第6回 個人投資家向けIRセミナー&講演会(第4部)
藤田雅志氏(以下、藤田):みなさま、こんにちは。株式会社エイジアの藤田と申します。本日は3連休の初日にもかかわらず、大勢の方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
さっそくですが、今日お話をさせていただく内容は、大きく4つです。会社概要、成長戦略、業績推移、株主さまへの還元について、お話をしていきたいと思います。
事業内容
まず、会社概要です。事業内容は、一言で言ってしまうと企業の売上アップを支援するためのシステム、ソフトウェアを企画、開発、販売している会社となります。
WEBCAS(ウェブキャス)
具体的に言いますと、「WEBCAS(ウェブキャス)」です。みなさま、日々接することはたぶんなく、企業の担当者の方にご利用いただくもので、あまりご存知ないかもしれません。
WEBCASラインナップと当社のビジネスモデル
ラインナップとしてはスライドのようなかたちです。中央が、当社のお客さまの企業や団体です。当然ですが、企業の方々にはお客さまがいらっしゃいます。当社の顧客としてはBtoCの企業さまが多いのですが、その企業さまは顧客情報を持っているわけです。そのデータベースを軸にしながらメッセージを届けるということで、一番利用いただいているのはメールの配信です。他にもLINEの配信、ショートメッセージの配信などもあり、メッセージを届けるというラインナップがまず1つです。
もう1つは、顧客満足度調査などのためのアンケートのシステムです。Webで回答できるフォームをセキュアに作れるアンケートシステムがあります。
また、みなさまも企業に問い合わせることがあるかもしれませんが、メールで問い合わせたときにそれを受け付けると、サポート担当者の方は1人ではなく何人かいますから、そのなかで「この問い合わせについてはAさんが対応してね」「この問い合わせはBさんが対応してね」といったかたちで振り分けをして、対応履歴を管理できるシステムを提供しています。
お客さまには、ソフトウェアやシステムを提供して、その利用料をいただくかたちになります。かつては、サーバー自体はお客さまが用意して、当社はライセンス販売をして、お客さまのサーバー内にソフトウェアをインストールするタイプが多かったのですが、インターネットが普及して通信状況もよくなってきたため、サーバー自体は当社で持って、そこにお客さまがアクセスしてきてもらうかたちになりました。
その管理画面を、Webのブラウザ上経由で操作してもらいます。例えば、メール配信設定をしたりということで、クラウド型でご利用いただくのが主流になってきたところです。
WEBCASユーザー事例1:ベルーナ様
具体的な例として、お客さまがどのような使い方をしているのか、2つほど事例をご紹介したいと思います。
こちらはご存知の方も多いと思うのですが、総合通販のベルーナさまです。総合通販業界は、全般的にはあまり状況がよろしくないようなのですが、ベルーナさまはまだまだ元気があって、「WEBCAS」も使っていただいて、喜んでいただいております。
スライドが、ベルーナさまが「WEBCAS」を使って配信しているメール文面です。見ていただいてのとおり、おすすめの商品がずらっと並んでいるメールで、このようなメールが非常に多いです。
「週末セール始まります」みたいなキャッチコピーが上に入ったりするものもあり、これは「新着アイテム入荷しました」というお知らせです。ここに入っている商品は、ベルーナさまが運営するECサイトにアクセスをするユーザーさまの購買履歴や、ECサイト上でどのような商品を見ているのかや、どのような商品をお気に入りに入れたのかなど、いろいろな行動データに基づいています。
ですので、おすすめする商品も、一人ひとりで違うものを差し込み、まったく違う内容の文面を送っています。フォーマットは決まっているのですが、配信されている商品は人によってまったく異なるものを、1回で何百万通という規模で配信しています。
ちなみに、ベルーナさまでは何百万人という会員さまを9つのセグメントに分けて、曜日ごとにテーマを分けています。「WEBCAS」を使い始めてからの前と後で比較すると、一通あたりの受注額……要するに、このメールが届いてから「よし、この商品買おう」となる注文額が1.5倍まで増えて、トータルの売上としては1.9倍になっており、非常に喜んでいただいているお客さまの事例の1つです。
WEBCASユーザー事例2:花王様
2つ目は、アンケートの事例になります。花王さまにもご利用いただいているのですが、花王さまは「Kao PLAZA」という会員サイトを運営しており、その登録フォーム自体を「WEBCAS」で作って公開されています。また、会員さま向けにアンケートキャンペーンなどもよく行われており、そのアンケートキャンペーンの回答フォームを「WEBCAS」で作ってWeb上に公開しています。
当然、このキャンペーンの通知には「WEBCAS」のメール配信システムをご利用いただいているのですが、アンケートの事例ということで紹介させていただきました。
主な導入先
それ以外にも、累計で4,000社以上の導入実績がございます。後ほど出てきますが、アクティブでも1,200社以上、契約が続いているところがあります。当社のお客さまの特徴としては、インターネット通販、化粧品のEC、アパレルのEC、健康食品、生命保険や損害保険といった業種が非常に強いと思っています。
会社概要
こちらは、当社の会社概要になり、本社は東京都品川区の西五反田にあります。なかなかマニアックなところにあるのですが、五反田は家賃も安く、けっこういい街です。今のところ、拠点はこの1拠点だけです。また、設立は1995年4月なのですが、1995年と言うと思い出すことはないですか?
「Windows95」です。インターネットが一般的になってきたころで、設立当初はインターネット黎明期と言われる時代です。この頃はまだ、楽天などもない時代だったと思います。楽天さまは1997年創業ですね。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、このころに、雨後の筍のように出てきたビジネスがあります。それが、ホームページ制作代行というビジネスです。今はもうそのような言い方はしていないのですが、ご多分に漏れず当社の創業社長……今の社長は、実は創業社長ではないのですが、引退した創業社長は「これからはインターネットの時代だ」と言っていました。
もともと楽器の卸に携わっていた人なのですが、「音楽もインターネット上で流通する時代が来るぞ」みたいな感覚で、「インターネットのビジネスで何か一発当てたい」といったことで始めた事業です。
手元の資金がないため、とりあえず日銭を稼がなければいけないということでホームページ制作代行という名のビジネスをはじめました。今で言うと、スライドの「事業内容」の②にあたります。
企業の方々はホームページを制作すると、次に考えることは「見てほしい」ということです。せっかく作ったホームページですから、「アクセス数を伸ばしたい」となるわけです。どうしたらアクセス数が伸ばせるかということで、今はインターネットの技術としていろいろなものが出てきていますが、当時はアクセス数を伸ばすには2つの方法しかありませんでした。
ヤフーに高いお金を払ってバナー広告を出稿するか、メルマガの会員を増やしてメルマガをどんどん出すかです。メルマガの文面に「詳しくはこちら」とURLを貼って、リンクを押すとホームページに飛ぶということで、それを行うかということです。後者のほうがお金はかからないわけですね。
そして、ホームページを作った企業さまから「メルマガの配信システムを作ってくれないか」という受託開発のオファーが来まして、4社から5社ぐらい作ってみました。すると「ほとんど言われる要件が一緒だから、これはパッケージ化できるな」となり、「WEBCAS」の開発に取り組んだわけです。
「WEBCAS」の第1号は、公式的には2001年になっているのですが、ベータ版は2000年にできております。これが、当社の主力である「WEBCAS」という事業のはしりです。
ですので、自分たちで考えたというよりは、お客さまからヒントをいただいてパッケージ化したかたちになります。
売上の構成としては、ご紹介した「WEBCAS」で7~8割ぐらいを構成しています。残念ながら、創業当時のホームページ制作代行、受託開発といったところは1パーセントもないぐらい縮小しています。ただし、「WEBCAS」でメール配信システムなどを提供するとわかるのですが、メール文面がすごく重要になるのです。
そして、「どんな人に、どんな内容を送ったらいいだろう?」といった相談が来るわけです。そこで今度は、そうしたサービスを提供させていただいており、それがスライドの「事業内容」の③の部分で、コンサルティングをやらせていただいています。これが7年から8年前より手がけ始めたビジネスで、売上の2割ぐらいを構成している状況です。
利益率が高い
当社の財務的な特徴をご説明したいと思います。1つ目は、利益率が高いところです。2019年3月期の経常利益率は、当社は21.7パーセントでした。しかし、全産業の平均で見ると5パーセントぐらいです。少しデータが古いのですが、それと比較してもなかなかいい利益率かと思っています。
理由は単純で、変動費がほぼないからです。ソフトウェアは一回作ってしまうと、それをコピーしてどんどん売っていくわけで、1個作るのも100個作るのも、原材料費がかからないため原価がほぼない状態です。
決算短信などを見ていただくとわかるのですが、「WEBCAS」の事業はセグメントで言うとアプリケーション事業に置いていまして、こちらの売上総利益率は70パーセントぐらいになっています。このように、原価がほぼかからないビジネスです。
売上高が安定的に伸びている
2つ目の特徴が、売上が安定的に伸びているところです。先ほどクラウドのお話をしましたが、課金モデルはサブスクリプションモデルですので、初期費用はいただくのですが、それ以降はご利用いただいている期間、月額で料金をいただくものです。
例えば「メルマガを配信します」という業務をやめる会社はほぼないため、だいたいの企業様に使い続けていただけます。「座布団が積み上がっていく」というようなかたちで、どんどん積み上がり、現在では1,200契約以上というかたちです。
財務指標について①
ここまでのお話は、私どもの会社が勝手に言っているものですが、客観的に見てどうなのかというところで、東洋経済新報社さまの『新・企業力ランキング』のデータを使って、第三者からどう見られているかをご紹介したいと思います。
財務指標について②
この企業力ランキングについての説明なのですが、東洋経済さまのご説明によると、成長性、収益性、安全性、規模の4つのカテゴリーで、3年分の決算数値を分析しまして、相対評価で「AAA」から「C」までの5段階でランク付けをしているということです。
財務指標について③
当社のスコアを他の会社さまと比較してみます。NTTデータさま、日立さま、ドコモさまとともに見てみますと、スライドのようなかたちになっています。規模や安全性は大手さまが「AAA」で、ドコモさまは収益性も「AAA」です。
当社はそのほぼ真逆で、成長性と収益性については「AAA」の評価をいただいています。さすがにまだ年商20億円もない会社のため、規模については「C」という評価は仕方がないと思います。
安全性が「AA」になっているのですが、これはおそらく、昨年度にかなり自社株買いをしたせいかと思います。昨年度に2億円ぐらい自社株買いをしたため、 キャッシュが一時的に大きく減ったものですから、それで「AA」になったのだと思います。この1個前の時期のデータでは「AAA」でしたが、このようなご評価をいただいています。
エイジアの横顔
会社概要の最後のところですが、当社がどんな雰囲気の会社なのかをご紹介したいと思います。社内の様子のご紹介、女性がけっこう活躍しているいい会社、そしてIT企業のわりには残業が非常に少ない、というところです。
社内の様子①
社内の様子ですが、五反田から徒歩10分ぐらいのところにあり、そのビルのエントランスはスライドのようなかたちで、人工大理石でけっこうきれいなところです。夏場は非常に暑いですが、エントランスがかなり涼しいのです。来客いただく方々は、15分前ぐらいにここへ来て、ソファに座って涼んで汗が引いてから当社に来る、みたいなパターンも多いようです。
そして4階に上がっていただくと、エレベーターを降りて左手に、このエントランスがあります。そこまで大きいエントランスではないのですが、デザイン的にはインパクトがあるデザインをしています。
社内の様子②
執務室になります。ワンフロアを全部借りており、全社員がここにいます。見ていただいたとおり、部門の仕切りなどは一切なく、社長室もありません。技術担当役員の専務がちょこんと座っているのが見えます。また、たまたま離席中なのですが、(スライド中央あたりの)ここの窓の右側ぐらいに社長が座っています。私も用があると社長のところにさっと行って、「ちょっといいですか?」と言って5分ぐらい話して、「わかりました」と言って終わります。いちいち社長にアポイントも取らないですし、会議もいちいちセットせず、歩いて行ってすぐ話すため、けっこうフランクな会社かと思います。
服装
服装も特徴的です。私も今日、ラフな格好をさせていただいていますが、これは土曜日だからではなく、ふだんからジャケットも着ていないぐらいで、たまにTシャツのときもあり、けっこう自由です。
スライドの左が営業担当部長ですが、営業のわりにけっこうラフで自由ですよね。右が技術担当でインフラの担当です。見ていただいてのとおり、非常にラフです。
ヨガ教室
また、ITの会社はパソコンに向かって仕事をすることが多いものですから、スライドのようなかたちで毎月ヨガの先生を招いています。
クラブ活動①
さらに、クラブ活動としてフットサルをしています。スライドの写真は大会に出たときの集合写真です。実は今日も午前中にフットサルをしてからここに来ています。8月や12月には飲み会をするなど、けっこう楽しくやっています。
クラブ活動②
こちらの写真が、当社の代表の美濃で、一応ユニフォームを持っていますが1回も着たことがないです。背番号が2352で、これは証券コードです。普通のサッカー選手の背番号は2桁までですが、無理を言って4桁にしてもらうという、少しわがままをきいてもらいました(笑)。
業績が良い時は
半期に1回ぐらい納会を行うのですが、業績がいいときはお寿司屋さんを呼んで、みんなでワイワイ楽しみます。業績予想どおりぐらいのときは、ケータリングになります。スライドの写真は、業績をかなり上方修正したときのもので、みんなで楽しくやっています。
女性が活躍する会社
当社は、女性が活躍する会社ということで、女性比率が41パーセントです。当社単体で、あまりいないですが契約社員の方や派遣の方も含め、41パーセントです。だいたい業界の平均が30パーセント前後と言われていますので、まあまあ女性が多いほうかと思います。
MVP獲得率
当社には月間MVPという制度があるのですが、各部門の部長が役員にMVPを推薦して、役員が認めた人を表彰する制度です。その受賞率で言うと女性は45パーセントで、構成比が41パーセントですから、女性のほうが優秀というのがよくわかります。
役員男女比
昨年9月に、ベビー服のECの会社の事業を譲り受けたのですが、常勤取締役が3人とも女性です。大阪の会社なのですが、私が社長になり、月に1回ぐらい大阪へ出張して様子を見に行っています。女性しかおらず、男性は僕だけで、非常に気まずくて気後れしてしまう状態ですが、女性が活躍している会社です。
残業が少ないメリハリのある会社
残業の少なさですが、過去3期ぶんぐらいの月平均の残業時間を見ますと、20時間でも少ないぐらいのところ、前期は12時間で今期はもう少し減っていると思います。
サービス残業に関して言うと、当社ではサービス残業が絶対にできない仕組みになっています。ITの会社ですから、パソコンを使う仕事がほぼ100パーセントということで、パソコンの電源を入れたときと電源を切ったときのログを持っています。それと勤怠時間との突き合わせをして、15分以上の乖離があると「これは何だ?」と指摘して、全部チェックしています。よって、サービス残業は絶対にないという会社です。
市場が伸びる
ここから成長戦略についてご紹介したいと思います。当社の業績が伸びている要因として、市場が伸びるところがあります。当社の得意先はECの会社、もしくはメーカーさまでEC販売している会社です。ただ、ほとんどの業界がECに参加していますので、とてつもなく有望な市場です。
eコマースの市場
こちらは毎年4月、5月ぐらいに経産省が発表している調査データで、BtoCのeコマース市場は現在18兆円と言われており、毎年1兆円以上伸びていますが、この規模で毎年1兆円以上伸びる市場はなかなかないと思います。
さらに、EC化率という指標があります。これは、全体の消費額のなかでEC経由で買われた率のことで、今の日本は6.22パーセントです。ところが、海外と比べると日本はかなり低いのです。逆に言うと、まだ伸びしろがあると思っていまして、これからどんどん伸びていくだろうと思っています。
強力な自社製品がある
2つ目が、強力な自社製品です。当社は技術力で勝負してきた会社でもありまして、とくに主力のメール配信システムは業界最高レベルです。
主力製品「メール配信システム WEBCAS e-mail」の配信性能
こちらが配信性能を端的に表しているスライドなのですが、「パッケージ導入版」がお客さまのサーバーにソフトウェアをインストールして納品するパターンで、それであれば時間300万通以上は配信できます。そして、当社がサーバーを運営しているクラウド版でも、時間240万通は出せる。これが業界最高水準で、世界的に見てもおそらく最高水準ではないかと思います。
他社を見てみると、多くても100万通ぐらいで、平均では30万通ぐらいと聞きますので、当社の製品はいいものだと思っています。
WEBCAS
メールの配信は少し地味ですので、構造をご紹介します。「WEBCAS」のなかでも、まずメールを生成するアプリがあります。さきほど、「一人ひとりで差し込む内容が違います」ということで、ベルーナさまの事例でお話ししましたが、「Aさんにはこのメール文面を送ろう」「Bさんにはこのメール文面を送ろう」といったように、そのメール文面を生成するアプリケーションがあるのです。それを配信サーバーが受け取って、インターネットにドンと出すわけです。このような配信サーバーは、IPアドレスというインターネット上の住所みたいなものが振られています。
実は、IPアドレスのブラックリストを世界的にウォッチする団体が多数ありまして、プロバイダ、あるいはメールを受け取る「Gmail」「Outlook」などで「これは迷惑メールだ」となると、IPアドレスがブラックリストに登録されるのです。そうするとスパム判定されて、メールが届かなくなります。
ガラケーが出てきたころに、スパムメール対策が社会的な問題になったときがあると思うのですが、そのころからこのような仕組みはありました。実は、大量にメール配信するとスパムメールとして判定されてしまうことがあるため、当社ではスパム判定されないように配信するノウハウを持っており、それが一番の優位性かなと思っています。
みなさまは、ふだん個人でメールを送るときにはそのようなことを絶対に意識しないと思うのですが、1回の配信で1,000通ぐらいを超えてくると、受け取る側がスパムと判定するかもしれません。そこを誤って迷惑メールとみなされないように送信できることが当社の特徴かと思います。
売上トップ15社中13社がWEBCASを導入
「通販新聞」という業界新聞が出している売上高ランキングがあるのですが、化粧品通販、健康食品通販、総合通販の3部門の各々売上トップ5、計15社のうち13社が「WEBCAS」を導入いただいているということで、評価されています。
AI(人工知能)を活用する
3つ目の成長戦略として、AIを活用していきます。当社のお客さまのマーケティングや広報担当の方々は、どのお客さまがどのような情報を、いつ欲しがっているかについて、すごくデータを駆使して繰り返し調査、分析しています。
それにはいろいろな方法があるのですが、代表的なもので「A/Bテスト」というものがありますので、ご紹介したいと思います。
A/Bテスト
例えば、メールのタイトルの表現をAパターン、Bパターンの2つ作ります。それで、Bパターンが好評だったら、次に差し込む商品画像として、同じ商品でもCパターンとDパターンを用意します。そして、Dパターンのほうがよかったら、今度は商品の紹介をするキャッチコピーをEパターンとFパターンでテストして、といったサイクルをぐるぐる回しているのです。
当社システムの売上の更なる拡大
他にもいろいろなデータを駆使して、いろいろな分析していますが、この手のことは人工知能のほうが圧倒的に得意です。そこで当社は人工知能を活用して、よりお客さまに売上を上げてもらい、結果として当社のシステムの売上も上がっていけばと考えています。
AI関連市場の推移
AI関連市場の推移ということで、ミック経済研究所さまが出している市場調査レポートですが、AIエンジンとAIソリューションに分けています。当社は、AIエンジンそのものを開発することは、おそらくありません。
今はAIベンチャーさまを中心に、AIエンジンを作っている会社さまはたくさんありますので、あまりそこで勝負する必要がないわけです。むしろ、それを活用していくソリューションで勝負していこうと思っているのですが、市場規模を見てもそちらのほうが圧倒的に大きいですし、展望としてはいいと思っています。
売上・利益の推移(売上高)
3つ目です。ここからは、業績の推移についてお話しします。まずは売上高の推移ですが、おかげさまで10期連続で増収中で、今期も増収の計画を出させていただいていますが、今のところ足元は順調に来ています。
売上・利益の推移(営業利益)
営業利益の推移ですが、10期連続とはなりませんでした。2015年3月期のところで一回ガクンと落ちたのですが、おかげさまでまた増益基調に入り、今は6期連続増益に挑戦しているところです。
2020年3月期1Qの状況
足元の2020年3月期第1四半期の状況です。売上は前年同期比プラス18.3パーセントです。営業利益以下も、プラス10パーセント以上という状況です。
四半期売上高推移
四半期別の売上高推移ですが、毎年第4四半期が一番大きいです。これには理由がありまして、ITの世界は大型案件の納品は3月に集中することが多いからです。企業さまも、お金を払う以上は予算で動きますし、予算で動くものは3月納品がけっこう多く、その傾向が出ています。
人員数推移
人員数の推移ですが、2019年3月期をご覧いただくと、当社単体はそこまで増えてはいないのですが、先ほど申し上げたとおり、ECの子会社を設立した関係もあり、グループ会社の従業員が非常に増えてきている状況です。
ROE・自己資本比率
ROEと自己資本比率についてです。そんなに悪い水準ではないと思うのですが、ROEが前期に大きく下がっています。これについてですが、当社はソフトウェアを開発するとき、とくに新製品を開発するときに開発投資をするわけなのですが、ソフトウェアの開発(にかかる費用)はほぼ人件費です。
その人件費なのですが、その期に費用計上せず、ソフトウェア資産の資産計上側に持っていくことがあります。そうすると、その期には費用としては出ずに、その製品をリリースするとソフトウェア資産を減価償却していくという会計処理をすることがあります。
5月に通期の発表をしたときに決算説明資料のなかにも入れているのですが、開発方針を大幅に変更したこともあり、1億6,200万円の特損を出しました。
もともと製品開発につぎ込んできた人件費をソフトウェア資産計上としていましたが、そのソフトウェア資産を販売しなくなると、資産価値がなくなったという評価になりますので、それを減損したという処理をして、前期は最終利益としては減益になっています。その関係で、ROEが大きく落ちています。
株価の推移
株主のみなさまへの還元についてです。株価推移はスライドを見ていただいたとおりです。大きく上がっては下がり、大きく上がっては下がりを繰り返しながら、徐々に上昇傾向にあります。
配当
こちらが配当の考え方ですが、配当性向30パーセントを基本的なスタンスに置いていまして、毎年利益を増やすことができれば配当金額も増やせると考えています。
株主優待
株主優待についてですが、今日はこれを言いたくて来たぐらいのものです。今期から株主優待制度を変えています。当社は1単元100株なのですが、残念ながら1単元の方には「申し訳ございません」という状態にしていまして、2単元以上の方で9月末と3月末で保有いただきましたら、それぞれ1,000ポイント以上ずつを付与させていただいています。
1ポイント1円換算でお考えいただければと思うのですが、そのような制度を導入させていただきました。今日が9月14日ですよね。最初の権利確定日が9月末ですので、ぜひよろしくお願いします。
証券コード
最後に、こちらだけ覚えておいていただければと思います。証券コードは「2352」です。これは、「兄さん、高2」という覚え方です。一昨年は私の長男が高2でしたのでこのネタで行けたのですが、ひとまず「兄さん、高2」ということで覚えていただければと思います。
本日はご清聴、ありがとうございました。
坂本慎太郎氏より質問
八木ひとみ氏:ありがとうございました。それでは、質疑応答に移らせていただきます。まずは坂本さん、お願いします。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社のキラーコンテンツである「WEBCAS」について、詳しく説明していただきました。BtoBのツールですので、主なクライアントはBtoBであり、僕らはその管理画面を見ることがないのですが、どういった構成になっているのでしょうか?
藤田:例えば、メール配信システムの構成で言うと、実は3つをセットするだけでメール配信ができるのです。1つ目は配信リスト、2つ目は配信する文面、3つ目は配信する日時です。この3つをセットすると配信ができる、ただそれだけです。問題は、そのリストをどこから持ってくるかということです
一番簡単なのは、基幹システム側で会員管理している別のシステムからCSVファイルという、エクセルみたいなファイルでデータを持ってきて、ぽんと登録して配信するかたちです。しかし、それが何百万のデータとなると、「そんなことはやっていられん」となるため、データベースの連携などを行う場合もあります。
坂本:そのように、簡単に出せるということですね。
藤田:そうですね。
坂本:6ページに「パーソナライズLINE配信」というものがありますよね? 「LINE」も「WEBCAS」から配信できるのですか?
藤田:配信できます。「LINE」のアカウントを持っている企業さまは、LINEさまからメッセージ配信する管理画面が同じように提供されるのですが、それだと自社保有しているデータをもとにしたセグメント配信はできないのです。
当社のシステムを使うと、その画面から配信しません。「API」という言い方をするのですが、「他のシステムからも配信していいですよ」というものがあり、当社のシステムにそれを組み込んでいます。
それによって、裏側でデータベースをもって、「Aさんにはこのメッセージ」「Bさんにはこのメッセージ」というかたちで、メールと同じ考え方で「LINE」の配信ができるようになるというものです。
坂本:最近、やはりニーズが高いですか?
藤田:一般消費者の方はあまりご存知ないと思うのですが、2020年2月に、LINE側に支払う配信料金が変更になります。単純に言うと、今までは1通1円だったものが、1通3円になるのです。
LINEさまからは、「その代わり、別で支払ってもらっている月額の基本使用料が、今までは最低でも250万円だったものを1万5,000円でいい」ということなのです。
やはり「LINE」の配信を行うような会社さまは、友だちの数がだいたい1,000万人は超えており、1通で2円上がると、1回の配信で2,000万円もコストが上がるのです。「これでは、企業さまはLINEを使わないだろうな」と思います。
坂本:「メルマガのほうがいいじゃない」という印象ですね。
藤田:そうですね。ちなみに、子会社にECの会社を持っているというお話をしましたが、「LINE@」を運用しています。これも基本的には料金が全部統合されて、1通3円になるのです。今「LINE@」はすごく安くて、友だちの数は10万人までですが、月額利用料が2万円から3万円くらいで送り放題です。
毎月2万円ちょっとで済んでいたのですが、料金改定後に同じ量を配信しようと思うと、月550万円になるわけです。2万円が550万円ですから、とても大変な状況です。
坂本:背景がわかってありがたいです。それでは、さきほどお話のあったEC化率についてです。
日本のEC化率はけっこう低いという話がありましたが、なぜですか? おそらく、商習慣が他と異なるなどもあると思うのですが、いかがでしょうか?
藤田:当社の分析ではなく、私の個人的な見解でお話をさせていただきます。1つは、単純に国土が狭いというよりも、経済圏が狭いからで、リアル店舗に手軽に行けるからです。アメリカに行くと、それこそシリコンバレーあたりは、みんな車に乗っているじゃないですか? 東京でもみなさん車に乗っていますが、人口比率で考えると、おそらく東京で車に乗っている人口は極端に少ないと思います。経済圏が狭いから(買い物に行くのにも)困らないのかなと思います。
もう1つは、サービスを出すベンダー側の問題ですが、企業側のITリテラシーが、残念ながら日本は低いと思います。
坂本:そうですよね。
藤田:だから、いいサービスを出せていない、そして利用者が少ないということはあると思います。
坂本:それでは最後に、「WEBCAS」の次の柱について教えてください。子ども服のECの子会社も持たれているということですが、それ以外にM&A戦略を考えているのかも含め、次の柱になる事業など、規模は小さくてもいいのですが、そのようなものがあるかについて教えてください。
藤田:先ほど「LINE」のお話をしましたが、そのような背景もあるため、短期的には「LINE」の配信システムは非常に需要が高くなっており、ここが伸びてくるだろうなと思っています。中期的に考えると、AIを組み込んだ製品を出していくことになるかなと思います。既存製品への組み込みになると思いますが、ここ3年から5年くらいでは主流になってくるだろうなと思っています。
向こう10年くらいで見ていくと、当社の事業ドメインとの関係になるのですが、基本的にBtoCでECを展開されている方に、売上アップのためのマーケティング支援システムを出すのは変わりません。
例えばですが、当社が今展開しているものは、メルマガ会員として登録してもらった後に追いかけるというシステムです。しかし当然、企業側は「メルマガ会員登録数を増やしたい」というニーズがあるわけですので、もっと前で集客するというニーズも高いわけです。
今のところ、マーケティングコストで一番高いのは広告費ですから、その大きいボリュームゾーンのところにどう入っていくかという……別に「広告代理店をこれから始めます」ということではないのですが、かなりの後発組のため、その領域で勝っている人たちと組んでいくことなども考えていました。
マーケティング領域のなかでも、(当社の事業領域の)前後で活躍されているプレイヤーさまと仲良くするということで、それがM&Aというかたち(が最適)なのかというのは、日々考えています。
質疑応答:今後の海外展開の可能性について
質問者1:成長戦略のところで質問をさせてください。海外展開の話なのですが、これから何年後かはわからないのですが、海外に打って出ることは考えていますでしょうか?
藤田:実は1回、海外に出たことはあります。そのときは、海外の現地パートナーとのアライアンスというかたちでしたが、ご質問の結論から言うと「(海外に出る可能性は)あります」です。フィジビリではあったのですが、以前に海外に出たときに少し失敗したなと思うのが、コミュニケーション文化の違い(をしっかり理解していなかったこと)です。
よって、そこのコミュニケーションラインナップを揃えてからだと考えています。海外はあまりメールは使われていないというところもあるため、そのギャップを埋められれば海外で勝負しようと思っていますが、とくにショートメッセージ(がポイント)です。
日本では、ショートメッセージは「え?」と思われるかもしれないのですが、とくにアジア圏はショートメッセージをかなり使っています。日本国内のショートメッセージの配信の規格は、実は世界標準規格に準拠していません。これは各キャリアさまの問題で、ガラケーの1つの遺産なのですが、「世界標準規格に移行しよう」という動きが各キャリアさまから出ていますので、移行したら、その規格に合うような配信ソリューションを揃えていこうというところで、ターゲットとしては睨んでいます。
質疑応答:「WEBCAS」導入コストやアクティブ企業数の推移について
質問者2:基本的なことをおうかがいしたいのですが、パッケージ版の導入と、クラウド版の導入のコストについてです。例えば10万通、100万通、300万通と送ったときに、それぞれの導入コストはどれくらいかかるのでしょうか?
次に、資料の9ページ目についてです。
これまで4,000社が導入されていて、アクティブ数も1,200社以上というお話でしたが、アクティブの企業数がどれだけ推移しているのかを教えていただけますか?
もう1点ですが、私はメールの配信が来ても、「ポイントをもらえるから会員登録するけれど、メールは見ない」というところがあります。そこで、応答率と言いますか、メール配信したものに対するレスポンスと、それがどれくらい購入につながるのかというパーセンテージみたいなところで、業界の基準みたいなものがあれば教えてください。また、その数字が下がってきていないかどうかを教えてください。
藤田:まず、お客さまの導入コストです。パッケージ、要はライセンス販売ですが、けっこう規模によってピンキリでして、ライセンス料金としては300万円から500万円超くらいがボリュームゾーンかなと思います。
ライセンスを渡して終わりではなく、サーバーにインストールも必要ですし、だいたいのお客さまは、カスタマイズということで「一部の機能を変更してほしい」「新しい機能を追加してほしい」といった要望があります。また、お客さまが持っている既存のシステムと「このような連携をしてほしい」という要望などもあって、エンジニアが稼働することもありますが、そこの稼働費用が500万円から多いときは数千万円です。
今まで、ライセンスと稼働費を合わせて1億円を超えたのは、私が知っている限り、過去5年で1件くらいというかたちです。よって、お客さまの導入コストは「数百万円から数千万円」という言い方になります。
そしてクラウド版は、料金体系として大きく分けて廉価版と高価格版を出しています。廉価版は平均して、初期費用が7万円前後くらいで、月額費用が2万8,000円くらいです。高価格帯は、初期費用が50万円くらいで、月額費用で20万円くらいが平均的なところです。
2つ目のご質問が、「累計4,000社、アクティブ1,200社で、これがどう推移しているのか」というお話ですね。とくにクラウド版は、年間で純増100社から150社くらいのペースで増えているイメージです。
3つ目が、メールの反応についてですね。メールのKPIで言うと、当社に限らず、おそらくメール配信している担当者さまは全員がそうだと思うのですが、3つしかありません。1つ目は開封率で、送ってからどれくらいの人が開封してくれたかです。2つ目はクリック率で、どれくらいの人が「詳しくはこちら」をクリックしてくれたかです。3つ目はコンバージョン率と言いますか、購入率で、実際にリンクをクリックしてサイト行って、買ってもらった率です。
統計データがあるわけではないのですが、当社の経験値で申し上げると、開封率はだいたい10パーセントから20パーセントくらいで、それを下回ると「ちょっと危ないですね」という水準です。ただし、すごくブランドのロイヤリティが高いところでは、70パーセントから80パーセントくらいになります。よって、これはブランドロイヤリティによって違うかなと思います。
クリック率についてですが、先ほど「10パーセントから20パーセントくらいが開封してくれる」とお話ししましたが、配信部数を分母にしたときは3パーセントくらいだと思います。そして、購入率は1パーセントくらいです。よって、100万通配信したら1万人が買ってくれるイメージです。
考えてみると、1万人が買うということは、商材の値段にもよるのですが、おそらく数千円のものを購入すると思いますので、1回のメールで売上が数千万円に上るのです。このインパクトはすごいなと思っています。
質疑応答:2015年3月期の減益の理由について
質問者3:ご説明もありましたが、2015年3月期に1回大きく減益になっている理由を教えてください。
藤田:2014年4月にある出来事がありましたが、記憶にございますか? 同じことがもうすぐ起きるのですが……そうです、消費増税です。駆け込み需要の反動と言いますか消費の減速があり、2015年3月期は大きく落ちました。クラウドは順調に伸びていたのですが、パッケージのライセンスが珍しく1本も売れませんでした。
また、その前の年度がものすごく成長したため、社員を増やしたのですが、その増やした分の人件費の高騰具合を売上の伸びが吸収できなかったのが、単純な減益の理由です。