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米国株投資に40年近く携わってきた岡元兵八郎氏が、S&P500を軸にした長期投資の考え方や、初心者にも取り入れやすいコア・サテライト戦略を解説。インフレ局面で投資が必要とされる理由、米国株が数々の危機を乗り越えてきた歴史、ETFや高配当銘柄の活用法、リバランスの考え方などをもとに、資産形成における長期目線の重要性を語ります。(※2026年3月収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)

S&P500積立投資は今もおすすめ?暴落を乗り越え最高値を更新し続ける「歴史的根拠」と負けない投資戦略

荻野仁美氏(以下、荻野):フリーアナウンサーの荻野仁美です。

岡元兵八郎氏(以下、岡元):マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。

荻野:この番組では、マネックス証券のハッチさんをお迎えして、「ハッチの米国株教室」と題し、豊富な経験を基に米国株投資についてわかりやすく教えていただきます。

岡元さんは社会人になって以来、一貫して外国株、中でも米国株に携わってこられました。およそ10年の米国駐在経験もお持ちで、また33ヶ国以上の証券取引所や上場企業の経営陣を訪問されています。現在マネックス証券のセミナーでは、毎月市場動向の解説や注目銘柄の紹介を行い、米国株の魅力発信もされています。

それでは、岡元さんから米国株の魅力を教えていただきます。よろしくお願いします。

岡元:よろしくお願いします。

なぜ今、投資が必要なのか?貯金だけでは資産を守れない時代

荻野:そもそも、米国株にかかわらず、なぜ投資をしたほうがいいのでしょうか? 投資をすることの重要性について、岡元さんはどう考えていますか?

岡元:端的に言うと、投資の重要性とは、貯金だけでは守れない時代に資産を育てる必要性があるということです。預金は元本の安定性という点では優れていますが、インフレが続く局面においては実質的な購買力が目減りしてくるというデメリットがあります。

最近は日本でも、インフレ、物価上昇が激しいですよね。我々日本人もとても困っていますが、この調子で毎年物価が上がっていくような局面になってくると、同じ100万円でも将来買えるものが減ってくるわけです。

投資というのは、そのような購買力の低下に対抗する手段であり、特に米国株については長期にわたってインフレ率を上回ってきたという事実があります。

また、投資にはいわゆる「複利」という時間を味方につけられるという大きな利点があります。複利の力がつくと利益がさらに利益を生むという構造ができます。複利の効果は短期的には見えにくいですが、10年、20年といった長い期間では非常に大きな違いを生むようになります。

したがって投資の本質とは、ギャンブル的な一攫千金ではなく、長期的に資産を形成していくことが大切だということなのです。

生きているといろいろなイベントがあります。住宅を買わなければいけなかったり、老後資金が必要だったり、突然病気になって医療費がかかったりするなど、時々大きな支出が起こります。そしてそれは、我々が得ている給料だけだと十分でない可能性が極めて高いのです。

そのようなこともあり、投資は労働収入だけに依存せず、資産形成という別の柱を持つという意味でもとても大切です。言い換えると、自分が働くことに加えて、お金にも働いてもらうという考え方です。

ただ、気をつけなければいけないのは、投資は銀行預金と違い価格変動リスクがあるという点です。つまり、上がる時はいいのですが、下がることもあることを押さえておかなければいけません。

重要なのは、どのように投資をするかということです。短期的な値上がりを追いかけるのではなく、分散して長期的な視点で積立などを活用し、リスクを抑える努力をしながら、長期的にお金を増やして資産形成を行っていくことが大切なのです。

その投資を行った副産物としてのメリットもあります。投資の過程を楽しんでいる人を、私はたくさん見ています。投資仲間もできます。そして、世の中のいろいろな出来事に対して、今まで以上に興味を持つようになり、世界観が広がります。そうすると今まで以上にニュースに興味を持つようになり、老化防止にもなると思っています。

また、米国株は我々が寝ている夜中、米国時間のお昼にマーケットが開いてくれるというのがいいところだと思っています。

荻野:寝て起きたら資産が増えているかもしれないということですね。

初心者におすすめの投資の考え方「コア・サテライト戦略」

荻野:趣味のような側面もありつつ、視野も広がり豊かな人生になるものという感じもしますが、株初心者の方は、どのように考えて投資を進めるのかが難しいところだと思います。初心者の方におすすめの投資についての考え方はありますか?

岡元:先ほど少しお話ししましたが、やはり大切なのは計画です。なんでも計画を立てなければだめですよね。特に自分の大切なお金、資産を増やそうとするわけですから、計画は大切です。それほど難しい話ではありませんが、最近よく起きているのが、「YouTube」などのSNSの世界で上がりそうに聞こえるから投資をしてしまうという、一番危険なパターンです。

そのため、まずは投資をするにあたって、考え方を整理することが重要です。投資の世界には「コア・サテライト」という考え方があります。コアは「中心」「中核」という意味で、投資の中心を指します。一方、サテライトは「周辺部分」「補助的な」という意味です。

具体的に言うと、コアになるのは株価指数に連動する商品です。みなさまが投資をして朝起きた時に、朝のニュースで例えば「昨日のニューヨーク市場、S&P500は1パーセント上がりました」もしくは「下がりました」と報じられると、自分が持っているコアの部分も同じように1パーセント上がったり下がったりすることがわかります。

コアで投資をするのは、具体的に言うと株価指数に連動する商品です。投資信託でもETFでもかまいません。例えばS&P500、あるいはS&P500とナスダック100指数に連動するようなETFに投資をして、そのような商品をコアとして持つのです。

そうすると、マーケットと同じように動いているので、相場の値動きに一喜一憂して売買する必要性がなくなります。例えばニューヨーク市場がなんらかの理由で2パーセント下がったとしても、自分が持っている指数連動型のポーション(比率)は同じように2パーセント下がることになります。そのような意味では、「マーケットが下がったため、自分のポジションも同じように下がった」ということで安心でき、一喜一憂しなくて済むのです。

このコアのポジションは、まさに中核の、長期保有するぶれない部分です。将来的に本当に資金が必要になって売却せざるを得ない時まで、基本的に持ち続けるポジションとして考えてください。

それだけだとつまらない、あるいはそれだけでも十分だけれど、もう少しやってみたいという人のために、サテライトのパートがあります。それは、個別銘柄を買うことです。

個別銘柄を買うと何が起きるかというと、例えばS&P500などの指数が昨日1パーセント下がったとします。コアの部分は1パーセントしか下がっていません。ところが個別銘柄を持っていると、それ以上に下がることもあれば、上がっている可能性もあります。「マーケットが下がっているのに、自分の持っている個別銘柄は上がっている」というように、指数とは違う動き方をするわけです。

そのため、自分が興味がある銘柄に対し、例えば「AIが進むにあたってセキュリティがとても大切だ」と考えるなら、セキュリティに関連するETFやセキュリティ銘柄を買うというのが、サテライトのパートで持つという考え方です。個別銘柄もテーマ型の投資もありますし、配当金を狙う投資もあります。

考え方としては、「アルファ」という指数以上に高いリターンを狙う投資の部分がサテライトということになります。

荻野:コアとサテライトの比率はどれくらいがいいのですか?

岡元:いろいろな考え方があります。例えばコア7割、サテライト3割が基本だという考え方もありますが、これはみなさまのそれぞれのリスク許容度によります。

人によっては、例えば米国株で値動きの激しい銘柄をたくさん持ってしまうと、不安で夜も眠れないということがあります。上がっている時はハッピーですが、下がり始めた時に「なぜ下がっているかよくわからない、もっと下がるのではないか?」と心配して夜も眠れなくなってくるのは良くないですよね。

そのため、個別銘柄を持っていても安心できる範囲によってウェイトが決まります。リスク許容度の強い方はコアを5割持ってあと5割は個別銘柄でいくとか、特定のテーマに投資をするとか、そのような判断をしたらいいのではないかと思います。

荻野:比率は個々によって変わってくるのですね。

なぜ米国株なのか?暴落を乗り越え最高値を更新してきた歴史

荻野:このコア・サテライト戦略に米国株を組み入れるメリットは何でしょうか?

岡元:この話をすると1時間以上かかってしまいますので、ショートバージョンでお話しします。これは、1980年から現在までのS&P500の動きです。

1987年にはブラックマンデーがあり、ニューヨークダウは1日で20パーセントほど下落しました。当時は今のようにインターネットで情報をすぐに確認できる時代ではなく、情報源といえば夕方のテレビニュースや翌朝の新聞くらいでした。情報が限られていたため、不安に感じた人も多かったわけです。私も当時ニューヨークのウォール街で働いていて、自分の仕事がなくなるのではないかと思いました。

しかし、時間の経過とともに、人々はその出来事を少しずつ忘れていきました。その後も、湾岸戦争、アジア金融危機、ITブームとその後のバブル崩壊、9.11米国同時多発テロ、イラク戦争、そして世界金融危機(リーマンショック)など、さまざまな出来事がありました。 それでも、その後にいち早く世界の株式市場に先駆けて高値を更新したのは米国のマーケットなのです。

それからもさまざまなニュースがある中で、米国株は史上最高値を更新する局面を重ね、今年の1月27日にもS&P500は高値を更新しています。これが米国株の歴史です。

荻野:渦中にいると、このようなチャートになっていくとはなかなか思えないかもしれません。しかし、歴史を振り返ると、米国株はさまざまな危機を乗り越えながら成長してきたことがわかります。

岡元:この背景には、米国株が一言で言えば「成長経済」であることがあります。加えて、企業が環境変化に応じて機動的にアクションを取れる点も、日本企業との大きな違いだと思います。

最近でも、AI関連企業が積極的にレイオフ(一時解雇)をアグレッシブに行う動きが見られます。私がよく覚えているのは、コロナ禍の真っただ中に、米国企業がレイオフを行っていたことです。厳しい局面ではありましたが、将来の成長に備えて人員を見直し、コストを抑えるという判断が取られていたわけです。日本でコロナ禍の真っただ中にそのような対応をすれば、企業への信頼が揺らぎかねません。

そのような文化や経営判断の違いもあり、米国企業はイノベーションを生み出しやすい面があると思います。だからこそ、時価総額で世界上位に位置するエヌビディアのような企業や、多くの人が使っているiPhoneを生み出したアップルのような企業が、米国から出てきているわけです。

このように米国はイノベーションを生み出しやすい国であるということもあり、この成長はまだ止まらないと私は考えています。これからも米国は栄えていき、株価も上昇し続けると思います。

コア・サテライト戦略への具体的な組み込み方

荻野:成長し続ける米国株をコア・サテライト戦略にどのように組み込んでいけばいいのか、詳しく教えてください。

岡元:例えば、投資信託を使って少しずつ積立投資を行うというのも、考え方の1つです。加えて、株式と同じように自由に売買できるETF、先ほどお話しした株価指数連動型のETFを活用して、コアの部分を作るという考え方もあります。

例えば、バンガード・S&P500 ETF(VOO)、世界の株式に投資するバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT ※ベンチマーク FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス)、ステートストリート・SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)などがあります。自分で興味がある株価指数を選んで、それに連動するETFでポジションを持っておくのです。

また、配当金、つまりインカムがほしいということであれば、サテライトの部分で、例えばタバコの会社であるアルトリア・グループ(MO)などの高配当銘柄を持つ方法、あるいは、高配当ETFを活用する方法があります。

米国では、長期にわたって配当を増やし続けてきた連続増配銘柄が数多くあります。例えば、コカ・コーラやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)といった企業は、50年以上にわたって連続増配を続けています。

そのような実績のある銘柄を、ポートフォリオの一部として組み入れるという考え方もあります。コアとして保有するのもよいですし、サテライトとして持つ選択肢もあると思います。

荻野:コアとサテライトのそれぞれで銘柄を持った場合、定期的に見直しをしたほうがいいのでしょうか?

岡元:1つのセクターや銘柄が大きく買われると、ポートフォリオ全体の中で、そのウェイトが高まっていくことがあります。これも、実はリスク許容度に関わる話です。

例えば、ある銘柄が大きく上昇した結果、ポートフォリオ全体の半分を占めるようになることもあり得ます。そのようになった時に、「この銘柄はもっと上がる」という強い確信があるのであれば、そのまま保有を続けるという考え方もあります。その場合、最終的にポートフォリオの5割を占めていた銘柄が、6割、7割へと高まっていく局面もあるかもしれません。ポートフォリオに変更が生じると不安に感じる人もいれば、「それでいい」と考える人もいます。

一方で、機械的にリバランスを行い、元の資産配分に戻すという考え方もあります。例えば、1つの銘柄がポートフォリオ全体の5割を超えてきたら、その銘柄の一部を売却して比率を下げ、ほかの銘柄を買い増すという方法です。

ただし、これは規則があるわけではありません。ご自身の相場観や、その銘柄に対する考えや見通しを踏まえた上で、最終的にはご自身で判断する必要があると思います。

サテライトについて補足すると、先ほど「テーマ型の投資」というお話をしました。具体的には、例えばこれからの世の中について「自動運転が普及する」や「ロボットの時代がやってくる」と考えることもあるかもしれません。そのような場合は、テスラのようなグロース銘柄やテーマに関連するETFに投資する方法もあります。

また、AIの進化によってセキュリティの重要性が高まっていると考えるのであれば、セキュリティ関連のテーマ型ETFに投資するという選択肢もあります。

テーマ型ETFにはさまざまな種類がありますので、自分で調べた上で、自分にとって納得感のあるテーマに投資するのがよいのではないかと思います。

そして、最後に大切なポイントです。これは私がいつもお伝えしていることですが、投資は「いい」と思って買ったとしても、翌日、あるいは翌週に下がることは当然あります。

投資テーマは、決して短期間で完結するものではありません。そのテーマが大きければ大きいほど、実現するまでには時間がかかります。だからこそ、長期的な視点を持つことが非常に大切です。

少し下がったからといって不安になり、狼狽売りをするのではなく、長期的な視点を持って投資を続けることが、資産形成の上ではとても重要です。それを忘れないでください。

荻野:数字に焦ってしまうこともあるかもしれませんが、とにかく長期の目線を持つことを心に留めておいていただければと思います。

岡元:ETFのリストも参考にしていただければと思います。

荻野:今回は岡元さんから投資の重要性、考え方について教えていただきました。ありがとうございました。

岡元:ありがとうございました。

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