【N高グループ投資部】かぶ1000氏 特別講義 2026年ver 〜投資は“才能”なのか、“努力”なのか?〜
株式投資の本質を学ぶ かぶ1000氏が語る判断力と継続の重要性
2026年2月、かぶ1000氏による「かぶ1000氏 特別講義 2026年ver 〜投資は“才能”なのか、“努力”なのか?〜」が開催されました。N高グループ投資部の部員に対し、高校生・若い世代が投資とどう向き合うべきか、株式投資は何のために行うべきかといったテーマをもとに、投資の本質について語りました。
講義概要

司会者:「かぶ1000氏 特別講義 2026年ver 〜投資は“才能”なのか、“努力”なのか?〜」を始めます。講師のかぶ1000さんは14歳から株を始めており、資産バリュー株投資の第一人者として活動されています。よろしくお願いします。
本日の講義の概要ですが、個人投資家のかぶ1000さんをお迎えし、オンライン講義を実施します。3年目の今回は、「自分はお題に対してこう思っているけど、かぶ1000さんはどう考えますか?」と意見や質問を投げかけながら、投資に対する考え方や判断の方法を、みなさまと一緒に深めていきたいと思います。
「投資は才能なのか、それとも努力なのか?」「投資をしないと判断する時は、どんなサインがあるのか?」などのお題から、かぶ1000さんの実体験を交えてお話しいただく予定です。
講師紹介

かぶ1000さんについて軽くご紹介します。中学2年生の14歳の頃に投資を始めて、専業投資家歴はなんと37年目です。資産バリュー株への投資がメインとなっており、年20パーセントの運用利回りを目標とされています。
『賢明なる個人投資家への道』や『貯金40万円が株式投資で4億円〜元手を1000倍に増やしたボクの投資術』など本も出版もされており、「X」のフォロワーは37万人(2026年4月時点)以上の大人気投資家です。ぜひチェックしてみてください。
本日のテーマ

それでは、講義を始めていきたいと思います。本日のテーマの1つ目は「高校生・若い世代が投資とどう付き合うべきか?」、2つ目は「投資は”才能”なのか、”努力”なのか?」、3つ目は「株式投資は何のためにするべきか?」です。
投資部員には、事前にお題についてどう思うかの回答を集めているため、各お題につき2人から3人に発表していただきます。そのあとにかぶ1000さんにご意見をうかがいます。
お題に対する回答や、みなさまが思うことに正解・不正解はありません。本日の講義が、投資への考えを深めていくための一助になればいいと思います。
【第1テーマ】高校生・若い世代が投資とどう付き合うべきか?
司会者:では、まず1つ目のお題です。「高校生・若い世代が投資とどう付き合うべきか?」について答えていただきます。
生徒1:私は、投資は遠い世界のものではなく、誰もが自分自身のこととして捉えるべきだと考えています。なぜなら、この大変な時代が進むにつれて、将来の資産形成や社会との関わり方を考える上で、投資は重要な選択肢の1つだと思うからです。
そのため、投資を怖いものや難しいものとして避けるのではなく、まずは一人ひとりが学ぶ姿勢を大切にする必要があると思います。
司会者:それぞれが学ぶ姿勢が大切ということですね。ありがとうございます。
生徒2:投資に向き合うメリットは、社会への解像度が上がることだと考えています。例えば、ニュースから「金利が上がるから、この銘柄が上がるのではないか?」「この銘柄はネガティブなのではないか?」などを読み取り、仮説を立てて検証することができます。
後からその仮説が合っているのか、間違っているのかを確認し、学ぶことができることが個別株投資のいいところだと思います。「投資は損をすることが怖いから避ける」のではなく、「損をすることは怖いけれど向き合う」ことが大事だと考えます。
司会者:投資をするのは難しいし怖いけれど、しっかりと分析していくのが大事だということですね。では、このお題に関して、かぶ1000さんはどのように考えているのかをおうかがいしたいです。
高校生・若い世代が投資とどう向き合っていくべきと考えますか?

かぶ1000(以下、かぶ1000):かぶ1000です。みなさまよろしくお願いします。1つ目のお題である「高校生・若い世代が投資とどう付き合うべきか?」について、私の考えをお話しします。
私は本当に投資が大好きです。37年間、投資家として活動してきた中で大事にしていることは「投資とは何か?」「なぜ投資をしたほうがいいのか?」を根本からじっくり考えることです。いわゆる投資の本質を理解するということですね。
現在は、インターネットサイトや本など、投資に関する情報が多く出ており、いろいろな知識が得られます。しかし、投資の知識を完全に理解できるかというと、それは難しいです。完全に理解できていないからこそ、投資に対して怖いと思ってしまいます。そのような不安要素は、少なからず発生します。
私の場合、そのような情報を難しく考えず、シンプルに考えていくことが大事だと思います。シンプルに考えていくとどのような結論に達したかをご説明します。
トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』という本を読んだことがある人はいますか? その本の中に、資本収益率(R)と経済成長率(G)を比べた時に、資本収益率のほうが上回ることを示した公式があります(R>G)。
経済はアメリカでも日本でも、GDPが伸びるなどで少しずつ成長していきます。それよりも資本を使った投資からの収益のほうがずっと高く、資産家の資産はどんどん増えていくのです。まさにこれが、投資の本質なのです。
当然、投資にはいろいろなリスクがあります。正直、私も失敗することはたくさんあります。しかし、根本として、投資から得られる収益は経済成長率よりも上回るというのは証明されています。
現在は「インフレの時代」と言われており、労働収入が上がってきたものの、実際には経済成長率やインフレを上回るほどにはなっていないのが現状です。
企業が出した利益は、従業員に給料として支払われますが、その後も必ず利益として企業に残ります。これは、支払われた給料よりも企業の利益のほうが大きいため、企業に利益が残るのです。
そのため、会社を持っている人、つまり株主が、資本主義社会においては一番得する構造になっているのです。まずはこの仕組みをしっかりと理解することが大切です。
投資は、日本のような資本主義社会の中で生きていくためのチケットだと私は思っています。例えるなら、チケットがないとコンサート会場に入れないのと同じです。外から音が聴こえるかもしれませんが、やはり中に入ってコンサートを楽しみたいですよね。
資本主義社会に参加するためのチケットなので、やはり投資を始めなければいけません。投資には、自分が投じた資本をどう運用して成果を出していくかという楽しみがあると思っています。ここはみなさまの実力が試されるところでもあります。
「高校生・若い世代が投資とどう付き合うべきか?」についての結論として、投資の本質、根本をしっかりと理解することが大切だと考えます。これを理解すると、「投資はやったほうがいい、やらなければいけない」という考え方になってきます。
学生のうちは考える時間や勉強する時間がたくさんあるので、しっかり腑に落ちるまで「投資とはどういうものか?」「どのように運用したほうがいいのだろう?」ということに向き合っていってほしいです。
司会者:かぶ1000さん、ありがとうございました。みなさまも、ぜひ参考にしてください。私も『21世紀の資本』を読んでみたいと思います。
【第2テーマ】投資は”才能”なのか、”努力”なのか?
司会者:次のお題に行きたいと思います。次のお題は「投資は”才能”なのか、”努力”なのか?」です。みなさまがどう考えているのか、スタッフ側でも一番気になっていたテーマです。事前に回答を集めているので確認しましたが、いろいろな考え方があって非常におもしろいと思いました。では、このお題について発表していただきます。
生徒3:私は、投資は努力だと考えています。すぐに利益を出せたり、雰囲気で市場を読めたりすることは才能だと思いますが、その才能がないからといって投資ができないわけではないと思います。
勉強をすればするだけ結果が出ますし、努力の積み重ねで資産を築いていくことができると思うので、投資は努力だと考えています。
生徒4:私は、投資は才能寄りではありますが、努力でもあると思っています。何をやるにも、努力をすれば達成できる部分と、努力だけではどうにもならない部分があると考えているからです。努力によって株の動きを読んだり、分析したりすることはできますが、才能が必要とされる部分もあると思っています。
司会者:なるほど。努力でも、才能でもあるということですね。
生徒5:私も先ほどの意見と少し似ていますが、さらに発展させて、「どちらも必要だが、逆にどちらも不要である」という主張をします。その理由は、非常に単純です。SPIVA(S&P Indices Versus Active)の調査で、プロのファンドマネージャーの多くが市場平均に負けているという結果が出ているからです。その市場平均というのが、インデックスファンドを買えば、誰でも手に入れることができるリターンです。
そのため、才能も努力もあるに越したことはないですが、なくても市場平均に負けないのではないか? というのが私の意見です。
司会者:ありがとうございます。努力なのか、才能なのか? ということではっきりと分かれるかと思いましたが、わりと努力派の人が多く、才能だけだと考えた人はほとんどいなかったように思います。
その中でも「どちらも必要だが、どちらも必要ない」というインデックスファンドのお話は、非常におもしろいなと思いました。では、かぶ1000さんにも聞いてみたいと思います。
投資は才能なのか、努力なのか?

かぶ1000:みなさまが優秀で、私の話すことがなくなってしまうことが怖いですが、大丈夫でしょうか?(笑)
「投資は才能なのか、努力なのか?」について、私の意見をお話しします。私は正直、みなさまと違い、高校時代の英語のテストで9点を取ってしまった時があるくらい、学校の勉強がぜんぜんできなかったのです。なので、投資に特別な才能や努力が必要かというと、必要ないと思います。
ただ1つだけ、継続力が非常に大切であると考えます。継続力というのは、投資を続けることです。これが、投資をする上で一番大切です。それを踏まえた上で、今まで投資を経験してきて、必要であると感じるスキルが4つあります。
まず1つ目は「行動力」です。みなさまも投資を実践していると思いますが、投資の世界では人よりも早く動く習慣が大切です。投資市場では「注目されている銘柄」や「流行っているテーマ」の調査など、どのようなことについても、人より早く動くと一番メリットが大きく、利益も大きく取れるチャンスがあるのです。
逆に、人よりも行動が遅いと、なかなかチャンスが得られなかったり、運が悪いと高値づかみしてしまうということも起こり得ます。
そのため、人より早く動く習慣、行動力を高めていくことは、非常に大事なことです。ぜひみなさまにも習慣化していただきたいです。
2つ目は「決断力」です。投資をしていて、「この銘柄は持ってたほうがいいのかな?」「もう売ってしまったほうがいいのかな?」と迷うことはたくさんあると思います。決断するために、最終的に必要なのは自分を信じる力だと考えています。
最近はSNS、特にXで「この株で儲かった」「この株がおすすめ」といったポストが多く流れてくると思います。SNS上での意見を参考にして銘柄を取り入れるのもいいと思いますが、最終的には自分を信じる力が非常に大事です。自分を信じる力がないと、迷いが生じたり、なかなか決断できなかったり、先ほど1つ目で挙げた「行動力」にもつながってきますが、人よりも遅く動いてしまう可能性があります。
自分を信じる力を高めるために、日々訓練や勉強が必要になります。「決断力」に関して、経験を重ねて「次はもっと早く動けるようになろう」「もっといい決断ができるようになろう」と思う習慣を身につけてほしいと考えています。
3つ目は「洞察力」、いわゆる変化を察知する力です。株式市場は、みなさまも経験しているとおり、非常に変化が多い世界です。テーマが変わったり、上がる銘柄や下がる銘柄が日々変わったり、極端に言えばそれは午前と午後で違うこともあります。その変化をどう察知するかは、非常に大事なスキルだと思います。
みなさまにも、株以外でも「今日はこのようなニュースがあった」「このようなことが起こった」と、ニュースを見たり、ネットでいろいろな人の話を聞いたりする機会があると思います。
株の世界では、その整理された情報から投資のチャンスにつながることが非常に多いため、そのような変化に対し、アンテナを高くして情報を集め、自分で整理する力は非常に大切です。
ぜひみなさまも、いろいろなことに関心を持ち、「これからどのように社会が変わっていくのだろう?」と洞察する能力を高めてほしいと思います。
最後は「思考力」です。投資は自己責任が前提であり、自分で決断し、投資をし、失敗しても成功しても最後まで責任を取るのがルールです。その中で、人から聞いた話を鵜呑みにして投資するのではなく、「自分で考えて答えを出す」という習慣を身につけることが、非常に大事だと思っています。
もちろん、人から意見を聞くことは非常に大事なことですが、最終的な答えは自分で出していく必要があります。自分で出した答えが、間違っていても構いません。失敗したと思ったら、「次は失敗しないように考えていこう」と少しずつ改善を重ねていくことが大切です。
そのためには、やはり自分で考えて答えを出していくことが非常に重要です。今はやっていませんが、私自身、毎日ブログで持っている銘柄の売買や、どのような銘柄を買ったのかを記録していた時期がありました。みなさまも、自分で考えて出した答えを自分の中だけにしまっておかず、SNSで公開しなくてもいいので、記録を残していくことが大切です。
記録を残すことによって、1年、2年経ったあとに、その時自分が書いたものを見て、「あの時の自分はこのように考えていたのか」「あの時のこの判断は正しかったのか?」「なぜあの時、このようなことに気づけなかったのだろう」という振り返りにつながると思うのです。
自分で考えて答えを出していくという行動は、振り返りの積み重ねができ原動力になるので、考えるのが苦手な方もいるかもしれませんが、少しでもいいので、この習慣をぜひ身につけてほしいと思います。
司会者:ありがとうございます。「継続力」をはじめ、必要な投資のスキルとして「行動力」「決断力」「洞察力」「思考力」の4つについてご説明いただきました。最後の「思考力」で、記録をつけることがいいというお話がありましたが、投資部員の中でも記録をつけている方がいます。自ら記録をつけて、自分がどのように考えて投資をしたのかという経緯がすぐにわかることは、非常にいいことだと思います。
【第3テーマ】株式投資は何のためにするべきか?
司会者:3つ目のお題は「株式投資は何のためにするべきか?」です。このテーマについては、事前に集めた回答を見ていても、実にさまざまな意見がありました。そのため、多くの投資部員に挙手いただき、意見を聞きたいと思っています。
生徒6:「株式投資は何のためにするべきか?」について、まず、お金の流れを知ることができることが挙げられます。
私自身が投資に興味を持ったきっかけは、小学生の時に遡ります。お菓子を買おうとして、商品のサイズが小さくなっていた上に値上げをしているのを見て、「どうしてなんだろう?」と疑問を抱きました。調べていくうちに「インフレーション」や「ステルス値上げ」という言葉を知り、親に説明を聞きました。そこで、お金の価値が下がり物価が上がっていく、インフレの構造を理解しました。
当時の銀行金利は低かったため、ただ銀行にお金を預けているだけではインフレ率に負け、実質的に損をしている状態になってしまいます。「では何をすべきか?」と考えた時に、「インフレに負けない資産形成をしよう」という目的で投資という選択肢を選びました。インフレ対策こそが、私が今も投資を続けている理由です。
司会者:ありがとうございます。そのようなエピソードがあったのですね。
生徒7:私は、投資の目的は人生を豊かにするためだと思っています。高校2年生の時、学校へ行きながら週4日アルバイトをしていました。8時間働いても、アルバイトのため収入は微々たるものでした。また、個人的な意見ですが、身についたのは唐揚げを揚げる知識と、鶏むね肉を4等分にカットする知識くらいで、身につくものがほとんどありませんでした。
高校3年生になって、念願だった投資部員に初めて合格し、この1年間で物を見る目がかなり変わりました。だからこそ、投資はやはり、その後の人生を豊かにするためのお金や考え方のために必要だと思います。
司会者:ありがとうございます。唐揚げを揚げられることと、鶏むね肉を4等分にできるのも、今後の実生活にとても役に立つ立派な知識だと思います。
生徒8:投資部の教科書として最初に学んだ本に書いてあったとおり、「投資は自分の資産を守りながら育てるためにすることだ」ということを意識しながら投資をしてきました。結果、自分の資産を育てるだけでなく、世の中でお金はどのように動いているかを考えるきっかけになり、物事に興味を持つ機会が増え、とても学びになっています。
そして、もし投資で利益が出た時に、自分がいいと思える商品を消費することで、社会に還元しながら自分自身もうれしい気持ちになれたら、リターンが大きいと思います。
生徒9:私は、投資は社会に直接的に貢献しつつ、その貢献から出た利益を自分も分けてもらうためにするべきだと思っています。投資は、株を買うかたちで企業に資金を提供し、企業が利益を出したら、株価や配当というかたちで自分にも返ってくる仕組みです。自分の応援したい企業を直接支援できるところが、投資の最もすばらしい点だと考えています。
生徒10:私は、投資は世界が動いていることを実感するために必要だと考えています。投資部に入って投資を始める前までは、家、学校、祖母の家など自分の生活圏しか視界になく、大きく世界が動き続けていることを実感していませんでした。投資を始めて、私は自分が知るよりもっと大きなスケールで動き続ける、ダイナミックな世界の中に立っていることを実感できました。
その動いている世界のいたるところに興味が湧き、「私はこの世界で何ができるのだろう?」「何を受け取ることができるのだろう?」と考える機会になりました。投資は、世界が動いている実感を得るために必要だと思います。
司会者:すばらしいです。ありがとうございます。さまざまなエピソードがあり、聞いていてうれしくなります。
生徒11:私は、投資は企業にとっての一番のファンサービスだと思っています。株を直接買うことによって、もちろん利益を上げられたりもしますが、企業側から考えると、大事な株を売っているということは、究極のファンサービスだと思うのです。
もちろん、商品を買うのもそうですが、株を買うことで株主優待などの待遇があるところもありますし、お得です。そして何より、企業に対する愛の表れであると考えます。
生徒12:私は直球なのですが、投資は自分のためにするものだと思っています。お金を稼ぐのも自分のためで、それでいい気がしています。社会貢献の面も大きいと思いますが、自分が投資した企業が社会で活躍している、繁盛しているという実感を得たり、喜びを得たりするのも、ある意味自分のためだと思っています。
司会者:ありがとうございます。自分のために投資をするというのも、非常にいいことだと思います。
生徒13:私は、投資は社会や経済についての見聞を広げるためにやるべきだと思っています。私自身、投資を始めてから、投資する企業に関する情報をはじめ、選挙や為替、世界情勢などのニュースをかき集めるように調べ、経済の知識をもっと得ようと意欲的になりました。
投資することでそのような体験につながったので、社会や経済の知識を得るために投資をするべきだと思います。
司会者:ありがとうございます。回答として書いてくれていた、「投資は自分が社会との仲をより深めるための機会」という言葉が、とてもいい表現だと思いました。
生徒14:私は投資部での経験から、投資は金融教育の学びの一環として、有効な手段であると考えています。
個人的に大好きな作品である『半沢直樹』の中で、主人公が「自分の好きなところに投資したらいい。投資家もラブレターみたいに、自分が応援したいところに投資すればいいのだ」と語るセリフがありました。
これがすべてだとは思いませんが、投資をする時は、そのように自分が応援したいという気持ちは忘れないでいたいと思います。
司会者:ありがとうございます。事前回答に「回答には正解がなくて、人によってぜんぜん違う答えが出てくると思う」と書いてくれましたが、本当にそのとおりの結果になり、すごいと思いました。みなさま違う答えが出ており、正解はありません。
それをみなさまがしっかりと自分で手を挙げて発表できたのが、非常にすばらしいことだと思いました。では最後に、かぶ1000さんのご意見を聞いてみたいと思います。
株式投資は何のためにするべきか?

かぶ1000:みなさま本当に優秀ですね。私も『半沢直樹』が大好きで、30回から40回ほど見たと思います。趣味が合いそうですね。
「株式投資は何のためにするべきか?」という漠然とした質問で、みなさまがどのような答えを出すのか興味津々でした。私自身の考え方を簡単に言うと「自分を守り、視野を広げるため」だと思っています。
みなさまも経験して感じたと思いますが、投資は、いろいろな目線から判断をしていく必要があり、いわば総合競技のようなものです。みなさまがお話ししていたように、投資をすることで視野を広げていくことは非常に大切です。その中で知識を得たり、いろいろな経験をしたりすることが、自分の人生に活力を与えてくれると思うのです。
私は今52歳ですが、年に数回、「X」のスペースなどで株の話をすると、24時間から30時間ほど、ずっと話し続けていることがあります。普通の人には理解しにくいかもしれませんが、それができるのは、投資から活力をもらっているからです。投資は、自分の人生の活力を与えてくれる存在だと思います。
みなさまはご存知ないかもしれませんが、昔『クイズ面白ゼミナール』という番組がありました。その番組の冒頭で、司会の鈴木健二さんが必ず「知るは楽しみなり」と言っており、私はその言葉が好きなのです。知識を多く持つことは人生を豊かにしてくれるという意味ですが、まさに投資もこれに当てはまると思うのです。
もう1つ大事なことがあります。それは、江戸時代の近江商人の人が大切にしていた経営哲学「三方よし」です。「売り手よし、買い手よし、世間よし」という3つの視点がありますが、投資はまさにこれに当てはまると思います。
先ほど「企業のファンになる」という話をしていましたが、私も同じことを実践しています。投資の対象なので上場している企業に限りますが、例えば、自分が好きなお店があったとします。その時に、買い物をするだけではなく、その企業の株を買うのです。
自分がお金を使ってそのお店で物を買うことで、その企業の利益や売上が上がります。売上や利益が上がれば株価も上がります。その企業の株を持っていれば、使ったお金が株価の上昇というかたちで返ってくるのです。そのように経済は回っていくものです。
昔、日本の各地にたくさんあった商店街も同じで、いろいろなお店の中でお金が回って、どんどん豊かになり、商店街が発展すると外からもお客さまが集まるようになり、さらにお金が集まるのです。投資は、まさにそのような経済の循環を体験できる場なのです。
投資のいいところでもあり、難しいところでもあるのですが、投資家は「株主」「従業員」「お客さま」という3つの視点で見なければいけません。当然、企業の業績や利益は株主の視点として見ると思いますが、「この企業はきちんと従業員に給料を支払っているのか?」「離職率はどのくらいだろう?」といった視点も大切です。
離職率が高い企業は従業員に対して冷たい企業なのではないか? と疑い、自分がお客さまになってみて「この企業は自分にとって欠かせない存在だ」と思うなら、応援する意味で投資するのでもいいと思います。
そのような3つの視点で見ることができるのは投資しかないと思っているので、「株式投資は何のためにするべきか?」に対する回答は、「自分を守り、視野を広げるため」です。
何を守るかというと、投資を学び、過去のインデックスのリターンはだいたい7パーセントくらいという大まかな数字がわかってくれば、詐欺のような商品に騙されなくて済みます。
非常に高い利回りをうたい文句にしたり、「元本保証」といった耳障りのいい怪しげな金融商品が広告として出されていることもあります。しかし、しっかり投資の知識を学んでいれば、そのような金融商品には絶対に何か裏や落とし穴があると気づけると思うのです。
このように自分を守る意味でも投資の知識は大事であり、周りで騙されそうな人がいた場合にも守ることができるため、役立ててほしいです。
投資を楽しむ習慣を身に付ける

かぶ1000:やはり投資は、損した時はつらいものですし、失敗して資産が減ってしまった経験は誰しもあると思います。投資には、いい時も悪い時もあるのです。私自身、1987年から投資を続けており、1989年のバブル絶頂期も、2008年のリーマンショックも経験しています。
みなさまも「お金を増やしたい」「儲けたい」という気持ちで投資をしていると思いますが、その気持ちを最優先にしてしまうと、相場が悪化して損をしてしまった時に、やる気を失ってしまうと思います。だからこそ、お金を基準にするのではなく、投資を楽しむ習慣を身につけていくことが非常に大事だと考えています。
その中で大切な3つの要素をお話しします。投資は先ほどのスライドでお話ししたように、長く継続して行うことが非常に大事なのです。なぜなら、みなさまが勉強しているとおり、複利の力があるためです。
短期間で大きく利益を上げられればそれに越したことはないですが、難しいことです。そのため、長く継続して行うことが大事です。楽しくなければ、最初の1年、2年は頑張れても、なかなか長続きはできません。
投資は10年、20年と続けるものです。特にみなさんの場合はまだ若いので、残りの人生の時間も長く、その分、複利も長く使えます。そのような意味で、楽しみながら投資を続ける習慣をつけることが非常に大事だと思います。
習慣づけることの重要性について例えると、みなさまが毎日歯磨きをしたり、お風呂に入るのと同じような感覚で、投資と接する機会を増やしていくのがいいと思います。机に座って勉強することも大事ですが、そうではなく、自分の習慣の一部に取り込んでしまうことが重要です。
私の場合、街を歩いていて行列ができているお店があると「この企業は上場しているのか?」と疑問に思ったり、売れている商品があったら「この商品はどの企業が作っているのだろう?」とすぐに調べたりと、株につながるようなことにリンクさせていきます。このようなことを身につけていくと、投資のチャンスも増えると思います。
そしてもう1つ大事にしているのは、一喜一憂しすぎないことです。最初のうちは私自身も「上がって儲かった」「下がって損した」と毎日の結果に一喜一憂していた時期がありました。しかし、投資において本当に大事なのは、投資した判断が正しかったかどうかを考えることです。
儲かっても単に運が良かっただけだったり、たまたま儲かってしまったりということは投資でよくあることです。そのような成功体験は、のちに失敗の原因となることがあります。儲けや損、資産の増減を判断基準にせず、自分が行った投資の判断が正しかったかどうかを考えるべきです。判断が間違っており、仮に損をしてしまったとしても、損が最小限で済んだ場合はうまくいったことになるのです。
例えば、スーパーへ買い物に行くと、閉店間際にお弁当が半額になっていることがあります。なぜ半額になっているかというと、結局残ってしまったら、商品が捨てられて価値がゼロになってしまうからです。半額でもお金に換えることで、次の材料費に充てることができます。値段が下がれば「安くなったから買おう」という人が出てきます。これがいわゆる需要と供給です。
株にも同様の部分があり、失敗してしまっても、まだ買う人がいるうちはいいのです。しかし、本当に業績が悪くなり潰れてしまったら、株を買う人はほとんどいなくなってしまいます。そのため、投資した判断が正しかったのかどうかを、決算が出た時など、何か材料が出た時にチェックする習慣を身につけていくといいでしょう。
スライドの右側に「投資属性ランキング」というデータがあります。2003年から2013年と少し古いデータですが、お客さまのパフォーマンスを調査して、成績が良かった人の属性は、1位が亡くなっている人、2番目が運用しているのを忘れている人となっています。
つまり、日々の株価の上下は関係なく、結果的に株に投資をして、ずっと保有し続けている人の成績が一番良かったということです。
やはり私は、投資は長く継続して株を持ち続けることが第一だと考えています。そして時々、持っている銘柄が正しいかどうかをチェックします。これは、人間が病気じゃなくても健康診断をするのと同じようなものです。人間でいうと健康診断をして病気になっていないか、企業でいうと持っている銘柄に何か異変が起きていないかを調べます。
その程度のチェックでいいと思っているので、ぜひみなさまも楽しみながら投資を続けてください。人生も長生きをするためにはきちんと健康管理が大事なように、株も長く続けるためには、しっかり持っている株の診断をして、立派な診断士になれるよう、がんばって勉強してください。
人生プランの設計

かぶ1000:私の人生プランを4つほど考えました。みなさまにとって人生プランという言葉はまだ重いかもしれませんが、聞いてください。
私は専業投資家として一度もアルバイトや就職もしたことがない変わった人生を送ってきましたが、その中で大事にしてきたのは、投資、節約、そしてアービトラージの3つです。これらと同時に、人生のプランもずっと考えてきました。重要なのは、今の自分の位置づけを冷静に判断し、無理のない行動を続けていくことに尽きると思うのです。
4つの人生プランの1つ目は、自分にとって何が一番大事かを考えることです。
お金、家族との時間、健康、友達、自由な時間など、人によって大切なものはさまざまです。自分にしかわからないことなので、自分自身でじっくり考え、自問自答することが非常に大切です。答えによって目標も変わってくるので、みなさまも自問自答してみてください。
2つ目は、今の自分に何ができるかを考えることです。自分にできないことを考えても仕方がないのです。よく悩んでいる人がいますが、悩んで解決できることとできないことがあり、今解決できないことについては、考えても仕方がないのです。少しずつ、今の自分にできることから考えて実践していくことが大事で、その過程を何度も繰り返すことで、自分の進んでいく道が見えてくるのだと思います。
私自身も、投資でやっていこうと思う前は「就職するべきなのか?」と思ったり、親から「株で利益を出すなんて夢みたいなことを言っていないで働きなさい」と言われたりしました。しかし、「自分のやりたいことだから、どうしても投資でやっていきたい」という意志が非常に固かったのです。
どうすれば親が納得してくれるかというと、きちんと投資での運用益を証明しなければなりません。そのためには勉強をしなければいけないので、一生懸命、自分にできることをやってきました。
人と違った人生を歩むのはリスクがありますが、うまくいった時には非常に達成感があるので、いろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。
3つ目は、自分にとって何が向いているかを考えることです。人間にはどうしても向き不向きがあります。不向きなことは、無理してやる必要はないと思います。
ある程度お金に余裕ができれば、やりたくない仕事は無理にしなくてもいいです。収入が少なくお金がなかったとしても、節約する技術を身につけていれば、効率よく生活できるようになると思うのです。そのような相乗効果を活かし、不得意なことはなるべくやらず、得意なことをしていくことで、実は不得意だったことも得意になることがあります。
投資についても、個別株投資で成功してほしいとは思いますが、なかなかうまくいかない人には、市場の平均点を取ることができるインデックス投資という手段があります。
先ほどお話があったように、プロでも市場平均を上回るのが難しい時代なので、インデックス投資も決して悪い投資先ではないと思います。
個別の取引で「うまくいかない、苦手だ」と思う人は、まずはインデックス投資をして、やはり個別株投資をやりたいと思ったら、その一部でまた個別株投資をやってみるのはいかがでしょうか? 「うまくいった」と思ったタイミングで、個別株投資の比率を増やしてみるのもいいと思います。無理して個別株投資を続ける必要はありませんが、投資自体は続けたほうがいいです。
4つ目は、投資をする上での最終的なゴールをイメージしておくことです。みなさまは若いので、ゴールを考えるにはまだ早いかもしれませんが、あらかじめゴールまでの対策を考えておくのがいいと思います。
私はみなさまのお父さんより上くらいの年齢なので、人生の残り時間はバッテリーで言うと35パーセントから40パーセントほどです。ある程度、経済的に安心できるくらいの資産ができた後、何をしたいかを決めておかないと、お金を稼ぐことだけが目的になってしまう人が多くいるのです。
私の周りにも、株で成功して10億円もの資産を持っているのに、持っているだけで使わない人も少なくありません。それでは、何のためにお金を稼いだのかわからなくなってしまいます。
私の場合は、投資で資産を運用して育て、できるようになったことが増えました。昨年開催された大阪・関西万博に184日間、毎日通いました。普通はなかなかできないことだと思いますが、投資がうまくいき、お金も時間もあったので実現できました。このように、投資は自分の夢を実現するための道具の1つだと思います。
ぜひみなさまにも、最終的に自分がどのようなゴールを目指したいのかを考えてほしいです。例えば「大金持ちになりたい」といった夢でもいいと思うのです。人生は一度きりなので、悔いを残さないように、いかに人生を充実させていくかというのはすごく大事なことです。
投資も非常に大事ですが、「自分はどのようなことをしていきたいのか?」「どのような人生を過ごしたいのか?」ということを一緒に考えてみてください。


