2021年3月期決算説明会

内田誠氏(以下、内田):本日はお忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。初めに、新型コロナウイルス感染症に対し、第一線で引き続きご尽力いただいている医療従事者のみなさまに、この場をお借りして感謝を申し上げます。

日産は引き続き、お客さまや従業員とその家族、ならびに販売会社、サプライヤーなど、すべてのステークホルダーのみなさまの安全を最優先にして、感染予防策をしっかり取った上で事業運営を行ってまいります。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症に加え、世界的な環境意識の高まり、政治、経済の動きなど、事業環境が大きく変化した1年となりました。そのような中、日産は、昨年5月に発表した事業構造改革、「NISSAN NEXT」を着実に実行してきました。

第3四半期決算の際にもお話ししたとおり、取り組みの成果は着実に結果として表れています。これはすべて、厳しい環境においても日々ベストを尽くしてくれた従業員と、共に困難に立ち向かっていただいているビジネスパートナーのみなさまのご協力のおかげです。本当にありがとうございます。

それでは、まずCEOのアシュワニ・グプタから、2020年度通期の結果をご説明し、そのあと私から2021年度の見通しについてご説明します。

アシュワニ・グプタ氏:みなさま、こんにちは。2020年度は日産の回復力と粘り強さが試された、会社が進化する1年でした。先行きが不透明な中、当社は着実に進歩を遂げてきました。これもひとえに、事業改革を目指す従業員のたゆまぬ努力と、ご協力いただいているパートナーのみなさまのご尽力のおかげです。

2020年度 販売実績

2020年度通期の実績、および「NISSAN NEXT」の進捗状況についてご説明します。スライド左のグラフに記載のように、2020年度の当社のグローバル小売台数は、405万2,000台となり、通期予測を0.9パーセント上回りました。また、2020年度は、四半期ごとに新たな生活様式に対応するとともに、増加するお客さまのニーズにお応えしてきました。

さらに、第4四半期には、全体需要の伸びを上回る拡販を実現し、業績回復に向けた取り組みの重要性を示しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大、半導体の供給不足を含むサプライチェーンの制約などの数々の逆風にもかかわらず、第4四半期は市場が2パーセント伸びる中、当社の販売台数は18パーセント増加しました。

販売増をけん引したのは、現行車に加え、アメリカの新型「ローグ」、国内の新型「ノート」、インドの新型「マグナイト」をはじめとする新型車です。現行車については、欧州の「ジューク」や中国の「シルフィ」などがセグメントシェアを伸ばしています。

NISSAN NEXTの総括

昨年、当社は4ヶ年の事業構造改革計画、「NISSAN NEXT」の取り組みを開始しました。「NISSAN NEXT」を支える3本柱は次のとおりです。第1に最適化ということで、会社の販売力を踏まえ、当初の720万台の規模から、年間540万台の門構えに合わせた固定費の削減です。

第2に、選択と集中です。コア市場、コア商品、およびコア技術に集中し、台数から価値へとシフトする取り組みによる販売の質の改善を行います。

第3に、将来への投資です。新型車、および新技術の仕込みを行い、「NISSAN NEXT」、そしてそれ以降の成長を推進することです。2020年度は年間を通じ、着実に前進しており、直近の業績回復と、将来に向けた土台作りのバランスを取りながら活動を進めています。

最適化

それぞれの柱についてご説明します。まずは、最適化に向けた取り組みですが、2020年度は、日産は事業のあらゆる面において固定費を削減するべく、重点活動を実施し、固定費を大幅に改善しました。

生産能力の最適化として、2つの工場を閉鎖することを決定し、生産体制を3直から2直に勤務パターンを変更、コストを7パーセント削減しました。お客さまの価値を優先し、2023年度末までに商品ラインナップを69車種から55車種にスリム化することを決定しました。

2020年度は計画どおり進捗し、商品関連コストを5パーセント改善しました。販売マーケティングも大きな進歩を遂げており、コストを27パーセント抑えました。予算を戦略的に配分し、より効果的なマーケティング、スポンサー活動、およびモーターショーの組み合わせに重点を置いています。

デジタル販売プロセスの強化も進めており、デジタルをきっかけとした販売台数は全体の12パーセントに達しました。一般管理費の最適化に向け、抜本的な対策を実施し、地域体制を7つから米州、日本/ASEAN、AMIEO、中国の4つの地域体制に変更しました。

それに加えて、資産や設備の最適化を通して、2020年度は一般管理費を11パーセント削減しました。以上の取り組みにより、3,500億円を超える固定費削減を果たし、2018年度から3,000億円を削減するという目標を達成しています。

本活動により、損益分岐点となる販売数量の12パーセント引き下げができました。2018年度の損益分岐点は約500万台でしたが、現在は、約440万台で利益を確保することが可能です。これにより、価値を向上させ、利益ある成長を実現する戦略をさらに推し進めることができます。

選択と集中:販売の質①

日産の強みを活かす選択と集中についてご説明します。2020年度は、販売の質を各市場で大幅に改善しました。これらの取り組みは、長期的な利益ある成長を左右する重要な要素です。販売の質の改善を表す大きな2つの指標をご覧ください。

1つ目は、台当たりのレベニューレートです。2020年度の当社の台当たりのレベニューレートは四半期ごとに着実に伸びており、商品の持つ価値に見合った値付け、バリュープライシングと、お客さまに見合った魅力的な新型車、技術をご提案する取り組みが功を奏しています。

2つ目は、販売の改革に合わせて従来の押し込み型のプッシュから、プルの戦略に転換したことです。これにより在庫の最適化が進み、販売の質向上につながっただけではなく、何よりも営業活動によるフリー・キャッシュ・フローの向上に寄与しています。

3つ目は、コア市場の選択と集中です。それぞれのコア市場で、販売の質を最優先に、価値を中心とするご提案をお客さまに行っています。

選択と集中:販売の質②

アメリカでは、事業構造改革の指標はすべて正しい方向に向かっています。台当たりの販売価格を3.8パーセント改善すると同時に、インセンティブを4.6パーセント削減しました。さらに、米国自動車販売会社協会の調査によると、日産に対するディーラーの満足度も向上しています。

新型「ローグ」は大変ご好評をいただいており、7.4パーセントのセグメントシェアを達成し、その結果、第4四半期のアメリカの市場占有率は5.8パーセント伸びました。同様に、国内でも好調な「キックス e-POWER」「ルークス」に加え、新型「ノート e-POWER」の投入でセグメントシェアを伸ばし、国内の市場占有率は11.4パーセントに達し、台当たりの販売価格も改善しました。

技術の日産としてのブランド力は、おかげさまでホームマーケットである国内で評価され、これまで50万台を超えるe-POWER搭載車両を販売してきました。2020年度末現在、先進運転支援技術を搭載した車両は当社の販売の5割を占め、「車に任せたドライビング」または「自分で運転する」という選択をお客さまに提案しています。

選択と集中:販売の質③

中国では、現行車にかけるインセンティブを抑制すると同時に、市場占有率を伸ばした結果、過去最高のシェアを維持しています。このような取り組みにより、市場全体の実売価格は下落傾向にある中、当社は台当たり収益への影響を最小限に抑えています。

今後は、新型「エクストレイル」と「シルフィe-POWER」をはじめとするしっかりとしたラインナップで、台当たりの販売価格の改善を目指し、コア技術を活かしながら、テクノロジーに精通した中国のお客さまのご期待にお応えしていきます。

欧州では、この1年間のぶれない取り組みが功を奏しています。生産能力を最適化し、EVバンやE-TECH等のプロジェクトのアライアンスのリソースを活用することで、34パーセントに上る固定費の大幅削減を実現しました。以上の取り組みは、台当たりの販売価格の改善にもつながっています。

さらに、日産独自のe-POWERを「キャシュカイ」「エクストレイル」などのクロスオーバーに搭載し、電動化をさらに促進していきます。新車構成も業績に寄与し、「ジューク」は販売台数を伸ばすと同時に、台当たりの販売価格も改善しています。コア商品である新型「キャシュカイ」のガソリン車、およびe-POWERの発売を控え、この期に台当たりの販売価格をさらに欧州で伸ばしていきます。

将来への投資

お客さまこそが日産の商品と技術戦略の中心です。お客さまのニーズとご期待にお応えするA to Zのご提案では、向こう18ヶ月間で12車種に上る新型車を投入することをお約束しています。このお約束どおり、商品投入計画を進めており、これまで11車種の新型車を発売ないし発表してきました。これら新型車で、「NISSAN NEXT」の期間中、そしてそれ以降の成長を実現していきます。

日産は複数の革新技術への投資を進めていますが、代表例を3つご紹介します。1つ目は、e-4ORCEです。電動で4輪を制御するe-4ORCEは、さまざまな路面状況でも安心してドライブを楽しめる、100パーセント電動モーターの思いのままの走りをご提供します。

2つ目は、ナビリング機能付プロパイロットです。人を中心とした当社の最新運転支援装備で、制限速度や急なカーブを含む路面状況に応じて、設定速度の切り替えや減速等のドライバー支援を行います。

3つ目は、プロパイロットリモートパーキングです。車外からのインテリジェントキー操作で駐車場の車を出し入れすることができる技術で、マークのない駐車場でも出し入れが可能です。

2020年度:主要財務指標の推移

2020年度における財務実績の四半期ごとの内訳です。厳しい市況の中、当社は「NISSAN NEXT」のもと、販売の質向上とコスト基盤の強化に向けた取り組みを続けています。

2021年度第1四半期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、年度通期の営業損失は、中国事業持分法ベースで1,507億円、中国事業比例連結ベースで286億円となりました。一方、2021年度第2四半期以降の9ヶ月間の営業利益は、中国事業持分法ベースで33億円、中国事業比例連結ベースで1,074億円となりました。

同様に、第2四半期から第4四半期までの自動車事業のフリー・キャッシュ・フローは、持分法ベースで4,247億円、比例連結ベースで5,382億円のそれぞれプラスとなりました。

財務実績①

2020年度通期の連結売上高は7.9兆円、連結営業損失は1,507億円、当期純損失は4,487億円となりました。売上高と営業利益は、特に第1四半期の新型コロナウイルス感染症の影響による販売台数の減少により、前年から悪化しました。

2020年度第4四半期の営業損失は190億円となり、前年から758億円改善しました。第4四半期の当期純損失は810億円となりました。

財務実績②

前年度に対する第4四半期の営業利益の増減分析です。為替変動は、主に米ドル安の影響を受け、152億円の減益要因となり、台数・構成・部品販売、およびその他項目は販売台数増による270億円の増益要因となりました。

特に改善が著しいのは、プライシングと販売費用で、734億円の増益要因となりました。アメリカにおける販売の質改善を中心とする取り組みが増益の半分以上を占めています。モノづくり、固定費、およびその他項目は94億円の減益要因となりました。

規制対応コスト、商品性向上コスト、原材料価格、生産コスト、およびその他費用の上昇によるマイナスを、購買コストの削減が一部打ち消しました。

財務実績③

2月に、営業損失の通期予測を2,050億円に上方修正しました。この予測に対し、実績は543億円改善し、営業損失は1,507億円となりました。販売パフォーマンスによる300億円の増益は、主に商品の価値に見合った値付けであるバリュープライシングの効果に加え、販売金融事業は200億円、その他項目は43億円と、それぞれ増益要因となりました。

流動性の状況

当社は引き続き、高い流動性を確保しており、2021年3月末現在の現金および現金同等物は約1.9兆円、自動車事業のネットキャッシュは6,360億円となりました。また、約2.2兆円の未使用のコミットメントラインも維持しています。

総括すると、2020年度は、第1に、逆風の中で最適化と販売の質向上を中心とする事業構造改革の加速化を通じ、赤字を圧縮すると同時に、新型車、新技術への継続的な投資を進めてきました。

第2に、第2四半期、第3四半期、第4四半期は、中国事業持分法ベースでも、営業利益とプラスのフリー・キャッシュ・フローを達成し、事業の効率化、および効果が向上していることを物語っています。

第3に、今後は改善した損益分岐点販売数量440万台をテコに、「NISSAN NEXT」のもと、540万台に向けて利益ある成長を目指します。日産の強み、これまでの成果、そして教訓を活かし、残る課題に慎重に対処しつつ、2021年度も取り組んでいきます。

次に、内田から2021年度通期見通しについてご説明します。

2021年度 販売台数見通し

内田:2021年度の自動車市場は、半導体供給不足の影響を受け、不透明な状況が続くと見ており、当社も例外ではなく、第1四半期を中心に影響を受けると見込んでいます。現時点において、年間の販売台数を正確に見通すことは厳しい状況であるものの、当社のグローバル販売台数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく落ち込んだ2020年度から8.6パーセント増加し、440万台と予想しています。

2021年度 業績見通し①

グローバル販売台数440万台の想定に基づく業績見通しでは、売上高は9兆1,000億円、営業利益はプラスマイナス「0」、当期純損失は600億円と見込んでいます。

厳しい状況が続きますが、研究開発費や設備投資といった将来に向けての投資は、引き続き積極的に行っていきます。

2021年度 業績見通し②

営業利益の対前年度実績からの増減要因はスライドのとおりです。為替と規制対応、および商品性向上のコストといった外部要因が、営業利益を約1,000億円押し下げる要因になると見込んでいます。

販売やモノづくりのパフォーマンス改善は約5,500億円と、大きな増益要因になる見通しです。一方で、新車投入にかかるコストは増加し、約1,500億円の減益要因になると予想していますが、これは「NISSAN NEXT」達成と、その先の成長に向けて必要な投資であると考えています。

今年度は、半導体供給不足や原材料価格の高騰といった大きなビジネスリスクに直面しています。しかしそれがなければ、「NISSAN NEXT」で掲げた目標どおり、今年度の中国合弁会社比例連結ベースの営業利益率は2パーセントを上回ることができる見通しです。

これらのビジネスリスクの影響を最小限に抑えるべく取り組んでいますが、現時点では、リスクを織り込んだ営業利益の見通しをプラスマイナス「0」としています。半導体供給不足の影響や、収益の影響を抑える方策については、引き続き精査し、必要に応じて、第1四半期決算発表の時にアップデートしていきたいと考えています。

NISSAN NEXTの進捗

今年度も引き続き、「NISSAN NEXT」の計画を着実に実行していきます。財務ケースの徹底と、販売の質の向上に継続的に取り組み、厳しい環境においても、事業のコアである商品の力でしっかりと利益を上げることができる会社に確実に変えていきます。

商品満足度

取り組みの成果はすでにかたちになって表れ始めています。J.Dパワーの顧客満足度によると、セールス満足度調査では、アメリカ、中国でスコアを伸ばしています。また昨年度、米国で発売した新型「ローグ」は、購入者への満足度調査で過去最高の評価を得ています。

欧州でSUV市場を開拓した「キャシュカイ」の新型車は、過去最多の予約注文をいただいています。さらに、先日、上海モーターショーで発表した新型「エクストレイル」は「Best upcoming new car award」を受賞するなど、各市場で高い評価を頂戴しています。

そして、ホームマーケットの日本に投入した新型「ノート e-POWER」は、コンパクトカーのレベルを超えた走りと質感を持った車であると高い評価をいただいております。

新車攻勢

今年度は、これらのモデルに加え、新型クロスオーバーEVの「アリア」や、日産のDNAを象徴するスポーツカーである「フェアレディZ」の新型車、インフィニティの新時代を切り開く「インフィニティ QX60」など、日産らしさを感じさせる商品を次々と市場に投入します。

電動化の推進

「アリア」は当社の強みであるSUVとEVを融合したモデルで、今までにないシームレスなユーザー体験と、EVを超えた価値を提供し、新たな時代を切り開きます。すでに約20万人のハンドレイザーがおり、日産を代表するモデルになることを期待しています。

現在、三菱自動車との共同プロジェクトとして、NMKVで企画開発している軽のEVは、今後、他社に先駆けて国内市場に投入します。e-POWERも積極的に搭載車種を拡大し、日本での成功を中国や欧州に広げていきます。

中国では、今年度の「シルフィ」を皮切りに、2025年度までに6車種へ搭載する予定です。欧州の「キャシュカイ」には、日産が世界で初めて量産を実現した可変圧縮比エンジンVCターボを発電専用エンジンとして使用するほか、来年度には、新型「エクストレイル」にもe-POWERを搭載する予定です。

日本でも今後、搭載車種をさらに拡大させていきます。魅力的な商品を継続的に投入し、収益性とブランド力を向上させることで、「NISSAN NEXT」の最終目標である、2023年度、営業利益率5パーセントの達成につなげていきます。

今年1月、2050年までに事業活動を含む車のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現する、という新たな目標を発表しました。その目標達成に向け、2030年度早期より、主要市場に投入する新型車のすべてを電動車両にすることを目指します。

電動化をはじめとするケースへの対応のために、継続的な投資は必要不可欠です。関連する設備投資や研究開発については、今後もしっかりと予算を確保していく予定です。

日産は、EVの普及とゼロ・エミッション社会の実現に向けた取り組みを行ってきたパイオニアです。今ようやく多くのOEMがEVを市場に投入し始めましたが、10年に及ぶ豊富な経験と知識、さらにライフサイクル全体で包括的な取り組みを行っている会社は日産以外、世界中どこにもありません。

技術開発のロードマップ

この先、電動車両を広く普及させていくには、技術の進化に加え、コストも下げていかなければなりません。そのためには長期的な戦略と継続的な取り組みが必要となります。電動車両の核となるバッテリー、パワートレインの開発は、アライアンスのリーダーフォロワーの枠組みを最大限に活用し、競争力を高めていきます。

バッテリーは、長期的なロードマップを立て開発を行っていきます。アライアンスで規格を揃え、共用化率を高めることにより、スケールメリットと技術競争力の向上を図るとともに、希少金属であるコバルトを使わないバッテリーや、全固体電池など、バッテリー技術の革新にも引き続き取り組んでいきます。

パワートレインは、アライアンスの共用化に加え、EVとe-POWERに使うモーターやインバーターなど、部品の共用化をさらに進めていきます。さらに、次世代のe-POWER向け発電専用エンジンでは、世界最高レベルの熱効率50パーセントを実現する技術を採用し、燃費の向上、CO2排出量の削減、コスト競争力を追求していきます。

生産におけるイノベーション①

生産現場では、車両組立時の効率を上げることや、環境に優しい工場の実現に向けたイノベーションを推進しています。そして今年、「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を栃木工場に導入し、「アリア」の生産を開始します。

生産におけるイノベーション②

英国のサンダーランド工場では、今年3月、再生可能エネルギーの発電施設を大幅に拡張する計画を発表しました。これにより、工場のエネルギーの20パーセントは敷地内で作られる再生可能エネルギーでまかなえることになり、欧州で販売されるすべての「日産 リーフ」を再生可能エネルギーで製造できる計算になります。こうした次世代ファクトリーの取り組みは、今後、国内外の他の工場にも拡大していきます。

電動化による従来の枠を超えた取り組み

さらに、単にEVを販売するだけではなく、EVを通してさまざまなかたちで社会に貢献していきたいと考えています。すでにEVバッテリーは、家庭やビルのエネルギーマネジメント、災害時などの非常用電源など、さまざまなシーンで動く蓄電池として活用されています。

日本ではEVを活用し、地域の課題解決を図るブルースイッチの取り組みがすでに125件を超えています。また、フォーアールエナジーを通じてバッテリーの二次利用にも取り組んでいます。「リーフ」の使用済みバッテリーは、太陽光発電の蓄電に使われ、電力の安定化に貢献しています。

さらに、電動化技術と自動運転技術を活かし、新しいまちづくりや、モビリティサービスについても、国内外で、自治体、パートナー企業とともにさまざまな検証を進めています。日本では、神奈川県横浜市や福島県で、地域の課題解決や未来のまちづくりのための取り組みを地元の方々と一緒に進めています。車で培った技術で実社会に貢献する、日産ならではの取り組みです。

日産のパーパス

日産はこれまで、「ほかがやらぬことをやる」という創業以来の精神のもと、さまざまなことに情熱を持ってチャレンジし、イノベーションを起こしてきました。そして、革新的な商品、サービスを通じてお客さまの生活に新しい価値を提供し、移動体験と、社会の可能性を広げてきました。

それこそが日産らしさであり、我々の社会における存在意義であると考えています。「人々の生活を豊かに」、このことを常に強く意識し、これからもチャレンジを続けていきます。ありがとうございました。

質疑応答:業績見通しと北米の販売見通しについて

質問者1:2点質問があります。1点目は、今期の業績見通しによると、「NISSAN NEXT」で示された営業利益率2パーセントには届きませんが、その点ををどのように評価しているかということ、そして、2023年度の5パーセントの目標に向けてどのように取り組んでいくかを教えてください。

もう1点は、北米の販売の見通し、足元の状況をどのように見ているかということです。質を重視している面もあるかと思いますが、他社と比べると勢いが弱いようにも見えます。前期から今期に向けての販売の状況をどのように評価しているか教えてください。

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