2017年度 第3四半期 業績ハイライト①
宮坂学氏(以下、宮坂):それでは、ヤフー株式会社の2017年度第3四半期の決算の説明をしたいと思います。
まず、連結の業績であります。売上高が2,307億円で、前年同四半期比で4.3パーセントの伸びです。営業利益は528億円、前年同四半期比で2.0パーセントの伸びです。広告関連の売上高は前年同四半期比で6.6パーセントの増加で、eコマースの流通総額は同14パーセントの伸びとなりました。
2017年度 第3四半期 業績ハイライト②
コマースの事業は、ショッピングの取扱高が過去最高を更新することができて、カードの事業も非常にうまくいっております。
売上高
売上高構成
営業利益
営業利益の増減要因
販売促進活動
Daily UB(デイリーユニークブラウザー)数
いろんなデバイスでたくさんの方が使ってもらってるんですが、このデイリーユニークブラウザーで見ると8,900万と、だいたい1日約9,000万のユニークブラウザーの方がアクセスしており、延べ人数みたいに捉えてもらうといいのですが、延べ9,000万人ぐらいが毎日使うほど伸びてきました。
スマートフォンがさらに拡大していて、スマートフォンの比率がまた上がってきています。
月間アクティブユーザーID数
アプリ合算DAU(デイリーアクティブユーザー)数
広告関連売上高
(スライドを指しながら)広告はディスプレイと検索で、それぞれこんな感じで伸びてきています。
スマートフォン広告売上高
スマートフォン版動画広告 ロードマップ
年末に、ブラウザー版のプレミアムの動画広告の配信ができるようになりました。2017年度の末から2018年度はじめぐらいにかけて、タイミングを見ながら、インフィードの動画広告のブラウザー版を投入する予定になっています。
その後、2018年度の中盤から後半ぐらいまでに、プレミアムの動画広告のアプリ版を出していこうとしています。年度末から比べれば、動画の配信できる供給在庫の数がかなり増えるというロードマップです。
スマートフォントップページ(ブラウザー)プレミアム動画広告
動画視聴時間
PC版「Yahoo! JAPAN」トップページに動画タブを追加
今までは動画と写真は分けて、動画は動画コーナーで見るものとしてきましたが、これからの時代はスマホもPCも、動画も写真も一緒です。特別な動画コーナーに行って見るものではなくて、普通に見るものに完全になってきています。いろんなところで、こういった動画の枠を増やすことを考えています。
月額有料会員ID数
コマースで一番大事なものの1つは、プレミアム会員、月額有料会員を増やすことだと思います。ヤフーのコマースは会員によって牽引されていますので、まずこの分母になる会員が増えているのかが非常に大事なんです。去年と比べると43パーセント増えて2,511万人と増やすことができました。
ショッピング事業取扱高
いい買物の日 取扱高実績
「Yahoo!ショッピング」購入者数
そのためには、出店料・出品料を無料化しました。ヤフーはお客さまがもともと見るわけだから、品数が増えれば、買う人の数が増えるというシナリオの中でやってみたわけです。時間が経つにつれて、ストアの数が一番になり、商品数が一番になり、そして今では買ってくださる人の数が、eコマース戦略発表のときに比べると2倍以上になってきたことで、着実にシナリオどおりだと思います。
(スライドを見ながら)このグラフの上の濃いところが新規のお客さまで、薄い方が既存の方です。既存が着実に積み上がっているのが見てとれると思います。いろんなキャンペーンとか「いい買物の日」といったセールを通じて、新規のお客さんが入ってくださって、それが着実に継続する構造ができているのが、このグラフから見てとれると思います。
「Yahoo!ショッピング」取扱高
事実上「Yahoo!ショッピング」は会員制のeコマースです。特定の会員は「Yahoo!ショッピング」で買ってほしいというマーケティングをしていますが、非常にうまくいっていると思います。
ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」取扱高推移
ソフトバンクのお客さんに「Yahoo!ショッピング」で買い物を楽しんでもらうケースが、1年間で4倍くらいに増えました。
ソフトバンク会員の「Yahoo!ショッピング」利用状況
そのうち、だいたい3割くらいしか、まだ「Yahoo!ショッピング」で買い物をしていない。残りの方は、まだ他で買い物をしている可能性が非常に高いので、丁寧に施策していけば、まだまだ伸びしろがあると思っています。
ショッピング広告売上高
「Yahoo!ショッピング」取扱高における ショッピング広告テイクレート*1およびポイント費用比率*2の推移
(スライドを指しながら)この推移線は流通総額に占めるポイントの費用比率になります。上の赤い方は、流通総額に占める広告の売上の比率になります。
今は流通総額に占める広告の売上が安定的に高くて、無理をしてポイントを出して(会員を)取っているのではない状態です。それでもこれだけ高い伸びをできるようになってきました。
オークション関連取扱高
オークションも堅調に伸びていて、2,578億円にまで流通総額を伸ばすことができました。とくに力を入れたりしている施策としては、「Yahoo!マネー」を上手に有効活用しながら伸ばしていくことで、引き続きがんばっていきたいと思います。
「Yahoo!ウォレット」の利用を促進
決済金融で何をやっているか、1枚の図にしてみました。今、ショッピング・オークション・トラベルなんかを通じて、ヤフーの流通総額を増やしていこうと取り組んできて、うまく伸びています。
流通総額で決済するときに、「Yahoo!ウォレット」を使っていただこうと、流通総額に占めるウォレットシェアの比率を上げる努力をしています。そして次に、ウォレットシェアだけではなく、ウォレットの中で、他社のクレジットカードとか銀行決済ではなく、ヤフーの「Yahoo!JAPANカード」や「Yahoo!マネー」を使ってもらう比率をあげようとしています。
これは社内的にはインハウス決済比率と呼んでいますが、全体として「Yahoo!ウォレット」比率を上げます。流通に占める「Yahoo!ウォレット」比率を上げることと、その「Yahoo!ウォレット」の中におけるインハウスの比率を上げることを、今決済チームでやっています。
「Yahoo!ウォレット」口座数
「Yahoo!ウォレット」取扱高
クレジットカード有効会員数
クレジットカード取扱高
インターネットサービスはパーソナライズの戦い
現代のインターネットは、100人がいれば100人みんなが違う情報を見る時代になってきていると思います。そういう意味で、いいサービスは何かと言うと、自分にぴったりのパーソナライズをしてくれるサービスです。このパーソナライズのフィット感をめぐる戦いが、インターネットで起きていることではないかと思います。
それは「Yahoo!」で言うと、タイムラインだったり、広告だったり、eコマースのレコメンデーションだったり、動画のおすすめだったり、ニュースのおすすめだったりします。ありとあらゆるレコメンデーションを、パーソナライズのエンジンを使って行うことです。我々のライバルの企業さんも同じ状況だと思います。
すべての企業さんがこのパーソナライズドエンジンの性能を上げて、ぴったりの広告、ぴったりのeコマース、ぴったりのニュース、そしてビデオを配信していこうと。こういったパーソナライズ競争が世界的な規模で起きていると思います。このパーソナライズドエンジンのエネルギーに当たるものはデータであると。
データをたくさん集めて、いいパーソナライズドエンジンを作って回すと、タイムラインとかeコマースのレコメンドといったかたちで出力されるというふうに、現代のインターネットはなっていると認識しています。
競合が真似できないエンジンを作り収益の拡大を目指す
これは我々はマルチビッグデータと言っています。広告とか、eコマースとか、ニュース・ビデオの配信をするときに、非常に有意義になりそうなデータをたくさん持っています。
量だけじゃなくて、種類をたくさん持っていると。そしてしかも、それらがたった1つのIDで全部運用管理されているところが、他の企業さんにはない、非常にユニークな点ではないかと思っています。技術開発の方向性としては、この多様なエネルギーミックスをもっと多様にできるように増やしていくことです。
そしてもう1つはこのエネルギーミックスを活かした、パーソナライズドエンジンを作り上げていくことです。現状、我々のパーソナライズドエンジンは、残念ながらミックスしたエネルギーを使うようになっていません。基本的には、メディアで見たものは、メディアで使う。eコマースで見たものは、eコマースで使うとなっています。エンジンが1つになっていないんです。
長い目で見れば「Yahoo!JAPAN」の差別化のポイントは、やはり、このデータにあるのではないかと思っています。
今後のデータ活用の取り組み
IRの情報ページからもリンクを掲載する予定になっています。ぜひご覧いただければと思います。
以上が、私からの説明です。ありがとうございます。