2016年 業績概要

植村士朗氏(以下、植村):それでは、2016年度業績の説明をいたします。

2016年度通期の売上収益は、会計基準ベースで前年同期比4パーセント減少の1,831億円となりました。

これは、韓国ウォンおよび中国元に対して、円高が進行したことにより、為替レートによる大幅なマイナス影響を受けたことによるものです。一定為替レートベースでは、売上収益は、前年同期比17パーセントの増加と好調でした。

通期の営業利益は、当第1四半期に認識したgloopsののれんにかかる減損損失226億円を除くと632億円となり、会計基準ベースで前年同期比1パーセントの増加、一定為替レートベースで前年同期比27パーセントの増加となりました。

通期の営業利益は、減損損失の影響をふくめると406億円となり、会計基準ベースで前年同期比35パーセントの減少、一定為替レートベースで前年同期比11パーセントの減少となりました。

当期利益は、減損損失を除くと427億円になります。会計基準ベースで前年同期比23パーセントの減少、一定為替レートベースで前年同期比で、横ばいとなっております。

当期利益は、減損損失の影響をふくめると201億円となりました。会計基準ベースで前年同期比63パーセントの減少、一定為替レートベースで前年同期比44パーセントの減少となりました。

第4四半期業績ハイライト

続いて、当4四半期の業績説明に移ります。

売上収益は、会計基準ベースで前年同期比6パーセント減少、一定為替レートベースで7パーセント増加の433億円となり、当社の業績予想を上回る着地となりました。営業利益は73億円。また、四半期利益は112億円となりました。

中国の『アラド戦記』、韓国の『EA SPORTS™ FIFA Online 3』および『EA SPORTS™ FIFA Online 3 M』や、台湾およびタイにおける『HIT』が非常に好調であったこと、また韓国ウォンおよび中国元の対円レートが、想定為替レートよりも円安に推移したことによる好影響などにより、売上収益が業績予想を上回る着地となりました。

一方、営業利益は予想レンジを下回る結果となりました。これは主に、パブリッシングタイトルの前払いロイヤルティなどに係る減損損失が発生したことによるものです。減損損失の影響およそ37億円を除くと、営業利益は予想レンジを上回る110億円となります。

四半期利益は、予想レンジを上回りました。海外子会社の未分配利益に対して、繰延税金負債を追加計上したことにより、法人税等調整額146億円が発生した一方で、当第4四半期中に米ドルに対して円安および韓国ウォン安が進行したことにより、米ドル建ての現金預金および売掛金について、為替差益206億円が発生したことが主な要因です。

売上構成

当第4四半期の中国『アラド戦記』は、前四半期末から11月17日まで継続した国慶節アップデートが引き続き好調だったことに加えて、12月に実施した当期アップデートの好影響などにより、ユーザー数が四半期を通じて高い水準で推移し、アバターなどのアイテムの売れ行きが12月において想定以上に好調でした。

国慶節アップデートの実施時期が、前第3四半期と比べて数日遅かったことから、当該アップデートによる好影響が前四半期よりも当第4四半期に多く得られたこと、また当期アップデートが好評を博したことにより、MAUおよび課金ユーザー数が前年同期比および前四半期比でともに増加いたしました。

韓国の『EA SPORTS™ FIFA Online 3』および『EA SPORTS™ FIFA Online 3 M』は、11月に選手のライセンスが追加されたことや、運用およびプロモーションが成功し、とりわけ、11月および12月が好調でした。

また、韓国では、配信から10年以上が経過するロングランヒット『メイプルストーリー』および『アラド戦記』の売上収益が前年同期比で増加しました。

とりわけ、『メイプルストーリー』は、前四半期に実施し、大好評であった大型アップデートによる好影響が持続し、前年同期比で大きく成長いたしました。

2017年度第1四半期 業績見通し

次に、2017年度第1四半期業績見通しの説明に移ります。

2017年度第1四半期の売上収益は、会計基準ベースで前年同期比9パーセント〜17パーセントの増加となる、624億円から671億円のレンジを予想しております。

一定為替レートベースでは、8パーセント〜16パーセントの増加となる620億円〜666億円のレンジを予想しております。

営業利益は303億円〜348億円のレンジを予想しております。四半期利益は271億円〜308億円のレンジを予想しております。

2017年度第1四半期および通期 地域別業績見通し

地域別では、第1四半期の中国の売上ベース収益は、会計基準ベースおよび一定為替レートベースともに前年同期比30パーセント台から40パーセント台の増加を予想しております。

主力PCオンラインゲーム『アラド戦記』は、旧正月の時期に合わせたTier1コンテンツアップデートを1月17日に実施し、とても好調なスタートとなりました。

1月から現在までのアクティブユーザー数および課金ユーザー数はともに前年同期と比べて高い水準で推移しており、この好調なトレンドが第1四半期を通じて継続することが予想されます。そのため、好調だった前年同期との比較でも売上収益が成長することを見込んでおります。

このように、第1四半期の中国の業績予想は前年同期比で大きな成長を見込むとても強い予想となっておりますが、これは1年で最も重要な旧正月のアップデートが特別に好調であることが要因です。

当社は通期の業績予想は開示しておりませんが、第2四半期以降の業績をお考えいただく上では、あくまでも安定運用に主眼をおいた従来の方針から変更がないことを参考としていただければと思います。

2017年度中国『アラド戦記』アップデートスケジュール

なお、2017年の『アラド戦記』の主要アップデートスケジュールについては、2016年度から大きな変更はなく、四半期に1、2回程度のペースで実施する予定です。

実施日程によって、各アップデートによる四半期の業績への影響が前年同期比で増減する可能性があります。この結果、売上収益の前年同期比での成長率が上下する可能性がある点にご留意ください。

今後実施予定の主要アップデートのなかでも、業績への影響度の観点から重要性が高い国慶節でのアップデートは、2017年度は前年同期比でタイミングが数日早くなる可能性があります。ただし、スケジュールは状況に応じて変更することがあるため、あくまでも現時点での見通しである旨ご留意ください。

第1四半期の韓国の売上収益は、会計基準ベースおよび一定為替レートベースで前年同期比10パーセント台後半〜10パーセント台前半の減少を予想しています。

主力タイトル『アラド戦記』および『メイプルストーリー』などが前年同期比で増加すること、1月にサービスを開始した『Dungeon & Fighter: Spirit』や、昨年10月に配信を開始した『三國志曹操伝 Online』および『メイプルストーリーM』などのモバイルゲームが売上収益に寄与することが見込まれる一方で、主に『サドンアタック』や『HIT』などの売上収益が前年同期比で減少することが見込まれることから、売上収益の減少が予想されます。

第1四半期の日本の売上収益は、会計基準ベースで前年同期比1桁パーセント台後半〜10パーセント台後半の増加を予想しています。

主にモバイルブラウザゲームからの売上収益が減少することが予想される一方で、昨年12月に配信を開始した『HIT』がとても好調であることや、昨年9月に配信を開始した『ツリーオブセイヴァー』および『ハイドアンドファイア』からの寄与により、売上収益は前年同期比で増加することが予想されます。

第1四半期の北米の売上収益は、会計基準ベースおよび一定為替レートベースで前年同期比20パーセント台〜10パーセント台後半の減少を予想しています。

第1四半期の欧州およびその他の地域の売上収益は、会計基準ベースおよび一定為替レートベースで、前年同期比1桁パーセント台前半の減少から10パーセント台前半の増加を予想しております。

2017年度第1四半期営業利益見通し

2017年第1四半期における営業利益は、303億円〜348億円のレンジを予想しており、前年同期比で8倍〜9倍となる見通しです。

2016年第1四半期に認識したgloopsののれんに係る一過性の減損損失226億円、および前払いロイヤリティやゲームIPに係る減損損失18億円による影響を除いた場合、前年同期比で8パーセント〜24パーセントの増加を見込んでいます。

増益要因としては、利益率の高い中国事業の好調による売上収益の増加、またBig Huge Gamesの買収に伴う『DomiNations』に係るロイヤルティ費用や、日本におけるモバイルブラウザゲームおよび韓国における『サドンアタック』の売上収益の減少によるプラットフォーム費用および支払手数料などをふくむ変動費の減少があげられます。

一方、減益要因としては、主に韓国における従業員数の増加による人件費、新作タイトルのローンチにともなう広告宣伝費の増加などがあげられます。これらの減益要因を増益要因が上回ることから、営業利益は前年同期比で増加することが見込まれます。

株主還元

最後に、2016年度の期末配当についてお伝えします。ネクソン日本法人の2016年度の個別業績は、当第1四半期に関係会社株式評価損としてgloopsの株式について235億円、また当第4四半期に関係会社への貸付金に係る貸倒引当金繰入額129億円を特別損失として計上した結果、444億円の当期純損失を計上いたしました。

このため、配当原資となるネクソン日本法人の利益剰余金が413億円のマイナス残高となったため、期末配当については見送りさせていただきます。

復配の時期に関しては、2017年中間配当を予定しています。当期末は無配とさせていただきますが、2017年2月13日から1年間で新たに取得価格総額100億円の自己株式取得を行う方策を策定し、取締役会で決議いたしました。

個別具体的な自己株式取得に係る事項に関しましては、その都度取締役会にて決定し、別途開示いたします。

今後も事業の成長を通じての価値の創造に加えて、配当金および自己株式取得をふくめた株主還元についても引き続き重要視してまいります。