2020年12月期第3四半期決算説明会

レイモンド・シェルトン氏:みなさま、こんにちは。コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社、IR&コーポレートコミュニケーション本部長のレイモンド・シェルトンです。本日は、アナリストおよび投資家のみなさま向けの2020年第3四半期決算の電話会議にご出席賜り、ありがとうございます。私とともに、本日は弊社の経営陣、そして、日本コカ・コーラの和佐高志が参加しています。

開始にあたりまして、本日の発表内容には、通期または長期的な利益目標などの将来の見通しや業績予想が含まれますことを、あらかじめみなさまに申し上げます。つきましては、説明会の参考資料に含まれます留意事項と併せて、ご参照いただけますようお願いいたします。

両資料ともに弊社Webサイト「ccbj-holdings.com」のIR・投資家セッションに掲載されています。日本語版と英語版を用意しています。それでは、カリン・ドラガンの発表に移らせていただきます。カリン、どうぞ。

カリン・ドラガン氏(以下、カリン):ありがとうございます。そして、みなさんこんにちは。カリン・ドラガンです。本日はご参加いただき、ありがとうございます。本日は第3四半期の業績に加え、さまざまな戦略的な取り組みや、コロナ禍で不透明な状況が続く日本市場の現状について、ご説明いたします。

何よりもまず、このような大変な時期に、私たちが安全で健康的な生活を続けられるよう、さまざまな立場で尽力いただいているみなさまに、感謝の気持ちを伝えたいと思います。また、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方や、さまざまな影響を受けたみなさまに、お見舞いとお悔やみを申し上げます。

私たちのミッションは、「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造すること」です。このミッションは、厳しい状況下で、新しい日常を確立しようと取り組んでおられるお客さまや消費者のみなさまに、安全かつ安心していただける新しい方法で、飲料やサービスを提供できるよう、日々努力していく重要性を再認識させてくれます。

第3四半期概況

それでは、まず、これまでの業績概要として、スライド5をご覧ください。業界全体を見ると、市場は依然としてマイナスではありますが、全国的にCOVID-19感染症拡大に伴うさまざまな規制の影響が、全面的に重くのしかかった第2四半期と比較すると、数量的には緩やかな改善が見られました。

第3四半期、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの販売数量・売上・事業利益は、前の第1・第2四半期に比べ改善傾向を示し、第3四半期のみの事業利益はほぼ前年並みとなりました。

COVID-19感染拡大により、自販機は購入頻度や販売数量が減少しましたが、この重要なチャネルでは着実に成果を上げており、18ヶ月連続で市場シェアを伸ばしつつ、いち早く進めていた変革の取り組みを加速させています。

また、オリンピックが開催されなかった夏を終え、今は新たなマーケティング計画に基づき、ターゲットを絞った販促投資を実行し、手売り市場シェアの拡大に注力しています。

このような厳しい環境の中で、当社は重要なベンディングのオペレーション変革や、手売りチャネルのルートセールス変革の取り組みを加速させており、これらの前倒し完了により、大幅なコスト削減を実現してきました。

今後の成長に向けても抜かりなく取り組んでいます。アルコールなど、新たな消費機会の獲得に成功しました。アルコール飲料ブランドの「檸檬堂」は、導入当初から好調に推移し、2020年は800万ケースの販売を見込んでいます。そして、需要拡大に対応すべく、製造能力の強化を続けています。

最後に、10月5日に2020年通期見通しを公表いたしました。COVID-19によるトップラインへの大きな影響が続く中、事業利益はゼロを見込んでおり、期末配当予想は1株あたり25円から変更ありません。

私たちは、COVID-19の影響によるさまざまな課題を克服しつつ、より俊敏でレジリエンスのある組織になるべく、中期計画に基づく抜本的な変革を推進し続けています。

「ウィズコロナ」の市場環境

スライド6では、以前の決算説明会で共有したスライドを更新したいと思います。日本の飲料業界では不透明感は続いているものの、特に最近始まった政府の「Go To」キャンペーンの効果や、さまざまな制約の緩和により、人手の回復に兆しが見られています。とはいえ、すべてにおいて安定回復しているわけではなく、回復の度合いはチャネルによってばらつきがあり、安定しつつあるものの、コロナ前より低い水準にとどまっています。

スーパーマーケット、ドラッグ&ディスカウントストアは多少回復が見られています。ベンディングチャネルでは、駅やレジャー施設などのインドアロケーションは、アウトドアロケーションに比べ回復が遅れていますが、オフィスは改善傾向にあります。オンラインは、宅配や家庭内消費の高い需要に牽引されて、成長を続けています。

ここではベンディング、OTC……いわゆる手売りチャネル、オンラインチャネルの概要をご覧いただいています。このような環境の中、当社は戦略的優先事項や消費者需要の変化を踏まえ、回復と成長に向けてしっかりとした基盤を築くために、第4四半期にマーケティングと市場実行に新規投資を行っています。

同時に、スピード感を持って私たちの事業をより強靭にすべく、高コスト構造を改善し、抜本的な変革と短期的な緩和策を実行しています。

コントロール可能な分野での取り組みに注力、 回復に向け基盤構築

スライド7をご覧ください。日本のCOVID-19の日次新規感染者数は、8月の第2波のピークの後、減少していましたが、11月になって再び徐々に増え始めています。年末に向け、来年の事業計画を最終化しつつ、状況の推移を注視していく必要があります。

このように、コロナ禍において私たちは事業を進めています。具体的には、私たちがコントロール可能な分野での取り組みに注力し、次のステージの回復と成長に向けた、しっかりとした基盤を構築するということです。

多くのことが不透明なままですが、はっきりしているのは、私たちはこの危機を脅威ではなく機会と捉えるべきということです。飲料市場は安定に向けた兆しを見せ始めていますが、依然として低い水準にとどまっています。

私たちはトップラインへの影響を緩和するため、大幅なコスト削減を行いつつ、重い固定費構造の改善を大きく進めました。

そして、ベンディングチャネルの初期のオペレーション変革を完了させ、これにより低コストのサービスモデルを実現しただけではなく、サービス品質向上と市場シェア成長にも貢献しています。また、昨年から新たに7つのアセプティックラインの導入を完了し、変化し続ける消費者志向に対応した製造能力を備えました。

また、状況が安定してきたことから、第4四半期には販促投資を再開し、2021年に成長を取り戻すためのしっかりした基盤づくりを進めています。

ベンディングの変革により効果創出

それでは、私たちがコントロール可能な分野にどのように取り組み、回復と成長に向けたしっかりとした基盤を構築しているのか、詳しく説明します。まずは、スライド8のベンディングの変革です。

2019年初めに、私たちボトラーのベンディングチームと、日本コカ・コーラのベンディングチームを1つの仮想組織に統合した、ベンディング事業部の新設を発表しました。それ以降、具体的な成果が見え始めてきました。

ベンディングの金額シェアは18ヶ月連続して成長しています。10月もこの勢いが続いており、これはコーヒーとお茶のシェア成長や、スマートフォンアプリ「Coke ON」のキャンペーンが貢献しています。

1台あたりの販売数量は回復し、10月のアウトドア期は前年比プラスに転じました。10月の「Coke ONウェルカムバックキャンペーン」は、約100万人の新規利用者を獲得し、私たちの自動販売機での購入機会拡大を牽引しています。

また、ベンディング変革の取り組みを加速しており、ルート数を20パーセント削減し、この重要な事業の固定費を、通年換算ベースで10パーセント削減しています。これにより、厳しい状況の年でベンディングの収益性を守るだけでなく、人手が回復していく中で、将来の利益成長のための強固な基盤を築くことにもつながります。そして、私たちは「きっと回復するだろう」と信じています。

手売りチャネルの市場シェアは販促活動見直しの影響を受ける

スライド9をご覧ください。私たちは、今年の手売り(OTC)チャネルでの、私たちのシェアが縮小していると認識しています。これは納価や販促活動における規律を維持してきた中、競争が激化し、また、オリンピックが開催されなかったことが、コア5ブランドの「コカ・コーラ」「ジョージア」「綾鷹」「い・ろ・は・す」「アクエリアス」で行う予定であったマーケティング活動に影響したためです。

当社は、マーケティング活動へのターゲットを絞った投資を再開し、第4四半期にはさらに多くの投資を行う予定です。例えば東京地区では、「コカ・コーラ」と「コカ・コーラ ゼロシュガー」の350ミリリットルと700ミリリットルの新パッケージ導入。コンビニエンスストアチャネルでは、950ミリリットルの「アクエリアス」を発売しました。

オンラインチャネルは力強い成長を続けており、最近では、主要なオンラインリテール顧客の1社における市場シェア、第1位を獲得しました。

新たな消費機会の獲得に成功

中期計画では、新たな消費機会の創出を成長の優先課題として掲げ、昨年10月に全国展開を開始した新たなアルコール飲料事業を、今年は800万ケースの販売を見込めるようになるまで、成長させることに成功しました。そして、この新しいアルコール飲料ブランド「檸檬堂」は、レモンサワーカテゴリーでシェア第1位を獲得しました。

強靱かつ柔軟性を備えたインフラの確立に向けて

スライド11で、回復と成長に向けたインフラと基盤構築についてお話しします。先日、業界最先端の当社、広島新工場の竣工式を、ザ コカ・コーラ カンパニーのリーダーたちとともに、ユニークなバーチャルセレモニーで祝いました。合計7ラインの製造設備が新設され、アセプティック製品の製造能力は2018年比、20パーセント増加しました。

また、成長続くアルコール事業の製造能力を強化し続けています。「檸檬堂」は10月から京都工場の新ラインで生産を開始しており、2021年には製造能力をさらに増強する予定です。

さらに、物流ネットワーク最適化を目指している「新生プロジェクト」は、本格的に進展しています。2020年には14の営業・物流拠点を閉鎖する見込みで、営業のエリア区分も6エリアから3エリアに統合しました。埼玉メガDCは、来年初めの竣工に向け予定どおり建設が進み、また、明石市に2つ目のメガDCの建設を着手しました。

サステナビリティ - 成長の原動力のひとつ

最後に、スライド12をご覧ください。私たちはサステナビリティにも力を入れていますが、単独の目標としてではなく成長の原動力としても含めて、価値創造のストーリーの核となる要素として取り組んでいます。

ここでは「廃棄物ゼロ社会」という目標に向けて、この下期の進捗状況として、お客さまや地方自治体、その他のビジネスパートナーとのパートナーシップの機会を見出した例を紹介しています。

これまでのやり方は 選択肢にない

1点、この難局を乗り切るため、私たちがどのような考えを持って、事業を運営しているのかを共有したいと思います。それは私が従業員に常日頃言っていることで、「これまでのやり方は選択肢にない」です。繰り返しになりますが、私たちは積極的にコストを削減し、ビジネスの柔軟性と強靭さ、レジリエンスを高めています。

私たちはこの危機を脅威ではなく、変革を加速する原動力として捉えています。COVID-19の見通しはまだ不透明ですが、事業を成長軌道に戻すという極めて明確な目標に向け、注力しています。

危機を乗り越えより強く:過去60年間、日本のコカ・コーラビジネスは多くの危機を乗り越えてきた

1つはっきりとわかっていることは、コカ・コーラビジネスとブランドはレジリエンスを備えており、長い歴史の中で日本、そして世界中で困難を乗り越え、より強くなってきました。

私たちは、この危機からも立ち直ることができると考えています。私たちがすべきことは、状況が回復した時に事業がうまくいくように準備することであり、それこそ私たちが注力してきていることです。

それでは、ここでCFOのビヨン・ウルゲネスから、業績と現状の状況について説明してもらい、続いて、日本コカ・コーラの和佐高志氏から、ウィズコロナにおけるマーケティングについてご説明いたします。それではビヨン、どうぞ。

2020年 第3四半期業績概況

ビヨン・ウルゲネス氏:カリン、ありがとうございます。みなさま、こんにちは。コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスでCFOも務めます、ビヨン・ウルゲネスです。まず、スライド16は、当社の第3四半期累計の業績の概要を示したものです。

連結売上収益は、飲料事業の販売数量が11パーセント減少したことに伴い、11パーセント減少となりました。これは、非常に不確実性の高い時期においても、ミックスの影響比を比較的和らげることができたと言えると思います。これは、昨年の大型PET製品の卸売価格の引き上げ、アルコール事業の成長、また、販促やマーケティング投資の見直しで売上控除額が減少したことなどによるものです。

連結事業利益は、COVID-19によるトップラインへの影響に対処するための、大幅なコスト削減を継続して実施したことにより、上期に比べて減少幅が縮小しています。第3四半期累計の営業損失は63億円となり、前年同期比460億円の改善となりました。これは、2019年ののれんの減損等の一時費用の反動があったためです。

ヘルスケア・スキンケア事業の事業利益は、オンラインやテレセールス中心のビジネスモデルのため、トップラインがさほどコロナの影響を受けなかったのもあり、5パーセント増加しました。

2020年第3四半期 事業利益増減要因

スライド17では、第3四半期累計の事業利益の主な増減要因をご覧いただけます。第3四半期は第2四半期に比べ改善が見られ、第3四半期の事業利益は、前年同期とほぼ同額の約125億円となりました。トップラインへの影響を一部相殺するためのコスト削減の成果が大きく、事業全体で経常的と一時的なコスト削減を合わせ、これまでに約250億円の削減を達成しました。

スライドの左側。数量、価格/ミックスをご覧いただけますが、これは飲料事業の営業活動による限界利益の、前年同期比の変化を示しています。限界利益は、飲料の販売数量が11パーセント減少したことと、チャネルミックスの悪化により349億円の減少となりました。第3四半期だけの限界利益の減少は145億円と、第2四半期に比べ若干改善しています。

349億円の減少のうち、ベンディング、コンビニエンスストア、リテール・フードチャネルの数量減少による、数量・チャネルミックスのマイナスが約384億円あります。価格や商品ミックスも、2019年4月の大型PET納価値上げの効果を、パッケージミックスの悪化が相殺したことでマイナスとなりました。

アルコール飲料は、昨年10月に全国展開後、第3四半期累計期間は573万ケースを販売しました。これに加え、ベンディングの販売手数料・販促値引きなどの変動費の減少が、数量、価格/ミックスの影響を一部相殺しました。

固定販促費であるDMEは59億円減少しました。コロナウイルスの影響を最も受けている期間の販促費の削減や、夏に計画されていたオリンピックに重点を置いたマーケティング活動が行えなかったことなどによるものです。第4四半期は市場が安定化の兆しを見せており、2021年の成長に向けた勢いをつけていきたいこともあり、マーケティング活動を再び強化していきたいと考えています。

原材料費と商品市況の影響は、為替とPETレジンを含む原材料市況の改善が継続し、9億円減少しました。製造コストは31億円の増加となりました。これは製造数量が計画から減少したこと、新たな製造能力への投資により減価償却費が増加したことによるもので、現在行っている変革を通じた、製造の効率化の成果の一部が相殺されました。

その他では、COVID-19発生後に実施した、人件費・IT・旅費交通費など大幅なコスト削減の効果がありました。また、ベンディング事業の変革を加速させたことによる効果や、物流費減少の寄与も出ています。

ヘルスケア・スキンケア事業の事業利益は若干増加しました。COVID-19による影響は、主力の飲料事業と比較して小さく、販促費を中心としたコスト削減に注力しています。

第4四半期の事業利益は、従来から、年間でも販売数量が少ない時期であることに加え、事業利益はマイナスになる見通しですが、2021年の回復と成長に向けて、勢い、そしてモメンタムをつけるためにも、第4四半期のマーケティング投資を前年並みにしていくことから、マイナスを見込んでいます。

第3四半期 清涼飲料チャネル/カテゴリー別販売数量

清涼飲料の数量実績のチャネル別・カテゴリー別の説明を、スライド18に掲載しています。先に説明したように、リテール・フード、ベンディング、コンビニエンスストアチャネルは3月以降、COVID-19の影響を大きく受けています。

一方で、ドラッグストア・量販店とオンラインチャネルは成長が続いています。オンラインは2桁成長を続けており、現在では全体の数量の約2パーセントを占めています。

スーパーマーケットとドラッグ&ディスカウントストアのケースあたりの納価の低下は、2019年4月に実施された大型PETの納価改定による反動と、消費者の在宅消費の増加による大容量やケース販売のニーズにより、これらのチャネルでのパッケージミックスがシフトしたことによるものです。これらの傾向は、今年の残りの期間も続いていくものと思われます。

清涼飲料チャネル/カテゴリー別販売数量

第4四半期の清涼飲料の数量実績やパッケージ別の情報は、スライド19に掲載しています。シロップとパウダーの減少は、消費行動がまだ回復していないリテール・フードチャネル全般のトレンドを反映しており、また、大型PETの成長は、スーパーマーケットやドラッグ&ディスカウントチャネルで見られる、より安定した状況によるものです。

2020年 通期業績予想(2020年10月5日発表)

それでは、通期の見通しに移りたいと思います。スライド21は、10月5日に発表した通期の業績予想を示したものです。

通期の事業利益は、売上の10パーセント減少がコスト削減で一部相殺されることから、ゼロを予想しています。飲料事業の減益を、ヘルスケア・スキンケア事業の36億円の事業利益でカバーする見込みです。

2020年 修正業績予想 事業利益増減要因

スライド22は、修正後の業績予想に基づいて、通期の事業利益の主な増減要因を示しています。全体的に通期の状況は、第3四半期累計期間の業績と似ています。トップラインが大きな影響を受けていますが、大規模なコスト削減の取り組みによって、一部相殺されています。今年度の経常的なコスト削減額は、当初計画していた変革によるコスト削減額の1.5倍から2倍になると予想しています。

これは、ベンディングの変革を通じた固定費の削減にいち早く取り組んだことや、提携業務処理などをシェアードサービスモデルに移行した、当社チームの努力の証と考えています。

資本の適切な管理・運用に注力

最後に、財務戦略に触れて終わりにしたいと思います。今年の困難な状況下、資本の適切な管理と運用が必須です。8月に、期末配当金は1株あたり25円を予定することを発表していましたが、これに変更はありません。変革を進める中、安定配当を優先することを目指し、経営環境がより平常に戻っていく中で、安定配当への回帰に注力していきたいと考えています。

特に今年は、私が言うところの「バランスシートの大掃除をする機会を探す年」です。年間で約120億円の土地とオフィスを売却見込みで、そのうち90億円はすでに契約済みです。また、これまでに約8億円の持ち合い株式を売却してきましたが、今後もさらなる機会を模索していきます。

最後に、通期の設備投資は、当初計画を210億円程度下回る見通しですが、長期ビジョンに基づく戦略の最も重要なプロジェクトへの投資は、抜かりなく実施していきます。昨年発表した中期計画に基づく設備投資見通しから、今後、さらなる機会を見出すことにも期待しています。

それでは、日本コカ・コーラのチーフマーケティングオフィサーである和佐高志から、マーケティング活動のアップデートをいたします。和佐さん、お願いします。

2020年ビジネスプラン:環境変化に柔軟かつ迅速に対応

和佐高志氏:みなさま、こんにちは。日本コカ・コーラの和佐です。本日、私からは2020年の振り返り、および、第4四半期のマーケティングハイライトをお話しさせていただきます。

まずは、2020年の振り返りです。本年度、コカ・コーラシステムは、スポンサーであるオリンピック・パラリンピックを盛り上げるべく、マーケティングプランを準備していました。しかし2020年の3月、新型コロナウイルスが拡大する中、大会開催延期が決定。

この大きな変化に対応すべく、コカ・コーラシステムは一丸となって、新しい市場環境や消費者のニーズを捉えるべく、今までになく迅速かつ柔軟に、年間の計画を見直してまいりました。本日は、2020年の下半期に実行した新しい施策の進捗や、第4四半期の活動を紹介したいと思います。

2020年の振り返り①

まずは、第3四半期の主な活動の振り返りです。本年度8月31日に、「コカ・コーラ ゼロシュガー」のフルリニューアルを実施しました。新型コロナウイルスの影響から、家庭内で過ごす時間が長くなり、消費者のリフレッシュしたいニーズが高まっています。

また、運動不足から、ゼロカロリーを求めているお客さまが増えています。今回のリニューアルでは味覚面、特に後味を大幅に改良し、すでにリニューアルから2ヶ月経ちましたが、炭酸市場でのシェア拡大に貢献し、飲用者も確実に増えています。

続きまして、9月7日からスタートした、「ジョージア 運だめしキャンペーン」の中間報告になります。こちらのキャンペーンは、プルタブの下などに当たりが出たら、コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」で、ジョージア製品がもう1本もらえるというプロモーションです。プロモーションを開始して50日時点で、キャンペーン総参加人数150万人、総参加回数1,400万回と、多くの消費者にコーヒーのおいしさとともに、運だめしのわくわく感を提供しています。

続きまして、9月28日から開始の「い・ろ・は・す×UNIQLO eco ACTION」のキャンペーンになります。企業の垣根を越えた環境保護アクションを推進するプログラムです。UNIQLOとのコラボパッケージの「い・ろ・は・す」を購入すると、リサイクルポリエステル製の限定フリースジャケットが1万人に当たるキャンペーンで、SDGsのさらなる推進を目指しています。

2020年の振り返り②

次に、第3四半期の新製品のパフォーマンスに関してお話しします。まずは、「紅茶花伝 クラフティー」の紹介です。「紅茶花伝 クラフティー」は、10月5日に新フレーバーの「レモネード」が加わり、同時に「ピーチティー」「オレンジティー」も440ミリリットルの新サイズを発売しました。おかげさまで、発売1週目の日経POSランキングで、「紅茶花伝 クラフティー レモネード」が飲料部門新商品No.1を獲得しており、発売後3週間で、売上は前年の3倍を達成しています。

続きまして、「ファンタ プレミア」の第2弾、「ピーチ」の導入です。「ファンタ プレミアグレープ」は、今年の3月に大人向け炭酸飲料として導入し、150円という高価格にもかかわらず、「ファンタ」の過去10年の中で最も売れた新製品です。10月に発売した「ファンタ プレミアピーチ」の初速としては、「ファンタ プレミアグレープ」を超える勢いで販売が推移しています。

購入者は主に30歳から40歳以上の、直近「ファンタ」を飲んでいなかった人であり、大人向け炭酸として、「ファンタ」ブランドのリクルートに貢献しています。

第4四半期活動ハイライト:檸檬堂

「檸檬堂」ですが、10月28日に全国発売1周年を迎え、低アルコール飲料市場で並み居るブランドの中で、堂々たる定番のポジションを確立することができました。選べるフレーバーや、アルコール度数の違うラインアップによって、若年層や女性など幅広いユーザーを獲得し、カテゴリーの成長に貢献しています。また、おいしさやパッケージデザインなど、ブランドの世界観が消費者に広く受け入れられ、SNSで拡散されているのが、「檸檬堂」の大きな特徴と言えます。

11月30日までは、8月から実施している「檸檬堂 うらレモン」が当たるキャンペーンも継続し、さらに愛されるブランドを目指して、今後も「檸檬堂」らしい施策を展開していきます。新製品に関しては、まだ詳細はお話しできませんが、アルコール飲料市場での売上をさらに拡大すべく、年内に大型の新製品を「檸檬堂」から導入する予定です。ぜひご期待ください。

第4四半期活動ハイライト:自販機ユーザー獲得キャンペーン

次に、コカ・コーラのコアビジネスである自販機に、ユーザーを再度誘引するキャンペーンも実施しました。キャンペーン期間中、「Coke ON」アプリを使って初めて購入する方、また、久しぶりに購入する方を対象に、毎週1本目の購入に対して、「Coke ONドリンクチケット」1枚をプレゼントするキャンペーンを実施しました。その結果、約100万人のユーザーの再誘引に成功し、「Coke ON」アプリのダウンロード拡大にも貢献しました。

また、年末の12月にも、「Coke ON Pay」のキャッシュバックプロモーションを控えており、コカ・コーラのデジタルプラットフォームにますます力を入れてきます。

第4四半期活動ハイライト:ウィンターキャンペーン

では、これから年末に行われる、マーケティングの主要プログラムを紹介させていただきます。10月26日から、コカ・コーラのウィンターキャンペーンが開始しました。

「一緒の時間が、最高のギフト。」をキーメッセージにしており、新TV CMをはじめ、パッケージ・プロモーションも含む、包括的な展開をします。CMソングは、クリスマスの定番ソングであるAIさんの『ハピネス』を、瑛人さんがカバーしており、12月には特別なオンラインイベントも開催する予定です。

また、今年で5年目を迎えるリボンボトルのデザインも、カラフルで華やかなボトルに進化し、見ているだけでクリスマスのわくわくを感じることができるデザインです。店頭を盛り上げる活動として、クリスマスケーキ等が当たるプロモーションや、「PayPay」を活用したプロモーションを実施します。家族や友人など、大切な人たちの絆を深めるクリスマスシーズンを盛り上げていきます。

第4四半期活動ハイライト:渋谷コークビジョン

最後にご紹介するのは、「渋谷コークビジョン」です。野外映像と照明の演出により、まるで宙に浮かぶようなコカ・コーラを映し出す「渋谷コークビジョン」が、10月26日に誕生しました。

「渋谷コークビジョン」を展開する場所として、より多くの方に見ていただける、国内有数のランドマークである渋谷スクランブル交差点を選び、約18万個のLEDを使用した透過型LEDビジョンと、背面から当てる照明の組み合わせにより、立体感のある映像を流します。

コカ・コーラ社の使命は、「Refresh the World. Make a Difference. (世界中をうるおし、さわやかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。)」です。今、多くの方々が困難な状況で日々を過ごしています。我々はこの「渋谷コークビジョン」を通して、驚きとわくわく感を提供するとともに、コカ・コーラならではの、さわやかで前向きな気持ちをお届けできることを願っています。

今日の私からのプレゼンテーションは以上になりますが、今年は新型コロナの拡大によって、さまざまなビジネスチャレンジ、ビジネス機会を発見した年でもありました。

今年学んだことをしっかり見据え、2021年のビジネスプランに反映していきます。次回、みなさまにお会いする機会には、具体的な進捗をお話しできると思います。本日はご清聴ありがとうございました。

カリン:和佐さん、ありがとうございました。カリンです。本当に今年は、他に類を見ない困難な年です。現在のCOVID-19による先行きの不透明さを考慮すると、2021年について多くを語るには、まだまだ早すぎると考えます。

しかし、私が言えることは、現在安定しつつある市場のトレンドは、時間とともに維持・改善していくだろうということです。ただし、それにどれくらいの時間がかかるのかは、まだはっきりとはわかりません。

先ほども申し上げましたが、日本のコカ・コーラビジネスはレジリエンスを備えており、長い歴史の中で困難を乗り越え、より強くなってきました。私たちもこの危機を乗り越え、そして、より強くなるでしょう。

今日は、今年を乗り切り、回復と成長に向け、より良い立ち位置につくために、私たちが俊敏かつレジリエンスなコスト構造を実現している、具体的な方法についてお話ししました。

その中には大幅なコスト削減、オペレーション変革、最適化された組織構造、新しい働き方などが含まれます。私たちは、成長への回帰に向け最善の努力をし、よい立ち位置につけていると確信できる、確固たる理由があります。

私たちは、効率的で柔軟性のある製造能力を備えています。ベンディングは市場シェア成長のモメンタムがあり、成長を促進するためのマーケティング投資を強化しています。

そして、これまでに確立した基盤を強化することで、さらなるコスト削減も期待することができます。そして、将来にわたり事業を継続させて、回復させていくための抜本的な変革の取り組みを、必ずや成し遂げます。