連結業績概要
吉田昭夫氏:みなさんおはようございます。イオンモールの吉田でございます。本日はご多用のところ当社の決算説明会にご参集賜りまして、本当にありがとうございます。
当中間期業績は国内事業、海外事業とも好調に推移した結果、営業収益・各利益とも公表計画を超過達成し、中間期での収益・利益とも過去最高となりました。
2019年度より中国、アセアン事業においてIFRS16号が適用となっていますが、適用前のベースでも営業利益は前期比の107.7パーセント、経常利益は108.1パーセントと、伸長しております。
スライド3ページ左下に財務指標を記載しております。IFRS16号の適用により悪化したように見えますが、その影響を考慮しますと、従来の水準を維持しています。
セグメント別営業利益
セグメント別営業利益の状況です。国内事業ではモールが堅調に推移し、都市型ショッピングセンターの減益分をカバーして、国内事業全体では増益となりました。
都市型ショッピングセンターの赤字幅が前中間期比で拡大していますが、これは現在、活性化店舗の営業機会ロスが出ているためです。
既存モールの売上は前中間期を上回って推移しており、下期は活性化効果で改善を見込んでいます。
海外事業は中国・アセアンとも好調に推移しており、それぞれ計画を超過して進捗しています。中国事業は前中間期では赤字でございましたが、当中間期は30億円と黒字化いたしました。
IFRS16号適用による影響を除きましても8億円増益して6億円と、高い成長を確保しております。
アセアンも、カンボジア・ベトナム・インドネシアの3国とも増益幅を拡大し、営業利益は13億円となりました。海外事業においてはモール数の増加にともない、営業キャッシュ・フローが拡大しており、当社の成長を牽引するドライバーとして2019年度より本格的に利益貢献するステージに入りました。
海外 業績推移
海外事業の売上状況です。中国、アセアンとも専門店売上は巡航速度で2桁水準の成長が継続しています。
その要因といたしましては、潜在成長力の大きい立地への出店、そして日本で養ったオペレーションノウハウがあります。
消費環境、社会福祉対応など、日本と同等のモール環境を創出し、日本と同等のオペレーションを実行したことにより、計画的な専門店入れ替えもできております。このリニューアルにより成長を持続しています。
海外 既存モール専門店売上前期比
中国において、この中間期は4モールをリニューアルオープンいたしました。急速に発展を続ける中国においてはマーケットの変化が早く、それに対応するために専門店との契約は3年で設定しております。
早いサイクルで旬のテナントへの入れ替えを促進し、モールの鮮度を維持し、進化させていくということであります。
海外 中国 2019年度既存モールリニューアル
新規オープンとしては、2019年6月に江蘇省5号店としてイオンモール常熟新区をオープンいたしました。当モールは、最新のデジタル技術を活用した新しい買い物と発見を提供することをテーマといたしました。
デジタリゼーションが非常に進捗している中国において、このようにデジタルを使った充実したサービスや、利便性の高い機能がお客さまの支持を受けておりまして、現在売上は計画を上回って推移しています。
海外 アセアン 2019年度既存モールリニューアル
アセアンにおいては、2019年6月にベトナム1号店「タンフーセラドン」を増床リニューアルいたしました。このモールは2014年の1月にオープンしましたが、想定以上にマーケットが大きくなってきており、オープン後5年でさっそくの増床となりました。
この写真でお分かりになると思いますが、消費、娯楽に対する非常に旺盛な要望がありまして、それに対応するためのコンテンツ(を追加しました)。そして専門店を80店舗増加し200店といたしました。
駐車台数は車を2,000台分、バイクにおいては1万台分を準備させていただきまして、来店客増加を支えるインフラとなっています。おかげさまで売上は2倍を超えて推移しております。
日本 既存79モール専門店売上前期比
国内事業です。国内消費マーケットは告知のとおり少子高齢化やEコマースマーケットの拡大、そしてお客さまの消費行動の変化により、大きく変容しているわけであります。
そのようななかで、商業施設の淘汰が進展しております。当社はショッピング機能に加え、さまざまな機能を付加することによりモールの魅力、そして集客力効果の向上につなげていきます。
また、マーケットを拡大したり、深堀りした施策と連動させています。前期より強化した増床リニューアルの効果、各モールにおける「ハピネスモール」の取り組みなども定着してまいりました。
専門店売上は既存で前期比102.5パーセントと、プラスで推移しております。
日本 既存79モール専門店売上前期比(業界比較)
ご覧のグラフですが、当社の既存モールの専門店売上は、SC業界や他業態の伸びを上回って推移しております。
とくにゴールデンウィーク、お盆といった大型連休の物販に加えて、飲食、アミューズ、レジャー機能を併せ持つ当社ならではの集客の安定性を持っており、競合他社と比べても突出した伸びとなりました。
日本 2019年度既存モールリニューアル
大型連休のゴールデンウィーク前に「イオンモール東浦」「イオンモール名取」「イオンモール沖縄ライカム」の3モールの増床を実施いたしました。3モールとも好調に推移しておりますが、とくに「イオンモール東浦」は、オープンから20年を経過したモールでした。
当時からマーケット、お客さまのニーズが大きく変化してきたわけですが、今回はそのニーズの掘り起こしをして、とくに飲食・食物販ゾーンについてはまったく違う場所に新たに新設し、さらに拡大したといったことが客数に大きく貢献しまして、現在は約2倍近い売上で推移しています。
また、活性化として、9モールで大型リニューアルを実施しました。前期に増床リニューアルした8モールを加えた19モールを検証してみますと、専門店売上は106.7パーセント増で推移しており、増床活性化等の手をかけないものと比較しますと、5.8パーセントほどの効果がでています。
日本 都市型ショッピングセンター事業
次に、都市型ショッピングセンター事業です。2つほどの重点施策に取り組んでいるわけですが、そのうちの1つとして、こちらも活性化に注力しております。2018年、2019年と、かなり手をかけております。
全体の数値としてはまだ改善途上と言わざるを得ませんが、活性化効果は徐々に出てきておりまして、既存店売上で見てみますと、前期比の103.9パーセントで進捗を始めました。アパレル中心をいかに脱却し、ライフスタイル型へ(移行するか)ということであります。
当中間期は「湘南藤沢オーバ」「横浜ビブレ」などのモールに、飲食、ドラッグ、雑貨などといった今までとは専門店構成を変えた店を導入し、リニューアルしております。
もう1つ、所有形態の変更を行いはじめております。戦略的なスクラップ&ビルド、管理・運営のスキーム変更による利益改善です。
2019年8月29日にリリースさせていただきましたが、OPAが出店している「横浜ワールドポーターズ」のデベロッパーである横浜インポートマートを子会社化いたしました。筆頭株主である横浜市が、民営化へ移行することを目的として開催した公募入札にて当社が落札し、合わせてほかの株主さまからも株式を取得したものです。
従来は、我々は全体のなかの一部を運営していましたが、今回の取得によって「横浜ワールドポーターズ」全体を一括運営・管理することができます。よって、今後は施設全体の大幅リニューアルを計画し、収益拡大に繋げていきたいと考えております。
日本 ローカリゼーションの推進
次に、運営のソフト部分です。この「ハピネスモール」に取り組み始めて4年目になりますが、ローカリゼーションの視点に基づき、エリアごとにそれぞれのお店が個性ある取り組みを進めるようになってまいりました。
各モールにおいては、企業さま、教育機関さま、行政さま、地域団体さまと、文化・歴史、産品などのさまざまな分野でコラボレーションを図り、ちょうど5年目になります。
スポーツ省の新たなプロジェクト「Sport in life」と協調し、我々も全国のモールで「モールdeスポーツ」を実施したりしております。
日本 地域コミュニティ機能の強化
もう1つの視点として、地域防災拠点としてのインフラ機能を担うのも重要な使命となってまいります。地域行政と連携して、一時避難場所や災害支援の復興拠点となる役割を担っております。
直近では、2019年9月の台風15号の時に関東地区で大きな被害が出ました。千葉県で非常に長期的な停電が起きたわけです。我々はそのエリアに「イオンモール木更津」「イオンモール富津」を持っております。
東京電力様をはじめ、応援部隊で中部電力さま、九州電力さまなど、いろいろなところから作業車がまいりました。その際に、約700台の駐車場を待機場所として提供しました。当社の会議室は対策本部となりました。
そして、我々は緊急用給水設備を持っているので、そちらを開放し、地域のお客さまにお水も提供させていただいております。このような地域インフラ、そのなかでも災害対応は我々の施設の重要な役割となってきています。
もう1つ、リアルモールでしか実施できない取り組みとして、地域のお客さまの健康促進を目的とした医療法人との連携も進めています。
また、地方統一選挙や国政選挙における投票所の設置など、生活、健康を含めた地域インフラとしての役割もプラスしております。
ESGの取り組み
以上で申し上げた取り組みは、ESGにおけるS、いわゆる社会面での取り組みでありますが、当社の環境面での取り組みについても、おかげさまで外部より高い評価をいただいております。
商業施設の枠組みを超えて、行政・コミュニティ機能、防災拠点、楽しいエンターテイメント機能を併せ持つ地域社会のインフラとしてモールを進化させていきたいです。
また、環境保全のための取り組みや啓蒙活動も行なっていきたいです。そして、ESGを核とした成長の取り組みを進めてまいります。
海外 新規モール
今後の取り組みについてご説明を申し上げたいと思います。
まず海外事業であります。2019年度末で中国21モール、アセアン9モールの30モール体制となります。当社が出店をしているエリアは、人口増加と都市化により所得水準及び消費水準が劇的に増加しているエリアであります。
これまでは本社機能の拡充、物件開発などに投資コストを先行させておりましたが、モール数が非常に拡大してきたため、2018年には海外事業全体で黒字化を実現し、当期より当社の成長を牽引するステージに入ってきたところです。
中国を見てみますと、ちょうど3~4年を経過するモールが増えました。先ほど3年で賃料を改定すると申し上げましたが、いわゆる賃料改定、テナント入れ替えのタイミングを迎えるモールが増加してくる時期になっています。ここで計画的なリニューアルを推進し、GDPの成長以上の伸びを各モールで維持してまいります。
アセアンでも各モールでGDP成長率を上回る成長が続いておりますが、アセアンは非常に経済成長が著しく進展しており、併せて平均年齢が若く、これから人口ボーナスを享受できるステージになってまいります。
ベトナムやカンボジアをはじめとして、近代的な商業施設の導入はこれからという国ですので、ここは将来に向けてのマーケットシェア確保を今から行うためのエリアだと位置付けております。
海外 既存モールリニューアル
海外モールの収益構造について少しご説明します。営業収益は売上増加にともなう歩合家賃収入、いわゆる賃料改定で伸長する一方、営業原価の大部分は不動産コストであるため、コストはほぼ一定で推移いたします。
専門店は先ほど申し上げたように、満了となる3年以降も逐次活性化を行っていくことで利益改善が見込まれ、だいたい7年から8年でほぼ日本のモールと同水準の利益が創出されるモデルであります。
海外 成⻑モデル
ご覧の投影資料の下段に、2018年度の既存モールの営業収益と営業総利益の実績を記載しました。1モールの平均営業収益の増収額は1億3,500万円、増益額は1億3,900万円でした。
既存モールの営業収益の伸びが営業利益に直結することが、ここでお分かりいただけると思います。
日本 既存モール活性化
次に国内事業です。消費増税前となる2019年9月に「イオンモール高岡」を増床リニューアルして、当モールは北陸最大級となりました。 これも2002年にオープンしたものですが、増床リニューアル以降、今までの商圏以外に都道府県全域そして隣接する石川県など、現在は広域から集客しているところです。
増床間もない数値であり、オープン景気ということもありますが、賃貸面積30パーセントの増加に対して専門店売上は前期比で2倍近く進捗しています。
増床は、非常に効果が高い取り組みと言えると思います。
日本 消費税増税への対応
次に消費税についてです。10月1日に増税となりましたが、この対応について少しご説明したいと思います。
増税前はイオングループのインフラでもあるイオンカードやWAONを活用したポイント還元、キャッシュレス推進の取り組みをグループ全体で進め、併せて駆け込み需要が見込める業種ごとのセールスも打ちました。
増税実施以降の対応としては、2014年の経験を活かしまして、戻りの早いレストランやフードコートなど、飲食店を対象にキャンペーンを開催しています。WAON POINT5倍キャンペーン、還元率2.5パーセントであるため、増税分をWAON POINTで還元するといった取り組みを約1ヶ月間継続して、レストラン・飲食ゾーンで展開します。これはモール全体の客数を維持していくという施策です。
もう1つ、最近になってようやく気温が下がってまいりましたが、10月以降は秋冬物商材に切り替わるタイミングです。ここで消費を喚起するセールスを展開し、一気に取り戻していくという、商材の変わり目を狙っていく施策を組んでいます。
日本 インバウンドマーケットへの対応
中国やアセアンで当社の知名度が向上してきたため、当社内では空港や観光地に近いイオンモールをインバウンド強化モールとして指定しています。例えば「イオンモール成田」をその指定モールのモデル店舗と定めまして、訪日外国人のお客さまのストレスをいかになくすかという機能を付加し、研究しております。
イオンモール成田における数々の取り組みのなかでお客さまから反響があったものを全国の強化モールへ展開していくということで、インバウンドを強化していこうと考えています。当然、行政との連携や旅行会社とのタイアップといったPR強化も進めていきます。
日本 デジタリゼーションの推進①
次に、デジタリゼーションの推進についてご説明申し上げます。
当社はお客さま、専門店、イオンモールの3者をどうデジタルで繋いでいくのか考えており、いわゆるスマートモール化していきたいと考えています。
館内のモビリティについては、大きな移動をする時に歩かなくてよいといったことにおいてとくにシニアのお客さまにとってストレスフリー(に繋がり)、すでに「イオンモール幕張新都心」で試乗会を実施していて、今後は導入を広げていくステップに入りました。
スマートモールはご覧の資料のとおり、お客さまに利便性の高い買い物環境を提供します。同じ滞在時間でも、ショッピングやイベントを楽しんでいただく時間をいかに増やすかという視点で、デジタルを使っていくということです。
イオンモール常熟新区の顔認証ロッカーなどといった取り組みも進めています。
日本 デジタリゼーションの推進②
もう1つ、働き方改革という視点で、専門店さまとの接点についてです。これは業務のデジタル化という視点で進めております。
具体的に申し上げますと、業務用アプリケーションプラットフォームを構築いたしました。現在は事務所との間を行き来しながらコミュニケーションをとっているものを、タブレットのなかで行うということです。
資料提供、さまざまな申請のやり取り、研修、営業所の連絡や案内、緊急コミュニケーションといったものは、このタブレットで済ませます。売場を離れず業務を進められ、イオンモールとコミュニケーションがとれるということで、省力化、省人化、ペーパーレスを含めて進めていきます。
現在は10モールで実験し、ほぼ検証導入が終わったので、全モールに普及させていくステップに入りました。
◆連結業績計画(2019年度)
30ページをご覧ください。通期の連結業績予想については、2019年4月9日に公表いたしました業績予測から、変更はございません。
中期の取り組みについても、具体的施策の状況、そしてESGの取り組みなどを更新したものをIRサイトに掲載しておりますので、ご参考にしていただければ幸いでございます。
以上で決算説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。