2018年2月期決算説明会
溝本俊哉氏(以下、溝本):あらためまして、溝本でございます。本日はご多用のところ、弊社決算説明会に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。また、平素は格別のご高配を賜り、感謝申し上げます。
本日は、弊社の会社概要・事業内容、2018年2月期決算の概要、2019年2月期計画と基本戦略につきまして、資料に沿って順にご説明させていただきます。
この中には、初めてご参加される方もおられるかと存じますので、簡単ではございますが、会社概要・事業内容からご説明させていただきます。
会社概要 企業理念
当社の企業理念につきましては、「共生(ともいき)」としております。「共生」は仏教用語で、自らの生き方が周りの方々の幸せに繋がるという意味を持っております。
1899年の創業から119年が経過しており、今年度中に創業120年の節目を迎えることとなります。ちなみに、兵庫県内で100年以上の業歴を有する上場会社21社のうち、当社は、6番目に古い、老舗企業となっております。
創業の原点につきましては、現代表取締役会長の和田憲昌の先々代が家業として営んでおりました、不動産の賃貸業がルーツとなっております。
事業内容は、不動産開発を主とする不動産販売事業と、賃貸その他事業に大別をしております。いずれも住居系が大半を占め、エンドユーザー向けが中心となっております。
事業内容 不動産販売事業①
当社の主力事業でございますが、分譲マンション販売につきまして、ブランド名は「ワコーレ」であります。事業の特色として、神戸市・明石市・阪神間を中心に、地域密着で展開しております。
規模に関しては、これまでの実績から、1棟あたりの平均戸数は30戸台であり、中小型マンションが中心となっております。100戸を超えるマンションにつきましては、大型物件と位置付けしております。
もともと神戸市は、北は山、南は海に囲まれており、居住できる場所が比較的狭いことから大規模な分譲マンション用地に適した場所が少ないという要因により、当社では比較的狭い用地での開発を進めてまいりました。しかし、最近におきましては、年間で1~2棟程度、100戸を超えるマンションも開発しております。
2018年2月期に竣工した分譲マンションのパースを、具体的な事例として記載しております。
まず左側は、「ワコーレ ディアルクス武庫之荘」でございます。このマンションは当社の特徴の1つである、小規模ながら気鋭の建築家を用いてデザインする、個性的な物件でございます。駅近という利便性も相まって、販売が好調に推移いたしました。
続いて、真ん中は、「ワコーレ甲子園口北町ザ・プレミアム」でございます。マンションの販売価格が上昇するなか、当社でも坪単価300万円前後の高額物件の販売も進めております。本プロジェクトにつきましては、総戸数18戸と小規模物件でありながら、早期に完売いたしました。
右側のパースが、「ワコーレ豊中少路ザ・レジデンス」であります。こちらは、近年地域拡大戦略の一環として取り組みを進めている大阪府の北摂地域でのプロジェクトであります。
神戸市、阪神間をマザーマーケットとしつつ、大阪府北摂地域を中心に、徐々にではございますが、展開する地域を広げてきております。
販売戦略の特徴といたしまして、常設のマンションギャラリーを設置しております。
マンションプロジェクトにおいては、1つのプロジェクトごとに、都度1つのギャラリーを新設するものが、通常の形態だと認識しておりますが、当社は、1つのギャラリーで複数物件を販売しております。コスト面で優位に働くとともに、ときには同時販売も行いますので、顧客に対して幅広い選択肢の提供が可能になる仕組みとなっております。マンションギャラリーの配置等は、資料の35ページに記載しておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。
事業内容 不動産販売事業②
分譲マンション以外の不動産販売事業でございます。
戸建て住宅販売につきまして、ブランド名は「ワコーレノイエ」であります。戸建て住宅につきましては、分譲マンションで培いましたデザイン性や企画力、付加価値重視し、小規模であっても、街並み作りを基本として開発を進めることで、パワービルダーとの差別化を図っております。
その他不動産販売でありますが、木造アパートや鉄骨収益物件等の企画開発、マンション用地や戸建て用地の素地売りなどが含まれ、開発用地の出口における幅広い選択肢の確保を行っております。
事業内容 賃貸その他事業
続きまして、賃貸その他事業でございます。
賃貸事業につきましても、レジデンス系を中心としており、収益の安定確保を目指しております。物件の取得につきましては、既存の収益物件の購入以外にも、地元のネットワークを用いた用地取得力を活かし、自社で用地を取得して賃貸物件を開発するケースもございます。
併せて、将来的には分譲案件に転換することも視野に入れた(物件)取得も考慮しております。築年数が法定耐用年数を超えるような物件でも、立地環境さえ良ければ、入居者の自然退去を待って、その後に分譲マンション等の開発事業に転換するようなことも選択肢として、取得も進めております。
なお、稼働状況につきましては、近年継続して高水準の入居率を維持しております。
2018年2月期決算 決算概要
続きまして、2018年2月期決算の概要につきまして、ご説明させていただきます。
まずは、損益計算書でございます。
前期比で増収増益になるとともに、期初計画も上回ることができました。具体的な計数で申し上げますと、売上高は351億49百万円、前期比で37億76百万円の増加。売上総利益は68億23百万円、前期比で2億50百万円の増加。営業利益は33億4百万円、前期比で2億41百万円の増加。経常利益は24億24百万円で、前期比2億31百万円の増加。当期純利益につきましては15億89百万円で、前期比2億18百万円の増加となっております。
利益面おいては、採算性が維持できたこと、販管費が計画を下回ったことなどにより、期初計画に対して概ね10パーセントを超える結果となりました。
2018年2月期決算 決算ポイント
続いて決算ポイントでございます。
売上高につきましては、すべてのセグメントを通じて増収となり、期初計画比でも6億50百万円上振れしました。
内訳につきましては、分譲マンションの引渡戸数は676戸と、前期比で86戸減となりましたが、好立地のプロジェクトの増加等により、戸当たり単価が上昇し、増収を達成しております。
戸建て住宅販売につきましては、総区画90区画となる神戸市北区の「ワコーレノイエ神戸鹿の子台」プロジェクトの第1期販売が好調に推移したことなどによりまして、戸数ベースで期初計画を概ね達成し、金額ベースでは前期実績比で約4億円の増収となっております。
その他不動産販売につきましては、分譲マンション用地として仕入れた土地を、専門学校に売却したことによる約15億円の売上計上をはじめ、木造収益物件の販売や、翌期(2019年2月期)に引渡を計画しておりました芦屋市六麓荘の土地売却を含めて、前期比で大幅増収となる約35億円の売上を計上いたしました。不動産賃貸収入では、小型の収益物件の新規稼働等によりまして、前期比約60百万円の増収となっております。
利益面でも売上増加を主要因として、増益を達成しております。とくに、その他不動産販売において、計画外の土地売却等が増益に寄与しております。
また販管費も前期比では微増ですが、販売促進費の期ずれ等を含めて計画対比では下振れし、営業利益の増益に寄与しております。
加えて、本年(2018年)2月に行った公募増資による発行済み株式数の増加に伴い、特定同族会社から外れたことにより留保金課税の対象外となり、税負担が軽減したことで、当期純利益の押上げにつながりました。
2018年2月期決算 セグメント別売上高・粗利益
続きまして、セグメント別の実績でございます。
売上高につきましては、決算ポイントで申し上げたとおりでございます。
売上総利益につきましては、分譲マンション販売で46億78百万円、利益率は17.2パーセントとなり主に建築コストや用地など、原価の上昇によって、利益率は1.7ポイント低下しております。
戸建て住宅販売は2億23百万円、利益率12.6パーセントであり、前期比で0.4ポイント上昇しております。その他不動産販売は7億90百万円で、利益率22.3パーセント。前期比2.6ポイントの上昇でございます。
不動産賃貸収入では10億35百万円、利益率43.1パーセントとなっておりますが、こちらは期末近くに保有賃貸物件の修繕工事等を積極的に行ったことを要因に、前期比で4.9ポイント低下となっております。
2018年2月期決算 営業利益の変動要因
続いて、営業利益の変動要因でございます。
営業利益は、前期比で2億41百万円増加しております。分譲マンションの引渡戸数減少に伴い、分譲マンション販売の売上総利益は3億8百万円減少しましたが、戸建て住宅販売の引渡戸数増加で57百万円(増加)。その他不動産販売における大口の用地売却により、売上総利益が5億56百万円増加しております。
また、賃貸事業については、小型収益物件の新規稼働を中心とした賃貸収入58百万円の増加と、期末に向けた修繕工事の前倒し発注等による原価増加に伴い、1億48百万円減少しております。
経費関連では計画を下回りましたが、人件費や租税公課の増加等によって、営業利益を若干下押しした結果となっております。
2018年2月期決算 貸借対照表
続きまして、貸借対照表でございます。
総資産につきましては、876億3百万円となりまして、前期末比で約113億85百万円増加しております。勘定項目別には、現金及び預金が133億54百万円となり、前受金の増加や公募増資の払込金等により、前期末比で約25億円増加しております。
棚卸資産につきましては、販売用不動産について、分譲マンションの完成在庫を含む未引渡分の増加や、小型の販売用収益物件の稼働開始によりまして、前期末比で約18億円増加となっております。
また、仕掛販売用不動産では、新規プロジェクトの用地仕入や大型物件の竣工による建築費の支払い等により414億53百万円と、前期末比で約50億円増加しております。
固定資産は270億73百万円、うち有形固定資産が252億79百万円となりました。賃貸物件の取得や、一部棚卸資産に含まれていた賃貸資産を固定資産に振り替えしたため、固定資産が約13億円増加しております。
負債については、大型の分譲マンションの販売契約が順調に契約できたことによる手付金や、(2018年)3月に引渡予定物件の販売代金の先行回収によって、前受金が32億68百万円増加しました。借入金総額は短期・長期等合算で508億86百万円と、前期末比で約66億円増加をしておりますが、主にプロジェクトの資金調達に伴うものであります。
なお、純資産につきましては、公募増資と当期純利益の計上等によりまして、23億38百万円増加したことで、210億63百万円となっております。
2018年2月期決算 棚卸資産
続いて、棚卸資産の内訳でございます。
販売用不動産につきましては、分譲マンションは完成在庫等の増加により、前期末比で6億7百万円増加の8億72百万円となりました。
戸建住宅は2億70百万円と前期末比37百万円減少し、賃貸物件は販売用として棚卸資産に振り替えしておりました物件を固定資産に戻したことにより、残高は0となっております。その他のうち、小型の販売用収益物件が完成・稼働したことにより、前期末比で14億59百万円増の、25億12百万円となりました。
仕掛販売用不動産につきましては、用地仕入等により分譲マンションが370億30百万円、前期末比で51億円増加となりました。戸建住宅は17億46百万円と前期末比で5億66百万円増加、その他につきましては、マンション用地の素地売却等によりまして、6億26百万円減少しております。
2018年2月期決算 キャッシュフロー
続いて、キャッシュフローでございます。
営業キャッシュフローにつきましては、当期純利益の計上や前受金の増加等のプラス要因と、棚卸資産が約70億円増加したことによるマイナス要因を合わせて、27億26百万円のキャッシュの減少となりました。
投資キャッシュフローにつきましては、賃貸資産等有形固定資産の取得に伴い、23億89百万円のキャッシュの減少となりました。
財務キャッシュフローは、長期借入金約73億円の増加および新株発行により、74億8百万円のキャッシュの増加となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は22億91百万円増加し、109億20百万円となっております。
事業環境
続きまして、2019年2月期の通期計画と基本戦略について、説明させていただきます。
景気につきましては、緩やかな回復基調で進んでまいりましたが、ここにきまして景況感に少し陰りが見えてきております。具体的には、(2018年)4月2日に発表されました日銀短観におきまして、大企業製造業DI(業況判断指数)が、原材料の価格上昇や人手不足等の影響、さらに想定以上の円高、新たに発生した貿易摩擦問題によりまして、8四半期ぶりに悪化しております。経済成長率も、成長幅が鈍化する見通しになっております。
企業業績や雇用環境につきましては、引き続き良好でありますが、実質賃金の改善には繋がらず、体感物価の上昇により、個人消費は伸び悩みを見せているものと思われます。
不動産市況につきましては、日銀の金融政策によりまして、資金調達環境は概ね良好であり、不動産関連の貸出は堅調に推移してまいりました。しかし、とくにサブリース物件を中心とする貸家向け融資に対する警戒感も高まりを見せており、当該貸出に関しては減少傾向となっております。また、用地や建築コストの上昇から販売価格も高騰してきており、売れ行きのマンションと、そうでないものとの二極化が顕著となってきております。
これらの動きがあるなか、公示地価に関しましては、全用途で3年連続上昇となるとともに、地方でも26年ぶりに上昇に転じるなど、地価の上昇が全国に波及しております。また、三大都市圏では商業地・住宅地とも、昨年を上回る上昇が見られております。
個別箇所では利便性の高い駅近物件(の地価)がさらに上昇する一方で、利便性の劣る場所は引き続き下落するなど、全国的に格差が拡大しているというところだと思います。
首都圏のマンション市場につきましては、昨年の年初にはピークアウトを迎えていると考えておりましたが、供給戸数が4年ぶりに増加するなど、大きく相場が崩れている状況にはないと考えられます。ただし、平均価格は1990年以来の高値となっておりまして、先行きの不透明感については否めないものと考えられます。
一方、近畿圏につきましては、もともと首都圏とは戸当たりの販売価格水準でかなりの開きがあるなか、2017年の供給戸数は19,560戸で、前年比4.7パーセント増加しております。平均価格は3,836万円で、上昇した首都圏とは異なり2.1パーセント低下しております。
また、(近畿圏の)月間契約率は76.1パーセントと、好不調の判断基準である70パーセントを超え、前年比でも4.2ポイントアップと、概ね好調を維持しております。
なお、神戸市・阪神間のマンションの供給状況につきましては、資料に記載のとおりでございますので、後ほどご確認いただければと思います。
事業環境 新築分譲マンションの契約率・供給推移
こちらは、先ほどご説明させていだきました新築分譲マンションの価格を、時系列でグラフに表したものでございます。
首都圏・近畿圏ともに、平均価格・平米単価とも概ね右肩上がりで推移しております。
首都圏と近畿圏ともに、2012年の価格差は1,000万円程度でございましたが、ここに来まして、2,000万円程度まで拡大していることが見てとれると思います。
2019年2月期 通期計画①
契約率に関しましては、首都圏では低下傾向が継続しております。近畿圏でもは2016年より上向き、好不調の目安となる70パーセントを上回る契約率となっております。また供給戸数は、首都圏では低下傾向となっておりますが、近畿圏では概ね横ばい推移となっております。
2019年2月期 通期計画②
これらの事業環境を受けて当社の今期(2019年2月期)の計画をご説明いたします。
売上高につきましては390億円、営業利益は33億50百万円、経常利益25億円、当期純利益は17億円を見込んでおります。売上高につきましては、主力の分譲マンションにおいて、引渡戸数や戸当たり販売価格が増加すること、加えて戸建て住宅販売におきましても、戸数増加等の要因によりまして、前期実績比で11パーセントの増収を見込んでおります。
費用面につきましては、大型物件の販売開始にかかる販促費の増加等に伴い、営業利益は1.4パーセント程度の微増となる見通しであります。
経常利益につきましては、概ね前期(2018年2月期)並みの金融調達費用を見込むことで、3.1パーセント程度の増益見通しであり、当期純利益も7パーセント程度の増益となる見通しでございます。
2019年2月期計画 分譲マンション事業 (引渡)①
続きまして、分譲マンション事業の引渡関連の計画でございます。
前期実績につきましては、引渡戸数は676戸と、700戸の期初計画に対し24戸未達となりましたが、金額ベースでは戸当たり単価の上昇により、前々期(2017年2月期)を上回る271億78百万円の売上高となりました。
今期につきましては、760戸の引渡で売上高313億円を計画しております。なお、戸当たりの平均販売価格は、4,000万円を若干超える見込みでございます。
四半期別の引渡計画について、第1四半期が410戸、第2四半期90戸、第3四半期80戸、第4四半期180戸を予定しており、第2四半期までに500戸程度の引渡計画となっております。大型プロジェクトの引渡を期初から開始したことにより、上半期、とくに第1四半期に偏重した計画となっております。なお、会社全体の売上高は第2四半期までに売上高220億円の計上を予定しております。
さらに今期引渡を予定している760戸のうち、前期末段階で611戸が契約済であり、進捗率は80パーセントを超え、足元では85パーセント程度まで契約率が進捗しております。
これらのことから、期初段階におきまして、分譲マンション販売の計画達成は十分見込める進捗状況となっております。
2019年2月期計画 分譲マンション事業 (引渡)②
先のスライドで少し申し上げました大型物件の引渡につきまして、すでに先月(2018年3月)の段階で「ワコーレ神戸三宮トラッドタワー」では、総戸数194戸のうち193戸、「ワコーレ新神戸マスターズレジデンス」では、総戸数122戸全戸引渡を終えており、金額ベースでは約125億円の売上を計上しております。
2019年2月期計画 分譲マンション事業 (発売・契約)
次に、(分譲満床事業の)発売につきまして、前期は期初計画を下回る591戸の実績となりました。総戸数118戸の大阪市内の大型プロジェクトの発売が、埋蔵文化財の影響等で今期(2019年2月期)にずれ込んだことが大きな要因となっております。
今期につきましては740戸の発売を計画しており、夏頃には、ただ今申し上げました大阪市内のプロジェクトの発売を予定しております。
(2018年2月期の)契約戸数については、これら販売戸数の減少等に伴い、632戸にとどまり、契約済未引渡戸数は、前期比で44戸程度減少しましたが、金額ベースでは前期を13億円上回る、353億円の契約済未引渡残高を確保しております。
なお、スライドの右側に記載をしております大型物件「ワコーレ ザ・神戸トアロード」につきましては、前期に発売を開始し、9割の販売契約を取得しております。
また、前期末の完成在庫につきましては19戸でございます。こちらは姫路市で販売している2棟のプロジェクトでありますが、今期に入り1棟では完売し、残り1棟では9戸が未契約となっております。
2019年2月期計画 分譲マンション事業 (仕入・再開発)
続いて(分譲マンション事業の)仕入でございますが、今期(2019年2月期)の仕入は700戸を計画しております。ここ数期間において、大型プロジェクトの用地取得を含め、概ね順調に仕入が進んでまいりましたので、今期以降の3期間分につきましては、分譲マンションのラインナップが揃ってきております。
今後の仕入スタンスとしましては、市況の変化も注視しつつ、採算面を十分考慮したうえで、仕入活動を進めていきたいと考えております。
前期(2018年2月期の仕入戸数)は792戸と、2017年2月期対比で約130戸の増加となったため、用地仕入を積極化しているように見られますが、これは前期の期末月に、神戸市西部で一次所得者向けのリーズナブルなマンション用地2棟、約150戸分を含む4棟230戸分の仕入契約が進捗した結果であります。
また、スライドの右でございますが、郊外から中心市街地への住み替えニーズから、商業地における住宅開発が増加している状況にあります。戦後、関西圏を中心に地域の商業施設として発展してきた、「小売市場」と呼ばれる小規模の地域を、再開発のターゲットとし、開発事業の1つのとして取り組んでおります。スライド記載の「ワコーレ岡本ザ・レジデンス」も、「(旧)岡本市場」の再開発事例となっております。
2019年2月期計画 分譲マンション事業 (地域密着・広域展開)
当社の分譲マンション事業につきましては、これまでもご説明させていただいている通り、常設マンションギャラリーを核とした、地域密着戦略が当社の強みとなっております。
スライドの左側には、「ワコーレ本山マンションギャラリー」と、販売中の「ワコーレ甲南山手エヴァージュ」「ワコーレ甲南ザ・ハウス」を記載しております。現在当該ギャラリーでは、神戸市東部の高額物件を中心に、6プロジェクトを同時に発売しており、販促コストや運営コストの低減に努めております。
他方、事業エリアの拡大にも取り組んでおります。大阪府下にて、5棟269戸のマンションプロジェクトの発売を準備しているところでございますが、スライドの右側に記載の通り、当月(2018年4月)から、北摂の販売拠点となります「ワコーレ千里マンションパビリオン」を、大阪府豊中市の新御堂筋沿いに設置し、北摂地域におけるワコーレブランドの知名度を高めていきたいと考えております。なお、「大阪府に常設マンションギャラリー 『ワコーレ千里マンションパビリオン』竣工のお知らせ」を、(2018年)4月20日にリリースし、新聞にも掲載されております。
2019年2月期計画 戸建て住宅事業・不動産賃貸事業
まず、戸建て住宅事業でございますが、前期(2018年2月期)につきましては54戸の引渡で、売上高は17億74百万円の実績となりました。
そのうち、スライドに記載している大型プロジェクト、総区画数90区画の「ワコーレノイエ神戸鹿の子台」の第1期28区画は、販売契約が好調に推移して、短期間で完売いたしました。今期発売の第2期分につきましても、好調に契約が進捗しております。
今期は、戸建て住宅につきましては60戸の引渡を計画しておりますが、(2018年)3月末時点での契約済未引渡戸数は21戸となっており、期初から順調に推移しております。
続きまして、不動産賃貸事業でございます。住居部門につきましては、新規物件の投入や今後発売予定となる小型の木造・鉄骨物件の稼働等により、賃貸収入も前期比2.5パーセントとなる24億3百万円となっております。保有数は、2018年2月末現在で102棟・1,953戸となっております。
また、稼働率につきましては、95パーセント前後の水準であり、ここ数期間において高稼働率の維持ができております。
さらに前期末には、スライドに記載しております神戸市の中心街である三宮にて、商業系不動産の取得を行うなど、より上質なポートフォリオの構築も進めていきたいと考えております。
2019年2月期計画 その他不動産販売
その他不動産販売では、事業領域の拡大施策としまして、小型の収益物件の販売に注力していきたいと考えております。これまで、販売価格1億円未満をターゲットとした木造収益物件の開発を進めてまいりましたが、前々期あたりから、規模・売上金額が大きくなる、鉄骨収益物件向けの用地拡大に注力しております。
前期の販売実績では、スライドに記載の通り、木造収益物件で7棟60戸。販売を予定しております物件が、木造・鉄骨を合わせて9棟101戸。さらに、現在開発を進めている物件は、(木造・鉄骨)を合わせて40棟512戸となっております。
昨今、行き過ぎたアパート建築やサブリースに関する報道が見受けられますが、当社では、これまで培った用地仕入のネットワークを用いて、駅からの距離や土地の形状・容積率等の要因で分譲マンションや戸建の開発には不向きな用地を割安な価格で取得、企画・設計から建築後のリーシングまで自社で進め、相続対策や資産運用などのニーズを有する富裕層へ販売しております。当地においては住まいに対するニーズも強く、さらに投資家層にも買いやすい販売価格で、一定の利回りを獲得できるスキームとなっております。
これらの事業につきましては、今後の市況にも注意しながら進めてまいりたいと考えております。
2019年2月期計画 資金調達
続きまして、資金調達でございます。
大型物件の取得や大阪府への進出、さらには木造、鉄骨収益物件の販売と、事業領域の拡大に伴う資産増加に応じて借入金は増加しており、前期末(2018年2月期末)時点で、500億円を超えております。
しかし、本年(2018年)3月の大型プロジェクトの竣工、引渡により借入金を返済、借入金残高は2017年2月期末と同水準に近いものとなっております。
当社に対する金融機関の融資姿勢は引き続き積極さが感じられており、プロジェクトにかかる必要資金については、問題なく調達ができております。また、本年2月には110万株の公募増資により約10億円の資金調達を行いました。当該資金につきましては、エリアリノベーションとして進めているマンションプロジェクトの開発費用に充当してまいります。
本件の取り組みにつきましては、資金調達が目的ではありますが、株式の流動性を高め、株主数の増加に繋げることができました。また、留保金課税の対象外となることで、税負担の軽減に繋がったことも効果の1つとなって現れております。
最後に、配当政策でございますが、株主のみなさまへの還元策といたしまして、安定配当を継続し、着実に増配を進めていくという基本的な考え方を踏襲しております。2018年2月期の配当につきましては、期初計画では、前期比1円増配の1株あたり28円の配当を予定しておりましたが、利益の上振れや税負担の軽減を踏まえ、さらに2円増額の30円とし、株主総会に付議してまいります。
今期(2019年2月期)の配当予想につきましては、業績が安定的に推移することが見込まれるなか、冒頭に申し上げましたように、期中に創業120周年を迎えることを踏まえ、2円の記念配当を加え、32円への増配を予定しております。
以上、2018年2月期決算の概要、2019年2月期計画と基本戦略について、ご説明させていただきました。ご清聴、誠にありがとうございました。
質疑応答:仕入環境は良好なのか?
質問者1:ご説明ありがとうございました。2点ありまして、1点目は契約率が非常に高いと思いますが、一方で神戸市のマンション市場価格も上がってきており、環境的には良さそうですが、安く売りすぎているのではないでしょうか。2点目は仕入環境は良好なのか、それとも競合が増えてきているのか、定性的なニュアンスを教えていただけますか。
溝本:まず、販売価格については、適正価格で販売をしているという考えであります。確かに現状、建築コストや用地費は上昇基調にございます。それらを踏まえながら、販売価格に転嫁をしておりますが、やはり、契約ができて、はじめて売上に繋がりますので、安く売りすぎているという認識は持っておりません。
また、仕入については、いつの時期でも当然ライバルの存在があります。とくに阪神間につきましては、全体的に人気のあるエリアですので、大手の会社も当然、入札などがあれば参加されます。
当社の採算ベースを大きく上回る価格で、(大手の会社は)札を入れるということも散見されますので、仕入環境については、やはり厳しい局面が続いていくと思います。
ただ、当社は入札(による仕入)よりも、地元の流通業者との繋がりを大切にしておりますので、相対でリーズナブルな価格で仕入を行うことを第一義にしております。以上でございます。
質問者1:ありがとうございます。
質疑応答:シェアハウスのメリット・デメリットはあるか?
質問者2:2点お願いします。1点目は、昨今シェアハウスの話題がありますが、御社に対して直接的・間接的に、何かメリット・デメリットがあるかどうか。
賃貸物件の事業をされていますし、少し金融情勢が好転すれば、競合が緩むといったプラス(の影響)もあると思います。一方で、業界全体のイメージダウンなどの問題もあるかと思いますので、プラス・マイナス面で、どのように見たらいいかを教えてください。
もう1点は、北摂に本格進出しましたが、神戸で行っていることとの違いは何かありますか。業者との付き合い方や施工体制など神戸での事業体制を、そのまま北摂に応用できるのか、お願いします。
溝本:回答をさせていただきます。昨今、サブリースやシェアハウスの問題が騒がれておりますが、影響として1つ考えられるのが金融機関のアパートローンです。
アパート向け融資に対して、従来では100パーセントのファイナンスがついていましたが、取引のある金融機関に聞いてみますと、やはり、手元資金を10〜20パーセント入れてもらうなどの動きが高まっております。
当社がそのような小型の収益物件を販売する際には、買主側の資金負担は出てくるかと思われますが、ターゲットとしましては、(決算の)説明でも申し上げましたように手元資金が十分にある富裕層の方を中心に展開しておりますので、それらの影響については軽微と考えております。
次に、北摂方面の開発ですが、当社はこの地域では後発でございます。「ワコーレ」というブランドについては、神戸・阪神間で25年ぐらいの実績があるため名前が通っており、「ワコーレ」を目当てにして来られるお客さまがほとんどでありますが、北摂地域になりますと、さまざまなライバル会社があり、いろいろなマンションギャラリーを回られてから、購入物件を決めるという動き(をされる方)も多くいらっしゃいます。
これについては、今後、開発を進めていくことで知名度を高めつつネームバリューの向上を目指していきたいと考えております。
質問者2:一点追加で(お尋ねします)。首都圏のデベロッパーは、入札などで規模の違いもあるため直接的な競合は少ないのかもしれませんが、大阪での競合としてはどのようなところがあるのでしょうか。30戸以内の規模(の物件)で重なるところとしては、どのようなところが思いつくのでしょうか。
溝本:30戸以内では、あまり重なるところは正直少ないです。ただ、高級住宅地、マンションの坪単価が300万円を超えるようなところになりますと、首都圏の会社や電鉄系の会社が競合相手として並ぶと思います。
さらに大阪市内に行きますと、最近はホテル(開発)なども増えております。その場合一番土地代が高く出てくると聞いております。
質問者2:ありがとうございました。
質疑応答:不動産テック関連のアクションについて
質問者3:ご説明ありがとうございました。2点あるのですが、1つ目は、地元の神戸であれば、地元の業者さんとの深いリレーションであったり、多様なルートを持っていらっしゃるということでですが、競合は激しくなっているものの、その強みはまだ生きていて、競争力は担保できそうという見方をしているのでしょうか。
2つ目は、今取り組んでいらっしゃる不動産テックに関連するようなアクション、もしくは今後このようなことをやっていきたいという取り組みがあれば、ご紹介いただければ幸いです。よろしくお願いします。
溝本:まず、仕入につきましては、地元地域ではワコーレというブランドをこれまで長年展開してきておりますので、地元の流通業者との関係のなかで、良い仕入ができていると思っております。ただ、土地が安いところで相対的に建築費のウエイトが高くなります。建築コストもずいぶん上がっておりますので、そこで採算をとることが難しいという要因はあると思っております。
IT関係については、あまり対応ができていないのが正直なところでございます。どちらかというとローカルな人と人との繋がり、リレーションを大事にしたいと考えております。以上でございます。
質問者3:ありがとうございます。
質疑応答:不動産市況と利益還元について
質問者4:2点ございまして、1点目は分譲マンションの販売が前期(2018年2月期実績が)271億78百万円に対して、今期(2019年2月期)の予想が313億円となっていて、不動産賃貸収入は(2018年2月期実績)24億3百万円(に対して、今期の予想)が25億円で、わりと、ここは伸びが大きいだろうと思います。
そこに対して、営業利益が(2018年2月期実績)33億4百万円から33億50百万円と、ほぼ横ばいですが、これは、いろいろな収益コスト、もしくは建築コストが上がって、分譲マンションにおける収益が少しシュリンクするような想定されているのか、考え方をお伺いしたいです。
2つ目は、不動産市況が2008年からどちらかと言えば右肩上がりの傾向になっておりますが、ここから向こう5~10年間のなかで、不動産市況もどこかで陰りが見える可能性もあります。そのようになった時、例えば、少し分譲マンション販売のウエイトを落として、収益物件を少し厚めに持ち、利益は配当等で還元するなど、分譲マンションのデベロッパーとして、長期スパンで事業戦略と株主への利益還元を、どのように判断されるかを教えていただきたいと思います。
溝本:まず、通期の計画でございますが、確かに分譲マンション販売において建築コスト・用地費は上昇しており、すべて販売価格に転嫁することは、契約を考えると、難しい面がございますので、利益率については、前期より若干低下するという見通しを立てております。
また、販管費の部分において、前期は期ずれ等の要因で下振れをしていたものが、今期は大阪市の中心街で販売する物件等の要因で、販促費のコストが多少増加すると見込んでおりますので、営業利益については微増で見通しを立てております。
長期の事業戦略につきましては、分譲マンション事業はどうしても波の大きい事業であることと、今後世帯数が減少していくなかで、ずっと右肩上がりで増えていくということは難しいと思っております。そのため、小型の収益物件の販売、別の事業なども取り組んでいきながら、分譲マンションのウエイトを落とすことができればと思っております。
また、賃貸収入についても、物件の入れ替えを進めていきながら、資産を多少増やすことも視野に入れて、全体的にバランスよく事業を進めていきたいと考えております。
質問者4:ありがとうございました。