IRセミナー徹底攻略!セミナーを読み解くhow to 伝授#7 自分の分析を企業にジャッジさせろ!BtoB企業のIRの見方を解説!
「来期は上がる?」の質問はNG 経営者から有益な回答を引き出す坂本慎太郎氏のIRセミナー活用術
IRセミナー徹底攻略!セミナーを読み解くhow to 伝授#5

荒井沙織氏(以下、荒井):今回のゲストは坂本慎太郎さんです。前回は坂本さん流のIRセミナーの見方や、質問のコツを教わりましたが、あまりにも減点方式なのは良くないというお話でした。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):そうでしたね。投資家は自分のお金を投資するため、厳しく見たいという思いがあるのだと思います。ただ、それが厳しすぎる場合もあるのではないでしょうか。
前回、日本の文化についても触れましたが、厳しすぎるがゆえに「減点方式」が社会に根づいているとお話ししたかと思います。
荒井:ついやりがちですよね。
坂本:減点するだけで加点ができないやり方は、やはり間違っているのではないかと思います。ですので、そこは改めるべきだとお話ししました。
IRを「減点方式」で評価するのはもったいない

坂本:IRを見る際も、最初から「いや、この会社か」といったネガティブな見方をしたり、「5年前にこの会社で超損したんだよね」のように、自分の中で勝手に「もうだめだ」と決めつけてしまうことがあります。
荒井:少し恨みがこもっているような感じですね。
坂本:おっしゃるとおりです。それに、株主優待がいきなり廃止されて株価が下がった場合、「なんだよ」というような反応を示す人もいると思います。このような方は意外と多く、会社をマイナスに見る傾向があり、そのイメージをそのまま引きずってしまうことが少なくありません。ご覧いただいているみなさまも、このような経験がわりとあるのではないでしょうか?
荒井:それはもったいないですね。
坂本:IRフェアに行くと、どこかの会社を「ここはなあ」などと揶揄しながら歩いている人を見かけます。
荒井:事前によく理解していないのに、そのように言いますね。
坂本:私も他人のことなのでなんとも言えないのですが、「あなたはどれだけ偉いんだ」と思うことはあります。例えば、自分がその会社の創業者であったり、過去に出資してその会社を助けたりしたという立場であれば、そのような発言をしても理解できるかもしれません。しかし、特に関係のない人が悪意を持つのはどうかと思います。
だいたいそのような人は、株価が大幅に上昇すると空売りを始めるのです。「この会社の株価がこんなに上がるのは生意気だ」と言って売り、逆に踏み上げられて「ああ、どうしよう」となることもあります。
荒井:みなさま、会社を応援するべきですね。
坂本:私は、最初からネガティブに見ることをやめるべきだと思います。「生意気だ」のような空売りの話は意外と耳にしますが、それが何をもって「生意気」なのか、私には理解できません。
荒井:前回は、このような話や考え方をお聞きしました。今回は、前回お話しいただいたポイントについて、実際に坂本さんが視聴して良かったと感じるIRセミナーの動画を一緒に見ながら解説いただきます。
BtoB企業のIRセミナーをどう見るか? エブレン株式会社を例に

荒井:今回一緒に視聴するIRセミナーは、どのIRセミナーでしょうか?
坂本:今回は、ログミーFinanceが主催するIRセミナーによく登壇されているエブレン株式会社を選びました。荒井さんとも、こちらのIRセミナーではよくご一緒していますね。
荒井:エブレン株式会社を選んだ理由を教えてください。
坂本:この会社はBtoBの事業を展開しています。後ほど動画でも紹介しますが、バックプレーンをはじめとした産業用電子機器を製造しています。例えば、白金属製の箱にパソコンのボードのようなものを分割して収納し、その箱を製造機械や交通系、さらには軍事関連の装置など、さまざまな機械の中に組み込みます。このようなオーダーメイドの製品を手がけている会社です。
実際、みなさまがふだんそのような会社と接することはあまりないと思います。ですので、BtoBの会社の見方についてお話しできればと思います。本日はエブレン社についてご紹介します。
荒井:さっそく見ていきましょう。
(動画始まる)
エブレン株式会社代表取締役社長 上村正人氏(以下、上村): スライド左上の一番大きな写真はバックプレーンです。この写真を用意した理由は、大きさがさまざまであることをみなさまにお見せするためです。このバックプレーンに回路基板を接続すると、非常に大規模な回路が統合され、1つのコンピューターとして機能します。
スライド右側にはイラストがありますが、バックプレーンのコネクタに差し込んでつなぎ合わせることで、非常に大きな回路が全体として統合され、動作するようになります。このつなぎの役割を果たすのがバックプレーンであり、人間でいえば脊髄に相当します。脊髄には全身の神経が集まっていますが、それと同様の役割を担うものです。
最終的には、スライド右下に示されているように、一般的に金属で作られた筐体の中に収められ、1つの箱型のコンピューターとなります。
(動画終わる)
荒井:動画をご覧いただきました。「バックプレーン」について話されていましたね。
坂本:動画ではバックプレーンについて説明していますが、これは事業紹介に該当します。当然、IRの中で事業紹介を行うわけですが、まずはどのような会社であるかを最初に説明する必要があると思います。
IRを見ていると、いきなり業績の発表を始める会社もあります。それはそのような目的でIRを行っているのだろうと思いますが、初めて見る人にとっては業績の発表をいきなり聞いても、どのような会社なのかわかりませんよね。
そのため、私の考えとしては、もし可能であれば、業績の話には最初は触れず、2回目や3回目で発表するほうがよいと思っています。そうでなければ、視聴者がついていけないからです。
ですので、本来はそのような資料作りをお願いしたいと考えています。とはいえ、作成するのは企業側ですので、そうしたIRがあれば、そのような聞き方から始めたりもします。やはり視聴者にとって戸惑うことが多いですからね。
エブレン社は、IRを定期的に実施しています。まず社長が登壇し、事業紹介や会社への思いについてしっかりと話されています。まだご覧になっていない方は、ぜひご覧いただければと思います。
坂本氏がよく行う質問とその目的について

荒井:事業紹介や会社への思いについて確認した上で、次のパートに進みましょう。
(動画始まる)
上村:上野事業所は主に設計・開発を中心とした事業所です。一般的なオフィスビルの中にあるため、もの作りが可能な場所ではなく、ご指摘のとおり機械は設置していません。試作や実験などのデスクワークレベルの業務は可能ですが、本格的な生産は別の工場で行っています。
荒井:上野事業所以外は、ほぼ同じような生産体制なのでしょうか?
上村:おっしゃるとおり、ほかの事業所はすべて共通の体制です。上野事業所だけが特殊な位置付けとなっています。
荒井:上野事業所と入間事業所や八王子事業所は比較的近い場所にあると思いますが、上野事業所で設計されたものをそこに持っていくのですか?
上村:八王子事業所や大阪事業所にも技術部門があり、設計や開発をすべて上野事業所に集約しているわけではありません。上野事業所は、都心でなければ技術者を集めるのが難しいという事情から拠点を置いています。
坂本:ほかの拠点から八王子の本社が遠いという理由もあるのでしょうか?
上村:社員の中には「上野であれば通勤しやすいけれど、八王子までは行きたくない」という人もいるようです。
荒井:上野事業所には営業的なメリットもありますね。
上村:働く社員にとっても、拠点を分散しておいたほうが便利だという側面があります。そのような理由で拠点を分散しています。
(動画終わる)
荒井:生産拠点の分散についてのお話でした。
坂本:これにはBCP(事業継続計画)の観点もあります。エブレン社は超大企業ではなく、売上もそれほど多くはありませんが、生産拠点が東京、大阪、そして中国に分散しています。
荒井さんはその理由について質問していたと思います。受注したオーダーを確実に納品できるようにするため、生産拠点を分散させ、仮に一拠点が被災し供給が停止してしまった場合でも、他の拠点で生産が可能となるような体制を整えている、というお話でした。
荒井:生産拠点や工場、また生産以外の海外拠点がどこにあるかなど、このような質問はよくされますか?
坂本:「どのようなものを売っているのか?」や「どのような企業とお付き合いしているのか?」といった質問はよくします。海外の場合、私がよく聞く内容としては「お客さまは現地ですか?」「進出している日系の企業ですか?」といったことです。
日系企業であれば、信頼関係の基で情報を公開することもあると思います。そのため、現地との価格差や地盤企業の有無、さらには競争力に関する話題などについてうかがいます。
荒井:ここで少しお聞きします。生産拠点についての質問では、「地政学リスクはありますか?」というのがリアルタイムでもよく入ってきますが、そのような質問は有意義だとお考えでしょうか?
坂本:地政学的リスクについては、私は不可抗力だと考えています。避けられない問題ですし、その場合は株を購入することも難しいですよね。投資する会社が「ウェザーニュース」関連であれば、気象や地震関係に詳しい人がいて多少の予測ができるかもしれませんが、それでも南海トラフ地震のようなものについては基本的に予測不可能だと思います。
また、政府の発表が最も信頼できる情報源だと考えるなら、それは「なるほどな」という話になるでしょう。災害などが発生した際に損失を受ける場合としては、例えば、東海道リート投資法人の場合、富士山が噴火した場合のリスクが考えられます。
ただし、投資家のみなさまがこのような地政学リスクを投資の中にどの程度織り込んでいるのかは判然としません。一部には思いつきで質問しているようにも受け取れるケースがあります。
先ほどのエブレン社でも拠点の分散について述べられましたが、私がファンドマネジャーだった際には、委託先のBCPに関する観点で「体制はどのようになっていますか?」のような定型的な質問を行っていました。ただ、これらについて「質問がダサい」という見方もあり、聞くだけで安心感を得るのが目的なのではないかとも感じる場面がありました。
また、「このようなかたちで分散しています」のような問いかけもありますが、たとえ拠点を分散させても、被災が連鎖してサプライチェーンが寸断されるような状況では、解決にならないこともあります。この点については、震災やリーマン・ショック、そしてコロナ禍の経験を通じ、多くの方がすでに認識していることでしょう。結局、答えの出ない質問ですよね。
荒井:最近では、トランプ関税の話や、中国に工場がある場合に聞いてみたい、などのような感覚があると思います。
坂本:そのような質問を見る場面では「この質問をまたしているな」と思って見るだけで、私はあまり参考にはしていません。ただ、この質問に経営者がどのように切り返すのか、その対応を見るのはおもしろいですね。
経営者に地頭の良さが絶対必要だとは思いませんが、切り返しのうまさを通じて、それを確認することはあります。ただ、それは個人的な興味にすぎず、投資判断には必ずしもつながらないと思います。よく「この社長はすごい」といった評価を耳にしますが、切り返しがうまく、頭が良いからといって利益が上がるわけではないと思っています。
このエブレン社の社長は、どちらかというと技術者タイプで、技術的な話を始めると止まらなくなる方です。そのため、非常におもしろく話を聞かせていただきました。時間が限られているので気をつけながら聞いていましたが、非常に熱心にお話しいただきました。
荒井:得意分野について話していただくと、とてもおもしろいですね。
坂本:やはり、登壇者の得意分野を引き出すことがIRとしておもしろさを増すと思います。もちろん、きれいにまとめることも重要ですが、特に何度もIRセミナーを実施されている企業の場合、その企業の特色や特徴、得意分野や独自の取り組みについての話を回を重ねて聞くことで、徐々に理解が深まると考えています。IRを重ねるごとに、独特の「味」が出ると思います。
業界全体のトレンドも把握できるIRセミナー

(動画始まる)
上村:上半期の応用分野別の概況をセグメント別にお話しします。まず、半導体製造装置を中心とした計測・制御では、中国向けのレガシー装置の設備投資が増加しました。
ご承知のとおり、現在、ハイエンドの半導体製造装置を中国に輸出することに対して規制があります。規制に該当しないハイエンド以外の装置をレガシー装置といいますが、それらの出荷量が大幅に増加しているという実績が出ています。しかし、私たちの業務にはあまり大きな影響は見られませんでした。
また、顧客の在庫が未消化であることによる生産調整が続いており高利益品の出荷が減少しています。この状況は今に始まったことではありません。
なお、「在庫を消化して正常化する」というのは、すでに納入済みのお客さまが保有する在庫を指しています。私たちが納入した製品ですが、お客さまの在庫が消化されなければ、正常な状態には戻りません。この部分の進捗が依然として遅れているようです。
売上は11億7,900万円で、通期売上計画進捗率は46.9パーセントとなりました。上半期で進捗率50パーセントを見込んでいましたが、未達となり、売上は前年同期比で8.1パーセント減少しています。
一方、交通関連については、鉄道信号関係の新規案件があり、売上増につながりました。通期売上計画進捗率は48.9パーセントで、50パーセントには一歩足りませんでしたが、売上は前年同期比で9パーセント増加しています。
通信・放送関係では悪い状況が続いています。電力分野は堅調ですが、通信・放送は大幅に減少しています。特に上半期は極端に少なかったという印象があります。通期売上計画進捗率は33.6パーセントで、半分どころか3分の1ほどの進捗率です。売上は前年同期比で42.2パーセント減少しています。
電子応用は医療関係が中心です。医療関連市場は全体的に堅調に推移していますが、当社グループの主要取引先において、一時的な生産調整に伴う売上減少がありました。通期売上計画進捗率は46.8パーセント、売上は前年同期比で9.5パーセント減少しています。
防衛・その他については、新規案件の成約により売上が増加しています。特に防衛関連の伸びが顕著で、通期売上計画進捗率は66.1パーセントと、目標の50パーセントを上回りました。売上は前年同期比で58.1パーセント増加しました。
(動画終わる)
荒井:こちらは足元の業界環境について説明していただいている場面ですね。
坂本:ここは、IRを見る意味が表れている部分です。機械、防衛、鉄道など、セグメントが5つほどに分かれており、今年度の状況について詳しく教えてもらっています。業績が一部で低下している箇所があり、その理由についても丁寧に説明されています。
理由は何かというと、半導体関連のことを指しており、コロナ禍でサプライチェーンが乱れ、適切に対応できなかったことが背景にあります。製造装置を作るために、最初に大量の部品を買いだめしました。これはスーパーでの買いだめと似た状況です。その結果、次に購入するまでの期間が延びてしまい、注文が減少して業績が悪化するという話です。
また、今期の好調な業界の話が聞けた点が良かったと感じています。この会社への投資をするか否かというよりも、業界全体を知りたい方にとっては、非常に優れた名物的なコーナーだと思います。
(動画始まる)
上村:2025年3月期の通期見通しについてですが、顧客の在庫消化が進み回復傾向にあることから、計測・制御関連(半導体製造装置関連)では、AI用途などの先端分野で投資が活発です。ただし、現在マスコミなどで取り上げられる「AI関連か、それ以外か」に関しては、大きく意見が分かれる状況です。
全体的には半導体関連があまり良い状況ではありません。ただし、「生成AIだ」や「AI関係の半導体だ」といった情報が毎日のように報じられており、半導体業界に対する「半導体関係は非常に良いのだろう」といった見方がかき消されている部分もあります。
実際には、現在の半導体業界はシリコンサイクルの低迷期に入っているとの見解もあります。2022年末頃からこの低迷期が始まったとされており、2024年を迎える今、その期間はおよそ2年に及びます。
また、「シリコンサイクルは4年だから、春頃から良くなる」といった説も存在しますが、この点についてはさまざまな見解があり、現時点でどれが正しいのかは明確ではありません。
坂本:製造装置については、バックオーダーが積み上がっている状況ですが、それに向けた設備投資が継続しているということでしょうか?
上村:はい、時期がずれているというだけのことです。昨年度は、みなさまもご存じのように、半導体関係が4年ぶりに前年度を下回りました。半導体が絶好調かと思えば、前年同期比ではマイナスとなりました。これについては、振り返るとシリコンサイクルの谷にあったことが要因だと考えています。
全体的にはその影響を、現在も私ども自身が引きずっている状況です。しかし、来年の春あたりからは、多少良い兆しが見えてくるのではないかというのが私どもの見方です。ただし、AI関係については別の波があり、別枠で考える必要があると思います。
坂本:AIが進むと、今後はエッジコンピューティングと組み合わせた製品なども出てくるのでしょうか? その領域で御社が成長する余地があるように思います。
上村:交通関連は好調です。一方、通信関係はあまり芳しくありませんが、少し回復傾向に向かうと見ています。電子応用関係の市場としては、順調な推移が見込まれる状況です。
(動画終わる)
荒井:こちらが各セグメントの状況説明です。
坂本:現在から未来にかけてを示しています。天気予報の天気図に例えると、「将来このセグメントは良いですよ」から「じゃあ関連銘柄のこれも良いんだ」という流れもあれば、「半導体が戻ってきました」という展開も考えられます。
社長によれば、シリコンサイクルは「良い、悪い、良い、悪い」の4年サイクルで繰り返されているとのことです。現在はその2年目から3年目という厳しい時期ですが、AIブームによる急激な需要増も影響しています。このような実需を長年見てこられた方のお話は、意外に興味深い内容が多いと感じています。ようやく足元の在庫調整が終了し、将来的な増益が期待できる状況になってきました。
話を戻しますが、セグメントごとの売上の割合を把握しておくことは重要です。売上が大きいセグメントの需要が回復すれば、「それは儲かるでしょう」のような見方が必要になると思います。
有益な回答を引き出す質問のコツ

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上村:中国は不動産問題の影響で景気が大きく減退しています。しかし、実際にはそれ以前から悪い状況が始まっており、撤退すべき企業はすでに撤退を完了しているのではないかと思います。
私どもが進出している江蘇省の蘇州市や無錫市は、日系企業が非常に多い地域です。また、現地の方々も非常に好意的で、大きな動きは特に見られていません。そのため、少なくとも私どもが取引しているメーカーにおいては、現時点で変化はなく、今後もそのような予定はないと聞いています。
(動画終わる)
荒井:こちらが中国の状況についてです。
坂本:日系企業の撤退など、中国の状況について解説いただきました。「やはりお客さまに日系の方が多いため、撤退の影響を受ける」というような視点を聞くと、社長なりの知見が感じられ、このような話題も非常に参考になります。
また、コメント欄に「中国はどうですか?」といった内容が書き込まれることもありますが、セミナー中に読むのが難しい場合もあります。意外とみなさまが気にしている点なのかもしれませんし、銘柄以外の知識にもつながるため、中国への取り組みに関する話題は重要なポイントではないかと思います。
荒井:セミナー中にリアルタイムで大きな中国関連のニュースがあれば、その企業の社長がどのように回答されるかを通じて、業界全体の見方を学ぶことができる場合もあります。
坂本:「撤退します」のような話題は、適時開示が関わる内容かもしれません。情報の取り扱いには注意が必要ですが、他社の状況や中国の動向を参考にする意義は大きいと思います。特に中国に関してはわかりにくい部分があるからです。
荒井:質問の仕方として、大きなニュースが出た際に「業界としてはどのように見ていますか?」という形式で尋ねるのはいかがでしょうか?
坂本:そのように率直に尋ねるのも良いと思います。特に社長の場合、個人的な見解を聞く価値があります。企業によっては経営企画部長が登壇する場合もありますが、ビジョンについては社長自身に質問するほうが有意義だと感じます。また、質問者は登壇者に応じて質問のスタイルを調整していくとより良いかもしれません。
最後にまとめると、社長が必ずしも登壇する必要があるわけではありません。経営の中枢を担う幹部がある程度説明できる必要があり、社長でなければ回答できない、あるいは社長でしか話せない内容に依存している場合は問題があると思います。
情報が社長にしか共有されていない場合、投資先としてはあまり望ましくないと感じます。ログミーFinanceのIRを見る際も、社長だけに注目する必要はあまりないと思いますので、そこは気にしすぎずに全体を見たほうがよいと考えます。
荒井:みなさま、いかがでしたか? 今回は、坂本さんの考え方も含めて教えていただきました。やはり減点はせず、優しい視点を持つことが重要ですね。
坂本:そのとおりです。ネガティブな方々に対しては、その理由を聞くことが大切です。「エブレン社の業績が一瞬落ちている理由は在庫調整だった」というポイントがわかれば、それが戻ってきたタイミングで購入を判断できるという見当がつきます。そのためにも、IRをうまく活用してほしいと思います。私も、この点をしっかりと聞き取っていきたいと思っています。
株価の変動については、業績が変動した理由をしっかりと確認する必要があります。「会社四季報」の方とお話しをした際、「会社四季報」には数行で概要が書かれていますが、その中で「なぜ株価がこうなったのか」や「なぜ業績がこうなったのか」といった情報を記載するようにしているという話がありました。やはり「知る」ことが大切だと感じます。
荒井:攻撃的な態度ではなく、真摯に「なぜだろう」を投げかけることが必要ですね。
坂本:攻撃的な部分については、改めてみなさまにお伝えしたいです。質問する際には、意見は含めてはいけません。また、意見に質問を混ぜるかたちも避けるべきです。荒井さんは業績をポジティブに読みがちですが、意見の部分はネガティブであれポジティブであれ、基本的に不要です。
私が株主だとしたら、社長に意見を言いたい気持ちもあると思います。しかし、エブレン社に限らず全体的な話として、IRは株価の愚痴を言う場ではありません。そのような意見は他の機会、例えば株主総会後の座談会などで発言していただければと思います。
「株価が下がっている原因は何ですか?」と尋ねるよりも、まずは自身で分析し、「僕は株価が下がっている原因は業績の悪化だと思うのですが、業績の悪化の中でこの部分の悪化が一番大きいと思っています。今期はここが悪かったです。来期はこの部分はどうなのでしょうか?」といったかたちで質問するのが望ましいでしょう。
「来期は上がるでしょうか?」「なぜ下がったのですか?」という質問を避け、質問自体は自分なりに考えて、「これは合っているのか、違うのか」を一度スピーカーに判断させるような内容のほうが、より良い結果につながり、IRを効果的に活用できるようになるでしょう。意外と中級者や上級者の方の中にも、このような書き込みをする方がいるかもしれません。
荒井:良い回答をもらえそうですよね。
坂本:そのとおりです。良い回答を得るためには、適切な質問をしていただきたいです。私自身、すでに出ている質問を組み合わせて聞くこともあります。ただ、ニュアンスが変わる可能性もあるため、必ずしも良いやり方ではないかもしれませんが、あえて行うこともあります。
荒井:ぜひみなさま、今後ご質問の際の参考にしていただければと思います。それでは、次回をお楽しみに。


