2018年3月期決算説明会

新田元庸氏:どうも、みなさんこんにちは。ただいまご紹介にあずかりました、ニッタ株式会社の新田でございます。今日はお忙しい中、ニッタ株式会社の決算説明会に(足を)お運びいただきまして、ありがとうございます。それでは、さっそくですが、説明を始めさせていただきます。

まず初めに、表紙でございます。ニッタ株式会社は、昨年(2017年)新しく経営理念をやり直しました。その中で、いろんなブランド戦略を世界レベルで展開します。(取り組みの)1つとして、パワーポイントのテンプレート。これも新しくいたしました。新しいデザインの開発の中で、いろんなメッセージをみなさまに届けていきたいと思っております。

この表紙のイメージは、「明るい未来に向かって、しっかりフォーカスしながら取り組んでいきます」ということです。本日の説明は、私どもが進めております中長期経営計画「V2020」の進捗のお話、2018年3月期の決算概要、今期の予想、そして最後にトピックスでございます。

中期経営計画『V2020』

まず、中計の進捗状況でございます。「V2020」(と言い)、私どもとしては「ソフトマテリアル『複合化技術』のグローバルNo.1パートナー」といったところで、(2013年3月期から2021年3月期の)9年間、中計を進めております。決算期(2018年3月期)のところは、ちょうどフェーズ2の3年目でございます。

フェーズ1の600億円という目標(の達成に続き)、また、フェーズ2の当初目標の700億円が(2018年3月期の実績は)729億円といったところで、フェーズ1・2に続きまして、売上目標を達成いたしました。そして、新製品売上比率です。ここは10パーセントを掲げておりましたが、若干下回り、9.4パーセントとなりました。

それから営業利益率は、7パーセントを掲げていたところが6.8パーセント(となり)、ほぼほぼ目標レベルといったところです。

それから、最後に挙げているものは、海外売上比率でございます。決算期は、国内景況も非常に良かったところなどもございまして、31.3パーセントという結果でございました。

全体としまして、「V2020」は非常に順調に推移しているといったところでございます。

連結損益計算書

次に、決算概要でございます。売上高は729億6,000万円。86億円増えまして、対前年度比で13.4パーセント増であります。売上高は、過去最高を更新しているというところでございます。国内・海外とも12パーセント増といったところで、順調に増加いたしました。

為替の影響は、8億4,500万円のプラスでございます。決算期が1ドル112円、その前の期が109円でございますので、若干円安効果が売上に効いているというところでございます。

次に、営業利益は48億6,400万円。対前年度比で13.4パーセント増であります。営業利益レベルでは、いろいろな先行投資をやっております。そのあたりによる販管費の増加、あるいは、昨年(2017年)実施いたしました、浪華ゴム工業あるいは化工品事業の株式取得の費用が計上されております。

ただ、トップラインが伸びておりますので、そのあたりの増収効果あるいは原価低減といったところが、増益に寄与しております。営業利益レベルでの為替影響は、6,500万円のプラスというところであります。

経常利益は115億700万円といったところで、19.1パーセント増となりました。これは、ゲイツ・ユニッタ・アジアあるいはニッタ・ハースなどの持分法適用会社が、2社とも非常に順調に推移したといったところで、持分法投資利益増加が8億8,200万円となりました。ここでの為替影響は、7,900万円でございます。

全体としては、売上・利益とも過去最高という結果になりました。ROEは、9.7パーセントであります。

セグメント別業績(前年同期比)①

それでは、各セグメントごとの説明に移らせていただきます。まず初めに、ベルト・ゴム製品事業であります。このセグメントは、国内においては通販が増える中での物流業界向け……これは主に、コンベアベルトであったり、物流センターに導入される物流システムであったり、そういった関係になります。これが、非常に好調だったと(いうことです)。それから、コンビニやスーパー等に入っていく釣銭機といったところにも、ベルトが入っています。

海外は、同じくAmazon等の物流関係。それから中国では、繊維機械業界向けが順調に推移しております。結果といたしまして、売上高は8.3パーセント増。利益面でいきますと、10.8パーセントの減というかたちになっております。

この主な原因は、ヨーロッパにおける原材料費の高騰、あるいはアメリカの積極的な工場の拡張、あるいは設備の導入を進めておりますので、その関係の償却費増等でございます。

セグメント別業績(前年同期比)②

それでは、2つ目のセグメントの、ホース・チューブ製品事業であります。国内・海外(ともに)順調でございました。国内は、とくに建設機械業界向けあるいは半導体製造装置関係が、順調に推移したと(いうことです)。

海外においても、建設機械向けは順調に推移しました。それから、自動車向けのチューブ関係も増加しております。その結果、売上高は14.6パーセント増、利益も20.9パーセント増という結果になりました。

セグメント別業績(前年同期比)③

それでは、3つ目のセグメントでございます。その他産業用製品事業というかたちで表記しておりますが、その中身といたしましては、(スライドの)右の写真にございます。エアフィルター関係の空調製品、それからデバイス関係……これは、(感温性粘着シートの)「インテリマーテープ」であったり、センサー関係でございます。そして、昨年(2017年)5月に株式取得しました、浪華ゴム工業の事業でございます。

売上高は28.7パーセント増、利益は4億4,700万円の改善といったところになっております。この中で、浪華ゴムの貢献ということで言いますと、売上高で15億円、営業利益で1.4億円増えております。決算期におきましては、9ヶ月分の合算ということになります。

セグメント別業績(前年同期比)④

最後は、その他事業でございますが、(具体的には)農林事業あるいは事務所の賃貸等でございます。売上高が3.9パーセント増、利益も8.1パーセント(増)といったところで、順調に推移しております。

四半期別業績推移

次に、四半期別の業績の推移の表であります。各セグメントごとに、棒グラフの中で色分けしております。それぞれ、ベルト・ゴム事業、ホース・チューブ事業、その他といったところで、それぞれ決算の様子を見ていただけるかと思います。

利益については、営業利益で、とくに第4四半期のところが下がっております。ここは、期末にいつも入ってくる修繕費等々の費用が増えたこと、それから先ほど少し申し上げました、M&A関係の費用といったところが含まれております。

売上高増減(地域・セグメント別)

これは、地域別のそれぞれのセグメントの増減をウォーターフォールチャートにしております。一番左の国内のところで、各セグメントがそれぞれ順調に増加したということが、見ていただけるかと思います。あと、欧米(が続きます)。それから、アジアではホース・チューブ関係が大きく伸びております。

地域別売上概況 ベルト・ゴム

それぞれ、セグメントの地域ごとのご説明を、次のページからさせていただきます。まずは、ベルト・ゴムセグメントでございます。

アジア地域においては、10.2パーセント増。繊維機械関係は伸長いたしましたが、中国の金融機器向けが、やや減速しております。

欧米関係は、6.9パーセント増。主に、搬送用のコンベアベルトが(堅調に)出ております。

そして、国内においては8.3パーセント増。先ほど申し上げました物流関係、それから釣銭機関係、それから工作機械向けです。工作機械の需要も、非常に順調でございました。

地域別売上概況 ホース・チューブ

次に、ホース・チューブセグメントであります。

アジアは19.8パーセント増。これは主に、中国の建機向けが順調に推移したということです。それから、韓国の半導体製造装置向けのチューブ関係も、順調でございました。

欧米は1.6パーセント増。アメリカでの建機向けのホース類が、順調に伸長したということでございます。メキシコの自動車事業日系メーカー向けが順調に推移いたしましたが、韓国向けが若干減少したといったところでございます。

国内は14.7パーセント増。他の地域と同じく、やはり建機が順調であったり、あるいは特殊車両等(が堅調だったということ)です。トラックの荷台のところが横に開く、ウィング車。そういったところの需要が、非常に順調でありました。そして、半導体・液晶製造装置向けのホース・チューブ(も堅調)です。

そして、自動車向け製品(も堅調です)。これは、自動車の製造ラインに入るオートツールチェンジャーと言われる、ロボットの手首のところにつく機器でございます。前年度は、大手メーカーが、大きく車の製造ラインの変更をなさいました。そのあたりで、私どもの機器類を、溶接のラインなどに使わせていただいております。

地域別売上概況 その他産業

その他産業セグメントは、アジアは12.8パーセント(の増)と(なりました)。これは、アジア地域での「インテリマー」が、堅調に推移したということがあります。

そして、国内のところは30.4パーセント増となります。先ほど申し上げましたが、国内で(売上高が)22億円ほど増加しておりますが、そのうちの15億円が浪華ゴムによるものでございます。

海外売上高推移

海外売上高の推移でございます。決算期(2018年3月期)は、(2017年3月期の)32パーセントから31.3パーセントまで、(海外売上高)比率という意味では落としております。ただ、とくに国内の業績が非常に良かったところ……浪華ゴム工業の事業は国内でございますので、そういった追加があったというところで、比率的には若干下がったというところでございます。

持分法投資利益の推移

持分法投資利益の推移でございます。主にタイミングベルトを主にやっておりますGUAグループ、それからハースグループともに、順調に推移いたしました。

GUA社におきましては、日本国内と中国が非常に順調だったというところ。それから、ハースグループは、半導体業界が非常に順調な中、CMP(Chemical Mechanical Polishing)製品が売上を伸ばしたということでございます。

連結業績予想

次に、今期2019年3月期の業績予想でございます。前期の売上利益が過去最高だったことで、今期も売上・利益はともに増加というかたちの予算となっておりますので、「過去最高を更新しますよ」という予算になっております。

まず、売上高でございます。決算期(2018年3月期)は、729億6,000万円でございます。(そこから2019年3月期は)150億円プラスされまして、売上高が880億円となっております。

この内訳でございますが、880億円の中には、昨年(2017年)12月末にニッタ化工品株式会社の株式を取得しております。それが、今期はフルイヤーで合算されてまいります。金額としては、今期は130億円を見ております。

それから、浪華ゴム工業も残りの分……前期が(5月に株式取得をしてからの)9ヶ月分でございましたので、増加分という意味では5億円ほどとなっております。それらを除いたところでも、既存ビジネスのところは、約3パーセントの増となっております。

営業利益は、(2018年3月期の)48億6,400万円が(2019年3月期は)56億円という数字になっております。ここのところは、増加分の中で加工品の利益が約6.6億円となっております。今期の想定為替レートは、105円としております。

設備投資額は、決算期が39億9,500万円ということで、今期もほぼ同額の40億円をおいております。内訳としましては、国内が約30億円、海外が約10億円でございます。国内は、主に自動化の投資、あるいは増産対応の投資というかたちでございます。また、この国内の中の分にはニッタ化工品も5億円ほど設備更新の予算が入っております。

海外は、主に増産対応というところ、それから新規設備もオランダあるいはアメリカに入っていくかたちでございます。

原材料のコスト関係でございますが、前年度もすでにいろんな材料の値上げの話があった中で、いろいろ値下げ交渉もしつつ、影響額が非常に少なくなっていました。ただ、今期はゴムやカーボン、ナイロン関係とか、そのあたりで非常に需給バランスが崩れている中で、値上げの話が出てきております。実際には交渉後のことなのでわかりませんが、1億円から2億円くらい、今期のところは原材料が上がっているように思います。

中長期経営計画『V2020』フェーズ3①

それでは、トピックスに移ります。

最初のトピックスは、冒頭にご説明いたしました、私どもの中長期経営計画「V2020」のフェーズ3でございます。フェーズ3の計画につきましては、前年度、各事業部・各部門で3年間の計画を練り直しました。そういった中で、フェーズ3の最終年度の数字も、若干訂正しております。

まず売上高は、「V2020」9年間で800億円というのが当初の目標でしたが、フェーズ2のいろいろな取り組みを通して、フェーズ3はなんとか1,000億円を目指していこうという数字にしております。

1,000億円の数字の中は、既存事業でほぼ800億円(ということで)、当初予想の数字でいけるかなと思っております。あとはニッタ化工品、それから浪華ゴム工業のところで、しっかり回していきましょうと。ただ、積み上げの中でも数十億円ほど、まだ見えてこないところがございます。そのあたりを、引き続き新事業等の探索を進めながら、なんとか1,000億円を目指したいと考えております。

そして、新事業・新製品売上比率という目標を掲げております。これは、私どもニッタグループの中で、新しく売上に貢献する新製品、あるいは既存の事業ではなく新しくグループ化してくる事業等を、フェーズ3に入れております。

そういうかたちでまいりますと、最終年度の2021年3月期では、新事業・新製品が我々のグループ全体の25パーセント(となり)、約4分の1が、新しい事業・新しい製品で構成されるというかたちになろうかと思っております。

2つ目の指標の営業利益率は8パーセント、それから3つ目の指標の海外売上高比率は35パーセントでございます。

そして、もう1つ(の指標が)配当還元の方針でございます。フェーズ3の期間におきましては、連結配当性向を20~30パーセントを目安に、安定的かつ着実な配当を継続的に実施していきたいと考えております。

中長期経営計画『V2020』フェーズ3②

このフェーズ3の計画を進めるにあたりまして、私どもは「3大チャレンジ」といったものを設けております。フェーズ3の中におきまして、さらに進化させた3大チャレンジです。

まず1つ目は、新事業・新製品の創出と成長というところでございます。フェーズ2では「新製品の創出」というところを重点に加えておりましたが、「新事業」のところの成長、またグループ間でのシナジーといったものを、しっかり作り上げていこうというところでございます。主に「シナジー分野」と言われるものは、技術・製造・管理部門です。ここで、シナジーをしっかり生み出していきたいと思っております。

2つ目のチャレンジは、グローバルマネジメントの推進でございます。フェーズ2の中でも「グローバル化の推進」というかたちで入れておりましたが、とくにフェーズ3においては「マネジメント」という側面を追加しております。

1つは、冒頭の表紙(のご説明)で少しお話しさせていただきました、(NITTA)ブランド力の強化。そして(グローバル)人材育成のところや、コーポレートガバナンス、コンプライアンスの品質管理というところの強化がございます。従来、グローバル化は事業部主導で事業展開してまいりました。フェーズ3では、そこにしっかりと横串も入れていきましょうというところでございます。

3つ目のチャレンジは、トータルコスト競争力の向上でございます。1つ目に挙げておりますのが、生産技術の革新ということ。私どもはものづくりの会社でございますので、新しい生産プロセスといったものを、しっかり作りこんでまいりたいと。

また、最近人手不足の部分もございまして、私どもの生産ラインでも自動化やロボット化といったところを、積極的に対応していきたいと。また、AI分野もしっかり勉強しながら、いろんなプロセスの中で、積極的に活かしていきたいと思っております。

2つ目の、現場改善活動。これは、ニッタが30年続けておりますトヨタ生産方式、それを技術的にしっかり進めていく、あるいは新しく加わったグループ間で、広げていくというかたちでございます。

3つ目の業務改革の話は、すでに3年目になりますが、間接部門の自工程完結といったものを、しっかりと進めていこうと思っております。たくさんの大きな成果が表れております。従来、1つの業務の中だけでの改善・取り組みは、いろいろされてきましたが、それを前工程・後工程をつなげてプロセスとして、全体の効率化を図るといった動きは、これからもさらに必要になってくると考えております。

トピックス:新事業・新製品

次に、新事業・新製品の中長期的なところのトピックスでございます。(1つ目は)昨年(2017年)12月27日に、ニッタ化工品株式会社の株式を100パーセント取得いたしました。

2つ目のところに挙げておりますのは、ニッタが10年来開発を続けてまいりました、カーボンナノチューブ。これを昨年、ヨネックスさまに本格的に採用していただきました。

一番初めに展開していただいたのは、バドミントンラケット。それから、現在はゴルフクラブのシャフト、あるいはテニスラケットといったところに、ニッタのカーボンナノチューブを使っていただいております。「Namd(エヌアムド)」といわれるのは、ニッタの「N」と「amd」……「鎧を着た」という英語で作られた、造語でございます。これは、ニッタの商標でございます。これをしっかり使っていただいて、しなって戻るといわれる特性でもって、やっていただきたいと思っております。

トピックス:NITTAブランドスタイル

それから、ブランド戦略の中で1年間、インナーブランディングということで、社内の意識を揃えていき、ブランドの価値をしっかり理解することをやってまいりました。2年目に入りまして、アウターブランディングというものをしっかり意識しながら、やっていこうと思っております。

(スライドの)左側の広告は、東京駅の新幹線中央改札口を出たところにございます。そして右の広告は、(当社の)大阪本社の最寄り駅である大阪環状線大正駅のところにございます。それぞれ、新しく開発したデザインをコンセプトにした広告になっております。

また、右の本社大阪ビルは、津波避難ビルとして指定していただいております。地元の住民の方にも、広くそれを知っていただこうというところです。

トピックス:名張工場 第4工場棟竣工

あとは、ホース・チューブの工場である、三重県の名張工場。こちらの第4工場棟が竣工いたしました。ホース・チューブの需要が増える中で、オート用製品の製造ラインはこちらに集約して、物の流れ化、そして採算性の向上を目指したいと思っております。

私から、ざっとではございますが、ご説明させていただきました。