2016年12月期 決算概要

堀場厚氏:2016年の実績について説明させていただきたいと思います。

2016年12月期は、過去最高の1株85円の配当を実施することを決定いたしました。また、ROEも10パーセント達成することになりました。

損益計算書関係では、15年は自動車に加えまして、半導体投資も好調で、過去最高の記録をしておりましたが、昨年は半導体がさらに伸びました。円高推移となり、結果的には減収減益となりましたが、依然、高い水準での売上と利益を維持することができました。

一方で、一時的に税金の戻入れなどがあったことから、当期純利益は収益認識基準変更前で比較すると、過去最高となっております。

貸借対照表では主に円高によりまして、外貨建て資産が目減りをしています。75億ほど総資産が減少をいたしまして、2,396億円となっております。

また、キャッシュフローの計算書では、2016年もホリバMIRA社で投資など、積極的な投資を続けましたが、半導体での増益など、営業キャッシュフローが158億円増加したこともありまして、フリーキャッシュフローは54億円のプラスとなりました。グループ会社での借入増加などがあったものの、増配などによりまして、財務キャッシュフローはマイナス4億円となりました。

それでは、ここから、副社長の齊藤より説明をさせていただきます。

2016年12月期 通期業績

齊藤壽一氏:それでは、私のほうから説明させていただきます。

まず、昨年、2016年の実績ですが、売上1,700億ちょうど、営業利益は184億円、純利益は129億円となりました。2015年の実績と比較しますと、どれも減収減益となりましたけども、営業利益率10パーセントというのはキープしております。

昨年の成績は、過去最高であった一昨年に続く2番目の成績ということが言えると思います。また、ROEも10パーセントと維持しております。

2016年12月期 通期業績 セグメント別

次に、セグメント別の業績について、説明いたします。

昨年は、円高の影響をまともに受けながらも、半導体セグメントが売上、営業利益とも過去最高を更新いたしました。医用セグメントに関しましては、円高によりまして、欧州の売上が目減りして減収となったものの、日本国内での販売というものが非常に堅調でして、海外での業績の改善ということもありまして、増益となりました。

一方、先ほど、社長の話もありましたけれども、自動車セグメント、排ガス事業そのものというのは堅調なものの、一昨年に買収しました、MIRAのエンジニアリング、コンサルティング、テスティング、ECTと我々は呼んでおりますけれども。

ECT事業の売上が伸びず、ドイツのメカトロ事業、MCT事業も大幅な減収減益となり、昨年比で、ゼグメント全体でも減収減益という結果になりました。

環境セグメントのビジネスは堅調ではありますが、その前年、2015年は非常に高収益のプロジェクトがあったということから、昨年は減益になっております。科学セグメントにつきましても、海外での不調ということがありまして、減益の結果となりました。

2017年市場環境の想定

次に、今年、2017年の業績予想です。

今年の業績予想をお話しする前に、前提となる市場環境というものをご説明したいと思います。まず自動車ですけども、これは、各国の排ガス規制の強化などによりまして、試験設備の投資というものを、非常に活況な年になると考えております。

環境と医用に関しましては、日本・アジアにおきます需要増加というのに期待しております。

半導体のほうは、みなさんご存知のように、今の好調な受注状況から見まして、だいたい今年の前半というものは非常に大きな活況が続くものと感じております。しかしながら、年の後半の需要というのは、不透明なところも多く、メモリの価格や、中国での投資がどうなるかということも含めまして、注視していく必要があります。

科学につきましては、民間企業の設備投資などを期待しているというところです。

2017年想定為替レート

為替の想定でございます。今年は、1ドル110円、1ユーロ120円、1ポンド130円と、ドル・ユーロとも、2016年の昨年とほぼ同水準ということで想定しております。

2017年12月期 通期業績予想

そして、今年、2017年の通期業績予想です。2016年と比べまして、増収増益を予定しております。売上1,770億、営業利益200億、純利益130億。売上面では、2015年を超えて、過去最高を更新するという予定でございます。

2017年12月期 通期業績予想 セグメント別

セグメント別に見ますと、医用セグメント以外のセグメントは増収増益を予想しています。半導体につきましては、引き続き、高い水準を維持します。過去最高を更新するということを予想しております。

自動車につきましても、排ガスだけでなく、昨年不調に終わりました、MCT、メカトロの事業においても、今年は多くの受注残を持ってスタートできたことから、大幅な増収増益というものを予想しております。

環境に関しましては、増収を予想しておりますけれども、開発・設備投資の増加などにより、利益は微増の予定です。科学も、新しいアプリケーションへの製品投入など、積極的に行っているものの、今年は微増という予想となっています。

自動車 2016年実績/2017年予想

続いて、セグメント別の詳細を説明していきたいと思います。

まず、自動車です。昨年、排ガスの規制の強化ということを受けまして、とくに日本におきまして、試験室、ラボ内の大型設備、それから車載用の小型装置、どちらも順調な伸びとなりました。

一方で、先ほども言いました、メカトロにおきまして、顧客が投資に慎重になりまして、将来への戦略的な受注というものを、我々は取りまして、大幅な減収減益となりました。

MIRAの、エンジニアリング・コンサルティング・テスティングの事業、ECTは、通年で寄与はしたんですけど、利益貢献はできずに、自動車全体として減収減益となりました。

2017年に関しましては、排ガスは非常に堅調な調子を維持するでしょうし、先ほども言いましたように、メカトロが回復するということを願っております。

自動車 収益性向上への道筋

昨年、HORIBA BIWAKO E-HARBORが本格稼働いたしました。その活用による収益改善の進捗と、それと、課題であります、このメカトロ事業の収益向上の取り組みについて紹介してみたいと思います。

まず、BIWAKO E-HARBORの投資効果ですけれども、我々は、リードタイム3分の1というものをターゲットに掲げております。新しいところでの業務プロセスの工夫によりまして、現在、中型の排ガスの測定装置におきまして、すでに設計プロセスにおけるリードタイムを、かつての5分の1にまで削減するということができました。

これによりまして、在庫の削減や収益性の向上、この検証を現在進めているところです。このような事例というのを他の製品にも拡大しまして、排ガス事業を中心にさらなる収益性の向上を狙いたいというふうに思います。

メカトロの事業に関しましては、先ほど社長の話もありましたが、2015年秋に起きましたフォルクスワーゲンの排ガススキャンダルというものを受けまして、昨年の前半は、ディーゼル関係の投資というものに業界全体が非常に消極的な時期というものがありました。

そういうことで、市場環境がよくなかったということがありまして、昨年の収益性は大きく低下してしまいました。しかしながら、その慎重さも、後半には解けまして、受注が回復しました。

今年はすでに、今年の計画の半分以上の受注を積み上げておりまして、大幅な増収を目指しています。利益面におきましても、ドイツ・アメリカ・日本・中国、それぞれの拠点で受注仕様を明確化しまして、プロジェクトの管理を強化しまして、収益性の向上を目指します。

自動車 排ガス関連規制動向/新興市場での施策

昨年から、何度も言っていますけども、排ガス規制、これに非常に大きな波が来ています。主力の排ガス計測では、国内だけでなく、欧米でも販売が非常に堅調に推移しました。

今年の9月にヨーロッパで始まります、実装工事の排ガス実験、我々の今までのメインの市場というのは、試験室、ラボでの排ガス試験というのがメインだったんですけれども、今後は、この実装工事の排ガス試験、RDE、Real Driving Eissionといいますけれども、これの対応のための受注というものがピークになります。

従来の、室内での排ガス試験も、国連が提唱しております世界統一の排ガス試験方法、WLTP、これはWorldwide Light Duty Test Procedureと言うんですけども、この導入が迫っております。

排ガスの試験というのは、かつて以上に活発になり、多様なものになってきております。HORIBAはこれらの規制に対応できる製品やシステムをラインナップしており、今後の排ガス事業に大きな期待を寄せています。

社長の話にもありましたけど、2016年11月には、タタとか、インドの民族系の自動車メーカーが集まっております、プネという街に新しいテストセンターをオープンしました。

オープニングセレモニーには、プネがありますマハラシュトラ州の知事、あるいは、平松日本国全権大使などもお越しいただきまして、盛大にオープニングを迎えることができました。

最新鋭の排ガス測定装置、自動車のドライブトレーンの計測に必要な機器、そして、お客様へのデモンストレーションの場に加えまして、製品のサービストレーニングなどに活用していきたいというふうに思っております。

自動車 ECT(ホリバMIRA)ビジネス

最後に、英国のMIRAのECT、エンジニアリング・コンサルティング・テスティングビジネスの状況です。

2016年当初は、売上100億というものを予定しておりましたが、ご存知のように、ポンドが急落いたしまして、円換算では大幅に目減りしまして、72億円という結果になりました。今年は、1ポンド130円という設定をしておりますため、現地通貨ベースでは微増を予定していますが、円では70億円という計画になっております。

MIRAでは最近騒がれております、自動運転に関して、英国内外の企業や機関とプロジェクトを進めています。英国の政府主導でMIRAの敷地内に市街地の道路を作りまして、自動運転や自動ブレーキの実証実験などを行っております。

また昨年9月に軽井沢で行われました、G5の交通大臣会議に各国代表は1つだけ企業を連れていきましたけど、英国代表の交通大臣は我がHORIBA MARAのCEOを連れていって参加させていただきました。

このときも自動運転というのは、軽井沢ではメインテーマだったんですけども、我々は米国政府をはじめ、強いコネクションを持っているということが証明されたと思います。

環境 2016年の実績/2017年の予想

次に環境プロセスセグメントです。日本におきましては、煙道排ガスなど、プラントや発電所向けのビジネスが堅調に推移したことに加えまして、2013年にヒューストン、テキサスに買収しました、北米との結束事業というものも売上・利益を伸ばしました。

一方、アジアにおきましては、2015年に韓国の大きな半導体メーカーに水質計測装置を納入しまして、2016年に関しましては、大きな伸びとはなりませんでした。

2017年の予想は、日本は依然と堅調を維持しまして、一方で水質計測のほうは、今年は投資モードになりますので、開発費用の増加を見込んでおりまして、収益性の改善というのは限定的になると思います。

環境対策に貢献する計測技術

ここで2点例をあげております。左のガス。これはPM2.5を計測する装置です。従来のPM2.5を計測する装置では、PM2.5がどれだけ重さを引き出しているかという重さを測る装置だったんですけど、我々はそれに科学のセグメントが持っています、成分を解析する技術というのをドッキングさせまして、大気中のPM微粒子の量と成分の同時検測、分析というのを実現しています。

これによりまして、飛んでくるPM2.5が、どこから飛んでくるのかという発生源の特定につながるということが期待されています。

日本でも環境省がPM2.5のモニタリングポストの設置を検討しておりまして、4台我々の製品が納入される予定です。

水質に関しましては、先週発表させていただきましたけど、上下水の遠隔モニタリング。これのグローバル化というのを進めています。

ミャンマーにおきます、河川の汚染、汚濁状況を解決するために、日本の環境省主導のプロジェクトに、日本の日立さまと共同で参画しております。

今年1月からミャンマーで実証試験を行っており、東南アジアでの水環境の改善に貢献すると同時に、堀場としても、東南アジアでの事業拡大を行っていきたいと思います。

医用 2016年実績/2017年予想

医用においては2016年は減収となりました。これは為替による海外売上高の目減りというのが大きな要因です。

日本国内につきましては、我々が得意とします血球CRP測定装置の販売が非常に好調でして、増益となり、過去2番目に高い結果を医用セグメントは残すことができました。

今年も引き続き日本のビジネスは堅調維持の予想をしております。

欧米では今年、新製品を投入いたします。これに関わる経費増などがあり、少し減益を予想しております。

医用 新ブランド・新サービスによる成長

医用セグメントの今年の大きなトピックスは、左側にございます「Yumizen」という新しいブランドを立ち上げまして、フラッグシップとなります。

今まで我々は小型機が得意だったんですけど、中型、大型の血球計測装置の投入を行います。

当初の計画に比べて遅れてしまったんですけど、ようやく本格投入が目前になりました。今後は米国でFDA取得や各国の販売促進活動を開始したいと思います。

今まで小型機を使った小病院や、小規模なデータセンターという市場から中規模の検査センターまで市場を広げまして、事業を拡大していきます。

これは右側ですけど、日本ではIoTを活用しました予知保全サービスの展開というのもはじめました。

これまで大型機ではリモートモニタリングとが当たり前の世界だったんですけど、これを我々が得意とします、開業医にも広げまして、血球計測装置の開業医さまにおける普及率というのを拡大していきたいと思います。

半導体 2016年実績/2017年予想

半導体です。2015年は非常によかったんですけど、2016年もそれに加えまして非常にいい年になりました。

2017年はさらに伸びるだろうということで、400億以上を目指します。利益としましては単独セグメントとしてはじめて100億を超えるというものを目指していきたいとふうに思います。

増収の背景というのもご存知のとおり、もっとも大きい影響というのはこのNANDフラッシュの拡大というものがあります。

とくに3D-NANDなど、非常に複雑なプロセスが増えてきたことによって、我々の高性能なコントローラー、この活用の範囲が増えております。

半導体 供給拡大投資決定/製品市場シェア

このような活況もございまして、先ほどありましたように阿蘇工場の増設というのも決定しまして、まもなく工事を開始いたします。

総額27億円を投資しまして、今年11月の完成を目指して工事を進めます。震災で被災しました初期の工場は1988年に建てられたものなんですけど、改築を含めまして延べ床面積で1.5倍。生産キャパとしては2倍を目指すというアグレッシブな計画です。

堀場のマスフローコントローラーというのは、半導体分野におきまして現在57パーセントのシェアを占めております。

もちろん技術的なアドバンテージはあるんですけど、これまでも供給体制の整備を継続的に行い、半導体需要が落ち込んだ時にも、工場の縮小や人員の削減を回避できるマルチセグメント展開で、需要が急に上がったときの垂直立ち上げというのを実現し、安定共有をできる体制に持っていきました。

お世話になっている熊本の1日も早い復興を願いつつ、この投資を決断したという背景もございます。

科学 供給拡大投資決定/製品市場シェア

最後に科学セグメントですが、昨年2016年は日本の市場向け、そして中国の研究市場というのも非常に好調でした。それ以外の地域での大学向けというのが低調で終わってしまいました。

このセグメントは円高による海外売上高の目減りというのももちろんあります。ただ、このセグメントは非常に多くの分析技術を抱えておりまして、科学セグメント以外の重要セグメントに技術を送り出す、コアセグメント的な意味合いもかねております。

事業規模としては大きなものではございませんが、非常に重要なセグメントとなっています。

科学 HORIBA技術を使った新市場深耕

日本の堀場製作所、フランスのジョバンイボン、そして2015年のトプコンから取得いたしました、この電子線の技術などを融合した新製品を投入していきます。

お客様、大学研究室と堀場の製品を顧客のニーズに合わせて、独自にカスタマイズして、堀場だけが提案できる製品やソリューションを拡大していきたいと思います。

株主還元

次に株主還元。2016年の配当は85円と決定させていただきました。これは11月末までに発表させていただいた予想から10円の情報修正でして、一昨年2015年の実績の70円から15円の増配となります。

弊社の株主還元における方針は、配当金と自社株買いを合わせまして、連結純利益の3割を還元ということを目処としております。来期はさらに増配ということで、90円の予想とさせていただきました。