2017年12月期第3四半期決算サマリー

大内秀雄氏:決算サマリーを、まず冒頭にご説明させていただきます。売上高は第3四半期までの累計で69億円3,300万円となっております。前年同期比3億3,900万円の増加。前回、売上高に関しましては、下方修正ということで、今期通期で100億円の売上見込みを作っておりますが、それに対しての進捗、ほぼ70パーセントというところでございます。

四半期別にご説明いたしますと、Q1で21億5,000万円。Q2で23億4,000万円。Q3で22億4,300万円ということで、当然私ども設備投資もしておりますので、少しづつ売上高は増えてきている。

しかしながら、どうも爆発的なものがないなというところになろうかと思います。このままの調子で、第4四半期には大型のラインの立ち上がりもございますので、売上の見通しとしましては、修正させていただきましたところの100億円。ほぼ、これに近いところでの着地点となろうかと考えております。

中身といたしましては、中国市場をご存知の通り、自動車関連のところで回復傾向が続いております。とくに、この第4四半期には今年はさらに伸びてくるんではなかろうかと考えております。現実に、私どものお客さま各社さまからも、そういったお引き合いをいただいている状況でございます。

それから、9月1日をもちまして、正式にソニーエナジーグループが村田製作所さんに買収されましたので、東北村田製作所という新しい社名でお客さまとして、お付き合いをさせていただいておりますが、引き続き安定的な成長をさせていただいている関係でございます。

LGさんに関しても、同様に引き続き非常に高いご評価をいただき、大量の受注をいただいている。細かい内訳は、後ほど、またご説明させていただきます。そういった状況になっております。

一方で、営業利益なんですが、ここが私ども現状非常に苦しいところでございまして、ここでも四半期別に簡単に数字を申し上げますと、第1四半期で3億8,400万円。これ営業利益ベースで18.9パーセントという数字でしたので、ほぼ昨年並みの推移だったかと思います。

第2四半期、第3四半期と、かねてより後説明させていただいております通り、大口新規顧客のお客さま向けのサンプル出荷が非常に増えてきていること。先行して忠州工場向けの人員作業を進めていること。それから、さらに第3四半期からは大型ラインの生産立ち上げを実施していること等々で、費用のほうがかなり掛かってきております。

第2四半期に関しては、四半期ベースで営業赤字となっております。2,900万円の営業赤字。第3四半期では、1億2,700万円の営業赤字という数字になっております。

このところが、とくに、冒頭に申し上げましたけれども、第4四半期の中で、新しいラインからの売上を、どこにどれだけどういうふうに開始できるかというところの、お客さまとの交渉が、今私どもの営業部隊で真っ盛り。非常に煮詰まったところまできております。

その状況が明確になり次第、詳細を開示させていただく計画としておりますが、修正で開示させていただきました営業利益10億円というところは、少し厳しい状況であろうかというところでございます。

設備の稼働状況に関しましては、5号ラインで昨年からかなりお騒がせはしておりましたけれども、サンプル生産とラインの改善であったりを繰り返しながら、順調に製品出荷もできるようになっております。

そういった意味では稼働状況としては、いいレベルになってきている。それから先ほど申しました、今年から導入してまいります大型ラインです。8号ラインに関しましては、7月に据え付けを終え、8月からサンプル生産を開始し、9月から一部顧客向けの販売を少しずつ開始している状況でございます。

引き続き、9号ラインの据え付け工事が終わっておりまして、10月末から製品生産に入っております。この8号9号のラインからの製品を、第4四半期にどれだけくぐっていくかというところが、今私どもの大きなポイントにはなってございます。

そういったことで、当12月期、通期の計画としては、売上高は非常に順調に回復してきておりますので、先ほど申しました第4四半期ベースでは、およそ30億円の売上高となってこようかと。そこからさらに来年以降、順調に伸びていくだろうという見込みを持っております。

営業利益に関しては、工場の改修工事等々やってきた費用、それからサンプル出荷の費用。このへんの影響が大きいということ。それから8号9号ラインの生産立ち上げにともなう、主には材料費用ですけれども、そういったところの変動費の増。このへんが利益を圧迫する結果となっているというところでございます。

これが、実はサンプル、あるいはラインの立ち上げにともなうという言葉を、いつまで使うのか、どこから販売できるものに変わっていくかというところを、今一生懸命やっていると。取り組んでいるという状況でございます。

新工場も含めた設備設置状況についてですが、9号ラインに関しては、12月からおそらく量産開始ができるだろうという見通し。早ければ11月下旬に前倒しかという状況にはなっております。

その後々の8号9号ラインの量産供給。どのラインからどのお客さまにどれだけというところです。サンプル評価を進めていただきながら、主要なお客さまとの調整も進めております。

それから4Q、12月末までには忠州工場での製造ラインの据え付け工事、制作と。工場の建屋の工事のほうが、ほぼほぼ完了という状況になり、製造ラインの据え付けも始まってくる。もう11月中旬ですので、そろそろ製造ライン据え付きが始まってきているという状況でございます。

おそらく1月中に、2本のラインほぼ同時で進めておりますので、据え付けが完了しようかと。その後、【10:05 ドライラン】ですとか、材料を入れての調整だとかを進めて、来年上期中には、この準備の2本のラインも量産稼働をしていくという予定になっております。

第3四半期実績(連結業績)

続きまして、少し細かい数字の話で、すでにおおむね申し上げましたが、当期、今年の第3四半期までの売上高約70億円で、営業利益2億2,800万円という数字になっております。

1つ、この中で見ていただければと思いますのが、人員がやはり急激に増えておりまして、前回の決算説明のとき、3ヵ月前に422名だったところが、今回476名と50名。約10パーセント超の人員増ということで、新しいラインの立ち上げ。それから忠州工場の準備、そういったところに注力をしているという状況となっております。

B/S主要項目の推移

BS項目。主要項目の推移です。 これはお手元でご覧いただければと思います。大きな変動というのは、出ていない状況です。

営業利益増減要因(前年同期比)

増減分析になります。 これは前年同期比ということで、ご説明【11:28 しじょう?】となっております。同じような話で申し訳ないんですけれども、原材料費等変動費率の増加ということが、大きな要素。3億5,000万円の利益を圧縮する要因となっております。

これは2つの要素がございまして、1つは前回からの説明会からお話させていただいております通りですが、新規の大口のお客さまのサンプル評価というものが継続しております。

「これはいつまで続くんだ」というお話、それから「いつになったら注文が来るんだ」、あるいは「本当に注文が来るのか」というご質問もあろうかと思います。

実は、もともと当面電池のレベルとしては、民生系の電池から評価を始めて、というところが一般的なやり方。評価をしている過程で、これだったら自動車用もいけそうだという判断が出てきますと、従来民生用の電池で評価していたものが、今度は自動車用の電池でと。次から次に新しいご要望をいただいているのが現状です。

それに対して、一度出したサンプルのご評価をいただいて、また少しこういった変化をつけてほしい、こういったところを調整してほしいというお客さまのご要望をいただきながら、繰り返し2度3度サンプルをお出しするかたちになっておりますので、どうしても新しいお客さま、なおかつ来年以降の自動車案件を見据えてということで、サンプル供給、あるいは技術的な供給がちょっと時間がかかり、更にその中でサンプルの量も増えていくという状況でございます。

それが1つの要因。こういったお客さまは今、私どもで新規のお客さまとしては2社のお客さまと、こういった作業を繰り返している状況になります。

もう1つの要因としては、大型ラインの立ち上げで、当然材料を入れてサンプル生産をして、まずサンプル生産というのは、自社で【??? 00:13:47】、製品の出来栄えの評価をするためのサンプル生産をしていくわけですけれども、そこで製品品質が安定するまでに、かなりの大型ラインであるがゆえに、想定以上に材料を使っているというところがございます。

現実問題としましては、そういった試作を重ねながら、どのレベルまで品質が安定したところでお客さまに販売できるかという検討を進めているわけですけれども、そういったところで一部の8号ライン、こちらの製品に関しては、一部のお客さまには9月から売上が始まってきていると。

9号ラインに関しても、急ピッチで今生産立ち上げをやっておりますので、これが今月末、あるいは来月から、売上につながる【変動域? 00:14:42】となっていくかどうかというところでございます。それから当然のことながら、そうやって設備投資を進めてきておりますので、減価償却は増えております。3億6,800万円の増加となっております。

これはしばらく、今後この2つの要素は、私どもの中期経営計画の中でも、ラインの増設という話題、それからラインを大型化していきますという話題をご説明させていただいておりますけれども、しばらくこういった変動費の増加ですとか、減価償却の増加、そして生産量の増加に伴う、当然工場作業者も増えてまいりますので、人件費の増加というのは続く傾向になってこようかと思っております。

それから、もう1つ大きな要素として、約4億円のその他固定費の増加という費用がございます。こちらに関しましては、大きなものとしては第2四半期のときにご説明させていただいた内容とほぼ同じなんですが、修繕費、それからサンプル等の開発に伴う原価開発費。それから手数料、人員が増えてることに伴う福利厚生費の増加。そういったところで4億円ほどの費用の増加という状況となっております。

地域別販売シェアの推移(売上高ベース)

続きまして、地域別販売シェアの推移ですが、非常に今年は安定しておりまして、大きく変わった要素はございません。中国のシェアが50パーセントを切り、45パーセント前後で推移していくと。それから韓国の、LGさんを中心に36、7パーセントと。それから日本の村田さんを中心に16、7パーセント、それぐらいのところでの推移となっております。

来年は、今いろいろサンプルワークしているお客さま、複数のお客さまが増えてくると多少この変化はあろうかと思いますが、引き続き中国のお客さまからも多くの新しい話題をいただいております。韓国のお客さまも、同じように新しい話題をいただいております。そういったところで、多少の変化は来年以降はあろうかと考えております。

アプリケーション別販売シェア(推計)

続きまして、アプリケーション別のシェアですけれども、これも大きな変更はないんですけれども、気持ち中国車載用が増えたかなと。とくに第4四半期になりますと、中国車載のマーケットがいい状況になっているという情報も伝わってきておりますので、もう少し増える可能性があろうかなというところでございます。

以上が、当第3四半期までの情報を整理してお伝えした内容になります。

通期計画 2017年注力ポイント

続きまして、通期計画。おおむねもう第3四半期まで終わっておりますので、通期計画に関してもそろそろ着地点をというところですが、今年の注力ポイントに関しては、前回ご説明させていただいた内容と同じ内容となっております。自動車業界へはどうやって参入をしていこうか、それから大型ラインをいかに上手に我々の販売に活かしていこうかというところに取り組んでいるという状況でございます。

通期見込みについて

続きまして、通期見込みに関してはご説明させていただいているとおりでございますが、売上高に関してはほぼ100億円にヒットするところになるだろうと。営業利益に関しましては10億円を下回る見込みでありますが、詳細に関しては別途のご報告をさせていただきたいということでございます。

売上高、いろいろご心配をいただいていた中でも、中国需要の回復ということと、A123さんのアメリカから中国への生産移管がほぼ段取りができてきましたので、当第4四半期からA123さん向けの量産販売が回復してくる。さらには、来年以降のある程度の数字見込みもいただきながらという状況になってきております。

それから、私ども会社としましては、ここまでもご説明させていただきましたとおりですが、自動車市場向けサンプル出荷というのが今年の利益を下げる要素に大きくなっておりますが、【今今? 00:19:54】の電池業界、セパレーター事業会社としましてはこの課題に取り組まざるを得ない、取り組むべき課題として捉えておりますので、ここには強く参入をしていきたいということで。

ある意味今年に関しましては、来年以降の欧米自動車市場に対しての量産供給体制確立ということに費用を使わざるを得ない、積極的に使っていこうという判断をした上での、こういった事業展開となっていることをぜひご理解いただければと思っております。

設備投資計画

続きまして、設備投資計画に関しても大きな変更はございません。ただ、この当期第3四半期の中で、12号から15号ラインの投資計画を具体的に開示させていただいております。とくに12・13号に関しましてはすでに発注を進めておりますので、納期がちょっとかかるものですが、19年下期からそういったラインが稼働していく予定になっております。

コーティングラインも順調に増やしていきますので、今年の末のベースで全部で6本になっていきます。来年も需要を見ながらということになります。コーティングラインの方が比較的設備納期は短いので、臨機応変な投資になっていこうかと思いますが、12号ライン以降、WCP、Chungju工場への投資を引き続き継続していくという計画となっております。

工場建設状況

これはご参考までになんですけれども、これが【??? 00:21:48】ダブル・スコープ、コリアの工場です。第1工場、第2工場、ここが第3工場、コーティング工場です。大型ラインというのはこの建屋、下側半分ぐらいが8号9号が大型ラインで入っている場所となります。

WCP忠州【スライド18は忠州、14はChungju 00:22:07】工場は比較的の最近の写真の中で、【工場建て? 00:22:11】や建築をしながら床の整備をして、【??? 00:22:16】を設置する準備をしている。そういったタイミングでの1ヶ月ほど前の写真になりますが、現状ではもう屋根もきっちり上がっておりますし、新しいドアの据付工事を初めた状況です。

自動車メーカー動向

続きまして、市場の動向についてのご説明をさせていただきたいと思います。2016年世界自動車販売台数という数字を出しております。約9,000万台、1億台に届こうかという数字になっております。その中で、エコカーの販売台数が216万台ということなので、まだまだマーケットとしては2パーセント程度かなと。

トヨタさんが圧倒的な56パーセントというシェアを持たれていますが、このデータでトヨタさんが出てくるのは「プリウス」があるからであって、まだまだニッケル水素電池の領域のところが大きいかなという状況でございます。そういった意味では、リチウムイオン電池を使ったエコカーというのが、まだ市場の1パーセント程度かというと思っておりますが。これはあくまでも昨年のデータでございますので、今年から大幅にまた変わってきております。

またさらに来年以降、大きな変化が見られると思います。すでにご存知のとおり、フォルクスワーゲンさんは「eゴルフ」ですね。一番売れ筋のゴルフのEVタイプの発表もされておりますし、2025年までにEVを50車種以上出します。2030年までに200億ユーロ投資しますという発表もされております。BMWさん、ダイムラーさんもかなり大掛かりな投資となっていこうかと思います。

そういう意味ではドイツの自動車メーカーさん、そしてそれに引きずられるところのヨーロッパ各国の自動車メーカーさんのEV、環境対策自動車への思いというのは、かなり強く出ているかなと判断しております。アメリカにおいてはテスラさんが一生懸命やられていますが、ここのところちょっと自動車の組み立てが間に合わないという情報も出ているようです。

かたや受注は順調に進んでいるようですので、これいずれ時間の問題となってくるのかなと。テスラも大きなマーケットを持つだろうと予想をしております。先ほどヨーロッパが、非常にこの辺関心が高いというお話をさせていただきましたけれども、プレゼン資料の中には織り込んでおりませんが、各国、国ベースでいろいろな規制を敷いております。

とくにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止という年限を定めています。イギリス・フランスの2040年から始まって、直近ではオランダですとかノルウェー。こういった国は2025年でガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止だと。マーケットが小さな国ですので、それほど大きなニュースにはなっておらないですけれども、そういった具体的な法制がどんどん出てくる中での、自動車メーカーの動きかということで考えております。

電池メーカー動向

後ほどちょっとご紹介しますが、電池メーカーさんの動向ですね。これに伴って、電池メーカーさんも【大型な? 00:25:52】投資をどんどん続けていかれると。パナソニックさんは、主にはテスラさん絡みのネバダへの投資。それから中国工場への投資。これが継続していきます。パナソニックさんはもう1つのトピックスとして、これはあんまりまだ大きな市場にはなっておりませんけれども。

従来ホンダさんはGSユアサさんとの【??? 00:26:18】から、電池の供給を受けようかというお話であったんですが、パナソニックさんからホンダさんのEVハイブリッド車が、電池を積んでいく状況になっております。LGCさんが一番やはり、数字の上ではアグレッシブに見えるかと思います。2020年までに50から70Gwhまで能力を増やしてくということで、韓国・中国、それからポーランド、それぞれのところでの大幅な【設備増強? 00:26:51】を計画されています。

それからSDIさんも、今韓国・中国までシェアの工場がございますが、来年後半からハンガリー工場の生産も始まります。ヨーロッパ自動車市場向けの電池生産というのをどんどん増やしていかれる、そういったご計画かと。それから少し地味なんですが、SKさんも着々と計画を進めておられる。地味なんですけどという言い方が非常に失礼で申し訳ないんですけれども。

韓国の自動車メーカーさん、それから北京自動車メルセデスと書いてはおりますが、ヨーロッパのコンチネンタルとの契約の中での増産体制というのが、一番効いてくるところだろうなと。中国におきましてはBYDさんとCATLさん、この辺の投資計画というのは非常に今後も進んでいくだろうと見られております。

それからちょっと異質なところですが、ヨーロッパではスエーデンでノースボルトという会社、前回もご紹介させていただいたと思いますが、だんだん事業が具体化してきております。今年中にどこに工場を作るか決めよう、2018年から毎年8GWhずつ作れる能力を作っていこうということで、2023年までの間に4段階での投資を進めて、32GWhの工場を作ろうという状況となります。

それからテラEという会社が、また今回新しくご紹介させていただきますけれども、テラEのビジネスモデルというのは非常におもしろくて、ユーザーさんであったり、あるいは電池メーカーになるかもしれません。そういうところで設計された電池の受託生産会社となる。ある意味ではAppleさんとFoxconnのような関係。それでFoxconn側のような受託製造会社となろうということをもくろんでいます。

これは非常に判断が難しいところもあるんですけれども、私がいろいろな自動車OEMさんと直接話をしたところでは、複数の自動車メーカーさんが電池設計までは自分たちでやるんだと、やりたいんだと。EVの中で電池というのは、ある意味ガソリン車のエンジンであったり、非常に主要な部分と等しい重要な価値のあるところであって。

それを第3者に設計をいつまでも委ねておくわけにはいかないんだという強いメッセージを、複数の会社さまからいただいております。テラEってドイツでできる会社なので、そういった環境があるのはドイツなんですね。ドイツで自動車メーカーの設計した電池を作る会社になろうということで、急速にこの会社の企画が進んでいると。1つこれも夢物語かと思っていたんですが、ドイツでは非常に大きな鉄の会社さんですね。

ThyssenKruppがこの事業に参画しているということが明らかになってまいりましたので、確実にやっていくんだろうなと判断はしてくるところでございます。

セパレータメーカー動向

このような電池メーカーさんの動向に伴って、材料メーカー各社、非常にセパレータに限らずどう投資していくかというところを、頭を悩ませておりますが、どちらかと言うと今回は珍しくセパレータ業界が、非常に早く投資計画を出していると感じております。

旭化成さん・東レさん、あまり大規模な投資計画というのは過去に発表されなかったんですけれども、今年これまでに旭化成さんも定量的に、2020年までに11億平方メートル【音声は平米 00:30:50】のキャパにしますとか。東レさんも2020年までに今の能力を3倍にします。ヨーロッパにも工場を出します。1,200億円の投資をしますと、かなり具体的なアナウンスをされる状況になってきております。

これは私どももそうなんですけれども、マーケットの中におりまして、電池メーカーさんといろいろな案件のお話をさせていただいたり、自動車OEMさんとのお話をさせていただく。そういった中で、ユーザーさんのご利用計画をお伺いしていると、どうしても我々もこれをやっていかないと、はっきり言うとEVが企画倒れになってしまうというぐらいのインパクトがあるんです。

それに対して我々材料メーカーとしましては、私どももここまでやりますという意思表示をはっきりしていかなければならない。はっきりそういった意思表示をしながら、このビジネスのサプライチェーンの中にのっかっていくということが進んでいく状況になっております。当然私どももいろいろなところでご案内していますとおり、2020年までには16年比3.6倍。

あるいは今、更に12号ライン以降、8、9、10、11の4本に比べて、更に大型化も考えておりますので、3.6倍ではなく4倍近いところまで伸ばしていきたいということも考えている状況ではございます。

中国市場

もう一つは特筆するべきは中国の市場で、あれからずっと動きが激しいと判断しております。1月から9月の中国でいうところのNEV、この販売台数が40万台を超えたと。 前年同期比38パーセント。これに対して第4四半期は更に数が増えていくのかという状況です。

それから中国政府はEV補助金認定車種リストを更新してどんどん増やしていくということもやっております。 ただ電池のコストダウンというのもありました。そういった意味では材料のコストダウン、セパレータの市場も値段を下げております。

従来から私ども、コストダウンへの取り組みに関しましては市場が拡大することが先であってそのためのコストダウンというのは積極的に取り組ませていただく。これがダブル・スコープの方針でございますということをお話させていただいております。 中国市場においても同じことでございますので、コストダウンをしながら、ちょっと今モタモタしていますけれども、営業利益がきっちりできる生産性のところまで回復をしていこうということを考えております。

中国の話題に戻りますが、中国はすでにいろいろなメディアで取り上げられてますとおり、ガソリン車では世界のリーダーになれなかったと。 しかしながら自動車産業においてEVでのリーダーシップを取っていきたいと。更にはEVの輸出国になっていくんだという強い意志が見られるかと思います。

民間企業の側でもそれに対して敏感に反応しておりまして、もちろん失敗例もありますけれども、新しいEVメーカーが次から次に出来てきているという状況でございます。 ここには4社だけハイライトしておりますが、恐らく今12〜13社、EVの専用メーカーがここ数年で新しく出来てきている状況かと思っております。

車載用電池の新技術

市場の環境としましてはこういうことで、引き続き自動車産業を中心にセパレータ、リチウムイオン電池を介してのセパレータというデマンドは非常に大きくなっていく、成長していく。恐らく2020年には3〜4倍になっていく。そしてそこから2025年までには更に7〜8倍になっていく。

そういった成長は続いていくんだろうなと考えておりますが、そこで避けて通れないのが今申し上げましたような何倍というのはEVの成長規模であって、ではそれが必ずしもリチウムイオン電池なのかというお問い合わせも昨今よく頂くようになっております。

TOYOTAさんであったり、欧州、これはちょっと資料の中には載せ忘れましたけれども、イギリスのダイソンさんがEVを作るんだという発表もされております。 その中では全固体電池という話題も出ております。ただし、ダイソンさんは全固体電池に結びついたのは、どうも私は思惑ではないかなと。ダイソンさんの社内で発表されたコメントを見ますと、そこには全固体電池でやるんだとは書いてなかったように私は読み取っております。

ただTOYOTAさんはもう明確に全固体電池でやるんだと仰られていた。あれだけ強いメッセージが出ていますので、全固体電池のEVというのは必ず出来るんだろうなと思います。 概ね全固体電池には私どもが作っているようなタイプのセパレータは使われません。ただし全固体電池を使ったEVが本当に市場でマジョリティを取るのかどうかというのは私どもの見解としては非常に懐疑的に考えております。

というのはまずは今EVの業界で何が起こっているかというと大衆車として認められる価格帯にどうやってコストダウンをしていくか。 その中で電池のコストをどう下げていくかというのが大きなテーマになっているわけですけれども、全固体電池においてはまだまだ生産設備も明確にならず、スペックの面でも明確にならないところが多い。 そしてプレイヤーが少ないということで競争の原理が働かない等々の理由から、どこまでコストサイドのオプティマイズが出来るのかというところはまだまだ不透明であろうかと。

ただTOYOTAさんのビジネスモデルの例としましては未来のようなFCVの車を当然発表されて実績を作られている。 同じようなビジネスモデルになるのかなと私どもは考えている次第です。

更に今申しましたFCV、燃料電池ですけれども、これも「MIRAI」が多分1台800万円ぐらいするんですけれども、なかなか大衆車にはならないだろうかなと。 どうやってそれをコストダウンしていくのかという具体的なチャートはまだ出来ておらないのではなかろうかということで、 今後2030年ぐらいまで、リチウムイオン電池もまだまだ品質改善の余地がございますので、課題であるところのマイレージ用のバス、あるいはインフラ側の課題である充電スポットを増やしていく。 そういったことを経て、2030年、あるいはそこから先ぐらいまでリチウムイオン電池を使ったEVの市場というのは拡大していくんだろうかと考えております。

市場の動向としてはそんなことであろうかと思います。

Vision2020重点施策

私どもの中期経営計画に関しましては前回発表させていただいた内容と変わることはございません。

今の時点では来年の180億円、営業利益36億円は本当に大丈夫かというご心配をいただいたところであろうかと思いますが、 これは冒頭から申し上げております今年の着地点の見込みを開示の準備をさせていただきながら、同時のこの来年の計画数字の実現性というところの確からしさを社内で検証した上で再度お伝えしていきたいと考えております。

こういった計画の実現のために私どもが取り組んでいることも基本的には変わりません。 そういう意味では当面のこういった3ヶ月ごとの決算発表の中ではいろいろな心配をいただくところではございますけれども、中期的には一つの方向を見定めた上でそのための課題を一つずつクリアしていっている途中で、それに対しての、 本当は節約したいところでもありますけれども、使わざるを得ない費用を使いながら一歩ずつ事業の拡大のための準備をしているという状況であるというご理解をいただければ幸いです。