2019年3月期第2四半期決算説明会
新田元庸氏(以下、新田):みなさん、こんにちは。ニッタ株式会社の社長をしております、新田でございます。今年(2018年)は、関西のほうは6月からずいぶん自然災害にやられまして、(大阪府)北部の地震や台風とかが多くずっと続きまして、大変だなと思っていたところ、先週末に2025年大阪万博開催の決定という朗報が舞い込んでまいりました。
私どもといたしましても、ぜひインフラ関係あるいは空調機器関係で、このビジネスチャンスを活かしていきたいと考えております。それではさっそくではございますが、ニッタ株式会社の中間決算説明会をさせていただきます。
目次といたしましては、中長期経営計画(「V2020」)の話、それから中間決算概要、今期の予想プラスアルファで、最後にトピックスという流れでやりたいと思っております。
中期経営計画『V2020』
まず、中計の進捗でございます。
私どもの中計の「V2020」。(2013年3月期~2021年3月期に渡る)3年・3年・3年の計画でございます。フェーズ1・フェーズ2は、順調に推移いたしました。今年(2018年)は、フェーズ3の初年度となります。今期も上半期が終わったところで、後ほど説明いたしますが、売上高もほぼ440億円と(通期売上高目標の880億円に対して)予想どおりに推移しております。
営業利益(率)につきましても、現在のところ7.1パーセントと、若干上方で好調に推移しております。ただ、海外売上比率は、現在のところ21パーセントの進捗でございます。これは主に、国内の売上が非常に堅調といったことによるものです。
今年からフェーズ3が始まっているわけですが、同時に最終年度の2020年度の目標を目指す姿で(スライドの右端に)出しております。
売上高といたしましては、1,000億円。そして、この緑色のラインの新事業・新製品売上比率を25.0パーセント。(黒色の)営業利益率につきましては8.0パーセント。そして、(青色の)海外売上比率は35.0パーセントといった目標を設定いたしました。
社内で、「どのような『目指す姿』にするか?」ということをずいぶんと議論いたしました。その中で(方針としては、売上高で)1,000億円を、1つの規模感としてしっかり目指していきたいといった思いが1つ目。
それから2つ目には、この(新事業・新製品売上比率の)25.0パーセントという数字でございます。私どもの売上の約4分の1が、新しい製品や新しい事業で構成されるという、非常にワクワク感のある新しいものがどんどん生まれてくる、ダイナミックな企業グループを目指そうと思います。
フェーズ3のキーワードは「1,000億円」「25.0パーセント」でございます。
連結損益計算書
次に、中間決算概要を説明させていただきます。
上半期の売上高は439億7,500万円、前年同期比で20.6パーセント増でございました。うち、国内売上は21.6パーセント増、海外売上は10.5パーセント増。国内・海外とも、順調に推移いたしました。
営業利益は31億2,500万円、前年同期比で8.8パーセント増。ここのところは、原材料価格の高騰もございまして、上半期のところで約1億円ほど、原材料費が効いております。あと、ずいぶん先行投資をしてきております。名張工場あるいは海外工場等、これからの需要増に備えていろいろな投資をしております。
経常利益は62億2,600万円で、前年同期との比較では若干の減少となっております。中身につきましては、為替差損が2億円ほど効いております。あと、ここのところでありますのが、持分法適用会社(の業績堅調)でございます。こちらにつきましては、2社とも順調に推移しております。
売上高のところで74億9,800万円増加しておりますが、前回よりご説明させていただいております、ニッタ加工品。今期から、加工品の業績が取り込まれております。そこの加工品の売上は後ほど出てまいりますが、61億円ほど入っております。それを取り除いたところの既存事業という意味では、3.3パーセントの増になります。
セグメント別業績(前年同期比)①
それでは、それぞれのセグメントについてご説明いたします。まずはじめに、ベルト・ゴム製品事業であります。
国内は、物流業界向けの主にEコマース関係で、非常に投資が盛んでございます。物流業界あたりに、私どもの製品が入っております。また、釣銭機向けも堅調に推移しております。コンビニエンスストアであったり、スーパーマーケットであったり、人手不足の中で、このような自動化がどんどん進んでいる。そのような機器に、私どものベルトが入っております。
海外におきましては、やはり同じく物流関係が非常に順調でございます。また、繊維機械関係も順調に推移しました。
よって、売上高は7.1パーセント増、営業利益は15.5パーセント増となっております。利益が大きく伸びておりますのは、主にボリュームのインパクト。また、ベルト製品の中でも、とくに利益率の高い製品を大きく伸ばせました。
セグメント別業績(前年同期比)②
次に、ホース・チューブ製品事業でございます。
国内におきましては、半導体製造装置向けあるいは建設機械業界です。こちらが、堅調に推移しております。海外におきましても、やはり建設機械業界が順調に推移しました。
売上高は2.5パーセント増でございます。とくにホース関係で、一般産業向けが堅調に推移いたしました。オート関係も順調に推移いたしましたが、自動車会社の設備に入るメカトロ製品は、自動車会社さんの投資の先行き、あるいはどこに投資するかが非常に不透明なところもあって、そのあたりの投資は若干先送りになっているといったところが、マイナス要因となっております。
営業利益につきましては、13.5パーセント減になっております。ここのところは、とくに新工場と名張に第4工場を建てる等、いろいろな先行投資をやっております。営業利益段階で、そのあたりの償却費が効いています。あとは、自動車関係のプログラムの立ち上がり、あるいはプログラム終了のギャップがちょうどありまして、そこが利益に貢献できなかったところであります。
セグメント別業績(前年同期比)③
3つ目のセグメントとして、今期から新しく加わった化工品事業がございます。
化工品事業は、売上高が61億3,900万円、営業利益が3億1,700万円でございました。加工品事業の中でもとくに好調だったのが、空気バネあるいはクリーニングブレードと言われる高機能製品が順調に推移いたしました。
ここ(スライド右上)の、お盆のような形をしたものが空気バネでございます。鉄道車両を支えるところに、このような空気バネが使われております。国内の鉄道会社はもとより、海外の鉄道会社にも広くお使いいただいている製品でございます。
セグメント別業績(前年同期比)④
次のセグメントといたしまして、その他産業用製品がございます。この中身は、空調製品・デバイス製品、それから浪華ゴムの医療関係製品になります。
売上高は0.6パーセント増、営業利益は2,300万円減になっております。これは主に、空調製品(の新規物件増加によるものです)。みなさんもご存じのとおり、最近は日本各地で、新築物件がずいぶん建てられております。
新規物件の増加にともない、リクエストの関係で多少利益率が悪いこともございまして、売上高は順調に伸びたものの、利益が若干下がったのが理由でございます。(感温性粘着シートの)「インテリマーテープ」におきましては、電子部品等が好調に推移しております。
セグメント別業績(前年同期比)⑤
それでは、不動産事業・経営指導事業・その他でございます。
こちらは不動産事業で、テナントの入退去のタイムラグ等で、若干のマイナスでございます。
四半期別業績推移
それでは次に、四半期別業績推移です。四半期ごとに棒グラフで、それぞれの事業を色分けして載せています。
四半期ベースでは、売上高・営業利益とも過去最高となっています。一番上の薄いブルーがベルト・ゴム事業でございます。2つ目の濃いブルーがホース・チューブ事業、そしてオレンジがニッタ化工品の部分であります。
折れ線グラフでは(ピンクの)営業利益と(オレンジの)経常利益が、このように推移しています。
売上高増減(地域・セグメント別)
次に、売上高の増減を、地域別・セグメント別にウォーターフォールチャートに載せています。国内・欧米・アジアとなっています。
事業別でいきますと、ベルト・ゴム事業が国内・欧米・アジアと全地域で順調に伸長したところになります。
ホース・チューブ事業においては、国内は非常に順調に推移しましたが、海外はほぼフラットとなっています。
そして、化工品事業。これは、国内とアジアの2つに売上が分かれます。このあたりが、それぞれ貢献しているということでございます。
地域別売上概況 ベルト・ゴム
それでは、ベルト・ゴム事業の地域別の詳細について説明させていただきます。
まず、ベルト・ゴム事業でございますが、前年同期比で7.1パーセント増えています。アジアで14.7パーセント、欧米で9.6パーセント、国内で4.6パーセントの増加。
まず、アジアからまいります。アジアは、中国のキャッシュレス化の話の中で、ATMの需要(金融機器向け)が若干減ってきている。その中で、逆に繊維機械向けは好調に推移いたしました。私どもの繊維機械用のベルトと申し上げますと、紡績機械等々に平ベルトが使われますが、私どものベルトの長寿命化、あるいはローカルのOEMのお客さまに信頼を受けて、受注を増やしているところでございます。電子部品向けは、主にその電子部品の製造工程で使われるベルトが、順調に推移しているということでございます。
次に、欧米です。欧米の搬送用ベルトは、とくにヨーロッパでございます。ヨーロッパでコンベアベルトを製造・販売しています。こちらの販売が拡大しています。金融機器向けも、ヨーロッパでATM向けの需要が増加しています。
「ヨーロッパでキャッシュレス化は進んでないのか?」という話を聞きますと、どうもヨーロッパは、キャッシュディスペンサーと言われる、いわゆるお金を払い出すところの機器は多くあるのですが、中でお金を管理をさせる機器がそれほど普及していないところでございます。現在、ヨーロッパでも人手不足になっていまして、お金を継ぎ足して入れていく業務に手が回らない。そのようなところで、ATMの需要が伸びているところでございます。
次に、アメリカでございます。アメリカの物流向け……当然Amazonとか、いろいろなEコマース関係が増えています。私どものベルトは、物を運ぶところのベルト、あるいはローラーを駆動するところのベルトで使われています。
最後に国内も、やはり物流・搬送関係(向けが好調です)。それから、先ほど申し上げたコンビニなどの釣銭機関係。そして工作機関係などが、非常に好調に推移したところでございます。
地域別売上概況 ホース・チューブ
次に、ホース・チューブ事業であります。ホース・チューブ事業は、売上高全体で2.5パーセント増となっています。
アジアでは、中国の建設機械向けが堅調に推移いたしました。ただ、中国あるいは韓国の自動車向けが、若干低調に推移したところでございます。とくに韓国の自動車メーカーは、世界的に、若干競争力が落ちているところではないかと思っています。
2つ目に、欧米向けでございます。欧米では、アメリカ向け韓国車が低調。(要因は)先ほど申し上げたとおりでございます。
それから国内は、6.9パーセント増加しています。とくに、建設機械あるいは特殊車両関係が順調でございました。そして半導体・液晶関係、また自動車向けも、国内は堅調でございます。
地域別売上概況 その他産業(空調製品、デバイス、浪華ゴム)
その他産業の空調製品・デバイス・浪華ゴムでございます。
アジアでは「インテリマーテープ」……これは製造工程で使われる製品でございますが、スマホなどのパネル向けが低調に推移いたしました。
国内では空調製品が、とくに新規物件で堅調に推移。また、「インテリマーテープ」も、電子部品向けは堅調に推移したということでございます。
海外売上高推移
これは、海外売上高推移でございます。
海外比率は、毎年若干減少しています。これは、先ほどから申し上げていますとおり、国内の売上は非常に堅調に増えているところで、比率的には海外売上比率が少し下がっているところでございます。
持分法投資利益の推移
次に、持分法投資利益の推移であります。ゲイツ・ユニッタ・アジア(GUA)と(ニッタ)ハースの合算で、投資利益の推移を棒グラフにしています。
ゲイツ・ユニッタ・アジアにおきましては、とくに日本・中国が、一般産業および自動車で好調に推移いたしました。
ニッタハースの事業につきましては、ロジック関係で若干の在庫増加等の減速はございましたが、メモリあるいはシリコン向けが増加して、順調に推移しているということでございます。
連結業績予想
それでは、2019年3月期の業績予想になります。
2019年3月期は、売上高は880億円、営業利益は56億円、経常利益は121億円、当期純利益は96億円としています。これでいきますと、売上高・営業利益・経常利益・純利益で、過去最高を更新するかたちになろうかと思っています。
ただ昨今、米中貿易摩擦の話とか、いろいろと問題もありまして、上半期の進捗という意味では、若干早めに進捗しているところもございますが、通期予想は据え置きとしています。
配当につきましては、年間で、1株当たり3円増配の66円を予定しています。
トピックス:新事業・新製品
それでは次に、トピックスであります。
圧力センサという製品を、私どもはずっと手がけてきているわけでございますが、この上期の新製品でまいりますと、このたび高い熱にも耐える圧力センサ(「耐熱感圧センサシート」)を開発いたしました。
従来品は、いわゆる80度程度の耐熱性で、実際に高温度の環境下で使われる場合には、一度温度を落として圧力を測ることが必要でございましたが、今回、200度まで耐える圧力センサを開発いたしました。実際に使われる環境下で圧力も同時に測れるといったところで、主に電気あるいは電子部品、そのような製造ラインにお使いいただけると思っています。
2つ目は、その下にまいりまして、バイクフレーム「AEROFLIGHT」でございます。ニッタがずっと開発してまいりましたカーボンナノチューブを、ヨネックスさまにご採用いただきました。一番はじめに製品化されたのが、ヨネックスのバドミントンラケット。その次がテニスラケット。そして、ゴルフクラブのシャフトと展開されてきまして、このたびはさらに、自転車のフレームにも採用されています。
今までのラケット関係は、主にしなって戻る特性を活かした、私どものNamd技術の展開でございました。今回の自転車の場合は、とくに耐衝撃吸収性能が非常に高いといったところで、ご採用いただいています。自転車はいろいろな路面を走るわけですが、私どものNamd技術で衝撃を吸収できると(いうことです)。
スポーツ用品というアプリケーション、プラスアルファ、私どものNamd技術を一般産業分野でもなんとかお使いいただけるように、展開していきたいと思っています。その中で耐衝撃吸収(性能に優れたもの)が私どもの製品の中から生まれることは、新しい展開の可能性だと、私どもは考えています。
そして3つ目は、右上になります。ロボットハンド「SOFTmatics™(ソフマティックス™)」の実用試験を開始しています。この製品は、いろいろな食品業界に「いろいろなものをつかめるロボットハンド」といったところで(展開を)やってきています。動画がございますので、見ていただきたいと思います。
(「SOFTmatics™」が、右側のおぼんに載ったトマト・唐揚げ・カステラ・千切りの野菜を左側のおぼんに移す動画が流れる)
新田:これが、ミニトマトです。3本の指で掴んでいます。これは唐揚げです。これも少し指の形状を変えて5指。これは2指……2本の指です。これはカステラです。これは、千切りのキャベツとかお野菜です。
このように、つかむ対象物によって指の数だとか、指の形状とか長さを変えながら対応できる、非常に使いやすいロボットハンドだと言っています。現在、人手不足がいろいろな方面で言われていますが、食品業界にも自動化が、今後どんどん必要になってくるだろうといったところでの開発商品でございます。
トピックス:Nitta Corporation India 新工場
あと、この上半期での立ち上げといたしましては、インドの新工場でございます。
プネというところにございまして、ベルト製品あるいはホース・チューブ製品の最後の仕上げ、あるいは在庫。それから、いわゆるセットメーカーさんへの納品を、一手にできる拠点を設けています。
ニッタブランド戦略
私どもは昨年(2017年)新しく、経営理念の「Going ahead with you」を発表いたしまして、社内外でそのコンセプトの周知徹底を進めています。それに併せまして、社外の方々にも「ニッタは変わったな」と言っていただけるように、ブランド戦略もやっています。
これは一部(の例ですが)、海外・国内での展示会のブースでございます。そのようなところにも、新しいデザインモチーフを使いながらやっています。
左上は今年(2018年)やりました、ベルリンの「InnoTrans」と言われる展示会。ここでは新しくグループ化した、ニッタ加工品の空気バネを展示しています。あとは右にいきますと、繊維機械展としての「ITMA」。中国(の上海)です。
それから東京では、「国際工作機械見本市(JIMTOF)」。そして一番右の「機械技術要素展」と、私どものいろいろな製品が各方面に向かっていますので、いろいろな展示会でどんどんPRしていくということでございます。
また、(新デザインの)いろいろなカタログ・会社案内とか、名刺等も縦型に変えまして、ニッタグループは心機一転しながら、さらに「V2020」の目標達成に向けて、がんばっていきたいと思っています。
私からのご説明は、以上でございます。どうもありがとうございました。