ハッチの米国つみたて投資クラブ
S&P500は「恐怖指数」VIX急騰後にどう動く?過去3回の暴落局面から見る投資タイミング
VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家心理の悪化を示す代表的な指標です。岡元兵八郎氏は、VIXが大きく上昇した局面では注意が必要な一方、過去の事例ではS&P500の買い増しを検討する手がかりにもなったと解説しました。リーマンショック、コロナショック、2025年のトランプ関税ショックを振り返り、VIXピーク後の投資タイミングについて語りました。(※2026年4月収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)
S&P500買い増しのサイン!?「恐怖指数」の活用術!VIXピークの5日後が鍵?

岡元兵八郎氏:マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。米国株投資をしていると「VIX指数」という言葉を耳にすることがありますよね。いわゆる恐怖指数と呼ばれるものですが、これをただ「怖い指数」として見るだけではもったいないです。過去を振り返ると、実はVIXの動きには投資判断のヒントが隠れています。
今回の「ハッチの米国つみたて投資クラブ」では、このVIX指数を正しく理解し、過去のパターンから私たち投資家がどう行動すればよいのか、どう活用すればリターンの向上につなげられるのか、わかりやすくお話ししていきたいと思います。
VIX指数(恐怖指数)とは

まず最初に、VIX指数とは何なのか確認しましょう。VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出、公表している指数です。S&P500のオプション価格を基に逆算し、今後30日間に株価がどのくらい大きく動きそうかというマーケット参加者の予想を数値化したものです。
株価が安定している時は投資家心理も落ち着いているため、VIXは低くなります。一方、株価が急落したりマーケットが混乱したりすると、投資家は不安になってオプションを使って保険をかけようとします。その結果、VIXは上がりやすくなります。つまり「VIXが低い時は安心感が強い、VIXが高い時は恐怖や不安が強い」と理解するとわかりやすいです。
VIX指数と投資家心理の関係

次に、VIXと投資家心理の関係を見てみましょう。VIXが10から20程度であればマーケットは比較的安定している状況です。投資家心理も楽観的あるいは平常時に近い状況で、株価は堅調に推移していることが多いです。逆にVIXが30から40を超えてくると、かなり警戒心が強い局面となります。
そして40を超えるとパニック・暴落状況となり、投資家が不安に陥り、投げ売りが発生しやすくなります。さらに50を超える場面になると、大変なパニックに陥っていると考えてよいと思います。ニュースで「VIXが急騰しています」「投資家がパニックに陥っています」といった表現が出てくるのは、まさにこのような局面です。
そこで今回は、2000年以降にVIXが50を超えた局面と、そのあとのマーケットのパフォーマンスを検証してみたいと思います。
VIXが50を超えた過去3回の局面とS&P500のパフォーマンス

こちらのグラフの赤い線がVIX指数、青い線はS&P500を表しています。VIXが50を超える場面というのは、そう何度もあるわけではありません。2000年以降で見ると主なケースは3回あります。1回目が2008年の世界金融危機、いわゆるリーマンショックです。2回目が2020年のコロナショック、そして3回目が2025年のトランプ関税ショックです。ここからはそれぞれの局面を見ていきたいと思います。
ケース1:世界金融危機(リーマンショック)

まず最初は世界金融危機(リーマンショック)です。この時、VIXが初めて50を超えたのは2008年10月6日です。そのあともVIXは上昇を継続し、ピークをつけたのが2008年の11月20日で、この時のVIXは81です。一方この日、S&P500は752.4ポイントでした。
ここで重要なのは、VIXがピークをつけた日が必ずしもマーケットの完全なボトムを意味するわけではないという点です。まず相場が落ち着いていない可能性もあります。
そこで今回は、VIXがピークをつけた日から5営業日後にS&P500へ投資をしたらどうなっていたかを見ていきたいと思います。半年後はプラス1パーセント、1年後はプラス23パーセント、2年後はプラス34パーセント、3年後はプラス31パーセント、4年後はプラス58パーセントになって、5年後はプラス104パーセントになっています。
ここから言えるのは、投資家心理が最悪になった局面こそが、あとで振り返ると大きな買い場になっていたということです。

実際のVIXやS&P500のレベルはこちらです。ご参照ください。
ケース2:コロナショック

2回目はコロナショックで、VIXが初めて50を超えたのは2020年の3月9日です。VIXがピークをつけたのが3月16日で、82.7まで上昇しました。
VIXがピークをつけてから5営業日後にS&P500に投資をした場合、半年後はプラス45パーセント、1年後はプラス75パーセント、2年後はプラス99パーセント、3年後はプラス76パーセント、4年後はプラス134パーセント、そして5年後はプラス153パーセントという結果になっています。リーマンショックの時以上に回復力が非常に強かったことがわかります。

この時のデータです。ご参照ください。
ケース3:トランプ関税ショック(2025年)

そして3回目が、記憶に新しい2025年のトランプ関税ショックです。この時VIXが初めて50を超えたのは4月8日で、VIXはこの日がそのままピークとなりました。またこの時は同じ日にS&P500がボトムをつけました。
VIXのピークから5営業日後にS&P500へ投資をした場合、3ヶ月後でプラス16パーセント、半年後でプラス24パーセント、そして9ヶ月後でプラス29パーセントとなっています。もちろん今回のケースはまだ長期データとしては途中段階ですが、少なくともこれまでを見る限りにおいては良好な結果になっています。

詳しいデータはこちらをご覧ください。
過去3回のケースから学べること

過去3回のVIXの大幅上昇からどのようなことが言えるかが一番大切なポイントです。
まず1つ目は、VIXが50を超えたからといってすぐに相場が底打ちをして投資家心理が落ち着くとは限らないということです。むしろVIXは勢いがついてさらに上昇する、つまり市場の不安がさらに高まる可能性があります。
2つ目は、VIXがピークをつけたあとでもそこから株価はさらに下がる可能性があるということです。
そして3つ目は、VIXがピークをつけてから5営業日後に投資をした場合、過去3回とも半年後以降はプラスのリターンだったという点です。つまり、歴史的な大きなショック局面においては、VIXのピークは株価反転のサインの1つになり得ます。ピーク当日に飛びつくよりも1週間ほど待って相場が落ち着いてから投資をしたほうが結果としてうまくいきやすかったと考えることができます。
私は米国株投資では「Stay Invested(ステイ・インベステッド)」、つまりマーケットに居続けることがとても大切だと考えています。長期で資産形成をするのであれば、基本的には相場を読んで売買を繰り返すのではなく、投資を継続することのほうが重要です。
ただ一方で、こうした歴史的な大きなショックが起きた時に下落をどう上手に活用するかという視点を持っておくことは、投資家として非常に大切だと思います。VIX指数はその判断材料の1つとしてとても参考になる指標です。

(※「番組紹介」のパートについては割愛します)
視聴者からのQ&A
ここで視聴者の方からのご質問に答えたいと思います。「新興国はどのくらい資産に組み入れておくのがよいでしょうか? 今から20年間の投資を考えているのですが、ハッチさんのご意見を聞かせてください」というご質問です。
MSCIオールカントリーで見ると、新興国株の構成比は約11パーセントです。つまり、11パーセント程度は市場全体の構成に沿った標準的な比率と言えます。ただ、今後20年間で見ると、私は先進国株よりも新興国株のほうが上昇率が高いと考えています。そのため、11パーセントではなく、例えば20パーセント程度まで増やしてみると、20年後の全体的なリターンはより高くなっていると考えています。
ただし、これは投資家のみなさまのリスク許容度にも関係しますので、ご自身のリスク許容度と相談しながら、新興国株の比率をどの程度増やすかを考えられるとよいと思います。
(※「ご意見・ご感想」のパートについては割愛します)
成績公開!ハッチの米国つみたて投資

私自身の積立投資の成績についてもご紹介します。私は2020年12月から、S&P500とナスダック100への積立投資を始めました。その後、投資対象のファンドを増やし、現在では12本のファンドに投資しています。
これまでの投資額は約400万円です。現時点での評価額は669万1,302円となっています。なお、上昇分の一部として、4月に約19万円を売却しました。
ただ、これは積立投資をやめたということではありません。では、なぜ一部を売却したのかというと、最近あらためて、お金を増やすだけではなく、増えたお金をどのように使っていくべきかを考えるようになったためです。
もちろん、お金を増やし、資産を形成することは非常に大切です。この番組の目的も、まさにそこにあります。ただ同時に、増えたお金をどのように使うかも、それと同じくらい大切なのではないかと考えるようになりました。
そこで私は、その一部を使って、生まれ故郷である宮崎に行ってきました。宮崎では、おいしいものを食べ、おいしいお酒を飲み、あらためて観光名所を巡るとともに、さまざまな方とお会いする機会にも恵まれました。
その中では、投資行動だけでなく、ご自身のビジネスにもウォーレン・バフェット氏の格言を活かし、成功されている居酒屋経営の若い方と話をする機会もあり、私自身、大変刺激を受けました。
(※「マネックス証券からのお知らせ」のパートについては割愛します)
今月の「ハッチの米国つみたて投資クラブ」は以上です。今回も最後までご視聴いただき、ありがとうございました。ではまた来月お会いしましょう。


