営業利益1兆円を達成して

司会者:それではご質問を頂戴したいと存じますので、挙手でお知らせください。

質問者1:BSジャパン『日経モーニングプラス』のエノキドと申します。よろしくお願いいたします。10年前は夢の数字だった1兆円を達成されまして、感動のようなものがないとおっしゃいました。

いち人間としては驚きの言葉なんですけれども、1年前に(社長)続投を決められた孫さんの中で、夢の捉え方というか、覚悟が違ってきているのではないかなと想像するのですが、そのあたりを聞かせてください。

孫正義氏(以下、孫):やっぱりシンギュラリティがくると。ARMをついに買えると。時が来たということで、すごい興奮しているんですね。

こんなチャンス到来の時に、10年間ずっとARMを買いたい買いたいと思っていて……10年前に買っていたら2,000億円で買えたんですけど(笑)。

しかし、やっとそのチャンスが来て、本当にこれからゴールドラッシュが来るというときに、引退を考えること自体が早すぎたなと自分で思ったんですね。

ですから数字の部分というより、自分自身が反省する点は、もう60年近く人生を過ごしていて、まだ何も自分で誇れるものを達成できていないと。その悔しさというか、忸怩たる想いがあるんです。

「やっとここから、本当に俺の人生が始まるんだ」という想いでいっぱいなんです。

ですから、そういう意味ではまだまだ通過点だと。ここから始まると思っているということです。よろしいでしょうか?

ソフトバンクの企業価値について

質問者1:株価が10年前から3倍に上昇しています。今の水準、市場からの評価をどのように捉えていらっしゃいますか?

:10年前は、まだ実力値がなかったんですね。実力値はないけれども、世の中の人が先買いのようなかたちで高い評価をしてくれたと。

ですから、先ほどの卵の数で言えば、10年前は金の卵がゼロ個だったんです。つまり、保有している株式価値は1兆円に満たっていないと。借金のほうが多かったんですよね。でも我々の時価総額は3兆円ぐらいあったと。

でも今は実力値がついてきたと。今度は逆に、世の中の評価が実力値にまだついてきてないと。17兆円のものに対して、借金を引いて9兆円というのは私にとっては、今こそ買いじゃないかと。

ましてや僕はガチョウの価値があると思っているのに……ガチョウの価値、つまり私の価値はゼロかと(笑)。マイナスかということで。

それはね、人間過小評価されてるときぐらいのほうが僕はうれしいんですよ。なぜかというと、伸びの余地があるからです。

心の中で伸びの余地があると思っているときはワクワクするんですね。実力以上に評価されているときは、いつか(メッキが)剥がれるんじゃないかという不安がいっぱいになりますけれども、むしろ伸びしろのほうがあるというときには、きっと今に上がるという楽しみで、まだワクワクしていると思っております。

米国の携帯業界再編の戦略

質問者2:フリーライターのコヤマと申します。先ほど米国の携帯業界再編についてお話がありました。

孫さんが考えていらっしゃるのは、従来の戦略、T-モバイルという部分を考えていらっしゃるのか、それともまた新たに戦略を立て直されてるのか。もう少し詳しく教えていただけませんでしょうか?

:基本的には何でもありです。ただ、当然一番の本命、一番シナジーが即出るのは、最初の想いを持っていたT-モバイルだと思います。

ですからT-モバイルが一番の本命であり、これから真摯に心を開いて誠実に交渉に入っていきたいと思いますが、当然相手があることですし、いろんな条件があります。

ですから我々は、もし他にもよりよい条件で、業界再編に繋がるチャンスがあれば、当然そこは心を閉ざさずに、オープンマインドで検討すると。

我々だけじゃなくて、相手も当然そうだと思います。お互い様ですから。そういうことで、これからいよいよ交渉解禁になるということで、これから積極的に話し合いを始めていきたいと思います。

スプリントとソフトバンクの技術提携

質問者3:フリーランスのイシノと申します。スプリントのHPUEやさまざまな基地局の技術的なお話をいろいろされたと思います。

これを日本のソフトバンクに導入する計画というか構想はあるのでしょうか? 今まではソフトバンクの技術をスプリントに持っていくというお話だったんですけど、お話を聞いていると、スプリントのほうが進んでいるところも出てきたんじゃないかなという印象を受けたので、その可能性について教えていただきたいと思います。

もう1点は純増数の件で、ソフトバンクが伸びているというのもあると思いますけど、これはY!mobileとの合算の数字だと思います。

Y!mobileが増えれば増えるほど、ARPUを押し下げてしまう可能性があると思うんですけど、そのへんについてどうお考えなのかお聞かせください。

:僕は今日現在も、スプリントのチーフネットワークオフィサーを務めています。

それは何がなんでもスプリントのネットワークをNo.1にすると。私のプライドにかけて誓っているからであります。

今日も朝からスプリントのネットワーク会議をやっていましたし、毎週夜の22時とか23時に開始して、夜中の24時過ぎまで電話会議をやっています。

私自身が議長としてネットワーク会議をやっているわけですけれども、もうどっぷりと浸かって、さまざまな開発をやっています。

ですからある意味では、ソフトバンクが日本で培ったノウハウを全部スプリントに導入して、さらにスプリントで今抱えている問題を解決するために、世界に先駆けて、新たな道具の開発を進めてると。

そういう意味では、これからさらにスプリントとソフトバンクがお互いに技術で刺激し合っていくというかたちになりますし、今日の発表はクアルコムとスプリントとソフトバンク3社の提携という話ですから、これから一緒になってやっていく話が続々とやってまいります。

純増の件ですけれども、当然Y!mobileを足しての話です。Y!mobileのほうがARPUが少ないので、そこに引っ張られがちになりますが、しかし当然増益させなきゃいけないし、やります。

そこで光ファイバーのバンドルによる、合計の1ユーザー当たりの売上を増やすとか、あるいはコンテンツだとかサービスで増やすとか、そういうトータルで増やすということを一生懸命やって、今年も年間通じては増益でいけると思います。

第1四半期、第2四半期は、我々は特殊な販売促進をいろいろやっていますから、一時的に利益のところは若干マイナスの影響受けますけれども、それは投資という部分で第3四半期、第4半期で取り返すと。

年間を通じては国内の通信も増益になれると思いますし、逆に数は順調にそのまま伸び続けると。今、ヤフーともポイント10倍(ソフトバンクユーザーならいつでもポイント10倍キャンペーン)というかたちで、幸いなことに売上がどんどん伸びていますから、その分販促費が先に立つというかたちになります。よろしいでしょうか?

スプリントの最終黒字の達成はいつになるか

質問者4:『日経コンピュータ』のオオワダと申します。ARMについてうかがいたいんですけども、先ほどスライドにもありましたが、苦手とするサーバー分野について、マイクロソフトと協業したり、Windows対応されるということなんですが、これはいつぐらいまでに、どのぐらいのシェアを取れるのかというところの期待と見通しをうかがいたいと思います。

あともう1個、去年も同じ質問をしたんですけれども、スプリントはいよいよ次は最終黒字目指すということになると思うのですが、2017年度にできるかという自信の程をお聞かせください。

:スプリントの最終利益のところについては、今、営業利益は2,000億円近い黒字になってきました。今年もさらに伸びますが、今、非常に高い利率の金利が過去に発行している社債の部分があります。

最近の社債はもうデットはグッと金利が下がっているわけですけれども、何倍も高かった頃の借り入れがまだ残っていますので、その分が圧迫しています。

これは一巡してくると当然その分の金利の負担も半減していくと思いますし、業績そのものが伸びてますから時間の問題です。

ただ、いつかというところについては、まだスプリント側も発表していませんので、私はコメントを控えたいと思います。1つ目の質問何でしたっけ?

記者4:ARMのデータサーバーセンターのシェアです。

:サーバーのほうについては、圧倒的に今、インテルさんの独断場ということですね。これはもうほぼゼロに近いところから這い上がっていくと。

でも何年かの内には、2割ぐらいまでには持っていきたいなというのが我々の目標であります。いつかというのはもうちょっと待ってください。

5G対応が与えるインパクト

質問者5:『産経新聞』のタカハシです。今日5Gの発表とスプリントのところでも言及があったと思うんですけども、5Gがテクノロジー業界や通信業界にどういったインパクトを与えて、世界をどのように変えていくのか。あるいはソフトバンクがその中でどういう位置を占めていくのかというお話をおうかがいしたいです。

:ソフトバンクは当然のことながら、技術の最先端の企業でありたいと。先にいろんな物事ができる前に発表することは基本的にはしない体質なんですけれども、今回はクアルコムとの、相手があってのジョイントの発表ですので、発表というかたちにしました。

当然のことながら、新しい世代の技術というのは、レイテンシーが短くなって、接続速度が5ギガビットとかそういう世界にまで増えていく。

ということで、5Gは非常に高い性能を出せる根本技術です。我々はそれをこれから他社に先駆けて、いろんな周波数でやるわけです。

この5Gのときの一番の問題は、高い周波数でやるために屋内に浸透しないんですね。屋内で80パーセントのデータ通信の量が発生しますので、外だけではダメなんですね。自分の家と会社で中心に、8割のデータトラフィックが発生しますので、そこにいかに浸透させるかというところが鍵になります。

スピードとかレイテンシーはもう申し分ないと。問題はいかに屋内に浸透させるかと。そこにかかってるわけです。

だから我々は2.5GHzでそれをやると。28ギガじゃなくて2.5ギガですから。圧倒的に有利な電波でいけると。そこを今回合意できたというのは、ものすごいメリットなんですね。

わかる人にはわかるんですけど、すごいメリットなんです。ですから今日、朝からクアルコムのCEOと合意して、非常に興奮しているというわけです。

質問者6:『マイナビニュース』のオオサワといいます。ちょっと素朴な質問過ぎて、腰ぬかしちゃうかもしれないんですけれども。

金の卵とガチョウの話をされましたけれども、この話をされた狙いといいますか、誰に何のために、孫さんにとって何のメリットがあって説明されているのかというのが、毎回決算発表会に参加させていただいて、ソフトバンクの状態を一生懸命対外的に発表されようとしているのもわかるんですけれども、何のためのお話だったのかというのが、孫さんの本当の狙いがわかりづらくて。どういう気持ちでお話しされているのかお聞かせください。

:なぜ今、10兆円規模のVision Fundをつくろうとしているのかと。ソフトバンク2.0とはなんなのかということをお話しするためのわかりやすい事例だと思って話をしました。それをどう受け止めるかはみなさんそれぞれの解釈ということですね。Vision Fundの趣旨のための話ということです。

ARM買収によるリスク

質問者7:テレビ東京のイナガワと申します。ARMの買収も加わって、のれんが4兆円超えていると思います。のれんというと他社さんで最近大型買収が失敗するケースが目立ったかと思ういます。

孫社長自身はそこら辺を失敗しない自信があると思うんですけども、そこら辺の自信はどこにあるのか、なぜなのかをお聞かせ願えますか。

:のれんの額は4兆円じゃなくて、もう少し少ないんですけれども、質問の趣旨として、のれんの価値が毀損する場合がありますよねということですけど。

基本的に価値が毀損するのは売上が伸びなくなって、利益が伸びなくなって、買った価値の潜在的価値が減ったときに特損を出さなければいけないと。こういうリスクのことを言っているわけですね。

みなさん、世の中でチップなしに生活が成り立つということはもう考えられないと思うんです。去年1年間で、ARMベースのチップを177億個出荷しています。26年間かかったものがたった4年間でもう1回倍増すると。2次曲線で伸びているわけです。

圧倒的マーケットシェアとかつ2次曲線で伸びているときに、のれん代を特損しなきゃいけないような状態に陥るとしたら、それはよっぽど経営がバカだと。それほどいいポジションにいるということです。

だから基本的に僕はARMののれん代の特損を立てなければいけないような状態になるということはまったく心配していないということです。

ARMと自動車業界との親和性

質問者8:ありがとうございます。NEWS & CHIPSのツダと申します。前の発表会で5Gの話があって、IoT、5G、データセンター、AI、これは当然ですが全部つながっていますね。 ただ1つだけつながっていないのが気になりました。それは車です。

今の車というのは、事故0を目指した車づくりをみなさんやっておられます。そのための自動運転でもあるし、ADASでもあるし、そういったあらゆるテクノロジーを使って実現します。

車に関しては何もおっしゃらなかったので、何か思っていらっしゃることがあったらコメントをいただきたいのですが。

:あります。今日発表だったっけ? まだかな? 今日じゃなかったら近々です。いろいろとやります。そこには当然、これからARMのチップは続々と入っていきますし、我々の持っているいろんなものが、先ほどのDYNAMIQの話もARMのところで出てきましたけれども、事業会社にも着々と今手を打っていると。

それらがこれから続々と出てくるということで、自動車業界も非常に重要なマーケットとして捉えているとお答えします。

総務省主導による端末の値引き規制の影響

質問者9:朝日新聞のトクシマといいます。国内の通信事業についておうかがいしたいと思います。今回純増しているんですけれども、やはり一時期に比べると陰りが出てきていると思います。

これまで純増が続いていた時期と比べて、転換期に差し掛かっているのかと思うのですけれども、戦略にどのように影響するかを教えていただけますか。

あと関連してもう1点、総務省が主導した端末の値引き規制が今回発表された決算に反映されていると思うのですが、端末の値引き規制によって営業コストをどれくらい削減できたのか教えていただけますでしょうか。

:総務省主導で端末の値引き規制というのは、世界でもなかなか例の少ない規制だと思うんですけれども、それは総務省のお考えあってのことですから、泣く子と国には逆らってはいけないと昔から話がありますので、その良し悪しについてはあえてコメントしません。

結果何が起きているかというと、国内の端末メーカーはほとんど全滅してきているということですね。

端末の数が売れないということで、ほとんど世界の中でも取り残されてしまっているというぐらいの悲しい状況にあるということが1点。事実として。良い悪いは別です。良い悪いはみなさんにご判断いただきたい。

良い悪いは別として競争があまりできない状態になっている、販促競争ができない状態になっていると。したがって、マーケットシェアはあまり変わらないでじりじりと動くという状況になっていると。

それの良し悪しについてはこれまた私はコメントしません。総務省さんのほうで最終判断されることです。我々は当然法に従い、国のルールに従うということしか選択肢はないと思っております。

業績については先ほど発表したとおりということで、我々は着実に光ファイバーのユーザーの数を増やすとか、コンテンツを増やすとか、さまざまなサービスを付加していくことで、少しずつ1歩ずつ、ドラスティックにシェアを変えるということはもうあまり望めない状況なので、1歩ずつ健全に努力しようということです。

半導体メモリー事業への出資について

質問者10:テレビ朝日のマツバラと申します。よろしくお願いいたします。先ほどから「これからゴールドラッシュが来る」ということで、ARMが非常に大きな意味合いを持つ、圧倒的シェアを持っているということなんですけれども。

今、国内では東芝さんが半導体メモリー事業を売却するということで、こちらのフラッシュメモリーというのもこれからのIoT時代には非常に大きいかと思います。

孫さんに出資してほしいという経済界の一部にも声があったり、国内企業にも持ってほしいという声があったりすると思います。

ソフトバンクさんから見ると、必ずしもシェアが圧倒的ではないということがあって、金の卵ではないのか、そこら辺をどうお考えなのかということ。

今日、米連合で政府が産業革新機構も出て出資していくという話になっておりますけれども、技術が流出することが問題だということで、政府が出ていくということについてはどのようなお考えをお持ちなのか、おうかがいできますでしょうか。

:これまた私は政府に対して良い悪いを、批判めいたことをなかなか言える立場にはないと。以前の私ですと、若気の至りですぐ政府とも喧嘩したりしておりましたけれども、少しは大人にならなければいけないと、自分で一生懸命言い聞かせています。

良い悪いは別として、メモリーは基本的にはコモディティだと。どこか1社が圧倒的シェアを持っているわけではなくて、価格の安いほうにお客さんは流れていくと。

それから設備投資の競争の波があって、膨大な設備投資を毎年やらなければいけなくて、その設備投資の競争に少しでも躊躇するようなことがあると、あっという間にマーケットシェアが落ちてしまうと、そういう業界だと思います。思い切って意思決定をしなければいけないと。

そういうときに、どういう経営の構えであればいいのかというのは、いろんなご意見のあるところだと思います。ただ1つ言えるのは、メモリーは戦略的製品というよりはコモディティだと思います。

ですからソフトバンクがそこに関わるのかということを言われると、我々が主体になってなにか積極的にやるということは、基本的にあまり考えられないと。ただ主体ではないけれども、いろんな相談は受けるという立場です。よろしいでしょうか。

アジアスーパーグリッド構想の進捗状況

質問者10: アジアスーパーグリッド構想をやっておられて、去年9月にはもう採算が見えてきたというようなお話もありました。

今、再生エネの発電のほうのコストはものすごく下がってきていますので、この実現性というのはかなり見えてきて前倒しとか、進捗状況はどうなっているのかをうかがえますでしょうか。

:少なくとも我々ソフトバンクは、国内での再生可能エネルギーについて有数のポジションの規模をつくったということは1つの事実です。

今インドで世界でも5番目ぐらいに大きいメガソーラーの設備をすでに稼働させたと。先月か先々月からもう稼働しています。実際発電を始めています。さらに昨日、追加の入札に我々が勝って、また追加でやるということにもなりました。

我々はインドではこれから続々と規模を増やしていって、世界でもトップレベルの太陽光発電の事業者になると思います。

中国だとか、ロシアだとか、モンゴルだとか、韓国だとか、いろんなところの潜在的パートナーの国々と企業と話し合いは非常に前向きなかたちで盛り上がっております。

ただ、最終的にはこれまた国という、政府という手続きを経ないと、勝手につなぐわけにはいかないと。

コスト的にはもう採算は合うレベルにあると思っています。技術的にも接続可能なレベルに来たと私は思います。

しかしこれは国の許認可あっての話なので、そういう機運が盛り上がってからでないとなかなか進めないという現状にあると。

ぜひこれを多くの国々の、多くの国民の人たちがつながることが、電気がつながり、心がつながると。それがよりアジアの国々の平和につながると思います。ぜひそういう声がいろんなところから出てくるといいなと思います。

質問者11:野村証券のマツノです。クアルコムについておうかがいしたいんですけど、ARMさんが3月20日にDYNAMIQを発表したときに、DYNAMIQはAIにも自動運転にも5Gにも転用できるんですが、2020年のARMベースのスマホのチップの半分がDYNAMIQベースに置き換わるということ公表されています。

そうすると、先ほどの19年のQualcommの5Gのチップなんですけど、これは例えば19年の段階でコマーシャルシッピングで2.5GHz帯のクアルコムのモデムを積んで、enhanced LTEとNew RAT、New Radio Accessの両方に対応した、しかもDYNAMIQアーキテクチャーベースのSnapdragonが特別にソフトバンクとスプリントに出てくるということを意味しているのか。その辺りを確認させていただきたいんです。

:個別の設計のところは、まさに今日からがキックオフということで、これから双方の一番いいところを持ち寄ってやっていくということになります。これからですからコメントはちょっとまだ。でも、なかなかいいところをついておられるようですね。

ソフトバンクグループの中長期戦略

質問者12:キャピタル・パートナーズ証券のゴトウでございます。先ほど株価について、時価総額を上げていかなくてはというお話もあったと思います。

投資家にわかりやすくご説明していっていただかないと投資家も買っていけないわけですので、ディスクロージャーについてどうお考えかというのが第1点。

もう1つ、いろいろ夢をお話しいただいたなかで、中長期的にそれを束ねてどんな姿を描かせていただけるのか、将来の姿をお話しいただければと思います。

:その将来の姿を説明するために、空飛ぶ金のガチョウのような例え話をしたわけですけれども、基本的にはソフトバンク2.0というのは、それぞれの事業会社のCEOに基本的には経営をゆだねて、私はそれらを束ねた事業集団として、事業グループとしてシナジーを出し合うような集団をつくっていくと。

そのポートフォリオカンパニーとして、この会社はすでに成熟してしまったと。そろそろ我々のポートフォリオの中から徐々に卒業させる会社も出てくるでしょう。

新たに今回のVision Fundですでに30社近い、これから投資するところと話し合いを始めています。いろんな交渉をして、条件設定をやっているところです。

これは今までのソフトバンクの過去の歴史の中で、最も早い、最も大きな規模で、一気に加速したかたちでの投資の規模がこれから同時に起きていくと。

すべての案件に私自身が直接関わっています。

もちろん意思決定はチームでやっていきますけれども、僕自身もすべての案件に関わっているということで、今までの事業を中心に僕自身の時間と頭を使っていたところから、事業はそれぞれのCEO・CTO・CFOにゆだねて、彼らの意思決定を尊重し、私はグループをどう構成していくのかということを中心にやると。そのための軍資金としてVision Fundをつくったと。

したがって、今までは目先のお金がないということで、ARMの買収も10年待たなければいけなかったんですね。

目先のお金がないということで、他にいっぱい泣く泣くチャンスを自分で見送ったケースがありますけど、これからは見送らずに続々と仲間にいれていくと。

そういう発表がこれから毎月おそらく連発して出ていくと。ソフトバンクの成長がここから一気に加速するということを申し上げさせていただく。

おそらく会社としてこういう形態で、シナジーグループ。時々(ウォーレン・)バフェットさんの話を出しますけど、スタイルが違いますね。

我々は情報テクノロジー業界に特化していて、しかも筆頭株主のほとんどの人が長期保有。 長期保有で筆頭株主が同じなんですけれども、我々は戦略的シナジーを出し合える集団をつくろうとしているわけですね。これは決定的に違いますね。

日本の従来の財閥とも決定的に違うと。従来の日本の財閥経営というのは、韓国もそうですけど、自分の会社のロゴマークをつけて、ブランドをつけて、自分で新卒から雇った社員で内部でつくったものを最優先して。

それが業界の1位でなくとも、5位でも8位でも結局そこを大事にせざるを得ないと。したがって1位集団を構築できないと。ブランドに縛られるというさまざまな制限があるなかでの経営をやっていたと。

それはそれで良さもありますけど、私のアプローチはNo.1集団をつくると。

No.1集団をつくりたくても、お金とかいろんなものが足りなくてできなかったのが、今回はその制限が取り払われることによって、我々の業界の最先端の今から一番伸びるであろう会社、しかもその分野のNo.1の会社を続々と仲間に入れていくことができると。

こういうかたちでやる事業会社というのは世界で初のケースだと思います。

ファンドとしても世界最大規模ですけれども、会社の経営形態が世界で初の形態だろうと。ベンチャーキャピタルとも違うと。

我々はシナジーを出し合い、しかもIPOの後も、基本的に伸びていればずっと仲間に入れたままシナジーを出し合うと。今のアリババとかYahoo! Japanのような存在ですね。これは決定的な違いだろうと。

そういう組織論のモデルを世界で初めて構築したのがソフトバンクだと思います。

国内通信事業への投資

質問者13:MCAのダイモンと申します。いつもお世話になっております。今後の国内通信事業の設備投資についておうかがいしたいんですけれども、規模感やイメージ、あるいは今年度は2016年度よりも上がるとおっしゃられているんですけれども、そちらの投資額等をお聞かせいただければと思っています。

:投資額。基本的に100億円以上の規模の新たな投資はVision Fund経由になります。したがってソフトバンクとしては、今後大きな投資のために借金を増やすというような構えにはもうならないと。

100億円以上の投資は原則としてVision Fund経由です。スプリントが買収して完全に内部に取り込んでしまうとか、そういうケースは別です。

しかし、ソフトバンクが成長のためにグループを増やしていくというようなものについては、原則としてVision Fund経由になるというのが、今回の我々のVision Fundのパートナーとの契約の中に入っています。

業績というのは2つの業績があります。

1つは通信事業を中心とした営業利益のところが1つの業績になります。

もう1つはVision Fundを中心とした、保有する投資の価値が増えていくと。サムオブザパーツの価値が増えていく。

Vision Fundを通じて、投資した結果の利益についての一定のパーセンテージが、パートナーから我々にさらに得られると。我々自身もかなりの額を入れます。3兆円弱のお金を入れますけれども、我々のパートナーからも集めて、その見返りを得ていくと。

ですから事業投資会社の側面が1つソフトバンク2.0として加わると。それはネットインカムのほうに時々現れると。時々というのは売ったときに現れるということですね。ですから、業績は2つの角度で見ていくべきだろうと。

売らないまでも合計の価値が増えていくと、先ほどでいう金の卵の個数が増えていくと。売る・売らないによってネットインカムは影響を受けますけども、一番大事なのは株主価値ですね。

持っている卵の価値がいくら増えたかということで業績を見ていくというのがこれからよりソフトバンクの業績を見るモノサシになると。

だからあえてさっき卵の話を少し説明をさせていただいたということです。よろしいでしょうか。2つの側面でこれから見ていただきたいと思います。

時間になりましたので、まだいっぱい聞きたいことがあるかもしれませんが、徐々にご理解をいただきたいと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)