2020年3月期決算説明会

司会者:みなさま、こんばんは。2019年度決算報告会にお集まりいただきありがとうございます。2019年度のわれわれを取り巻く環境は大変厳しいものとなりました。世界の自動車需要減少が継続するなか、比較的堅調であった当社にとってのコアマーケットであるアセアンも中国の景気減速の影響を受け、軟調に推移いたしました。

さらには2020年に入り顕在化した新型コロナウィルスの感染拡大が世界経済に甚大な影響を与えております。そういった厳しい環境のもと、次期、中期経営計画へ着実に繋げるべく、固定費削減、在庫の適正化などさまざまな施策に全社一丸となって取り組んでまいりましたが、収益環境の悪化は想定以上のものとなり、遺憾ながら、4月24日に公表したとおり、上半期決算に修正した計画を達成することができませんでした。

本日は2019年度の実績、及び2020年度についてお話させていただきます。それでは池谷さん、よろしくお願いします。

2019年度 業績サマリー【前年度/前年同期比】

池谷光司氏:池谷でございます。3ページでございます。まず2019年度業績のサマリーでございます。自動車需要の伸び悩みに加え、期末にかけて、新型コロナウィルスの感染拡大により販売台数が急落したこともあり、売上高は2兆2,703億円。営業利益は128億円。営業利益率は0.6パーセントとなりました。

また経常利益は、主に持分法損益の悪化等により38億円の損失、当期純利益については、主に繰延税金資産の取り崩し等により、258億円の損失となりました。販売台数はグローバルで112万7,000台となり、対前年で9パーセント減となりました。

2019年度 営業利益変動要因分析【前年度比】

4ページをご覧ください。営業利益の対前年変動要因はご覧のとおりです。台数・車種構成では、グローバルベースでの景気減速懸念の高まりから、自動車需要の落ち込みが進んだことに加えて、1月後半に起きた新型コロナウィルス感染症の災禍により、経済活動そのものが麻痺状態に陥った結果、例年どおりの年度末の販売拡大が不可能となり、全地域で急激に販売が落ち込みました。

結果として、対前年で505億円の大幅な減益となりました。そのうち、およそ30パーセント以上が新型コロナウィルス感染症拡大の影響であったと認識しております。コスト低減等については、資材費、工場経費、いずれも計画以上に抑制することができ、合計で160億円の削減を実現いたしました。

販売費も計画以上の抑制が実現し、統計で128億円の削減効果を導き出しました。その他、労務費や研究開発費等の見直し等を行い、一定の抑制効果を得たものの、アフターセールス等の悪化もあり、収益を332億円圧迫いたしました。

為替は期中見直しレートよりも安定して推移いたしましたが、ユーロ、豪ドル、タイバーツの影響により、対前年で451億円の悪化となりました。

2019年度 販売台数実績【前年度比】

5ページをご覧ください。主な地域別販売台数実績はご覧のとおりとなります。2019年度の販売台数実績は、対前年で9パーセント減の112万7,000台となりました。

まずアセアンに関しましては、2019年度下期以降、中国の景気減速の影響により、市場そのものが縮小しました。加えて、年度末にかけて、新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受け、対前年で9パーセント減となりました。

豪州・NZに関しても同様に、最大の貿易国である中国の景気減速の影響等により、自動車需要そのものが大幅に減少いたしました。さらには、期末にかけ、非常事態宣言による影響を受け、当社販売も対前年で14パーセント減となりました。

コアマーケットである日本は、日経シリーズのフルモデルチェンジなど、ようやく新車を投入しましたが、消費増税の反動減や、新型コロナウィルス感染拡大影響も加わり、対前年で10パーセント減となりました。

中国を含むその他地域は、全需低迷の影響を受けたことに加え、新型コロナウィルス感染拡大による経済活動停止の影響により、需要が急減いたしました。

また北米は、全需そのものは相対的に堅調に推移したものの、当社の販売セグメントは競争が激化し、対前年マイナス成長となりました。

欧州に関しては、規制強化に向けたアウトランダー、PHEVの戦略的販売拡大は計画に沿って伸長したものの、全体の需要は軟調に推移したため、その影響を当社も受けました。

次に2019年度のビジネスハイライトについてご説明いたします。加藤さん、よろしくお願いいたします。

エクスパンダー:三菱自動車の主力車種へ

加藤隆雄氏:2019年度はグローバルで厳しい販売環境となりましたが、当社の主力車種の1つであるエクスパンダーが、2019年度は販売セグメントラインにおいて、タイ、フィリピン、ベトナムでそれぞれトップシェアを獲得いたしました。

インドネシアにて2017年10月より生産販売を開始したエクスパンダーは、当社の地域商品戦略のベストプラクティスとなりました。今後も同様のケースを積み重ねることにより、われわれのアセアン事業を一層強固なものにしてまいります。

着実な商品力向上

8ページをご覧ください。中期経営計画「Drive for Growth」の目標の1つに商品の刷新を掲げており、商品ラインナップの拡充や、ライフサイクルマネジメントに積極的に取り組んでまいりました。2019年度はグローバルで販売環境が厳しかったものの、日本においてのeKシリーズのフルモデルチェンジや、既存車種の刷新等を計画どおり行いました。

今後もお客さまのニーズに沿った魅力的な商品を持続的に投入することにより、ブランドの向上、及び販売台数の拡大に務めてまいります。

2020年度 通期業績見通し及び予想配当

次に2020年度、及び今後の見通しについて説明いたします。

10ページをご覧ください。一部の地域では段階的に経済活動を再開し始めておりますが、新型コロナウィルス感染拡大の克服と、出口は見通せておりません。著しく不透明な事業環境が当社の業績にどの程度影響を与えるか、足元見極めきれず、適正かつ合理的な業績予想の算出が非常に困難なため、2020年度業績見通しを現時点未定とし、合理的な業績予想の開示が可能となった段階で速やかに公表いたします。

また1株あたり予想配当につきましても未定とさせていただきます。

新型コロナウイルス感染拡大影響

11ページをご覧ください。新型コロナウィルスの生産影響のスライドでございますが、新型コロナウィルス感染拡大収束に向けて、当社は各国政府や地方自治体の方針をもとに、安全を最優先にすると同時に、事業への影響を最小限に抑えるべく、対応を行っております。

しかしながら、海外からの部品調達難による生産への影響や、販売減少による在庫調整等、既に大きな影響が出ております。都度、各国の状況を注視しながらにはなりますが、各生産拠点の稼働状況はスライドにお示ししたとおりとなっており、今後もサプライチェーンや販売モメントも都度確認しつつ対応を行います。

中期経営計画「Drive for Growth」の振り返り

12ページをご覧ください。今後の構造改革の考え方について少しお話をさせていただきます。前中期経営計画「Drive for Growth」では、メガマーケットでシェア拡大も意識した全方位での成長を基本路線として積極的な投資を計画いたしました。しかし計画途中から、世界経済の減速傾向で競争が激化したこと、メガマーケットでの環境規制対応、お客さまが求めるサービスの高度化などにより、研究開発投資負担が増加してまいりました。

結果として、スライドにお示ししたとおり、固定費全体が2015年度比1.3倍と大幅に上昇し、2018年度後半より「Small but Beautiful」のコンセプトをもとに、選択と集中の修正戦略を加速させたものの、メガマーケットを中心に、販売採算の確保が困難な状況となりました。

そのような厳しい事業環境下において、当社の規模では全方位の拡大戦略を取り続けることは現実的でなく、選択と集中の考え方に沿って、より強い危機感を持ち、全社一丸となって速やかにコスト構造改革に取り組むことが最優先事項であると認識しております。

「選択と集中」への着手

13ページをご覧ください。そこで2021年度までは、固定費削減を軸とした構造改革の期間と位置づけます。まずはアセアンなど、強みを持つ地域に経営資源を集中し、販売ネットワーク、生産体制などもアセアンの強化に集中いたします。

商品戦略に関してもアセアン集中の考え方に沿い、抜本的見直しを行い、当社に競争力のある商品セグメントに重点的に取り組みます。この戦略に沿って、設備投資や研究開費の削減、人材の再配置を含む間接労務費の削減、広告宣伝費や販売ネットワーク見直しによる販売費、その他、経費の削減等、あらゆるコスト構造を見直してまいります。

これら施策により、固定費は今後2年間で2019年度比20パーセント以上削減し、2015年度レベルまで低減をいたします。削減策については速やかに着手し、早期に効果を出すべく全力を尽くしてまいります。

改革プランの多くは既に策定しており、一部実行に移したものもございますが、足元の不確定要素が極めて大きく、改めてこの影響を現在精査中でございます。

みなさまもご存知のとおり、新型コロナウィルス感染拡大は続いており、経済にも大打撃を与えております。それは我々の業界においても例外ではなく、サプライチェーンへの影響や大幅な需要減少、また各国政府の要請などを背景に、当社も順次、国内外の工場の稼働停止を余儀なくされております。

いずれ収束に向かうとは予測されるものの、経済活動がこれまでのような水準に戻るには長い時間がかかると言われております。また言うまでもありませんが、不安定な世界情勢による需要の低迷に加え、自動車業界は大きな変革期を迎えており、新技術への対応や、グローバルで厳しさを増す環境規制への対応など、さまざまなチャンレジが待ち受けている状況です。

その変革への対応のためには、体質強化が必須であり、固定費削減の取り組みを速やかに実施してまいります。具体的な構造改革プランや、2020年度通期業績見通し等は、合理的な算定条件が整う過程のもと、第1四半期決算のタイミングを目処に発表したいと考えております。ご清聴ありがとうございました。