2018年3月期通期 決算概要

岡本伊久男氏(以下、岡本):こんにちは。いつもは決算説明会を茅場町でやらせていただいているのですが、今日は、初めての当社オフィスでの決算説明会になりました。遠いところまでお越しいただき、ありがとうございます。

それでは、さっそくですけれども、2018年3月期通期決算の説明会を開始させていただきたいと思います。

まず最初に、決算概要になります。

売上高につきましては、前期比16.4パーセント増の21億6,500万円。また、営業利益・経常利益・当期純利益の各段階利益については、それぞれ(前期比)70パーセント以上の成長を遂げております。営業利益で74.3パーセント増、経常利益で86.1パーセント増、当期純利益で99.3パーセント増というかたちで着地しております。

また、事業の選択と集中、それから生産性の向上による粗利率の上昇・売上高販管費比率の低下により、営業利益率が前期比で5.3ポイント上昇しておりまして、(それにともない)各段階利益についても、同様に上昇している次第です。

売上高(3カ年推移)

それでは、この売上高について、過去3カ年の推移をご覧いただきますと、2018年3月期は創業以来、過去最高を更新しております。

内容としては、インバウンドマーケティングメディアの「ZEKKEI Japan」を、前々期はやっていたのですが、それを前期末に譲渡いたしました。そのため、その分の減収がありましたが、主力のマーケティング事業において、SNSマーケティングやエディトリアル広告(タイアップ広告)、それからアドテクノロジー関連サービスなどが(継続)成長したことによって、最高売上を達成できたということです。

また、ギフトEC事業(「Anny magazine」)についても、順調に事業成長をしております。

売上高(四半期推移)

続いて、売上高の推移をもう少し細分化して、ご覧いただきます。これは、四半期推移になっております。

この2018年3月期第4四半期にフォーカスして見ますと、売上高が6億1,000万円で、前年同期比で12.6パーセント増です。これは、四半期ベースでいうと、過去最高の売上高となっております。

営業利益・営業利益率(3カ年推移)

続いて、営業利益・営業利益率の3カ年推移をご覧いただきます。

まず、営業利益については、この2016年3月期から2018年3月期の2年で、約12倍になっております。営業利益率については、2018年3月期は16.0パーセントになりますので、2年前(1.9パーセント)と比較すると、14ポイントほど向上しているということです。

増収効果に加え、顧客への提供サービスの見直し……要は、粗利率が相対的に高くないものは提供を減らしていきながら、効率的なサービスポートフォリオを組んできたということになります。

そのような見直しと、社員1人当たりの生産性の向上による人件費効率の改善、それから新規事業の選択と集中によるコスト削減を進めた結果、売上高販管費率が低下し、営業利益の大幅増加を実現しております。

この新規事業の選択・集中につきましては、我々はだいたい3カ年くらいで見ております。その中で、利益面というところは重要ではあるのですが、サービスのグロースが望めるかどうかを見ながら、「なかなか難しそうだ」あるいは「単体では難しそうだ」というところは、(事業を)売却あるいは閉じるということをしますし、伸びる余地があるところに関しては、3年くらいできちんと仕上げていくかたちで基本的には考えて、運営しております。

営業利益・営業利益率(四半期推移)

続きまして、四半期ベースでの営業利益・営業利益率の推移です。この2018年3月期第4四半期の営業利益は1億400万円で、前年同期比で約21.8パーセント上昇しております。営業利益率は17.2パーセントで、これも前年同期比で1.4ポイント上昇しております。

第3四半期比での営業利益は、こちら(のグラフ)をご覧になるとおわかりのように、1億1,700万円と(なっており)第4四半期を上回っているので、四半期ベースでは営業利益が落ちているかたちになります。この理由としましては、(2018年4月の)新オフィスの移転に備えた前オフィスの減価償却の加速処理ですね。そして、事業開発に伴う先行投資なども行った結果、コストが一時的に増加したことによるものです。

ROE・1株当たり配当額(3カ年推移)

続きまして、ROE・1株当たり配当額の3カ年の推移について、ご覧いただきたいと思います。

まず、ROEにつきましては、この2年で(2016年3月期の)2.8パーセントから(2018年3月期は)14.7パーセントとなりました。資本効率に関しましては、きちんと管理しながら(今後も)向上を目指していきたいと考えております。

配当額につきましても、この2年間で(2016年3月期の)7円から(2018円3月期の)24円に、17円増配しております。配当の基本方針としましては、投資と配当のバランスをきちんと見ていきたいと。

我々はまだまだ小さい会社ですので、きちんと先行投資を行って、成長率を担保していくということが、非常に重要です。その上で、バランス良く配当も継続的に増加させていけるように、がんばっていきたいと考えております。

続きまして、マーケティング事業の概要と戦略(のご説明)に移りたいと思います。こちらは、担当役員の黒川から、ご説明させていただきます。

マーケティング事業の概要

黒川涼子氏:黒川と申します。本日は、ご来場いただきまして、ありがとうございます。

私から、マーケティング事業の概要と戦略について、お話をさせていただきます。まず、マーケティング事業の概要です。

あらためて、事業モデルのご説明になります。私たちは、主にメーカーさまが中心となりますが、クライアント企業さまの商品およびサービスのプロモーション・PR活動の支援を行っております。

商流といたしましては、クライアント企業さまとの直接のお取引のケースと、広告代理店さま経由のケースの2つがございます。

提供しているものとしては、トレンダーズが創業当初より強みとして行っております、女性を中心とした生活者インサイトの(把握・)分析および、世の中でどのようなものが今トレンドになっていて、それがなぜ流行っていて、今後どのようなものが流行っていくのかという、トレンド分析。

この2つのマーケティングメソッド・ノウハウを強みとしながら、自社メディアおよび自社のインフルエンサーネットワークによるメディアやSNSといった、デジタル領域での情報拡散。このようなところを、企業さまにご提供しております。

このようなところによって、クライアント企業さまの商品・サービスを生活者の方に、よりわかりやすく適切なかたちで情報を届けるというところが、マーケティング事業の概要となっております。

次世代型マイクロマーケティング

続きまして、「次世代型マイクロマーケティング」というところが、今私どもトレンダーズが提唱をしている、マーケティングの新しいかたちと考えております。

これがどのようなものかをご説明させていただきます。普通の言い方ですと、「マスマーケティング」という言葉自体は、みなさまも聞き馴染みがあるのではないかなと思うのですが。企業が生活者に対して……例えば、代表的なものはテレビCMだと思うのですが、1つのメッセージをとくにセグメントをせずに、大量投下をして、たくさんの生活者に届けるというのが、従来型のマスマーケティングだとします。

私たちは、テレビCMのようなマス広告は提供しておりませんが、ターゲットを決めてセグメントをして、セグメントしたターゲットに対して適切なかたちでコミュニケーションをとり、それを最適に届けるためのマーケティングソリューションを選定するというかたちで、ターゲットごとにメッセージや手法を変えて、特定のターゲットに対して確実にリーチをしていくことを行っています。これが、私たちが考えるマイクロマーケティングのあり方だと思っています。

ここについては、これからもう少し、詳細をお話ししてまいります。

市場環境の変化① <生活者の多様化>

その前に、トレンダーズのマーケティング事業の領域を取り巻く市場環境を、我々がどうとらえているのかというところを、ご説明させていただきます。

まず1つ目は、「生活者の多様化」というところです。先ほどのマスマーケティングからマイクロマーケティングへの(移行の)大きな背景になるのですが、今はご存じのとおり、男女問わず、非常に価値感や生活スタイル等が多様化していると思っております。

私たちは、創業当初は女性マーケティングに特化して、中でもF1層……最近ではあまり聞かない言葉になりましたが、F1層マーケティングに、十数年前までは注力しておりました。

あらためて、この「F1層」とはなにかというと、「20~34歳までの女性」を指す言葉です。(この言葉が使われ始めたのは)かなり前になりますが、F1層というくくりが、当時は画期的だったわけです。(しかし)ご承知のとおり、女性を20~34歳までのひとくくりにしてマーケティングして、なにかメッセージを届けるというのは、今は(考えるまでもなく)自然に、不可能に近い領域だと思っております。

そのため、そのような(生活者価値観の)多様化に対応していく必要があります。それでは、なぜ多様化しているかと申し上げますと、1つには、結婚・出産の選択のような「ライフスタイル」の多様化が、一番イメージしやすいところです。

他には、クラウドソーシングのような働き方が出てきて、「働き方」も多様化していたり、「情報ソース」をとってみても、以前はテレビや新聞・雑誌が中心だったものが、インターネットが登場して、いろいろなアプリが登場して、SNSが普及して……人によって、どこから情報を得るかといったところも、非常に多様化しております。

また、これもインターネットの普及によって(変わったことですが)、「消費行動」や「娯楽行動」というところも、多様化しています。

これらの(生活者価値観の多様化・細分化の)状況によって、以前のように、生活者を年齢や特性(「F1層」など)だけでカテゴライズすることが、非常に難しくなっています。生活者の価値観が細分化して、多様化しているというところが(市場環境の)現状です。

ですので、先ほど申し上げたようなマスマーケティングだけではなくて、マイクロマーケティングが、非常に企業さまからの必要(というお声)も頂いておりますし、今後はますます、ニーズが加速していくと考えております。

市場環境の変化② <デジタルネイティブ比率>

続きまして、デジタルネイティブ比率です。非常に今、企業さまのマーケティング施策において、「デジタルシフト」が叫ばれておりますが、実はまだまだ消費の中心は、デジタル層だけではありません。

「デジタルネイティブ」という言葉は、私たちが提唱しているものではありませんが……一般的に、1980年以降に生まれた、物心がついた時からインターネットが身近にある層です。例えば、ピアノを習う時にも楽譜(紙)を見るのではなく、YouTube(動画)を見てピアノの弾き方を覚えるようなことです。まさに(若年から)インターネットを当たり前に使えています。これを、一般的に「デジタルネイティブ」層と言っています。

一方で、成人後にインターネットが普及して、仕事を中心に、当たり前のように日常的にインターネットを利用している世代を、我々は「デジタルリテラシー」層と名付けています。

これ(円グラフ)は、私たちが独自に算出したものなのですが、20~70代を消費の中心層と置いた場合、2018年においては、先ほどお話ししたように、まだまだデジタルネイティブ層(の人口)は、2割にも満たないかたちです。デジタルリテラシー層を含めても、実はまだ半数以下(の人口)というところが現状です。

これが、10年後(2028年)どうなるかというと……このまま推移すると、デジタルネイティブ層が一番のボリュームゾーン(35.7パーセント)になり、デジタルリテラシー層(30.8パーセント)と合わせると(人口の)約7割が、インターネットを当たり前のように、日常的に使いこなす世代になっていきます。

このようなところから、今もすでにデジタルシフトが叫ばれておりますが、今後ますます……とくにこの10年で、大きくデジタルシフトが加速していくと考えています。

ですので、我々は冒頭でお話ししたように、デジタル領域においてマーケティングソリューションというところを提供しておりますので、このような環境が私たちにとって、非常に追い風になっていくと考えています。

市場環境の変化③ <SNSの影響力>

続きまして、SNSの影響力です。「SNSユーザーが増えています」というところは、いろいろなところでデータが出ておりますので、割愛いたします。やはり、SNSの使い方が非常に多様化しておりまして、その結果として、SNSの影響力が非常に増していると感じております。

どのようなことかと申しますと、もともと「SNS」というものは、生活者同士がコミュニケーションをとるための「コミュニケーションツール」であったわけですが、今はSNS経由で情報を収集する(ために使われる)、欠かせない「情報収集ツール」になっているという点があります。

さらには、とくに20代の女性に多い傾向ではありますが、なにか商品を購入しようとした時、もしくはどこかのスポットに出かけようとした時に、TwitterやInstagramでその情報をハッシュタグで検索して、そこから口コミを得るという行動が、非常に増えています。

このことによって、SNSをきっかけに商品を購買することや、トレンドやヒット商品が生まれるという傾向が、非常に強まっております。

市場環境の変化

我々を取り巻く市場環境の変化について、3点ほどお話をさせていただきました。

1点目は、生活者の価値観が多様化・細分化しているという点です。

2点目は、デジタルネイティブ・デジタルリテラシー層という、インターネットを当たり前に使いこなす世代が、この10年で消費のボリュームゾーンになっていくという点です。

そして3点目は、SNSユーザーが今後もますます増加するのですが、その影響力が購買にまで及ぶようになっているという点です。

このような市場環境を踏まえると、私たちの提供するマイクロマーケティングのニーズが、このようなデジタル・SNSを活用することで、より高まりますし、その効果もますます高まっていくと、私たちは考えています。

ここまで、私たちが提唱するマイクロマーケティングと市場環境の変化について、お話をさせていただきました。

ここからは、そのような背景を踏まえて、私たちがどのように、何を使ってマイクロマーケティングを実現していくのかという点について、我々のソリューションのご説明を差し上げたいと思います。

トレンダーズの強み

こちらは、先ほど申し上げたとおりですが、私たちは生活者インサイト・トレンド分析に基づき、どのようなコミュニケーションをどのようなかたちでしていけば、生活者の心に響くのか、生活者が実際に動くのかというプランニング力を、強みとしています。

それに加えて、自社ソリューション(が強み)です。この領域ですと、いわゆる広告代理店さまのように、他社さまのメディアをクライアントさまに提供する代理業というところも、多くの企業さまがやっていらっしゃいます。我々も当然、外部のメディアや他社さまのソリューションを、必要に応じて企業さまに提供するということも、一部で行っています。

ただ、私たちがずっとこだわっていることは、他社にはない独自性の高いソリューションを開発し、それを中心としたプランニングを組むという点です。

1.トレンダーズMMP(マイクロマーケティングパネル)

この自社ソリューションについて、今日は代表的なものを、5つほどご紹介してまいりたいと思います。

1つ目が、先ほどから申し上げているマイクロマーケティングなのですが、「トレンダーズMMP(マイクロマーケティングパネル)」というものです。

これは、20~40代の10万人の男女を対象に、価値観や消費行動について、クラスタ分類をしているものです。それによって、「この商品は、どのターゲット層に売れているのか」もしくは、「どのターゲット層が、どのようなコミュニケーションをとっているのか」。ターゲットごとにコミュニケーションを分けていくコミュニケーションプランニングや、広告バナーなどのクリエイティブ制作に活用しております。

それ以外にも、例えばターゲットに対して、それをセグメントして広告をあてていくような広告配信とか、そのクラスタに属するインフルエンサーをキャスティングして、そこに近い人たちに情報を届けるというかたちで、その分類を各施策にも活用するということを行っております。

「消費行動を分類する」ということは、当然ですが、非常に難しいことです。一度分類したら終わりというものではございません。例えば最近ですと、美容に特化した消費行動や価値観を分類するようなものとか、今後もテーマや用途に応じて、いろいろなクラスタ分析・分類を行って、MMPを活用してまいります。

2.自社メディア

続きまして、自社メディアです。弊社では、いくつかの領域特化型の自社メディアを運営しております。本日は2つほど、「おうちごはん」「Social Trend News」というメディアについて、ご紹介いたします。

(スライドの)左側にございます「おうちごはん」というメディアが、Instagramの食トレンドを発信している、食卓アレンジメディアになります。こちらにも記載がございますとおり、公式のInstagram・Facebookのアカウントが、(合計で)現在35万フォロワーを突破しており、急激に拡大しています。

こちらのメディアでは、食品メーカーさま・飲料メーカーさまからのタイアップ広告の実施や、この(SNSの)フォロワーを活用した、ユーザー参加型のキャンペーンの実施。それによって、SNS上で情報の拡散を図る施策をご提供しているメディアです。

一方で、(スライドの)右側の「Social Trend News」は、トレンド情報を発信するニュースメディアになります。こちらは、他媒体への波及力を強みとしておりまして、現在は約40メディアさまと提携しております。

それにより、こちらで掲載をする記事の企画制作力も、当然強みではございますが、それがたくさんのメディアに波及していく力、それから、それがTwitterを中心としたSNSで話題化していくところを企業さまへの価値として、ご提供しております。

メディアに関しては、今後もこのような領域特化型メディアの新規の開発もそうですし、とくに「おうちごはん」「Social Trend News」を中心に、より今の強みであるSNSでの拡散力を強化していくことで、サービス強化を図ってまいりたいと考えております。

3.インフルエンサーネットワーク①

続きまして、3点目は、インフルエンサーネットワークです。インフルエンサーネットワークは、トレンダーズが15年ぐらい前から……当時はブログが中心だったのですが、自社会員化によって、コツコツとネットワークを続けてきたものになります。

現在は、登録インフルエンサーの方の数が約1万3,000人。また、その総リーチ数は約7,000万リーチまで、成長しております。(一言で)「インフルエンサー」と言っても、いろいろなプラットフォームがございます。弊社でネットワークをしているのが、Instagram・Twitter・ブログといったところです。

昨今、インフルエンサーマーケティング自体が、非常に企業さまからの注目も高まっておりまして、インフルエンサーマーケティングを提供する会社さまも増えてきているのかなという印象がございます。

(その中で)私たちの強みはいくつかあるのですが、まず1つは、長年の実績に基づくディレクション力や、「どのような方をキャスティングして、どのようなプランニングをすると、SNS上で効果的に情報拡散が図れるか?」という、プランニング力。

それから、3点目としては、1つのプラットフォームではなくて、Instagram・Twitter・ブログと、複数のプラットフォームのインフルエンサーをネットワークしておりますので、商品・サービスに応じた、最適なプラットフォーム・最適なインフルエンサーのキャスティングができること。

以上の3点が、弊社のインフルエンサーマーケティングの強みであると考えております。

3.インフルエンサーネットワーク②

ここに加えて、今後インフルエンサーマーケティングに関して強化をしていきたい領域が、インフルエンサーの属性分析ツールです。これは、もうすでに開発が一次(段階では)完了しておりまして、キャスティングへの活用を始めています。

この開発で終わりではなく、今後はさらに、インフルエンサーのフォロワーがどのような属性なのかのデータを、どんどん蓄積していきます。これによって、SNS上のインフルエンサーおよびフォロワーの方々が、何を投稿して、どのようなアクションをしているのかというSNS内での行動データをどんどん蓄積していくことによって、さらにデータドリブンなインフルエンサーマーケティングを、実現していきたいと考えております。

4.プレミアムアドネットワーク

続きまして、4点目はプレミアムアドネットワークです。こちらは、以前から提供しているものですが、アドテクノロジーを展開している株式会社ジーニーさまとの提携で、トレンダーズの独自フォーマットを配信しております。「mitayo.」であればニューステキストで配信、「BumVi」であれば6秒動画の動画広告で、配信しているサービスです。

こちらは、おかげさまで順調に推移しておりまして、現時点で導入実績社数が100社を超えております。今後も、こちらの領域は、クライアントさまのニーズも非常に高まっておりますので、さらに常に最適な、新しい独自のフォーマットも開発を進めていきます。また、提携先メディアを開拓して、よりサービスの拡大を図ってまいりたいと思っております。

5.MimiTV

最後に、「MimiTV」です。この(2018年)5月に、株式会社MimiTVを子会社化しました。子会社ではございますが、事業領域としては(当社の分類上)マーケティング事業になりますので、その流れの中で、「MimiTV」についてご紹介を差し上げたいと思います。

こちらの「MimiTV」というメディアは、コスメやスキンケアといった化粧品、それからヘアアレンジなど、美容に特化した情報を届ける、主に10代から20代の女性の方にご覧いただいている、動画メディアになります。

「動画メディア」というと、女性が自分で動画を撮影して、自分で配信をしていく……いわゆるYouTuberのようなものをイメージされる方も多いのですが、こちらはそのようなスタイルではないです。

出演するモデルのキャスティングをして、編集部でどのような動画を作るかを企画して、撮影して、動画の編集・配信まで、すべて編集部で行う。なので、インフルエンサーネットワークではなくて、あくまでも動画を制作して配信している動画メディアです。

この「MimiTV」の強みといたしましては、SNSに合計68万人のフォロワーを持っていることです。その内訳はYouTubeで約26万人、Instagramで約18万人、Facebookで約24万人というフォロワーのネットワークとなっております。これらのフォロワーの方々に、この動画配信をすることで、だいたい月間で約1,600万回ぐらい、動画が再生されているメディアです。

事業モデルといたしましては、このような(スライドの記載の)出演モデルの方々が、主に化粧品の新商品のレビュー動画をアップしています。ここに、企業さま・化粧品メーカーさまにご出稿いただくことで、その企業さまの新商品を、モデルさんが試して紹介する。その動画を、このような(多くの)SNSのフォロワーに向けて配信をしていく、広告収益モデルとなっております。

トレンダーズ自体が、これまでにも美容系のクライアントさまが非常に多いところと、今はモデルさんが出演されているのですが、弊社のインフルエンサーを多くネットワークしておりますので、そのようなインフルエンサーマーケティング事業とのシナジーが非常に高いと判断して、今回子会社化を進めました。

今後も、このフォロワーをたくさん増やして、動画の配信数も増やして、ユーザーをどんどん獲得していくことで、事業の拡大を図っていきたいと考えております。

以上、主な自社ソリューションを、5つほどご紹介させていただきました。

マーケティング事業の中長期戦略①

最後に、マーケティング事業の中長期戦略のお話を差し上げたいと思います。

トレンダーズは、もともと創業当初は、女性に特化したマーケティング会社でした。中でも、どちらかと言うとリサーチ領域……グループインタビューや商品開発など、そのようなマーケティングを行っておりました。

十数年前から、インフルエンサーマーケティング事業を始めて、それからデジタルに特化したPRサービスを始めて、この2つを軸に、マザーズ上場までの成長を描いてまいりました。

このPRサービスやインフルエンサーマーケティングは、いわゆる生活者の購買ファネル……生活者が情報を知ってから、物を買うまでのステップで置き換えたときには、認知してから興味を持って、(買うかどうかを)検討をして(実際に)購買をしていく流れの中で、対応していたのは、「興味・検討」(の領域)です。よりその商品に興味を持ってもらう、もしくは検討している生活者に対して、さらに欲しくなる情報を届けるところを、提供しておりました。

3年ほど前から取り組んできたことは、このPR領域だけではなくて、ここにAD領域……いわゆる、広告の領域を掛け合わせていくところです。結果的に、この取り組みが功を奏して、ここ数年の業績につながってきています。

それが、具体的にどのようなことかと申しますと、例えば認知……今までで言うと、例えばテレビCMが果たしているような、その商品をそもそも知らない方に知っていただく領域に、先ほどお話ししたプレミアムアドネットワークや、タイアップ記事の動画広告といった広告サービスを提供する。

それから、購買です。いわゆる獲得領域に関しても、運用型広告やアフィリエイト広告を提供しております。このように、提供領域を拡大していくことで、事業を拡大し、生活者の変化であったりですとか、クライアント企業さまのニーズに対応していくところで、今後も事業を拡大していきたいと思っております。

一方で、これだけデジタルシフトが進んでいく中でも、私どものクライアントさまについては「店頭」での販売が中心となっていて、その中でデジタルの施策がどこまで、店頭の購買行動・店頭の販促……流通さまの対策につながるのかというところが、非常に大きな課題となってきております。

すでに、昨期から店頭と連動させる(施策)……例えば、SNSと連動したサービスで、店頭のPOPを作成するような「店頭連動型」(のサービス)というところに、すでに取り組みをしております。今期から(より)本格的に、店頭連動型のサービス開発にも注力してまいりたいと思っております。

マーケティング事業の中長期戦略②

以上、マーケティング事業の中長期戦略について(あらためて)申し上げますと、お話ししてまいりましたPR領域、それからAD領域の融合というところに引き続き注力して、この2つの領域をともに伸ばしていきながら、店頭領域にも新たに取り組むことで、継続的なマーケティング事業の成長を、目指してまいりたいと思っております。

領域はどんどん拡大はしていくものの、今後もこだわっていきたいと思っているのが、弊社にしかできないような独自性の高いソリューションを、スピーディに開発していくというところです。

このサービス開発力や、プラットフォームの生活者の変化にスピーディに対応するというところが、弊社の大きな強みだと自負しておりますので、今後もそこをスピーディに改善しながら、事業の拡大を図ってまいりたいと考えております。

以上、私からマーケティング事業の概要と戦略について、発表させていただきました。続きまして、ギフトEC事業の概要と戦略について、再び岡本からお話しさせていただきます。

ギフトEC市場について

岡本:当社では、今中心事業となっておりますマーケティング事業に加えて、およそ2年半前からギフトECの「Anny magazine」というサービスを開始しております。このサービスについてお話しする前に、まず(ギフト・ECの)市場環境が、今どうなっているかというところから、お話しさせていただけたらと思います。

まず、ギフト市場は全体では、今は約6兆円の市場だと言われております。EC市場については、年々成長を続けておりまして、さらなる拡大が見込まれていることがわかります。これは、リアルの世界とも非常に結びついているところなのですが。

例えば、「ギフト」ということで言えば、我々の世代というか……私が若いころ、20年前とか30年前では、基本的には百貨店さんなどで買うということが、主流だったと思います。

(しかし、現在は)みなさまもご承知のように、そのような大型百貨店等の店舗数が少なくなって、買う場所がどんどん減少してきているという中で、その分、ECの利用が多くなってきているという状況です。

また、ギフト市場規模では、用途別に分けるとシーズンギフト……クリスマスや、お歳暮・お中元、直近で言うと母の日・父の日。このようなシーズンギフトが、1兆7,360億円。

(ギフト市場では)ライフイベントギフトが一番大きいのですが(なぜかと言うと)やはり誕生日です。ギフト市場の中で、一番大きいのが誕生日になります。誕生日や、結婚・出産祝い。このようなところが、3兆1,500億円。

カジュアルギフトというのは、ちょっとしたプレゼントです。とくに大きなイベントというわけではなくて、ちょっとしたお礼や手土産です。そのようなところで使われるものが、1兆1,420億円というかたちになっております。

(スライドの右側の)BtoC-EC市場規模推移というところでいうと、2013年に約11兆1,600億円だったものが、2017年には16兆5,000億円となっています。ギフトに限らず、流通というところでいうと、ECがすごく伸びてきている。

とりわけ、ギフトについては、私の感覚値で言うと、自分のものを買うというECに比べて、まだEC化の進捗は遅れているのかなと感じております。ただ、慣れの問題でありますので、いずれはギフトをECで贈ることについても、ECの伸びに類似してくれるのではないかなと、予想しております。

事業モデル

続きまして、「Anny magazine」の事業モデルです。「Anny magazine」は、ECの機能を持つギフトに特化したメディアです。ギフトの情報をお届けするメディアプラス、EC機能という、2つを合わせたメディアサービスになっております。

この「Anny magazine」の中では、現在120ブランド・1,000アイテムを取り扱っております。最大の特徴は、相手の住所がわからなくてもギフトを届けられることです。通常、ECで買う場合、送り先を入力してお送りするわけですけれども。当然、「Anny magazine」でもそれはできるのですが、(相手の住所が)わかっていなくても、そこでURL(ギフトレター)が発行されます。それを、メールやSNSで送付します。

例えば、FacebookのメッセンジャーやLINEに、デジタルのギフトレターを貼り付けて、送付できるということが、最大の特徴になっております。この「SNSでギフトを送る」ところが、今までにあまりないところです。

正直に言いますと、今は我々の「Anny magazine」にきたお客さんについて、最初は大多数(のお客さま)は、普通に(相手の)住所を入力して送る方が多いのですが、ここを普通に使うサービスとして、世の中に利便性を認知していってもらいたいなと考えています。

それができたときに、我々のサービスの成長も、これまで以上のスピード感で成長させられるのではないかと。

なので、我々としては、新しいギフトの在り方・送り方、それの啓蒙。それを、これから成長させていくというステージだと考えております。

今後の事業戦略

今後の事業戦略です。どのようなことに注力していくのかと言いますと、現在、我々の物流に関しては、パートナーのメーカーさま・ショップさまにお任せしているというケースが多いのですが、ここについて、よりユーザーメリットを考えて早期化・早期発送、それから梱包の質の統一・向上。そのようなところを狙って、自社物流を導入して強化していくことを考えてまいります。これは、今期から取り組み始めております。

あと、UIUXの改善により、購入率ならびにリピート率の向上を図っていきたいと(考えております)。我々はもともと、メディアからECではなくて、ギフトの選び方……「このような50歳の男性には、このようなもの(をお届けすること)がいいのではないか」とか、「20代の女性には、今はこのようなものが流行っているよ」という情報を届けるメディアからスタートしていました。

この手前もあり、若干その中で、「ECモールとしては、ちょっと使いにくい」「わからない」等、我々が行ったアンケート等によっていろいろなリクエストをいただいています。そのようなところについて、システム改善・UIUXの改善を急いでいるところです。

これは、今年度中に、ひとまず今出ているリクエストを完全に仕上げて(いきたいと考えております)。ちょうど我々にとって重要になってくるのが、ギフトのハイシーズンというと……クリスマスから、お歳暮・バレンタイン・ホワイトデー。それから、3月の送別会。

そのようなところが、非常に需要・利用が高まるシーズンなので、我々でいうところの下半期にぐっと伸ばせるように、上半期に準備を固めて、下半期に攻勢をかけるというかたちで考えております。それが、PR活動です。今申し上げた開発やロジスティクス改善ならびに、PR活動・マーケティング施策を本格的に開始して、認知率の向上・新規ユーザーの獲得を図ってまいるということが、今後の事業の基本方針です。

以上が、ECギフトのご説明になります。

2019年3月期 業績予想(連結)

(ECギフト事業と)マーケティング事業・EC事業を合わせた、2019年3月期業績予想です。

売上高が31億円で、これは前期比で43.1パーセント増になります。営業利益が5億5,000万円で、前期比58.7パーセント増になります。過去最大の売上高・各段階利益を目指したいということです。

この中で、2019年3月期については、過年度に行った投資の回収(時期)になっていることもありまして、一過性の投資収益(計上)を見込んでおります。

ただ、それをプールするということではなくて、その収益等を、今申し上げた事業の先行投資に充てていく予定です。2019年3月期の業績予想については、投資収益、先行投資株式会社BLT、(2018年)5月に子会社化した株式会社MimiTVの業績をすべて織り込んでおります。

以上で、2018年3月期の決算説明会のご説明とさせていただきます。