logmi Finance
logmi Finance

書籍著者プロフィール

著者名:ヘム
1997年に投資を開始し、投資歴は29年。52歳。主な投資手法は、小型割安株投資、増配狙い投資、下落相場での計画的な買い向かい。受取配当を雪だるまのように増やす「配当成長」を最重視し、長期的な資産形成を実践している。2026年6月末時点の投資資産は、保有370銘柄、時価約6.36億円。2025年の受取配当金は税前約1,365万円、税後約1,092万円。過去5年間の受取配当金の平均増加率は年20パーセント超で、2025年は前年比+27.34パーセントとなった。自身の投資手法の有効性を検証するため、証券口座ごとにポートフォリオを構築し、構成銘柄や運用成績をブログ・Xで公開している。期待値1以上のアノマリーを組み合わせ、分散投資によって期待値への収束を図る「勝つべくして勝つ投資」を信条としている。
X@pygmy_hem

投資歴29年、「増配」をカタリストに資産6億円超を築く

ーーこれまでのご経歴や、株式投資を始めたきっかけ、現在の主な投資スタイルについて教えてください

私は1997年、新入社員だった頃に株式投資を始めました。投資を始めた当初は、今思えば「雰囲気投資」でした。「何となく上がりそう」という理由で売買を繰り返し、ほとんど儲かりませんでした。その後、バリュー投資を学び、市場平均には勝てるようになりました。しかし一方で、バリュートラップにも何度も苦しみました。割安なだけでは株価はなかなか評価されず、「株価が上がるきっかけ(カタリスト)」が必要だと痛感しました。

そこでさまざまなカタリストを研究した結果、最も再現性が高く、個人投資家でも見つけやすいのが「増配」だという結論にたどり着きました。現在は、「小型割安で増配期待が高い銘柄」への分散投資を基本としています。

2026年6月末時点の投資資産は約6.36億円、保有銘柄は370銘柄です。2025年の受取配当金は税前約1,365万円(税後約1,092万円)、過去5年間の受取配当金の平均増加率は年20パーセント超(2025年は前年比27.34パーセント)となりました。

現在は、「小型割安+増配期待」の王道投資をメインに、一部「短期カタリスト狙い」や「生成AIを活用したプログラミング投資」も組み合わせながら運用しています。

初心者向けに刷新、マンガと図解で投資の本質を伝える

ーー前著『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』では、小型割安株や増配期待株の選び方、暴落時の対応などを体系的に解説されていました。今回の『マンガでわかる! 超はじめての増配株投資』は、前著と比べてどのような読者を想定し、内容や伝え方をどのように変えたのでしょうか。また、「超はじめて」をテーマにした理由も教えてください

手前味噌ですが、前著『「増配」株投資』は、「バリュー投資の考え方がよく分かった」「豊富な検証データがあり、小型割安株と増配期待株の有効性を理解できた」など、多くの好意的なご感想をいただきました。発売から1年以上経った現在も口コミで広がり続け、先日5刷となりました。

その一方で、「初心者には難しい」「内容が濃すぎる」という声も少なくありませんでした。実は前著を書いたときは、「自分が伝えたいことをすべて詰め込む」ことを優先しました。そのため、ページ数の都合もあり、初心者向けの説明はかなり省略しています。ある程度投資経験のある方には評価していただけましたが、これから投資を始める方には少しハードルが高い本だったと思います。

そこで2冊目は、まったく逆の発想で作りました。投資未経験の方や、インデックス投資しか経験がない方でも、「これなら分かる」と思っていただけることを最優先にしました。

だからといって、内容を薄くしたわけではありません。投資初心者に本当に知ってほしい大切な考え方は、一つも省いていません。むしろ、投資を長く続けるうえで土台となる本質的な内容だからこそ、マンガや図解を使い、「どうすれば誰でも理解できるか」を徹底的に考えて作りました。

「超はじめて」というタイトルには、「投資の知識がゼロでも最後まで読める一冊にしたい」という思いを込めています。投資を始めるきっかけになる本になれば、これほど嬉しいことはありません。

書籍情報
マンガでわかる! 超はじめての増配株投資
著者・・・ヘム
出版社・・・永岡書店
発売日・・・2026年07月10日

書籍情報
「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!
著者・・・ヘム
出版社・・・KADOKAWA
発売日・・・2025年01月27日

株式投資未経験者から成果に不安を抱く人まで、株式投資の土台を学べる1冊

ーー前著とは異なり、本書は全編マンガで構成されています。今回、特にどのような方に本書を読んでほしいと考えていますか。具体的な読者像を教えてください

実は投資の世界には、本当にたくさんの手法があります。FX、テクニカル投資、グロース投資、高配当株投資、新高値ブレーク、TOB狙い投資など、挙げればきりがありません。どの投資法にも成果を出している人はいます。ただ、中には高いリスクを伴うものや、再現性が低いものもあります。

一方、私が大切にしているのは、株式投資の基本です。株式投資とは、会社の所有権の一部を買うことです。だから私は、「この会社はいくらの価値があるのか」を考えるところから始めます。会社の価値は、「今持っている資産」と「これから生み出す利益」を基に考えることができます。そして、その本来の価値より安く買う。これがバリュー投資の基本的な考え方です。

この考え方は、株式投資の土台です。将来どんな投資手法を選ぶとしても、この土台を理解しておけば、大きく道を外すことは少なくなると思います。

だからこそ、この本は、これから投資を始める方にはもちろん、投資をしているけれど思うような成果が出ていない方、そして今は利益が出ていても「これは実力なのか、それとも相場が良かっただけなのか」と不安を感じている方にも読んでいただきたいです。

「株式投資を始めるなら、まず知っておいてほしいこと」。それを、投資初心者の方でも「これなら分かる」と思っていただけるよう、全編マンガで分かりやすくまとめたのが、この本です。

インデックス投資の次の一歩へ、増配期待株で市場平均超えを目指す

ーー投資初心者の中には、「個別株は難しそう」「投資信託だけで十分なのではないか」と考える人もいます。それでも、初心者に増配株投資を知ってほしいと考える理由は何でしょうか

一番シンプルな理由は、「資産を大きく増やせる可能性がある」と考えているからです。私自身、約8年前まではバリュー投資を中心に運用していました。当時も市場平均を上回る成績ではありましたが、「増配期待」という考え方を取り入れてから、運用成績はさらに大きく伸びました。

現在の投資手法を始めてからの8年4カ月で、私の個別株投資の運用成績は約3.5倍(+248.9パーセント)となり、TOPIXを累積で145.97パーセント上回りました。TOPIXの上昇率は+102.93%だったため、私のリターンは市場平均の約2.4倍となります。複利で考えると、この差は20年後、30年後には非常に大きな差になります。

もちろん、投資を始めたばかりの方には、まずNISAでインデックス投資を始めるのも良い選択だと思います。投資を始めること自体が、とても大切な一歩だからです。ただ、そこで終わってしまうのは少しもったいないとも思っています。

私は「個別株投資は難しいもの」だとは考えていません。短期売買や複雑な分析をしようとすれば難しくなりますが、私が実践しているのは、「小型割安株」と「増配期待」を組み合わせるという、とてもシンプルな投資です。

この考え方を身につければ、インデックス投資より高いリターンを目指せる可能性があります。私自身も、この投資法で資産を築いてきました。

だから私は、投資を始める第一歩はインデックス投資でも構いませんが、その次の一歩として、ぜひ増配株投資にも挑戦していただきたいと思っています。

東証改革による還元強化が追い風、増配株投資は今からでも遅くない

ーー日本株の先行きが不透明な中、投資初心者は相場の下落を待つべきでしょうか。現在の相場環境における、増配株投資の始め方を教えてください

私は、今から始めるのは決して遅くないと考えています。

その理由の一つが、2023年に東京証券取引所が上場企業に対して行った「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請です。

簡単に言えば、「企業価値をもっと高めなさい」というメッセージです。企業は、利益を伸ばすための成長投資を行い、十分な利益を生み出せない事業については、売却や撤退も含めて見直すよう促されています。そして、余った資金があれば増配や自己株買いなどの株主還元を強化することが求められています。

その結果、企業分析をしていても、この数年で株主還元への意識は明らかに変わったと感じています。特にPBR1倍割れ企業を中心に、増配や自己株買いを発表する企業が相次いでいます。私はこの流れはまだ始まったばかりだと考えています。東証は企業への働きかけをさらに強めており、今後も株主還元を強化する企業は増えていく可能性が高いと見ています。

足元では、日経平均は半導体関連株を中心に上昇しています。しかし、私が主に投資している小型割安株に目を向けると、今でも「割安」で「増配期待」のある企業は数多く存在しています。

「相場が下がってから始めよう」と考えているうちに、何年も投資を始められない方は少なくありません。一度に大きな資金を投じる必要はないと思っています。少額からでも構いませんので、まずは始めて経験を積むことが大切です。

株式投資は、時間を味方につけるほど複利の効果が大きくなります。その意味でも、私は今が増配株投資を始める悪いタイミングだとはまったく思っていません。

高配当株は「今」、増配株は「未来」の配当成長を買う投資

ーー初心者には「高配当株」という言葉は比較的浸透していますが、「増配株」との違いは十分に理解されていないように思います。両者の違いを、投資未経験者にもわかるように説明していただけますか

高配当株投資と増配株投資は、どちらも配当金を重視する投資ですが、実は考え方が大きく違います。

高配当株投資は、簡単に言えば「今、たくさん配当金をくれる会社」を買う投資です。例えば、配当利回り5パーセントの会社を買い、高い配当金を受け取り続けることを目指します。

一方、私が実践している増配株投資は、「これから配当金が大きく増えていく会社」を買う投資です。

例えば、今の配当利回りは3パーセントしかなくても、配当金が毎年増えていく会社があります。

最初は配当利回り5パーセントの会社の方が魅力的に見えるかもしれません。しかし、増配が続けば、5年後には最初に3パーセントで買った投資家が受け取る配当金は、高配当株を上回ることも珍しくありません。

さらに重要なのは、株価は「変化」があって初めて大きく動くということです。

今、高い配当を出していても、その配当が変わらなければ株価は大きく動きません。一方で、利益が成長し、それに合わせて配当金も増え続ける企業は、市場からの評価が高まります。その結果、配当金の成長とともに株価も上昇していきます。

私自身も、このような増配期待株へ投資を続けることで、市場平均を大きく上回る運用成績を残してきました。

もちろん、どんな会社でも永遠に増配を続けられるわけではありません。そのため私は、株価が十分に上昇して割安ではなくなれば利益を確定し、その資金を新たな増配期待株へ移していくことを基本としています。

つまり、高配当株投資は「今の高い配当を買う投資」、増配株投資は「未来の配当成長を買う投資」です。私は、配当金の成長と株価の上昇、その両方の恩恵を受けられることこそが、増配株投資の最大の魅力だと考えています。

利回りだけで選ばない 配当性向と業績の安定性を確認

ーー現在の配当利回りが高いことだけを理由に銘柄を選ぶと、どのような失敗につながる可能性がありますか。配当利回りを見る際に、あわせて確認すべき項目も教えてください

私は、配当利回りだけを見て銘柄を選ぶのは危険だと考えています。

その理由は、高配当株を買っている投資家の多くは、「高い配当金」を期待して保有しているからです。そのため、減配が発表されると、一斉に売りが出て株価が大きく下落することも少なくありません。

一方、私が実践している増配株投資は、「これから増配してくれそうな会社」を買う投資です。減配リスクが小さいことは言うまでもありません。

もちろん、高配当株投資そのものが悪いわけではありません。ただ、高配当株を選ぶのであれば、その配当を今後も維持・増配できる会社なのかを見極めることが大切です。

私が特に重視しているのは、配当性向と業績の安定性です。

配当性向とは、「利益の何パーセントを配当に回しているか」を示す指標です。私は、この数字をとても重視しています。

例えば、配当性向が40パーセントであれば、利益の60パーセントは会社に残っています。そのため、配当性向を引き上げながら増配する余地がありますし、仮に利益が少し落ち込んでも、配当性向を引き上げることで現在の配当を維持しやすくなります。

一方、配当性向が70パーセントや80パーセントと高い会社は、すでに利益の大半を配当に回しています。そのため、増配余力は小さく、利益が少し落ち込んだだけでも減配しなければならないリスクが高まります。

もう一つ重要なのが、業績の安定性です。売上や利益の増減が激しい会社は、利益が落ち込んだ年に高い配当を維持できなくなることがあります。そのため、できれば10年程度の業績を確認し、売上や利益が大きく上下することなく、長期的に成長している会社を選ぶ方が安心です。

また、一時的に土地や有価証券を売却して大きな利益が出たことで、特別に高い配当を出しているケースもあります。このような配当は翌年に減配となることもありますので、その利益が本業によるものなのかも確認しておくことをおすすめします。

配当利回りは「入口」にすぎません。本当に大切なのは、その会社が10年、20年と配当を増やし続けられるかどうかです。私は、その視点で企業を選んでいます。

大増配後に飛びつかない 「これから増配する会社」を見極める

ーー増配株投資を始めたばかりの人が、銘柄選びや売買の場面で最も陥りやすい失敗は何でしょうか。ヘムさん自身の経験も踏まえて教えてください

増配株投資を始めたばかりの方が最も陥りやすい失敗は、「大増配した会社」に飛びついてしまうことです。しかし、私が買いたいのは、「大増配した会社」ではありません。「これから大増配してくれそうな会社」です。

大幅な増配が発表された後は、多くの場合、株価も大きく上昇しています。また、配当性向も高くなり、増配余力が小さくなっているケースも少なくありません。そのため、そのタイミングは「買う時」ではなく、「売る時」になることもあります。

もちろん、大きな利益成長に伴う増配であれば、その後も増配が続く可能性があり、継続保有が正解となるケースもあります。大切なのは、「増配した」という事実だけではなく、その時点でも割安なのか、今後も増配できる余力があるのかを判断することです。

また、初心者の方は「増配してくれたから良い会社」と考え、そのまま持ち続けてしまうことも多いと思います。しかし、私は過去ではなく、今この瞬間を基準に判断します。

私が理想とするポートフォリオは、すべての保有銘柄が「割安」で、「増配余力」があり、「増配する意思」のある会社で構成されている状態です。

利益の成長以上のペースで増配する会社は、時間の経過とともに株価も上昇し、増配余力も小さくなっていきます。そのため、定期的にポートフォリオを見直し、「これから増配してくれそうな会社」へ資金を移していくことも、増配株投資では大切な考え方だと思っています。

「小型×割安×増配」で市場の見落としと株価上昇のきっかけを狙う

ーーーヘムさんの投資手法では、「増配株」「割安(バリュー)株」「小型株」の3つが重要な要素となっています。「増配株」が長期投資にもたらす効果、「割安株」を安く買うメリット、「小型株」に期待できる成長性について、それぞれ簡単にご紹介いただけますか

私の投資手法では、「小型」「割安」「増配」は、それぞれ独立したものではありません。この3つを組み合わせることに意味があります。

まず私が注目するのは、小型株です。大型株は多くの機関投資家やアナリストが日々分析しているため、企業価値と株価のズレは見つかりにくくなっています。一方、小型株は機関投資家が運用規模の関係で参加しにくく、分析している人も多くありません。

そのため、小型株は企業の価値が株価に十分反映されていないことがあります。本当はもっと評価されてもよい会社なのに、安い株価のまま放置されていることも少なくありません。

また、小型株は事業内容が比較的シンプルな会社も多く、一社一社を深く調べやすいという特徴があります。つまり、調べている人が少ない一方で、自分では深く調べやすいのです。ここに私はチャンスがあると考えています。私は、そうした市場の「見落とし」や「隙」を探し、本来の企業価値よりも安く放置されている会社に投資しています。

そして最後に重要になるのが、増配です。割安なだけでは、株価はいつまでも評価されないことがあります。そこで、株価が動き始めるきっかけ、つまりカタリストとして期待しているのが増配です。企業が増配を続ければ、配当金が増えるだけでなく、市場からの評価も高まり、株価も上昇しやすくなります。

つまり私の投資は、小型株の世界で市場の「見落とし」や「隙」を見つけて割安株に投資し、増配をきっかけに企業価値が市場から評価されることを狙う投資です。

初心者は30銘柄程度に分散、再現性の高い投資を目指す

ーーーヘムさんは多数の銘柄に分散投資していますが、初心者が最初から数百銘柄を保有するのは難しいと思います。最初は何銘柄程度から始め、どのような基準で銘柄数を増やしていくのがよいでしょうか

私は、初心者の方には30銘柄程度への分散投資をおすすめしています。その理由は、とてもシンプルです。初心者は、まだ企業の成長性を正確に見抜くのが難しいからです。

例えば、「株価が割安」「配当性向が低い」「過去も増配傾向にある」といった条件は、やり方さえ分かれば比較的誰でも判断できます。本書でも、その考え方をできるだけ分かりやすく解説しました。

一方で、「この会社は今後どこまで成長するのか」を予測するには、経験や分析力が必要です。初心者の方は、この成長予測を外してしまうことが少なくありません。だからこそ、その状態で数銘柄に集中投資をするのは危険だと考えています。

30銘柄程度に分散すれば、十分な分散効果が得られます。成長性の分析に多少自信がなくても、「割安」「配当性向が低い」「増配する意思がある」「業績が安定している」といった条件を満たす企業を30銘柄ほど選んで分散投資すれば、中長期では十分に市場平均を上回れると私は考えています。

できれば、その中でも中期経営計画で配当性向の引き上げやDOE目標の引き上げ、累進配当の採用など、株主還元の強化を表明している企業を選べれば、さらに期待値は高まります。

その理由は、市場は目先の業績には敏感でも、3年から5年といった長い期間にわたる増配までは十分に織り込まないことが多いからです。私は、その時間軸の違いにこそ「市場の隙」があると考えています。

もちろん、経験を積み、企業を徹底的に分析できるようになって、「市場は明らかにこの会社を過小評価している」と確信できるようになれば、集中投資という選択肢もあるでしょう。しかし、それは十分に実力がついてから考えればよいことです。

初心者のうちは、無理に「大当たり」を狙う必要はありません。シンプルな基準で選んだ企業へしっかり分散投資をすることが、最も再現性の高い方法だと私は考えています。

暴落を最大の好機に変える投資戦略 平常時に備えたい4つの準備

ーー本書では、暴落時の投資戦略についても解説されています。実際に相場が大きく下落すると、怖くて買えなくなる初心者も多いと思います。暴落時に冷静に買い向かうため、平常時からどのような準備をしておくべきでしょうか

暴落は、長期投資家にとって最大のチャンスだと私は考えています。なぜなら、暴落時には投資家が冷静な判断を失うからです。

信用取引の追証によって売りたくなくても売らざるを得ない人、リスク管理のルールで機械的に売却する機関投資家、そして恐怖から投げ売りをする個人投資家が一斉に売ることで、本来の企業価値とは関係なく、優良企業まで大きく売られてしまいます。

つまり、市場が最も非効率になり、「α(超過リターン)」を最も取りやすい局面なのです。ただ、その場面で実際に買える人は多くありません。だからこそ、平常時から準備しておくことが大切です。

私が意識しているのは4つです。

① 値動きが比較的穏やかな銘柄を中心にポートフォリオを組むこと。

② 暴落時に買えるよう、普段から一定の現金を残しておくこと。

③ 「どこまで下がれば、いくら買うか」というルールを事前に決め、シミュレーションしておくこと。

④ 暴落時に狼狽売りしそうになったら読み返せるよう、バフェットなど先人の言葉を普段から整理しておくこと。

暴落の最中に冷静になるのは難しいものです。しかし、平常時に準備を終え、「予定どおりの暴落」として受け止められれば、恐怖ではなく計画に従って行動できるようになります。それが長期投資で大きな差になると私は考えています。

10年後、20年後も勝ち続けるための投資の土台を築く

ーー本書を通して、株式投資初心者に最も伝えたいメッセージは何でしょうか。また、読者にどのような一歩を踏み出してほしいと考えていますか

私が本書を通して最も伝えたいのは、「投資で一時的に勝つことよりも、10年後、20年後も勝ち続けられる土台を作ることの方が、はるかに大切だ」ということです。

そして、その土台は投資初心者のうちにこそ築いておくべきものだと考えています。 だからこそ、投資を始めたらできるだけ早い段階で、この本を読んでいただきたいのです。

本書では、投資初心者の方にも「これなら分かる」と感じていただけるよう、投資で本当に大切なことをマンガで分かりやすくまとめました。

この本に詰め込んだのは、小手先のテクニックではありません。

・なぜ企業の価値と株価の差を見つけることが、投資の基本なのか。

・なぜ株価の上昇には「変化(カタリスト)」が必要なのか。

・なぜ「増配は神」なのか。

・なぜ個人投資家は小型割安株という土俵で戦うべきなのか。

・そして、どのように「小型割安+増配期待株」を見つければよいのか。

これらはすべて、私が29年間の投資経験を通じて、「初心者のうちに絶対に知っておいてほしい」と考えてきた投資の基本と本質です。 それらを、難しい専門用語をできる限り使わず、ストーリーを読み進めるうちに自然と理解できるよう、マンガという形に徹底的にこだわって一冊にまとめました。

この一冊が、10年後、20年後も市場で生き残り、自分なりの投資スタイルを築くための土台になれば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

facebookxhatenaBookmark