2018年3月期第2四半期決算の概況

豊貴伸一氏:さっそく半期の決算の概略についてご説明させていただきます。

経営環境につきましては、こちらに記載のとおりでございます。実感として投資の主なエグジットマーケットである日本のIPO市場、また米国の投資先のエグジットマーケットでありあるNASDAQなどにつきましては、いわゆる投資の主力となるテック銘柄などを中心に、相当過熱感・割高感があるなという認識でおります。

決して楽観視できる状況にはないという認識をしながら、進めております。

続いて、業績でございます。第1四半期にバイアウト投資先の大きなM&Aがありましたが、7月~9月の第2四半期につきましては、比較的大型のIPOが国内で3社出ております。その一部を売却したことによって、キャピタルゲインが前期比から大きく伸びているということです。

その3社は後ほど述べますけれども、1年ほど前に組み入れを完了しましたSV4というファンドから出ております。収益を生むファンドが10年近く経過をしつつあるSV3から直近組み入れを完了したSV4に移ってきているというのは、良い兆しではないかと思っております。

それと、最後の資本政策については、ひと言でいうと、野村ホールディングスグループとの資本関係の解消ということでございますが、詳細についてはこちらにも書いてございますけれども、開示をさせていただいたとおりでございます。

その後日常的なオペレーションについては、今までどおり特段変化もネガティブな影響もございません。ひと言で申し上げると、ようやく実現できたというのが率直な感想でございます。

業績推移(JAFCO持分のみ)

続きまして、4ページ目です。業績の推移でございます。

先ほど申し上げた野村総合研究所の株を一部、私どもが保有していたうちの20パーセントぐらいなのですが、売却しまして、税前ベースで183億円の特別利益を計上したということで、その分税引がかなり嵩上げをされています。

通常の営業利益ベース、あるいは経常利益ベースではこちらに記載の90億円、あるいは100億円という水準でございます。

また、後ほども触れますけれど、販管費が24億8,400万円から、31億5,700万円と7億円弱増加をしております。

その主な要因は、先ほどの野村総合研究所さんの株の売却に係る事業税の増加と、アメリカのICONのファンドが増えておりますので、こちらの報酬が増加したことが主な要因でございます。

運用ファンドの状況

続きまして、5ページ目。運用ファンドの状況でございます。コミットメント額および純資産額ともに増えております。これは海外ファンドの追加募集、それととくに大きいのは国内の機関ファンドSV5。

これはいったんクローズしたあとに、第1四半期でも報告いたしましたが、100億円さらに株式会社ジャフコの出資額を増やしております。その影響が一番大きいということでございます。

キャピタルゲイン&ロス(JAFCO持分のみ)

続きまして、6ページ目。キャピタルゲイン&ロスでございます。これは見ていただくと上場によるキャピタルゲイン、未上場株の売却によるキャピタルゲイン、両方とも半期ベースで前期・通期に近い水準にきているということです。

それと一番下、155億円のところですけれども、含み益が前期の117億円からそこそこ増えております。主な要因は、国内先ほど申し上げました3社を中心に比較的大型なIPOがありまして、9月の末に上場したIPOもございましたので、そういったものも含めて未売却分が増加をしていることが主な要因でございます。

売却損と投資損失引当金取崩(JAFCO持分のみ)

続きまして、7ページ目です。左側が売却損23億7,500万円。それに対応する投資損失引当金の取崩、全体では約19億円。その他の8,100万円というのは、為替の円安を考慮した引当でございますが、紫色の部分だけ見ましても、5億円強の表面上は引当不足がございます。

この中身を見ますと、米国で1社売却したものは想定よりも値段が低かったことによるもの、トータルで米国では1億円近い引当不足ですが、この引当につきましては、為替分は別立てで計上しております。

それを含めると、残りの4億円というものもカバーをされております。バランスシート上の純資産ベースでは引当不足がないという状態でございます。

投資損失引当金繰入額と残高推移(JAFCO持分のみ)

続きまして、8ページです。投資損失引当金の繰入額の推移とその比率を表したものです。ご覧のように、紫色の未上場投資残高が増加をして、水色の引当金の残高が減少しております。結果として、引当金の繰入額が1.8パーセント減少をしておりまして、現状では24.1パーセントと。

一括の引当を今年の1月からやめたということも、多少改善要因にはきておりますけれども、全体としては正常な水準にほぼ近づいているのではないかと認識しております。

投資損失引当金繰入額(JAFCO持分のみ)

それと9ページ目です。投資損失引当金の地域別にまとめたものでございます。先ほどの24.1パーセントのブレイクダウンということで、このDのところ一括を含めた合計です。

引当率の③と、一番右端の前期の引当率同じく③を比べて見ていただくと、米国の引当率が大幅に改善をしております。これは引当率が大きかったものの、エグジットが進んで直近ファンドサイズも大きくなって、1社当たりの平均投資額が初回で1,000万円を超えていていると。

ここは足元を順調に投資額が増えております。その関係で引当率が米国については大幅に改善をしたということです。

アジアについては、33.8パーセントから33.7パーセントということで、いわゆる高止まりをしています。個別に見ますと、一番パフォーマンスが悪いファンドというのが金融危機後に2010年に設立したファンド、お手元の資料にもございますが、それは比較的多くの分散投資をしてきておりまして、それがけっこうやられていると。

その後遺症が続いているということで、アジアについても流動化を進めて国内と同様に金額も増加しておりますので、社数を絞った投資をしているということで、ポートフォリオの社数の現状74社になっております。

ピーク時に100社を超えておりましたので、だいぶ数を減らしながらポートフォリオの入れ替えを進めているということでございます。

日本のIPOとJAFCO(ファンド含む)

続きまして、10ページ目です。日本のIPOとその中の株式会社ジャフコということで、これについては繰り返し申し上げていることではございますけれども、この6,7年は厳選集中投資ということで新規投資をだいたい20社前後という投資の件数を継続してきております。

IPOの確立的な観点から見ても、今期も含めて1桁台のIPO社数に落ち着いてきているという事でございます。

ちょっと注目していただきたいのは、比較的分散投資も多くて、だいたい投資をしてから平均しますとIPOを含めたエグジットまで4~5年ぐらいかかりますので、したがって直近3ヶ月間は1桁台になってきているということです。

それ以前はだいたいその前の4期、厳選集中投資を進めた2011年の3月期なのですけれども、だいたい20社前後ございました。

社数のマーケットシェアが下のグラフの2段目にございまして、比較的20数パーセントから、全体の社数が少なかったということもありますけれど、高いところでは4割を超えていました。

一方、時価ベースで見ますと、20数パーセントあるいは40数パーセントに対して、だいたい10パーセント前後から20数パーセントということです。

これはなにを意味するかというと、20社ぐらい出てきていたときに実際に社数ベースではシェアが高かったのですけれども、比較的分散投資のものは少額のキャピタルゲイン、つまりIPO時の時価評価にそんなに貢献していないということで、この社数のシェアよりも時価ベース、私どもの保有分です、その合計のシェアが低かったと。

最近では社数ベースのシェアというのがこの半期はちょっと高い、だいたい下期変調にマーケット全体にはなりますので、この18パーセントというのも10パーセント前後になる可能性が高いと見ております。

それに対応する時価については従前ほど、この社数に比べた比率が下がっていないということで、これも比較的数は少なくしておりますけれども、平均の取得シェアですとか金額が大きいということが結果に表れてきているのではないかと考えております。

実際にこの比較的社数が多かったときでも、キャピタルゲインの占める比率というのは上位5社で、80パーセント90パーセントというものがありましたので、最近の投資ではそういう1桁の中でも数十億円のキャピタルゲインを狙えるような投資を、コミットしながらやっていこうという方針に切り替えてしているということです。

国内IPO実績(ファンド含む)

続きまして、国内のIPOの実績でございます。5社ございまして、先ほどSV4から3社の大型IPOと申し上げましたけれども、実際の数は4社あります。そのうちの、3社が比較的数十億円のキャピタルゲインをもつ大きなIPOになったということでございます。

5社中3社で投資の金額ですとか、回収額・キャピタルゲインというものも全体の90パーセントを超えております。

ちなみにこの3社についてはいずれも設立から4~5年ぐらいで上場されたということと、私どもが投資をしましたのは設立されて1~2年前後ということでございます。

エグジットまでの期間も2~3年で出てきているということで、スタートアップ投資に軸足を移して、絞り込んできた投資のスタイルが定着をしてとくに直近組み入れが終わったSV4からその成果が出始めてきているということが、ここからもご覧になっていただけるのではないかと思います。

海外IPO実績(ファンド含む)

続きまして、12ページ目。海外のIPOはまだ出ておりません。アジア、アメリカから出たとしても、数が今期は残念ながら少ないのではないかと思っております。

ファンド管理収入と販管費(JAFCO持分のみ)

続きまして、13ページ目です。販管費とファンドからの管理報酬を比較したものです。オレンジの販管費、こちらは先ほど申し上げましたように半期ベースではかなりペースが上がってきておりますが、事業税と米国ファンドの増加による米国債殿報酬の増加というものを反映しております。

成功報酬につきましては、上の水色の18ということで、第1四半期からあまり増えておりません。これは成功報酬が主力となって出るSV3の分配がたまたまですけれども、7月~9月にはなかったということが主な要因でございまして、下半期には双方期待ができるのではないかとみております。

投資実行額(ファンド含む)

14ページは変化がございませんので飛ばしまして、15ページ目です。投資の実行額ということで、地域別それと国内においてはベンチャー投資と、バイアウト投資に分けております。

真ん中の米国およびその下のアジア、前期がいわゆる標準的な投資のボリュームと比べて極端に少なかったということもございますので、ペースが戻ってきたと。多少デコボコがあります。

国内については、ベンチャー投資だけを見ますと、社数は、これは追加投資も入っておりますけれども、15社から16社とたいして変わっていないのですけれども、金額は41億円から73億円ということで、単純平均をしても3億円弱から1.5倍ぐらい増加をしています。

ご認識されていると思いますけれども、日本のベンチャー投資の各シリーズの投資調達額が増加しているということが、現実にも反映しております。

またバイアウト投資については、上期1社もございませんでした。下期においては2社、ひょっとしたら3社の中小型株の投資、エクイティサイズで10億円20億円ぐらいのものが、出てくるのではないかという予定をしております。

投資実行額推移(ファンド含む)

続きまして、16ページ目です。地域別、国内はVCとバイアウトを4色でその推移を表しております。前期以前はだいたい平均すると200億円ちょっと超えるぐらいというようなボリュームでずっと推移しておりました。

ただ、今期につきましては先ほど申し上げたSV5、機関ファンドだけでも600から、追加の100億円を入れて150億円増えております。

それをだいたい3、4年前後で組み入れをして、残りの2、3割前後を数年かけて追加投資をしていくということになりますので、組み入れるファンドサイズが少し大きくなったということで、年度で見ますとちょっとデコボコがあると思うのですけれども、この200億円強のペースから10パーセントもしくは20パーセント増える水準になるというのが、いわゆる投資の巡航速度とみております。

現状この半期で、バイアウト投資は含まれておりませんけれども、145億円ということでそれまでのペースよりは半期で見てもかなりハイスピードになってきているということですが、これは200億円が300億円、400億円になるというような無茶な投資をするということではございません。

国内投資実行(新規投資:ファンド含む)

17ページは飛ばしまして、18ページ目でございます。これも大きな変化はございません。いわゆるIT関連ですとか、あるいはスタートアップ、アーリーステージというのが全体の80パーセント、90パーセントという水準が続いております。

これはファンドの高いパフォーマンスを意識した組み入れをしていくということが、こういう傾向につながっております。

ここにございますような医療・バイオですとか、あるいは従前含まれていましたサービス・流通というものは、投資対象がすべて、いわゆる広義のITサービスです。

ネット化された事業に含まれるようになってきているということで、純粋なサービス・流通というカテゴリーがここに含まれていないということになります。

海外部門

19ページ目は飛ばしまして、20ページです。海外部門について、ファンドのクローズについてお伝えしておきます。

ICON VIファンドが、正確な数字でいきますと、262.5百万ドルで最終クローズしております。もうひとつ前のファンドが2億6,000万ドルでございましたので、ほぼ同じ金額ということです。

アジアについても今募集中で、年内、遅くとも今年度中には最終クローズになるとは思いますが、ファンドのサイズについてはアジアファンドも前回とほぼ同様と見ております。

運用資産の推移(未上場投資残高、ファンド含む)

次に21ページです。こちらもずっとご覧になっていただいている資料ですけれども、意識的に運用資産あるいは社数を減らしてきているということで、コストベースで見ますと、厳選集中投資を始めた期である11年の3月期の1,859億円から、直近でいきますと、一番ボトムが(17年3月期の)1,116億円ということで、(2017年9月期は)ここから少しは増加しています。

最終的に締めてみると、コストベースではわかりませんけれども、棒グラフのほう、こちらは水色が海外・時価ベースで、紫色が国内・時価ベースということで、マークアップはしておりませんので、引当をのぞいた評価ベースのものということです。

こちらのほうは、ボトムの(16年3月期)906億円から(17年9月期)922億円ということで、若干下げ止まるという傾向が鮮明になってきたのではないかなと見ております。

それと、数字は書いていないのですけれども、最初の年の1,859億円と1,307億円は、この1,859億円を100としますと、この差額が29.8パーセントです。この差額がいわゆる引当率になります。

直近の半期ベースのバランスでいきますと、1,131億円と921億円の差が18.5パーセントということですので、11パーセント強、引当率が減っているということで、このような方針のもと、データ上も時価で見るとポートフォリオの質が改善していているということが言えるのではないかなと思っております。

厳選集中投資の推進(国内新規ベンチャー投資、ファンド含む)

続いて、22ページ目です。繰り返しになりますけれども、今度は厳選集中投資の中で、新規投資に絞ってみた場合です。

棒グラフが平均投資額でございます。平均投資額が徐々に上がってきていて、前期(17年3月期)は4億4,000万円。今期(17年9月期)は5億6,000万円まで跳ね上がってきています。

一方で、増資後の時価総額が、1桁から10億円を超えてきて、15億円くらいだったのが、前期(17年3月期)は18億7,000万円。今期(17年9月期)は跳ね上がって31億3,000万円となっております。

これはもちろん、全体が少しずつ上がってきているということと、この前期につきましては、いわゆるバリュエーションの大きいフィンテック関連の投資が3社。また、今期もこの下期の中で2社に投資しています。

その中には、増資の前の時価総額、いわゆるプレマネーバリュエーションが100億円を超えているものも含まれておりますので、それの影響が非常に大きいということです。

ちなみに(フィンテック関連の投資が)前期は3社・今期は2社ございましたが、それ(プレマネーバリュエーション)を除きますと、この増資後の時価総額は(前期は)13億円から14億円。今期で言うと、15億円ぐらいということで、それほど大きくは変わっていません。バリュエーションを注視しながら、慎重に見極めていきます。

その一方で、有望だと思われるものは、ある程度の時価を想定して、大胆に投資をしているということでございます。

2017年9月末資産構成(JAFCO持分のみ)

数字面でいきますと、こちらのページに記載のとおりでございます。自己株式(の取得及び消却)を大きくやりましたので、利益剰余金が495億円ですかね。従前からありました自己株式も含めて正確に申し上げると、実行した時点では自己株式の比率が4.97パーセントでしたので、自己株式自体も減っているということです。

あと、今回こちらの資料には記載しておりませんけれども、実質的な余裕資金は、現預金等が687億円。この中には、私どもがコミットして、実際に自由には使えないファンド出資分が98億円。そして、有利子負債。ファンド未払込金額でジャフコがコミットしているものが、282億円。

これらを全部差っ引きますと、274億円ということになります。この金額は、前期末の741億円。自己株式を買ったことがいちばん大きいのですけれど、有価証券売却益ですとか、あるいは期中に売却したことによる現金増。これらを一切合切プラスマイナスしますと、約460億円減っているということでございます。

法人税の未払額が98億円ありますので、いわゆる耐久資金的な現金は、正味180億円ぐらいの水準になってきているということでございます。ここに、多少の余裕は持たせておきたいということです。

Our Mission / Identity / Value

最後のページでございます。資料には文章だけを書いてございますけれども、経営理念を20年ぶりに見直しております。従前は、「プライベート・エクイティを通じた価値創造」というものでした。

そこから、主体性を持って、より踏み込んでいくという内容にしております。企業環境など時代背景の大きな変化がございます。そこに、より積極的にコミットしていくという、ジャフコとしての意志を表示したものでございます。

そして、そのバックボーンとなる志・取り組みのスタンスというものを、「CO ‐FOUNDER」というアイデンティティに表現しております。これ自体を、中期・長期のジャフコのビジョンとしております。

また、CO ‐FOUNDERになるべく、そのための判断基準というものを、資料の下にございます3つの価値観、「Value」にまとめております。これらをまとめてみなさんにお伝えするのは、今回が初めてでございます。

以上で、私の説明を終わらせていただきます。