第37回定時株主総会

孫正義氏:おはようございます。代表取締役社長の孫正義でございます。株主のみなさまには、ご多忙のところ多数ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

日頃より格別のご支援を賜り、この席をお借りして、厚く御礼を申し上げます。当社、定款第13条の定めにより、私が本総会の議長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。それではただ今より、第37回定時株主総会を開会いたします。

取締役ユン・マー(ジャック・マー)は、やむを得ない事情により欠席しております。ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。

本日はインターネットによるライブ中継を実施し、本総会の模様を公開しております。ご了承いただきますよう、お願い申し上げます。

本日の会議の目的事項には、招集通知2ページにご記載のとおりでございます。なお、株主様のご発言につきましては、報告事項の報告、決議事項の議案の説明をした後にお受けいたしますのでよろしくお願いいたします。

それではご出席株主数および、その議決権につき報告いたします。

本総会におきまして、議決権を有する株主数は20万1,834名。その議決権数は、1,088万5,275個でございます。

また、本総会におきまして、議決権を行使されます株主数は、5万72名。その議決権数は606万5,210個でございます。したがいまして、本総会の議案の審議に必要な定足数を満たしております。

以上、報告申し上げました。

報告事項

それでは報告事項1の2016年度(2016年4月1日から2017年3月31日まで)事業報告、連結計算書類ならびに会計監査人および監査役会の連結計算書類監査結果報告の件。

報告事項2の2016年度(2016年4月1日から2017年3月31日まで)計算書類報告の件の内容につきまして、報告いたします。報告事項の内容は、招集通知26ページから59ページ、および61ページ、ならびにインターネット上の当社Webサイトに、掲載のとおりでございます。

概要を説明したビデオを用意しておりますので、ご覧ください。

なお招集通知43ページおよび44ページに記載の、当社グループが対処すべき課題につきましては、ビデオでの説明に加え決議事項の議案説明の後に、事業戦略に関する説明として、詳細につきましては、私から説明をいたします。これからビデオで説明をいたしますので、一緒にご覧ください。

(映像が流れる)

以上、ビデオで説明をいたしました。なお会計監査人および監査役会の連結計算書類の監査結果につきましては、招集通知59ページおよび61ぺージに添付しております。

会計監査人および監査役会の監査報告書謄本に記載のとおりでございますので、改めてご報告いたします。また、計算書作成後に生じた重要な事項について1つ報告いたします。

SoftBank Vision Fund 初回クロージング完了

当社が設立した「SoftBank Vision Fund」は2017年5月に初回クロージングを完了いたしました。この初回クロージングの下では、当社は最大280億米ドル、当社以外のリミテッドパートナーは、合わせて最大652億米ドルを出資いたします。

なお、当社は本ファンドへの出資コミットメント額280億米ドルのうち、約82億米ドルについて、当社が保有するARM Holdings plc株式の一部を現物出資することにより、出資を履行する予定でございます。

これによる2017年度の当社業績に与える影響は、現時点では確定しておりません。以上、計算書類作成後に生じた重要な事実について報告をいたしました。

決議事項

それではここで、本日の決議事項を上程の上、内容を説明いたします。

今後の進行につきましては、この決議事項の内容説明、および事業戦略説明の後に、報国事項および決議事項についてご質問、同義および審議に関する一切のご発言をお受けし、発言終了の後は決議事項につき採決のみとさせていただきたいと存じますが、ご異議ございませんでしょうか?

(会場拍手)

ありがとうございます。それではこの方法で行わせていただきます。

第1号議案 剰余金処分の件

第1号議案は、剰余金処分の件でございます。議案の詳細は招集通知6ページに記載のとおりであり、当年度の期末配当金につきましては、1株につき22円とさせていただきたいと存じます。なお、中間配当と合わせた年間配当は、前期から3円増配の1株当たり44円となります。

第2号議案 取締役11名選任の件

次に第2号議案は、取締役11名選任の件でございます。現任の取締役7名は本総会終結の時をもって任期満了となりますので、経営体制の強化を図るため、取締役4名を増員し、取締役11名の専任をお願いするものでございます。

議案の詳細は招集通知7ページから14ページに記載のとおりでございます。

第3号議案 監査役3名選任の件

次に第3号議案は監査役3名選任の件でございます。

現任監査役5名のうち4名は、本総会終結の時をもちまして任期満了となりますので、監査役を1名減員し監査役3名でお願いするものといたします。議案の詳細は招集通知15ページから17ページに記載のとおりでございます。

第4号議案 新株予約権の発行の件

次に第4号議案は、ストックオプションとして新株予約権の発行の件でございます。

ストックオプションとして当社および当社の主要子会社の取締役、幹部社員等に関して発行する新株予約権について、募集事項の決定を取締役会に委任いただくものでございます。議案の詳細は招集通知18ページから22ページに記載のとおりでございます。

それでは、ただいまから招集通知43ページおよび44ページに記載の当社グループの対処するべき課題の内容として、今後の事業戦略を私自身がプレゼンテーションでご説明をいたします。

2004年、株主総会の記憶

現在2017年でございます。ちょうど13年前、2004年の株主総会がこの部屋でございました。ちょうどネットバブルがはじけて、我々が一番苦しい時に、日本で当時一番大きな会社、NTTに挑戦をいたしました。

当時のインターネットは、ダイヤルアップで、非常に遅くて、先進国の中でももっとも遅い、もっとも高いと言われているインターネットの状況でありました。

我々グループの中核会社の1つであるYahoo! JAPANもせっかくインターネットを日本のユーザーに提供しておるのにも関わらず、スピードが遅い、高いということで日本のインターネットの進展は遅々とした状況でした。

そこへ我々が、それまで100年以上日本の通信業界を独占的に事業を提供してきた、しかもインターネットにおいて99パーセントのインターネットのインフラを提供していた、NTTに我々が孤軍奮闘、挑戦をするということになったわけでございます。

結果、経営はどうなったかというと、上場間もない我々が、真っ赤な大赤字の会社になりました。トンネルの先が見えないという状況の赤字でございます。

営業利益 500億円超の赤字

営業利益でマイナス500億円の赤字。

当期純利益 1,000億円超の赤字

純利益においては1,000億円を超える赤字が3年続くという状況でした。

その株主総会で株主のみなさんから質問を受けました。

「孫さん、あんたがそんなに力を込めて、口から泡を飛ばして、日本のインターネットの夜明けのために頑張るのはいいけど、倒産しそうじゃないか。株価は真っ逆さまだ。どうしてくれるんだ」と。

そういう質問、ご意見の嵐の中で、ある1人の株主の方が、だいぶ非難轟々の後に「もう、わかった」と。「非常に苦しんでるのはわかったけど、じゃあ将来、もう少し孫さんらしくホラを吹いてくれないか」と。

「将来ソフトバンクの利益はどうなるんだ」と、いうことについて展望を聞かせてほしいという質問、ご意見をいただきました。そこで私は答えました。その時のビデオが撮ってあります。

(会場拍手)

今、一緒に見ていただきたいと思います。では映像を流します。

(映像が流れる)

先ほど言いましたように、純利益でマイナス1,000億がそのまま続いている会社で、株主総会の公の場で、そんなホラを吹くということは普通はあり得ないことだと思います。

営業利益1兆円突破

しかし、おかげさまでご覧のように、ついに一次益なしで営業利益で1兆円を突破することができたわけでございます。

(会場拍手)

営業利益1兆円までの年数

この1兆円の営業利益というのは、日本で今まで3社しか達成しておりません。NTT、トヨタ、ソフトバンク、この3社だけでございます。

純利益でも1兆4,000億円の規模になりました。もちろん、この純利益には一時益が相当に含まれています。ですから、今回の純利益の1兆円越えというのは、いろんな前提付きの一時益込みですが。

しかし、1回達成したものは、それがいずれ連続していけるような、そういう会社になれると私は思っております。

その1兆円の利益と言ったのですが、正直に申し上げて、私自身には、この1兆円の利益と、その数字に対する感動は、実はたいしてなかったと。正直な気持ちですね。

なぜかというと、そういう数字の上での、利益の1兆円、2兆円というのは、たかが数字に過ぎないと。もっと大切な、もっと大きな志というのは、私自身の胸の中に、しっかりと、はっきりと見えている志があるということであります。

その志からすると、まだほんの一歩踏み出したに過ぎないと。これから登る、本当の登る山が目の前にあって、この山を登っていくんだと。そういう気持ちであります。

ちょうど今年は、私の尊敬しております坂本龍馬さんの生誕150周年です。この150年前は日本だけではなくて、世界でちょうど産業革命の波が、先進国に訪れ始めた時期でありました。

それから150年間経ちまして、この産業革命は、人類に莫大な富と、あらゆる生活の利便性を提供してくれました。

しかしその結果、弊害もありました。地球の環境は、その産業革命の結果、汚染され、非常に環境が悪くなりました。また、産業革命がもたらした危機によって、新たな事故もたくさん生まれるようになりました。

また、それらの産業革命の結果でも、まだ解決できていない新たな病気だとか、難しい病気なども残っております。

私の志というのは、この150年間で、ある程度煮詰まった今の世界の状況。これをもう一度、世界を洗濯致し候と。そのぐらいの心意気、志でいるわけです。

ホラもこのくらい吹けば気持ちいいということです。

情報革命を牽引し人類に最も貢献する企業へ

つまり我々は、情報革命を牽引して、人類にもっとも貢献し、もっとも尊敬される会社になりたいと。そういうグループになりたいという思いであります。

では、どういうところから、それを達成しようと思ってるのかというビジョンですが、それを少し今日は触れさせていただきます。

SINGULARITY-技術的特異点-

「SINGULARITY」であります。ちょうど去年の、この株主総会で、「SINGULARITY」について説明をさせていただきました。そのとき、この会場で、「SINGULARITY」という言葉についてご存知の方、手を挙げて欲しいとお聞きしました。

約3パーセントの人が手を挙げました。今日はもうすでに、先ほどビデオでもシンギュラリティの説明をしましたので、かなり多くの方が、なんとなくシンギュラリティの意味について、理解しはじめたと思いますが、ひと言でいうと、コンピューターのチップです。

超知性の誕生

コンピューターのチップによって、人間の脳細胞・知能を上回る。そういう超知性が、この地球上に生まれるということであります。今まで地球の、あらゆる生命体の中で、人間、人類が最も高度で優れた知能を持った生命体として、活躍をして参りました。

しかし我々人類が生み出した、発明した、このコンピューターのチップが、発明した側の人類をも上回る知的活動をするようになるわけであります。

それがこの30年以内に、さまざまな分野で活躍をしはじめると。人間を上回る理性を持つようになるということであります。

みなさんご存知のように、最近では、囲碁や将棋などでもコンピューターのAIは、人間のプロの名人を負かすというレベルになってきました。

一部の知的活動においては、すでにコンピューター、このチップは、人間の知能を上回っているわけです。天気予報も昔は漁師のおじいさんのほうが、明日の嵐を予見することができました。

今や漁師のおじいさんでも、天気予報を見て明日の漁を決めるという状況であります。

しかし、そういう囲碁だとか、天気予報だけではなくて、これから30年以内には、ありとあらゆる分野で、この超知性、コンピューターによる人工知能が、さまざまに人間の知的活動を上回るようになると思います。

この人工知能は、ある意味恐ろしいものです。人間をはるかに上回る知能を持つということは、もし我々人類が、彼らを制御することができなければ、人類滅亡の危機をもたらすかもしれません。

しかし同時に、これから数百年、数千年の間に、人類を滅亡させるような危機が、この地球上にあらわれる。そういうことがあるとすれば、どういう危機があるのだろうとオックスフォード大学の教授たちが議論をしました。

12ほどあるということでした。大火山の爆発。大きな隕石がまた地球にぶつかる。そしてもう1度、氷河期がやってくるとか。そういう新たなリスクが12ほどあると。そのうちの1つに数えられたのが、この人工知能、超知性でありました。

1つだけ、この人工知能の違うところは、残りの11の、人類が制御することのできない、人類を滅亡に陥れるかもしれないリスクを、この超知性、人工知能が人類に変わって、解決してくれるかもしれない。こういう利点があるということであります。

「諸刃の剣」というのは、そういう意味を持っているのかもしれません。

とにかく、この人工知能、超知性。これの登場によって、あらゆる産業が、もう一度再定義されると私は思っております。

先ほど言いましたように、産業革命の結果、新たな事故がたくさん生まれるようになりましたが、例えばその1つであります自動車。事故が毎日、世界中で起きております。しかし、この人工知能の進化によって、事故が起きない世界が、もうじき、実現されようとしています。

平均寿命も、100歳を超えることになるでしょう。

未来を予測できる世界。

ロボットと共生する世界。そんな世の中がこれからやってくると思います。

この人工知能、超知性というものの鍵はデータであります。

人工知能のすごいところは、今までコンピューターの機能というのは、人間がプログラミングをしていました。コンピューターのハードに、人間がソフトウェアとしてプログラミングするという状況だったのです。

しかし最近の人工知能は、そのプログラミングの必要すらなくなってきたのです。人工知能が自ら学習すると。

ディープラーニングという技術が、その代表的な技術の1つであります。人間の赤ちゃんは、人間がプログラミングしているわけではありません。

なのに毎日刻々と、触れて見て嗅いでみて学んでいくわけです。聞いて学んでいくと。

毎日学習していって賢くなるわけです。同じように人工知能は、最早プログラミングしなくても、勝手に自ら学習していく、自ら学習して自ら賢くなっていく。

したがって教え込む人間よりも、賢くなっていくということです。その時に鍵になるのはデータなわけですが、データはどうやって発生するのかということです。

データが発生する時に、必ずそこに存在しているもの。それは何かというと、これまたチップであります。チップがあるからデジタル化できると。デジタル化するからデータになるということです。

このチップがあるからデータが生まれ、そのデータがチップをさらに賢くし、人工知能として超知性を生み出していく。

したがってその鍵になるチップ。誰がこの地球上に、一番たくさんチップを提供しているのかと。地球上で生み出されるチップの、90パーセントに相当するチップを、このARMがこれから提供することになるわけです。

既にみなさんがお持ちのスマートフォン。それから携帯電話。これの99パーセントは、このARM社が提供しているわけです。99パーセントの世界中の携帯電話・スマートフォンのチップは、ARM1社で設計しているわけです。

ARM ビジネスモデル

このARMはそのチップを設計し、さまざまなチップのメーカーにその設計図を提供します。彼らがそれを製造し、さまざまな電子機器に入っていくと。

ARMベース チップ出荷数(単年)

先ほどのビデオでもご紹介しましたように、去年1年間で177億個も、ARMのチップが出荷されているわけです。177億個。すごいですよね?

地球の人口が70億人です。地球の人口には赤ちゃんも、お爺さんお婆さんも含まれています。アフリカの人々も含まれています。南米の人々も。あらゆるところの人口が含まれた、その70億人に対し177億個。1人あたり地球上の人口すべての人に、人々に1人あたり2.5個のARMのチップが、この12か月で出荷されたことになるということです。

しかもそれは、二次曲線で増え続けてきております。このARMのチップは単にスマートフォンや、自動車、電子機器だけではなく、

例えばランニングシューズだとか、メガネだとか、いずれはミルクの容器にまでARMのチップが搭載されるということになっていくでしょう。

我々が去年、このARM社を買収しました。私はIT業界の隠れた秘宝、宝だと密かに思っておりました。10年前から買いたくてしょうがなかったわけですけど、お金がありませんでした。

「他の誰も気づいてくれないといいなー」と、願いながら、祈りながら、10年間待ちました。やっとお金が揃ったので、いよいよこのARMを手にすることができたわけです。

おそらく私の人生の中で、後に振り返ってみて、いちばん鍵になった買収投資はどの会社であったかと。一社だけ挙げよと言われれば、恐らく私はこのARMになるのではないかと思っているぐらいです。

このARMの買収を発表したときに、ソフトバンクの株価は下がりました。つまり、それほど多くの人々には、まだ理解されてないということです。

私はぜんぜん構わないと思いました。そんなものだと。ヤフージャパンを発表したときも、日経新聞の本紙に載らないで、日経産業新聞に3行ぐらい、小さく載っただけです。

物事のデビューのときというのは、往々にしてそんなものだと思います。多くの人々が気づかないからこそ、そこに莫大なアービトラージのチャンスがあるわけです。

とにかくこのARM。いかにすごいかと、後々には多くの人に理解されると思います。

OneWeb 次世代 低軌道 衛星通信

また、これらのチップが通信しなきゃいけないわけです。IoT:Internet of Thingsということで、これからは携帯電話とかパソコンとか自動車だけではなくて、ありとあらゆるものが、繋がらなければいけません。

地球上のどこにいても、ありとあらゆるものが常に繋がると。そういうことを実現するための画期的な技術・手法がOneWebであります。

今まで、人工衛星というと、地球から3万6,000キロぐらい離れていて、非常に遠いところにありました。今回の我々のOneWebの人工衛星は、それよりも30倍地球に近いところ、1,200kmぐらいのところに、2019年と2020年の2年間で約800基の(低軌道)衛星を打ち上げます。

これらが今までよりもはるかに安く、地球上のいたるところに、このインターネットの通信を提供するインフラを作ることになります。これによって通信も決定的に変わっていきます。

あらゆるものが繋がる社会へ

ソフトバンクの本業は携帯電話の会社ではないかと思っている人が、まだたくさんいるかもしれません。まったく違います。ソフトバンクは情報革命の会社であります。

携帯電話は、単にその一道具にすぎません。我々は情報革命、超知性の誕生に向けて頑張っているわけですが、地球上のありとあらゆる生活シーン、ありとあらゆるインフラが情報ネットワークで結ばれる時代になります。

超知性を持つロボットの誕生

超知性が単に動かないスマホやパソコンに入っている間は、超知性の働きというのは、単に数字的なもの・記号的なものだと思うかもしれませんが、これがロボットに入ったとき。

従来のロボットというのは、単純作業をするロボットでありました。人間がプログラミングをし、命令をし、コントロールして操作すると。

でもこのロボットに、超知性のチップが内蔵されたとき、ロボットはもはや単純なロボットではなくて、スマートロボットに生まれ変わります。

スマートロボットになると、彼らが自らの意思で、自らの判断で、自ら行動を起こすようになります。

もちろん、この超知性を持ったロボットが人類に対し反乱を起こすと、人類滅亡の危機になるわけですけど、我々はこの超知性をロボットに正しく組み込み、正しく行動してほしいと願いながら設計するものであります。

Boston Dynamicsの買収を発表

ロボットというと、我々ソフトバンクがかわいらしいペッパーを発表し、今、世の中に提供しておりますが、我々は新たに世界でもっとも進んだロボット企業を買収することを発表しました(※本取引は、関係規制当局の承認と一般的な取引条件を満たすことを前提としています)。

Boston Dynamicsです。このBoston Dynamicsの世界最先端のロボットの映像を見ていただきたいと思います。

(映像が流れる)

ご覧いただきましたように、みなさんが今までイメージされていた、腕だけが動くような産業用のロボットとは程遠いぐらい多彩な能力を持つようになったということです。

これから超知性がロボットに入り、どんどん進化していくと思います。これはロボットとか直接的なチップだけではなくて、人類そのものの(課題)、今まで解決できなかったような病気に対しても解決の手立てを提供するようになります。

GUARDANT HEALTH

もう1つ、我々が最近グループに入れたGUARDANT HEALTHについて、少し説明をしたいと思います。

従来では、がんが発生すると、生体検査ということで、がんの細胞を差し込んで、取り出して、検査するという手法があります。高い、遅い、危険だという、このプロセスに対して、血液だけで、より安く、早く、安全にがんの早期発見を行うと。

ビッグデータにより癌の克服を目指す

がんはレイトステージの遅い発見になると、もう治療するのが大変難しくなります。これを血液検査だけで、より早く発見することができれば、非常に多くの人々が助かると思います。採血をし、DNAの解析を行い、人工知能でDeep Learningをします。

この分野で世界一の会社があります。シリコンバレーにある、スタートしたばかりの若い会社です。この会社が、人工知能を使って、がんの分析をしているわけですけども、すでにアメリカの主要癌センター導入率90パーセント以上。血液の生体検査の市場シェアで80パーセント以上を握っている会社がGUARDANT HEALTHです。ちょっとビデオを見ていただきたいと思います。

(映像が流れる)

素晴らしい会社です。この分野で世界最先端をいっている会社です。ということで、我々ソフトバンクは、これからますます加速度的にグループを強化し、同志的結合を増やしていくということであります。

SoftBank Vision Fund

そのために、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを設立しました。調達規模は10兆円です。この10兆円規模というのは、世界中のベンチャー・キャピタルを足して、すべてのベンチャー・キャピタルが去年1年間で調達した資金総額が7兆円です。

世界中のベンチャー・キャピタルを足して7兆円。ソフトバンク1社で10兆円ですから、いかにこの規模が大きいかということがおわかりいただけると思います。

その鍵になったのは、1つの面談でした。去年(2016年)の9月、サウジの若き(ムハンマド・ビン・サルマン)副皇太子と東京の赤坂の迎賓館で会いました。これが重要な面談の日でした。私は彼に「あなたは『2030年までの15年間で、石油に依存しない国家にしたい』というビジョンを掲げておられるけども、まったく同感です」と言いました。

ほんの10年前、世界の時価総額トップ10の会社の1位は、オイルを販売しているExxon(Mobil)であり、トップ10には石油関連の会社が3社入っていました。しかし今日現在では、トップ10の1位から5位までが全部IT関連で、9位と10位もIT関連です。つまり、トップ10の7社がIT関連という世の中になっているということです。

オイル関連は1社に減りました。たった10年間でこんなに様変わりになったということです。今から10年、20年でさらにどれほど変わるかということで、あなたが「石油に依存しない国家にしたい」というビジョンをどうやっているかと。

「『投資を行うことによってサウジが経済的な力を持つ』というビジョンを掲げておられるけども、それをやる一番の近道は私と組むことだ」と言ったら、「そうか」と。

(会場笑)

納得してくれて、話が決まったわけでございます。

併せて、サウジだけではなくてアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ政府も参加する、Apple、Qualcomm、Foxconn、SHARPも一緒に参加することになりました。

ということで、我々ソフトバンクはテクノロジーに対する理解、そして資金と投資に対する理解、その両方のノウハウを合わせてSoftBank Vision Fundを作ったわけです。これは単に投資を行うための企業活動ではなくて、同志的結合の企業集団を作りたいという思いでいるわけです。

SoftBank Vision Fundを通じてソフトバンクが行うのは、単に資金的なリターンを求めるだけではないと。この情報革命を行う同志として、先ほど(映像を)お見せしたGUARDANT HEALTH、Boston Dynamics、Alibaba、滴滴(ディディ)など、世界中にいろんな会社がソフトバンクグループあります。

これらの会社を結集して、情報革命を一緒に行っていくと。そういう同志的結合、企業家集団を作りたいと。それがソフトバンクであるというのが「ソフトバンク2.0」でございます。

新任取締役候補

このために経営陣も強化します。新しい取締役の候補として、Sprintを立て直したマルセロ(・クラウレ)、SoftBank Vision Fundを担当するラジーブ(・ミスラ)、ARMのサイモン(・シガース)、ソフトバンクで一緒に取締役をやっていただいていた、元ゴールドマン・サックス副会長のマーク・シュワルツ、そしてサウジの投資を一手に統括しているヤシル(・アルルマヤン)が我々の取締役として加わるというのが今回の方針です。

先ほど言いました、利益で1兆2兆というのは単なる数字に過ぎない、金銭的な通過点に過ぎないと。我々の志はそういう小さなものではないと。

世界で最もこの新しい時代に貢献し、尊敬を集める会社になりたい。人類を滅亡させるかもしれないような、ある意味危険な人工知能・超知性の誕生に対して、我々は正しく導くリーダーとして情報革命を牽引する集団になりたい。「情報革命で人々を幸せに」。これが我々の志であります。

(会場拍手)

夜12時、1時で日本の社員が寝ているなら、「アメリカのやつは起きとるぞ」「イギリスのやつは起きとるぞ」と世界中に我々のグループに電話しまくって、とにかく今、人生が楽しくてしょうがない、おもしろくてしょうがない、うれしくてしょうがない、やる気いっぱいであります。引退なんてしていられないと。

(会場拍手)

そういうことであります。赤字であんなに真っ逆さまな時でも明るく能天気でいたわけですけども、とにかく燃えております。頑張ってソフトバンクの経営を続けていきたいと思います。

(会場拍手)