今回のポイント 売上高/損益
平田政善氏:こんにちは。それではさっそく、2018年度第2四半期の業績について説明させていただきます。お手元のパワーポイントをご覧ください。
まず、5ページをご覧ください。詳細の説明に先立ち、いつものように決算のポイントについてご説明いたします。まず売上高でございますが、ストレージ&デバイスソリューション、あるいはインフラシステムソリューションは増収となっております。エネルギーシステムソリューションは、前年同期にランディス・ギア社のIPOにより、連結除外になった影響がありました。
それから、今年度は火力事業等で減収があり、全社としては前年同期に対して958億円、5.1パーセントの減収となっております。なお、為替による売上高への影響は約60億円の減収影響であったと試算しております。
損益面でございますけれども、営業損益はインダストリアルICTソリューションが横ばいをキープしたものの、それ以外のセグメントが悪化となり、全社では292億円の減益となっております。
また、為替の影響により約10億円の減益と、そのほかにも昨年に実施しておりました賞与削減などの緊急対策の効果の剥落ということで、143億円減の影響があったと分析をしております。
次に、営業外損益でございます。こちらはご案内のように、東芝メモリの持分法損益、あるいは東芝病院の譲渡益といったものの計上によって、増益となっております。一方、営業損益が減益になったということがあり、税引前損益では減益となっております。
純損益でございますけれども、非継続事業にメモリ事業の売却益が含まれておりますので、1兆1,319億円の増益となり、絶対値としては1兆821億円ということになっております。
今回のポイント キャッシュ・フロー/株主資本
続きまして、6ページをご覧ください。キャッシュ・フローでございますけれども、メモリ事業の売却の影響が約1兆4,600億円ございました。前年同期に対して1兆4,765億円改善し、1兆5,641億円のプラスとなっております。
株主資本につきましても、第2四半期累計の当期純損益である約1兆800億円を主因に1兆9,373億円となり、株主資本比率は39.9パーセントという数字になっております。
全社 損益/キャッシュ・フロー項目
続きまして、7ページをご覧ください。このページは、ただいまご説明しました数字のまとめになりますので、割愛させていただきます。
全社 バランスシート項目
8ページも、同様に説明を割愛させていただきますが、1点だけ(お伝えします)。為替レートについては、期首が106円から8円円安の114円という為替レートが前提となっております。
営業損益(対前年同期分析)
続きまして、9ページをご覧ください。営業損益の対前年同期比較でございます。前年同期の営業利益は362億円でございましたけれども、ここから前年同期の緊急対策の影響、あるいは売却したランディス・ギア社や映像事業の影響を除きますと、193億円の黒字であったと認識しております。
2018年度第2四半期累計ですが、まず為替の影響については10億円と小さな影響でございましたけれども、ストレージ&デバイスソリューションを中心とした売価ダウンの影響で76億円の減。また、火力、新設案件などの減少で減収となったエネルギーシステムソリューション等の減収影響で、約200億円の悪化影響がございました。
一方で、2017年度に実施したインダストリアルICTソリューションを中心とした構造改革や、不採算海外拠点の切り離しなどによる経費縮減影響などとして、約120億円のプラスがございました。また、一部役職者については緊急対策を継続させていただいておりますので、そのプラス影響が40億円ということで、併せ持って営業損益は絶対値70億円の黒字という数字になっております。
この第2四半期累計で70億円の黒字となっておりますが、2018年度後半に向けては官公庁向けを中心に、年度後半に売上が増加していくことに加え、「東芝Nextプラン」での収益力強化施策のうち、すでに展開している取り組みなどにより、下期に向けて着実に利益を積み上げていくという予定にしております。
営業外損益
続きまして、10ページでございます。営業外損益の内訳ですが、当期は東芝メモリからの持分法損益である452億円に加えて、東芝病院の譲渡益として239億円計上しておりますので、前年同期に対して約260億円の改善、絶対値で636億円のプラスとなっております。
大変申し訳ないのですけれども、(スライドの)一番下に記載させていただいたとおり、東芝メモリ株式会社は当期の連結対象から除外されており、当社は東芝メモリの経営に関与しておらず、東芝メモリの業績をご説明する立場にはございません。そのため、当社からのメモリ事業に関する詳細説明は差し控えさせていただきたいと思います。
フリー・キャッシュ・フロー
11ページをご覧ください。キャッシュ・フローですが、冒頭にご説明いたしましたとおり、当期はメモリ事業の売却に関連して、投資キャッシュ・フローにプラス1兆4,583億円が計上されております。これを除きますと、当期の投資キャッシュ・フローは934億円のマイナスでございました。
下段に、メモリ売却の特殊要因を除いたフリー・キャッシュ・フローを記載しておりますが、当期は約1,000億円強のプラスとなっております。主に、エネルギーシステムソリューションなどでの運転資金を主因にプラスとなっております。
また、前年同期の特殊要因を除いたフリー・キャッシュ・フローはマイナス621億円となっておりますけれども、当時はGC注記がついていたということもあって、信用悪化の影響により運転資金が非常に悪かったという状況でございました。
貸借対照表
12ページはバランスシートでございます。左側が資産サイドですが、これは6ヶ月前の3月と比較しております。メモリ事業の売却によって、非継続事業資産が減少しました。その相対として現預金の増加、あるいはPangea社に再出資を行っておりますので、その投資が(グラフの)一番下の「その他」のところに載っております。総資産が2018年期首に対して約4,000億円増加というバランスシートになっております。
一方、負債方でございますけれども、これも同様に非継続事業の負債の減少、あるいは借入金の返済に伴う有利子負債の減少などにより、負債総額は6ヶ月前に対して約7,700億円の減少となっております。
この数年間で我々が実施してきました諸施策により、大きなリスクを伴う資産を整理してきた結果、当社の財政状態は改善し、安定してきていると認識しております。
セグメント別①
14ページはセグメント別の全体の状況になっております。詳細につきましては、次ページ以降でご説明いたします。
エネルギーシステムソリューション 主要事業内訳
15ページ、エネルギーシステムソリューションでございます。売上については、売却により昨年7月から連結除外となったランディス・ギア社の影響に加えて、脱炭素化の影響により、市場規模が縮小しております。
脱酸素の影響により、市場規模が縮小しております国内の火力といったものを中心に減収影響もありまして、前年同期に対して減収となっております。
営業損益でございますが、火力・水力での減収影響、またランディス・ギア社の連結除外の影響などにより、前年同期に対して悪化となっております。なお、(スライドの表の)一番下に記載の部分で、2017、2018年度ともに、その他でマイナスの営業損益が表示されております。これは、水素関連での開発費等が含まれております。
また、表の中ほど、やや上に、フリー・キャッシュ・フローの数字を記載させていただいております。原子力や火力・水力の運転資金の改善を主因に、この上期はフリー・キャッシュ・フローが526億円のプラスとなっております。
エネルギーシステムソリューション 受注残高推移
続きまして16ページ、エネルギーシステムソリューションの受注残高推移を記載しております。
この第2四半期の受注残高は、前年同期に対して約3,000億円、19パーセント減ということになっております。これは、低採算案件の進捗に伴う受注残高の減少がある一方で、従来の売上規模偏重の経営から脱却するという方針のもと、新規受注案件に関して内容を精査している影響が含まれております。
加えて、お客さまの設備投資減や構造改革による海外事業の縮小といったことも一因になっております。
その結果、受注残高に含まれる受注案件の粗利率については、前年同期に対して徐々に改善しているという内容になっております。
インフラシステムソリューション 主要事業内訳
続きまして、17ページ、インフラシステムソリューションの主要事業の内訳でございます。
公共インフラでは、社会システム事業の規模増を中心に増収となっておりますが、損益は緊急対策の影響や案件の構成差などもあり、減益となりました。ビル・施設については、売上高はほぼ横ばいでしたが、昇降機事業での前年度の構造改革効果で固定費が改善したことなどにより、増益となっております。
鉄道・産業システムにつきましては、エネルギーシステムソリューションからの産業配電事業の移管……これは第1四半期でもご説明いたしましたが、そうしたことがあって増収になっております。
また、今後の競争力強化のために、とくにこの上期については開発費を増加させております。そうしたことにより、損益は前年同期よりも減益になっているということです。
ストレージ&デバイスソリューション 主要事業内訳
18ページが、ストレージ&デバイスソリューションの内訳でございます。
まず半導体ですけれども、ディスクリートについては産業向けパワーの販売が好調で増収でございましたけれども、先行投資の増加による減価償却費の増加といったこともあり、利益は横ばいに推移しております。
一方、システムLSIでございますが、通信向けおよびロジックLSIの販売減で減収減益です。このなかには、ニューフレアテクノロジー社(NFT)が含まれておりますが、これも新製品がやや遅れているということで、下期への売上のずれ込みなどにより、上期対上期の比較では減収減益という数字になっております。
下段のHDD他でございますけれども、こちらはHDDとTMCに売却いたしましたメモリを、ここで転売している売上高が含まれております。
売上でございますけれども、全体で348億円の増収となっております。HDDにつきましては、企業向けは増収となっておりますけれども、PC向け、いわゆるモバイルHDDが市場縮小を主因に減収となっております。
一方で、メモリが好調ということで、この転売の売上高が大きく増えているという内容でございます。結果として、全体では348億円の増収になっているということです。
損益でございます。やはり、HDDでPC向け製品の市場価格の下落が続いております。これに調達コストの改善がまだ追い付いていないということがあり、減収による損益の減少と相まって、営業損益は前年同期よりマイナスになっているということです。
転売品については、損益があまり関係ないということで、損益への影響はとくにございません。
HDDでございますけれども、今後は調達パートナーとの連携強化によるコスト競争力強化施策を遂次進めていくということで、改善していきたいと思っております。
リテール&プリンティングソリューション インダストリアルICTソリューション
続きまして、19ページ、リテール&プリンティングソリューションとインダストリアルICTソリューションの状況です。
リテール&プリンティングソリューションでございますけれども、売上高はリテール事業、プリンティング事業ともに前年度から減収。損益は、プリンティング事業の減益はありますが、海外リテールがかなりよくなってきてます。しかし、全体として減益となっております。
一方、インダストリアルICTソリューションでございますけれども、システム案件での増収影響や構造改革の効果により、前年同期に対して改善となっております。
その他
20ページが、その他のセグメントでございます。PC事業でございますが、ご案内のように、10月1日に当社のPC事業を営む東芝クライアントソリューション株式会社の株式の80.1パーセントを、シャープ株式会社さまへ譲渡いたしました。この結果として、第3四半期よりPC事業は連結対象外となる予定です。
以上が、2018年度第2四半期累計のセグメント別の業績の概要でございます。続きまして、2018年度の見通しのご説明をさせていただきたいと思います。
全社
2018年度の見通しについては、5月15日に公表させていただいておりますが、いま説明をさしあげました第2四半期累計の業績は、5月15日の年間の公表見通しに沿った結果が出てきていると、会社では判断しております。
一方で、下期には「東芝Nextプラン」での2019年度以降の目標値を確実に達成すべく、構造改革を織り込むと同時に、本日付けで公表いたしましたLNG事業からの撤退、また、英国における原子力発電所建設事業からの撤退などを織り込みましたので、今回、2018年度通期の見通しの修正をさせていただきます。
表の真ん中の黄色の部分が、今回の新しい業績見通しとなっております。一番右側には、5月15日に公表させていただいた業績予想との差異を記載させていただいております。
売上でございますけれども、セグメントごとの修正はございますが、全体としては3兆6,000億円は変えないということにさせていただきます。
損益については、営業損益は600億円の黒字と、前回(予想)より100億円の減益とさせていただいております。ここには、構造改革費用として253億円を追加で織り込んでおります。営業損益の詳細については、次ページで説明させていただきたいと思います。
営業外損益でございますけれども、LNG事業の撤退に伴う費用が930億円、英国原子力発電所の建設事業からの撤退に伴う費用で、対前回(予想)でマイナス216億円を織り込んでおります。また、東芝メモリの持分法損益については、下期の業績見通しがまだ見えてこないこともありまして、前回(予想)どおり500億円のままとしております。
その結果、税引前損益は、対前回(予想)で1,300億円の悪化で、マイナス400億円となる見通しでございます。
LNG事業からの撤退および英国原子力発電所建設事業からの撤退については、のちほど個別にその内容を説明させていただきたいと思います。
最後に、当期純損益でございますけれども、非継続事業損益にメモリ事業の売却時期前提が前回(予想)より1ヶ月早まったことによる減益影響、あるいは10月中旬に公表させていただいた東芝メモリの株式譲渡契約に基づく補償義務履行の影響を織り込んでおります。
この結果、当期純損益は対前回(予想)で1,500億円悪化、絶対値としては9,200億円となる見通しでございます。
フリー・キャッシュ・フローにつきましても、LNG事業撤退に伴う支出を見込んだことなどの理由により、対前回400億円減少の1兆2,500億円のプラスとなる見通しでございます。
株主資本については、当期純損益の悪化のマイナス1,500億円の影響に加えて、株主還元の予定額7,000億円などを織り込みまして、対前回(予想)8,400億円減少の1兆300億円となる見通しでございます。
Net有利子負債については、4,300億円の現金ポジションの見通しです。フリー・キャッシュ・フローの変動に加えて、株主還元やその他有利子負債変動影響を織り込みまして、対前回(予想)で6,700億円のキャッシュ減となる見通しでございます。
年間営業損益(対前回予想分析)
23ページをご覧ください。営業損益の対前回見通しの分析になります。
前回予想した営業損益は700億円の黒字でございましたが、そこからやや円安傾向になっており、その影響が90億円です。コスト改善は、主に「東芝Nextプラン」を先行的に動かしておりまして、とくに間接費の削減効果が出てきているということで、この効果が98億円ほど出てくるだろうということを入れ込みました。しかし、構造改革の費用を追加で253億円ほど織り込みますので、結果として年間で600億円と、(予想から)100億円のマイナスに修正させていただいております。
今回、構造改革の費用を織り込ませていただいておりますけれども、不採算事業の縮小や製造拠点の統廃合、適正な人員規模を実現するための人員対策などの施策を計画し、そこで想定される費用を織り込ませていただいております。
なかでも人員対策については、エネルギーシステムソリューションやインダストリアルICTソリューションを中心に、人員規模の適正化を実施してまいります。
これにより、全体で約1,060人の人員削減を予定しており、費用総額は約140億円を予定しております。このうち、約90億円が2018年度……とくに下期に発生する見込みでございます。今回の業績見通しに、その影響を織り込んでおります。
なお、この対策実施後は年額で約100億円の人件費抑制効果を見込んでおります。また、人員対策以外の構造改革としては、国内外の拠点合理化などの検討を進めていくための費用を織り込んでおります。
セグメント別②
続きまして24ページです。これが今回見通しのセグメント別内訳になりますので、のちほどご参照いただければと思います。
自己株式の取得
最後になりますが、本日公表させていただいたその他の適時開示の内容について、簡単にご説明いたします。まず、26ページの自己株式の取得についてのご説明になります。
自己株式の取得については、これまで公表させていただいておりますが、今回の9月末を臨時決算日とする東芝単独の臨時決算を実施いたしました結果、1兆1,679億円の分配可能額が確定いたしました。
ここに、今後の東芝単独の損益の見通しや、今後顕在化するかもしれないリスクについて考慮した結果、自己株式の取得規模は、6月に公表させていただいた7,000億円が適正と判断いたしました。
また、自己株式の取得方法については、取得規模が時価総額の30パーセント強となる大規模なものでございます。市場における当社株式の流通量や関連法令などへの適合性も踏まえて、ToSTNeT-3による市場買い付け、および取引一任契約に基づく、立会取引市場における市場買い付けの組み合わせとしております。
取得期間は、2018年11月9日から1年間とさせていただいております。
剰余金の配当
27ページをご覧ください。剰余金の配当のご説明になります。
これまで、自己株式取得による株主還元に加えて、安定的な配当を実施していくことを検討するという旨をご説明してまいりました。
今回、臨時決算を実施し、株主還元を実施するのに十分な配当可能額を確認することができましたので、長期にわたって無配が続いていたことも勘案し、本日、2018年12月末日を基準日とする配当を、1株当たり20円とすることを決定させていただきました。
なお、2019年3月末を基準日とする剰余金の配当についても10円を予定しており、年間では1株当たり30円の配当を予定させていただきます。
LNG事業(フリーポート)からの撤退
28ページをご覧ください。LNG事業からの撤退に関するご説明でございます。
今回、「東芝Nextプラン」のなかで、事業ポートフォリオの見直しを進めた結果、LNG事業についてはその他の事業とのシナジーが期待できず、加えて将来的なリスクの可能性を考え、コア事業として扱わないことを決定し、さまざまな施策を検討してまいりました。
そのなかで、複数の買手候補から提案を受領しましたが、全体的に見て、当社のLNG事業の損失リスクを最小化し、ひいては当社の企業価値向上にもっとも資する提案をいただいた相手先企業を譲渡先と選定しまして、本日、当社としてLNG事業からの撤退を決議いたしました。
これに伴う業績への影響は、先ほど申しましたように約930億円の損失ということが想定されますが、年度見込みのなかに織り込ませていただいております。
また、当社が米国の液化役務提供会社に対して提供している親会社保証がございます。当面の間は残存することが見込まれておりますけれども、当該保証が実行される場合、相手会社が保証することを合意しており、加えて相手先企業による信用補完施策として、5億米ドルの銀行保証状を当社に差し入れることも売却の条件になっております。
これで、当社保証が残存することによるリスクの最小化ができたのかなと考えております。
なお、本件譲渡における譲渡先である相手先企業名については、本日の夕方までの契約完了をもって、速やかに公表させていただく予定でおります。
NuGen社解散
29ページをご覧ください。英国原子力事業NuGen社の解散のご説明になります。
これまでNuGen社の取り扱いについては、当社の原子力事業における海外建設リスクの遮断という基本方針のもと、複数社と株式の売却交渉を進めてまいりました。
しかし、現時点では2018年度中の株式売却のめどが立たない状況でございます。加えて、NuGen社の維持費用の増加も懸念される状況であるため、本日の取締役会で、英国での原子力発電新規建設事業からの撤退を決定し、NuGen社を解散させることを決議いたしました。
これに伴う業績への影響につきましては、約150億円の損失が計上されますが、これも先ほどご説明した2018年度見通しに含まれております。
また、今回の損失のうち100億円程度については、すでに包括損益で悪化が取り込まれているため、株主資本に与える影響については50億円程度であることを付け加えさせていただきます。
今回のLNG事業からの撤退およびNuGenの解散をもって、この数年間かけて行ってきたリスク資産の処理、切り離しについては、一定のめどをつけたと考えております。
以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。