2020年3月期第2四半期決算の概要
枝廣弘巳氏:それでは私から、第2四半期の決算の概要についてご説明いたします。
第2四半期の特徴としては、まず、製品価値に見合った単品単価交渉と、顧客支援システムの普及促進への継続的な取り組みをしたことが挙げられます。
次に、がん治療薬などの新薬、スペシャリティや希少疾病用医薬品の売上が伸長し、3つ目として消費税引き上げに伴う薬価改定により、駆け込み需要が発生いたしました。
以上により、売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益のいずれも、期初計画を達成することができました。
また、10月24日に、第2四半期の業績予想の修正を出し、12月7日に通期の業績予想の修正を発表いたしました。
東邦HD 連結 P/L
数字に関しては、みなさますでにご覧になられていると思いますが、表の左側が昨年の9月期の実績、緑色の部分の左側が今期の期初の計画で、右側が実績でございます。一番右側にあるオレンジ色の部分が、通期の期初計画でございます。
9月までの実績については発表のとおり、売上高が6,340億5,000万円、売上総利益が567億6,000万円、販管費が488億3,900万円、営業利益が79億2,000万円、経常利益が109億5,100万円、四半期純利益71億が2,100万円となりました。対計画達成率を見ますと、すべての項目で達成しております。販管費は100パーセントを下回れば達成ですので、すべての項目で達成することができました。
前年同期比では、販管費だけが前年をオーバーしていますが、ほかは大変いい内容で着地できました。
東邦HD 連結 B/S
B/Sに関して特徴的である、現預金の減少が買掛金の減少は、2019年3月末が休日だった関係でございます。売掛金が増加したのは、9月の仮需等によるものです。
1年以内の償還社債である46億1,500万円は、今年の12月に償還を迎える第1回目のCBの株式転換が進んでいる、という状況でございます。
繰延税金負債や投資有価証券の35億8,900万円の減少は、3月末と9月の株価の違いで、繰延税金負債もそれによるものでございます。
医薬品卸売事業 P/L
これが医薬品卸売事業でございます。ホールディングスと同じで傾向となり、売上高、売上総利益、販管費、営業利益、すべての項目で達成できました。販売管理費については、前年より少しオーバーはしていますが、計画は達成することができました。
ここに書いてあるように、取扱卸限定の商品は、昨年度の9月は397億円でしたが、今年の9月末は509億円となり、110億円ほど伸びることができました。私どもを選んでいただいたメーカーさまの製品が、売上が大きくなってきていることがおわかりいただけるのではないかと思います。
調剤薬局事業 P/L
調剤薬局事業は、売上高が477億1,400万円、売上総利益が165億1,000万円、営業利益が13億5,800万円となりました。これも計画はほぼ達成しましたが、販管費だけが計画を少しオーバーしてしまいました。
前年同期比ではみんなよく見えますが、販管費はマイナスとなっています。マイナスののれんなどが影響し、149億円の計画値を少しオーバーしてしまっています。
店舗数は連結で542店舗でございますが、去年の9月が530店舗でしたので、12店舗ほど増えております。
9月の決算内容については以上でございます。
(1)流通改善への取り組み
馬田明氏:それでは、私から4点ご説明いたします。流通改善ガイドラインの取り組みに関しては、昨年の9月からしっかり取り組んできております。
この下期も上期同様、しっかりガイドラインを順守した営業活動を行っていきます。とくにこの10月以降、(薬価の)改定に伴い、お得意先さまとは再交渉の機会が多くなると思いますが、単品単価の道をしっかりと続けていきたいと思っております。製品価値に基づく単品単価をオンコストできるように、価格ロックシステムを引き続きしっかりと運用していきたいと考えております。
(1)流通改善への取り組み:カテゴリー別の状況と妥結率
カテゴリー別の状況と妥結率です。ご覧のとおり、新創出加算対象品が32.9パーセントから32.2パーセントとなり、特許品・その他が35.7パーセントから39.9パーセントとなっております。長期収載品が相変わらず減少しており、ジェネリックについては微増という状況でございました。
妥結率については、金額ベースで99.7パーセントとなり、軒数ベースでは一応100パーセントの妥結率となっております。
(2)販売情報提供活動ガイドラインへの取り組み
メーカーさんがメインということで、卸もしっかり準じて、販売情報提供活動ガイドラインへの取り組みを行っていきます。我がグループも正式に、ホールディングスにグループ・リスクマネジメント室を設け、卸事業と調剤事業を進めていきますので、しっかりと管理をしていきたいと考えています。また、東邦薬品をはじめとする販売各社に販売情報監督室を設置しましたので、今はそういう体制でスタートしています。
活動内容はスライドにあるとおりですが、今後の体制整備については、手順書の整備と、従業員の教育・評価になります。一部動きながらになりますが、ネット環境を使うなどしてさまざまなところでしっかりと従業員の教育をしていきたいということと、苦情窓口についてはホームページでしっかりお受けすると体制を今準備しているところでございます。
(3)最適配送回数への取り組み①
こちらが今日みなさんに初めてお話しする内容になります。私たちが配送回数などの軽減を目的に、ENIF本部という名称で取り組んできたシステムですが、これを「ミザル」という名称に変更いたします。この「ミザル」は大熊座の恒星の二重星で、お互いの星が引力で引き合って軌道を描いていくことから、「業務の協力なパートナーとなるシステム」という意味と、「東邦がお客さまの強力なパートナーとして共に歩んでいきたい」という意味を込めています。語源はアラビア語と私はうかがっておりますが、そういうことで「ミザル」という名称に変更しております。
(3)最適配送回数への取り組み②
「ミザル」の現状はどういうふうになっているかは、こちらをご覧のとおりです。導入件数はすでに2,000件を超えており、今目標にしている5,000件に向かって走っております。
少しおさらいになりますが、この本部システムの特徴は、なんといっても処方データに基づく自動発注機能にあり、ほかにも、納品データによるオンライン入庫機能と、分割品の発注設定機能、余剰在庫品の自動登録と、私どもが持っているENIF棚卸と連動した棚卸機能があります。
お得意先さまの導入効果については、適正在庫量を持つことによる欠品のリスクの軽減と、薬剤師さま本来の業務への時間配分があり、働き方改革も踏まえてご支援をしたいと考えております。
(スライドの)下の段が、「薬局共創未来」の7,186法人、2万192店舗のグラフでございます。グループ薬局を除く、加盟薬局の「ミザル」導入数が1,199店舗となっています。前回もお話ししているとおり、私どもの共創未来ファーマでしっかりとした実証実験を重ねており、すでに週1回から週2回の配送が60パーセントを超えるレベルまで実証実験できております。業務改善に繋がる「ミザル」を、今後より一層幅広いお得意先さまへの導入を図っていきたいと考えております。
(4)顧客支援システムの更なる拡大
(このスライドは)顧客支援システムの今期の計画でございます。当初計画は59億円でしたが、下期は顧客支援システムの部分を2億円増やし、61億円という計画に修正しております。
顧客支援システムの伸びについてはのちほど述べますが、「ENIFvoice」や「初診受付サービス」、私たちの新規開業支援など、さまざまな分野が顧客支援システムのなかで進捗していますので、このようにしております。「Meissa」のプロモーションについては、引き続き年間25億円ということで、下期も活動してまいります。
(4)顧客支援システムの更なる拡大:音声認識技術の進化
私たちの顧客支援のなかで、音声認識を使った仕組みの変化についてでございます。これは2004年のコールセンターから、とくに濱田会長の音声認識の普及ということで、このようにさまざまなメニューが進化をしてきました。
2017年の「ENIFvoice SP+A」からはクラウド型に、「ENIFvoice Core」で一体型の一元管理になりました。薬局にとどまらないさまざまなフィールドでの展開を推進と書いてありますが、音声認識のなかで、調剤薬局さまだとか薬局さまにほぼ入ってまいりましたが、例えば医療機関のみなさん、とくに病院さまがいわゆるドクターの働き方改革や業務効率化を求めているということで、少しニーズが広がってくるのではないかと考えております。
医療機関の場合ですと、私どもは外来の薬剤部のニーズや、お医者さまのレセプトの入力、看護師さんも広がると思っております。そういう話をしていくと、今度はリハビリ等でいわゆる理学療法士さん、言語聴覚士や作業療法士のみなさんについても、音声認識でしっかり管理・レポート作成ができるのではないかと考えています。
こういう繋がりから在宅や地域ネットワークにどういうふうに繋げていけるのかが、今後の課題になるのかなと考えております。
(4)顧客支援システムの更なる拡大:病院なび&初診受付サービス
「病院なび」に関しては、掲載医療機関数が22万軒となっており、直近の「病院なび」を見ていただいている方は約1,600万人弱となっております。「病院なび」から「初診受付サービス」に予約していただくのですが、これも今11,031軒の施設数で契約をしており、30,000軒を目指して活動しています。
10月の実績は54,110人となっており、9月は60,000人を超えていたということですので、年間で70万人ぐらいの方が「初診受付サービス」をご利用いただいているということです。病院を選ぶ際に参考にしている情報だと、ホームページからということですが、さらに人数を拡大していきます。
私どもはお得意先さまのホームページ作成のお手伝いをしていますが、これもすでに20,000軒を超えてきており、圧倒的にホームページから初診受付に入る件数が多いですので、よりホームページの充実のお手伝いをしていくということです。
あとはいろいろありますが、病院検索サイトが33.2パーセントという状況でございます。
(4)顧客支援システムの更なる拡大: Future ENIF
「Futere ENIF」も前回お話ししたかもしれませんが、今年の9月にリリースいたしました。一部アナログ回線の問題(を改善し)、インターネット回線に対応、携帯回線を内蔵して、高速通信・大容量に対応するかたちになっています。
システムの自動更新や、二次元バーコードスキャナ、GS1コード対応、棚卸機能がより便利になる機能などを搭載しておりますので、こちらも随時切替を推進していきたいと思っております。
私からは以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
(5)共創未来ファーマ製品の拡充とジェネリック医薬品の集約化①
有働敦氏:それでは私から、共創未来ファーマを含めたジェネリック事業についてご報告いたします。
共創未来ファーマは、高品質・高付加価値のジェネリック医薬品の安定供給ということを毎回お話ししており、ここを最大のテーマとして取り扱っております。富士フイルムファーマからの移管を受けて、10月末現在で75成分162品目まで拡大してまいりました。
今年の6月には「シロドシン錠」を発売いたしました。こちらも前回お話しさせていただきましたが、私どもの製品をスズケンさんの子会社である三和化学さんが併売し、両社で市場の拡大を図っているところでございます。
今後もTSファーマとして、規模のメリットを出していくことを両社で合意しておりますし、現在は、両社で同じ推奨品を扱っていくことを検討する段階に入ってまいりました。
今年の9月には「カルボシステイン錠」を発売いたしました。こちらは先発品が「ムコダイン錠」と、だいぶ古いお薬ではありますが、実は既存品がまだ集約できていないのが大きな課題でございます。
今年の12月には「プラバスタチン錠」、これも「メバロチン錠」ですが、こちらを共創未来ファーマとして発売することになっております。これから集約が進んでいない既存品のいわゆる共創未来化を進めて、さらにグループ内の集約化をスピードをもって進めていきたいと思っております。
おかげさまで468大学病院・大病院が共創未来ファーマをご採用ということで、私どもの品質と自社で試験をしていることを非常にご評価していただいて、大きな病院さまでも採用が進んでいる状況でございます。
第4四半期の実績については、26億5,000万円まで売上が伸びてまいりまして、前年同期比で150パーセント程度のアップでございます。こちらに少し書かせていただきましたが、10月の売上で見ますと、すでに5億円を超えてきており、毎月売上が増えていますので、来年はぜひ100億円をクリアしたい、というところまで見えてきております。
第4四半期の実績については、26億5,000万円というところまで売上が伸びてまいりました。前同比で見ますと150パーセントアップ程度ということでございます。こちらに少し書かせていただきましたが、10月の売上で見ますともう5億円を超えてきているということで、毎月売上が増えてまいりまして、来年はぜひ100億円をクリアしたいというところまで見えてきているという状況でございます。
(5)共創未来ファーマ製品の拡充とジェネリック医薬品の集約化②
今、ちまたではいろいろと回収問題が増えているなかで、品質と安定供給とが求められているということをあらためて感じており、共創未来ファーマとしては、すべての製品について品質試験を実施しております。
試験項目として、①②③と書かせていただきましたが、まずは異物、類縁がどうなっているかもすごく重要視しておりますし、溶出性の試験や定量法の試験も同じく重要視しています。
試験では、70点が合格ラインだとした時に、70点と90点で合格した人の中身は違うだろうという感覚を持ちながら、我々は90点以上の合格点のものを、これからも扱っていきたいと思っている次第でございます。
全品目で実施すると、正直言ってコストはかかってしまいます。ただ、コストがかかるからやめようということではなく、しっかりとコストをかけてでも、一品一品を高品質で管理していくことが、今増えている回収問題などを含めて大きな役割が果たせればと考えております。
スライドに写真を掲載しましたが、こういう機械を自社ですべて取り揃えてやっております。
(6)社会的使命を果たすための物流イノベーション:ダイナベース
来年稼働を予定しているダイナベースの途中経過をご報告いたします。総合物流センターとしてできる限り商品群を集約し、ワンストップの供給を目指すということで、検査薬等も含めてこちらから供給できればと考えております。災害や水害が非常に多くなってきている今日この頃でございますが、有事の時に大変大きな役割を果たせるのではないかと考えております。
もう1つは、少し将来のことを考えながら、共同配送やほかの異業種とも一緒にできるような設計にして動かしていただいております。そういう意味では将来どういうかたちにでも変化ができるように、臨機応変に作り上げていきたいということで検討を始めております。
また、下にピッキングロボットとありますが、TBC埼玉からはじまって昨年のTBC広島、来年稼働するダイナベースと、ロボットもだいぶ進化してまいりました。
小さくなってきていることもありますが、非常に難しい動きも柔軟にこなせるようになってきており、今回ダイナベースでは、自動化率90パーセント以上を目標にしております。
少子化で働き手が足りずに非常に苦労している物流センターも多いですが、このことが実現できれば、そういうところをロボットに任せて、正確性などを非常に高いものにできると思っております。
(7)調剤薬局事業の機能強化
こちらが調剤薬局事業でございますが、ICTを活用した服薬情報の一元的管理や、地域の連携薬局として今必要なことを進めている状況でございます。
例えば、現在進んでいるのは、LINEとの連携や処方箋を送信する仕組みの「送信くん」などがかなり普及してまいりました。LINEでは、すでに4,000人を超える患者さんに登録いただいて、いろいろな情報提供を始めている段階まできております。
専門医療機関・連携薬局では、高度薬学管理機能を有する薬剤師の育成のため、大学病院・大病院にご協力いただき、20人から30人ぐらいのファーマクラスタの薬剤師さんが研修に入るということも進めております。そういうことによって、専門性が高い薬剤師さんを育成していきたいと考えております。
先ほど馬田からありましたが、「ミザル」や「ENIFvoice SP/Core」の顧客支援を使っております。これが入っている(だけの)店舗と、活用している店舗の間には、意外と温度差がございます。ですので、グループ内では少なくともこれを中心に使って効率化を図っていきたいと思っておりますし、これを使うことによって、クラウド上にいろんな情報が集まってまいりますので、そういう情報をビッグデータとしても活用していきたいと考えております。
また、これも大きな動きだと思っておりますが、『調剤業務のあり方について』ということで、7月2日に厚労省から通知が出ておりますが、薬剤師以外の者に可能な業務が移管できることになりました。
各薬剤師会のみなさまなどからもそうですが、「どういうかたちで進めていけばいいか」というお問い合わせが非常に多かったです。ですが、「薬局共創未来」の人材育成機構が私どもにはございますので、いわゆる非薬剤師の方々にきちっとした研修を受けていただいて、合格した方がその業務にあたれるeラーニングを作るという展開を始めております。
東邦HD連結 2020年3月期見通し
ここからは、この下期の見通しをお話しいたします。
11月7日に通期計画の修正を発表いたしました。売上については1兆2,670億円、営業利益については171億円、経常利益については240億円、当期純利益については152億円となっており、売上については440億円の増でございます。
営業利益については21億円増、当期純利益については16億円増と、計画を上方修正いたしましたが、もともと期初に予定をしていた下期計画とほぼ同額のものでございます。
9月に仮需がうんぬんというお話がございましたが、我々が試算したところ、1.5パーセント程度の影響はございました。ただ、1.5パーセントでございますので、この下期は当初予定していた計画を、きちんと汗をかいて達成したいと決意しております。
この下期も、しっかりと当初計画したものを仕上げるということで、グループ一丸となって取り組んでいきたいと思っております。
医薬品卸売事業 2020年3月期見通し
医薬品卸売事業は、1兆2,180億円の売上目標に変更しており、増減額は420億円の増加でございます。営業利益については171億円で19億円の増、当期純利益については147億円で12億円の増と、こちらの計画もほぼ期初計画どおりでございます。
調剤薬局事業 2020年3月期見通し
調剤薬局事業もほぼ下期計画どおりでございます。売上高は954億円で、16億円の増となっており、営業利益については31億円で2億円の増となっております。我々は先ほどお話しさせていただいたように、顧客支援システムはおかげさまでかなり浸透してまいりました。
こちらは一件一件の積み重ねではありますが、実は多くの製品が毎月のいわゆる 保守料や使用料で、課金をいただけるような仕組みになっております。これが毎月積み上がっていきますので、今期に何件というよりは、これまでに入ってきた部分のすべてに対してその金額が入ってきます。先ほど顧客支援の計画を修正していますが、そういうことも含め、我々はまず顧客支援をしっかり行って、今期を仕上げていきたいと思っております。
また、我々が独占販売をしているメーカーさまの製品が、この下期もかなり伸びるという予測をしていることもございまして、下期にしっかりと計画を仕上げて、上方修正させていただいた数字をこのしっかり3月に仕上げて、またみなさまにご報告できればと思っております。
配当について
もう1つ、肝心なものがございました、配当金でございます。こちらは今期は持株会社移行10周年記念配当として5円を入れて、中間期で20円・期末で20円、年間で40円という配当をできるように、しっかりとがんばっていきたいと思っておりますので、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
以上でございます。