事業環境① 原油価格・銅価格・為替レート

大場邦光氏(以下、大場):大場でございます。みなさまには、日頃よりJXグループの事業活動にご理解、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。

さっそくですが、2016年第3四半期決算の概要につきましてご説明を申し上げます。

スライドの2ページ目をまずご覧ください。2ページ目には、原油価格、銅価格、為替レートの推移をお示ししております。

ご案内のとおり、12月末にかけて、原油価格、銅価の上昇、それから為替レートの円安進行等もありまして、第3四半期の業績ならびに年度の業績見通しに大きな影響が生じております。

事業環境② 白油4品・パラキシレンマージン推移

3ページ目をご覧ください。白油4品のマージンの推移につきましては、11月12月が例年よりも気温が低く推移したこともございまして、灯油の販売が伸び、灯油のマーケットも改善しました。

加えて、12月末にかけて原油価格の上昇、円安の進行もあって、いわゆるプラスのタイムラグの効果もあり、10–12月の白油4品のマージンは約10円ということで、11月に予想した水準を上回る結果となりました。

パラキシレンのマージンにつきましては、引き続き堅調に推移をしております。

2016年度 第3四半期決算概要(前年比)

5ページ目をご覧ください。5ページには損益計算書をお示ししております。

2016年度第3四半期の実績としましては、売上高につきましては、前期比9,116億円減収の5兆7,774億円となりました。

経常損益につきましては、前期が529億円の損失、当期が1,914億円の利益ということで、落差としては2,443億円の改善となりました。内訳につきましては、在庫評価の影響が、前期は2,116億円のマイナス、当期が544億円のプラスということで、落差として2,660億円の改善となりました。

在庫評価を除く経常損益につきましては、前期比217億円減益の1,370億円となりました。

特別損益につきましては、当期は244億円の損失計上しておりますが、前期には、ご案内のとおり、800億円カセロネスの減損損失を計上したということもございまして、前期比では損失が632億円減っています。

この結果、税前の損益は3,075億円の改善。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比2,079億円改善の945億円となりました。

2016年度 第3四半期 セグメント別経常利益(前年比)

6ページ目をご覧ください。セグメント別の状況をお示ししております。

今、ご説明しましたとおり、在庫評価除きの水準としては、前期比217億円の減益ということになりましたが。

内訳としては、まず紫色でハイライトしております、石油・天然ガス開発事業で前期比131億円の減益。それから金属事業のなかで、上流の損益が85億円悪化していると。結果的には、この2つの減益要因が連結全体としては残ったというかたちになりました。

中下流の損益としては、エネルギー事業で92億円の減益、これを金属の中下流がカバーするという結果でございます。

2016年度 第3四半期 エネルギー事業 経常利益増減(前年比)

次のページ、7ページ目をご覧ください。

エネルギー事業につきましては、前期比90億円悪化の836億円の利益となりました。内訳としては、石油製品が92億円悪化が316億円と。石化製品につきましては、ほぼ前年度並みの520億円となりました。

石油製品92億円悪化の主な要因としては、数量要因で30億円の悪化。主として電力向けのC重油、生だき原油の減販によるものです。数量以外の要因としては、62億円の悪化が残ったかたちとなりました。

内訳としては、増益要因としては白油マージンの改善、それから下落に伴うコストの減はあったのですが、一方悪化要因としては、産業用の燃料油につきましては白油マージンと異なりマイナス方向でタイムラグの悪化があったということ。

それから補修費の増、あるいは統合費用のプラス増と経費の増加とがございました。とりわけ大きかったのは、受取配当金の原因を主因とする営業外損益の悪化が大きく、合計で損失が残ったということでございます。

それから石化製品につきましては、ほぼ前年度並みだったんですが、内訳としては、ドル建てのマージンはプラス、下落に伴うエネルギーコストについてもプラス方向の費用がございましたが、一方円高の進行によるマージンの悪化を打ち消した結果でございます。

2016年度 第3四半期 石油・天然ガス開発事業 経常利益増減(前年比)

石油・天然ガス開発事業につきましては、前期比131億円悪化の85億円の利益となりました。増減内訳としては、数量要因でプラスの90億円。数量のつきましては、マレーシアあるいは、インドネシアの既存活動の販売が好調で前期比7,000BD増加の12万5,000BDとなりました。

数量要因以外としては、損益悪化の大きな要因としては油価の影響がございまして、合計で270億円の影響となりました。内訳としては約3分の1原油プロジェクト、残りの3分の2が天然ガスプロジェクトになります。

これまで何度かご説明差し上げておりますけれども、天然ガスのマイナスの中には、半分程度、80億~90億程度はタイムラグの悪化が含まれております。

残りの経費、為替影響としては合計で49億のプラス。内訳としては、円高の進行に伴います為替の悪化要因が40億ほど含まれております。これが経費の減、約90億が下支えをするという結果になりました。

2016年度 第3四半期 金属事業 経常利益増減(前年比)

金属事業につきましては、前期比7億円プラスの130億円の利益となりました。内訳としては、資源開発が85億円悪化の268億円の損失となりました。増減内訳としては、銅価の影響がプラスの96億円、マイナス方向の要因としては持分法損益の損失を合わせて181億円のマイナスということで、マイナス要因が残ったということです。

銅価につきましては、期中平均の銅価は前期比21セントの銅価安にはなったんですが、期末で整理を行います売掛金の清算、これに伴う損益のへの影響が大きくて、吹き出しにお示ししておりますが、期首期末の落差、前期が61億円の減、当期は30億の上昇と大きくプラスの働いております。

持分法損益、カセロネス181億円の悪化要因の内訳としては大きく2つあります。1つはカセロネス、これまで何度かご説明申し上げておりますが、本格稼働したのが2015年の9月ということで、8月までについては資産計上と。その反動で約115億円の悪化要因となっております。

その他に持分法損益の1つとして、出資先でありますロスぺランブレスにおいて投資の評価損というのが約170億円発生しておりまして、それが減益要因となっております。

それから銅製錬事業につきましては、前期比125億改善の、205億円の利益となりました。内訳としては、韓国のLSニッコーの一過性の損益改善要因、これが約180億円ふくまれておりまして、これを収入にするものです。

180億円以外には、円高の進行、あるいは硫酸市況の下落等による悪化が発生いたしております。

それから電材加工、環境リサイクル、チタンの合計では、前期比33億円減益の193億円となりました。いずれも主として円高によるものとなります。

2016年12月末 連結バランスシート

10ページ目をご覧ください。

続いてバランスシート、連結のキャッシュフローについてご説明いたします。連結キャッシュ・フローにつきましては、これも12月末ということと、原油価格の上昇、灯油の積み増し等もございまして、運転資金がふくらんでおります。

その結果、営業キャッシュフローは1,007億円のプラスにとどまりました。

したがいまして、投資キャッシュフロー2,093億円を控除したフリーキャッシュフローとしては、1,086億円のマイナス、配当他を控除したネットキャッシュフローとしては、1,694億円のマイナスとなりました。

その結果、左に示しております、連結バランスシートの中で、手元資金を除いたネット有利子負債は、1,886億円増加いたしました。

この結果、自己資本比率としては、12月末としては22.7パーセント、ネットD/Eレシオとしては1.48倍となりました。

引き続き期末に向けて、資源価格の上昇による運転資金の増加は現時点では避けられない状況ですけれども、引き続き設備投資の圧縮、あるいは資産売却の推進等により、財務体質の改善を図ってまいります。

第3四半期の決算については以上でございます。

2016年度 通期見通し 概要(前回見通し比)

続きまして、11ページをご覧ください。2016年度の業績見通しについてご説明申し上げます。

その前提となる為替レート、原油価格、銅価につきましては、記載のとおり、為替レートが110円/ドル、原油価格が50ドル/バーレル、銅価が250セント/ポンドを前提といたしました。

今、足元のマーケットはいずれも円安、それから原油価格と銅価についてはこれよりも若干プラスということで推移しておりますので、多少硬めの見方にはなっているかもしれません。

12ページをご覧ください。その結果、売上高が11月公表時より1,300億円増収の8兆1,300億円となる見込みです。経常利益につきましては、11月公表比、700億円増益の3,000億円を見込んでおります。

内訳としては、在庫消化の影響で600億円増益の1,100億円。在庫影響除きでは、100億円増益の1,900億円を見込んでおります。

特別損益については、11月公表時と大きな変化はございません。

この結果、親会社株式に帰属する当期純利益は、500億円増益の1,500億円となる見通しでございます。

2016年度 通期見通し エネルギー事業 経常利益増減(前回見通し比)

セグメントで、エネルギーにつきましては、11月公表比を変えておりません。石油・天然ガス開発事業につきましては、100億円増益の100億円という見方をしております。

金属事業につきましても、30億円の増益を見込んでおりますが、その他セグメントの悪化もあって、連結全体としては、結果として、石油・天然ガス開発事業の増益分が残ったという見込みでございます。

2016年度 通期見通し エネルギー事業 経常利益増減(前回見通し比)

14ページ目をご覧ください。14ページ目に、エネルギー事業の増減内訳を示しておりますが、全体としては11月公表を変えておりませんが、内訳としては石油製品が140億円の減益、これを石化製品の増益140億円で相殺をしたという結果でございます。

石油製品の悪化の主な要因としては、まずマージンにつきましては、第3四半期のマージンは想定よりいい水準で推移をしたわけですが、足元1月のマーケットは悪いというところは織り込んでおります。

でも、想定よりは、全体としては通期の予想よりはこの見通しではプラスに見ておりますが、一方、原油価格の上昇に伴います自家燃コストの増、あるいは原油価格に連動しない製品群のマージン悪化等もございまして、白油のマージンの改善が打ち消されております。

その他、大きなトラブルではございませんが、複数の製油所でのトラブルが10–12月で発生していること、あるいは円安進行による為替の差損等もございまして、140億円の減益を見込まざるを得ない状況です。

一方、石化製品につきましては、とりわけベンゼンのマーケットが想定よりも高い水準で推移しております。加えて、円安に見直したということで、円建てのマージンも改善しておりまして、合計で石化損益としては140億円の改善を見込みました。

2016年度 通期見通し 石油・天然ガス開発事業 経常利益増減(前回見通し比)

次をご覧ください。15ページ目です。

石油・天然ガス開発事業につきましては、11月公表比100億円の増益ということで、11月段階では損益0という見方をしておりましたが、今回は通期で100億円の利益を見込んでおります。

内訳としては、油価の影響で30億円、経費の減を主因とするもので70億円の改善を見込みました。

2016年度 通期見通し 金属事業 経常利益増減(前回見通し比)

次をご覧ください。16ページ目です。

金属事業につきましては、30億円の改善を見込んでおります。

内訳としては、資源開発、上流では5億円損失悪化の305億円の損失。増減要因としましては、銅価を今回210セントから250セントへ見直した影響が大きくて、145億円のプラス要因となっておりますが、これを持分法損益、カセロネスの悪化が打ち消すという結果になりました。

150億円のうち、主だったものとしては、カセロネスの損益が70億円程度、11月公表よりは銅価以外の要因としては悪化が見込まれるということ。内訳は、為替が20億円程度の損失要因となっております。

それ以外の要因としては、実は採掘コストの会計的な処理のやり方を一部見直しました。採掘コストにつきましては、資産になるもの、コストになるもの、そういう整理をしていくわけですが、今回、会計士さんとの間で会計手続きについて最終的な結論を出して、一部11月公表段階では資産になると思っていたものがコストに出る等の影響によるものです。

それから、その他の要因のなかでは、第3四半期の決算でもご説明申し上げましたが、出資先であるロス・ペランブレスで発生いたしました、投資有価証券の評価損の影響が70億強含まれておりまして、それによるものです。

それから、中下流領域の銅製錬等につきましては、LS-ニッコーで発生をいたしました一過性の利益、前期取られた追徴課税の還付を主因とする改善もあって、15億円のプラス。

それから電材加工、環境リサイクル、チタンにつきましては、合計で20億円の改善。これには電材での増加、あるいは円安による増加が見込まれます。

なお、カセロネスの損益の絶対値といたしましては、11月公表段階より約30億円の改善を見込んでおります。絶対額としては280億円程度の損失となる見込みでござます。

カセロネス銅鉱山の状況

最後に17ページ目のところをご覧ください。ここにカセロネス銅鉱山の操業状況を1つ、お示しいたしております。

これまでの説明のとおり、カセロネスの銅鉱山の操業については、10–12月の結果としては、ほぼ当初計画どおり、若干上回るということで、生産を行うことができました。12月単月としては、月産銅精鉱の生産が1万トンを超えたということになります。

引き続き4thクオーターにおいてもさらなる生産の改善、コストの削減を着実に実行する予定でございます。

2016年の業績見通しについては以上です。

主なトピックス(2016年4月~2017年1月)

あと残ったものとしては、20ページ、それから21ページ目に、11月以降の主なトピックスをお示ししております。

主だったものを申し上げますと、エネルギーにおきましては、6月に出資をいたしましたマレーシアのペトロナスLNG9社のLNG商業生産開始が1月からスタートしたということ。

それから21ページ目にお示ししておりますが、石油開発事業におきまして、アメリカで進めておりますCO2-EORのプロジェクトにおいて、CO2の回収設備が稼働を開始しております。

トピックスとしては以上です。

感応度

それから23ページ目に、感応度を整理しております。

今、申し上げましたとおり、2017年度1月以降のマーケットの見方というのは、足元の状況よりは若干固めということもあって、それが最終的に3月までにどう振れるか、その影響はこの23ページを見ていただければよろしいかと思います。

残り2016年度も2ヶ月ということになりましたが、引き続き収益の一層の改善に努めてまいりますとともに、いよいよ2017年4月1日からは統合会社がスタートいたします。

円滑なスタートに向けて抜かりなく準備を進めていく所存ですので、株主・投資家のみなさまには引き続き変わらぬご支援、ご鞭撻をお願いいたします。

私からの説明は以上でございます。