業績予想の修正及び期末配当予想の修正
佐藤健太郎氏:さっそくでございますけれども、当社の2017年12月期第3四半期の決算について、ご説明させていただきます。
まず、本日(2017年10月30日)15時半の決算発表と同時に開示をいたしました、業績予想の修正につきましてご説明いたします。
売上高につきましては、プロモーションへの投資を行っている「minne」におきまして、流通額が堅調に推移はしているものの、当初の目標に対しまして下回って推移をしていることから、売上高を当初予想の76億5,000万円から74億円と修正いたしました。
一方、営業利益につきましては、主力のストックサービスにおける利益率を改善したことから、0と開示しておりましたけれども、こちらを1億円に修正しております。
また、この修正にともないまして、配当性向50パーセントを基本方針としているものでございますので、それに基づき、1株あたり19円の期末配当を実施させていただく予定でございます。
2017年12月期3Qサマリー 業績概況
それでは、第3四半期のサマリーに移ります。
売上高につきましては、ホスティング・EC・ハンドメイドの各事業がいずれも堅調に推移しまして、前年同期比6.7パーセント増の54億8,400万円となりました。
minneの広告宣伝費は8億600万円となりましたが、売上高の増加にともない利益も増加したことから、営業利益は2億1,800万円となりました。
2017年12月期3Qサマリー セグメント概況
続いて、各セグメントの状況です。
「LOLIPOP!」「カラーミーショップ」といった主力ストックサービスが、いずれも堅調に推移し、こちらも増収増益となっております。
ハンドメイド事業につきましては、minneの購入機会を増やすための機能追加やクーポンのキャンペーンなどにより、流通額が順調に増加し、前年同期比18.5パーセントの増収となっております。
2017年12月期3Qサマリー minne概況
minneの投資の状況でございます。
流通額は、前年同期比で22.3パーセント増の74億3,300万円となりました。広告宣伝費は、前年同期比で8.7パーセント減の8億600万円となっております。
こちらの昨年(2016年)差異の要因は、主に昨年の第1四半期でテレビCMを実施したことによりまして、費用を1億8,000万円計上しておりました。そちらが、今期はまだ発生していないというところでの差異でございます。
アプリの累計ダウンロード数につきましては、前年同期末比で28.4パーセント増の824万件となっております。
2017年12月期3Qサマリー 業績予想に対する進捗
修正後の業績予想の数値に対しまして、進捗はこのようになっております。
営業利益につきましては、第3四半期累計で2億円以上出ておりますけれども、第4四半期でテレビCMを計画していることから、第3四半期の広告宣伝費を調整しているということでございます。CMにつきましては、またのちほどお話をさせていただきます。
2017年12月期3Q 損益計算書
続いて、業績の状況でございます。損益計算書につきましては、ご覧のとおりでございます。
2017年12月期3Q 四半期別業績推移
四半期の推移のグラフでございます。
季節要因はありますけれども、順調に推移をしております。なお、第2四半期から第3四半期にかけて減少しておりますけれども、こちらは(2017年)4月にビッグサイトで開設しておりました、minneのハンドメイドマーケットにおけるブース出展料金などが売上高に出ているというところで、発生しているものです。
あと7月にLOLIPOP!で、これまで有料のオプションとして計上しておりました独自SSLを無料化したことにともないまして、売上減少というものがあった状況でございます。
2017年12月期3Q 四半期セグメント別推移
セグメントで色分けしますと、ご覧のとおりです。ホスティング事業・EC事業が収益を押し上げておりまして、全体としても堅調に推移をしております。
2017年12月期3Q 貸借対照表
BSは、ご覧のとおりでございます。
2017年12月期3Q キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書でございます。
ストックの積み上げがあったこととminneの流通額の増加によりまして、営業キャッシュフローが3億6,700万円となっております。また、固定資産の増加などによりまして、投資キャッシュフローがマイナス1億8,900万円となっております。
ホスティング事業 セグメント業績
続いて、各セグメントの状況でございます。
まず、ホスティング事業の状況です。売上高は、前年同期比8.2パーセント増の30億9,500万円。営業利益は、8.9パーセント増の9億9,100万円となっております。レンタルサーバーとドメインの契約件数の堅調な推移に加えまして、高単価なスタンダードプランの訴求効果を継続していることから、レンタルサーバーの客単価が上昇し、増収増益となっております。
ホスティング事業 四半期別セグメント業績推移
四半期の推移は、ご覧のとおりでございます。
ホスティング事業 レンタルサーバー契約件数
続いて、ホスティング事業における契約件数の推移です。
サーバーにつきましては、LOLIPOP!にて新しい顧客獲得のためのリブランディングや独自SSLの無料提供の開始など、中長期で契約件数を維持するための施策を中心に実施してまいりました。以上のことから、契約件数は堅調に推移して、前年同期末比1.3パーセント増の43.7万件となりました。
ホスティング事業 ムームードメイン契約件数
ドメインの契約件数につきましては、引き続き高い更新率が維持できたことに加えまして、各種ドメイン値下げのキャンペーンを実施したことにより、堅調に件数が推移しました。前年同期末比で5.7パーセント増の、122万件となっております。
LOLIPOP!マネージドクラウドの特長
続きまして、「LOLIPOP! マネージドクラウド」につきまして、さらに特長や進捗情報について説明をいたします。
こちらは前回の説明会でご報告させていただきましたけれども、LOLIPOP!のマネージドクラウドというのは、VPSやクラウドで運用されているような規模のトラフィックをさばける性能と、また従来から提供しているレンタルサーバーの特長である運用の手軽さや操作性の高さ。こういったものを兼ね備えた、当社の新しいプロダクトでございます。
クラウド事業に利用される場合など、サーバーの運用の専任スタッフや専門知識が必要となることが多くありますけれども、LOLIPOP!のマネージドクラウドによって、運用面における特殊な操作等は必要ないという状況です。
今までのレンタルサーバーの使い勝手のとおり、クラウドの機能を使えるというような特長のサービスでございます。従いまして、マネージドクラウドを利用していただくことで、人件費や運用コストの削減が叶うというのが、最大の特長となっている事業でございます。
LOLIPOP!マネージドクラウド進捗
現在は、招待制のα版を提供開始しております。こちらのα版のユーザーからのフィードバックに対応しながら、β版の開発を進めております。β版につきましては、(2017年)11月の下旬に提供を開始しまして、フィードバックが行われたほか、資料に記載のような機能を実装する予定でございます。正式版につきましては、来年(2018年)の1月を目指しているという状況でございます。
ペパボ研究所×九州大学 共同研究開発が本格化
また、(2017年)10月20日には当社の研究開発機関であります、ペパボ研究所と九州大学情報基盤研究開発センターとの共同開発を開始いたしました。
こちらの機関は、主に計算・通信・情報セキュリティといった情報科学に関する分野の研究開発を行う機関であることから、マネージドクラウドの性能向上・コンテナ技術の向上・セキュリティ向上といった面での実証実験を、ともに行っていただく予定でございます。
なお、実証実験で得られたデータや新たに開発された機能などは、いずれもマネージドクラウドをはじめ、ホスティング事業全体へと加入していく予定でございます。
ロリポップ!とクラウド型ホスティング市場の成長比較
LOLIPOP!のグラフ(青色)は、近年の売上の成長です。そして上の赤色は、国内のクラウド型ホスティングサービスの市場の伸びを表したグラフでございます。
LOLIPOP!自体は、個人向けのレンタルサーバーとしては国内最大級ではあるものの、市場の伸びや売上規模におきましては、クラウド型のホスティング市場が圧倒的なものでございます。
今回提供を準備しておりますマネージドクラウドは、技術力と、これまで培った事業の運営ノウハウ。またLOLIPOP!でのブランド、さらには我々が提供している個人のみなさまへ、簡単にサービスを提供できるというデザイン力。
そういったものを、このクラウド型ホスティング市場に参入させていただき、こちらの市場の成長に合わせて、我々のサービスの成長を伸ばしていきたいと考えております。
EC支援事業 セグメント業績
続いて、EC支援事業でございます。
売上高は、前年同期比で10.8パーセント増の11億8,300万円。営業利益は、19.4パーセント増の5億6,300万円となりました。
カラーミーショップの契約件数の増加および顧客単価の上昇に加えまして、「SUZURI」(オリジナルグッズを手軽に作成・販売できるサイト)の流通額が堅調に推移したことから、増収増益となっております。
EC支援事業 四半期別セグメント業績推移
四半期につきましては、ご覧のように好調で推移をしている状況です。
EC支援事業 カラーミーショップ契約件数推移
カラーミーショップの契約件数の推移についてでございます。前年(2016年)の契約件数はなだらかに推移し、前年同期末比で0.9パーセント増の4万5,000件となっております。
EC支援事業 顧客単価推移
続いて、先ほど申し上げましたカラーミーショップの顧客単価の上昇につきまして説明いたします。
こちら、約3年前ぐらいから説明会でも説明をしておりますけれども、カラーミーショップ自体、契約件数・顧客単価を重要な指標としまして、とくに近年では単価上昇に注力をしております。
そのため、提供している複数のブランドのうち、単価の高いプランに契約していただくためのアナウンス等の強化。また、提供内容の質の向上などを継続的に実施しました結果、新規契約に占める割合が、こちらの高いプランですけど、5割を占めるという状況になってきております。また、契約率につきましても、顧客満足度を上げる取り組みを継続的に実施しております。
このような結果、顧客単価は右肩上がりで推移しており、新規の契約については、累計の件数につきましては、わずかな成長ではありますけれども、こちらが単価が上昇しているというところで、売上高の増加に貢献をしているというかたちでございます。
ハンドメイド事業 セグメント業績
続いて、ハンドメイド事業の状況でございます。
売上高は、前年同期比18.5パーセント増の10億2,500万円。営業利益は、前年同期比で赤字幅が9,200万円減少しまして、マイナスの6億7,000万円となっております。こちらにつきましては、先ほどお伝えしましたとおり、昨年(2016年)の第1四半期に1.8億円のテレビCMの放送費用を計上したことが、差異の主な要因となっております。
ハンドメイド事業 四半期別セグメント業績推移
四半期の推移でございます。
ハンドメイドの売上高は、堅調に推移しております。第2四半期から第3四半期の減少につきましては、先ほども申し上げましたけれども、ハンドメイドマーケットの出展料など、一時的な売上の増加になったことでございます。
ハンドメイド事業 作家数・作品数
作家数・作品数について、いずれも引き続き国内No.1で推移をしております。今後も取り扱いのカテゴリーの拡充や、認知度のさらなる向上などにより、こちらの数字も伸ばしていきたいと考えております。
ハンドメイド事業 minne流通額
流通額の推移です。
第3四半期は夏季休暇の影響などから、第2四半期から微増で推移をしたものの、堅調には推移しております。第3四半期までの流通額の累計は、前年同期比22.3パーセント増の74.3億円となっております。
世界的なC to Cのハンドメイドマーケットとしても、minneの伸びというのが、いちばん大きいのではないかと今のところ確認しております。
ハンドメイド事業 minne注文単価推移
続きまして、注文単価の推移です。
作品購入までのハードルを下げるために、決済機能の拡充が、作品の送料無料のキャンペーン等などから効果が出まして、1件当たりの注文単価は継続して上昇しております。
注文単価につきましては、これまでと同様の施策の継続に加えまして、のちほど説明させていただきますminneのブランディング戦略などによって、上昇を図ってまいりたいと考えています。
コミュニティ事業 セグメント業績
続いて、コミュニティ事業です。
コミュニティ事業は、「JUGEM」(レンタルブログサービス)のPVが減少傾向であることから、売上高が前年同期比6.4パーセント減の、1億5,500万円となりました。一方で、営業利益は継続してコストコントロールしていることから、前年同期比31.1パーセント増の9,000万円となっております。
コミュニティ事業 四半期別セグメント業績推移
コミュニティ事業につきましては、PV減少の影響などにより、売上高が減少傾向ではございます。ただ、利益水準は維持できていることから、省エネ体制で運用を継続し、引き続き利益の最大化を図ってまいりたいと考えております。
TVCM放映
続いて、プロモーションへの投資を強化しておりますminneにつきまして、今後の取り組みを簡単に説明いたします。年末のプロモーション戦略について、説明をいたします。
こちらのグラフは、過去の四半期の流通額の推移でございます。ピックアップをしておりますけれども、第一弾、第二弾、第三弾とテレビCMを打ったタイミングは、基本的には流通貢献をしているという状況でございます。
2016年の第2四半期以降というのは、どちらかというとWeb広告を中心とする集客を行なってまいりました。こちらで効率的なユーザー獲得はできているものの、先ほど申し上げたように、テレビCM実施期間と比較をしますと、新規獲得や流通への貢献というのは、伸びがやや低いという状況でございます。
あとは、各第4四半期です。プロモーションを打っていなくても、流通が貢献をしている。ここはやはり年末商戦に合わせて、流通の増加があったとみております。
この状況の中から、今期の第4四半期につきましても、積極的な流通拡大を図るためにあらためてテレビCMを行うことにいたしました。今までの第4四半期で(年末商戦により)伸びるというところ、あとテレビCMを打つというところで、目標に対しての流通額にキャッチアップを図るという状況でございます。
また、これまでテレビCMを実施した期間というのは、ダウンロード数が200万ダウンロードから300万ダウンロードぐらいのタイミングでした。現在800万ダウンロードにきておりますので、やはり既存ユーザーへのリテンション。そういったところも、貢献できるのではないかと考えております。
実施時期等につきましては、あらためてプレスリリース等で公開させていただく予定となっております。
ブランド・アイデンティティの策定①
続いて、minneのブランド戦略について、新しい動きがございましたので説明いたします。現在minneは、作家数37万人・作品数が639万点と、国内最大のプラットフォームへと成長いたしております。
先ほどのテレビCMでの説明をしましたとおり、Web上を中心としたプロモーションにしばらく注力をしておりました結果、想定したよりも流通額の伸びが弱まってきたと感じております。
この課題の解決策につきましては、先ほど申し上げたマスプロモーションによって、購入の件数・購入者数を増やすということも必要なのですけれども、一方で、作り手さんによって成り立っているサービスでございますので、多くのジャンルの作家さんに集まっていただきたいと考えています。
そういった中で作家さんにヒアリングしていくと、こちらに記載しているようなイメージが存在していることから、課題の解決が必要であると感じでおります。
C to Cという個人間の売買においては、適正な価格でやり取りされるということが、minneのプラットフォームとして正しいあり方であると考えております。今回ブランド・アイデンティティの策定を通じて、これを実現したいと考えました。
ブランド・アイデンティティの策定②
そのための共通言語として制定したのが、こちらのタグラインです。「手が生んでいるから、あたたかい」というのは、安いとか、簡単とか、女性的といったものではなくて、手によって作り出すという作品そのものが持つ世界観や、クオリティの高さを伝えるためのものとして、策定をいたしました。
また、ロゴにつきましても、従来のものより線を細くしましてユニセックスなものへと意識をしております。minneの持つあたたかさが消えないように、一部手書きで使ったロゴへと変更しています。
ブランド・アイデンティティの策定③
また、今回のブランド・アイデンティティの策定にともないまして、ブランドのプロモーション動画も策定をいたしました。こちらは、実際にminneで活躍をされている作家さんのアトリエにお伺いしまして、制作風景を撮影いたしました。
こういった動画を通じまして、ハンドメイド作家さんや、minneのプラットフォームそのものの魅力を、minneの作家にとどまらないすべてのクリエイターに向けて今後も継続していくというところを、ブランド戦略としてまいります。
また今後は、地方に住まわれている方の創作支援や、地方の行政の方々と連携をした相談窓口の創設・作品制作や販売の過程における課題の解消に取り組むなど、引き続きminneの認知拡大を進めるほか、やはりハンドメイド自体の価値向上に取り組んでまいりたいと思います。
今後の予定
また今後の大きな予定としましては、現在ファン投票を行なっておりますハンドメイド大賞につきましては、(2017年)12月の頭に授賞式を行いますので、こちらも盛大にとり行います。来期に関しましては、バレンタイン時期での催事。また、4回目となるハンドメイドマーケットの開催も控えております。
Web以外の露出も継続するということによりまして、作家さんと購入者との接点を予定しまして、ブランドの定着を図ってまいりたいと思います。
冒頭でも申し上げましたとおり、今期のminneの流通に関しては、まだまだ想定よりも伸びが止まっているという状況でございます。
もちろん成長はしているものの、やはりここを年末に向けて、さらに一段階上げたいと思っている状況でございます。手厳しいようですけど、このブランドの策定によりまして、新しい流通のきっかけにできるのではないかなと思っております。
ペパボにおける今後の事業展開
最後に、当社の今後の事業展開のイメージでございます。
当社は、インターネットで可能性をつなげる・広げるというのをミッションに掲げております。提供するサービスはいずれも、個人の自己表現や自己実現を支えたいという思いから生まれております。
スマートフォン普及にともなうIT技術の進化や浸透によりまして、自己表現や情報発信はますます容易になっていることに加え、フィンテックなどの発展も合わさり、とくにC to Cの市場は国内外問わず、これからも成長されることが予測されます。
こうした市場の成長とともに、既存事業でも新しい取り組みをどんどん続けながら、事業のさらなる成長を図ってまいります。
また、ストックの事業におきましては、契約件数の増加・顧客単価の上昇を引き続きテーマに、ホスティング事業のさらなる進化や、マネージドクラウドの展開を目指してまいります。
ECについても、新機能の開発を進めるなどして、全社で成長を図ってまいりたいと思っております。引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上、第3四半期の決算の状況でございました。ご清聴ありがとうございました。