の再編
こちらはすでにプレスリリースをしていますが、あらためて、ブライダル事業の再編についてお話しします。
昨年は新型コロナウイルスの影響をまともに受けて、スライドに記載のとおり売上高が減収となり、営業利益も大幅に落ちました。
ですので、今後は収益性のリスクの限定化や新型コロナウイルスへのさらなる対応で資金需要が高まることを加味して、直接運営はしないこととし、お客様とのリレーションや事業シナジーについて強化する方針を固めました。
それぞれの企業価値向上につながり、株主さまへのメリットになるという判断の下で行った次第です。
法人事業・保険事業・その他事業の概況(対前年同期)
法人事業・保険事業・その他の事業は、スライドに記載のとおりです。年度を通して計画に近いかたちで推移しており、この下期もしっかりと施策を講じていきたいと考えています。
JR東日本との協業(進捗)
JR東日本との進捗状況に関してご説明します。昨年の9月から提携を結んで両社で協議を開始しました。スライドに記載のとおり、JR東日本とお互いの経営資源を融合させて、協業サービスを開始しています。
お客様にはお互いのビジネスアセットをいつでもどこでも便利に活用していただき、千趣会のデジタルの接点とJR東日本のリアルの接点を融合することで、サービスをより向上させていきます。
結果的には「お客様のくらしづくり・心豊かな生活」に貢献していきます。こちらはJR東日本のテーマでもありますが、シナジーをしっかりと描いていきたいという趣旨で提携しています。
具体的な政策は3つあります。「JRE MALL」の出店、「エキナカ」へのリアル出店、それを下支えする「JRE POINT」との連携になります。
今年度の3月からJR東日本が運営するECモール「JRE MALL」に「ベルメゾン」店を出店しています。こちらは「ベルメゾン」の主力商品の品揃えを「JRE MALL」に出店することと、我々が保有している販促や商品、UI/UXも含めたECモールの運営ノウハウを「JRE MALL」に伝えることで改善に結びつけています。3月から徐々に効率や売上高が上がっている状況で、今後はさらに力を入れていきたいと考えています。
次に、エキナカリアル出店についてです。3月より品川駅に「Disney Fantasy Shop by BELLE MAISON」(期間限定店)をオープンし、非常にご支持いただき、認知度も上がっています。また、5月21日から東京駅にある「グランスタ東京」に 「BELLE MAISON」店舗を常設店として出店しています。
いわゆるOMOと呼ばれるネットを中心としたリアル店舗との融合ということで、単純に店舗を出すだけではなく、お客様に楽しんでいただける新たなショップを目指してJR東日本とも知恵を出し合い、出店のさらなる加速・拡大につなげていきたいと思っています。
3つ目は、それを下支えする「JRE POINT」と「ベルメゾン」の融合ということで、お買い物券の交換が可能となり、「ベルメゾン」でのビューカード決済で「JRE POINT」が貯まるという連携になっています。
これにより、「JRE MALL」あるいは「ベルメゾン」でお買い上げいただくと、双方にポイントが付与されることで、双方向のお客様を送り込む施策につなげています。こちらも、販促を含めて数字が伸びている状況で、現在の進捗状況としてご報告します。
2021年度配当予想と決算発表予定日程
次に、配当予想などです。前年度は、残念ながら配当できませんでしたが、今期は、復配させていただき、1株当たりの中間配当は3円、期末配当は4円、年間配当は7円を予定しています。なお、通期の見通しに関しては、先日の決算短信報告から変更していません。業績予想どおり、下期も尽力したいと思っています。
今後も、中長期的な企業価値の向上を実現することで、株主のみなさまへの安定的な配当を行い、株主優待制度も含めて、より多くの還元に尽力していきます。また、決算発表の日程は、記載のとおりです。
業績と決算の報告に関しては以上ですが、本年2月の決算説明会にて報告した中期経営計画の見直しについて、少し触れたいと思います。
前中期経営計画の振返り
2021年から2025年までの中期経営計画として、新たな千趣会の5ヶ年の内容をご説明します。まずは、前中計を振り返りたいと思います。2017年度の経営危機から脱するために、中期経営計画に基づき、抜本的な構造改革を実行してきました。
2018年度は、広範囲にわたる構造改革で「再成長に向けた下地作り」として、事業規模の適正化と事業領域の再定義、そして、人員・組織やあらゆる資産について、無駄なコストの削減を行いました。
2019年度は「再成長に向けた種まき」の年と位置づけ、在庫を残さない粗利改善のオペレーション改革と、顧客起点のマーケティングの強化、そして、オリジナル商品力と提案力の強化を行いました。また、ベルメゾンの再度の存在価値と提供価値のブランドポリシー、つまり人格の再設定を行い、千趣会らしさを取り戻すことに注力しました。
2020年度は「効果の発現」ということで、これらの施策が成果として現れ、収益・財務体質の改善など、組織力の向上が着実に実現し、再成長に向けた経営基盤を確立することができました。
2021年度は、コロナ影響でブライダル事業出資を見直し、社会的インフラの重要性が高まっている主力の通販事業への投資を強化しました。2018年度に大きく従業員が減少しましたが、全社一丸となって改革を実行し、生産性が向上し、そして組織力も上がっています。
これらの構造改革、および収益・財務体質の改善により、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を解消し、今後は構造改革の成長を基盤として、コロナ禍における転機を好機ととらえて、守りから攻めへの成長戦略に移行するタイミングに来ていると認識しています。
*前中期経営計画(通信販売事業)の振返り
主力である通販事業の主要指標での成果を、2018年度から3年間のグラフで表しています。2018年から通販事業の撤退ということで売上がいったん減少したものの、2019年から2020年に大幅に拡大し、最も重視していた営業利益は、マイナス56億円からプラス26億円に黒字転換しました。
重要な会員数も約300万人へ拡大しました。オリジナル商品に注力して、型数自体は2018年度から6割に絞りながら型効率を大幅に改善し、商品調達におけるオペレーション改革によって在庫抑制ということで、売上総利益率に関しても改善しました。
*前中期経営計画(ブライダル事業)の振返り
ブライダル事業の振り返りです。2021年度3月期はコロナ禍の影響を大きく受けましたが、今後の長期的な収益の下振れリスクを限定化し、資金需要を抑制することも必要と考えて、事業の直接経営から間接的な提携により顧客リレーション、あるいは事業のシナジーに注力すると判断しました。
千趣会の今後の企業価値向上に資するという判断に基づき、通販事業に経営資金を集約させました。
*今後の方向性
今後の方向性について、まず外部環境の変化です。コロナ禍において、不可逆的な消費者の価値観・行動の変化への対応が必要となっています。また、世の中の企業の持続的発展に必要なESG/SDGsへの対応にも考慮しなければならない時代に来ています。
また、デジタルトランスフォーメーションの進展対応と、コロナ禍におけるeコマース需要の拡大に伴い、他業種からのライバルの参入が増加していることへの対応が必要になっています。
本年、千趣会は創立66年、通販事業においては45年という年月を迎えます。お客様とともに成長し続けてきましたが、千趣会がこれまで大切にしてきたこと、変わってはいけないポリシー、世の中の変化をとらえて変わらないといけないこと、新たに加えないといけないことをしっかり頭に描き、これからも進んでいきます。
創業以来最も大切にしてきたことは、「お客様とのつながりや絆」を守り、お客様に寄り添い続けてきたことです。これを基本理念とし、スライドに記載の3つを基本方針として、今後もしっかり取り組んでいきたいと考えています。
1つ目は、お客様との接点や提案方法を、今の時代に則したデジタルの活用により変革する、いわゆるデジタルトランスフォーメーションと呼ばれている進化を遂げることです。
2つ目は、多様なライフスタイルや考え方、日常の暮らしで共感できる価値観を共有することで、これまで以上にお客様に寄り添い、自分らしく楽しい暮らしの実現に応えるオリジナリティある商品と役立つサービスを提供することです。
3つ目は、歴史ある企業として持続可能な社会、サステナブルな社会の実現に向けて、お客様、協業先、取引先とともに社会課題の解決に取り組むことです。
千趣会はこれまで「ウーマン スマイル カンパニー」のスローガンのもと、女性の毎日に笑顔を届けることを通じて、世の中を幸せにする企業を目指してきました。その根本思想を大切にし、これからの時代の多様性への対応、環境保全への対応、あらゆる持続的社会への貢献をふまえて、この根本思想をより進化させていきます。また、誰もが幸せになる未来のために、笑顔をもっと多くの人々へ広げていくための提案、そして社会貢献を行っていきたいと考えています。
新中期経営計画(2021年~2025年)数値目標
新中期経営計画の数値目標です。2021年度を再成長へのスタートの年度として位置づけ、新しい経営計画を策定して、千趣会の進化を目指します。さらに、千趣会の再成長には大きな変革が必要となると捉え、期間を2021年から2025年の5年間とし、さらなる経営基盤の強化と事業の変革を行いたいと考えています。
社会的に重要性を増した通販事業を中核に、カタログ通販から脱却して、千趣会ならではの独自のお客様や協業先を巻き込んだ「共創モデル」を確立することで、千趣会100年の志とともに、社会貢献できる企業に変革する重要な5年間の取り組みを行いたいと考えています。
まずは、数値計画です。新中期経営計画の最終年度である2025年に、売上高は900億円、営業利益は40億円、ROE8パーセント以上を目指します。
スライド下部には、5年間のシナリオについて記載しています。2021年と2022年度は、次なる成長の起点、基盤構築を行い、その後、成長に向けた取り組みと推進の加速を経て、持続的可能な社会への貢献と共創モデルの確立を目指したいと考えています。詳細は、後ほどご報告します。
*2025年までに実現すること:3つの目標
2025年までに実現する、重要な3つの目標です。1つ目は、さまざまな価値観と暮らしの両面を見つめ、お客様のライフスタイルを理解し、暮らしに溶け込むユニークな商品とサービスをお届けすることです。これまで以上に、共感できる価値観と、暮らしに役立つユニークでこだわりのあるオリジナル商品や、新たなサービスの提案に注力したいと考えています。
2つ目は、お客様に寄り添い、環境に優しい商品、安心して使える商品、愛着のわく商品を増やし、商品使用後のリサイクル、リユースの拡大に取り組むことで、物を大切にするサステナブルな社会を目指すことです。これまでになかった、買うことのみで終わらせない使用価値で、サステナブルな社会に貢献し、独自の強みを構築していきます。
「使用価値」とは、モノ・サービスそのものの価値で、安心品質、納得価格、かゆいところに手が届く気の利いたデザイン、そして、愛着を持って長く使える素材、アイデアなどです。そして、それはクオリティも含めてサステナブルな社会に貢献できる素材であり、ものづくりのプロセスであることを意識した、愛着を持って長く使える価値に加えて、使用中や使用後のサービスを組み合わせた価値だと考えています。
これを、長年取り組んできた独自のものづくりへの思いと、しっかりと仕組みを組み合わせ、構築したいと考えています。
3つ目は、多様なライフスタイルごとに、同じ価値観に共感する人・企業同士がつながる、ぬくもりのある共創社会を目指すことです。千趣会の思想、理念、そして、お客様との共通の価値観に対して、さらに共感いただける協業先や仕入先と共に創造、共創し、モノ・サービス・提案を通して、お客様と千趣会と協業・取引先がシームレスにつながり、ぬくもりのある共創社会の実現を目指したいと考えています。
*2025年の実現イメージ(ビジネスモデル)
2025年にそれらを実現するイメージを、ビジネスモデルとしてスライドの図に表しています。先ほどお伝えした3つの目標と連動しているかたちです。左から「①様々な価値観と生活の調和」は、お客様の多様なライフスタイルをこれまで以上に理解すること、上部の「②使用価値の最大化」は、商品の購買時に、使用中だけでなく使用前後から寄り添い続け、お客様にとっての商品の使用価値を最大化していくことです。
こちらはこれまでにない商品ポリシーであり、立体的な価値観と使用価値の最大化により、新たな戦略を作り上げるための組み合わせとなります。さらにお客様の理解を深め、購買結果などのデータベースをもとに、ビジネスパートナーとの共創を広めていくための図式です。
さらに詳細にご説明しますが、このようなビジネスモデルを構築して、通販事業を進化させていきたいと考えています。
スライド左側の「①様々な価値観と生活の調和」については、よりお客様のライフスタイルを理解し、暮らしに溶け込むユニークな商品とサービスを届けていくことです。
これまではカタログ中心に、マスビジネスのように万人に支持される最大公約数的な商材やリーチで売上規模を確保してきましたが、現代およびこれからの時代は、これまで以上にお客様のライフスタイルが多様化し、かつ、モノや情報が飽和する状態になります。そのような暮らしの詳細をより理解し、さらにお客様に寄り添うことが必要になってきます。
そのために、千趣会が大切にするライフスタイルや日々の暮らしの中で、お客様と共感できる価値観やテーマを明確に絞り込み、理想の暮らしや気持ちと現実との間にあるギャップや不調和を、オリジナリティを重視したモノ・サービスを提案することで解決していきます。そのようにして、お客様が自分らしく活き活きと笑顔で暮らせる提案をし続けたいと考えています。
例えば、より活き活きと暮らすための美容や健康、食・グルメや、より楽しく暮らすための趣味や娯楽、自分を磨く学び、家族や子どもとの時間を大切にする育児など、さまざまなテーマがあります。それらにスポットを当てて、しっかりとお客様との共通の価値観を構築し、暮らしに溶け込むコト・商品・サービス企画をもって、これまで以上にお客様との共感価値やテーマに基づいたコミュニケーションレベルを上げていきます。
こちらはカタログ、ECだけではなく、モバイルを活用したオンライン施策も実施します。JREとの提携も含めたオフラインの接点も、イベントや店舗というかたちで、価値観の実現に向けてこれまで以上にお客様に訴求していけると考えています。
また、スライド上部の「②使用価値の最大化」においては、しっかりとお客様に寄り添い、環境に優しい商品や安心して使える商品、愛着の湧く商品を増やすとともに、商品使用後のリサイクル、リユースの拡大に取り組みます。これにより、物を大切にするサステナブルな社会を目指したいと考えています。
これまでも当社はさまざまなライフスタイルを提案し、暮らしおよびユニークな商品を作ってきました。お客様にとって、暮らしに溶け込み、便利で品質が高く、愛着を持って使用し続けられる商品をこれまで以上に目指すとともに、その商品を消費するだけでなく長く大切に使っていただくために、使用中のリペアや使用後のリユース、リサイクルの仕組みやサービスを構築し、エコのサイクルでサステナブルな社会を目指したいと考えています。
お客様のモニター調査では、当社の商品は長く愛着を持って使えるという、ありがたい支持をいただいています。また、我々の優良なお客様には、物を大切にし、これからの環境保全やサステナブルな社会への貢献意識が非常に高い方がたくさんいます。
今後の価値最大化における取り組みは、差別化された我々の商品のみではなく、先ほどのさまざまな価値、生活の調和に基づいた商品、使用価値の最大化を立体的につなぎ合わせた、強みのある差別化された提案につながると考えています。
加えて、スライド右側に記載のとおり、ライフスタイルごとに同じ価値観に共感する人、企業がつながるぬくもりのある共創社会を目指したいと考えています。
千趣会の思想・理念、そしてお客様との共通価値観に対して共感いただける協業先としっかりと共創して、千趣会だけではできないモノ・サービスをお客様に対して提案していきます。
インタラクティブな顧客コミュニケーションと、独自の顧客データ、オンライン・オフラインにおける属性、購買履歴、行動履歴、あるいはそれらの定量データだけではなく嗜好性などを伴った定性データをもとに、お客様、千趣会、協業取引先がシームレスにつながり、ぬくもりのある共創社会の実現を目指したいと考えています。
その1つとして、お客様のデータベースを価値観に応じてしっかりと吸収できる仕組みを作りたいと思っています。価値観がつながったお客様のデータベースを、よりお客様を深く知る仕組みによって蓄積していくということです。そして、それを実現するために2025年までに千趣会が取り組む4つの変革について、次のページでご説明します。
*2025年までに千趣会が取り組むこと:4つの変革
27ページでグレーアウトしている部分の具体策で、すべての変革テーマにおいてデジタル手段を有効活用しながら推進していきたいと考えています。
1つ目は、全従業員がお客様を深く知り、共感し、寄り添うための具体的な仕組みと体制を再整備します。2つ目は、「消費から使用へ」という潮流を先取りしたビジネスモデルを再構築します。
3つ目は、千趣会の原点である「新しい価値観と生活の不調和」を、「愛」と「アイデア」を持ってこだわりのあるユニークなオリジナル商品とサービスで解決します。このモデルを構築し実現できた際には、国内外にしっかりと横展開して新たな事業領域を開拓し、さらに千趣会グループの拡大につなげていきたいと考えています。
4つ目は、それらの実現し、かつ収益性も担保した新たな経営基盤を構築していきます。次のページから、これら4つのさらなる具体的な施策をご説明します。
1:深いお客様理解の仕組み・体制整備
1つ目は、「深いお客様理解の仕組み・体制整備」です。全従業員がお客様を深く知り、共感し、寄り添うための仕組みと体制を再整備します。具体的に4つ挙げていますが、さらにプラスして具体化していきたいと考えています。
まず、お客様とマンツーマンで対話する仕組みを導入し、常にお客様と接触する機会を創出します。
また、モニターサイト「ベルメゾンデッセ」というお客様のファンサイトがありますが、お客様とつながっていろいろなご意見を聞き、お客様の状態を知ることができます。現在、登録会員は約20万人ですが、先ほどお伝えした方向性の中でしっかりと再活用、強化したいと考えています。
また、ビジネスモデルの再構築に合わせて拡大するお客様接点から得た情報を、業務の中で活用する仕組みを構築します。特にスマートフォンが中心になると思いますが、モバイル中心に移行することによる、お客様の商品使用中/使用後の声の収集を新たに加えたいと思っています。そして、オフライン店舗でのお客様の直接接触による声の収集・分析も加えたいと考えています。
最後に、お客様の視点に立った理解と、双方向でのコミュニケーションを通じたファン化の促進です。お客様の声を聞くだけではなくしっかりと分析し、インタラクティブに適正化して、お客様にメッセージの提供やアプローチを行います。
お客様にとって「一番近い企業」と感じていただけるように、双方向でのコミュニケーションを進化させたいと考えています。
2:「使用価値の最大化」に向けたビジネスモデルの再構築
2つ目は、「使用価値の最大化」に向けたビジネスモデルの再構築です。「消費から使用へ」のモデルの再構築になります。まずは「使用価値の最大化」から見た、商品・サービスの再編集と強化を行います。
加えて、モバイル中心の顧客コミュニケーションの構築と、使用中/使用後も含めた顧客データベースの強化、ビジネスモデルの再構築による新たな広告訴求プログラムの実装です。
2-1:「使用価値の最大化」から見た商品・サービスの再編集と強化
具体的にご説明します。まず「使用価値の最大化」から見た商品・サービスの再編集と強化です。使用前では、「使用価値の最大化」を原則とした商品・サービス企画の基本方針を新たに作成したいと思います。
まずは愛着を持って使っていただける商品について再定義し、サステナブルな社会実現のための素材や材料、生産プロセスを考慮した方針を新たに策定し、我々が作るべき愛着のある商品について組み立てたいと思っています。
新規商品はそれらの基本方針に従って、体験価値重視、モノ・サービスの組み合わせで企画を行います。新規性の高い商品・サービスはリスクを伴うため、受注生産型モデルを確立し、リスク低減と環境への配慮を持って推進します。
基本方針の管理・統制は、ベルメゾンが新たに再設定したチャネルに基づくブランドコードとも連動させて、一元的に対応し品質を担保します。基本方針や新たな販売手法を導入することで、型当たりの売上のさらなる向上、業務の効率化を実現していきます。
使用中は、商品がモノとして「使える」状態を保つための商品・サービスを展開していきます。長く使える状態や工夫を、お客様同士で連携・共有するための仕組み作りも考えています。
使用後は、手軽に罪悪感なく商品を手放すための買取サービスを展開します。こちらはパートナーとの共創により構築したいと考えています。新たな提携先とリユース、リサイクルの仕組み作りに関して業務提携しました。これに伴い、ユニークな二次流通サービスで循環社会を実現していきたいと考えています。
2-2:モバイル中心のお客様コミュニケーション構築とデータベース強化
モバイル中心のお客様とは、自社のアプリなどを通じ、SNSも連携しながら、使用前だけでなく使用中、使用後も双方向のコミュニケーションを実施します。
オフラインの活用においては、商品の実物確認やサービス提供、および決済やポイントなどの便利なデジタル機能と連動させた店舗を展開します。こちらはJREとの貴重な協業機会と考えています。
従来の紙カタログは、必要とする方々の絞り込み強化と、共感によりしっかりとモノを提案できることから、それに基づくレスポンスの高いビジネスモデルを目指し、さらに変革していきます。
使用中、使用後も含めたお客様のデータベースの強化については、ロイヤリティプログラムの再整備を通じて、購買データ以外の行動データを定性的なデータとして取得するなど、オリジナルのデータ蓄積をしっかり行っていきたいと考えています。
2-3:ビジネスモデルの再構築による新たな広告プログラムの実装
ビジネスモデルの再構築による新たな広告モデルの実装です。使用中、使用後にフォーカスした広告提案については、使用中、使用後もお客様とつながることで、購買だけではなく商品の使用も含めた活用状態や、使用後の感想などがデータ蓄積されていくものです。パートナー企業にそのようなデータを共有することで、次につながる新しいプログラムを実装したいと考えています。
広告プログラムの多様化については、カタログからモバイル中心に移行することで、従来の広告メニューにモバイルを活用したものや、パートナーとのコラボ商品企画、サービス企画等を展開していきます。ユニークな顧客データを蓄積してベースを整えるとともに、単純な広告ということではなく、千趣会の理念や思想に共感したお客様にマッチするモノ・サービスをベルメゾン独自の視点で目利きし、提案していきます。
また、さまざまな企業の商品の魅力や思いを、我々が独自の記事やコンテンツにして、お客様に訴求・紹介する新たな広告訴求モデルやプログラムが実現できたらと思っています。そのような意味で、ベルメゾンとして統一した世界観やブランドコードと連動した広告提案ができればと考えています。その世界観に共感してくれるお客様はすでにおり、そこにさまざまな企業の商品を確実に訴求できるプログラムを構築したいということです。
3:新領域の開拓
今までお伝えしたことが実装できれば、さまざまな価値観と理想の暮らしとのギャップを埋めるという課題解決の提案が実現します。さらにそれを拡大できた場合、事業規模に応じてスピンアウトし、新規事業として国内外に横展開するというプロセスを考えています。
スライド下部に記載のあるBtoBtoCのサービス展開についてですが、例えば、ファンとの交流機会や、ライブ収入が減少するIPホルダーやアーティストに対するサービスを展開できればと考えています。こちらは先ほどからお伝えしているような、共創モデルの実現のさらなる横展開というかたちで捉えています。
現在ディズニーとタイアップして、28年間のお付き合いのもと、暮らしに寄り添うオリジナル商品を展開しています。そのようにディズニー以外にもファンがついているキャラクターやアニメなどの領域にジョインして、同様に商品開発を展開できないかと思っています。
それによりファンのみなさまも、より日常に溶け込んだかたちで好きなキャラクターやアニメ、あるいはアーティストに寄り添うことができると思っています。そのような暮らしのベースを我々が構築し、横展開したいと考えています。
4:経営基盤の再構築
最後に、4つ目の経営基盤の再構築ということで、これは今までお話しした内容です。実現を可能とし、かつ収益性を担保した、新たな経営基盤を構築します。ビジネスモデルの再構築の迅速な実現に向けて、まずは専任組織を新設します。
そして、新設部門へのリソース配分と、新設部門で実現した成功事例である、プロトタイプの全社展開を統制するために、意思決定プロセスの刷新を行います。加えて、JREとの協業をさらに進化させます。
*JREとの協業進化
JREとの協業進化についてです。千趣会は、このように新たなビジネスモデルで、お客様のデータベースと接点をもとに、他企業との新たな創造により進化しますが、JREはその推進に貢献いただく非常に大切で強力なパートナーだと捉えています。両社事業の発展・拡大に向けた進化を進めて、お客様の暮らしづくり、心豊かな生活に貢献していきたいと思っています。
また、新中期経営計画の実現性や規模、スピード感に対して、頼りになる提携先であると捉えており、我々のデジタルとJREのリアルを双方向に組み合わせて、これまでにない価値観をお客様に訴求したいと考えています。
実績でも報告しましたが、「JRE MALL」の「ベルメゾン」店における売上高成長と、お客様との接点を強化していきます。
また、駅ビル・駅ナカへの出店を通じたお客様とのオフライン接点を強化していきます。さらに、お客様接点の強化を重視し、千趣会がこの思想に基づいて新たに開発する商品、使用価値を実感いただく場を構築します。そして、使用価値を最大化するためのサービス提供スポットの展開にも挑戦していきます。
加えて、「VIEWカード」や「ベルメゾンお買い物券」の交換を通じた、新しいお客様の増加と、お客様情報の充実化をさらに進めていきます。「ベルメゾンポイント」と「JREポイント」の連携と会員連携の強化、会計連携を通じて、千趣会のお客様データベースを、質・量の両面で強化していきます。
さらに、JREが保有する駅・不動産という空間アセットは、コロナ禍でいろいろと変化しており、これらとJREのグループ企業との連携を通じた新たな新規事業の開発も、しっかりと連携し、強化したいと考えています。
*利益配分に関する基本方針
最後に、利益配分に関する基本方針です。当社グループは、経営基盤の強化を図ることとともに、株主に対して配当性向を考慮し、安定的な配当の維持、および業績に応じた適正な利益還元を基本とします。
株主のみなさまには、継続的な利益配分の方針として、30パーセントの連結配当性向を目安とします。なお、当該年度の当期純利益のみならず、今後の業績予想、整備投資予定、財務状況などを総合的に勘案し、配当額を決定します。
また、内部留保金に関しては、中長期視点に立った新規事業の開発や、既存事業の効率化推進のための投資、およびグループ事業の拡充に向けた中期経営計画の方向性に従ったM&A投資や、財務体質の健全化などに活用し、企業競争力と企業体質のさらなる強化に取り組んでいきます。
株主のみなさまの日頃のご支援にお応えするとともに、実際に当社商品をご使用いただくことにより、当社に対するご理解を一層深めていただくため、株主優待制度を引き続き継続します。年に2回、所有株式数および保有年数に応じてお買い物券を進呈しており、今後も継続します。
今後、本日ご説明した戦略により、さらに具体的な施策に落とし、着実に差別化された、お客様に支持されるビジネスモデルを構築し、人のぬくもりを大切にし、持続的社会の実現に寄与できる企業を目指したいと考えています。
引き続き、サステナビリティ委員会でのSDGsへの取り組みの具体化、千趣会の新たな基本方針の確立、「ベルメゾン」の新たなコンセプトに基づくVIの発信についても、年内にあわせて発表します。また、来年度に引き続きそれが推進できるようにしたいと考えており、併せて発表できるタイミングがくればと考えています。
ウーマン スマイル カンパニー
なお、これまでご説明した内容へのご質問については、スライドに記載の窓口にお問合せ願いたいと思っています。
長いお時間、ご清聴いただきまして誠にありがとうございます。引き続き、千趣会をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。