Executive Summary
上田卓味氏:みなさん、こんにちは。社長の上田でございます。本来ならば、直接みなさまにお目にかかって決算のご説明をしたかったのですが、今回は新型コロナウイルス感染防止のため、やむなくビデオ放映の形式を取らせていただき、また、ポイントを絞っての説明とさせていただきますので、悪しからずご了承ください。
本日ですが、まず、2020年3月期の決算概要、そして、2021年3月期の業績予想についてご説明させていただいた後に、中期経営計画の進捗状況についてもお話しさせていただければと思います。
まず、2020年3月期の決算のポイントをご説明します。2020年3月期の実績は、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けたことにより、9期連続での増益を崩し、減益での決算となりました。大変申し訳ございません。寮事業は、新型コロナウイルスの影響を一部受けたものの、安定的に増収増益を維持しましたが、ホテル事業におきましては、インバウンドの減少や、出張や個人旅行の自粛等の影響が大きく減益となりました。詳細は後ほど説明します。
次に、中期経営計画の骨格とある新規開業ですが、期待していますとおり順調に進んでいます。この新規開業が売上増加の基本要因であります。
そして、1株当たり年間配当は45円と、前期と同額とさせていただく予定です。この結果、連結配当性向は前期の18.3パーセントから、当期は25.3パーセントと大幅に上昇いたします。
2020年3月期 連結業績と主要経営指標
2020年3月期決算につきましては、まず上期に、寮事業が期初稼働率98.7パーセントと高稼働でスタートし、ホテル事業につきましてもドーミーインを中心に、韓国インバウンドの減少懸念を払拭する力強い伸長もあり、増収増益ベースにて推移していました。その後、10月に上陸した大型台風により、箱根地区を中心にリゾート事業で大きな影響を受け、伸びが鈍化いたしましたが、全社での増収増益ベースは堅持いたしました。
しかしながら、第4四半期の2月・3月に、新型コロナウイルスの影響が利益ベースで35億7,900万円にも及びました。そのため、前期比マイナスでの計算となりました。また、東京オリンピック・パラリンピックによるインバウンド増加への対応の一環として事業を開始していました、ホテル事業による「global cabin」等の資産を中心に、減損損失22億2,700万円を計上した結果、当期純利益をさらに押し下げました。
2020年3月期 売上高・営業利益の事業セグメント別内訳
事業セグメント別の売上高および営業利益を、前期との比較でお話しします。寮事業は安定基盤となっています。
しかしながら、従来成長ドライバーとして業績を牽引してきたホテル事業が、当期は新型コロナウイルスの影響により、ドーミーイン事業・リゾート事業ともに営業利益は前期比マイナスとなりました。また、デベロップメント事業の営業利益のマイナスは、主に前期に比べ、不動産流動化の減少に伴う開発利益減少によるものです。
寮事業: 2020年3月期 売上高・営業利益
それでは、セグメント別に説明させていただきます。まず寮事業ですが、2020年3月期の期初稼働率は98.7パーセントとスタートし、当期開業の15棟(1,574室)の増室効果もあり、売上高は503億円と、前期から2.8パーセントの増収となりました。
営業利益は新型コロナウイルスの影響を受け、年度末の研修需要等が減少し、マイナス1億8,000万円があったものの、高稼働を維持し80億2,000万円と、前期から2.7パーセントの増益となりました。
寮事業: 期初契約室数・稼働率推移
寮事業の基本要素となる稼働率についてご説明いたします。2020年3月期の期初稼働率は、冒頭にも申し上げましたように98.7パーセントと、過去最高を更新する水準でスタートいたしました。契約数そのものは、学生寮が290室増、社員寮が1,181室増、ドミール契約数が238室増となりました。
留学生入寮者が引き続き増加したことに加え、国際交流寮である「明治大学グローバル・ヴィレッジ」をはじめ、大学さまと提携した学生寮の新規開発が進展し、併せて、企業の社員寮制度の導入によるニーズが引き続き堅調だったことが、契約数の増加につながったことであります。
しかしながら、2021年3月期の足元の期初稼働率は、新型コロナウイルスの影響による新入社員研修需要の減少や、留学生の来日が延期になったことにより、93.7パーセントのスタートとなりました。
ドーミーイン事業: 2020年3月期 売上高・営業利益
ドーミーイン事業でございます。当期は韓国からのインバウンドの減少を、香港・中国・台湾からのインバウンドでカバーするとともに、国内のお客さまの増加などもあり、第3四半期までは増収増益と順調に推移していました。新型コロナの影響により2月以降、急激に稼働率が低下しました。
この結果、売上高は、新規開業の増室効果もあり460億3,400万円と、1.0パーセントの増収となりましたが、営業利益につきましては、新型コロナウイルスによる損失が約21億円発生したため、減益となりました。
ドーミーイン事業:稼働率および客室単価の月別推移
稼働率の推移ですが、2月に落ちだし、3月には91.8パーセントから57.4パーセントへと低下しました。なお、この稼働率は、一般的な他のホテルよりは上回っているものの、当社にとっては初めての低稼働率であります。足元の4月も、さらに30.6パーセントへと低下しましたが、5月上旬を過ぎ、徐々に回復傾向にあります。
ちなみに、4月の全国ホテルの平均稼働率は14.1パーセントと新聞報道されていますが、当社ホテルは、依然として優位性を持っていると言えると思います。
ドーミーイン事業:インバウンド需要の推移
インバウンドの状況でございます。スライド上段は市場全体の環境、下段がドーミーインの状態になります。左上のグラフは、日本へのインバウンド宿泊者数の四半期ごとの推移でありますが、第3四半期までは前年を上回っていましたが、2月・3月を含む第4四半期に入り、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、大幅に減少いたしました。
左下は、当社ドーミーインのインバウンド宿泊者数ですが、同様の動きとなっており、第3四半期までは前期を大きく上回って進捗していましたが、第4四半期には18万人減と大きく減少いたしました。なお、ご参考までに、インバウンドの国別シェアを【提示? 00:08:37】していますので、ご覧ください。
リゾート事業: 2020年3月期 売上高・営業利益
次に、リゾート事業です。当期は、秋口に発生した台風災害による箱根地区の影響4億円や、新規事業所の開業準備費用などを、徹底したコストコントロールを実施することにより、通期で吸収する見込みでありましたが、新型コロナウイルスによる影響による2月以降、急激に稼働率が低下いたしました。
この結果、売上高は、新規開業の増室効果もあり329億4,100万円と、0.6パーセントの増収となりましたが、営業利益につきましては、新型コロナウイルスによる損失が11億4,000万円発生し、減益となりました。
リゾート事業: 稼働率および客室単価の月別推移
こちらはリゾート事業の稼働率推移です。ドーミーインと同様の傾向となっています。
その他事業: 2020年3月期 売上高・営業利益
その他の事業のセグメントの売上高・営業利益の状況は、ご覧のとおりです。デベロップメント事業が減益となっていますが、これは不動産流動化による開発利益が、前期の13億8,500万円から当期8億7,100万円と、5億1,400万円減少したことによるものです。なお、今後の成長を期待していますシニアライフ事業は、その他事業の項目に含まれていますが、前期から1億100万円の増益と、着実に成長しています。
貸借対照表
当社の財務状況はご覧のとおりとなっています。有利子負債が増加していますが、これはコロナウイルス対策の一環として、資金確保を一部先行的に実施したものです。
有利子負債・Net D/E レシオ
その結果、有利子負債残高の増加額が株主資本の増加を上回ったものの、D/Eレシオは0.9倍となっており、健全な水準をいまだ維持しています。
配当金・配当性向
次に、配当についてでございます。当期の1株当たり年間配当額は45円と、前期実績を維持させていただく予定であります。また、この結果、連結配当性向は前期の18.3パーセントから、当期は25.3パーセントと大幅に上昇する予定となっています。
ESGにかかる取り組み
続いて、投資における持続可能性の指標であります、当社のESGに関する取り組みをご説明申し上げます。まず、コーポレートガバナンスの強化に係る取り組みについてですが、特記事項は独立社外取締役の増員です。昨年6月に開催した株主総会において、監査委員ではない社外取締役1名を選任。また、監査委員である社外取締役2名を選任いたしました。さらに今年6月の株主総会では、3名の独立社外取締役の増員を予定しています。この結果、社外取締役の割合は3分の1以上となります。
次に、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みについてご説明します。昨年6月の株主総会では、当社初となる女性取締役1名が選任されました。さらに今年の株主総会では、3名増員の予定の独立社外取締役のうち、1名は女性となります。
2021年3月期 連結業績見通し
では、このような状況下で今後どうなるかが、最も重要になるかと思われます。2021年3月期の業績予想です。
2021年3月期の業績予想につきましては、新型コロナウイルスの影響が著しく、今後の動向が不明確なため、現時点におきましては未定とさせていただきます。
今後実施する主要な施策についてご説明いたします。まず1つ目は、徹底的な経費圧縮への取り組みを行ないます。これは、コロナウイルスによる厳しい状況が継続した場合でも運営が持続できるよう、全社を挙げて徹底的なコストセーブを実行し、骨太の体制を構築いたします。
そして2つ目は、段階的な緊急事態宣言解除を見据えた、反転攻勢への歩み出しをスタートいたします。これは、コロナウイルスの感染防止策を徹底的に実施した上で、反転攻勢に向けた営業を推進していくものであります。なお、インバウンドの回復には1年から1年半以上かかるものと想定し、国内お客さまを中心とした施策やプラン、サービスなどを打ち出してまいります。
具体的な第1ステップとして、まずホテルの近郊にお住まいの方々を中心に、第2ステップとして、東京・大阪等、大都市圏に住む方々の観光ニーズに対応します。
そのために、タクシーでの送迎付きリゾート宿泊プランを提供いたします。また、街中にあるドーミーインに夕食等の機能を追加し、温泉大浴場付きサービスアパートメントとしてのご利用を推進するなど、コロナウイルスによる価値観や生活行動パターンの変化に柔軟に対応した、新しいプランを提供してまいります。また、寮事業においても、学生向け寮費の無利子貸付「新型コロナウイルス就学支援プログラム」を開始しています。
最後に、資金の確保についてですが、当面必要とされる資金につきましては、金融機関と借入枠増額で約定し、確保しています。
中期経営計画(2018年3月期~2022年3月期)主な定量目標と進捗状況
続きまして、中期経営計画の進捗状況についてもご説明いたします。
本中期経営計画では、顧客満足度の向上と開発の先行的実施を基本方針とし、表の右側にあります定量目標の達成に向けて、取り組んでいます。当期につきましては、予想外の新型コロナウイルスの影響を受け、売上高および営業利益ともに期初の計画を下回る結果となりました。それに伴い、ROEは8.5パーセントと目標を下回っていますが、コロナウイルス終息後、早期に回復し、中期経営計画の実現に向けて施策を推し進めてまいります。
なお、配当性向は25.3パーセントに上昇し、目標を超えています。
持続的成長の実現に向けた寮・ホテルの開発計画
中期経営計画の要となる開発計画に対する進捗は、次のページでご説明いたします。寮・ホテルの開発計画になります。現在、ご覧のようになっており、計画段階ではドーミーイン事業・リゾート事業ともに、すでに中期経営計画の開発目標の100パーセントを達成しています。寮事業におきましても、ここには書いていませんが、寮を850室運営する会社のM&Aを実施いたしました。これを含めますと、寮事業も進捗率は100パーセントとなります。
なお、個々の開業予定時期につきましては、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、当初計画から若干変動する可能性がございます。
不動産流動化の推進
不動産流動化について、現状と今後の方針を説明させていただきます。2020年3月期の下期には不動産流動化は実施していませんが、上期に神戸・野乃浅草・琴平の3物件の流動化を実施したことで、前期までの2年間と合わせ、当初計画値の300億円を達成しています。今後、さらに500億円以上の不動産流動化がほぼ決定していますが、実施時期につきましては、新型コロナウイルスの影響による経済情勢や、ホテルの開業時期の変動に合わせて、検討してまいります。
安定的な人員・人材確保
もう1つ大切な、人材の問題になります。新卒採用による人員・人材計画につきまして、2020年4月、285名の採用を実施し、必要な人材・人員を確保できていますことを申し上げておきます。そのうち留学生が62名となっており、ホテル業界においてニーズの強い、外国語対応のできるスタッフの配置も引き続き進めてまいります。
以上で、本日の決算説明会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。