SPEEDAの利益率について

新野良介氏(以下、新野):それでは、質疑応答とさせていただきたいと思います。ご質問のある方は、挙手をお願いします。

質問者1:ご説明ありがとうございました。2点質問させていただきます。

1点目は、SPEEDAについて。(数値計画を)期の前半は保守的に見積もっているというお話でしたが、利益率も第1四半期から第2四半期にかけて、かなり上昇されているようにお見受けしました。これは、人員投資の遅れによるものでしょうか。

2点目は、NewsPicksについて。リクルーティングの立ち上がりが遅れていると伺いました。御社のご計画に対して、具体的になにが遅れているのでしょうか。また、米国版NewsPicksのご進捗について、お話しいただける範囲で伺いたいです。

新野:ご質問ありがとうございます。

1つ目のSPEEDAについては、私からご回答申し上げます。2つ目のリクルーティングと3つ目の米国版NewsPicksについては、稲垣からご回答申し上げます。

まず、SPEEDAについてお答えします。SPEEDA事業は、限界利益が約8割の構造になっています。例えば、売上が10億円増加する場合に、固定費をまったく上げなければ、そのまま8億円が利益となります。このような事業になっています。

そのため、投資を止めれば利益率はぐんぐん上がっていくという事業ですので、どの程度の投資をするのかが、我々としては最大の意思決定になります。

引き続き(売上が)前年比プラス35パーセントということで、売上成長も早く、今後も国内海外ともに加速していきたい。そのため、人員投資はしっかりしていきたいと考えまして、今のような利益の計画になっています。

ただ、人員の採用は相手がいることですので、自分だけではすべてをコントロールできません。計画段階では、何月に何名ぐらい採用するという想定をおきます。しかし、当社の予測よりも遅れがちになってしまうということをもって、計画の利益よりも上がってしまうということになります。

2つ目以降(のご質問につきまして)、稲垣からご回答申し上げます。

稲垣裕介氏(以下、稲垣):ご質問ありがとうございます。NewsPicksの方については、私からご説明させていただきます。リクルーティング事業に関しては、まず、スタート自体は切ることができました。

いくつかの会社さまにもご契約いただいて、どんな人物像の方を採りたいのかというニーズに合わせて、求人記事を作らせていただき、実際の採用に至っています。

採用できた方の満足度は、非常に高い状況です。NewsPicksの価値は、他の媒体さんのように、既に転職活動をされている転職顕在層だけではなくなく、転職潜在層の方たちに対してアプローチできるところです。

記事をとおしてその会社の魅力を知っていただいて、(それまでは)転職意思がなかったものの、記事を読んではじめて転職したいと思っていただいた方たちに対してのリーチができております。そういった意味では、差別化はしっかりできているのかなと思っております。

ここで課題となっていることが、この事業をより多くの人たちに届けるというところです。そのためには、もっと体制を作っていく必要があります。具体的には営業も必要ですし、クリエイティブな求人記事を作っていく制作部隊も必要になります。この部分の採用が遅れている状況になっております。

こちらに対しては、先ほども申し上げましたとおりです。現在、取締役の坂本を中心に部隊を作り直して、年内には巻き返しを図りたいと思っています。今は、そういったステータスでございます。

米国版NewsPicksに関しては、梅田(優祐氏)が渡米して開発に着手しており、Dow Jones社様とともにプロジェクトを進めている状況です。まだ具体的なことが言えない状況ですので、年内にはなにかしらのかたちで、ご報告ができればと思っております。

質問者1:ありがとうございました。

新野:NewsPicksは3つの売上がありまして、有料課金・リクルーティング・ブランド広告となります。ブランド広告は、これまで成長をけん引してきたエンジンなのですけれど、これは初期段階のエンジンです。我々が今後の戦略上もっとも重要視しているのは、有料課金ユーザー数です。

有料課金によるストック型のビジネスとすることで、しっかりコンテンツで稼げるビジネスを作っていきたいと考えております。そしてその次、中長期的な売上の成長ドライバーとして重要視しているものが、リクルーティング事業でございます。

リクルーティング事業の対象とする人材市場は、ものすごく大きな市場規模です。今実際にお客さまに提供しているサービスも、満足度が高い状態なので、収益化には自信があります。

ただし、それを加速させるためには、やはりしっかりとした体制を築かなければいけない。その体制づくりに、今時間がかかっているという現状です。

他にご質問があれば、お願いします。

NewsPicksの会員数について

質問者2:ご説明ありがとうございました。初めてお伺いするので、基本的な質問で申し訳ないのですが、2点お付き合いください。

1点目は、先ほどのご質問と重複しますが、SPEEDA事業のEBITDA利益率についてです。

上期は若干、前年から下がっている。その一方で、過去の社長さまのコメントなどを拝見すると、全体だと思いますが、利益率を向こう3年くらいで3割ほどに持っていきたいとお話しされていたと思います。

そこに向けて、今後SPEEDA事業のEBITDA率は、どういったカーブを描くのかについて、見通しをお聞かせください。

2点目は、NewsPicks事業についてです。単純に有料会員数を会員数で割ってみているのですが、12月末と比べると、今回は若干プラスになっていると思います。

こちらは、オリジナルコンテンツなどが受けているのだと思っています。向こう2、3年で見た場合、このパーセンテージはどのくらいまで上げられるのか。最終的にいろいろ投資もしなければいけないと思いますので、パーセンテージを落ち着かせる、落とし所はどのくらいなのか。こちらについて教えてください。

新野:ご質問ありがとうございます。

まず1つ目の、SPEEDAのEBITDA率を、どういったカーブで将来上げていくのかという点です。向こう3年、ユーザベース連結全体として2019〜2020年ごろを目処に正常収益3割に持っていこうと考えております。

SPEEDAはNewsPicksよりも1年早く黒転していますので、SPEEDAはより早くそういうかたちで、持っていきたいと思っています。

ただ、売上の成長率も高い状態なので、今投資の手を緩めることは、SaaS型の事業構造上もったいないと考えます。そのため、しっかり人を採って成長率を維持しながら、先ほどの収益に中期的に持っていきたいと考えています。

そうすると、(正常収益)3割に向けて、階段状に上がっていくことが理想ということになります。投資が遅れると、それが早く出てくるというかたちです。

他方では、FORCAS事業とentrepedia事業をSPEEDAの中で今やっております。両事業も順調にスタートしておりますので、ここもしっかりと人を充てていきたいと思っています。

これらの新規事業への投資によっては、先ほどのEBITDAの改善スピードを少し遅らせてでも、これは投資すべきだなと感じているのが、最近の状況ですね。

私は従前ずっと、実験をすると申し上げてきました。とくにFORCASは、実際に効果を、お客さまの現場で上げておりますので、これはきっちり投資してプロダクトとして育てて、中長期的な成長に資するものにしていくべきだと感じています。

その投資のスピードによっては、先ほどの階段状に上がっていく3年の中で、来年にでも、FORCASにより大きな投資をしていく(収益率改善を少し遅らせても投資する)という判断もあり得るのかなと思っています。

2つ目のNewsPicksについては、稲垣からご説明します。

稲垣:ご質問ありがとうございます。結論としましては、有料課金ユーザーの数の割合はもう少し数字を上げていきたいと考えています。今私たちが作っているモデルとして、まず無料会員の方たちがいらっしゃって、その上に有料会員の方たちがいらっしゃいます。さらにその上に、アカデミア会員の方たちがいらっしゃいます。

ユーザー数やその割合に対する考え方として、やはりこれは「面」であると考えています。どれだけ多くの方たちにニュースを読んでいただくのかということで、無料の会員ユーザー数も重要です。

そしてサービスの価値を感じていただき、エンゲージメントが少し上がるとオリジナル記事が読める有料課金ユーザーとなり、さらにアカデミア会員になるとイベントや書籍など、より深い体験をしていただけます。

我々としましてはやはり、経済情報を得たいというすべてのビジネスパーソンの方たちのニーズに対して、サービスの価値をうまくミートさせていくことが大切だと思っていますので、この「面」と「高さ」の両方とも出していくことが、私たちの理想とする世界になります。

この無料の会員ユーザー数が増えていけばいくほど、先ほども申し上げたような広告・求人の価値や面としての価値も出てきますので、無料会員と有料課金の両面をしっかり取っていき、満足いただけるサービスを提供することが、私たちがやりたいことです。

新野:具体的な売上の構成比は発表していないのですが、有料課金ユーザー数がもっとも重要なので、これをきっちり上げていきたいということは、従前よりご説明しております。

NewsPicksの売上に占める有料会員ユーザーの割合は、ざっくり上場時に約3割だったのが、今すでに4割を超えております。先ほど稲垣が申し上げたとおり、まずストック型のビジネスとして、アカデミアも含めて有料課金による収益を上げていきます。

逆に、課金よりもブランド広告の売上が先に上がってきますので、これを短期的なエンジンとして、最終的にはその上にリクルーティング事業の売上を乗せていきたいと考えております。

最終的な売上の構成比はどうなるのかと申しますと、理想的には有料課金がもっとも大きな売上の階層を占め、その上にリクルーティング事業が乗り、ブランド広告が一番小さいというものが、理想的な最終形かなと思っています。

司会者:ありがとうございました。ほかにご質問いかがでしょうか。

既存メディアはNewsPicksの脅威となりえるのか

質問者3:3つお伺いします。

1つ目が、NewsPicksの有料課金ユーザーの伸び方について。安定して増えているものの、現時点では純増数自体が大きく増加しているかたちではないと思います。

今後の御社のメディアが本当に大きく伸びる時は、無料会員なり有料課金ユーザーなり、純増数の増加も含めてくると思います。現時点において稲垣さま・新野さまが、どの程度課題だと思っていらっしゃるか。NewsPicksも、無料会員数・課金ユーザー数を加速させるために、どのようなことが必要か。

2つ目が、NewsPicksで動画が始まっていますけれど、これによりDAUや滞在時間に、いろいろな意味で、なにか変化の兆しは出てきているのか。

3つ目が、日経さんがNewsPicksと同じような機能を、電子版の一番下のほうにひっそりと始めています。基本的にこういう既存のメディアで、NewsPicksに似たようなアプローチをしていくことが脅威となりえるのかどうかについて、現状どういう見方をしているのか。以上3点についてお尋ねしたいです。

新野:ご質問ありがとうございます。稲垣からご回答申し上げます。

稲垣:ご質問ありがとうございます。

まず1つ目の、有料課金ユーザーの伸びに関しては、現状は堅調な伸びであるという認識はあるものの、おっしゃるとおり、加速的な伸びにはまだなっていないかなと思っております。最大の要因は、やはりリーチかなと思っております。

リーチに関しましては、先ほど決算説明のパートで「東海岸」という言い方をしましたが、金融の方や大手町などの伝統的な企業にいらっしゃるような方たちに対して、どう認知をしていただくか。

今のNewsPicksのターゲット層である40代の方々から、さらに幅広い年齢の方たちにご満足いただけるものをつくっていくのか、というところかなと思っております。

そこに関しましては、今年特集でも出させていただいているような、東芝さんやPanasonicさん・日立さんの記事など、大企業にお務めの方々にもご満足いただけるようなコンテンツを出していくことかと考えています。そうすることで、私たちの(サービスに)興味をもっていただき、ご満足いただける層を広げていきたいと思っております。

これに関しては、先ほどご説明申し上げた社内版NewsPicksのような機能も効果的なアプローチなのではと考えております。会社の中でクローズにお使いいただけるような世界観をつくっていくことができれば、我々がこれまでリーチできなかった伝統的大企業の方々でもよりご満足いただき、今以上のユーザー数になっていくのではないかと考えております。

2つ目の、動画に関するご質問にお答えします。少し前のインタビューでも編集長の佐々木(紀彦氏)からお伝えさせていただいたのですが、だいたい今数字として、1万UUぐらいの方たちに、日々見ていただいているような状況です。

現状ではご満足いただいているかたちではあるのですが、より多くの方たちに見ていただく必要があると思っております。こちらの施策として2つの機能を開発しています。

1点目は、動画のアーカイブ機能です。22時の時間帯というのは、テレビでも経済の番組が多い時間帯ではあると思います。ただ、お食事に行ってらっしゃる方やお仕事をされている方は見られないということがあると思っておりますので、アーカイブ配信をすることで、しっかりと価値を届けていきたいと考えております。

こちらは開発がほぼ終わっておりますので、これからみなさまにご提供したいと思っております。

2点目は、拡散する機能です。(これまでは、動画を)見て「おもしろい!」と思っても、簡単に拡散することはできませんでした。

こちらに関しましても、放映中でもTwitterやFacebookなどで、より多くの方たちに拡散できるような仕組みを、これからご提供する予定です。この2つをもって、視聴者をもっと増やしていけるのではないかなと思っております。

(ご質問の)3つ目の、日経さまのお話についてお答えします。こちらは、リリースされたこと自体は認識しておりまして、どういうものかということは参考にさせていただいております。

しかし、意識をするというよりは、やはり私たち自身が、どういうものに対してどういう価値をしっかり出していくのかということが、本質だと思っております。

日経さまに対してどうこうというわけではなく、自分たちがユーザーさまに対して、しっかりご満足いただけるのかということだけを見て、事業を続けさせていただいておりますし、これからもそういったかたちで進みたいと思っております。

新野:NewsPicksのほうで(ご回答申し上げた)1つ目の、加速度的な成長というところについて補足いたします。NewsPicksの価値をしっかり上げるということが、一番大事なところです。価値が上がるので、有料課金というかたちでマネタイズするということです。

それでは、NewsPicksの価値はなんなのかということになりますと、その源泉はコンテンツです。パートナーさまから提供していただくニュース記事や、我々の編集部がつくる記事。それから、ユーザーさまが出すコメントといったコミュニティ発のコンテンツですね。

つまり、コンテンツ価値というものは、突き詰めれば2つの要素(から生まれます)。1つは記事、もう1つはコミュニティから生まれるわけです。1つ目の記事については、当たり前のことですけれど、きちっとした品質の記事を量産することができる体制をきっちりつくっていくことが、まず第一になります。

そこを外せばすべてがなくなるとわたしは思っておりますので、「この記事はすばらしい品質だね、読んでよかった」という記事を増やしていくということが、まずあります。

その上に、2つ目のコミュニティの要素が次第に、加速的に効いてくるのではないかなと思っております。

コミュニティの要素というものは、突き詰めてしまえば、「あの人も使っているよ、この人も使っているよ、読まないとまずいよね」ということだけです。そう言っていただける価値を、我々で提供していくということです。

それでは、「あの人も使っているよ、この人も使っているよ、これはいいよ」という声をどんどん広げていくには、どうするのかと言いますと(先ほど)稲垣が申し上げておりました。伝統的な企業にお勤めのみなさまが「NewsPicksを見ないとだめだなあ」と思うようなプラットフォームを、きっちりつくっていくことです。

結果として、「最近(周りの人にNewsPicksを)勧められたんだよ」という声を、ちらほら頂いておりますが、そうした声を大きくしていくことでソーシャル性が発揮されますので、じわじわと加速されていくと思っているところです。

私が補足として申し上げたかったことは、中長期的にもっとも伸びるためにも、経済情報を提供するNewsPicksの品質が大事だということです。

(ご質問の)2つ目のDAU等に関しましては、おかげさまでDAU・MAUともに順調です。引き続きLivePicksも含めて施策を打っていくことで、価値を上げていきたいと思っています。我々からのご説明と補足は以上です。

司会者:ほかにご質問はありますか。どうぞ。

SPEEDAの海外マーケットについて

質問者4:NewsPicksとSPEEDAのターゲットとする、有料課金ユーザー数と契約ID数についてお尋ねします。いわゆるターゲットの市場規模というか、どこまでとれるのだろうというところはありますか。

それから、その市場規模に近づいていくと、加速度的な成長がだんだん弱まっていくと思います。そのあたりをだいたいいつ頃だと考えていらっしゃるのかを、お聞きしたいです。

それからもう1点が、SPEEDAの海外マーケットについて。どちらの海外マーケットなのかと、その海外マーケットの競合先というか、先にマーケットをつくっている会社があるか。あるとしたら、教えていただきたいです。

海外マーケットにつきまして、それなりにターゲットを設けていらっしゃるのかをお聞きしたいです。

新野:2つご質問ありがとうございます。

1つ目のターゲットの市場規模についてお答えします。SPEEDAの市場規模は今、顕在市場で世界的には2兆6,000億円ぐらいと推定しています。ご存じのとおりBloomberg、Thomson Reutersで、あわせて2兆円近くということで、寡占が非常に進んでいるマーケットではございますが、2兆6,000億円ぐらいだと(推定しております)。

日本はといいますと、だいたいGDP比で見ていただければいいのではないかなと思いますが、経済産業省の統計によると、国内では3,000億円ぐらいのマーケットとなっております。

記憶で申し上げているので、正確な数字ではない可能性がありますが、データベース市場でだいたい1,500億円・各種リサーチで1,500億円ぐらいのマーケットだったかと思います。

ここで難しいことは、我々は今顕在化していない市場もつくりだしているということです。とくにSPEEDAの国内のデータベース事業に関しては、先ほどからご説明しているとおり、金融機関やコンサルティングファーム以外の事業会社にもどんどん広がっております。

事業会社は完全にホワイトスペースでして、今までBtoB情報プラットフォームを使っていなかったところに入っていっており、それが我々の成長のドライバーにもなり、売上の4割を占めるまでに至っております。これを開拓できればできるほど、市場規模は我々自身が拡大していくことができるということです。

そのためにも我々としては、FORCASというプロダクトを出しました。事業会社様に満足いただけるサービスを我々のほうでつくりあげることができれば、世界で初めて、プロフェッショナルと事業会社が両方で使うプラットフォームが生まれることになります。この市場を自らの手でつくるということを、チャレンジしたいと思っています。

2つ目の(ご質問の)SPEEDAの海外戦略に関してお答えします。まず、SPEEDAの海外戦略自体はアジアに進出するということです。アジアで圧倒的に強いプレゼンス・コンテンツを持つプラットフォームにしていくということが、第一のステップになります。

なぜ我々が海外に出ていけたのかと申しますと、日本市場のなかで、日本のプレゼンス・コンテンツが強いプロダクトをつくれたからです。その次の一手として、地政学的に我々が有利であり、世界的にも経済情報がますます求められているアジアの領域で、きっちり事業を築きあげていきます。

実際、まだ欧米での販売体制が整っていないにもかかわらず、欧米からの照会が増えています。なぜ欧米からの照会が増えているかといいますと、アジアの情報が欲しいからです。そのため、アジアに強いプラットフォームとして、今度は欧米に展開していくというステップを考えています。

ただし、我々はきちっと事業を重ねていきたいと思っておりますので、海外事業が黒転しない状態で、欧米に出ていくことはないと考えております。

海外では2014年に製品をリリースしておりますが、5年以内の黒転を掲げていました。実は制度会計上でもう、シンガポールはすでに黒転しておりまして、また、香港も月次レベルでは黒転しております。

ただ、私が申している「黒転」というのは、内部の管理会計上の、海外に出るために使ったすべての投資をつけて、その上で黒転させるということです。これを、5年以内と考えています。

今は3年目ですけれど、あと2年をかけて収益貢献をさせていくということで、それができれば欧米に行く準備が整ったと考えます。だいたい、SPEEDA事業については以上です。

NewsPicksの市場規模につきましては、稲垣からご説明します。

稲垣:ご質問ありがとうございます。まずは結論としては、喫緊で有料課金ユーザー10万人という数字は取っていきたいと思っております。10万人という数字が、メディアとしてひとつ影響力を持った数字であると認識しておりますので、その数字は目指していきたいと思っております。

次に市場規模に関しましては、先ほど意識はしていないと言った手前ですけれど、やはりひとつの目安は日経の電子版かなと思っております。日経電子版の登録会員数(有料会員と無料登録会員の総数)は350万人という数字で、日本中のビジネスパーソンに幅広く利用されておりますので、その数字は僕たちとしても、市場規模として見ていきたいなと思っております。

あとはやはり、日本の中では、ピュアなネットのコンテンツに対する課金というものは、あまりされない傾向があるのかなと思っています。

リアルな紙のコンテンツにはお金を払うニーズがあるということや、僕たちが今進出している米国やアジアのほうでは、コンテンツにちゃんとお金を払う文化があることから、ネットメディアの中でもしっかり課金されていくようなビジネスモデルをしっかりとつくっていきたいと思っております。その中で、有料課金ユーザー数10万人という数字を目指していきたいと考えております。

新野:どちらかというと、先ほどの(目指すと申し上げた)有料課金ユーザー10万人というのは、そこを目指すというよりは、それぐらいないとそもそもメディアとして成立していないという、最低限のハードルだと思っています。

経済情報の市場は前述のとおり、最大手の経済紙の登録会員350万人、そのうち4,000~5,000円ぐらいの単価をお支払いの方々が54万人と、顕在市場としてはたくさんの方がおられます。ほかに経済情報ではビジネス誌など、いろいろな経済情報市場がございます。

しかし、もっと大事なことはそこよりも、新しい市場をしっかりつくっていくということです。SPEEDAと同じように、顕在市場の動向がどうかというよりは、今までこういったものにお金を払っていなかったというお客さまも含めて、市場を創出していきたいと思っているところでございます。

私からは以上になります。

司会者:ありがとうございました。ほぼ終了時間ですので、質疑応答はここまでとさせていただきます。質問のある方は、直接お願いいたします。

新野:お忙しいなか、ありがとうございました。