2017年3月期決算説明会

細見典男氏:みなさんこんにちは。細見です。今日は大変お忙しい中、決算説明会にご臨席をたまわり、誠にありがとうございます。

平素は日本水産グループがお世話になっており、厚く御礼を申し上げます。では決算説明会に入らせていただきたいと思います。

2017年3月期 サマリー

まず概要です。2017年3月期、売上高は為替の影響で前期比12億円減収の6,359億円でしたが、営業利益は32億円増益の226億円、当期純利益も19億円増益の142億円となり、いずれも過去最高益を達成することができました。

次年度は売上高6,560億円で200億円増収、利益面では営業利益を240億円、当期純利益200億円と、営業利益、当期純利益とも過去最高益を更新する計画です。

これを受け、配当金も当期6円から8円に2円増配の予定です。

2017年3月期 セグメント別概況

事業別セグメントの売上高と営業利益の表です。売上高は水産事業が円高の影響もあり、前期比68億円の大幅減収でしたが、食品事業では21億円の増収でした。営業利益は次のスライドでご説明をします。

主な営業利益増減要因

営業利益の増減です。北米では水産事業が助子の減産およびフィレ、すりみ市況の悪化、食品事業が家庭用冷凍食品の競争激化による販売苦戦により、大幅減益でした。

一方、南米の鮭鱒の養殖事業が魚価の回復により大幅増益。国内の食品事業もニッスイ個別やチルド事業を中心に増益となり、全体では32億円の増益でした。

セグメントマトリックス 売上高(前期比)

事業別、エリア別の売上高のマトリックスです。事業別には前ページでご覧いただきましたのでエリア別に見てみると、日本は前期比101億円増収と好調ですが、北米事業の不振や円高の影響もあり北米・ヨーロッパとも減収。全体で12億円の減収でした。

為替換算による影響額(売上高)

海外グループ会社の売上高に占める為替の影響を分析した表です。前期比195億円の減収のうち約半分の96億円が円高による影響で、実質は100億円の減収です。

セグメントマトリックス 営業利益(前期比)

同様の営業利益のマトリックスの表です。5ページで説明した営業利益の増減要因を、事業別、エリア別に表したものです。地域では南米と日本で伸び、北米でダウンしました。業種では水産が伸長をしています。

連結損益計算書(前期比)

連結の損益計算書です。営業利益の内容はこれまでの説明のとおりですが、営業外損益の持分法会社に対する投資利益が改善し、経常利益は前期比41億円増益の248億円でした。

特別損益では、前期にあった投資有価証券売却益の減少等があり、当期純利益は19億円増益の142億円です。

連結貸借対照表(前期末比)

連結貸借対照表です。総資産は4,518億円と前期末比61億円増でした。投資有価証券の売却等で固定資産は減少しましたが、現預金が一時的に増加しています。

純資産は、円高による為替換算調整勘定の減少等がありましたが、利益剰余金増加に加え公募増資も行ったことで、前期末比271億円増の1,412億円でした。自己資本比率も21.3パーセントから26.8パーセントに大幅上昇をしました。

連結キャッシュフロー(前期比)

連結のキャッシュフローです。営業キャッシュフローが設備投資等の支出を十分まかなえる規模になっており、公募増資による資金もあったことから、借入金等の返済を進めることができました。

連結借入金・純金利負担

借入金は2,077億円となり、前期末比249億円の大幅減でした。借入金の減少に加え、低金利が続いていることから、純金利負担も3億円減少しています。

水産事業

ここからは各事業について説明します。水産事業は売上高が前期比68億円の減収でしたが、営業利益は34億円の大幅増益でした。詳細は10ページ以降で説明します。

水産事業 売上高・営業利益(前期比)

まず養殖です。チリの鮭鱒の養殖事業で、第1四半期に赤潮の発生による販売数量の減少がありましたが、販売価格の急速な回復とそれに伴う在池魚評価の改善もあり、大幅な増益でした。

一方、国内の養殖事業では、まぐろの販売単価の下落、ぶりの販売数量減、鮭鱒の原魚コストの上昇などもあり、若干減益でした。

加工・商事では、北米のすけそうだら事業で助子の減少とフィレ、すりみの市況低迷で、大幅な減益でした。ニッスイの個別については10ページでご説明をします。

水産事業 ニッスイ個別(前期比)

個別の水産ですが、引き続きシビアな在庫コントロールを行っており、主要魚種を中心に全体の粗利率の改善も進んでいることから、前期比3億円の増益となっています。

食品事業

次に食品事業ですが、食品事業では北米で苦戦をしましたが、チルド事業を含めた国内は順調に推移し、売上高は前期比21億円の増収、営業利益は9億円の増益でした。詳細は10ページ以降で説明します。

食品事業 売上高・営業利益(前期比)

まず過去事業ですが、北米の家庭用冷凍食品を主力とするGORTON’Sで、最需要期である第1四半期の販売不振を通期でカバーできず、前期比で大幅な減益でした。

ヨーロッパでは販売数量が増加し、現地通貨ベースでは増益だったものの、為替の影響があり微減でした。

チルドでは、コンビニエンスストア向けのサラダや惣菜の販売が伸びるなど、引き続き順調に推移し、増益でした。個別については次のページで説明をします。

食品事業 ニッスイ個別(前期比)

ニッスイ個別の食品ですが、冷凍食品や練り製品の販売が好調で、売上高は前期比41億円増収でした。

営業利益も生産工場の稼働率が上がったことや、増収効果に加え、コスト削減などもでき、11億円増益でした。

ファインケミカル事業

ファインケミカル事業は、売上高は前期比ほぼ横ばいでしたが、営業利益は6億円の減益でした。

ニッスイ個別では、医薬原料は引き続きジェネリック促進策の影響を受け、販売数量が減少しました。また、イマークSを中心とする通販も伸び悩みとなり、前期比減収減益でした。

日水製薬では、臨床診断薬、産業検査薬など販売が順調に推移し増収でしたが、研究開発投資や製造原価の増加などがあり、減益でした。

物流事業

物流事業ではこの写真に写っているとおり、大阪の舞洲センターが新たに稼働を始め、4月から営業を開始しました。

これにより売上高は前期比増収でしたが、減価償却費用の負担増や初期費用の発生により、営業利益はほぼ横ばいでした。しかし、このセンターの立ち上げ等は順調に推移をしています。

2018年3月期 通期業績見通し(連結)

2018年3月期の見通しについて説明します。来期は中期経営計画MVIP2017の最終年度です。おかげさまでここ2年間は順調に推移をしてきました。

来期もこれまでの好調を継続し、売上高は前期比200億円増収の6,560億円、営業利益は13億円増益の240億円、当期純利益は57億円増益の200億円を計画しています。

営業利益・当期純利益とも過去最高益を更新する計画です。なお、計画には投資有価証券の売却益等30億円を特別利益として見込んでいます。

2018年3月期 セグメント概況(前期比、中計比)

事業別セグメントの売上高と営業利益です。売上高は、各事業で前期比増収の計画で食品事業では、ニッスイ個別やヨーロッパの伸長を見込み、大幅増収です。

営業利益は水産事業で増益ですが、ファインケミカル事業で減益を計画しています。

2018年3月期 主な営業利益増減要因

前期の増減要素ですが、ファインケミカル事業では鹿島新医薬品工場の試験操業開始に伴う減価償却費や、イマークS等の通販事業の将来の成長に向けた広告宣伝費の投入を計画し、16億円の減益。

国内水産でも漁撈事業の漁獲減や魚価の市況リスクを織り込み、減益としています。

一方、南米の鮭鱒の養殖事業が、魚価の高値推移と養殖成績の改善により32億円の大幅増益。前期苦戦した北米も、食品・水産ともに業績の回復を見込み増益としています。

以上の結果、全体では営業利益は前期比13億円の増益を計画しています。

2018年3月期 水産事業

水産事業では、南米の鮭鱒養殖事業の好調の継続や北米のすけそうだら事業の回復により、売上高は前期比27億円増収の2,686億円、営業利益は25億円増益の105億円を計画しています。

新しい事業展開としては、下期から完全養殖本まぐろの販売を開始します。また、国内の養殖事業では銀鮭を境港で1,900トン、佐渡で500トン計画しており、海老の陸上養殖も水揚げをスタートします。

水産事業 会社別営業利益(3ヶ年推移)

会社別営業利益の3ヶ年の推移です。養殖は3年間で大幅に増益となる計画です。また、17年度は赤字の会社がほぼなくなる予定です。

2018年3月期 食品事業

食品事業ですが、ニッスイ個別やチルド事業の好調の継続、北米のGORTON’Sの新規販売チャネルでの販売促進や、生産性向上による業績回復、ヨーロッパでの新たな事業展開、これらにより売上高は前期比119億円増収の3,164億円、営業利益は2億円増益の114億円を計画しています。

食品事業 会社別営業利益(3ヶ年推移)

会社別の営業利益の3ヶ年ですが、チルド・ニッスイ個別は順調に推移する予定です。加工の面では16年度でGORTON’Sが苦戦しましたが、17年度は回復を見込んでいます。

食品事業・ファインケミカル事業の融合【機能性表示食品】

機能性表示食品については、EPAの機能をより多くのお客さまにお届けしたいと考えており、冷凍食品や加工食品などさまざまなカテゴリーに商品を投入しています。

今後はEPAの中性脂肪を下げる効果以外にも品揃えを拡大していきます。EPA、DHAの新機能として記憶力を維持する新たな機能を訴求し、2017年度に3品を新商品として販売する予定です。

この下の部分に挙がってる3品ですが、今後もEPAの多面的効果を活用しながら、さまざまな訴求効果を広げていきたいと考えています。

2018年3月期 ファインケミカル事業

次にファインケミカル事業です。先ほどご説明したとおり、鹿島新医薬品工場の減価償却費負担10億円と、通販事業への広告宣伝費24億円の投入により、営業利益は17億円減益の22億円を計画しています。

将来の成長に向けて積極的に経営資源を投入していきます。

2017年度 ファインケミカル事業 ニッスイ個別

ニッスイ個別の医薬品原料は、引き続きジェネリック促進策の影響を受け、前期比減収を見込んでいます。

秋頃に予定している、米国での臨床研究の中間報告を受け、遅れることなく海外展開への対応ができるよう、鹿島新医薬品工場は研修と試験操業を滞りなく行い、来年1月からの本番生産に向けて準備していきます。

繰り返しですが、機能性食品はここ数年売上高の伸び悩みが続いていることから、抜本的に広告宣伝等販促を見直し、当社にとっては大きな金額であります20億円台の経営資源を投入し、売上高の早急な拡大を目指していきます。

健康経営への取組みを通じたEPAの認知度向上に向けた活動

今年の3月に日本水産は「健康経営宣言」を発表しました。EPAを活用し、社内外に向けて健康への取り組みを図っていきます。

社外との取り組みについては、神奈川県とのタイアップも行っています。また、5月18日よりプロ野球の菊池雄星選手が当社のサポートアスリートとしてFacebookに登場するなど、EPAをさまざまなかたちで広めていこうとしています。

ここで1分ほどございますので、5月18日より公開している菊池選手の動画をご覧いただければと思います。

ありがとうございました。

中期経営計画MVIP2017の進捗

それでは次に、2018年3月期のMVIP2017の進捗についてご説明をさせていただきたいと思います。

中期経営計画MVIP2017に対する進捗状況です。売上高は為替の影響もあり、未達の見込みですが、営業利益は中計の230億を上回る計画をしています。

中期経営計画MVIP2017の進捗 財務戦略と進捗

財務戦略に関する進捗状況です。好調な業績による営業キャッシュフローの増加に加え、昨年実施した公募増資の効果もあり、設備投資や株主還元に充当するとともに、有利子負債の削減を引き続き進めていきます。

この結果、自己資本比率などのKPIも達成する見込みです。

投資計画推移(事業別ー完成ベース)

設備投資の中計との比較の表です。中計の3年間で700億円の設備投資を計画していましたが、約770億円となる見込みです。

増加のものは赤枠で囲っていますが、水産関係では飼料事業の拡大を目指し設立したファームチョイス関連、食品ではチルド事業の伸長に対応するためチルド事業の能力増強等です。

本日の決算関係の話は以上です。最後ですが、ご承知の通り6月の総会をもって、社長を交代することを決めています。

みなさま方には5年間の長きにわたって大変お世話になり、心から感謝を申し上げる次第です。誠にありがとうございました。

なぜこの時期に、中計が1年残っているではないかとよく聞かれるのですが、1つの理由として、わたくしが就任したときにこういうことをやらなければならないと志したことが、ほぼできつつあるなと感じていること。

2点目、もし中計を最後までやってそれからの交代だと、新しい中計を、来年の第1四半期の部分もわたしがやることになってしまい、方針もすべて、わたしの名前で出さなければならない。

自分の経験からしても、なんとなく初年度というのはそういう少し変な感覚があったもので、そういう思いを次にはさせたくないという感じがあり、できれば今年に代わって来年4月から新社長に取り組んでいただきたい、と感じました。

3点目は、成長ということで次の中計をやっていくと思うのですが、若い人がやるのがよい、世代を代わったほうがいいなという。

こんな理由からわたくしは今年の交代を決めさせていただきました。

どうか、いただきましたご指導ご鞭撻を、新社長の大木(伸介)にも、変わりなくいただけますようにわたくしからもお願いし、説明と挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。