年末調整ってなぜするの?
頼藤太希(以下、頼藤):こんにちは。
高山一恵(以下、高山):こんにちは。
頼藤:ゆる~くマネーについて語るラジオ。
頼藤・高山:マネラジー!
(会場拍手)
頼藤:第43回ということで、いつも聴いてくださってありがとうございます。
高山:ありがとうございます。
頼藤:この番組はお金のことや働き方について、ゆる~く聴いていただけるようなPodcast番組になります。
先日、女子大生からメールがきました。
高山:おおー! うれしい。
頼藤:「いつも楽しく聴いています」ということで。
高山:本当にいたんだ、聴いてくれてる人。
頼藤:(笑)。「もっともっと聴きたいです」ということでした。
高山:本当にありがとうございます。
頼藤:「こんなテーマの話をしてほしい」というメッセージをいろいろいただいたのですけれども、ゆくゆくお話ししていこうと思います。いただいたメッセージはちゃんと読んでおります。
年末調整は税金が戻ってくるチャンス?
頼藤:この43回を配信するのがちょうど年末調整の時期だと思いますので、今回は年末調整についてお話ししようと思います。
高山:年末調整の時期がやってまいりましたね。
頼藤:確定申告については、過去の19回でお話ししているので、そちらを聴いていただけるとありがたいなと思います。というわけで高山さん、年末調整なのですけれども。
高山:はい。
頼藤:そもそもなんで年末調整って必要なんですかね?
高山:みなさんの1年間の所得が決まるのは12月末ですよね。
頼藤:はい。
高山:だから前年の所得税や住民税というのは、「だいたいこの人は1年間にこのぐらい稼ぐだろう」という概算の金額で出していているんです。
頼藤:うんうん。
高山:ただ実際に12月末になると、想定よりも違っているというパターンがあったりします。結婚したとか、子どもが増えたとか。その状況が変わることによって、税金もまた変わってきますよね。
頼藤:なるほど。
高山:それを調整するのが年末調整というものです。
頼藤:年末調整は、払いすぎている税金を取り戻せるチャンスだということなんですね。
高山:少なかった場合は、もしかしたら(追加で)払うことになるかもしれないですよ。
頼藤:会社が把握しているのは、前年度の情報に基づいた家族構成や控除の情報と給与を支払っているので給与額面は知っていると。
高山:そうです。
頼藤:それしか知らないので、例えば新たに生命保険に入ったとか、結婚したとか、子どもが生まれたとしたら、この時期にちゃんと申請しないと調整してもらえないということですよね。
高山:そうです。
各種控除要件を解説
頼藤:年末調整で完結できる控除とできない控除があるじゃないですか。
高山:年末調整で完結できる一番代表的なものは、生命保険料控除ですかね。
頼藤:そうですよね。では年末調整で完結できる控除を一覧でお話ししていきましょう。
高山:勤務先で把握している控除。これは基礎控除といって誰にでもある控除です。
あとは意外と知られていない社会保険料控除。これはみなさんが支払っている社会保険料が控除されますということですね。
頼藤:なるほど。今(の話)は勤務先で把握している控除ですけど、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出することで完結する控除をご紹介ください。
高山:配偶者控除。扶養控除。障害者控除。寡婦(寡夫)控除です。あとは勤労学生控除もあります。
頼藤:なるほど。あとは「保険料控除申告書」も勤務先に書いて提出すると思うんですけど、それと生命保険料控除証明書などの各種証明書を合わせて提出することで完結する控除もご紹介ください。
高山:それは、配偶者特別控除。小規模企業共済等掛金控除。
頼藤:なるほど。「小規模企業共済等掛金控除」は何かというと、これは個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入していると、その掛金の証明として、控除の証明書が送られてきます。
高山:そうですね。今年加入した方もけっこう多いのではないかと思いますので、ぜひ覚えておいていただきたいですね。
頼藤:そうですね。あとは「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローン年末残高証明書」を提出すると、年末調整で住宅ローン控除が適用になるんですよね。
高山:そうですね。
頼藤:ただし2年目以降です。1年目は確定申告しないといけません。
高山:そうですね。
頼藤:今言ったものは年末調整で完結できるのですが、できないものもあるんですよね。それもご紹介いただいてもいいですか?
高山:代表的なのは医療費控除ですね。
頼藤:今年はセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)もありますね。
高山:ありますね。
頼藤:セルフメディケーション税制というのは、薬局などでスイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入して、その購入金額が1万2,000円を超えたら特例控除できるというものです。
高山:そうですね。
頼藤:あとは、災害に遭ったときの損失額を控除できる雑損控除。それと寄付金控除は確定申告が必要になります。
高山:はい。
ふるさと納税の注意点
頼藤:ふるさと納税は原則確定申告を行う必要があるのですが、次の2つに該当する場合は「ワンストップ特例制度」を使うことで、確定申告が不要になります。
1つ目は、もともと確定申告をする必要のない給与所得者であること。2つ目は、ふるさと納税の寄付先が5自治体以内。この2つに該当する場合は適用できます。
高山:「ワンストップ特例制度」が使えるようになってから便利になりましたよね。
頼藤:そうそう。1つ注意点として「ワンストップ特例制度」を申請していても、ふるさと納税の確定申告をしないといけないケースがあります。
それはどのようなときかというと、医療費控除やセルフメディケーション税制を申請している場合は、合わせてふるさと納税も確定申告しないといけません。
高山:そう、去年の私(笑)。
頼藤:やりましたか(笑)。
高山:「ワンストップ特例制度」をやってたんだけど、医療費控除もやってた。
頼藤:なるほど。あと住宅ローン控除を初めて受ける人は確定申告をしなければいけないんですけど、同じ年にふるさと納税をやっていたら、合わせて申告しないといけないんです。ふるさと納税の確定申告だけ忘れてしまうと、ただ寄付しただけになってしまいます。
高山:そう。
頼藤:最悪な状況になります(笑)。
高山:なりますね(笑)。
頼藤:けっこう知らない人も多いので、ぜひみなさんメモを取っていただければと思います。
とくに忘れがちな控除要件は
頼藤:せっかくなので、年末調整で忘れがち控除を僕から紹介しようと思います。
高山:はいはい。
頼藤:この前記事にも書いたので調べたんですけど、共働き世帯の場合、妻が産休・育休を取るじゃないですか。
高山:はい。
頼藤:男性が育休を取る場合でもいいんですけど、配偶者控除が適用される場合があるということなんです。
高山:なるほど。
頼藤:産休は98日間で、育休は1年から1年半とかあるじゃないですか。その間は給与収入がないんですよ。
高山:うんうん。
頼藤:育休の支援金は雇用保険から出るんですよね。
高山:そうです。雇用保険から出ます。
頼藤:給与収入がないということは年収103万円以下で配偶者控除が適用になる可能性が高い。2018年度以降は、年収150万円以下だったら配偶者控除が適用になります。これはけっこう知らない人が多いと思います。
「給与収入が年間103万円以下だ」という方は、旦那の書類にチェックを付けていただくのがいいのかなと思います。
高山:はい。
頼藤:あとは高齢になった親の面倒を見ている場合は扶養控除の対象になります。
高山:ありますね。
頼藤:扶養控除というと、子どものことばかりに意識が向きがちなんですけど、親やおじいちゃん・おばあちゃんを養っている場合は扶養控除が適用になる場合があります。
高山:私は適用になりました。母親を養っておりますので。
頼藤:老人扶養控除の金額は48万円です。老人扶養控除に該当するのは、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人です。
高山:ここポイントですね、年齢。70歳以上。
頼藤:さらに、同居していなくて、仕送りの場合でもOKです。ここはけっこうポイントですよね。
高山:はい。
頼藤:同居している場合は10万円が上乗せになって、58万円の控除になります。
高山:私はこれ。58万円の控除です。
頼藤:58万円の控除って超大事ですよ。
高山:大事です。
頼藤:日常的に同居していることが基本的な要件なんですけれども、例えば長期で入院している場合にも適用になるということです。
高山:はい。
頼藤:こう言うと、「申請し忘れた」という場合があるかもしれませんが、ご安心ください。過去5年以内だったら、還付申告というものをすると(支払った)税金を取り戻せます。
高山:はい。これはぜひやってほしいですね。
控除申請を忘れた場合はどうする?
頼藤:「所得税の更生の請求書」という書類に必要事項を記入して、該当する年の証明書などを添付して、所轄の税務署に提出すればOKです。
出産のときってけっこう忙しくて、医療費控除ができたのに申請を忘れている人がいますよね。
高山:うん。
頼藤:普通の医療費控除は、(支払額)10万円を超えたら、上限200万円までは所得控除できるので、出産のときにかかった金額で医療費控除の対象になるものを合わせると、10万円を超えるかもしれないですね。
高山:そうですね。
頼藤:過去5年以内であれば遡れますので、この機会にぜひ見直しをしていただければと思います。
高山:そうですね。取り戻せるものは取り戻していただきいという感じです(笑)。
頼藤:他にも何かポイントはありますか?
高山:そうですね……。けっこう「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」とか、書くの面倒くさいなって(笑)。
頼藤:面倒くさいですね(笑)。
高山:細かいんですよね。もっと書きやすくしてほしい。欄が狭くて。
頼藤:はいはい。
高山:私はけっこう保険に入っているので書きづらい。
頼藤:そうですよね、ただ会社員・公務員の方は年末調整をきちんと書けばそれで終わりです。確定申告はもう少し大変なので、うまく乗り切っていただければと思います。
今回のマネラジを聴いて、「あたしそうだった!」と思った方はぜひ実現して、メッセージで「これだけ返ってきましたよ!」と教えていただければうれしいなと思います。
もし今言ったような税金のことや、お金を貯めることでもぜんぜんいいので、わからないことがあれば僕らが運営している「FP Café」というサービスにご相談いただいてもいいです。
僕らの株式会社Money&Youのホームページからお問い合わせいただいて、相談したいことがあればお気軽にご連絡いただければと思います。
高山:はい。
頼藤:本日は少し短いですけれども、お時間となりましたのでこれにて終わりにしたいと思います。