連結損益計算書

伊達英文氏:三菱ケミカルホールディングスの伊達です。それでは、さっそく説明を開始いたします。

まず4ページ目でございますが、連結損益計算書の説明から開始いたします。

為替レートにつきましては、当上期は111円30銭ということで、前期に比べますと5円90銭ほどの円安でございました。ナフサ単価につきましても3万7,600円ということで、前期に比べますと6,100円のナフサ高という状況でございました。

当期の売上収益につきましては、1兆8,048億円ということで、対前期で2,185億円の増収となりました。このうち、円安に伴う為替の換算の影響等が272億円入っております。また、MMAおよび炭素製品を中心とした価格の高騰によりまして、価格要因によるものが1,200億円・数量要因によるものが700億円程度、この増収を牽引しております。

(全社の)コア営業利益につきましては、1,923億円ということで、560億円の増益となりました。なお、こちらはホールディングス発足以来、上期の最高益でございます。

非経常項目につきましては、後ほど別のページでご説明いたしますが、前期に熊本での震災ないしはテレフタル酸の撤退に伴います中国のPTMGのプラントの減損等がございました関係で、前期からは92億円の費用の縮小となっております。

営業利益につきましては1,853億円、652億円の増益となりました。

金融収益・費用です。こちらは、その2つ下のかっこの中に「内、為替差損益」の記載がございます。第1四半期で円高が急速に進みました関係で、当期は39億円、費用が減っているといったかたちになっております。

税引前利益が1,802億円、686億円の増益でございました。

法人所得税については、489億円の費用ということで、前期から比べますと大きく費用が増えたようなかたちになっております。前期につきましては、上期末においてテレフタル酸の中国・インドの売却の意思決定を行ったということで、繰延税金資産を339億円ほど、収益に効くサイドで計上しておりました関係で、費用の大幅増加となっております。

全体の継続事業からの四半期利益は1,313億円で、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,005億円ということで、213億円の増益となりました。こちらも、上期最高益でございます。

なお、欄外に持分法投資損益を注記しておりますが、こちらは116億円です。これはコア営業利益に含まれておりますが、42億円ほど、対前期で増益となっております。MMAの関連会社ないしはフェノール・ポリカーボネートチェーンの関連会社での増益によるものでございます。

事業セグメントの内訳別 売上収益及びコア営業利益

ページをめくっていただいて、5ページです。細かいセグメントについては、7ページ以降でご説明をいたします。ざっと見ていただいておわかりのように、ヘルスケアで減益になったところを除きまして、各サブセグメントにつきましても、増収増益といったところになりました。

コア営業利益 (全社) 増減要因

6ページでございます。560億円のコア営業利益の増減を、分析した表でございます。売買差につきましては、ケミカルズとMMAを中心としたスプレッドの拡大で、全社トータルで373億円の増益効果となりました。数量差につきましては、機能商品が順調に伸展しておりまして、81億円。

またケミカルズにつきましては、前期は鹿島の低収・後期は水島の低収がございましたけれども。前期は、鹿島・水島で夏場に2、3週間のトラブルがあり、停止がございました。そういった関係もございまして、数量の増加がございました。コスト削減につきましては、66億円ということで、若干進捗が遅れております。下期にかけて、当初の目標でございました200億円を超える、コスト削減を実現していくことにしております。

その他につきましては、受払差・持分法投資損益の差でございますが、それ以外にも固定費の増加等が入っております。こういったところをネットいたしまして、132億円のマイナスでございました。

機能商品セグメントの業績概要

それでは、セグメント別にご説明をいたします。7ページです。

機能商品セグメントの機能部材サブセグメントにつきましては、売上収益が3,846億円ということで、対前期で192億円の増収となりました。資料の右側に、業績概要を示しております。高機能エンジニアリングプラスチックやアルミナ繊維等の製品、またディスプレイ向けフィルムの販売が伸長いたしました。

コア営業利益は329億円ということで、8億円の増益となっております。こちらは、数量増の効果で言いますと、先ほど申し上げた各種製品のうち、ディスプレイ向けフィルムで13億円の数量増の効果。高機能エンジニアリングプラスチック成形でも13億円の増益効果、ないしはアルミナ繊維で8億円の増益効果等がございました。

ただ、一部製品で原料価格の上昇等がございました。期初申し上げたように、食品包装フィルムで若干の原料価格の上昇、ないしは日本合成化学工業株式会社で、原料のコストアップがございました。

機能化学サブセグメントにつきましては、売上収益は1,761億円ということで、176億円の増収。コア営業利益につきましては179億円で、31億円の増益となっております。

売上収益につきましては、フェノール・ポリカーボネートチェーン、とくにポリカーボネートの市況が非常に堅調に推移いたしました。また、前年同期は定期修理ないしはトラブルでの停止がございました関係で、こちらが解消したことにより、売上収益が伸びております。

また、自動車用電池材料が、とくに電解液を中心として、販売数量が増加しております。コア営業利益につきましても、電池材料で10億円の数量増効果。またフェノール・ポリカーボネートチェーンの堅調ということで、こちらも22億円の数量による増益効果。ないしは電子材料分野向けでございますが、エポキシ樹脂の増販等により、増益となっております。

(左下の)階段グラフで、コア営業利益の増減をお示ししております。こちらは第1四半期と見比べていただくと、ちょっと気になるところがあるかと思いますので、まずコメントしておきます。売買差につきましては、第1四半期で33億円のマイナスだったものが、25億円のマイナスにまで、第2四半期累計では減っております。こちらは第2四半期に関して、昨年度につきましては円高で、102円90銭でございました。

こちらが、当期の第2四半期では111円20銭ということで、第2四半期で為替による影響が20億円ほどプラスサイドで入ったといったところで、この売買差が縮小しているといったところでございます。また、その他差でございますけれども、52億円のマイナスがございます。

期初に申し上げたとおり、ケミカル系3社の統合に伴い、共通費の負担の配分が40億円ほど、機能商品に年間でかかってくる。その分ケミカルズで、40億円ほど軽くなっているという話を申し上げました。こちらが、上期に共通費で22億円ほどの負担増が、機能商品全体であったといったところでございます。

ケミカルズセグメントの業績概要

続きまして、8ページ目でございます。ケミカルズのセグメントについてご説明をいたします。 MMAにつきましては、売上収益が1,849億円ということで、488億円の大幅増収となりました。コア営業利益につきましては、522億円となりました。

売上収益につきましては、先ほど申し上げておりますが、水島・鹿島でのトラブル及び定期修理の差がありました。去年は鹿島の一系列分、今年は水島の分を旭化成さんと折半しておりますので、低収影響が半減したといったところで、販売数量が増加しております。

また、原料価格ナフサに関しては、申し上げたとおり増収したことに伴って販売価格が上昇しております。コア営業利益につきましては、そういった石化製品の市況が堅調でございました。とくに第2四半期は、前期から比べますと堅調でございまして、この影響により対前期で大幅増益となっております。

炭素製品につきましては、売上収益が1,283億円ということで、460億円の増収となりました。 コア営業利益につきましても52億円ということで、前期から46億円の増益となっております。

こちらは、原料炭価格が上昇したことに伴いまして、コークスの販売価格が上昇いたしました。また、ニードルコークスの販売価格も上昇しておりまして、売上収益を大きく伸ばしております。

コア営業利益につきましても、コークスのスプレッドが前期はほとんど取れなかったようなところで、スプレッドの拡大がございました。また、ニードルコークスにつきましては、販売価格が上昇いたしました。そして、販売数量につきましても中国の電極の回復、ないしは負極材用途への応用といったようなところもございまして、数量が増加しております。

こちら(左下)の階段グラフで、コア営業利益の増減要因を示しております。売買差の392億円につきましてはMMAで301億円・石化で41億円・炭素で50億円といったところでございます。

また数量につきましては、MMAで37億円のプラス・石化で60億円のプラス。コークスはほとんどフルでございますので、3億円程度といったところでございます。こういったものが大きく牽引をして、ケミカルズの大幅増益となりました。

産業ガスセグメントの業績概要

続きまして、9ページ目でございます。産業ガスセグメントについてご説明いたします。

売上収益が3,022億円ということで、対前期で367億円の増収となりました。こちらは、右側に書いてございますように、米国で昨年度Air Liquideの一部事業の譲受を受けた関係で、売上収益は132億円ほど増えております。

また、それに伴いまして、コア営業利益につきましても16億円ほどの増益効果がございました。

また、昨年(2016年)第4四半期に、スパガスというオーストラリアの会社を買収いたしました。こちらが54億円の増収の効果で、増益の効果としては10億円ほどございます。

そういったM&A以外にも、エレクトロニクス関連向けの電子改良ガスそのもの、それとその関連機器、工事(の販売)が好調に推移した関係がありました。また、国内のガス事業におきましても堅調に推移いたしまして、収益を37億円伸ばし、コア営業利益は281億円となりました。

ヘルスケアセグメントの業績概要

10ページ目の、ヘルスケアセグメントでございます。売上収益は2,732億円ということで、98億円の増収となりました。

こちらは右側に書いてございますとおり、国内医療用医薬品の販売が、とくに重点製品を中心に伸長をいたしました。また、米国でALS治療薬の「ラジカヴァ」を(2017年)8月に発売しまして、こちらの売上高が11億円ほど貢献をしております。また、「ジレニア」等のロイヤリティの収入が概ね堅調に推移をいたしまして、増収となりました。

コア営業利益は410億円ということで、対前期80億円の減益となっております。こちらは左下の階段グラフでお分かりのように、数量につきましては32億円ほど増え、ロイヤリティ収入自体が11億円ほど増えております。

また、国内の医薬品に関して、先ほども申し上げました長期収載品の数量の減少をネットいたしましても、12億円の増益効果がございました。

一方、その他差の118億円のマイナスでございますが、研究開発費の増加・米国事業展開費用の増加によって、減益となったものでございます。

なお、トピックスに書いてございます2点目でございますが、(イスラエルの)ニューロダーム社につきましては、10月に完全子会社化をしてございます。

非経常項目

11ページで、非経常項目についてご説明をいたします。

特別退職金のところで、8億円の費用がございました。こちらは、田辺三菱製薬のほうで、ジェネリック医薬品事業をニプロ社に譲渡いたしました。その関係での、特別退職金等によるものでございます。

また減損損失等につきましても、11億円程度発生しております。欄外脚注に書いておりますが、去年の上期、熊本の地震関連で40億円の費用がございました。減損損失で79億円の費用計上で、そのうち30億円強は、中国のPTMGの建屋の製造設備の減損といったところでございます。

連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書について、ご説明をいたします。

(右側の)実質ベースでご説明いたしますが、営業キャッシュフローにつきましては、1,892億円です。収益自体は非常に拡大したわけですが、営業債権債務および棚卸資産の資金増により、前期から比べますと若干営業キャッシュフローが減っております。

こちらの要因には、前期が異例だったというところが、1つございます。去年(2016年)は先ほどから申し上げてますように低収のあと、夏場にかけてトラブルがございまして、売上高自体が増えませんでした。

また、棚卸資産につきましても、まったく在庫を積み上げる状況ができず、低収前に貯め上げた在庫を上期に販売したといったところで、資金の回収側に回ったものであります。

一方当期につきましては、423億円の営業債権債務の資金支出がございますが、うち半分以上は、期末の休日の影響でございます。こちらは10月に入って入金をしておりますので、とくに何か、異常な事態が発生したわけではございません。

連結財政状態計算書

続きまして13ページで、連結財政状態計算書についてご説明いたします。総資産につきましては4兆5,761億円ということで、(2017年)3月末から1,126億円ほど増加しております。こちらの期末の休日の影響が、632億円ほど総資産を押し上げております。

また、株価につきましても、日経平均が9月末で2万円を超えていたといったところもございまして、政策保有株式の時価評価ないしは年金資産の時価評価等で、262億円ほど資産の増加がございました。

また、為替が円安に動いたといったところもございまして、こちらで250億円程度の為替の換算による増加がございました。

右側にいきまして、中段あたりをご覧ください。親会社の所有者に帰属する持分です。こちらの自己資本でございますが、1兆2,094億円ということで、3月末から比べますと、1,180億円の大幅な増加となっております。利益の計上がございました。また、先ほどから申し上げております、時価の上昇に伴う評価差額等で増えてございます。

一方、欄外でございますけれども、ネット有利子負債につきましては1兆1,269億円ということで、3月末から比べますと290億円(の減少)。先ほどご説明しましたとおり、キャッシュフローのフリーキャッシュフローを使いまして、有利子負債を削減しております。

その関係で、9月末につきましてはネットD/Eレシオが0.93ということで0.13ほど改善し、自己資本比率でございます、親会社所有者帰属持分比率が26.4パーセントということで、1.9パーセントほど改善をいたしました。

業績予想 連結損益計算書

続きまして、通期の業績予想についてご説明をいたします。こちらは(2017年)10月26日に公表したとおりでございます。

為替レートにつきましては、下期は110円。ナフサ単価につきましては、4万4,000円というレベルで見ております。

売上収益が3兆7,000億円、期初発表からは500億円の増収でございます。

コア営業利益では3,650億円ということで、期初より550億円の増益を見込んでおります。次のページで、下期の見方を中心にご説明いたします。

IFRS営業利益につきましては、3,450億円。同じく、期初発表から550億円の増益でございます。

ボトムラインでございます、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、1,800億円を予想しておりまして、期初から比べますと430億円の増加となっております。

業績予想 事業セグメント別 売上収益及びコア営業利益

16ページで、下期の見方を中心にご説明いたします。

機能部材につきましては、売上収益自体は下期にかけて4,054億円ということで、増収になってまいります。コア営業利益につきましては、ほぼ上期並み。若干減益で321億円を見込んでおります。こちらの見方でございますけれども、下期につきましては、光学フィルム等がございます。

また、先ほどから申し上げております、高機能エンジニアリングプラスチック成形の、欧州メインの会社がございます。ここがクリスマスの休暇で、12月が非常に低調になるといったところがございます。

また、下期にかけてナフサ等が上がっていくということで、原料アップの要因で、減益方向でございます。

一方で、アクア、分離ソリューション、インフラ・アグリマテリアルズといったところにつきましては、工事の関係が集中して、収益がポンと計上されるといったところもございます。そういったものが打ち消し合って、こういった下期の予想となっております。

機能化学につきましては、売上収益自体は若干の増収を見込んでおります。コア営業利益につきましては、経費の集中等の見込みで161億円ということで、若干の減益を見込んでおります。

MMAにつきましては、コア営業利益は上期が522億円という金額でございましたが、下期につきましては500億円を若干切るレベルで見込んでおります。下期にかけては、第3四半期でMMAの市況を2,380ドルで見込んでおります。第4四半期につきましては、2,200ドルといったところで落ち着くのではなかろうかと考えております。

一方で、メタノールないしはアセトンといった原料が、上期から比べますとアップしております。そういったところも含めまして、こういった下期の予想となっております。

石化につきましては、下期にかけて2,716億円の売上を見込んでおりますが、コア営業利益につきましては25億円ということで、120億円の減益を見込んでおります。

こちらはすでに発表させていただいておりますとおり、鹿島で年産30万トンのポリプロピレンのプラントがトラブル停止をしておりまして、来年(2018年)の3月末まで半年ほど、復旧にかかると見込んでおります。こちらで、ざっくりではございますが、50億円程度のマイナス影響を見込んでおります。

下期にかけて、経費等の負担が上期から増えていくといったところも、40億円程度見込んでおります。

また、環境対策費用を三菱ケミカルで現在検討しております。まだ細かい見積りはまったくとれていないのですが、ざっくりと50億円程度、費用の増加があるのではなかろうかと見込んでおります。

なお、そのうち半分程度が、石化での費用増になると見込んでおります。こういったところを見込みまして、25億円の収益レベルを見込んでおります。

炭素につきましては、上期で52億円・下期で48億円と、ほぼ同じような状況だということで見込んでございます。なお、ニードルコークスについては、フル生産になっている状況でございます。

産業ガス(のコア営業利益)につきましては、通期で540億円といったところです。

ヘルスケアにつきましては、下期にかけて「タリオン」やインフルエンザワクチンの需要期に入るということ。また、ラジカヴァにつきましては年間72億円の売上を見込んでおりまして、(これらにより)下期は61億円という売上を見込んでおります。

そういったところの影響がございますが、下期にかけてニューロダームの買収等もございまして、60億円程度の経費増を見込んでおります。この関係で、下期で若干の増益を見込んでございます。

なお、念のためでございますけれども、期初発表した通期予想からどういうところが狂っているのかを、若干説明いたします。機能部材につきましては、期初は「包装フィルムないしは光学フィルムで、原料が高くなるということを今期は見込んでおります」と申し上げました。

こちらは、上期についてはあまり発現しなかったところがございました。そういったところの増益、ないしは先ほど申し上げましたように、アルミナ繊維で数量増がございました。また、高機能エンジニアリングプラスチック成形につきましても、計画を上回る販売を上げております。こういったところも好調で、70億円の増益となっております。

機能化学につきましては、60億円ほど増益となっておりますが、こちらはフェノール・ポリカー、とくにポリカーを中心として市況が堅調であること。ないしは、電池材料の計画以上の増販といったところで、増益となっております。

MMAにつきましては、今期はトラブルがございました。ヨーロッパにつきましては、フォース・マジュールを(2017年)10月末に解除しました。アメリカについては、まだフォース・マジュールは継続中といったところで、そういったマイナス要因がございます。

原料も、計画に比べるとアップしておりますが、市況が大幅に好転しているといったところがあり、560億円の増益を見込んでおります。

石化につきましては、こちらも先ほどから申し上げております、ポリプロピレンのトラブル・環境対策費用といったところを見込んで、110億円ほどマイナスになっております。

炭素につきましては、コークスの市況ないしは高純度グラファイトといったところの市況の、見込み差でございます。

ヘルスケアにつきましては、期初発表から比べますと、収入が「インボカナ」を中心に下がっておりまして、そういったところが減益要因となっております。

配当の状況

17ページは、配当についてご説明しているところであります。