経営方針

小川誠氏:株式会社イオレ代表取締役社長の小川です。2020年3月期、株式会社イオレの決算説明会を行なわせていただきます。なお、本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、動画でのご案内となりますこと、ご了承ください。

まず、当社の経営方針です。「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中を応援し、社会に貢献してゆく」といった経営方針を掲げています。

設立以来、ガラケーの進化、メールの普及、スマートフォンの普及、アドテクノロジーの進化といったところに適応してきたのが、当社です。今後も新しいテクノロジーに適応していき、それを咀嚼することで、生活者のみなさまに便利さを伝えていければと思っています。

経営戦略

続いて、経営戦略です。イオレの保有するビッグデータを活用し、新たなクロステック領域のサービスを提供していきます。2014年から始めた「アドテック」、2019年から注力している「HR Tech」といった領域で事業を行なっています。今後もさまざまな社会的課題を、テクノロジーを駆使して解決できる会社でいたいと思っています。

2020年3月期の戦略

続いて、2020年3月期の戦略のおさらいです。1つ目は、採用広告分野のさらなる拡大と推進、2つ目は、OEM代理店及び求人広告代理店とのパートナーシップ制の強化を掲げていました。

2020年3月期の戦略(続き)①

まず、採用広告分野のさらなる拡大と推進です。「pinpoint及びその他運用型広告」サービスにおける求人系広告売上は、前年同期比で16.3パーセントの増収となったため、一定の成果は出たものと考えています。

また、今後の見通しについては、少子高齢化を背景に、市場全体において構造的な人手不足という課題は依然として残るものの、新型コロナウイルス感染症により、一定期間においては、各企業の採用選考の停滞や求人意欲に与える影響はあるかと思います。

さらに、長期化することによる景気の減退や、有効求人倍率の低下による影響は大きいものと考えています。

2020年3月期の戦略(続き)②

続いて、OEM代理店・求人広告代理店とのパートナーシップ制の強化です。双方とも、前期比でビハインドしております。また、その要因については、後ほどお伝えします。

今後の見通しについては、新卒通年採用の実施により、イオレが保有する大学1・2年生データの有効活用が進むものと考えています。また、新しい分野におけるOEM代理店、中途領域、バイト領域の開拓を行なっていきます。

検索エンジン向けリスティングの競争飽和により、当社商品の取り扱いが増える可能性が高まってくると考えています。

2020年3月期 業績ハイライト

では、2020年3月期の業績についてご説明します。業績のハイライトです。2020年3月期は、売上高18億4,400万円、前年同期比5.7パーセント減、経常利益2,600万円、前年同期比65.5パーセント減となりました。

また、2020年2月14日に通期での業績の見通しを発表しましたが、売上高、営業利益、経常利益に関しては過達で着地しています。

業績推移 ― 四半期別売上高

続いて、四半期別の売上高です。2020年3月期第4四半期は、前年同期比21.7パーセントの減収となりました。

業績推移 ― 四半期別経常利益

四半期別の経常利益です。売上減少に伴い、2020年3月期の経常利益は、前年同期比63.5パーセントの減益となりました。

減収減益の要因

減収減益となった要因についてまとめています。上から順番に、売上高への影響の大きかったものになっています。向かって右側が、2021年3月期の見通しです。

一番影響の大きかったものについてご説明します。まず、販促広告分野の「pinpoint及びその他運用型広告」における大型案件の6月からの逸失についてです。こちらは、2018年10月から2019年5月まで、広告の運用を行なっていました。

先方の組織体制の大幅な変更により逸失となりましたが、一方、第1四半期においては、新卒採用分野での売上が急伸していました。よって、大型案件の逸失については、新卒採用分野でリカバリーできるものと考えていましたが、第2四半期において、OEM代理店側による当社以外の商材に関する問題等による販売の自粛により、大きく減収となりました。

また、それに先立っての今後の見通しの部分については、2020年3月期第4四半期よりOEM代理店による新卒採用分野での販売は再開されています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大規模採用イベントからWEBでの母集団形成に予算移行が進む可能性が高まっています。

先ほどもご説明しましたが、新卒通年採用の実施により、当社の持つ大学1・2年生データの価値が向上するものと考えています。

「pinpoint及びその他運用型広告」の前期比較(売上)

続いて「pinpoint及びその他運用型広告」の前期比較です。黄色の矢印の部分にご注目ください。さまざまな要因があったものの、足元では前ページの要因で伸び悩みましたが、中長期的には伸ばせる分野と考えています。

1点、「Indeed」に代表される検索エンジンの急拡大により、足元で(一般)代理店、とくに求人系の広告代理店においてリスティング求人広告の営業が優先されたことから、当社のpinpoint営業に遅れが生じて売上が伸び悩みましたが、ある程度の飽和状態になってきたところを鑑みると、当社の取り扱いは今後増えていくものと考えています。

伸び悩んだOEM代理店もありましたが、一方で新卒採用分野での代理店は成長しており、2020年3月期については販売の自粛等によってさまざまな要因はあったものの、こちらに関しては今後大きく伸びる可能性を秘めていると考えています。

繰延税金資産の取崩しについて

続いて、繰延税金資産の取崩しについてです。売上高、営業利益、経常利益、税引前当期純利益までは、前回予想を上回りました。一方、繰延税金資産の取崩しにより、法人税等調整額1,900万円を計上した結果、当期純利益は前回予想を下回るかたちとなりました。

ジョブオレの歩み

続いて、2020年3月期のトピックスです。まず「ジョブオレ」の歩みについてですが、2019年3月に「ジョブオレ」をリリースしました。また、連携状況に関しては、さまざまなアグリゲーションサイトとのシステム連携を進めてきました。

具体的には、4月に「Indeed」、6月に「Googleしごと検索(Google for Jobs)」、8月に「求人ボックス」、10月に「スタンバイ(Yahoo!しごと検索)」と連携しています。また、クライアント向け、求職者向けの利便性向上を目的に、適宜、さまざまな機能開発を行なってきました。

スライドの上の棒グラフについては、リリース後の求人原稿数の推移です。第4四半期は、3万求人原稿に迫るところまで獲得できています。

らくらく連絡網の会員数・団体数増加

「らくらく連絡網」の会員数、有効団体数は増加しています。これは、他社の類似サービスの終了宣言の影響と考えられます。

これまで、日本は4月を年度始めとする場合が多いため、一番のピークは第1四半期にきていました。その後、第2四半期以降は純減していくといった流れでしたが、2020年3月期については第2四半期以降も会員が増え続ける状況でした。

ガクバアルバイト・らくらくアルバイトの取り組み状況

「ガクバアルバイト」「らくらくアルバイト」の取り組み状況についてです。「ガクバアルバイト」の新規登録者数は、2019年5月のサイトリニューアルにより会員登録が簡素化されたこと、また10月に応募と同時に会員登録できる機能をリリースしたことにより、前年同期比で29.1パーセント増加しました。

また「らくらくアルバイト」の会員数は、「らくらく連絡網」会員数の増加に伴い入会者が増加したことにより、前年同期比で12.9パーセント増加となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大への対応

続いて、新型コロナウイルス感染症拡大による当社の対応と業績への影響です。まず、当社従業員及び当社関係者の安全確保を最優先に、感染拡大状況を注視しながら、状況に応じた対応策を検討、実施し、テレワークへの対応も加速させてきました。

当社の勤務体制ですが、2月下旬にフレキシブルタイムの拡大による時差出勤を実施しました。また、3月下旬からは在宅勤務を基本とした業務体制を実施しています。4月上旬には、一部部門における休業を実施しています。

業務への対応ですが、電話会議、WEB会議の実施や出張の原則禁止、マスク着用等といった衛生環境の維持を行なっています。また、昨年より推進してきたWEBでのリード獲得やオンライン商談などのツールを活用した新しい営業方法を推進中です。

昨年から、当社ではリアル商談よりもオンライン商談自体を推進してきたところに一定の成果が出たものと考えています。

業績への影響

続いて、業績への影響です。販促系の広告と求人系の広告に分けて記載しています。また、スライドの上にいくほど影響が大きいものと考えています。

足元においては、広告配信の一時停止等が行なわれています。販促系広告においては、旅行、飲食、イベント等の自粛により、直接影響を受けた業界からの広告配信が停止しています。また、求人系広告については在宅勤務に移行しているため、採用選考活動が行なえない企業による広告配信が停止しています。

加えて、緊急事態宣言で在宅勤務が進み、商談機会の遅れや新規の営業活動の制約など、営業活動に支障が出ています。クライアント企業の出稿意欲という部分については、足元では緊急事態宣言下における活動の自粛に伴う広告宣伝費の抑制ならびに採用意欲の減退が考えられます。

この状況がいつまで続くかはまだ見通せませんが、長期化による景気の減退という部分については、販促系広告も求人系広告も、いわゆる採用予算や広告宣伝費予算の削減というところが一番大きな影響が出る部分だと考えています。

2021年3月期の業績予想

2021年3月期の業績予想についてです。今後の見通しに関しては、インターネット広告市場と同様に、求人広告市場においても従来の予約型広告から運用型求人広告へのシフトがより一層加速して進むものと考えています。

しかしながら、いまだに新型コロナウイルス感染症の影響により、日本国内においても緊急事態宣言の終了を含む収束の時期や、感染拡大による経済活動への影響が見通せず、先行きは非常に不透明感の強い状況にあります。

当社が注力分野としている求人広告市場においては、少子高齢化を背景に、市場全体として構造的な人手不足という課題感は残るものの、足元の一定期間においては各企業の採用選考の停滞や求人意欲に与える影響は大きく、見通しが非常に困難な状況にあります。

よって、業績予想の合理的な見積もりが非常に困難であるため、2021年3月期の業績予想を「未定」とします。業績予想については、開示が可能となった時点ですみやかに開示します。

2021年3月期戦略

最後に、2021年3月期の戦略について、HRアドプラットフォームの事業化、「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長、新卒採用分野の拡大、メディアの開発状況の4つをご説明します。

1. HRアドプラットフォームの事業化

まず、今期一番注力していくのが、「HRアドプラットフォーム」の事業化です。どういったものかを簡単に説明すると、従来の予約型求人掲載から、次世代運用型求人掲載を実現するため、日本初の運用型求人広告のプラットフォーム、「HRアドプラットフォーム」を構築します。

従来の求人広告は予約型求人と言われています。もともと広告主(人を必要としている求人企業)が営業担当に依頼して、営業担当とともに求人原稿の作成を行ない、契約の期間内において、その担当をしているメディアAのみに掲載されるというかたちでした。

当社が事業化を進める「HRアドプラットフォーム」は、人を必要とする求人企業が広告主です。もともとアドテクノロジーの技術ですが、入札という仕組みを用いて、当社が現在構築している「HRアドプラットフォーム」内において、CPC(クリック課金)、CPA(成果課金)の入札を用いて、スライドの右側にあるような日本のさまざまな求人メディアに、自動的に求人広告が掲出されるかたちになります。

スライドの下の部分にある求人企業(広告主)については、広告の効果を最大化することができます。これまで一定期間でかつ決められた価格でしか掲載できなかったものから、ある程度、採用したい価格、KPIに基づいた運用を行なえるため、効果を最大化していけると思います。これが運用型広告最大の特徴となります。また、広告掲出の労力減については、さまざまな求人メディアごとに求人原稿を作成しなければいけないという労力が減少されるものと考えています。

求人メディアサイドですが、営業マンを必要としないプラットフォームとなるため、営業コストを下げることができます。また、広告主と同様、広告掲出の労力を減少することが可能になります。

一方、求職者については、求人の選択肢が増加する、即時性が向上するというメリットがあります。

1. 求人広告市場の変革に対する戦略イメージ図

当社の求人広告市場の変革に対する戦略イメージです。スライド左側が求人企業(広告主)、右側が求職者となっています。ロゴが記載されているところが、当社のプロダクトです。

データを活用して求職者にリーチする方法、また先ほど申し上げた「HRアドプラットフォーム」を通じて求人メディアを介して求職者にリーチする方法、そして昨年リリースした「ジョブオレ」を通じてアグリゲーションサイト経由で求職者にリーチする方法があります。

おそらく、今考えられる求職者へのリーチ方法をすべて網羅することができるため、こちらの戦略イメージをもとに、より最適な採用手法を企業に、より即時性の高い求人を求職者に提供していきたいと考えております。

2. 「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長

「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長についてですが、こちらも引き続き注力してまいります。

成功のために必要なことの1つ目が、データの優位性です。もともと「らくらく連絡網」の会員データを活用できるところが当社の強みです。今後も「らくらく連絡網」の会員の獲得はもちろんですが、他のデータサプライヤーとのアライアンスやパートナー作りを推進し、新たなデータの拡充も図っていきます。

2つ目が、運用のノウハウです。運用型の求人広告サービスである「Indeed」において、「ジョブオレ」は独自の運用方法であるフィード運用を通じて高いコンバージョンレートを実現するノウハウがあります。また、大手SNSと連携した運用型広告についても非常に大きな実績があります。

今後の展開については、2000年代のリスティング広告の拡大時期と同様に、営業力勝負から運用力勝負、効果と言われるところの勝負における過程で、プレゼンスを発揮していけるものと思っています。

3つ目が、求人原稿数です。当社の強みとしては、「ジョブオレ」をフック商材として活用し、「pinpoint及びその他運用型広告」による求職者の獲得が図れます。

一方、今後の展開については、「ジョブオレ」のさらなる拡大と「HRアドプラットフォーム」の事業化を目指していくことを考えています。

2. 「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長(続き)

2019年3月期より、「pinpoint及びその他運用型広告」のシフトを進めており、今後も求人広告分野に注力していきます。2019年3月期の売上構成比率は63.1パーセントでしたが、2020年3月期の売上構成比率は68.6パーセントまで伸長しています。

3. 新卒採用分野の拡大

そして、新卒採用分野の拡大を図ります。新型コロナウイルス感染症の影響により、採用手法の見直しが図られると考えています。足元では、インターンシップ開催の中止や、合同説明会等、大規模イベントの中止が起きています。

また、2021年入社の新卒採用から就活のルールが廃止となり、通年採用という就活スケジュールの多様化や、グローバル採用も行なわれていきます。

新卒採用に大きな変化が起きる中、早期化や採用活動、手法の多様化という部分に関しては、豊富な大学生のデータを持つ当社の「pinpoint DMP」を活用することにより、WEBでの母集団形成、新卒採用分野でのシェア獲得を積極的に拡大していきたいと考えています。

4. 自社メディアの開発状況

最後に、自社メディアの開発状況についてです。「ガクバアルバイト」は、2020年1月に開発が完了しています。また、「らくらくアルバイト」は、4月に連携以外の開発が終了し、以降はともに保守フェーズへ入っています。

「らくらく連絡網」は7月から8月にかけて、運用コストを下げるために、新アプリをリリースする予定です。これらの開発を通じ、将来の保守、運用コストの削減を可能にしていきます。

おそらく、7月から8月にかけての「らくらく連絡網」の開発の完了をもって、自社メディアの一定の開発はすべて完了するものと考えています。もともとこの開発の意図は、その後の保守、運用コストを下げることを目的としていました。

また、これまでそれらに長年投資をしてきましたが、開発に関して、今後は開発部隊を「HRアドプラットフォーム」に移行していくと考えています。

このような状況ですが、新型コロナウイルス感染症の影響はある一定の部分で受けるものと考えていますが、絞るところは絞りつつ、将来を見据えてしっかり投資するべきところは投資し続けるというのが、今期の方針です。

また、足元も非常に重要だとは思っていますが、来期以降のことを考えられる会社こそ、本来の成長企業になっていけるものと信じているため、今後も、来期以降を見据えながら積極的な投資は行なっていきます。

私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:企業の採用状況や「HRアドプラットフォーム」について

質問者1:採用が低減している業界もあるかと思いますが、こちらの見通しについてあらためておうかがいできますか?

小川:新型コロナウイルスの影響を想定した内容ということでよろしいでしょうか?

質問者1:はい、よろしくお願いします。

小川:当社においては、直接的に新型コロナウイルスの影響を受けるような事業体ではないものの、いわゆる相手先、取引先において影響を受けられている企業が多数あります。

一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の有無にかかわらず、少子高齢化という背景は変わらないため、いつ企業の求人需要が戻ってくるのかという見通しがまだ立ちませんが、いずれ確実に戻ってくると思います。例えば、足元において求人広告の配信を停止しているお客さまは、採用選考がいわゆる緊急事態宣言によって行なえないため、求人広告を止めてほしいという状況です。このような企業においては、緊急事態宣言が解除された後に、求人広告が再開されると思います。

また、先行きが不透明ということで、気分的な問題が大きいと思いますが、採用意欲が減退している企業に関しても、一定の期間を置いて戻ってくるものと思います。ただ、業界においては、有効求人倍率が大きく低下すると思われます。採用分野に関しては、一定のところまで有効求人倍率が低下してしまうと、採用意欲が戻ってくるまである程度の期間を有する必要性があるのかなと考えています。

質問者1:もう1点、「HRアドプラットフォーム」の件についてです。

そちらは従来のものに比べて革新的という点に関しては理解したのですが、収益面はどういったかたちになるのでしょうか。少し金額が下がって量は多くなると感じたのですが、どういったものになるのか、具体的に教えてください。

小川:基本的には、入札する求人企業の広告主からの収益になります。そのほか、課金方法がクリックでのCPCや成果課金、エントリー課金でのCPAを想定しています。成果に関しては、当然一定の原価ということで、連携しているメディアにお支払いしますが、これが原価になります。

まだ具体的な細かい数字までは言えませんが、この仕組み自体、アドテクノロジーの技術をHR分野に日本で初めて導入するものになります。アドテクノロジーの分野において、例えばDSP、SSP、アドネットワークの粗利の業界水準は、おおむね40パーセントくらいとされているため、我々の収益性でいうとそのあたりが粗利の目安だと想定いただければと思います。

質疑応答:「アフターコロナ」の展望について

質問者2:足元の動きなどを非常に詳しくご説明いただきまして、どうもありがとうございました。私は前からいろいろヒアリングしており、やはり5年後を見据え、1兆円くらいの規模の求人広告マーケットで運用型広告が2,000億円や3,000億円と大きく広がっていくなかで、御社がトップに出てくるという期待を持ってずっと見ているのですが、社長としては、以前と比べてトップを狙えるような動きがより強く、着実に進んでいるとお考えでしょうか? 以前よりもその流れが非常に明確になっていると思いますので、「アフターコロナ」の世界になったときに、御社がトップを狙えるか、その手応えを教えていただけたらと思います。

小川:おっしゃるとおり、求人メディアにおける広告市場は約1兆円だと考えていただければけっこうです。現状、この1兆円の市場の中の90パーセントがまだ求人メディアの市場になっています。インターネット市場に置き換えると、いまだに予約型掲載、つまりメディアの純広告といったところになりますが、HR領域においてはこれがいまだ90パーセントを占めています。

一方で、この数年で10パーセントぐらいの割合でリプレイスされているのが、「Indeed」をはじめとしたリスティングを用いた求人手法です。こちらは2015年の段階ではゼロだった市場が、1,000億円ぐらいまでになったのではないでしょうか。むしろ、求人メディアはこの1,000億円をロストしたと思っています。

これが、我々が想定している5年先の2025年になると、求人メディア市場における求人メディアのシェアは40パーセントくらいになると想定しています。インターネット広告に置き換えると、30パーセントが「Indeed」を含めたリスティングの市場、残りの30パーセントが、我々が今期から着手している「HRアドプラットフォーム」という非リスティングで入札を用いた広告手法の市場になるのではないかと考えています。

求人広告市場全体を1兆円と想定した場合、非リスティング分野の運用広告は30パーセントになると考えていますので、その3,000億円の部分では、力強くトップを走らせていただきたいと思っています。もともとこの構想を始めた段階では世界初だと思っていましたが、昨年の秋にアメリカで同じようなサービスが始まったと聞いています。日本初のものとして、今期中に非リスティングの分野を立ち上げていきたいと思っています。

一方、当社はリスティングにおいて3,000億円規模となる「Indeed」を運営しているわけではありませんが、2年前から「Indeed」「スタンバイ」「求人ボックス」の運用代行も手掛けています。

当社はもともと求人の会社ではないため、強烈な営業力があるかというと、そこは若干弱い部分でしたが、「Indeed」の知名度が高く、ある程度の採用予算を持っている会社は「Indeed」を使用したことがあるということで、そう考えると既に浸透したのではないかと考えています。

インターネット広告における2000年代のリスティング同様、最初は営業力勝負で獲得を始めた企業が多かったのですが、やはり「効果を出す」というところが最終地点になります。我々は、その「効果を出す」というノウハウを十二分に持っている会社だと思っています。

リスティングの効果を出すノウハウについても、個人的には日本で3本の指には入るのではないかと思っているため、運用効果を求めるフェーズに入ったところでは一定のプレゼンスは発揮していけるものと考えています。

そして、「アフターコロナ」についてです。先ほど「2025年」とお伝えしましたが、もう少し前倒しになる可能性が高いかもしれません。現在、9,000億円ある求人広告市場の求人メディアは、従来型として大量の営業マンを抱えて対面で販売されていましたが、今回の緊急事態宣言を受けて、対面営業への限界を感じたのではないかと思っています。

今、いろいろな連携メディアともお話をしていますが、我々との連携に関してはおおむね前向きなご回答をいただいています。

小川氏より「HRアドプラットフォーム」の事業化について

小川:オンライン説明会でのプレゼンテーションの内容と重複するかもしれないのですが、決算説明資料の26ページに、今お話しした「HRアドプラットフォーム」の事業化について掲載しています。

従来の予約型求人掲載から、次世代の運用型求人掲載を実現するため、日本初の運用型求人広告のプラットフォーム「HRアドプラットフォーム」を構築します。

ご存知かと思いますが、従来の求人市場は、求人企業と言われる広告主が求人メディアの営業担当に依頼して一緒に原稿を作成し、決められた期間内のみ、そのメディアに求人が掲出される仕組みでした。おそらく、新型コロナウイルスの影響で、営業はかなりスタックしているものと考えています。

一方、当社が掲げている「HRアドプラットフォーム」は、営業マンと対面で話す必要がありません。例えば2000年代では「Yahoo! JAPAN」のトップページの広告を販売している営業マンはたくさんいました。しかし2020年では、あの枠を対面で販売している営業マンは日本に1人もいません。インターネット広告市場では、すべて入札という仕組みを用いてトップページに反映されています。

「HRアドプラットフォーム」においても、求人企業、つまり広告主がプラットフォームを使って入札することで、連携しているすべてのメディアに求人を掲出することができます。例えば、効果が悪いところを即時停止したり入札額を下げることも可能ですし、効果のいいメディアには厚く入札をかけていくことができます。これが、運用型広告の最大の特徴であると思います。そのため、お金を出す求人企業の広告主は広告効果を最大化できるメリットがあります。

また、よく採用人事の方からお聞きするのですが、「メディアA」「メディアB」「メディアC」のそれぞれで求人原稿を作るのは、ものすごい労力だと聞いています。我々のサービスでは、求人原稿を1つだけ登録すれば、連携しているすべてのメディアにリーチできるため、広告掲出の労力を大きく削減できます。

求人メディアに関してですが、昨年の夏に「an」が終了しました。その時点でも少子高齢化が進んでおり、求人メディアに掲出してもなかなか人を採用できない状況でしたが、掲載する価格は過去と一緒なわけです。人を採用できないと、先方から「無償で延長してほしい」と言われたり、次回の提案の際に、すごく値引きを要求される場合があったと思います。よって、営業マン1人あたりの生産性が非常に落ちてきたというお話も聞いています。

そういった部分で言うと、連携している求人メディアについても営業コストを大きく削減することができ、求職者に向き合ったメディア運営に注力していけるメリットがあります。一方、求人メディアも同じく、広告掲出の労力を非常に削減できます。

また求職者も、求人の選択肢が広がります。今までは、その期間、その媒体で「偶然」求人を見つけなければ、自分の運命の求人に出会えなかったわけですが、求人の選択肢が非常に増えます。そして、今まさに人を必要としている企業は、求人を即時掲載することができるため、即時性も向上します。これらが「HRアドプラットフォーム」のメリットだと考えています。

27ページに、「HRアドプラットフォーム」を活用した、当社の求人広告市場の変革における戦略イメージを記載しています。

我々のサービス、プロダクトを使えば、おそらく日本で考えられる求職者へのリーチ方法はすべて網羅できると思っているため、この戦略を推進していきたいと思っています。

質疑応答:リスティング広告代理店としての強みやノウハウについて

質問者3:今のご説明の補足をお願いしたいと思います。御社はリスティング広告の代理店として、それなりの成果を上げていると思いますが、御社の強みの部分を教えてください。例えば、今の運用型広告の中で、「らくらく連絡網」などによって、DMPと言いますか、2,000万人程度のデータをお持ちだというお話がありましたが、それがリスティング広告における御社のノウハウだと考えてよいでしょうか? ほかのノウハウがあれば、あわせて教えてください。

小川:当社の優位性についてです。DMPの部分では、「らくらく連絡網」を通じて自社で獲得できるデータがあるのが最大の強みです。他社のDMPのほとんどは類推データやGoogleから提供を受けているデータだと認識しています。

当社は自社でデータを生成できる「らくらく連絡網」を持っているのが最大の強みであり、また「Indeed」を中心としたリスティングという仕様の運用ノウハウも持っていますが、この2点は、完全に他社にないものになります。

マザーズに上場しているフィードフォースという会社などもありますが、フィードはよくECサイトでも使われています。求人においては、フィードで案件を送るというノウハウが我々の強みだと思っています。求人原稿を「Indeed」上でどのように表示するか、どうすれば上位に表示されるかといったノウハウが溜まっており、これが我々でいうフィードの運用の部分になります。

また、我々は2019年3月に「ジョブオレ」というATS(採用支援システム)サービスをリリースしています。

例えば「Indeed」にアクセスすると、さまざまな求人があり、興味のあるものをタップすると、「Indeed」上でその求人の詳細が出てきます。通常の仕様では、応募ボタンを押すと別のドメインにある外部サイトに飛んで、そこでもう一度外部ドメインの求人の詳細が出てきて、そこで応募ボタンを押してやっとエントリーできるという流れです。

しかし「ジョブオレ」は、立ち上げと同時に「Indeed」とシステム連携を行なっています。「ジョブオレ」を利用いただいているクライントは、「Indeed」上で求人を探して、興味のあるものをタップすると、「Indeed」で求人の詳細が表示されて、応募ボタンを押すと「Indeed」上で応募が完了するといった仕組みです。

応募が完了すると、「ジョブオレ」に応募者情報が上書きされます。よって我々のクライアント企業は、「ジョブオレ」の管理画面を使って、求人にエントリーした方とコミュニケーションをとることができます。つまり、インターネットの世界でいう「遷移」が非常に少なくて済むわけです。また、別ドメインに遷移することがないことで、高いコンバージョンレートが実現できます。

フィードという部分、そして各社と連携している我々のシステムのノウハウ、これが運用ノウハウであり、最大の特徴です。

質問者3:もう1点、お願いします。「前期は予定どおり進まなかった」ということで、OEM代理店や求人広告代理店との提携の中で、とくにOEM代理店が厳しかったと思うのですが、そこが落ち込みました。しかし実際の数字では、求人広告代理店のほうが落ちています。そのあたりに関連して、ダイレクトでの売上と代理店売上の比率など、今後の力の入れ方を教えてください。

代理店に影響を受けると、実質的には御社が営業できないというデメリットがあると思っています。また、基本的にはOEM代理店のほうが中途、アルバイト採用で、求人広告代理店が新卒採用という理解でよろしいでしょうか?

小川:2020年3月期については、おっしゃるとおり新卒採用分野におけるOEM代理店の影響が大きかったです。OEM代理店とは、当社の「pinpoint」という商材を、先方の名称で販売できる権利を持つ代理店のことを指していますが、実は第1四半期に関しては、我々の想定以上に伸びていました。

しかし、先ほどもお話ししたとおり、先方側の都合により2019年8月から昨年末まで、新卒採用分野におけるすべての販売を自粛されました。その中で、当然ながら当社商品の販売も自粛となったことが一番大きな影響になります。こちらについては、2020年3月期の第4四半期から販売が再開されています。

足元においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるものの、少し形を変えてさらに伸びる仕組みを模索しているため、このあたりは逆に、6月くらいから伸ばせる要素として楽しみにしていただければと思います。

一方で、新卒採用分野での取り組みを、アルバイト採用分野や中途採用分野にも広げていきたいと思っています。求人広告市場で一番大きいのは、中途採用の転職市場です。新卒採用分野は切り出すと1,000億円くらいの市場で、市場の構図はおおむね「中途、アルバイト、新卒」という順番なのですが、新卒採用のところでプレゼンスを出せることがわかったため、いよいよ中途採用のところにも本格的に参入していくつもりです。

当社の人員は80名強ですので、ローラーをかけて営業していくのはなかなか難しいのですが、もともとインターネットの会社ですので、しっかりと代理店戦略を取っていきます。

クライアントへのグリップは、代理店がほとんど持っているのが日本の求人市場の特徴のため、OEM代理店、ないしは求人広告代理店とのパートナーシップを強化していく方針です。以上となります。

みなさま、ご参加ありがとうございました。本来であれば、みなさまと直接お会いしてお伝えしたかったところですが、今回はこのようなかたちとなり恐縮でございます。

緊急事態宣言が解除されて、直接みなさまとお会いできる時期が来ることを望んでおりますので、引き続き当社の応援をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。