2020年3月期第3四半期決算説明会
荒井透氏:この度は、納品実態のない取引に対し、株主のみなさま、投資家のみなさまをはじめ、多くのステークホルダーのみなさまにご迷惑とご心配をおかけし、大変申し訳ありませんでした。
また、決算が延期となりましたことを、あらためて深くお詫び申し上げます。本日(2019年3月12日)17時45分に、特別調査委員会の最終報告を踏まえた再発防止策、当第3四半期の決算短信、過年度の修正決算短信を発表させていただきました。
本日は、監査法人さまのアプルーブに少し時間がかかりまして、時間を遅らせていただいています。本当に申し訳ありませんでした。先ほどアプルーブを受け、報告書を受領しておりますので、今回の説明会を開催させていただきます。また、同期間における過年度の有価証券報告書の修正報告については、第3四半期報告書とともに、明日3月13日に提出する予定です。
本不正行為以外の不適切な取引
それでは、資料に沿ってご説明いたします。まず、特別調査委員会より受領した最終報告書についてです。
(2020年)2月に公表した中間報告書では、不正行為の概要および財務諸表への影響が記載されておりました。今回の最終報告書については、28ページまでは中間報告書と同じです。今回の最終報告書では、29ページ以降に、本不正行為以外の不適切な取引、そして本不正行為の原因分析と再発防止策について記載されています。
スライドの3ページをご覧ください。特別調査委員会の最終報告書の29ページから、2ページほどにわたって載っている内容ですが、本不正行為以外の不適切な取引についてご説明いたします。
1つ目に、費用の付替えです。これは、当社以外の第三者を利用して、実案件の原価を架空案件によって調整していたということがわかっています。本取引における影響額としては、売上原価1,500万円を未成工事支出金に振り替えさせていただいております。
2つ目は、約5,400万円の不明金です。これは、落札予定業者さんと調整させていただいて、実案件の原価が合わなかったものですから、別の実案件に付替えるという調整をしたのですが、落札予定業者さんが当該案件を失注してしまいましたので、その調整した金額約5,400万円が宙に浮いたというかたちになります。
それを、元社員Aが、当社以外の第三者を介して、当社の正規な手続きを経ずに検証機器を購入し、利用していたということが発覚しております。本件については、原価性を有しない使途不明の資金流出取引と認められることから、売上原価および未払消費税を特別損失の5,800万円に振り替えております。
特別調査委員会の提言:原因分析と再発防止策
続いて、特別調査委員会から提言された原因分析と再発防止策について、ご説明いたします。少し細かい字で申し訳ありませんが、原因としては大きく2つ挙げられています。報告書では32~47ページに記載があると思います。
1つ目が不正リスクの管理に関する問題点、2つ目がコンプライアンス活動に関する問題点となっています。こちらのスライドに記載されている内容はサマリーです。我々がいままで取り組んできたことは、報告書の中でもそれなりにご評価をいただいていますが、ルールが形骸化している、もしくはコンプライアンス活動が空回りしているというご指摘をいただいています。
そして、再発防止策としては、大きく4つの提言をいただいています。こちらは報告書のページ48~51ページに記載があると思います。1つ目が経営層・幹部層による営業現場の実態把握、2つ目がリスク管理体制の見直し、3つ目が内部統制に関する見直し、4つ目がコンプライアンス活動の見直しとなっています。これについては、後ほどご説明させていただきます。
当社では、特別調査委員会の調査結果、およびこれらの提言を真摯に受け止めて、再発防止策に取り組んでいきたいと思っております。
特別調査委員会の提言を踏まえた再発防止策
5ページには、再発防止策について記載があります。非常に細かくて申し訳ありません。別途、同時に開示させていただいています特別調査委員会の調査結果と今後の対応に関するお知らせというペーパーに記載があるものを、サマリーしたものです。
1つ目は、営業取引に関する基本方針です。前回も少しお話ししていると思いますが、当社グループの付加価値が認められる案件のみを対応するというように、明確に定義し直します。付加価値というのは、我々の独自サービスやソリューションを指すというように、明確に定義します。今後、商流取引については行えないというかたちにしていきたいと思います。
お客さまがしっかり把握できている、もしくはベンダーがしっかり把握できているというように、現物確認と言いますか、しっかりとエビデンスがとれる案件のみを対応するよう、明確に定義し直します。いままでのIT業界にあった多段のビジネスには参加しないと明確に宣言させていただきたいと思います。
2つ目はリスク管理体制の強化です。再発防止策の実行に関する業務ルールの変更を、全社的に進めてまいります。その推進役として、(2020年)4月1日付で、私直轄として営業統括室を新設する予定です。
そして、各部門で期初に自部門のリスク分析を毎年行うということで、「リスク調査シート」なるものを作成して、提出していただきます。リスク管理室がそれを集約して、客観的な視点からその検証と判断を行っていくというやり方に変更させていただこうと考えております。
また、リスク管理活動全般の推進方針や体制を抜本的に見直すということを進めております。弊社では、リスク・コンプライアンス委員会というものがあるのですが、そちらの機能も再調整し、メンバーについても再検討を進めております。コンプライアンスに関する意識強化としては、経営層・幹部層を含む全社員を対象として、それぞれのレイヤーで研修をするということも定めております。
3つ目は業務統制に関する見直しと強化です。営業部門の業務役割を見直し、権限を明確化するという作業を進めています。検収権限というのは、作業に関しては前回の事案の際に、技術の研修がいるという定義にしていたため問題なかったのですが、今回のような物販の、しかも直送になりますと、そのチェック機能から漏れておりましたので、その部分も含めて、発注権限・検収権限を営業部門から切り離すということを明確化してまいります。
また、購買機能を強化するという目的で、購買機能を4月1日付で独立させて、強化を図ることにさせていただきます。なお、通常の仕入購買は、我々が正規に契約をして、取引をさせていただいているベンダーさんとか仕入先以外に関しては、必ず相見積もりをし、その仕入先は購買部がチェックするというかたちに変えます。
「直送」が今回のキーワードなのですが、直送取引は原則禁止とします。ただ、納期の問題や、ライセンス、ベンダーサポートといった、我々が関与しない取引もありますので、そういう場合は商流取引でないことを証明してからでないと手続きができない、もしくはそれに加えて、お客さまの検収をしっかりと受けられるものしか取引ができないというかたちにルールを変更してまいります。
また、今回の問題点の1つである人事ローテーションを長い間行っていなかったという点に関しては、属人化を防ぐために、部門内の担当業務の共有やローテーションの実施を徹底してまいります。
4つ目は、コンプライアンス活動の見直しです。各部門が期初に作成する「コンプライアンスの活動計画」に対して、管掌する役員・幹部が、コンプライアンス活動に関して自らコミットメントを記載するように進めてまいります。また、それをレビューしていくという体制を実施させていただきます。
また、我々はビジョンやミッション、行動指標をまとめた「ビジョンブック」というものをコンプライアンスマニュアルとあわせて持っているのですが、これのリニューアルと更新と浸透を、もう一度徹底していきたいと考えています。これらの再発防止策を徹底して、当社グループ一丸となって信頼の回復と企業価値の向上に努めてまいります。
今回の報告書を受けて、時間軸の関係もありますので、対応できるものから順次対応してまいりますし、今回の反省を踏まえて、それをモニターするということも含めて、実施していく所存です。本当に申し訳ございませんでした。
連結財務諸表への累計影響額の概要
それでは、7ページをご覧ください。業績関連のお話に移ります。まず、(2020年)2月13日および14日に公表させていただいた数値からの変更点です。2点ありまして、売上高が44億円減少していることと、当期利益が5億円減少していることです。
当期利益に関しては、先ほどご説明した不正行為以外の不適切な取引というところの数字です。この当期利益の5億円に関しては、2015年度の事案でしたので、2015年度にて修正しています。
また、44億円に関しては、本調査を進めるにあたり、全件調査を実施しており、この事案とは直接関係はないのですが、当社にとって付加価値が見出せない取引も洗い出しておりまして、その部分を総額取引から純額取引に変更させていただきました。これにより、受注高・売上高を、この変更する会計年度のなかで44億円、当上期で14億円変更させていただいております。総額から純額取引に切り替えておりますので、営業利益にはインパクトはございません。
各連結会計年度の訂正の概要
8ページは、いま申し上げた内容を盛り込んで、細かいですが、各年度の訂正の概要を数字で記載させていただいたものです。これは、過年度の訂正決算短信をそれぞれご覧いただきますと、この数字が記載されているかと思います。
2020年3月期 第3四半期(10-12月) 業績概要
続きまして、当第3四半期の業績概要をご説明いたします。(スライド下部に)注記で記載しておりますが、当期および前期の数字は、いずれも修正を反映したものです。このページ以降についても同様に修正を反映しております。
(スライドの)赤枠が当期の数字です。(2020年)2月14日に発表した数字との変更点は、当期利益について、特別損失を上期に計上させていただいておりましたが、それに対する法人税の精査を行った結果、当期利益が3億5,000万円減少しております。変更点はこの点のみで、他にはありません。
全般的には、継続してセキュリティ対策、クラウド基盤ビジネスは順調に推移しております。ただ、受注が大きく増えている主たる要因は、パートナー事業で第4のキャリアさま向けの案件受注が115億円あったことです。
2020年3月期 第3四半期累計(4-12月) 業績概要
第3四半期累計の業績です。(スライドの)赤枠が当期の累計の数字です。受注高・売上高ともに、公表させていただいた数値から、先ほど申し上げた14億円が減額されています。総額取引から純額取引に変更した部分を反映しています。また、先ほどお話ししたように、当期利益は予想数値から税金計算を再度行った結果、3億5,000万円減少しています。
マーケット別 受注高・売上高・受注残高
マーケット別の受注高・売上高・受注残高です。上から順番に説明します。まず、紫色がエンタープライズです。セキュリティ対策、クラウド基盤、働き方改革といった部分、およびスマートファクトリーのビジネスが順調に推移しています。前年同期比で増加傾向が続いております。
緑色が通信事業者です。サービス基盤ビジネスを中心に進めておりますが、堅調に推移しています。赤色がパブリック市場です。注力市場として、ヘルスケアや、スクールシステムと呼んでいる教育関係、また、自治体のセキュリティ対策やクラウド基盤が引き続き堅調に推移しています。
青色がパートナー事業で、ここも引き続き順調に推移しております。ただ、先ほど申し上げたように、第3四半期に第4のキャリアさんの5G案件が、受注高で115億円、当期の売上高で17億円加算されています。これによって成長しているというのが主たる要因です。
商品群別 受注高・売上高・受注残高
商品群別のグラフです。上から順に見ていきますと、割合的には機器が増えていまして、サービスの受注高は減少しています。第4のキャリアさんの大きな受注があったために少しバランスが崩れていますが、売上ベースでは数値的にも着実にサービスが成長しております。
セグメント情報
13ページは、上段が当期、下段が前期のセグメント情報になります。エンタープライズ市場とパブリック市場は、売上高と売上総利益率が改善していますので、セグメント利益が増加しています。パートナー事業では、売上高は増加して、セグメント利益が増加するという傾向が続いております。
通信事業者市場は、売上高は同水準でしたがが、第1四半期・第2四半期の決算の時にもお話しさせていただいたとおり、以前導入した機器のリプレイス案件で、機器販売ビジネスが少し多めに出ておりますので、かたちとしては利益が減少しているように見えています。
為替レート等
為替レートは、第3四半期は109円でした。1株当たりの当期利益は63円51銭となりました。従業員数は、前年同期比で133名増加の2,449名となりました。
(スライド下部の)注記に記載していますが、連結子会社の増減がありましたので、非連結子会社の出向や、今回連結を除いた部分を換算すると、従業員数は2,293名となり、(前年同期比で)多少減少という数字になっています。
2020年3月期 通期業績の見通し
続きまして、2020年3月期の通期の業績についてご説明いたします。(2020年)2月14日に公表した数字からの変更はなく、この数字でがんばっていきたいと思っております。事業環境は引き続き良好に推移していると判断していますが、事案の関係を織り込んでこの数字をつくっております。ただ、新型コロナウイルスの影響もありますので、それを少し説明させていただきたいと思います。
受注は、事案関連で影響を受けた額が、本日時点でわかっている範囲で15億円ほどマイナスです。そのうち7億円ほどがロストしており、残り8億円はスリップというかたちになっています。
また、事案関連の売上ベースでは、4億5,000万円ほどマイナスになっています。そのうち2億円はロスト、2億5,000万円がスリップというかたちで見えています。その程度の影響度です。
一方、新型コロナウイルス関連でけっこう動きがありまして、受注ベースで言うと、14億円ほどのマイナスインパクトがあります。売上ベースでも16億円ほどのマイナスインパクトを現在想定しております。これはすべてスリップになります。
とくに、売上ベースのスリップですと、来期の第1四半期等ではなく、オリンピック後に再始動といった話も出てきています。今後、そのあたりの話がもっと詰まってくると思いますが、大きな影響が出ています。
ただ、受注・売上とも、新規案件やリカバリー案件、来期の予定を今期に倒している案件なども出てきていますので、受注全般でいくとマイナスは29億5,000万円ほどですが、25億5,000万円ぐらいリカバリーできると思っていますので、だいたい4億円ぐらい、我々の計画からショートするようなイメージで進むだろうと思っています。
一方、売上高に関して言うと、トータルで20億5,000万円ほどのインパクトがあると想定していますが、リカバリーが8億円ほどありますので、マイナス12億5,000万円ほどの影響があるかなと、現時点では考えています。(期末まで)まだ2週間ほど日にちがありますので、この先もう少し変化するとは思います。
また、新型コロナウイルス関連ですと、受注も増えております。テレビ会議のライセンスの増加やVTIのライセンスの増加、インターネットアクセスの増設、外部からの接続のサーバーの増設という案件が日々増えており、それらの対応も入ってくる予想しておりますので、少し出入りがあると思っています。
全般的に申し上げると、事案がらみ、および新型コロナウイルスがらみで想定すると、受注高は想定しているものに近い数字は達成できるのかなと思っておりますが、売上高に関しては、前回(予想時に)少しアップしましたが、少し苦しいかもしれません。ただ、営業利益に関しては、開示させていただいている数字は達成できると現時点では考えております。
中期経営指標
中期事業計画の数字目標についても、変更せずに進めていくということで、前回発表させていただいたとおりに進めていきたいと思います。2021年度の営業利益210億円、営業利益率9.5パーセントという数字を目標に進めていきたいと思います。
ただ、来年度の第1四半期・第2四半期までかかるかどうかわかりませんが、新型コロナウイルスの関係で少しスローな進み方になるのではないかなと現在は予想しております。ただ、お客さまと話している感じでは、来年度通期では実行されるというお話がすごく多いですので、少しシーズナリティは出るかもしれませんが、通期の予想は達成できるのではないかなというのが、現状の予測です。説明は以上となります。
大変ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。我々のマーケット環境はよいとは言いながらも、今後このようなことが起きない、起こさない、また、起こさせないという方針で事業を進めていくとともに、お客さま、みなさまの信頼回復に努めていきたいと思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。