2017年3月期 第2四半期 決算説明会

塚本能交氏:よろしくお願いします。冒頭、時節の話題をということだったんですけど。いきなり、アメリカの大統領選の結果とか、不幸かな、(博多駅前に)すごく大きい穴が開いたとか。

とんでもない事件や出来事がいろいろ起こって、本当に先が読めないとか、想像していたことじゃない、とんでもないことがふつうに起こってしまう時代になってくるのかなと。半分期待感と、半分不安感みたいなものがございます。

そんなことで、うちの会社1社くらい、何をしてても別にあんまり関係ないじゃないというくらい、世の中が大きく変わろうとしているのかなと思います。

そんななかで、逆に我々の商品というのは、為替がどうなろうが、アメリカがどうなろうが、大きくお客様が減ったり、売上が落ちたり、そういうことが価格に影響するということはないです。堅実な商売をきっちりやっていこうと、こういうときも逆にチャンスじゃないかなと思っています。

そういったことで、全体が大変だ大変だと言ってるとき、本当に、ピンチのときがチャンスであるんじゃないかなと思って、今期も取り組んでいきたいと思っております。

決算概況(連結)

それでは、2017年3月期第2四半期の決算概要と今期の業績予想について、ご説明を申し上げます。

まず決算の概要について振り返りを行いましたのち、通期の業績予想と、営業利益の計画差異や為替の影響、最後に事業投資の進捗と、資本コストの考え方について、ご説明を申し上げます。

はじめに、2017年3月期第2四半期の業績については、売上面では国内事業の主力会社である株式会社ワコールの直営店事業が順調に推移をいたしましたが、百貨店や量販店を中心としたレディースインナーの卸事業が伸び悩み、前年同期を下回りました。

また、海外事業につきましては、アメリカやヨーロッパの足元の需要が回復基調にあるものの、中国における売上の伸び悩みに加え、円高の影響により売上が減少いたしました。この結果、グループ全体の売上高は、前年同期を下回りました。

利益面では、国内事業の販管費増加や、ワコールヨーロッパ子会社の更生手続き関連費用の計上によりまして、全体の営業利益は前年同期を大きく下回りましたが、当初計画からは、原価低減効果や販管費の抑制により、約19億円上回りました。

なお、当第1四半期に計上した固定資産の壌土による売却益のため、税引き前、四半期純利益は前年同期を大きく上回ることができました。

決算概況(セグメント別)

続きまして、セグメント別の状況です。

決算概況(国内ワコール事業)

まず国内のワコール事業ですが、売上・利益ともに前年同期を下回りました。

株式会社ワコールのワコールブランド事業本部につきましては、つけ心地が快適な新機能ブラが消費者の好評を得て、主力商品であるブラジャーの売上を牽引いたしました。

しかし、高級ブランド商品の売上が落ち込んだことや、店頭在庫の調整が影響し、事業本部全体の売上は、前年同期を下回りました。

ウイングブランド事業本部につきましては、春から夏にかけて展開をいたしました主力商品のブラジャーが軒並み好調だったことに加え、干支にちなんだ縁起物のショーツや、夏用の肌着も好調に推移をし、店頭売上は順調に推移いたしました。

しかしながら、店頭在庫の調整が影響をしまして、事業本部全体の売上は、前年同期を下回りました。

小売事業本部につきましては、直営店アンフィは、既存店の客数が減少いたしましたが、個店別販促により、客単価が上がり、売上げは前年同期を上回ることができました。

また、この春から、直営ショップブランドの共通商材を幅広く展開した販促策も功を奏し、売上拡大および収益改善に貢献をいたしました。

ウェルネス事業部につきましては、スポーツコンディショニングウエアCW-Xは、スポーツチェーン店やECサイトで順調に推移をいたしましたが、アウトドア専門店の苦戦や、デイリーユース向け製品の不振と合わせて、アメリカ向けの販売が低調に推移をしたため、事業部全体の売上は、前年同期を下回りました。

通信販売事業部につきましては、Webストアは月別の販促策が功を奏し、前年同期を上回りましたが、カタログ販売は、夏号、秋号ともに苦戦し、これらの結果、事業部全体の売上は、前年同期を下回りました。

海外ワコール事業

次に、海外のワコール事業です。

ワコールインターナショナルは、売上面では、主力のワコールブランドを中心に、アメリカ国内の百貨店が堅調に推移をしたことで、得意先の在庫抑制の影響が解消されるとともに、自社ECサイトも好調に推移をいたしました。

利益面では、製造費用の抑制により、売上利益も改善したことや、PR費など、こういったことを抑えたことにより、現地通貨ベースでは、売上、利益ともに、前年同期を上回ることができました。

ワコールヨーロッパにつきましては、売上面では、英国は専門店やECサイトは好調でしたが、百貨店は苦戦をいたしました。

また、ユーロ圏は、夏以降、需要が回復し、堅調に推移したことに加え、ポンド安の影響により、北米やユーロ圏の売上が嵩上げされ、全体の売上は、現地通貨ベースでは、前年同期を大きく上回りました。

利益面では、子会社の更生手続き関連費用を計上したことから、営業損失となりました。

中国ワコールにつきましては、売上面では百貨店が伸び悩み、他社ECサイトも前期の好調から一転をして苦戦をしております。

また中間層向けブランドのラ・ロッサベルの新規出店の凍結や、不採算店舗を閉鎖したことから、全体の売上は、前年同期を下回りました。

利益面では、売上の減少と、売上利益率の低下に加え、人件費の増加により、営業利益は、前年同期を大幅に下回りました。

以上の結果、海外セグメントは、現地通貨ベースでは、売上は、主要各国とも堅調でしたが、邦貨換算ベースでは、円高の影響により、売上・営業利益ともに、前年同期を下回りました。

ピーチジョン事業・その他事業

次に、ピーチジョン事業について、ご説明申し上げます。

国内の直営店は、既存店を中心に順調に推移し、また他社ECサイトも大幅に伸長いたしました。

しかしながら、自社の通信販売は、既存顧客の購買減少と、春先の苦戦が影響し、前年同期を大幅に下回りました。

一方、海外子会社は、香港の直営店が堅調だったことに加え、中国の売上も大幅に伸長いたしました。

これらの結果、ピーチジョン事業セグメント全体の売上高、営業利益ともに、前年同期を下回りました。

最後にその他事業ですが、ルシアンにつきましては、主力のインナー事業部は、前年同期並に推移をいたしましたが、マテリアル事業部や、アートホビー事業部が苦戦をした結果、全体の売上は前年同期を下回りました。

利益面につきましては、為替の影響と合わせて、高収益商品の売上構成比が高まったことなどにより、売上利益率が上昇し、前年同期の営業損失から大幅に改善をいたしました。

七彩につきましては、レンタル事業につきましては、新規受注獲得などにより既存取引先の店舗閉鎖分を補い、前年同期を維持いたしました。

また、小売事業につきましても、インポートブランドの期間限定ショップや、新規得意先の受注が増加をし、売上が拡大をいたしました。

一方、物販事業につきましては、前年の大型受注の反動により、大きく減少した結果、全体の売上は、前年同期を下回りました。

利益面につきましても、小売事業の売上構成比が高くなったことで、売上利益率が低下をし、前年同期を大きく下回りました。

以上の結果、その他セグメント全体の売上高は、前年同期を下回りましたが、営業利益は、前年同期を大幅に上回ることができました。

2017年3月期通期業績予想

続きまして、2017年3月期の通期業績予想について、ご説明をいたします。

売上高は1,980億円、営業利益は105億円。当社株主に帰属する当期純利益は110億円を見込んでおります。

5月9日に発表いたしました当初の通期業績予想からは、売上高は50億円の減少、営業利益は5億円の増加となります。

営業利益の計画差異

続いて、営業利益の計画差異について、ご説明を申し上げます。

当第2四半期累計期間の営業利益につきましては、子会社を含む国内事業の原価低減効果や、販管費の発生を、一部第3四半期以降に繰り越したことに加え、ワコールヨーロッパの子会社の更生手続き関連費用と新京都ビルの一時費用などが計画よりも縮小できたことで、第2四半期業績予想を約19億円上回りました。

しかしながら、第3四半期以降の売上高につきましては、国内事業は、業績予想に織り込んでいた、消費税増税を控えての駆け込み需要が見込めないこと、また海外事業につきましても、引き続き為替の影響により、売上が押し下げられることから、第2四半期までと同様、減少すると見込まれます。

その結果、通期の営業利益につきましては、下期に円高の影響による国内事業の原価低減効果が約4億円期待される反面、国内販管費の繰越しで約8億円、国内の売上減少分で約6億円、海外の為替の影響を含む売上減少分で約4億円と、合計約18億円の減少要因があり、結果、当初計画からは、約5億円の増加にとどまると見込んでおります。

円高の影響について

為替の影響につきましては、今期は予想しておりましたレートより円高に振れたため、海外セグメント売上は、現地通貨ベースでは健闘しているものの、邦貨換算ベースでは約90億円の減少となる見込みです。また、利益についても約5億円の減少となる見込みです。

一方、ワコールを中心とした国内子会社につきましては、逆に、原価低減の効果を生み、子会社のピーチジョンやルシアンも売上利益率が改善をしております。なお、ピーチジョンにつきましては、その原資をPR費等に活用する予定です。

株式会社ワコールにつきましては、秋冬商品以降での効果により、上期は数千万円程度でしたが、下期では2億円から3億円の増加が見込まれております。

株式会社ワコールは国内生産もあり、国内の原材料を輸出している割合も相当にあることから、改善額は小さくなります。

国内事業の収益確保 チャネルミックス構築

ここで、3ヶ年中期経営計画の主な取り組み課題である、国内事業の収益確保において、核となるチャネルミックス構築の取り組みについて、現在までの進捗をご説明申し上げます。

今期はすでに販売拠点を、卸事業と小売事業を含めて、東西の2ヶ所に集結させ、今後の組織改編に向けた一歩を踏み出しております。

また核となる、基幹ITシステムにつきましては、現在、部門をまたいだプロジェクトが始動しており、下期には、設計など具体的に着手をしていく予定です。加えまして、事業部の垣根を越えた機動的な人員配置を行うため、諸制度を検討し始めました。

小売事業につきましては、毎年プラス10パーセント程度の出店は維持する一方、不採算店舗の選別と迅速な退店に取り組んでまいります。加えて、商品1点あたりの売上高を高めることで、収益改善を目指しております。

残る課題につきましても、迅速かつ丁寧に取り組み、3年後のお客様視点のチャネル構築に向けて、着実に進めてまいります。

資本政策と株主還元(事業投資の進捗)

続いて、第2四半期までの事業投資の進捗と今後の見込みについてご説明をいたします。

今期につきましては、直営店や基幹ITの投資、約50億円と合わせて、その他、ビルの改修を含めた新京都ビル建設費用に約40億円。

また、将来に向けた安定的な生産体制と収益確保を目的として設立をいたしましたミャンマー工場と、タイの材料製造会社の設備などで、約10億円。国内のチャネル再構築で約10億円。合計110億円を計画しております。

第2四半期実績では、約42億円を投資いたしました。

第3四半期以降は、直営IT基幹の投資として、約37億円。建物の取得費やビル改修として約7億円。タイやミャンマーなどの設備などで約5億円。チャネル再構築で約10億円。合計60億円を予定し、今期の投資金額は、約100億円程度の見込みです。

資本政策と株主還元(株主資本の推移)

最後に、株主資本の考え方について、ご説明を申し上げます。

今期は、これまでに、自己株式を約25億円取得いたしました。加えて、保有株式の売却なども、徐々にではありますが進んでおります。

また、為替の影響もあり、運転資本や海外持分、のれん等が減少した結果、第2四半期時点では、株主資本が約90億円圧縮されました。

3ヶ年中期経営計画でもご説明をいたしましたように、期間中に生み出したキャッシュ以上を再投資と還元に向けるとともに、堅固な財務基盤を維持しつつ、今後も機動的な資本政策を遂行し、株主資本コストを上回るROEを目指してまいります。

この先は、参考数値資料となっております。説明は割愛をさせていただきますが、別途、お配りしております資料集と合わせてご確認をください。

以上で、2017年3月期第2四半期の説明を終了いたします。ありがとうございました。