第135回 個人投資家向けIRセミナー 第1部
BeeX、企業を「AI Ready」へ導く基盤整備を支援 インフラ・アプリ・データ・SAP領域でモダナイゼーションを推進
会社概要

広木太氏(以下、広木):株式会社BeeX代表取締役社長の広木です。本日はよろしくお願いします。さっそく、事業概要についてご説明します。当社の事業内容は少しわかりづらい点もあると思いますので、できるだけわかりやすくお話ししたいと思います。
当社は2016年3月に創業し、現在11期目を迎えています。クラウドを専業とするシステムインテグレーターであることが第1の特徴です。
BeeXビジネス領域

広木:クラウドにはさまざまな種類や形態がありますが、当社がどのような事業を行っているのかについてお話しします。
こちらのスライドは、クラウドの分類を示しており、上からSaaS、PaaS、IaaSの順に表示されています。
SaaSは、特定の目的のために作成されたソフトウェアをクラウドサービスとして提供するものです。一方でその下のPaaS、IaaSはシステムを構築するための部品をクラウドサービスとして提供するものです。
当社はSaaSを提供する会社ではなく、お客さまのリクエストに応じてIaaSやPaaSの部品を組み合わせてシステムを構築する、というビジネスを行っています。
クラウドベンダー市場動向

広木:スライドのグラフはクラウドベンダーの市場状況を示しています。
IaaSやPaaSの領域においては、複数のプラットフォーマーが存在しますが、主要なプラットフォーマーが3つあります。Amazonの「Amazon Web Services(AWS)」、Microsoftの「Microsoft Azure」、そしてGoogleの「Google Cloud」の3つです。
3社で市場の60パーセントから65パーセントを占めており、この傾向は世界でも日本でもあまり変わらないと考えています。
BeeXのマルチクラウド対応力

広木:当社は「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」の3つすべてを取り扱っている点が、まずお伝えしたいポイントです。
当社と同規模のクラウドインテグレーターの多くは、どれか1つに特化している場合が多いですが、利用が多様化している現在、当社は特定分野に偏ることなく、3つすべてに取り組むことを基本戦略としています。
ただし実際には、売上の約7割は「AWS」となっています。当社は「AWS」において「プレミアティアサービスパートナー」という最上位のランクに認定されています。日本国内ではこのランクに該当する企業は15社です。NTTデータさんや富士通さんなど大手のSIerが多く名を連ねる中で、まだ規模が約200名の企業であるにもかかわらず最上位に認められたことが、当社の大きな強みだと考えています。
また、SAPのパートナーである点も特徴です。SAPはドイツの基幹系システムのパッケージベンダーですが、当社はサービスパートナーとして、基幹システムや業務システムを中心にインテグレーションを行っている点もクラウドインテグレーターの中では特徴的なポイントです。
事業内容

広木:我々の事業形態は3つあります。1つはクラウドインテグレーションです。クラウド導入を推進するためのコンサルティング、クラウドシステム構築やアプリケーション開発などを行っています。
2つ目は、スライド中央にあるクラウドライセンスリセールです。いわゆるライセンス販売です。
従来のライセンス販売といえば、「1億円のパッケージを販売しました」といった一過性のモデルが主流でしたが、クラウドの場合はみなさまもご存じのとおり、月額課金となります。契約すると、利用料として月額課金されていくストック型のビジネスモデルです。
3点目はマネージドサービスプロバイダーです。わかりづらいですが、簡単に言うと運用保守のことです。
SAPのような基幹システムをクラウドに移行した後、その管理・運用が課題となります。企業の基幹システムを安定的に稼働させるため、24時間365日体制での監視、障害発生時のトラブル対応や、クラウドの運用代行などを提供しています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社がクラウドの移行から保守までを手掛けていることをご説明いただきましたが、スライド下部に売上の割合が記載されています。近年、その売上に変化があったのか、また、どの分野が特に伸びているのかを教えていただけますか?
広木:もともとはストック型とフロー型は、半々ほどの割合でしたが、現在はストック型の割合が大きくなっています。これは新たな顧客の開拓が進んでいるとともに、顧客のクラウドの利用が拡大し、ビジネスが順調に拡大しているためです。
坂本:請求代行サービスのような部分も含まれていると思います。以前ご登壇いただいた際に、請求がドル建てで行われ、それを円建てにして請求したほうが社内で通りやすいといったお話があったと思いますが、そのような話も含まれていますか?
広木:そのとおりです。クラウドサービスの多くは、クレジットカードでの支払いが中心ですが、円建て・請求書払いという日本の商習慣にあわせることで顧客を獲得できています。
坂本:マネージドサービスプロバイダーも保守に関連する部分で、ストック型の収益となるので、母数に対しては増加傾向があると考えてよいでしょうか?
広木:おっしゃるとおりです。
お客様の基幹システムクラウド移行支援

広木:当社の特徴として、SAPを中心とした基幹系システムの移行を中心に行っている点が挙げられます。
クラウドインテグレーターにもさまざまな会社があり、例えばゲーム系が得意な会社やエンタメ系が得意な会社、ファイルサーバーなどOA系システムが得意な会社など、多くの専門性を持つ会社がありますが、我々は基幹システム、業務システムを中心に活動している点が特徴です。
企業の重要なシステムを扱うという性質上、それを起点に企業内のさまざまな領域に広げていけることが、大きな強みであると考えています。
坂本:世の中にはクラウド化を支援する会社が多く存在していますが、御社の場合、ゲームやファイルサーバーではなく、基幹システムに特化されているというお話をいただきました。その中で、御社がお客さまから選ばれる決め手となる要素についてうかがいたいです。例えば、AWSの最上級パートナーであることや技術力が評価されている点などがあるかと思いますが、そのあたりについても教えてください。
広木:当社はクラウド専業で活動していることで、他社にはない非常に高い技術力を持っており、多くのお客さまから評価されています。加えて、基幹システムなど企業にとって重要なシステムを運用する力を持っていることが、強みです。
安定的にシステムを稼働させる能力、また安定性だけではなく、ビジネス変化に対応できる柔軟性の高いシステムを構築・提供しています。クラウドとして最適化されたかたちでシステムを構築し、それを適切に運用できるようにすることが非常に重要です。この点が、多くのお客さまに評価いただけている部分だと考えています。
豊富な導入実績 (基幹システムSAP)

広木:SAPシステムを導入しているのは大手企業が中心です。よって当社の顧客は大手企業中心である点、強固な顧客基盤を持っている点が我々の強みだと思っています。
坂本:御社では基幹システムのクラウド化にあたって、すべてを一度にクラウド化するかたちなのか、それとも段階的に移行させるかたちを取っているのか、基幹システムという点で一気に移行する方法を採用しているのでしょうか?
広木:SAPシステムはワンパッケージで、会計からロジスティクスや生産までを網羅しているため、移行時は一気に移行する場合が多いです。
ただ、SAPは単体で運用されているわけではなく、さまざまなサブシステムとの連携があります。そのため、お客さまによっては、リスクとお客さま社員の負荷などを顧慮して段階的に対応する場合があります。
坂本:SAPシステムのクラウド化移行は、ほぼ終わっている状況にあるのでしょうか? 大手企業中心ということもあり、数自体はそれほど多くないと考えます。
広木:率直にお話ししますと、超大手企業ではクラウド化の移行がかなり進んでいると思います。ただ、中堅企業では、SAPの維持管理に多大なコストがかかることから、どこに投資すべきか判断が難しく、移行が進んでいない企業もあるというのが現状です。
マルチクラウド対応マネージドサービス

広木:ストック型ビジネスについてです。当社の強みの1つは、一過性のシステムインテグレーションに加え、安定的な収益を生み出すストック型ビジネスを有していることです。
ライセンスリセールとMSPにより、売上の70数パーセントがストックになっており、これが当社の強みと考えています。
業績サマリ 前期比較

広木:当社は2月決算の会社であり、このスライドは前期の業績を示しています。
売上高は100億円を超え、106億2,600万円となりました。前年同期比で14.8パーセント増加しており、継続的に成長を遂げています。
営業利益については、若干の減少は見られるものの、全体としては順調に成長しています。売上高が100億円を超える規模まで達したことが、大きなポイントだと考えています。
坂本:売上は順調に伸びている一方で、営業利益が減少した要因については、のれんの償却、海外事業関連、採用費や人件費の上昇など、コスト増加の影響が大きいのではないかと思います。このあたりについて、もう少し詳しく教えてください。
広木:成長のための投資が主な要因です。この点については後ほど詳しくお話ししますが、マネージドサービスプロバイダー(MSP)の運用に関連する企業買収や海外拠点拡大のための投資を行っています。
また、売上構成の変化も影響しています。ストック型のライセンス売上が伸びているのは非常に良いことですが、ライセンス売上は仕入れて販売するビジネスであるため、利益率がやや低い傾向があります。売上構成の変化により、若干の利益の減少につながったものと考えています。
サービス別売上高

広木:こちらのスライドは、売上の3つの割合です。グラフ内のオレンジ色の点線で囲んだ部分は、ストック型のクラウドライセンスリセールとMSPと呼ばれる部分で、これが先ほど触れたとおり、成長しているのが見ていただけると思います。
坂本:ストックがこのまま積み上がることで、業績や利益の安定につながると考えていますが、このストックを積み上げるために実施している施策について教えてください。
広木:1つは、ライセンスリセールの施策です。当社は基幹システムの移行をメイン事業としていますが、移行にはかなり時間がかかり、ストックにつながるまで時間がかかります。
坂本:お客さまによって異なるとは思いますが、提案してから移行までにどのくらい時間がかかるのでしょうか?
広木:お客さまによって異なりますが、長い場合は3年先の話をしているケースもあります。短くても半年はかかることが多いです。一度成約すれば大きな売上が見込めますが、時間がかかるという課題があります。
坂本:SAPは汎用的でカスタマイズ性の高いシステムであるため、それを1つずつ対応するとなると、どうしても時間がかかるということですね。
広木:はい、そのとおりです。そのため、この方法だけでは売上を伸ばすのに時間がかかる場合があります。そのため「クラウドインテグレーションからスタートし、その後ライセンスリセールを進める」という従来型の流れだけではなく、逆にライセンスリセールを最初に進める取り組みを行っています。
クラウドに移行したものの、課題を抱えてうまく活用できていないお客さまに対し、「さまざまな支援を行いますので、ライセンスリセールとサポートを当社に支援させていただけませんか」という提案を行い、ストックを基点としてインテグレーションを行うモデルを2025年頃から導入しました。これにより、ライセンスリセールの売上が大幅に伸びてきています。
クラウドライセンスリセール売上の推移

広木:クラウドライセンスリセール売上の推移です。「AWS」のライセンスリセールが圧倒的に多く、続いて「Azure」です。特に「AWS」が大きく伸びています。
クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移

広木:ライセンスリセールビジネスのアカウント数です。こちらは顧客数ではなく、複数アカウント契約されているお客さまも少なくないため、「契約数」となります。
契約数も順調に伸びており、今後も売上の拡大が期待できると考えています。
マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移

広木:こちらはマネージドサービスプロバイダーの売上について、運用保守の実績に関する内容です。
スカイ365というクラウドMSP専業会社を子会社化したことで大きく売上が伸びました。
ユーザー数については、第4四半期に大手のお客さまが内製化に切り替えた影響で一部減少したところもありますが、基本的には順調に推移していると考えています。
2027年2月期 連結業績予想

広木:業績予想です。今期2027年2月期については、売上高は前年より17.8パーセント増を計画しています。
主にMSPの分野、特に海外のオフショアセンターやAI関連のさまざまなプラットフォームの開発に投資していく予定です。そのため利益については、伸びは小さいものの、売上は堅調に伸ばしていけると考えています。
中期経営計画の売上高目標

広木:ここからは成長戦略についてお話しします。2030年の売上目標として、200億円から220億円を設定しています。
この後の成長戦略で触れますが、それだけでなく、M&Aも含めて目標を達成したいと考えています。
SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援

広木:ここからは我々が今後進める成長戦略について、3つお話ししたいと思います。
1つ目は基幹システムのクラウド化・モダナイズ化です。具体的には、先ほどからお話ししているSAPに関連する内容です。
ご存じの方も多いと思いますが、「SAP ERP 6.0」というSAPのバージョンの標準サポートが2027年に終了し、延長サポートも2030年に終了します。そのため現在、多くのお客さまでは、「S/4HANA」という新しいバージョンへのコンバージョンを進めています。
S/4HANA化は大手企業ではすでに対応が進んでおり、完了もしくは現在進行中の顧客が多い状況です。しかし、中堅企業においては、コスト面の理由から「いつやろうか?」と悩んでいるお客さまも多いのが現状です。我々としても、未着手のお客さまを支援する体制の強化をしていきたいと考えています。
ただし「S/4HANA」には厄介な点があります。「S/4HANA」にはマイナーバージョンが存在しており、5年から7年で保守が終了します。そのため、「S/4HANA」を2020年より前に導入したお客さまについても、S/4HANA化したのにすでに保守が切れている状況となっています。
坂本:その場合はどのように対応するのでしょうか?
広木:「S/4HANA」のマイナーバージョンアップが必要となります。スライドのチャートにも「S/4HANA化・Cloud化」の後に「S/4HANAアップグレード」と記載がありますが、当社では、2020年または2021年頃に導入されたお客さまで、今年や来年に保守が切れるお客さまの「S/4HANA」アップグレードの対応も同時に進めています。
坂本:システムが新しくなることで、汎用性や規格が明確になり、従来のものが使えなくなるといった懸念もありますが、その点についてはどのように考えていますか?
広木:確かに使えなくなる機能もあります。古い機能で、時代にそぐわないものはSAPが廃止し、新しい機能と置き換えています。そのため、S/4HANA化する際に、それらの機能の切り替えも必要になります。
坂本:そのような部分も御社がサポートされるのでしょうか?
広木:そのとおりです。アドオン機能の回収も必要になることがありますので、その対応も行っています。
また、SAPでは「クリーンコア」、いわゆる「SAP本体にアドオンをやめましょう」というアプローチを推奨しています。SAPのコア部分ではなく、外側で開発する「Side by Side」という方法をSAP社は提案しています。当社は、単純にアップグレードするだけでなく、「Side by Side」という開発への置き換えも支援しています。
S/4HANA化のための2つのアプローチ

広木:S/4HANA化にはアプローチが2つあります。1つ目は「ブラウンフィールド」と呼ばれる、既存のシステムをベースに移行していくという方法です。具体的には、先ほど述べたような標準機能の修正やアドオン部分の修正を行いながら進めます。
もう1つは「グリーンフィールド」と呼ばれる方法で、新たにシステムを構築する方法です。
またSAPを導入しておらず、新規で導入するお客さま向けにはSAPが提供を始めたSaaS型のERPを推奨しています。
当社はこれまで「ブラウンフィールド」を主軸としていましたが、このSaaS型ERPが特に中小企業に適していると考えており、現在この分野への取り組みを開始しています。
坂本:そのような方法での移行支援は、大きなビジネスになると考えられます。ただ、需要が非常に多く、御社では対応しきれない部分もあるのではないでしょうか。例えば、エンジニア不足などの課題があるかと思いますが、現在の状況を教えていただけますか?
広木:移行案件は非常に増えており、より多くの人員がいればさらに対応可能な範囲は広がると思います。また、コンサルティングにも得意分野があり、もう少し特定のレイヤーのコンサルタントがいれば、さらに幅広い支援が可能になるのではないかと考えています。これが、課題となっている点です。そのため、採用や教育の強化に取り組んでいます。
坂本:クラウド化の支援も含め、エンジニアはもともと人数が非常に限られており、高度な知識が求められると聞いています。現在、エンジニア数は増えているのでしょうか?
広木:我々は採用活動を進め、新卒採用も開始して教育を始めています。これまで中途採用のみを行っていましたが、今年4月に初めて新卒採用を実施しました。
坂本:実際のところ、新卒で即戦力となる人材を確保するのは難しいのではないでしょうか? インターンなどで経験を積んできた方でも、そこまでいくケースは少ないですよね。
広木:おっしゃるとおり、これから育てていく段階です。ただし、AIなどを活用することで教育方法自体が変わりつつあると感じています。以前は、知識をしっかりと教えることに時間をかけてきましたが、AIにより、そこがかわりはじめています。
坂本:AIを教育や作業に活用することは、どの程度進んでいるのでしょうか?
広木:開発の分野では、AIの活用が非常に進んでいます。例えば、SAPの開発にもAIを活用しています。スライドには「独自テンプレート化」と記載していますが、これも実際にはAIを駆使して行っています。
代表導入事例 アスクル様

広木:移行事例として、アスクル株式会社さまの事例をご紹介します。
アスクルさまはご存じのように、企業向けのECやBtoC向けの「LOHACO」を運営しており、基幹システムを停止することが許されない状況です。システムが停止すると出荷に影響が出てしまうため、部分的な移行ができず、SAPのワンパッケージの特性上、一気に切り替える必要がありました。したがって、最短時間でシステムを移行する必要がありました。
通常、アスクルさま規模のシステムの場合、システム停止期間が4日から5日必要とされますが、1日で移行を完了させました。この取り組みは、今後当社の差別化となるノウハウとして活用していきたいと考えています。
BeeX独自テンプレートの提供

広木:先ほどお話をしたSaaS型ERPは日本企業においては利用しづらい部分もあります。それを解消するためのパーツのテンプレート化を提供しています。今後、BeeX独自テンプレートのリリース、SssS型ERPの早期導入を後押しする施策を強化していきたいと考えています。
国内AIシステム市場動向

広木:成長戦略の2点目は「AI and Digital トランスフォーメーション」です。スライドのグラフは調査会社によるAI市場予測ですが、市場が大きく伸びているのは、おそらく、みなさまのイメージどおりだと思います。
BeeXにおけるAI活用への取り組み

私たちのAIへの取り組みについて紹介したいと思います。まず、最初に取り組んだのは自分たちで実際に使ってみることでした。
最近では「クライアントゼロ」という表現を使いますが、自分たちでAIを活用してみることが重要です。最初に取り組んだのは、社内のナレッジの活用のためにAIを導入しました。続いて行ったのが、AIを活用しての開発や、運用部分において人間が手作業で行っていたプロセスをAIに切り替えるよう改善を進めてきました。
これら社内で得たノウハウを基に、お客さま向けアプリケーション開発へのAI活用や、お客さまのAIシステムの構築などを支援しています。
特に、アプリケーション開発やテストは一気にAI化が進みました。エンジニアの仕事は、AIに指示を出してレビューを行うといったかたちに徐々に変化しています。
企業のAI駆動を推進

広木:我々はAIに対して、企業のAI推進において重要なのが「AI Readyモダナイゼーション」と呼ぶ取り組みです。これは、企業がAIを活用できるようにしていく取り組みを指します。
業務システムの中には古いものが多く、外部と通信するAPIも備えていない場合があります。そのため、AIとの通信も不可能となり、「Readyになっていない」状態が発生しています。このような課題を解決することが必要です。
また、データの部分についてもよく言われるように、データをAIが利用できる状態にすることが求められます。このため、まずデータ基盤を「AI Ready」な状態に整える提案を行っています。
さらに、「企業の文化をAI Readyに」というと少し偉そうな表現をしていますが、企業がAIを活用できるような伴走支援も行っています。例えば企業の内製開発に関しても、単純にAIを活用するだけではなく、AIを前提とした開発プロセスにアップデートする支援も提供しています。今後はこのような支援をさらに拡大していく予定です。
坂本:「AI Ready」の話ですが、このサービスをマネタイズする方法について、運用保守に関する部分も含めて教えてください。
広木:2つあります。1つは、「AI Readyモダナイゼーション」の部分で、現在のシステムを改革していくものです。これはコンサルティングおよびシステム構築という、フロー型のビジネスです。
もう1つは伴走サービスです。なにかシステムを入れて終わりではなく、顧客に寄り添う伴走支援サービスを拡大していきます。
4つのAI Ready モダナイゼーション

広木:「AI Readyモダナイゼーション」について4つ挙げています。インフラモダナイゼーションとアプリケーションモダナイゼーションは、インフラの運用にAIを活用することや、アプリケーションをAIと連携可能なものに変えていくことなどが含まれます。
そして、「AI Ready」において最も重要なのはデータの部分です。AIはデータがなければ機能しないため、構造化データや非構造化データといった表現をしますが、SAPのような基幹システムのデータや、工場など現場に分散しているデータをAIと連携できるようにする、といった取り組みが現在重要視されています。
特に先ほどのSAPの話に関連しますが、S/4HANA化を終えた後に次に何を行うかという点では、データとAIが中心となっています。「SAP+データ+AI」という分野でのビジネスを拡大していきます。
Claudeのリセラー契約を締結

広木:AI関連のトピックを1つご紹介します。Anthropic社の「Claude」のリセラー契約を約2週間前に発表しました。「Claude」のリセールを推進するとともに、AI活用の伴走支援につなげていきたいと考えています。
マルチクラウド対応マネージドサービス

広木:最後はマルチクラウドリセールとMSPになります。こちらは、先ほど示したように、ライセンスの販売とMSPになっています。
MSP専業会社スカイ365との連携によりMSP事業拡大

広木:昨年4月からMSP専業会社であるスカイ365を子会社化しています。同社はもともとクラウドMSPに特化しており、この分野において他社にはない強みを持っています。2社が連携することで、当社エンジニアと同社エンジニアのノウハウ共有や人材交流、運用基盤の共通化などを実施していきます。特に、今後AIを活用した運用が重要になってくる中で、単独ではなく協力して進めることにより、大きな成果を獲得できると考えています。
BeeXグループの株式会社スカイ365、ベトナム・ニャチャンに海外MSP拠点を開設

広木:海外展開の一環として、昨年よりベトナムのニャチャンに拠点を設け、オフショア業務を開始しました。まだ立ち上げたばかりですが、すでにいくつかのお客さまが運用をスタートしています。
スライドの下段にも記載されていますが、軍と民間が共同で設立した「アーミーソフトウェアパーク」という施設があります。そのため、セキュリティ面については、街中のシェアオフィスのような環境ではなく、しっかりと確保できると考えています。
坂本:ニャチャンへの進出は、軍と協力している部分もあると思いますが、人材が豊富であることも要因に挙げられますか?
広木:ベトナムは若年層が多い国であり、少子化が進む日本と比較すると非常に勢いがあります。また、チャレンジ精神にあふれた風土もあります。人材の確保の観点からは非常に有効だと考えています。
ニャチャンにするか、ダナンにするかで悩んでいました。ダナンはIT分野で大学もあるため魅力的でしたが、ニャチャンでは現地のインテグレーターとタイアップし、日本語が堪能な人材の採用・人材開発、ファシリティの設計まで行っていく体制が組めたため、早期の拡大ができると確信し、ニャチャンを選択しました。
坂本:あまり聞かないですが、ニャチャンには日本企業も進出していますか?
広木:あまり多くありません。私も訪れましたが、日本人にはあまり会いませんでした。ただ、ニャチャンは空気がきれいで環境が良いのが特徴です。都心にいる方が移住するケースもあり、そのような方の採用も進めていきたいと考えています。
現在、オペレーション代行業務を進めています。例えば、SAPの業務でも比較的容易な業務を彼らに任せる取り組みを始めたところです。現在も複数のお客さまに関心を持っていただき、お引き合いをいただいています。
坂本:これがさらに進めば、かなり違うこともできそうですね。
広木:はじめは簡単な業務を任せつつ、より高度な部分は日本側で対応するといったかたちで業務を階層化しています。また、最終的には彼らにも高度な業務を担っていただくことを視野に入れ、数年をかけて進めていきたいと考えています。今後の成長が期待できる部分だと思っています。
クラウド運用保守の販路拡大

広木:MSPについてですが、SB C&Sさんとタイアップしたクラウド運用サービスの提供を新たな施策として開始しました。
坂本:SB C&Sというソフトバンク系列の会社が1万5,000社の販売ネットワークを活用されるということですが、御社はこれまで大手企業向けの仕事のウエイトが大きかったのではないかと思います。間接販売チャネルを採用することで、今後売上としてどの程度成長するイメージをお持ちでしょうか?
広木:我々の売上全体の2割や3割といった規模にはまだ達しないだろうと思っています。1件1件の案件は比較的小規模なものになると考えており、例えば中小企業でまだクラウド活用に慣れていないお客さまに対し、カスタマイズ不要なサービスをリーズナブルに提供するモデルを採用しています。
大手企業向けにはベトナムを活用してお客さまの業務をアウトソースしていただくクラウドサービスを提供しつつ、中小企業向けにはコストエフェクティブなサービスの提供という、2つの方向性で進めようと考えています。
我々が直接このような小規模なお客さまへのアプローチを進めるのはリソース面で厳しい部分もあるため、その意味ではSB C&Sや販売会社網を持つ企業と連携することで、新たな販路が開拓できるのではないかと期待しています。
今回はその第1弾にあたりますが、今後第2弾、第3弾として、中小企業向けにクラウド活用に対する不安や、最近特に多くなっているセキュリティ面の課題に対応したパッケージを順次提供していく予定です。
マネージドサービスの推進

広木:こちらのスライドは、先ほどのご説明をまとめたものです。もともとはクラウド運用監視、24時間365日体制の監視業務を中心に取り組んでいました。しかし、現在はクラウドを安全・安心に活用いただくためのセキュリティサービス、そして、スライドにはBPOと記載していますが、先ほど触れたベトナムを活用したITアウトソーシングの提供を拡大していきます。お客さまの業務を単に当社に移管するのではなく、AIを活用して効率化した上で移管することを目指していきます。
さらに、AI-Opsやオブザーバビリティという新しいサービスを提供していきます。MSPはストックとして成長が見込まれる分野であり、ここを強化することで利益率の高いストックビジネスを拡大していきたいと考えています。
MSPの事業領域を着実に拡大しながら、高い利益率を持つストックビジネスを伸ばすことが、今後の成長における重要な施策と考えており、さらなる強化に力を入れていきたいと考えています。
以上でご説明を終了します。早口でわかりづらいところがあったかもしれませんが、その場合はお詫び申し上げます。
質疑応答:M&A戦略と大型案件獲得の見通しについて
飯村美樹氏(以下、飯村):「2030年2月期の売上目標200億円超に向けた具体的なM&A戦略、そして大型案件獲得の見通しを教えてください」というご質問です。
広木:まだ具体的にどの企業をM&Aするかは計画中ですが、MSPを伸ばすことやSAPの周辺領域、つまり当社がまだそれほど得意としていない分野を中心に進めていきたいと考えています。
大型案件については、現在提案しているお客さまの中には、2年後や3年後に相当規模の案件が見込める企業があります。中堅企業ながらSAPを活用している企業、つまり事実上は大企業と言えるお客さまです。
当社としては、超大手ではなく、このような企業に対して、なるべくコストを抑え、AIを活用して業務を自動化することで、これまで数億円かかっていたシステムの費用を極端に言えば半分に抑える、またはプロジェクトスピードを大幅に向上する、といったアプローチを提案しています。このような提案が、大型案件の受注につながるのではないかと考えています。
飯村:やはり柔軟性の高さが企業から非常に評価されるポイントになるのでしょうか?
広木:おっしゃるとおりです。これも私がクラウド専業の会社を立ち上げた理由の1つですが、大手企業は従来のやり方でクラウドを活用していることが多かったです。
当社のようなテクノロジーを中心に据えた企業は、よりクラウドらしいクラウドネイティブなアプローチやAIを活用したアプローチが取れる点がメリットだと思います。そのようなところで、従来の常識にとらわれないかたちに変えていきたいと考えています。
質疑応答:競争環境激化に関する見解について
飯村:「今後、御社を取り巻くマーケットの見通しをどのように捉えていますか? 競争環境は激化していくのでしょうか?」というご質問です。
広木:我々の特徴としてクラウドネイティブであるとお伝えしましたが、現在では大手SIerもクラウドネイティブ化が進んでいるため、競争環境は激化していると考えています。
ただし、その中でAIが急速に進展し、我々のようなクラウドインテグレーターやシステムインテグレーターのビジネスモデルは、人月商売から変革していく必要があるという課題が浮き彫りになってきています。したがって、この変化にどう対応していくかが非常に重要だと考えています。
我々がまだ小規模であるという点は、ある意味で強みにもなり得ると考えています。単に多くの人員を抱えていることをどのように活かすかではなく、AIを活用して業務を変革し、我々の現在持つチャレンジングな特性を活かすことで、競争環境において逆にリードしていける可能性があると考えています。
需要に関しては、クラウド化は依然として進行中であり、その需要はまだ大きいと考えています。また、SAP関連についても、単純なS/4HANA化だけではなく、多様なニーズが存在しているため、今後も非常に市場規模が大きいと見込んでいます。
飯村:どのような会社がどの程度のシステムを、どれくらい移行できているのかは、なかなか見えにくいところですね。
広木:「AWS」も以前、「まだ7割残っている」という趣旨の発言をしていました。単純にまだオンプレミスを利用しているケースや、クラウドに移行はしたが、中身は20年前のアプリケーションをそのまま使い続けている会社も多いです。
クラウド化していても単にクラウドに移行しただけで、クラウドに最適化されておらず、先ほどのAI Readyといった取り組みが必要なケースも多いです。
クラウド上で稼働しているだけで、クラウド環境としてまだ十分ではない場合も含めると、大きな需要はまだまだあると感じています。
質疑応答:人材育成について
飯村:「今後の成長に向けた人材育成の取り組みについて知りたい」というご質問です。今年から新卒採用も始まったとのことですが、人材に関してはいかがでしょうか?
広木:もともと、我々は即戦力重視で採用を行っていましたが、それだけではなかなか採用が難しいという課題があり、新卒採用も開始しました。これまでは中途採用者でオンプレミスしか経験がない方々に対し、クラウドのやり方に関するトレーニングを多く実施し、そのノウハウが蓄積されてきました。そのノウハウを新卒の方にも提供していく予定です。
また当社は、SAPシステム構築から、クラウドネイティブ開発や運用保守まで行っており、小規模ながらも総合SIerに近い業務幅を持っています。そのため、AIの活用についても部署によって活用の仕方が異なっています。このような状況で、ノウハウを集約し、全社員に教育していくことが重要だと考えています。従来のトレーニングに加え、AI時代に対応する新たなトレーニングへの取り組みを進めています。
飯村:IT人材が不足しているという話は、さまざまな場面で耳にしますが、求める人材像が少しずつ変化してきているというのは意外でした。
広木:単に少し知識があるだけではなく、特にAI時代の人材として、私もパネルディスカッションなどで話す機会がありますが、多くの方が共通して話されるのは、従来は即戦力になっていた技術知識が少しある人材ではなく、しっかりとお客さまと会話して課題を抽出し、その課題に対してどのように活用できるかを考えられる能力が求められているという点です。
坂本:高いコミュニケーション能力やコンサルティングの資質といったものですよね。
広木:そのような能力が非常に重要になってきていると感じます。ただ、それは今にはじまった話ではなく、個人的には、よりITの本質に立ち返っているようにも思います。
坂本:お客さまとしっかり対話し、ニーズを的確にくみ取るということですね。
広木:我々にも認定資格を取るためのトレーニングマテリアルのようなものがありますが、そういうことではないですよね。課題抽出・課題設定、それに対する提案といった能力が重要になります。
質疑応答:新卒採用の状況について
坂本:「新卒は何人採用したのでしょうか? また応募者数は多かったのでしょうか?」というご質問です。
広木:4人の新卒採用を行いました。応募者数は非常に多く、200人から300人規模で応募がありました。その中から最終面接に進んだのはおよそ10数名で、新卒の方については私が全員を面接し、その中から4人を採用しました。
飯村:社長面接では、先ほどのお話に挙がったようなポイントが重視されたのでしょうか?
広木: AIでもっともらしい回答を用意してきている印象もいくつか受けました。そこで、抽象化力を必要とするような質問もしました。それに対して、すごい回答を期待しているわけではないですが、自分できちんと考えて話しているのかを重視しました。
坂本:面接を受ける方々は、クラウド化に関する知識を高めたいと考えている人が多い印象ですか?
広木:クラウドや新しいことにチャレンジしていきたいという方が多かったです。SAPよりも、どちらかというとクラウドやAI関連の分野に興味を持っている方が多い印象です。
質疑応答:ニアショアとオフショア戦略について
坂本:「オフショアの規模を拡大する計画でしょうか? 他社では国内の地方でのニアショアの例も聞きましたが、御社はそれも検討しているのでしょうか?」というご質問です。
広木:先ほどは説明を省略しましたが、スカイ365は北海道にあります。そのため、ニアショアとオフショアの両方で取り組んでいきたいと考えています。
ただし、ニアショアだけでは採用がかなり厳しい状況であるため、ニアショアとオフショアを組み合わせて進めていく方針です。オフショアだけに依存するのではなく、ニアショアとのハイブリッドで進める取り組みにも挑戦したいと考えています。
質疑応答:AIを活用した業務効率化について
坂本:「AIで業務を効率化されているとご説明いただきましたが、そこで空いた社員のリソースはどのような方向に振り向けているのかを教えてください」というご質問です。
やるべき仕事はたくさんあり、それを行っていくという話ではあると思いますが、AIを使って業務効率化した例などがあればご教示ください。
広木:空いたというよりも、効率化された点が非常に大きいと思います。これまでの開発業務において、我々も社員だけでは対応しきれず、ビジネスパートナーを活用していました。しかし、そのような部分をAIの導入により効率化し、人手を減らすことが可能になることが期待できます。
したがって、我々としては利益率の向上や顧客への付加価値の提供につながったと認識しています。空いたというよりも、効率化により余分な費用を削減できるようになる点が大きいと思います。
広木氏からのご挨拶
広木:我々は基幹システムを中心に、企業の重要なシステムの刷新に取り組んでいます。今後は、「AIなどをいかに活用するか」が重要だと考えています。我々自身の活用とお客さまの活用、その両面をさらに拡大することで、より良い社会作りに貢献したいと考えています。投資家のみなさまにもぜひ応援していただければ大変ありがたく思います。
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